民間活動~鶏肉は唐揚げに限る

    作者:佐和

     とある地元の商店街は今日も様々な客で賑わっていた。
    「おっちゃーん。俺、ネギマ」
    「俺はつくねな」
     部活動帰りか元気な男子高校生グループは、馴染みの焼き鳥屋に立ち寄って。
    「焼き鳥はいけん! 唐揚げにしちい!」
    「何だコイツ、勝手に……」
    「あ、でも、唐揚げうめぇ」
     唐揚げ頭をした中津唐揚げ怪人が乱入し、焼き鳥を唐揚げに変えていく。
    「今日は寒いから鶏肉でお鍋にでもしようかしら」
    「うちは香草焼きかしらね。じゃあ、鶏もも肉お願い」
     夕飯のメニューに悩む主婦達は、精肉店で材料を買い求め。
    「鶏肉は唐揚げな! 唐揚げ以外できらん!」
    「あら、お肉が唐揚げになったわ」
    「夕飯作る手間が省けたと思えばいいかしら」
     唐揚げ頭をした宇佐唐揚げ怪人が乱入し、鶏肉を唐揚げに変えていく。
    「宇佐んし、唐揚げは広まっちょるか?」
    「おお、中津んし。
     順調だ。この調子なら世界征服もすぐじゃあ」
     並ぶとどっちがどっちだか分からない怪人達は、成果を確認して頷き合い。
    「グローバルジャスティス様のために!」
     声を揃えて士気を高めると、次の店を探して動き出した。

    「そんな唐揚げ怪人達が見つかったんだよね」
     灼滅者達の前に立ったカーリー・エルミール(元気歌姫・d34266)は、にっこりと笑いながら陽気に話を進めていく。
     ちなみに、カーリーが唐揚げ怪人を探していたのは確かですが、見つけたのは、サイキック・リベレイターを使用しなかったことで予知ができるようになった八鳩・秋羽(中学生エクスブレイン・dn0089)です。
     当の秋羽は説明放棄して唐揚げを頬張ってますが。
    「商店街の鶏肉や、鶏肉を使った料理を、片っ端から唐揚げに変えてるんだって。
     お店の人は嫌な顔してるけど、まだそんなに大騒ぎにはなってないみたい」
     とはいえ、唐揚げばかりの商店街になったら騒ぎになるだろうし。
     唐揚げ怪人達の強要行為がエスカレートする可能性もあるだろう。
    「何にしろ、放ってはおけないよね」
     確認するカーリーに、秋羽は唐揚げを咥えたまま頷きました。
    「相手は、中津唐揚げ怪人と宇佐唐揚げ怪人の2体。
     今のボク達なら、全然苦戦もしないで倒せる相手だね」
     ちなみに、中津は日本唐揚協会が認定する唐揚げの聖地で、宇佐は唐揚げ発祥の地と言われているそうです。
     何であれ、攻撃が美味しい怪人なのは間違いないようですね。
    「だから『民間活動』もできるんじゃないかな」
     サイキック・リベレイターを使用しないこととともに武蔵坂学園が行うと決めたそれは、まずは、多くの一般人に事件を目撃してもらうことで、ダークネスや灼滅者の存在を知ってもらうことを主軸としていた。
     一般人に被害を出さないことは大前提だけれども。
     その中で、如何に目撃者を増やし、一般人の認識を変えていくのか。
    「ややこしいから、さくっと唐揚げ怪人を倒しちゃってもいいけどね」
     依頼はご当地怪人の灼滅だからと付け加えつつも。
     カーリーはにこにこと灼滅者達を見渡した。
    「さあ、唐揚げを食べに行こう!」


    参加者
    彩瑠・さくらえ(幾望桜・d02131)
    紫乃崎・謡(紫鬼・d02208)
    山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)
    ジヴェア・スレイ(ローリングエッジス・d19052)
    神無月・佐祐理(硝子の森・d23696)
    比良坂・柩(がしゃどくろ・d27049)
    宮儀・陽坐(餃子を愛する宮っ子・d30203)
    カーリー・エルミール(元気歌姫・d34266)

