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夕暮れ時の雑踏甚だしい町の地下。
下水道の闇を漆黒のロングコートに身を包んだ20代前半位の青年が駆け抜けている。
暗闇の中で尚明るく際立つ金髪とその周囲を飛び回る数匹の何かが、彼が何者であるのかを雄弁に物語っていた。
「さて、迎えに行かねばな、我等が新たな同胞……我が花嫁となる者を」
周囲を漂う何か……蝙蝠達がキィ、キィと鳴き声を上げるのに青年が満足げに口元に笑みを浮かべる。
――その口元からは常人とは比べ物にならない長さの犬歯が剥き出しになっていた。
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「サイキック・リベレイター投票の結果、民間活動を行うことが決まったよ」
北条・優希斗(思索するエクスブレイン・dn0230)が小さく息をつきつつそう告げる。
「それで、俺達の予知が広範囲に広がった結果、現在のヴァンパイア勢力の動きが判明した」
ヴァンパイア達は一般人を闇堕ちさせて戦力の拡大を謀っている。
「ポイントなのは闇堕ちさせた後だ。闇堕ちした一般人を回収するための部隊がいる。堕ちた一般人が何らかの事件を起こすより前にね」
そこまでで一つ息をつく優希斗。
「そこで、君達には二手に分かれてこのヴァンパイアの戦力拡大事件に対して対処して貰いたい」
即ち、回収部隊を待ち伏せして襲撃する班と、闇堕ちした一般人に対処する班だ。
「此方の班の皆には回収部隊であるヴァンパイア……ディーンと言うらしいが……彼に対処して貰うことになる。皆、お願いできるかい?」
優希斗の問いかけに灼滅者達がそれぞれの表情で返事を返した。
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「さて、皆に対処して貰うことになるディーンだが、彼は下水道を通って闇堕ちした一般人の少女がいる公園に向かう様だ。その時に待ち伏せして迎撃するのが最善だろう」
下水道は戦う分には支障の無い広さを持っているが、流石に奇襲が出来る程の環境が整えられているわけではない。
これは、ディーンの能力にも原因がある様だ。
「元々、五感がヴァンパイアの中でも優れたディーンはその能力を生かした催眠術を得意としているし、知覚能力も高い。但し、気高い性格だから、自分が不利にならない限り、撤退することは無い様だ」
とは言え、あくまでも自分の命に危機が迫れば撤退する可能性は生じる。
基本目標は灼滅だが、万が一に備えてこの特性は気に留めておいた方が良いだろう。
「それから、眷属としてタトゥーバットを5匹程用意している」
ディーンの眷属であるタトゥーバット達は、音波による催眠攻撃を得意とする。
勿論吸血攻撃もしてくるので、その点は警戒しておくべきだろう。
「ディーン自身のポジションはジャマ―。彼の放つ精神波は、君達を深い誘惑へと落とし込む」
気が付けばディーンに魅了されて彼の言いなりになっていたり、あまりの美しさ怯んで一時的に身動きが取れなくなったりとその効果は様々だ。
「そうやって皆の動きを封じた後、吸血攻撃を行ってくるから、対策は必須だね」
この点は、眷属であるタトゥーバット達も似た様なものである。
灼滅出来ない相手ではないが、強敵として灼滅者達の前に立ちはだかるのは間違いない。
「後、下水道だから、早々いないとは思うけれど。万が一誰かが入ってきたりしたら困るから、念のために人払いをしておいた方が良いだろう」
優希斗の呟きに灼滅者達がそれぞれの表情で返事を返した。
「ディーンは強力だが、今の皆なら灼滅も不可能では無い筈だ」
そこまで告げた所で優希斗が小さく溜息を一つ。
「ただ……何らかの事情があって灼滅が難しい状況に陥る事もあるだろう。その時はせめて一般人の対処に向かっている班へとディーンが行かないよう、撤退させるだけの損害を与えて欲しい。……どうか気をつけて」
