民間活動~誰も居ない体育館

    作者:陵かなめ

    ●誰も居ないはずの体育館
     ここは兵庫県にある高校だ。一日の授業が終わり、掃除の時間が来たことを校内放送が告げている。
    「ねえ、ウチの班、体育館やわ」
    「えー! 面倒くさくない? 今日、部活ない日やし、誰も手伝いおらんよな」
     当番表を見ていた生徒たちが、口を尖らせた。
    「え、じゃあ、体育館、誰も居ないんだよね、今」
     その時、一人の女生徒が、何かに気づいたように表情を強張らせる。
     近くに居た者たちが何事かと振り返った。
    「聞いたことない? 『誰も居ない体育館』」
     女生徒は、そう言って神妙な面持ちで話し始める。
    「夕方、誰も居ない体育館で、なぜかボールをつく音がするんだ。そして、その音を聞いてしまった人間は、体育館に現れた悪霊に首を切られてしまうの。悪霊は体から離れた頭をボールにして、ボールをつき続けるんだって」
    「ええ?! 何それ、今ちょうど夕方やん」
    「あっ、でも、誰も居ない体育館から音がするってウワサ、聞いたことある気がする」
     体育館掃除の担当班の生徒たちは、恐怖に身体を震わせた。

    ●依頼
    「サイキック・リベレイター投票の結果はみんなもう知ってるかな? 結果、民間活動をすることになったんだよ」
     千歳緑・太郎(高校生エクスブレイン・dn0146)はそのように切り出した。
     サイキック・リベレイターを使用しなかった事で、エクスブレインの予知が行えるようになったことや、タタリガミ勢力の活動が明るみに出たことなども同時に説明される。
    「タタリガミ達は、エクスブレインに予知されない事を利用して、学校の七不思議の都市伝説化を推し進めていたようなんだ」
     太郎は言う。
     閉鎖社会である学校内でのみ語られる学校の七不思議は、予知以外の方法で察知する事が難しく、かなりの数の七不思議が生み出されてしまっていると。
     この七不思議については、可能な限り予知を行い、虱潰しに撃破していく事になる。皆の協力をお願いしますということだ。
    「それでね。今回みんなに倒してもらうのは、都市伝説『誰も居ない体育館』だよ。夕方、誰も居ないはずの体育館で音を聞いてしまうと、首を切られちゃうってウワサなんだ」
     ちょうどその日は放課後の部活動もない日だ。
     体育館は静まり返っており、掃除当番の生徒たちが噂話に恐怖しているという。
    「そして、その日、掃除当番の人たちが体育館の音を聞いちゃったことをその場で口にすると、都市伝説が現れるんだよ」
     状況を説明した後、太郎は都市伝説の戦闘能力について語った。
    「出現する『誰も居ない体育館』は、黒い人型の都市伝説なんだ。パニックになった一般人が見ると、体育館に現れた悪霊にも見えるかもしれないね。その攻撃方法はシンプルで、腕の部分を刃に変えて、斬撃で襲ってくるんだ」
     配下などは居らず、特に強敵とはなりえないだろう。
    「今回の『誰も居ない体育館』は、タタリガミが生み出した普通の都市伝説だから、みんなにとっては強敵ではないんだ。だからこそ、周囲に被害が出ない範囲で『より多くの生徒・関係者に事件を目撃』させる作戦をとって欲しいんだよ」
     太郎は民間活動についてこう説明した。
     バベルの鎖によって、都市伝説やダークネス事件は『過剰に伝播しない』という特性がある。しかし、直接目にした人間には、バベルの鎖の効果はない。
     目撃者が他人に話しても信じてはくれないが、直接事件を目にした関係者は、それを事実として認識するのだと。
    「たくさんの一般人、都市伝説やダークネス事件を直接目撃する事で、一般人の認識を変えていくのが『民間活動』の主軸となるんだよ。だから、できるだけ可能な範囲でいいから目撃者を増やしていけたらいいね」
     作戦の方法などは皆に任せると太郎が締めくくった。
    「一般人にとって、みんなは『不思議な力で七不思議を倒した人達』という扱いになると思うんだ。はじめて会う一般人に話を聞いてもらうには、それなりの演技や演出が必要かもね」
     多くの一般人に目撃させた上で灼滅する為の作戦とは?
     事件を目撃した一般人に、どのような指示や説明を行うか?
     説明を聞いていた灼滅者たちは互いに顔を見合わせ考え始めた。


