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「ラジオウェーブのラジオ放送が確認された」
教室に集まった灼滅者たちに、神崎・ヤマト(高校生エクスブレイン・dn0002)は言った。
赤槻・布都乃(悪態憑き・d01959)が調査で突き止めた、ラジオウェーブのものと思われるラジオ電波によって発生する都市伝説。
「このままでは生まれた都市伝説が、ラジオ放送と同じような事件を起こしてしまうだろう」
そんな前置きをしたのちに、ヤマトは放送内容を話す――。
ある建物で、料理教室が開かれていた。
講師の説明を聞いたあとは、手順通りに調理していく。
「おせち作るの、初めてだわ」
「ちょっとだけ、洋風アレンジにしたりとかできそう」
「簡単ちらしとか良いわねー」
わいわい、がやがやと教室内では楽しそうな声。
その時、外の方から能天気な歌声が聞こえてきた。
「~~♪ ああ、ちょこれーとちょこれーと♪ 魅惑のショコラティエ~。
――おっとここから料理の気配。コンコンコン」
コンコンと言う声に加えて、実際にコンコンと扉が叩かれた。とはいえ、返事を待ってはいないらしい。すぐに扉は、ドッキリかというレベルで勢いよく開かれた。
「ちょっっっこれぇぇぇいぃぃぃとぉぉぉぉ!!!!」
「きゃあああああ!」
人間とそう変わらない大きさの黒っぽい板が現れた!
みんなは驚いた!
「む。正月料理か! 皆様の家族に向けた真心こめた料理、最高だと思います!」
「???」
板は語りだした!
みんなは混乱している!
「そのお重一段に、チョコレートなスイーツを詰めてみては如何でしょうか。素敵だと思います!」
「え、ええと……」
板は器用に扉をくぐり、無理矢理に落ち着きを取り戻した講師が前に出た。
「た、確かに重箱スイーツもありますが、きょ、今日は……その……お正月ごはんがテーマですから……」
戸惑う講師へ、板は側面部を利用した頭突きをした。
倒れた講師に向かって板は言う。
「ここであったが百年目ェェ! いいか!? 俺を否定するんじゃない! 俺を! 気持ちをこめて砕いて! 湯煎して! お前たちの心がこもるチョコレートにするんだ!
俺は、こんなただの板では終わらない。特別なチョコレイトになるんだ!」
●
「……え」
「……その板は、チョコレートなの?」
灼滅者の言葉に、ヤマトは頷く。
「製菓用チョコレートの姿をした都市伝説だ。
この建物で何らかの調理をしていると、現れる都市伝説のようだ。
この都市伝説は、心のこもった特別なチョコレートになりたいらしいが、何しろ都市伝説だ。一般人に砕いたりするのは無理だろう。
とりあえず、被害が出る前に解決しなければならない。
建物内の教室を一つ、おさえておいた」
平日で、この日は他の料理教室が開かれる予定が無い。
「都市伝説自体はあまり強くはないと思うが、これらは放送内で得た情報だ。
可能性は低いが、予測を上回る能力を持っているかもしれないから、その点は気を付けて欲しい」
真顔のヤマトは灼滅者たちを見つめ、そして言った。
「ちなみにこの都市伝説は倒されると、ただのチョコレートとなりはて、食べることができるようだ」
「知ってた」とか「そんな気はしてた」とそれぞれに呟く灼滅者たちは、改めてヤマトに確認をとる。
「戦って、倒したあと、大きなただのチョコレートをどうにかすればいいんだね?」
「ああ、そうだ。どんなものでもいい、気持ちをこめてなんやかんやすれば、それは特別なチョコレートだ。
この日、お前たちは『灼滅者』と書いて『ショコラティエ』と読む存在となる――そんな感じで挑んでみるのもアリじゃないかと、俺は思う」
参加者 | |
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喚島・銘子(空繰車と鋏の狭間・d00652) |
椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051) |
花咲・マヤ(癒し系少年・d02530) |
ミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125) |
リディア・キャメロット(贖罪の刃・d12851) |
久成・杏子(いっぱいがんばるっ・d17363) |
山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836) |
ラススヴィ・ビェールィ(皓い暁・d25877) |
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一定の温度を保つ室内に、香ばしい香りが漂う。
霊犬の杣は鼻をひくひくと動かしながらも入り口の側に座り続けたまま。
「これだけでも良い香りね」
喚島・銘子(空繰車と鋏の狭間・d00652)は、くるみを粗く砕きオーブンでローストしたものを調理台に置いて言った。
「ブロッコリーと大根のカット終わりました」
大根の皮をむき、ブロッコリー共々食べやすいサイズにしたのは、花咲・マヤ(癒し系少年・d02530)。
「こっちも、そろそろ果物剥き終わるトコ~」
「えへへ、いっぱい用意できたねっ」
ミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125)と久成・杏子(いっぱいがんばるっ・d17363)の周囲は、果物特有の爽やかな香り。
「果物と、お野菜。凄い、栄養満点」
イチゴを洗い終えた山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)は、複数ある調理台の内、果物野菜置きとなっている場所を見て言った。
「用意しておくべきことは、これぐらいだろうか」
と、ラススヴィ・ビェールィ(皓い暁・d25877)。
「後は材料が到着するのを待つだけですね」
頷きながら椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)が言う。ケーキの土台となるスポンジは安全な場所に避難させたし、ボウルや温度計など必要な物も調理台に出されている。
「どんなチョコが扱えるのか楽しみです♪」
と、和やかに話をしていると、即興感満載の軽やかな歌声が外から聞こえてきた。
『ちょこれーとちょこれーと♪ 恋に~落ちーる~。
――はっ、ここから料理の気配!』
「ん、材料の到着ね」
リディア・キャメロット(贖罪の刃・d12851)が言うと同時に、コンコンコンバーン! と扉が開かれた。
「ちょっこれぃぃとぉぉぉぉ!!」
「さあ、お入りください」
マヤが室内へと促す。丁寧な案内に板はビクンと震えた。……と思う。何せ形状はただの板なので揺れただけにしか見えない。「繊細な動きは出来そうにないな」とラススヴィが呟く。
ちなみに、勢いよく開かれ反動で中途半端に往生する扉は、都市伝説が入室したあとに杣が前脚でそっと閉めてくれた。
「もしかして貴方がたは、チョコレート職人、ですか……!?」
出待ちされていたので、良い感じに思いこむ都市伝説。
「ええ、私たちはショコラティエなの。
チョコレートを求めている――私の殺気に、その板如きの体で耐えられるかしら?」
リディアが頷きながら殺気を放てば、「おぉう、ゾクゾクするぅ!」と、都市伝説は喜んだ。
「俺は、ただの板じゃ終わらない!
俺は、今からショコラティエの力で、特別なチョコレイトになる! そのためには作り手の特別な――ぐっはあぁぁあいじょぉぉぉ!」
「初撃では、やはり砕けませんね」
ラップの巻かれた八卦方棍で殴ったのは、使い捨て手袋をはめた紗里亜だった。
「特別になりたい? ん、わかった!