    ■リプレイ

    ●『金曜日は唐揚げの日』だそうです
     とある地元の商店街は今日も様々な客で賑わっていた。
     カーリー・エルミール(元気歌姫・d34266)はその喧騒を心地よく眺めながら進み行く。
     抱えられているのは、老夫婦が営む総菜屋で買ったコロッケやらメンチカツやらの山。
    「いろんな味が楽しめて、いいところだね」
    「カーリーちゃん、今からそんなに食べてるの?」
     目を瞬かせるジヴェア・スレイ(ローリングエッジス・d19052)に、食べる? とクリームコロッケを1つ差し出して。
     自身も頬張りながら、カーリーは商店街を見渡した。
    「あー、腹減った。今日は何にすっかなー」
    「どれも美味しそうだね。キミ達、おススメある?」
     焼き鳥屋のメニューをわくわく顔で見つつ、常連の高校生達に話しかけるのは彩瑠・さくらえ(幾望桜・d02131)。
     食べ盛りの男子高校生から、ネギマだつくねだと楽し気な意見が飛び交う。
     神無月・佐祐理(硝子の森・d23696)は精肉店に向かい、夕飯の献立に悩む主婦の輪にそっと入り込んで。
    「私は鶏の照り焼きにします。特製の照り焼きの素があるんです」
    「あら素敵。出来上がりが楽しみね」
    「どんなレシピなのかしら?」
     バッグから見せたタレ入りボトルに、話が弾んでいく。
     灼滅者達は、唐揚げ怪人達を待ち伏せるべく、商店街の各所にそれぞれ紛れ込んでいた。
     それは一般人を守るためであり。
     できるだけ多くの人にご当地怪人や灼滅者を見てもらうためでもある。
    「あ、和菓子屋さんだ。最中も大福も美味しそう」
    「カーリーちゃん!?」
     ……はずである。
     山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)は、守るべき高校生達の後ろで、焼き鳥注文の順番待ちをするような素振りで待機して。
    (「民間活動で一般人さんたちに私たちの活動を知ってもらうことは大事。だけど」)
     その最中にふと胸を過ぎるのは、一抹の不安。
    (「人は自分たちと違っているものを怖がる。
     私たち灼滅者が差別をされて、排斥される側にならなかったらいいんだけど……」)
     しかし透流は、その不安を吹き飛ばすように首を左右に強く振り。
     恐れる未来を避けるためにも、一般人の被害は絶対防いでみせると改めて誓い、ぎゅっと手を握りしめた。
     そして、宮儀・陽坐(餃子を愛する宮っ子・d30203)は。
    「さあ、新作の鶏肉餃子です! どうぞ試してみてください!」
     焼き鳥屋近くの空きスペースにPRブースを設置して、通行客に向けて声を張り上げる。
     ラブフェロモンの効果もあってか、次々に客の足が止まり。
    「ボクも食べたいなー」
    「じゃ、じゃあジヴェアも」
     ついでにカーリー達まで釣れました。
     無断での興行だけれども、商いではないからかESPの余波か、商店街関係者から特に咎められることもなく、陽坐は鶏肉餃子を振舞っていく。
    (「これだけ鶏肉を並べておけば、囮としては充分でしょう」)
     役目を果たせているだろうと効果を確かめ、頷いて。
    (「……唐揚げ大量ゲットもできますし!」)
     見えないところでぐっと手を握りしめた。
     盛況なブースを遠目に見やるのは、ベンチに座る比良坂・柩(がしゃどくろ・d27049)。
     その横に立ち止まった紫乃崎・謡(紫鬼・d02208)も、同じ方向を眺めて。
    「親しみやすい外見ではあるけれど、行いは迷惑千万なものばかり、か」
     零した呟きに、柩も気付く。
     2体の唐揚げ怪人が商店街に姿を見せたことに。
    「どっちが中津で、どっちが宇佐なのかわからないけど。
     まぁどうせ灼滅するんだ、どっちがどっちでも関係ないか」
     言ってゆるりと立ち上がると、謡が静かに肩を並べ。
    「さて、解決は元より。今回は上手く利用させて貰うとしよう」
     神秘的な紫色の瞳を僅かに細めた。
    「いずれは何らかの実が結ぶだろうさ」