    参加者
    峰・清香(大学生ファイアブラッド・d01705)
    椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)
    神凪・朔夜(月読・d02935)
    吉沢・昴(覚悟の剣客・d09361)
    セレス・ホークウィンド(白楽天・d25000)
    陽乃下・鳳花(流れ者・d33801)
    坂崎・ミサ(食事大好きエクソシスト・d37217)
    石宮・勇司(果てなき空の下・d38358)

    ■リプレイ

    ●到着
     高校に到着した灼滅者たちはすぐに行動を開始した。
     セレス・ホークウィンド(白楽天・d25000)は闇纏いを使用し、仲間に先んじて体育館へ向かった。動きの見えない間こう動いていたのかと心の中で思う。
    (「……しかし掴めた、ならばやるべきことをやっていく、それだけだ」)
     力を見た人々がどう反応するかは分からないが、自分にできることをやっていこうと、体育館へ急いだ。
     仲間たちが一般人を集めてくるのを信じ、峰・清香(大学生ファイアブラッド・d01705)もその後に続く。
     体育館で待ち構え、都市伝説を抑える役目に回るためだ。
     見ると、掃除道具を抱えた生徒たちが体育館へ向かってくる。
     彼女たちが体育館で音を聞いたと言った瞬間に敵が現れるはずだ。
     一方、椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)は、校門付近で箒片手におしゃべりをしている生徒を見つけ、体育館の場所を訊ねた。
     生徒は一瞬怯んだ表情を見せたが、やがておずおずと体育館を指差した。
    「あちらのようです」
     紗里亜は仲間たちを見る。吉沢・昴(覚悟の剣客・d09361)が頷いた。
    「ここまで来て間に合わなかったら無意味だ」
     校門で清掃していた生徒たちに聞こえるように呟き、走り出す。
    「え? なに? なに?」
     道を聞かれた生徒が、興味を惹かれたような声を上げるのを背中で聞いた。
     昴の後ろに続く坂崎・ミサ(食事大好きエクソシスト・d37217)が、その生徒に忠告する。
    「危ないから近づかないでくださいね」
    「え、えー?!」
     何があるのか具体的なことは言わずに、忠告だけしたものだから、生徒はいっそう目を輝かせて体育館のほうへ目を向けた。
     巻き込むようで気が乗らないけれど、自分たちの活動が認知されることがちょっとうれしいのも事実。ミサは複雑な気持ちを抱えながら体育館へ急いだ。
     校門前の生徒が掃除仲間を手招きして呼び寄せている。
     面白いことがあるかもしれないと、きゃあきゃあ盛り上がっているようだ。
     石宮・勇司(果てなき空の下・d38358)はそれを後押しするように箒にまたがり飛び上がった。
     わあ、と、見ていた生徒たちが歓声を上げる。
     人が箒に乗って飛んでいる。
     見たこともない光景に、校門前は一気に沸きあがった。
     勇司はチラリと生徒たちを見る。
    (「ちょっと前までは俺も向こう側の人間だったわけだ」)
     今見ると、ずいぶん景色が違っていると思った。薄いけど絶対的な壁が立っていると。
    (「ひびくらいは入れたいね」)
     そして、体育館へ急いだ。
     向かう途中に、掃除をしている生徒の姿がちらほら見える。
     神凪・朔夜(月読・d02935)は彼らにも聞こえるように、人の目を引き付けるように声を上げた。
    「ここにいたか、『誰もいない体育館!!』」
     体育館へ走る朔夜たちの姿が珍しかったのか、生徒たちが灼滅者たちに注目している。
     その時校内放送を知らせる鐘が鳴った。少し間をおき、校内に放送が流れた。
    「現在体育館には危険がありますので、近づき過ぎないよう注意してください」
     女性の声だ。
     掃除の時間だったからか、比較的自由におしゃべりしている生徒が多く、学校中がざわつき始める。
     放送を切るスイッチを押して陽乃下・鳳花(流れ者・d33801)は放送室を出た。
     放送委員は見つからなかったが、運よく教師を捕まえ校内放送を可能にしたのだ。
     教師に礼を言い、体育館へ足を向けた。

