民間活動~我ら赤べこ怪人なり!

    作者:飛翔優

    ●土産物には赤べこを
     赤べこ、それは赤い牛の形をした福島県会津地方の郷土玩具(べこは牛という意味の方言である)。
     主に木製であり、首と胴の接続部に工夫がしてある。結果、可愛らしくデフォルメされた頭に触れると上下左右にカタカタと揺れ、非常に愛嬌のある光景を見せてくれるのだ。
    「カタカタカタカタ! お土産にはやっぱり、赤べこが1番! この店も、赤べこ専門店となるのだ!」
     もっとも、彼ら赤べこ怪人たちに愛嬌があるかは微妙なところである。
    「だから、赤べこ以外のお土産など必要ない! すべて、赤べこに入れ替え、あるいは張り替えてしんぜよう。カタカタカタカタ!」
     福島県のお土産屋さんに襲撃を仕掛けた3体の赤べこ怪人たち。赤べこをそのまま人型にしたような姿を持つ彼らは笑う代わりに首をカタカタと揺らしながら、お土産を奪い赤べこと入れ替える。あるいは赤べこのシールを張って赤べこじるしであると偽装する……などという方法で、お土産を赤べこで染めていた。
     全ては、世界征服を果たすため。
     そのために、まずは地元たる福島県を支配するのだ!!

    ●教室にて
     灼滅者たちと挨拶を交わしていく倉科・葉月(大学生エクスブレイン・dn0020)。メンバーが揃った事を確認した上で、説明を開始した。
    「サイキック・リベレイター投票によって、民間活動を行うことになりました」
     サイキック・リベレイターを使用しなかったことでエクスブレインの予知が行えるようになり、世界征服を狙うご当地怪人の事件を予知する事ができるようになったのだ。
    「今回、皆様に相手してもらうのは3体の赤べこ怪人ですね」
     赤べこは福島県会津地方の郷土玩具。それをもとにした赤べこ怪人たちが福島県で暴れているのだ。
    「なんでも、お土産を赤べこに入れ替える、あるいは塗りつぶす、もしくは赤べこ製品を配ることによって赤べこの知名度をあげ、ゆくゆくは世界征服へとつなげるつもりだとか」
     もっとも、そんなことを許す訳にはいかない。しっかりと対処しておく必要があるだろう。
     続いて……と、葉月は地図を取り出した。
    「皆さんの赴く日、赤べこ怪人はこの高速道路の……お土産屋さんもあるサービスエリアを襲撃しに来ます。ですので、迎え撃って下さい」
     数は3体。姿も戦闘能力も似通っている。
     常に連携を取って立ち回ってくる他、カタカタと揺れる頭がバランサーになっているのか衝撃を逃がすのが得意で守りが堅い。
     使ってくる技は3種。
     カタカタと揺れる頭が不可思議なリズムを取り、近づくものを惑わせる赤べこ音波。
     頭を揺らしながら頭突きを放つことにより、軌道を読ませず避けることを許さない赤べこ頭突き。
     そして、どこからともなく材木を取り出し、運搬する過程で近くにいる者を轢き自らは毒などに抗う加護を得る、赤べこ伝説。
    「また、今回は民間活動も行ってもらえれば……と思います」
     民間活動。それは、多くの一般人に事件を目撃してもらい、ダークネスという存在がいること、灼滅者がそのダークネスと戦い世界を護っている事を知ってもらうのを目的とした活動。
     周囲に被害が出ない範囲で、より多くの関係者やギャラリーに事件を目撃させるのだ。
    「バベルの鎖によって、都市伝説やダークネス事件は過剰に伝播しないという特性があります。しかし、直接目にした人間には効果がありません。目撃者が他人に話しても信じてくれませんが、直接事件を目にした関係者はそれを事実として認識してくれるのです」
     一般人の多くが都市伝説やダークネス事件を直接目撃することで一般人の認識を変えていく。これが、民間活動の主軸となる。
    「ですので……戦闘を行う場所は、サービスエリアの中が良いでしょう。幸い、今回の赤べこ怪人たちは赤べこを広めるのが目的ですから、すすんで人々に害を与えるようなことはないはずです」
     以上で説明は終了ですと、葉月は地図など必要なものを手渡していく。
    「赤べこ怪人たちは可能な限り人を傷つけず、自らの主張で世界を染める。迷惑な存在である一方で、迷惑の域は越えない……お店の方々は別として他の人々……観光客などにはあまり恐怖を与えない、そんな活動を行っているご当地怪人でもあります。ですので、皆様灼滅者が一般人の味方だと認識させるには、少し工夫が必要かもしれません」
     ともすれば、灼滅者はご当地怪人を灼滅した恐ろしい存在、と認識されてしまう可能性もあるのだから。
    「ですので、どうか全力での行動を。何よりも無事に帰ってきてくださいね? 約束ですよ?」