優希斗の一礼を背に灼滅者達はその場を後にした。
参加者 | |
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御剣・裕也(黒曜石の輝き・d01461) |
レイ・アステネス(大学生シャドウハンター・d03162) |
御神・白焔(死ヲ語ル双ツ月・d03806) |
赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006) |
エアン・エルフォード(ウィンダミア・d14788) |
有城・雄哉(大学生ストリートファイター・d31751) |
カーリー・エルミール(元気歌姫・d34266) |
氷上・天音(拳が打ち砕くのは悲しみの氷壁・d37381) |
●
――下水道。
(「ヴァンパイアはこれだから……」)
出来る限り物音を立てぬ様、慎重にけれども迅速に下水道を探索しながらエアン・エルフォード(ウィンダミア・d14788)はそう思う。
ヴァンパイアハンターの家系たるエアンにとって彼等は宿敵。だからこそ決して逃がすつもりは無い。
「下水道から花嫁を迎えに行く……というのは、あまり良いシチュエーションでは無いと思うが」
(「美雪さんの事、救ってあげて、愛莉ちゃん。僕は……俺は此処で自分の仕事をするからな」)
「手駒を増やす為になるべく人目に付きたくなかったんだろうよ、アステネス」
レイ・アステネス(大学生シャドウハンター・d03162)の何気ない呟きが耳に入ったか瞳を蒼から金へと染めた有城・雄哉(大学生ストリートファイター・d31751)がそう返している。
「雄哉君、その瞳の色と口調……」
「あれから馴染んだ。ただそれだけだ」
氷上・天音(拳が打ち砕くのは悲しみの氷壁・d37381)の問いかけに軽くそう返す雄哉の姿に躊躇いはない。
「……そろそろ来ますわよ」
何かを言おうとする天音の様子を見ながら赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006)が警戒を促す様に声を掛ける。
その影に隠れながら御神・白焔(死ヲ語ル双ツ月・d03806)も又、ピチャ、ピチャ、と水音を立てて歩いて来るディーンとその周囲を浮遊する蝙蝠達を見つめていた。
(「音こそ立てているが……隙を見せてはいない、か」)
「おや? 我が前に立つ貴殿達は我が花嫁……の筈はないか。では、例の灼滅者と言うことか」
特に驚いた様子を見せずに気位の高さを感じさせる表情で漆黒のロングコートを整え直しながら、優雅に一礼するディーン。
「僕達の事、知っている様ですね」
(「さて、以前倒した吸血鬼はとても気高い方でしたが……今回はどうなんでしょうね?」)
知られているのならば話が早い、とばかりに一礼を返すは御剣・裕也(黒曜石の輝き・d01461)
「残念だけど、此処から先は通行止めだよ!」
カーリー・エルミール(元気歌姫・d34266)が威勢よくそう告げて態勢を整えた。
「そうだね。花嫁の所にお前を行かせるつもりは無いよ、ディーン」
エアンが呟き、クロスグレイブを準備する様を見つめながら小さく頷くディーン。
「フム。出来ることならば先を急ぎたい所だが……我が前に汝等が立つ、と言うのならば相手をさせて頂くとしよう」
そのままロングコートを翻すディーンの全身から威圧的な殺気が現出する。
鬼気迫るその気配に応じる様に、布陣したタトゥーバット達を見つめながら、鶉が冷静ながらも凛とした表情で身を翻しリングコスチューム風の姿へと変貌を遂げる。
「さぁ、吸血鬼……試合開始ですわ!」
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「行くよ、雄哉先輩!」
「当然だ」
