バベルの綻び~巣食い力を啜る蛇

    作者:六堂ぱるな

    ●ソウルボードの変化
     教室で待っていた埜楼・玄乃(高校生エクスブレイン・dn0167)は、灼滅者が入室すると一礼して口を開いた。
    「諸兄らの活躍により巨大七不思議の全てを撃破できた。ラジオウェーブの電波塔再建の阻止に続いて、切り札の一つらしき精鋭のタタリガミたちの灼滅は素晴らしい戦果だ」
     しかも『一般人に都市伝説を認識させ、ソウルボードを弱体化させる』という計画を、灼滅者の活躍を周知する『民間活動』に転換できたのは大成功と言える。
     しかしこの結果はソウルボードに大きな影響を与えた、と玄乃は説明する。
     新沢・冬舞、文月・咲哉、御鏡・七ノ香、ラススヴィ・ビェールィらの調査によって、ソウルボード内の力が集まった場所に小さな綻びができて、そこから力が漏れ出ようとしていることが判明した。
    「この綻びの地点には巨大な『鎖』のようなものが出現して、綻びを拘束し繋ぎとめ、力の流出を阻止しようとしている。或いはこの『鎖』こそ『バベルの鎖』かもしれんな」
     難しい顔で資料を眺めた玄乃は本題に入った。ソウルボードの綻び自体は、この『鎖』の作用で修復されるだろう。問題は『鎖』をどうするかだ。
     これまでの調査で、闇堕ちはソウルボードからの力の影響で起きると考えられている。力が溢れ出れば、その力を得たダークネスたちの強化や一般人の闇堕ちが誘発される可能性もあるので、修復される事自体は悪くはない。
     だがもしこのソウルボードの綻びが『これまでの民間活動の成果』だとしたら。繕われることで、これまでの活動を否定することにもなるかもしれない。
    「結局、『鎖』にソウルボードの修復を認めるべきなのか? それとも邪魔したほうがいいのか?」
     問いかけた天方・矜人(疾走する魂・d01499)に、玄乃が困惑顔で答えた。
    「どちらが正しいのか断定はできない」
    「断定できない?」
    「そこでだ。諸兄らで『鎖』と対峙し、歴戦の感性や意思でどうすべきかを判断して貰いたい。それが一番間違いがないだろう」
     問題は『鎖』だけではなかった。都市伝説が『鎖』の修復を邪魔しつつ、ソウルボードの力を掠め取ろうとしている。従って邪魔をしている都市伝説を排除した上で、『鎖』への対応を選択するのだ。
    「どちらを選ぶにせよ、現場における諸兄らの直観と決断を私は支持する」

     都市伝説は全長2メートルもある白いツチノコが全部で6体。毒の牙による攻撃や、跳ねて体当たりをしたりする。
    「ツチノコ? おいおい、まさか」
    「残念ながら先輩の推察の通り。下水道に出るのではと調査を依頼された案件だったが、どうもソウルボードへ行ったようだ」
     矜人が呻いた。ちょっと想像したくない。
    「かなり精神的にアレな群れだが、諸兄らにとって大した敵ではない。『鎖』は攻撃しない限りソウルボードの修復を続けるので、邪魔が入ることもない」
     だが『鎖』も攻撃されれば、全長数十メートルある体を振り回したり、電撃を放ったりして反撃してくる。『鎖』を攻撃するのなら連戦になるだろう。
     ソウルボードと『鎖』の扱いをどうするべきかは難しい問題だ。だからこそ事態に直面してきた灼滅者の決断が必要になる。一通りの説明を終えた玄乃が灼滅者に資料を配りながら振り返った。
    「手が空いていたらで構わないので、先輩も対応を検討して貰いたい」
    「そうだな。ちょいと考えとくぜ」
     資料に目を通しながら矜人は頷いた。


    参加者
    天方・矜人(疾走する魂・d01499)
    刻野・渡里(殺人鬼・d02814)
    卜部・泰孝(大正浪漫・d03626)
    楯守・盾衛(シールドスパイカ・d03757)
    七六名・鞠音(戦闘妖精・d10504)
    天宮・黒斗(黒の残滓・d10986)
    ラススヴィ・ビェールィ(皓い暁・d25877)
    陽乃下・鳳花(流れ者・d33801)