未来の名ショコラティエ、みっきーさんが約束するっ♪」
片腕を半獣化させたミカエラが腕を振るえば、鋭い銀爪が板に痕を残した。
「宜しくお願いします!」
即座に板がお辞儀をすれば、ミカエラの頭にバン! とぶつかった。ちょい痛だった。
「特別なチョコレートにしてもらうために現れたチョコレート……凄い、自己犠牲精神の塊」
そう言った透流が縛霊手で殴りつけ、網状の霊力で敵を縛りつければ、
「こ、これは束縛したいという特別な――気持ちイイ!」
板の言葉に、透流はふるふると首を横に振った。少女は、断じてそんな気持ちで攻撃したわけではないのだ。
「……この、アレな感じは、仕様なのかしら……」
クロスグレイブを抱えた銘子が、幸せそうに悶える板を見て呟く。
同じく、大きな瞳でじいっと板を見つめる杏子は、
「特別になりたいから、身を砕く、なのね。
言葉にすると、なんだか、とっても純愛な気がするの」
ウイングキャットのねこさんが首を傾げた。
「……気がするなのだけど……」
杏子は言って、板からそっと目を逸らすのだった。
●
カカオの香りが充満する室内。
(「チョコレートは私も好きだけど」)
と、リディアは板の死角に回りこみながら、複数の刃跡を刻んでいく。
攻撃が心地よいのか、ふるふると震える都市伝説。
「食べても大丈夫なのかしら?」
まぁ、バレンタインも近いし、そのための練習と思えば、有意義な戦いになりそうね、と頷くリディア。
予め付箋の貼られたお菓子の本を手に調理(攻撃)するのは杏子だ。
ねこさんが板に肉球パンチを繰り出し、「アッ、そこ、そこっ!」と板が悶えている間に、サッと本を確認。
「ええと、チョコは、こまかく刻むなの?」
ナイフの刃をジグザグに変形させ、敵の肉……じゃなくてチョコレートを斬り刻む。
「あっ、えへへ」
チョコレートがばらばらっと撒かれ落ち、ちょっぴりごまかすように杏子はくるるんと踊りの体勢に入った。
「続きは、お任せ下さい」
マヤがにっこりと笑み、言った。花開く軌跡のナイフ部分を翻す。
「それ、このナイフで細かに切り崩してあげますよー」
再び紗里亜が八卦方棍で一撃を与えれば、砕けたチョコレートが舞う。
チョコひとかけらを摘み、ペロッと一舐め。
「ん、なかなかの品です。上質なカカオ、手の加えやすい控えめな甘さ――扱うのが楽しみですね」
「湯煎にはちょっと早いけど、溶けてしまいなさい……」
リディアが炎纏う蹴りを放つ。
適度に炎を与えた板に刃を通せば、バターのようになめらかだ。
「ドロドロに溶けていく~、チョコレートが生まれ変わる瞬間~」
ご機嫌な板。
畏れを纏ったミカエラが斬撃を放つと、柔らかなチョコレートが降りかかった。
「ん、美味しー♪」
手の甲に付いたチョコを一舐めするミカエラ。だけどっ、と人差し指をピッと立てる。
「テンパ……温度調節には、カンとテクのりょーほーが大事なんだっ♪
繊細な舌触りを守るためにも、ソコ確実にっ」
「質が落ちちゃいますものね」
と、紗里亜。
製菓は化学! なミカエラと、料理はモチロン家事万能♪ な紗里亜の言葉に、
「と、特別は美味しくなければいけないのに……質が落ちる、だと」
板がショックを受けたような声を出し、わりと溶けてそうな自身を見る。上部分がぐにゃりと曲がった。
杣が真下から六文銭射撃をすれば、板の姿勢が戻る。
ところで、と、銘子が調温を気にする板を見ながら言う。
「氷は持ってきたけど、凍結と解凍を往復したら味落ちちゃうかしら?」
「いえ、宜しくお願いします!」
溶け過ぎかなと感じていた板はお辞儀をした。
ぐにゃんと銘子の頭にぶつかる板――痛くはないが、べたつく感触。「ちょっと、離れて頂戴ね」と銘子は静かに言った。