    ●誰も居ない体育館
     さて、危ないから来るな、と言われれば、逆に気になってしまうもの。
     灼滅者たちが走る様子を見たり、校内放送を聴いて学生たちが体育館前に集まってきていた。
     そんな中、清香が体育館の様子を窺う。
    「もともとの掃除係は、あの辺りにいるようだな」
    「そのようだな。放送を聞いて、驚いているようだが、さて」
     セレスが頷いて、生徒たちの様子を見た。
     体育館を掃除する係りの生徒たちは、掃除の手を止め片隅に集まっている。
    「なあ、なんかヤバない? さっきの放送って、この体育館のことやろ?」
    「危険って、どう言うことなん? 私ら、逃げたほうがいいの?」
     そのうち、一人の女生徒が肩を震わせた。
    「ね、ねえ。何か聞こえる」
    「え、何? ちょ、怖いこと言わんとってよ」
     言いながらも、皆耳を済ませたようだ。
     ぽー……ん。ぽ……ん、と。
     なるほど、確かに、どこからか、何か床につく音がする。
     ――ぽーん。
     ――ぽぉーん。
     女生徒が、叫んだ。
    「いやや! 聞こえた! 何か、聞こえた!!」
    「嘘やん! でも、でも、聞こえるっ!!」
     その言葉と同時に、体育館中央から黒い何かが湧き出てきた。
     それはすぐに人の形を取って、ボールを手にする。
     にい、と。
     口の辺りが開いて、黒い人型が笑ったと分かった。
     体育館の中から悲鳴があがる。
     同時に清香とセレスが飛び出した。
    「私が抑える。その間にできる限りの避難を」
     清香は早口でそう言い、現れた都市伝説の前に立ちふさがる。
     箒を片手にセレスは生徒たちの元へ走った。
    「大丈夫だ、全員無事に避難させる」
     そう言って、恐怖に固まっている生徒の一人を箒に乗せる。
     セレスが慎重に飛び上がったとき、上空から紗里亜の声が聞こえてきた。
    「体育館で怪我人が出るかもしれません。先生に知らせて下さい!」
     人が箒で飛んでいる、気になる校内放送、ということで、かなりの数の生徒が体育館前に集まっている。紗里亜が地に降り立つと、仲間たちも次々に体育館へ走りこんだ。
     都市伝説と生徒たちの間に身体を滑り込ませた朔夜が、生徒たちに穏やかな顔を向けた。
    「さあ、逃げて。あれは、僕が抑えておく」
    「うわー! 飛んでる! ちょっと、私、飛んでるー!!」
     その頭上から、セレスの箒に乗った女性とのはしゃぐ声が聞こえてくる。
     掃除係の生徒たちが羨ましそうに上を見上げた。
     そこへ勇司が近寄っていく。
    「大丈夫だ。俺もキミたちを運んで行こう」
    「私も飛べる? ちょっと面白そう!」
     都市伝説を気にしながらも、高校生たちの興味は空飛ぶ箒にも移ったようだ。
     勇司はそのうちの一人を箒に乗せ空へ飛び上がる。
     体育館の入り口まで運び、何事かと待ち構えている生徒たちの前へ下ろしてやった。
    「ビックリしてるようだけど怪我はない、誰か見てやってくれ」
    「ビックリちゅーか、飛んだし! すごい、飛んだん!!」
     勇司が運んだ生徒が言うと、わっと周りに人が集まってくる。
     その間に、都市伝説が攻撃を開始した。
     再び体育館内に緊張が走る。
     取り残された生徒たちが悲鳴をあげ、体育館を覗き込んでいた者たちは何事かと入り口に押し寄せる。
     その間をすり抜け、昴が体育館へ飛び込んだ。
     見られる前提の戦いはやり難いが、出来る事をするしかない。
     青眼の構えを取り、戦いを始める。
     ミサと鳳花も都市伝説へ向かっていった。
    「ま、種まきさねこれは」
     鳳花はそう言って、都市伝説が一般人に攻撃を加えないか、慎重に見張る。
    「例えバベルに阻まれようとも、認知が知られる事が世界を変える……か」
     面白いと思う。一般人の情報網がこちらに味方するようになれば、戦局をこっちの有利な方向に持ってくことも出来るだろ。ウイングキャットの猫はディフェンダーに回し、飛び回って何がしかアピールをするように命令する。
     ミサのビハインド、坂崎・リョウもディフェンダーとして戦闘に参加し、本格的に戦いが始まった。
     クロスグレイブを構えたミサはスタイリッシュモードを発動させる。
     それを見た生徒たちが歓声を上げた。
    「行きますっ!」
     ミサはクロスグレイブを振り上げ、都市伝説を殴りつける。更に突き出し、怯んだところを叩き潰す。
     手ごたえは十分。
     聞いていた通り敵の戦闘能力は、たいしたことはないようだ。
     体育館に残っていた生徒たちが避難していく姿を確認しながら、灼滅者たちは戦いを続けた。