    ■リプレイ

    ●掠め取るもの
     下水道で相対するはずだったツチノコと、ソウルボードで出会うというのも妙な話だ。幸いというべきか、下水道なら最大の懸念だった匂いがないのがありがたい。
    「確かに予想するにはしたが、まさかここに逃げ込んでるとはな」
     天方・矜人(疾走する魂・d01499)の口調がどこか呆れたようなのは無理もない。
    「ソウルボードの奥地で伝説のツチノコを見た・デケデーン! ……ッて、変な形のヘビなンぞ見たトコで今さら驚く稼業でもねェッてナ」
     前半キメキメのカメラ目線で口火を切ったものの、後半で著しくテンションダウンした楯守・盾衛(シールドスパイカ・d03757)である。
     目の前ではツチノコが群れていた。縫いものでもするような動きをする鎖をかいくぐり、下水道の床の一角のひび割れた場所にたかっている。
    「ツチノコ狩り……とはまた違うか。さっさと倒して、調べよう」
     シェルティに似た真っ白い霊犬のサフィアを伴った刻野・渡里(殺人鬼・d02814)の言葉を合図に、一行は戦闘態勢に入った。
    「さあ、ヒーロータイムだ!」
     開戦を告げた矜人がツチノコの群れに躍りかかる。まばゆい雷光を帯びた拳はうち一匹をとらえて吹き飛ばした。すぐさま他のツチノコたちが灼滅者へ向き直る。
     いざ戦いが始まればツチノコたちは灼滅者へ果敢に挑みかかり、幸い修復作業に余念のない鎖は攻撃範囲に巻き込まずに済みそうだ。
    「雪風が、敵だと言っている」
     下水道の風景には似つかわしくない、雪まじりの風が唸った。七六名・鞠音(戦闘妖精・d10504)の携えた黄金の刃が一閃しツチノコたちを薙ぎ払う。明らかな敵対とみたツチノコが跳ねると、前衛たちへ次々と体当たりを食らわせる。
    「おっと!」
     矜人は咄嗟にタクティカル・スパインを棍のように回転させて攻撃を凌いだが、まともに食らいかけた盾衛の前に陽乃下・鳳花(流れ者・d33801)が立ちはだかった。彼女の相棒であるウイングキャットの猫も直撃を受け、大きく羽ばたいて宙に踏みとどまる。
    (「これが民間活動の結果だとか、正直な所どうでもいいよ――ただ」)
     十字架の形をした碑文を構えて彼女はツチノコへ銃口を向けた。
    「これはきっと観測すべき事だろうから、ボクはこの結果を見届ける」
     業を凍結させる弾は初撃の入ったツチノコを直撃し、次いで猫の魔法が白い体を焼く。
     毒をもたらすひと咬みも跳ねつつで、普通の蛇とは一線を画する動きに天宮・黒斗(黒の残滓・d10986)は眉を寄せた。幸い鎖は戦闘に無関心らしい。確実に一匹ずつ倒すべく、黒斗は縛霊手で動きの鈍り始めたツチノコを叩きのめした。
     仲間を癒すため、卜部・泰孝(大正浪漫・d03626)が穏やかに語り始めた。七不思議使いたる彼は物語を語ることで傷を塞ぎ、敵を穿つ。
    「ヘビが出たら次は何が出るか、逝ッてみよウ殺ッてみよウッてな」
     陽気な声をあげた盾衛が鋭槍ティンダロスでのたうつツチノコへ突きかかった。びたんと床で跳ねたツチノコを、すかさず渡里の鋼糸がずたずたに切り裂く。まずは一匹。渡里の意を受けたサフィアが癒しの力を込めた眼力で鳳花のダメージを雪ぐ。
     毒は厄介だ。仲間を加護で守るべく、ラススヴィ・ビェールィ(皓い暁・d25877)は標識を手に精神を集中した。
     確かにソウルボード由来の異変を警戒していたが、こんな事態が起こるとは。全く、何が起こるかわからないものだ。