    ●『アゲアゲ チ金 フライデー』……だから金曜日なんですね
    「焼き鳥はいけん! 唐揚げにしちい!」
    「鶏肉は唐揚げな! 唐揚げ以外できらん!」
     唐揚げ頭の中津唐揚げ怪人と、唐揚げ頭の宇佐唐揚げ怪人は、商店街に着くや否やその能力を見せつけた。
    「そんなぁ! 特製の照り焼きが、唐揚げに……」
     注文した鶏肉の変化に、佐祐理の手からタレ入りボトルが転がり落ち。
     傾ぐ身体を慌てて主婦達が支えた。
    「この店の焼き鳥食べたくって今日1日頑張って働いたのに……」
     さくらえは涙目で唐揚げと化した元焼き鳥を見つめ。
     年下である高校生からすら、同情の声がかけられていく。
    「うわあああ! 俺の新作餃子が!」
     更なる被害で唐揚げブースと化した一角に、陽坐は両手両膝を地につき嘆く。
    「必死で考えた新メニューが……材料の鶏肉も全部唐揚げにするなんて……」
    (「唐揚げいっぱいやったー!」)
     演技の裏で、狙い通りと心の底から喜んでいたりはしますが。
    「唐揚げも美味しいけどね」
     しかもその横で、カーリーが自重せずに唐揚げを食べてます。
     でも、次の唐揚げを摘まんだその手をふと止めて。
    「鶏肉餃子も美味しかったから、唐揚げばっかりは嫌かな」
     言って唐揚げ怪人達をじっと見据えた。
    「強要しては、美味しいものも美味しくなくなると思うんだよ」
    「唐揚げばかりでは食が偏ってしまう。
     ヘルシーなチキンサラダも推したいところだね」
     柩と謡が進み出て立ちはだかると、片方の怪人がはっと気づく。
    「わがどう……」
    「うん。ボクらは灼滅者だよ。ダークネス『ご当地怪人』たち」
     疑惑を真っ直ぐに受け止めて柩は頷いた。
    「キミたちが唐揚げを広めたいのは分かるよ。
     でも、だからこそ、押し付けるのはやめないかな?」
     唐揚げ怪人に話しかけながらも、柩が意識しているのはむしろ一般人の方で。
     ラブフェロモンも駆使して印象を操作しつつ、冷静に理性的にと言動を整える。
     そこに、ひょこっとジヴェアが割り込んだ。
    「ねえねえ。一言に鶏の唐揚げといっても、色んなバリエーションがあるのを知ってる?」
     にっこりと笑いかけながら、調べてきたことを並べ立てる。
    「モモだけじゃなくて、ムネ、鶏皮、あとチューリップっていうのを知ってる?
     衣もコーンフレークスやゴマ、柿の種なんかも使う場合もあるんだよ?」
     知らないでしょ? と挑発するつもりで言ったのだが。
    「じゃあ、じゃあ」
    「おまい、わかっちょるのー」
     逆に唐揚げ怪人達は喜んで、意気揚々とジヴェアを取り囲んだ。
    「じゃあきい、共に唐揚げを広めちょくれ!」
    「え? あれっ!?」
     気付けばジヴェアは片方の怪人にがっしと肩を掴まれ、唐揚げ仲間入りしてました。
     カーリーが唐揚げを食べながら、がんばれー、と笑顔で手を振って見送ります。
     予想外の展開に、さてこれはどう対応しようかと、柩と謡が顔を見合わせると。
     ひらり、と舞い散るチラシが1枚。
    「焼き鳥最高……みんなも、創業400年の最高の焼き鳥を楽しもう」
     振り向くと、透流が、唐揚げに変えられた焼き鳥屋の宣伝を勝手に始めていた。
     そこそこそれっぽい、焼き鳥賛歌のチラシが舞うように配られて。
    「いや、うちはまだ30年くらいしか……」
     焼き鳥屋の店主は複雑な表情をしていますが。
    「最高は唐揚げじゃあ!」
     もっと顕著に反応した怪人の片方が、透流を怒りと共に唐揚げで殴り飛ばす。
     透流は大仰に吹き飛ばされ、チラシを派手にまき散らしながら転がり倒れた。
    「なんて乱暴な」
    「女の子に酷いわ」
     小柄な透流は実年齢よりも幼く見えたらしく、避難の声が上がる。
    「唐揚げなんて、家でヘルシー食を待ってる病気の弟は食べられる訳ないだろ!」
     さらに、兄弟モノを演出しつつ叫ぶ陽坐にも、唐揚げ攻撃が飛来して。
    「うう、美味しい……でも、弟は……」
     ちゃっかり唐揚げを味わいながら、陽坐は特に主婦層からの同情票を獲得していった。
    「この先ずっと唐揚げ三昧が続いたら、商店街のお店もご家庭の食卓も、大変な事になっちゃうよ?」
     騒めき始めた人々を意識しながら、さくらえは声を張り上げて。
    「主婦の方々は、日々、努力や創作をされている。
     それを唐揚げで染め潰してしまうのは、良い行いではないのではないかな」