そして巨大十字架先端の銃口を開き、凍結する光の砲弾を放つ。
防護符を銘子に飛ばし、次に導眠符を手にする透流。
「自分から食べられに来るだなんて、凄い度胸。その度胸に免じて、なるべく苦しまないように倒してあげる……と言いたいところだけど、喜んでる……?」
「メリークルシミマース」
板は歌いだした。とはいっても、攻撃しているわけではないらしいが――さらにくるくると回りだす。
表情は変わらないが、やや戸惑う様子の透流に、
「あまり深く考えない方がいいと思う」
と、ラススヴィが言うのだった。
その後も板は変わらず、
「生チョコ、トリュフ、ブラウニー、無限に広がるとっくべつなちょっこれいとぉぉ」
歌いながらくるくると回転している。回転扉のよう。
「んん、ちょっと、大人しくしてね?」
杏子はそう言って、落ち着きのない板を神秘的な歌声で催眠状態へと導き、ねこさんが尻尾のリングを光らせた。
さらにマヤが星霊命花から魔法弾を放つ。
「この光の弾で、痺れてしまいなさい!」
回転する板はぴたりと止まった。
「ああ、もうすぐ……もうすぐ、俺は特別なチョコレートになれるんだっ!」
●
そして。
殴って砕いて、刻んで、溶かして、固めてを繰り返された板は灼滅され、ただの砕けたチョコレートとなった。
「ん……私の胴よりも大きいわね」
手袋をして大きなチョコレートを調理台に置くリディア。大きさがバラバラなブロックがいっぱい。
「大きなチョコレートを砕く前に、クリーニングしましょうかね」
と、銘子。
失礼するわね、と一声かけて、仲間の服をぽんぽんと叩いていく。
「ドレスの色も相まって、ミカエラが一番目立つわねぇ」
斑模様となったミニドレスを二度三度と叩けば、滑らかで綺麗なクリーム色に。
「さて、更に砕くか」
ラススヴィが大きなチョコを一つ、取る。
この大きさを砕くのも、刻むのも一苦労。
「これだけの量のチョコレート、一人では食べられませんので皆さんが居て良かったです」
チョコフォンデュ用、スイーツにしてここで食べる用、お持ち帰り用――マヤがざっくり分けていくが、結構な量だ。
細かく刻みながら透流は、
「うーん。
あのチョコフォンデュ用の泉さんがなくっても、鍋でチョコレートを溶かしたらチョコフォンデュさんにできるのかな……?」
フォンデュといえば、あの泉と噴水みたいなやつ。
「とおる先輩、ちゃんとお鍋でできるみたいっ。一緒に、チョコフォンデュろう! なのー」
お菓子の本を捲りながら杏子が透流に言えば、彼女は頷き、鍋と牛乳を手にする。
続けて、トリュフ。
「トリュフには生クリームがいる、なのね」
「頑張っていきましょうね」
紗里亜と杏子が目を合わせて、にっこり微笑む。
刻み終えたチョコレートを丁寧に湯煎して、滑らかに仕上げる紗里亜。
綺麗な光沢のあるチョコレートクリームが出来上がる。
「♪」
嬉しそうに、楽しそうに紗里亜は作業を進めていく。
足元に杣が寄ってきて、気付いた紗里亜は人差し指を唇に。
銘子は切っておいた野菜を茹でている間に、細やかな作業を重ねてブラウニーの生地を作る。
紙を敷いたスクエア型に生地を流しこみ、ならした後に、先程ローストしていたくるみをたっぷりとのせた。
「これで良し、と」
確認し、オーブンへ。
「色んな型があるのね」
と、リディア。ミカエラが持ってきた動物の型にチョコレートを流しこみ、フォンデュ用のチョコ作りのお手伝い。
「可愛いのを食べるのって、わくわくするよね~」
チョコレートが固まるのを待つ間に、果物を用意するリディア。
ミカエラは一番最初に固めたチョコレートのプレートを手にする。
「製菓用チョコは、追加のひと手間が命!