    ●戦う灼滅者
    「もう大丈夫。あれは私たちが倒します」
     生徒の一人を避難させていた紗里亜は、彼女の手を取り微笑みかけた。
    「ねえ、あれって何なん? 倒すって、どうするん?」
    「説明は後ほど。けれど、ガツンと倒しますので」
    「いや、だから、そもそも誰やの?」
     体育館の入り口に集まった生徒たちが一斉に紗里亜を見る。
     紗里亜は大きく息を吸い込み、堂々と宣言した。
    「私たちは武蔵坂学園。闇の力から人々を守るために戦っています」
     体育館内からは、灼滅者たちの戦う音が響いてきている。
     紗里亜も颯爽と体育館内へ走っていった。そして、出入り口でワイドガードを展開して見せる。
    「闇の力から?」
    「何それ? 何かの冗談?」
     生徒たちは戸惑いながら顔を見合わせる。
    「ねえ、けど、あれ、マジで戦ってない?」
    「『誰も居ない体育館』? あの黒いの、『誰も居ない体育館』ちゃうん?」
     やがて生徒たちは体育館の中の戦いをじっと眺め始めた。
     刀や、見たこともない武器を軽々と操り、若い男女が戦っているのだ。
     まるで映画のようで、しかし現実だ。
    「お前の相手は俺達だ」
     黒い人型を目の前にして、昴は日本刀をまっすぐに振り下ろした。
     重い一撃でボールを構える都市伝説に斬撃を食らわせる。
     都市伝説が揺らいだ。
     体育館の入り口からどよめきと歓声が聞こえてきた。
     清香は、生徒たちの様子をチラと見て呟く。
    「こういうことは関わらずに過ごすのが一番だろうが……まあ関わった以上知る権利はあるか」
     ざっと見たところ、回復の手はまだ必要ない。
     敵の身体を狙い撃ち、バベルの鎖で妨げられ、何も知ることができないまま逝ってしまった一般人のことを考えた。
    「説明は済んだようだね。それじゃあ、やれることから、少しずつ。うん、頑張ろう」
     朔夜は激しく渦巻く風の刃を生み出し、敵を斬り刻むよう飛ばす。動きはしなやかに。すでにスタイリッシュモードを発動した朔夜の動きに、観客と化した生徒たちから拍手が届く。
     都市伝説が大きく膨れ上がり、手にしていたボールを振り上げた。
     ケラケラケラ。
     黒い人影が高笑いする。
     戦闘を見ていた生徒たちから悲鳴が上がった。
     それを見て、戦闘に合流して鳥人姿になったセレスが体育館の入り口付近に立ちふさがる。
    「彼らに手出しはさせない」
     言って、槍を大きく繰って突き出した。
     螺旋の如き捻りを加えた槍が、瞬時に敵の身体を穿つ。
     おお、と、背後で歓声が上がった。
     生徒たちの様子と戦いの状況を具に観察しながら鳳花も戦場を駆ける。
    「うん、余裕だよね」
     断斬鋏を振り、敵をざっくりと斬り、猫の様子も見た。
    「ねえ、何か、猫が飛んでるんやけど」
    「あれも、正義の味方? ちょい可愛いよね」
     生徒たちの注目を集め、戦場を飛び回り、なかなか目立っているようだ。
     ミサは仲間の小さな傷を癒しながら鳳花の言葉にこう答えた。
    「はい。これならば、いけます」
     戦闘力では、こちらが数段上の印象だ。生徒たちも、体育館の入り口外という安全な場所で、戦いを見ているようだ。
     思っていたシナリオ通りにことが運んでいると見ていいだろう。
     勇司も生徒たちに危害が及ばないよう、細心の注意を払いながら戦っていた。
     仲間の戦いぶりを見ながら、自分にできることを精一杯やっていく。
    「大丈夫だ、あともう少し」
     仲間たちに声をかけ、自分でも感触を確かめた。
     敵との力量を測りながら、もうすぐ都市伝説が倒れそうなことを感じ取り、雷を引き起こす。
     体育館入り口から大勢の歓声が聞こえてくる。
     生徒たちに応援されながら、灼滅者たちは最後の攻撃に入った。
     息を合わせ、一斉に最後の攻撃を繰り出す。
     皆に見守られながら、都市伝説は崩れ去った。