     静かに告げる謡は、ちらりと後ろを振り返り、皆の意識を誘導する。
     視線の先にあるのは、さめざめとくずおれたままの佐祐理の姿。
    「私の照り焼き……」
    「そうよね。照り焼きは照り焼きで美味しいもの」
    「唐揚げばかりじゃ油の処理も大変だし」
    「主人も好きだって言ってくれた香草焼きが作れなくなるのは困るわ」
     共感する主婦の意見が重なって。
    「ジヴェアも! 唐揚げ以外も食べたいよ!」
    「あ、おかえりー」
     唐揚げ怪人の手を振りほどいたジヴェアは、カーリーに出迎えられて元の立ち位置へと戻っていった。
    「もう一度言うよ」
     たじろぐ唐揚げ怪人達を柩は真っ直ぐに見つめて。
     周囲の困惑や非難の視線を纏めるように、冷静に告げる。
    「唐揚げを押し付けるのはやめないかな?」
    「行きすぎた唐揚げ愛は時に迷惑行為だよ」
     さくらえも言葉を続けるけれども。
    「しゃーしい!」
     叫びながら、唐揚げ怪人達は説得を振り払うかのように唐揚げをばら撒いた。
     攻撃を受ける盾となるべく、陽坐が柩の前へ出て立ちはだかり。
     さくらえも想鏡のシールドを広げていく。
    「大丈夫です、攻撃は届きません!」
     投げかけた言葉は仲間にというよりは、一般人へ向けたもの。
     さくらえは肩越しに、驚く高校生達へと安心させるべく笑いかけた。
     謡も主婦達を庇うように位置取り、前へ出ないようにと仕草で示す。
     そして灼滅者達は、反撃という形で戦闘を開始した。
    「Das Adlerauge!」
     解除コードを叫んだ佐祐理が人造灼滅者としての姿に変わり、漆黒の長髪が揺れるその背から鷲の翼を広げて。
     ジヴェアはくるりと回転し、ヒーローっぽく華やかなレオタード姿への変身を見せる。
     透流もその片腕に武骨な縛霊手を纏い掲げて。
    「私たちはヒーローだから、邪悪な唐揚げ頭さんを倒さなきゃいけない」
     告げて見据える視線を追うように、カーリーが大鎌を手に唐揚げ怪人へ立ち向かった。
    「照り焼きの恨み~!」
     佐祐理は翼を見せるように大きく広げつつ、赤色がアクセントの高枝切鋏を振り回し。
     柩の背後に輝ける十字架が降臨する。
     狙うのは、人目を惹く派手なパフォーマンスで、超常の力の存在を示すこと。
     そして、この戦いを多くの人に見てもらい、認識してもらうこと。
     ゆえに透流は攻撃に加わらず黄色い交通標識で仲間を支援し、ジヴェアも清めの風を呼んで長期戦を狙う。
    「紫乃崎、あっちは任せた」
     柩の指示に頷いた謡は、紫苑十字の砲撃で怪人の動きを誘導して商店街への被害を防ぎ。
     陽坐はシールドを盾として展開し、守る者としての戦いを印象付けていった。
    「落ち着いて、戦う姿を見てて!」
     錫杖を振るうさくらえは、簡単な解説も織り交ぜつつ、一般人へも声をかけていく。
    「唐揚げは、確かに好きですけど、ね」
     鋏の一閃に佐祐理は声を合わせて。
    「それを押しつけにかかるのは、よろしくはありませんね!」
     BSと共に攻撃を自身に引き付けんと動く。
    「私も本当は焼き鳥より唐揚げのほうが好き」
     透流も皆を癒しながら唐揚げ怪人達を見据え。
    「だからこそ、焼き鳥屋さんの店主さんを唐揚げ嫌いにさせてしまいそうなあなたたちの活動を許すことはできない」
     戦う理由を一般人に明確に見せるためにも、声をかけ続けた。
     柩が眩い裁きの光条を放ち、陽坐も宙返りからの餃子キックを決めて。
     怪人の1体が倒れ、爆発四散する。
    「さよなら。中津唐揚げ怪人」
     それを見送った柩が、ぽつりと声をかけた。けれども。
    「ああっ! 宇佐んし!」
    「あれ? 逆だったかな?」
     瓜二つの怪人に首を傾げる柩の肩を、隣に並んだ謡がぽんっと軽く叩く。
     その足元から伸びた奇矯遊戯が、万華鏡のようにくるくると形を変えて、1体だけになった今度こそ間違えようもなく、中津唐揚げ怪人を捕えんと襲いかかった。
     さらに佐祐理の影も喰らいつき、さくらえが流星の如き蹴りを放てば。
     終演は近いと、ジヴェアも刀を一閃させ、透流の影も攻撃に加わる。
    「これで終わりです!」
     高く跳び上がった陽坐の餃子ビームが派手に炸裂したところで。
     にっこり笑ったカーリーは、ぺこりと頭を下げる。
    「ごちそうさまでした」
     その言葉に送られて、中津唐揚げ怪人も爆発して、消えた。