特別な物にするには、気持ちを込めないとね~♪」
細工道具を手に、はりきる。
「じゃ、動物たちの表情付けは、こちらでやりますね」
「可愛くするわね」
マヤとリディアが言った。
手袋をした杏子とねこさんが、チョコレートを丸めてトリュフを作っていく。
懸命に作る灼滅者たち。
あれだけあったチョコレートがどんどん加工されていく。
あまりにも多すぎて持ち帰り前提の製菓も必要ね、と心配していた銘子だったが、
「むしろ足りないかしら」
と微笑んだ。
●
弱火にかけた鍋の中身は、フォンデュ用のとろとろとしたチョコレート。
「チョコレートが一番大事なイベントはバレンタインデーなのに、その前に出てきた、せっかちな都市伝説さん。ありがたく、いただく」
両手を合わせて拝む透流たち。いただきますを忘れない。
「どれから食べよう」
透流は悩む。既に串刺しとなっているイチゴとバナナの組み合わせ、はたまたキウイバナナの組み合わせ。
「あたしね、キウイで挑戦するよーっ!」
爽やかな緑の宝石を手にする杏子。
「こんなのもあるよ~」
「がんばりました」
ミカエラとマヤが、ウサギや猫のチョコレートを出す。串に刺した動物の頭には、ちょこんとフルーツの王冠。
「せっかく作ったのだから、私はこれから食べるわ」
と、リディア。ウサギチョコとイチゴの組み合わせ。
とろりとしたチョコを纏わせて。
「ん、とても甘くて美味だわ。都市伝説だった事を忘れるくらいだわ」
「ダブルチョコフォンデュ~♪」
リディアとミカエラが、ぱくり。
ラススヴィは犬型のを手にする。
「じゃあ、僕は、まずはマシュマロでいきましょう」
白やピンクのマシュマロを手に、マヤ。
ドライフルーツとナッツを用意してきた紗里亜。まずはそれをぱくりと。
「んー、幸せです♪」
「どの組み合わせも美味しいわね。
お野菜も用意したから、食べて頂戴ね」
銘子が茹でた野菜とポテトチップスを置く。チップスはお高いやつ……!
「塩とチョコのコラボはいけるわよ」
「ん、おいしいですね、素敵です♪」
マヤが言う。
チョコの甘味と柔らかな野菜。
塩味とのハーモニー。
「そういえば、今年もバレンタインが近いですね、バレンタインにもチョコレートが食べられそうですので、今からでも楽しみですね♪」
「バレンタインね。またこんな都市伝説が現れるのかしらね」
「こんなに美味しい都市伝説なら、歓迎」
フォンデュを味わいながら、マヤとリディア、透流が話す。
「キョンちゃんのトリュフ、美味しいです」
「えへへ、たくさん作ったからね、食べてねー」
そんな会話をしながら、紗里亜と、杏子、ミカエラは目配せをしあって三人で歌いだす。
歌ったのは、有名なお誕生日の歌だ。
目を瞬かせる銘子。
「ハッピーバースディ、銘子さん♪」
そう言って紗里亜が出したのは、【Happy Birthday!】のデコレートがされたチョコレートケーキ。
「ハイ、どーぞ♪」
ケーキの前にはミカエラ作のバースデイプレート。枠は犬耳のようになっていて、
「これ、杣の耳なんだよ~」
両手を頭にかざして言うミカエラ。
ケーキの周囲をデコレートしているのは、可愛いトリュフだ。
「めーこさん、いつもいつもありがとう。
今は同じクラブじゃないけどね、いつも見守ってくれてるって思えて、安心するの。
ケーキは、みんなで食べようねっ」
杏子が笑顔で言う。
透流と、マヤ、リディアとラススヴィが、ほうっと安堵の息をついた。
銘子にバレないよう、手伝いをしたり、声を掛けたりとしていたのだ。
彼女たちの言葉やスイーツ、皆から差し出されたウサギみたいに剥いたリンゴを手に、銘子は微笑む。
ありがとう、と。にっこりと。
「こんなに嬉しくて、みんなと楽しくチョコレートを囲んで――特別よね」
ケーキを切り分けて。
ただのチョコ板だった都市伝説は、皆を幸せにするチョコレートだった。
作者:ねこあじ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2018年1月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 1
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