    参加者
    六合・薫(この囚われない者を捕らえよ・d00602)
    神凪・陽和(天照・d02848)
    七六名・鞠音(戦闘妖精・d10504)
    赤城・碧(強さを求むその根源は・d23118)
    四刻・悠花(棒術師・d24781)
    黒嬢・白雛(天翔黒凰シロビナ・d26809)
    比良坂・柩(がしゃどくろ・d27049)
    クレンド・シュヴァリエ(サクリファイスシールド・d32295)

    ■リプレイ

    ●お土産と赤べこと
     凍える空気に抱かれて、陽光を求めていく冬のころ。福島県を通る高速道路のサービスエリアは今日も喧騒に抱かれていた。
     買い物、休憩、観光、食事……様々な目的を胸に抱き、1台、2台……と、色とりどりな車が駐車場に止まっていく。1人、また1人と、各々の目的のために車に鍵をかけて歩きはじめていく。
     奴らは違う。
     施設裏手の斜面を登り抜けてやって来た。
     人々が向けてくる好奇の視線も気にせず正面玄関へと回り込み、施設へと入り込んできた。
     カタカタと揺れる頭が向く先には土産物屋。
     歩調を緩めることなく、奴らは土産物屋へと……。

     福島の名物玩具である赤べこを人型にしたような3体の赤べこ怪人が、土産物屋へ入るなり大きな声を上げていく。
    「カタカタカタカタ! お土産にはやっぱり、赤べこが1番! この店も、赤べこ専門店となるのだ!」
     人々の視線を浴びながら手を伸ばしていくのは小物の棚。流麗な色合いが美しい茶碗を手にとって……。
    「そこまでです!! お土産屋さんに迷惑を掛ける行為は許せません!!」
     勢い良く赤べこ怪人の懐へ放り込まれんとした時、神凪・陽和(天照・d02848)が群衆の中から飛び出した。
     一斉に振り向いてくる赤べこ怪人たちを見つめながら、最終決戦モードへと変身していく!
    「赤べこも、他のお土産も、東北の大切な福島のお土産物。なのに、それをあなた方は奪おうというのですか!」
     言葉と共に力を放てば、赤べこ怪人たちの動向を遠巻きに眺めていた人々が陽和へと感動したかのような視線を向けた。
     赤べこ怪人たちは一旦手に取ったものを棚に戻し、カタカタと頭を揺らしていく。
    「カタカタカタカタ! お土産は赤べこ以外にはいらないのだから当然! 必要ないものは取り去らなければならない!」
    「そのために、我ら赤べこ怪人はやってきたのだ! カタカタカタカタ!」
     胸を張り、笑う赤べこ怪人たち。
     肩を震わせ、陽和はびしっと指差していく。
    「赤べこは本来は健康を守るという有難いものです!! 悪事の手段に使うものではありません!!」
    「カタ!? 我らの行為を悪事だと!?」
    「あっ」
     怒号と共に一歩踏み込んできた赤べこ怪人たちを抑えるかのように、四刻・悠花(棒術師・d24781)が小さな声を上げた。
    「わたしの買ったのが赤べこになってる」
     大仰に肩を落とせば、人々は気遣うような視線を悠花へと向けていく。
     反論を探しているのか口をつぐんでいくさまを見て、黒嬢・白雛(天翔黒凰シロビナ・d26809)が小さく肩をすくめた。
    「そのようなしょうもないことをすることがまず、赤べこの品位を下げていると気付くべきですわね?」
    「カタ!?」
     赤べこ怪人たちは頭を激しく揺らす。
    「そんなことはない! 赤べこの品位は変わらない! だからこそ、我々は」
    「別に赤べこが悪いわけではない」
     半ばにクレンド・シュヴァリエ(サクリファイスシールド・d32295)が割り込んだ。
    「見た目と赤べこの伝説は素晴らしいものだ。だが他者に迷惑をかけて知名度を上げたところでその素晴らしさが伝わるものか! この赤べこの面汚し共!」
     強い声音で指摘すれば、周囲にいる人々も一様に頷き始めていく。
     徐々に劣勢に追い込まれていると感じたか、赤べこ怪人たちの頭が更に激しく揺れ始めた。
     ならば畳みかけるべきと、六合・薫(この囚われない者を捕らえよ・d00602)がお土産の棚に歩み寄りながら語っていく。
    「福島は赤べこだけじゃなくあんぽ柿にお米、あとは……会津焼と色々ある。それを……赤べこだけ押し付けるのは郷土愛に欠けると思う」
     時々手元を、袖口に隠してあるカンペを確認しつつ。
     気取られないよう自然な足取りで。
    「何より買ったものを赤べこにすり替えるの、良くない」
     棚から銘菓ままどおるの箱を拾い上げ、ニッコリと微笑みかけて行く。
     赤べこ怪人たちは激しく頭を揺らしながら、堰を切ったかのように語り始めた。
    「カタカタカタカタ! そんなもの、赤べこに比べたらどうってことはない!」
    「赤べこの名があれば更に良いものとなる!」
    「故に我々は……」