    ●唐揚げを程よく盛り上げていきましょう
     戦いを終えた灼滅者達は、次は、と周囲の一般人に向き直る。
     人々に灼滅者達への恐怖といったものはほとんどない。
     それは、元々商店街に溶け込んでいたからか、戦い方のアピールのおかげか。
     何より、商店街や一般人に被害が出ていないから、だろう。
     好意的な雰囲気の中、柩が武蔵坂学園と灼滅者、ダークネスのことを話し出せば。
     今目の前で起きた事件にからめて、謡がそれを補足していく。
    「今回の怪人はご当地怪人。
     ご当地への強い愛情が強すぎて時に迷惑行為に及ぶ事もある危険な存在なんです」
     さくらえも、仲良くなった高校生達に真摯に説き。
     佐祐理はスタイリッシュモードで魅せながら、背中の鷲翼を動かして見せる。
    「ダークネスをやっつける力を得るために、私はこんな姿してます」
     恐る恐る伸ばされた手に、優しい笑顔を向けて、どうぞと勧め。
     ジヴェアも頑張って、ダークネスの脅威を、それを守る灼滅者を、説明していく。
    「ダークネスは一般の方では倒せません」
     立ち向かわないで、と陽坐は注意を促して。
    「同じ様な被害を見聞きしたら、連絡して欲しい」
    「すぐに助けに駆けつけますから!」
     謡がさくらえが重ねるお願いに、了承の頷きが広まった。
     佐祐理が自身のSNSを教え始めると、さくらえもチラシを配り、他の皆も連絡先を渡していく。
     そうして説明が一段落し、状況が落ち着いてきたところで。
    「よかったら、交流会とかどうですか? 唐揚げも餃子も沢山あります!」
    「待ってましたー」
     陽坐の提案にカーリーが元気よく手を挙げました。
     ジヴェアもローストチキンや山賊焼き、そして唐揚げを用意する。
    「唐揚げが悪いんじゃなくて、それを無理やり押し付ける怪人が悪いんだよ」
     先ほど自身で挙げた変わり種唐揚げを実際に並べると、主婦の興味も引き寄せて。
    「あれだけ唐揚げ連呼されたら、気になりますよね」
     佐祐理も主婦達と共に試食会。
    「よし。うちの焼き鳥も出すぞ」
    「さすがおっちゃん!」
    「よかったな、兄ちゃん」
     焼き鳥屋の店主も乗ってくれば、さくらえは高校生達に囲まれ。
    「唐揚げも包めば餃子になるんです!」
     陽坐はさらなる新作餃子を発表し、透流が興味津々手を差し出した。
     騒ぎから一旦離れ、またベンチに座った柩は、盛り上がる交流会を眺めて。
     その目の前に差し出される唐揚げ。
     見上げると、傍らの謡が静かに微笑みかけていた。

    作者:佐和 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年3月6日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 3/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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