胸元のブローチに触れながらサウンドシャッターを展開する天音とほぼ同時に、雄哉が自らの中で荒ぶる闘争心を殺気へと変換し、戦場を覆う。
「フフ……我と踊れること、誇りに思うが良い灼滅者達よ!」
先程ディーンが発した殺気が、次第に大きく膨れ上がっていき凄まじいプレッシャーとなって鶉達前衛を襲う。
「キキ―ッ! キキ―ッ!」
それに呼応するようにディーンの前に立ちはだかる蝙蝠達が催眠音波を発する。
「やらせるかよ」
手足の感覚が麻痺していくのを感じ取りながら、雄哉が取り戻した絆と想いを、守りたいものを守ると誓った蒼穹を思わせるコイン状の盾、Clear blue-sky Shieldを天空へと掲げることで生まれ落ちた蒼い球状の結界に自分達を包み込ませながら白焔の前に立ちその攻撃を受け止めるのに合わせる様に、レイが帯を射出して雄哉の全身を覆って傷を癒していく。
「いつものことだが、有城、無理は禁物だぞ」
「分かっている、アステネス」
「……死を捲くモノは冥府にて閻魔が待つ。潔く逝って裁かれろ」
レイの阿吽の呼吸で放たれた帯に癒された雄哉の影から白焔が飛び出し、フッ、と陽炎の様に姿を晦ました白焔が一足で後衛の蝙蝠の背面に回り込み帯を射出。
影、としか形容出来ぬその帯に締めあげられた蝙蝠がキィキィ、と金切声を上げた。
「目障りだ」
金切声を受けながらも蒼穹の結界に守られた白焔がふっ、と掻き消える姿を確認したエアンが手にした十字架の砲門を開き光を乱射。
罪を灼く光線が後衛の蝙蝠達を焼き払おうとするが、其れに気が付いたディーンが軽くコートを翻すと前衛の蝙蝠の内の一匹が白焔の帯に締め上げられていた蝙蝠の前に立ちはだかりその攻撃を受け止めた。
「さて、参りますわよ!」
マントを翻すことでその意志を示しているのだろう、と推測を立てつつ鶉が全身に纏った蒼い闘気を両手に蓄えて発射。
撃ち出されたオーラキャノンが蝙蝠に守られていた蝙蝠を確実に射抜き更に裕也が逆十字の光を撃ち出すのに合わせる様に、カーリーが歌を歌い始めた。
小学生とは思えぬ胸を歌に合わせて激しく上下させつつ美しいソプラノパートで清浄なる歌を歌いあげる。
裕也の逆十字の光に貫かれた蝙蝠がその妙なる調べを受けてぐらりと激しく傾いだ。
「歌って、いいよね♪ 歌っても、聞いていてもとっても元気になれるから!」
「そうだね!」
溌溂と告げるカーリーに笑顔を浮かべて返しながら、天音が戦場を疾駆しディーンと対峙。
「おや? どうかしたのかな、美しいお嬢さん?」
からかう様に問いかけてくるディーンに天音が蜂蜜の様に甘い声で睦言を告げる。
「花嫁さんを迎えに行く前にあたしと一緒に踊りましょ?」
タン、タン、とステップを踏みながら星々の力をその足に籠める。
「フフ……汝は我とのダンスをご所望と言う訳か」
「あたしも花嫁さんと歳は変わらないし、結婚式のダンスの練習相手にはもってこいでしょ?」
そのまま滑らかに蹴り上げる天音の様子を見てディーンが笑みを浮かべた。
「フフ……中々の踊りの様だ。それではお付き合いして貰おうか」
そのまま怪しげに瞳を閃かせるディーン。
他者を魅了し瞬く間に他人の精神を支配するその視線を受けディーンの胸に飛び込んでしまいたくなりそうな衝動を唇を噛み締めて堪える天音。
「あ、そうだ。貴女に大切な事、言ってなかったよね。あたしはね……アンタの様な自尊心の高い奴、反吐が出るほど嫌いなんだよっ!!」
自分の意志に反した行動を取ろうとする体を叱咤激励するように叫びながらアイスブルーの光線を放つ天音にディーンはクツクツと愉快そうに笑った。
「ならば、汝に与えてやろう! 汝の忌みし者に屈する幸福をな!」
ピュイ、と唇を鳴らすディーン。
すると後衛の蝙蝠の一匹が天音の血を吸うべく空中から急襲しその首筋に吸い付こうとする。
「やらせませんよ」
裕也が前に飛び出す。
パッ、と噛まれた首から鮮血が飛び散り、其れを浴びながら少しだけ嬉しそうに口の端を歪める裕也に向けて、3体の蝙蝠達が一斉に不可思議な音波を発射。