     語るだけ語ったのか、肩で息をしていく赤べこ怪人たち。その激しい息遣いが聞こえるほどの静寂の中、人々はキョロキョロと両者を……赤べこ怪人たちと灼滅者たちを見比べている。
     理路整然と整っているのは灼滅者の方。
     けれど、たとえ方向性が間違っているとしても情熱は赤べこ怪人たちのほうが上。情にほだされる者がいてもおかしくはない。
     だから、比良坂・柩(がしゃどくろ・d27049)が一歩前に歩み出る。
     人々に広く遠く聞かせるような声音で語り始めていく。
    「けど、キミたちの所業は犯罪行為だ」
     赤べこのためにお土産を盗む。
     赤べこのためにパッケージにシールを張る。
     赤べこのために店を私物化する。
     どれも、やってはいけない行いだ。
    「目的が行動を正当化するわけではない。残念ながら、キミたちの活動は改められなければならない」
    「そもそも、赤べこが一番ならすり替える必要はないだろう。まさかアレか? 本当は自信が無いのか?」
     更に赤城・碧(強さを求むその根源は・d23118)が畳みかけ、赤べこ怪人たちを見つめていく。
     拳をワナワナと震わせながら、頭をカタカタと揺らしていく赤べこ怪人たち。すがるように人々へ視線を向けるも……。
    「カタ……」
     やはりその行いを看過できる者は多くなかったのだろう。人々は一様に、赤べこ怪人たちに冷たい視線を送っている。
    「……ならば」
     視線を外し、赤べこ怪人たちが身構えた。
    「我らの力を持って、正しいことを証明する!」
     真ん中に位置していた赤べこ怪人が、頭を揺らしながら真っ直ぐに突っ込んできた。
     碧は剣を横に構え、正面から頭突きを受け止めていく!
    「っ! 悪いが、止めさせてもらう」
     弾き合い、構えなおしていく碧と赤べこ怪人。
     騒然とした空気に抱かれながら身構えていく柩。
    「このように、彼らは危険な存在だ。だが……」
     言葉半ばにて口を噤み、七六名・鞠音(戦闘妖精・d10504)へと視線を送った。
     鞠音は悠然と戦場の中心に立ち、大太刀を天高く掲げながら宣言する。
    「さあ、ご照覧あれ。これより始まるは赤べこ退治。厄を祓うは武蔵坂。皆様方の真実は、今ここに示されます」
     人々に真実を見せるため。
     赤べこ怪人たちを倒すさまを見せるため!
     灼滅者たちの言葉に姿に魅せられて、人々はその場にとどまり続けていく……。