    ●今後に繋がる道
    「やったー!!」
    「すごい!!」
    「強い! やっつけちゃったやん!!」
     状況を見守っていた生徒たちが大きく拍手をし、騒ぎ出す。
     好奇心旺盛な高校生たちは、灼滅者たちの話を聞きたいそぶりで、体育館入り口に集まった。
     鳳花は用意していたチラシを猫に持たせて、配る。
    「とまあこんな風に世界には信じられないような奇妙な現象が満ち溢れてるわけよ」
     言いながら、自分を囲む生徒たちに説明を始めた。
    「なぁなぁ、それって、ホンマモンの武器?」
    「何か、ずいぶん使い込んでる?」
     聞かれた清香は、自分の持つブラッディクルセイドソードに視線を向ける。
    「何年も戦うと無傷とはいかなくてな」
     と、負傷しながら戦ってきたことを匂わせた。
    「おおー、何か、玄人っぽい!」
     生徒たちが顔を見合わせ手を叩く。
     他の仲間たちも、聞かれたことにはできるだけ真摯に対応し答えた。
    「あれは、都市伝説と呼ばれるものだね」
     朔夜は敵のことを聞かれ、丁寧に説明している。
    「これまで広まっていないがこんな風に怪異と戦う人間が存在してるのだ」
     セレスは人型に変わり、神秘を見せていた。
    「俺は最近灼滅者になった」
    「何? それって、なるものなん? 生まれつき、ちゃうん?」
     勇司の言葉を聞いた生徒たちは、興味深げに耳を傾けている。
    「今回は幸運にも犠牲者が出る前に対処出来たが、人知れず事件が起きる事もある。周囲で起きた妙な出来事や、姿を消した身近な人が居たら連絡を貰えると助かる」
     昴はそう言いながら、直接の目撃者以外からは事件の情報が拡散しないなど、具体的な話を交え語る。
    「連絡したら、ええの?」
    「はい。このような事件を察知するには限界があるんです。ですから、民間の協力が必要なんですよ」
     首を傾げる生徒たちに、ミサは丁寧に返事をした。
    「そうなんですよ。ですから、今後不思議な事件に出会ったら連絡をくださいね」
     紗里亜も念を押す。
     その後、灼滅者たちは生徒たちの疑問に答え、校門へ移動した。
    「あ、それから!」
     生徒の一人が灼滅者たちを呼び止める。
    「都市伝説っていうの? アレ、やっつけてくれてありがとう!」
    「やねー! ウチら、危なかったんやろ? 箒にも乗れたし!」
     ありがとう、と。
     温かい礼の言葉を受けながら、灼滅者たちは学園へ帰還した。

    作者:陵かなめ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年2月7日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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