耐えがたい酷い眠気を受けながらも裕也は酔いしれる様に笑う。
「有城、御剣を頼む」
「了解だ、アステネス」
レイが帯を解き放ち天音の傷を癒しながら掛けた合図に雄哉は頷き、己が澄んだ心を事象化させた闘気を集中させ裕也の傷を癒す。
目の焦点が戻った裕也がトン、と地面にある自分の影を叩いた。
同時に生み出された悪魔を象った影ががっつりと後衛の蝙蝠に食らいつき、其れに合わせる様にヒュッ、と風を切る音と共に白焔が再び姿を現す。
「消えろ」
小さな十字の飾、封焔戒装“滅”から放たれる千年の探究の果てに生み出された聖歌。
それが傷だらけの蝙蝠の脳を内側から破裂させ、そのまま力尽きさせた。
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「邪魔をするなよ」
エアンが告げながらオールレンジパニッシャー。
放たれた無数の裁きの光線が、集中砲火を受けながらも辛うじて生き延びていた2体の蝙蝠を焼き尽くし。
「終わりですわ!」
鶉が撃ち出した妖冷弾が、最後まで生き残っていた後衛の蝙蝠を凍てつかせ、遂には力尽きさせた。
戦いが始まり、其れなりの時間が経過している。
確実な一点集中砲火戦術が上手く機能し、蝙蝠達は全滅した。
ただ、ディーンにはまだ余裕が在りそうだ。
「此処からが正念場だね! ボクの歌、是非聞いてね!」
まだ手番を残していたカーリーが再び甲高いソプラノで美しい調べを奏でる。
生み出された調べがディーンを襲い、ディーンの脳に僅かな眠気を催させていた。
「今此処で倒れるわけには行かぬ! 我が愛しき花嫁の為に!」
そう叫び、自らを賦活するディーンの側面に一瞬で回りこんだ白焔が鋭い回し蹴りをディーンの脇腹に叩きこんでいた。
神速の鋭い蹴りを浴びたディーンが思わずと言った様子で喀血し、その血が裕也に掛かる。
裕也は其れに口元に歪んだ笑みを浮かべながらその手に持つチェーンソー剣を振るい、残虐にディーンをコート事斬り裂いていた。
「ふふ、どうしましたか? この位の攻撃で倒れる様なあなたではないでしょう?」
「……こうも包囲網を敷かれていては、退くことも出来ぬか」
何時の間にか自分の周囲を取り囲んでいた鶉達に諦めとも取れる舌打ちを一つしながらディーンが朗々と歌うように語り始めた。
「強き者達よ。誇り高き者達よ。我に従いその道を開けよ。さすれば揺籃の中で眠る幼子達の様に、安らぎと温もりを汝等は甘受できるであろう」
そのディーンの囁きは、酷く蠱惑的だった。
それはカーリー達のいる後衛を飲み込んでいく。
(「少し不味いか、これは」)
雄哉が咄嗟にレイの前に立ち、幾度目かの張り直しを行った蒼穹の結界でその攻撃を受け止めながら、眩暈を覚える。
天音の前には裕也が立ちはだかり、辛うじてその攻撃を抑え込んでいるがカーリーはその甘美な誘惑に耐え切れずふらふらと覚束ない足取りでよろめいていた。
「エアン、頼む」
「分かったよ、レイ」
レイがイエローサインで鶉達の回復に手一杯なのに一つ頷き、エアンが祭霊光でカーリーの傷を癒し、更にその意志を賦活させた。
「助かったよ、エアン!」
エアンの治癒を受けしっかと両足に力を込めて踏み止まったカーリーが逆十字の深紅の光をその指先から撃ち出してディーンを射抜き、ディーンとのダンス・マカブルを続けて消耗していた天音がまだまだ、と制約の指輪を翳して漆黒の弾丸を撃ち出している。
撃ち出された弾丸に射抜かれ、僅かによろけるディーンの隙を見逃さず鶉が一気に肉薄した。
「さて、吹っ飛びなさいませ!」
そのまま雷を帯びた腕をラリアットの様に叩きつけ、勢いのままに駆けて近くの下水道の壁へと叩きつける。
「ガハッ……!」
強烈な殴打を受け、喀血するディーンの頭上から風の様に上空を舞う白焔が一足に肉薄し、封焔戒装“滅”に封じ込められていた千年の技術を解放すると同時に、容赦のない蹴打を上空から浴びせかけた。