    ●戦え赤べこ怪人と
     赤べこ怪人の側も人々を害する意志はないのだろう。灼滅者だけを瞳に映し、右へ左へと移動しながら仕掛けてくる。
     揺れ動きながら放たれる頭突きを完全に避けるのは難しい。
     せめて勢いを削げればと、クレンドは赤い手甲に取り付けてあるシールドで赤き頭を受け止めていく!
    「っ、流石に勢いはあるみたいだが……」
     両者を引き剥がすかのように、けがれなき衣をまとうビハインド・プリューヌが霊障を放った。
     衝撃を弱めるためかバックステップを踏んでいく赤べこ怪人を、碧が白きドレスを着たビハインド・月代と共に猛追する。
    「……」
     応援の声も聞こえる人々の様子を伺いながら、月代と呼吸を合わせて剣を振り下ろした。
    「カタっ!」
     剣も月代の得物も肩へと食い込み、赤べこ怪人は膝をつく。
     刹那、横合いから別の赤べこ怪人が材木を担ぎながら突っ込んできた。
     すかさず後ろへ飛び避けていく2人を見つめた後、陽和は風に言葉を乗せていく。
    「絆は硬いみたいですね。気をつけていきましょう」
    「はい、そうですね」
     言葉と風が持つ治療の力を受け取りながら、鞠音は大太刀を盾にもう1体の赤べこ怪人が放つ続きを受け止めていく。
     勢いを相殺しきれず後方へと押されるも、壁に辿り着く前に静止した。
    「……」
     深い息を吐きながら、赤べこ怪人を弾き返す。
     乱れない動きで下がっていくさまを見送りながら、改めて人々へと視線を向けた。
    「あなた達の常識は、今その枷を外されました。あなた達は今この場で、真実を見るのです。常識は真実にあらず。自分で信じ、考えてくださいね」
     ニッコリと微笑みかけた後、大太刀を担ぎ赤べこ怪人たちとの距離を詰めていった。
     半ばで割り込んできた個体は大太刀の一振りで押しのけていく。
     やがてクレンドとやりあっていた個体へと到達し、勢い良く大太刀を振り下ろした。
    「っカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ」
     頭を強打し壊れそうなほどにカタカタと揺さぶる中、薫は静かな物語を紡いでいく。
    「――黄泉路に誘ういざない人形、貴方はどんどんいざなわれてく」
     語られし物語に導かれ、その赤べこ怪人は動きを止めた。
     他の赤べこ怪人はクレンドや鞠音が抑えてくれている。
     故に落ち着いた足取りで、乱れることのない足取りで、柩は懐へと潜り込んだ。
    「まずは、キミから……」
     杖に魔力を込め振り下ろす。
     脳天を捉え、魔力を爆破。
     赤べこ怪人は膝をついた。
     未だに立ち上がることができないのは、揺れ動く頭を押さえることができないから。
     だから悠花もゆうゆうと、赤べこ怪人に歩み寄る。
     棒に炎を走らせ見つめる中、不意に赤べこ怪人が炎上した。
    「さあ、止めをお願いしますの!」
     白雛の大鎌に背中を切られたから。
     ほとばしる炎に抱かれたから。
     その衝撃を受けようやく頭の揺れが収まり始めた赤べこ怪人を、悠花は……。
    「自らの行いを認めた以上、見逃すわけにはいきません!」
     棒を突き出し、顎を捉えた。
     のけぞり、吹っ飛ぶ赤べこ怪人。床を削り、壁の近くで静止した。
     以後、赤べこ怪人は動かない。
     暖かな炎に抱かれながら、少しずつ姿を薄れさせていく。
    「……」
     悠花は静かな息を吐き、残る2体へと向き直った。
     仲間が倒されたからだろう。2体の顔はしかめられ……。

    「カタ! よもや、同胞を……許さん、許さんぞ!」
    「そもそも、まともな広報を行えばよかったんですの!」
     怒りに指摘を行いながら、白雛はクロスグレイブを床に突き立てる。
     銃口を開け、凍てつく弾丸を乱射。
     避けきれぬと感じたか、赤べこ怪人は腕をクロスさせ弾丸を受け止めた。
     霜が下りていく腕を、守れなかった胴を見つめながら、柩が距離を詰めていく。
    「次はキミ……だね」
     刃を非物質化させ、赤べこ怪人の中心へと突き刺した。
     力そのものを傷つけられ、赤べこ怪人の体が激しくよろめいていく。
     すかさず灼滅者たちは攻撃を殺到させた。
     もう1体の赤べこ怪人はクレンドに抑え込まれていて動けない。
     踊るように仲間たちの攻撃を受けていく赤べこ怪人を見つめながら、白雛は大鎌に炎を宿した。
    「さぁ、断罪の時間ですの!!」
     カタカタと頭を動かしながら構えていく赤べこ怪人を見つめ、炎に染めた大鎌を振りかぶる。
     首だけを見つめたまま、凍てついている胴体めがけて横に振り抜いた!
    「カタ……」
     赤べこ怪人は瞳を見開き、上半身と下半身をずらしながら倒れていく。
     氷が砕けるような音とともに消え去っていくさまを前に、最後の赤べこ怪人が血が滲むほどに拳を握りしめた。
    「ぐ……その敵、この赤べこ怪人が……」
    「……改めて言っとくが」
     手甲を握り、クレンドは告げる。
    「迷惑をかけて知名度を上げても、その素晴らしさが伝わるはずがないだろうに。正しい行動を取っていれば、お前たちも」
    「うるさい!」
     赤べこ怪人がカタカタと頭をかき鳴らした。
     響く音色には不可思議な魔力がこもっていたけれど、灼滅者たちの心を揺さぶるには不十分。
     乱れることなく灼滅者たちは攻撃する。
     勝利をおさめるため。
     人々に武蔵坂学園の存在を示すため。
    「さあ、フィナーレを飾りましょう」
     炎の中でよろめく赤べこ怪人を、鞠音が袈裟に切り裂いた。
     うめき声を上げ、よろめいていく赤べこ怪人。
     弱々しいものへと変わった頭の音色を聞きながら、クレンドは手甲の爪を立て踏み込んだ。
    「安心しろ。赤べこの素晴らしさは知っている」
     柔らかな表情を見せながら、爪で左肩を貫いた。
     赤べこ怪人は天井を仰ぎ、深い息を吐き出していく。
    「ならば……願うことができるなら……赤べこの素晴らしさを……世界……に……」
    「……」
     返事はせず、クレンドは事切れた赤べこ怪人から爪を抜いていく。
     静かに瞳を瞑る中、最後の赤べこ怪人も消滅し……。

    ●新たな平和へ
     戦いの終わりに導かれ、盛大な拍手が巻き起こる。
     感謝、憧れ……様々な感情を持つ視線が灼滅者たちを見つめていた。
     どことなく安堵した様子も見せている人々に、悠花が歩み寄っていく。
    「さぁ、みなさん。怪人はいなくなりました。ということで、旅のお土産に赤べこはいかがですか?」
    「ああいうのは面倒な客と同じだ。例えばあいつらなら赤べこを誉め囃してその場を乗りきるのが良い。否定はしないことだ。俺の挑発が悪い例だ」
     碧はお店の人を中心にアドバイスを行っていた。
     2人だけではない。
     灼滅者たちは武蔵坂学園の存在を人々に刻むため様々な言葉を投げかけていた。
     もっとも、すべてを語るには長い時間が必要だ。だから……。
    「また何かあったら連絡ください」
     薫が武蔵坂学園の住所や校章、連絡先などが記された名刺を渡し、連絡の手段を与えていく。
     陽和もまた自身の連絡手段を渡しつつ、微笑んだ。
    「何かあれば聞いて下さい。答えられる範囲で、お答えいたします」
     灼滅者たちと赤べこ怪人の議論を聞き、戦いを見守り、言葉を聞いた人々に、怯えや好奇は見られない。
     新たな平和へと向かうため……彼らは一歩、前進した!

    作者:飛翔優 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年2月10日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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