頭蓋骨を貫通し、脳漿に激しい衝撃を受けたか、頼りなくふらふらと足元をふらつかせるディーンだったが、かといってそれで倒れる程、彼も又容易い相手ではない。
「少し……血が足りぬか」
そのままロングコートを靡かせて一瞬で天音の懐に潜り込む、ディーン。
「汝とのダンス、中々愉しませて貰った。故に相応の褒美を与えよう」
「なっ……?!」
咄嗟に全てを凍てつかせるアイスブルーの光線を放つ天音だったがその攻撃を受けきったディーンがその首に噛みつきこうと正にその時……。
「氷上」
雄哉が2人の間に割って入りディーンの犬歯がその首筋に喰らいつき貪る様に一気に血を吸い上げた。
急激な貧血にくらり、と眩暈を覚えながらも自らの蒼穹の結界を強化し、貧血症状を抑え込む雄哉。
「流石に簡単には倒されてくれないか、ディーン」
「フム……折角であれば娘の血を貰いたかったが、仕方あるまいか」
睨みつける様な雄哉の瞳に、ペロリ、と舌なめずりを一つしながらディーンが溜息を一つ。
「君に合わせるのは俺には容易いね」
僅かな会話の応酬の間にエアンが一瞬で肉薄し、縛霊撃。
その腕に嵌め込まれた籠手がディーンの腹部を撃ち抜き、更に背後からコブラクラッチの要領でディーンを捕らえてそのまま地面に叩きつけた鶉が自らの蒼いオーラを拳に這わせて無数の乱打を放つ。
放たれた無数の乱打にディーンが全身を撃ち抜かれ激しく喘ぐその隙を見逃さず、地に伏せているディーンを白焔がそのまま雷を帯びた足で上空へと蹴り上げた。
空中に浮きあがったディーンの魂を揺さぶる歌をカーリーが歌って脳震盪を引き起こさせ、更に裕也が地面の影を解き放って咢を象らせてその身を砕き、レイがレイザースラストでその身を締め上げている。
「そこだ」
雄哉が自らの荒ぶる闘争心を雷へと作り変えてそのまま空中から落ちてくるディーンに強烈なアッパーをお見舞いし、天音が困難に打ち勝つと言う花言葉を持つエアシューズ、星々の山茶花によるスターゲイザーでその身を蹴りつけた。
――そして。
「これで終わりだ」
エアンが呟くと同時に放った十字架の砲門から放たれた聖歌を奏でる砲弾がディーンを撃ち抜き、ディーンはそのまま光となって消えて逝った。
●
「後は向こうの班に任せよう。無事に救出成功となればいいけれど……」
「そうだな。最もあちらには文月や獅子凰、神崎達もいる。彼等ならば大丈夫だろう」
ディーンの灼滅を見届けたエアンが外で戦っているであろう灼滅者達のことを思いながら告げると、レイがそう返す。
「……それに、愛莉ちゃんもいますから」
その瞳を金から蒼へと戻した雄哉の呟きに天音が小さく頷いていた。
「そうね。あの人たちならきっと……」
そう呟く天音の祈りにレイが頷く傍らで。
「吸血鬼、また一体を撃破ですわ」
「そうだね。俺達はヴァンパイアの動きをまた一つ阻害することが出来たんだ」
鶉の確認する様な呟きにエアンが微笑を浮かべて頷いている。
エアンの相槌に鶉が一つ首を縦に振る。
「遠くない決戦にも、必ず勝利しましょう」
「そうだな」
「うん! そうだね! ボク達なら絶対勝てるよ!」
鶉の確固たる決意の込められた言葉に、白焔が小さく頷きカーリーが笑顔を向けた。
周囲に散らばったゴミを拾い、後片付けをしていた裕也が其方を振り向き、静かに頷いた。
「そうですね。必ず僕達の手で勝利を飾りましょう」
――吸血鬼を灼滅した、その事実に対する心底の喜びを隠せぬままに。
作者:長野聖夜 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2018年2月8日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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