    ●くちなわの滅び
     ツチノコがなぜ鎖から攻撃されないか気になっていた一行だったが、観察してみれば何の事はない。鎖へ攻撃はしていないから敵と看做されないのだ。そしてツチノコが6体いたところで灼滅者に抗しうるほどの力はなく、1分1体のペースで数を減らしていくのも当然だった。
     鞠音のスカーレットスノウウインドが黄金のサイキックエナジーが輝きを放ち、ツチノコたちが苦しげにもがき、目でも眩んだのか動きが鈍った。
     動きを見切った黒斗が最小の動きで咬みつきを避け、真っ向から文字通り返す刀で二つに斬り裂く。床に落ちるより早く塵へと還るのまでは見ず、もう1体の攻撃を躱して素早く跳び退いた。
    「挟撃といこうか」
     鳳花の指示に応じて猫が回りこみ、ふにふにの肉球パンチを見舞う。鳳花の足元から滑り出る影に有形無形の畏れが纏わりつき、叩き落とされたツチノコは斬撃で身を捩った。
     跳ねて距離をとるツチノコへラススヴィが首を振る。
    「どこへも逃げられはしない」
     長身痩躯、美しい人狼の手にする忌まわしき大鎌に死の力が宿る。断罪の刃は空を裂き、真っ二つにせんばかりの斬撃で都市伝説が転がってもがいた。そんな隙を渡里も見逃すはずはなく、完全に後背へ滑りこんでざっくりと斬りつける。
     追いこまれたツチノコの体当たりは猫をよろめかせたが、一方でサフィアの癒しの力が黒斗の傷を塞ぎ回復させる。
    「切ッて開いて串打ッて、バチヘビの冷凍カバ焼きで御座いッてなァ!」
     跳ねたツチノコを躱し、半回転した盾衛の魔力が収束する。全ての熱を奪い去られた異形は全身を氷に覆われて落下した。最後の1体になって興味を覚えたのか、翻る夜色のThousand-Nightgaleで足元に縫いとめた鞠音が小首を傾げる。
    「泰孝さん、こういうのは、可愛い、と言うのでしょうか?」
     びちびちと身を捩る寸詰まりの白いツチノコは、すごく頑張って贔屓目に見れば可愛いと思えなくはないかもしれないが、なにしろサイズは2メートル。胴周りは90センチはあるだろう。
    「む……世に言う、キモカワ、の系譜でなかろうか? 奇獣珍獣、面妖なる外見に惹かれるも止む無き人の性と見る」
     応じた泰孝も、これ以上被害が重くはならないと見て攻撃に参戦した。縛霊手にトラウマを呼びさます影を宿して、もがくツチノコを打ちのめす。ツチノコにとってのトラウマとは何か、なんか哲学が生まれそうだ。
     生存本能はあるのか、氷の呪縛から逃れると灼滅者から離れようと跳ねる。
    「悪あがきもそこまでだ!」
     無論、見逃す矜人ではない。
     逃走を図る最後のツチノコの胴に、しなるタクティカル・スパインが叩きこまれる。
    「スカル・ブランディング!!」
     流し込まれた魔力が内側を焼き尽くし、外からの衝撃とに耐えられずに爆ぜる。
     最後のツチノコはなす術もなく、木端微塵になって消えていった。

    ●相対すれども
     一戦終えた灼滅者たちが振り返ると、鎖は相変わらず修復作業に精を出していた。
    「一番気になるのは、綻びのなか、なんだよな……」
     渡里が綻びの中を覗き込む。しかし見えたのは下水道じみたこのソウルボードを形成している素材と同じ、割れたコンクリートじみたものだけだった。イラストを自動的に完成させるゴーストスケッチを使っても、発見がありそうではない。
    「ノックしてもしもーし、誰か中のヒト居マスかーッてか?」
     軽口まじりに盾衛も綻びの中を窺ってみたが、誰かがいそうな気配はなかった。
     綻びを繕っている鎖は形状は一般的なものだが、太さはひと抱えほどもある。鎖の元を辿ってみると少し先のソウルボードから直接生えていた。
    (「鎖は一体誰を繋いでいるのだろう」)
     疑問の答えがラススヴィの胸の裡で形となる。
     見ためは何も繋いでも縛めてもいない。けれど灼滅者としての感覚は感じとっていた。
    「……この鎖、あんまりいい感じがしないのってオレだけかね?」
     矜人が仲間を見回すと、黒斗が渋い顔で首肯する。
    「いや、同感だ。なんだかソウルボードを今の形にしている? いや、今の形に縛ってると言うべきなのか……」
    「我が感覚とも相違なし。悪意すら感じ得る所感なれば」
     見える範囲には泰孝が想起したあらゆる危険――たとえば赤の王やベヘリタス、タカトはおろか、シャドウすら存在しなかった。こくこく頷く彼の横で、じっと鎖を眺めた鞠音が繕いを続ける鎖へ語りかける。
    「こんにちは、貴方は何をなさっているのですか」
     応えはなかった。淡々と機械的に鎖は修復作業を続行する。意思疎通が図れそうでないことは明らかだった。
    「貴方は――人にとっての、何なのですか?」
     尚も語りかける鞠音が手を伸ばしてそっと触れたが、鎖は反応を示さなかった。
     ソウルボードの中にいる今、ソウルアクセスを使ってみても感じ取れることはない。誰かの意思も感じられない。けれど綻びを塞ごうとする様子はまるで……逃げた奴隷を取り戻そうとするような、嫌な気配があった。
    「これはソウルボードが現実世界に出たがっている……って事かな。そしてそれを鎖は止めようとしている……ソウルボードの意思と鎖の意思、二つの思惑が入り混じってるってわけだ」
     仲間の手当てを終えた鳳花の言葉を誰も否定しなかった。鎖に吸血を試みようかと触れた黒斗だったが、相手が生命ではなく血もないので無理だと悟る。
     その一方で、鎖はそれを敵対行動ととったようだった。突然長い鎖が灼滅者めがけて大きく震え、黒斗を捕らえようと幾つもの輪を作って追いすがる。うねる輪の一つを打ち返しながら矜人が吼えた。
    「全員一致で破壊ってことでいいか!」
    「さーんせーいッてナ!」
     黒斗を引き戻した盾衛が仲間を代表して叫び返す。紅色の柄を手にした鞠音が勢いよくひと振りすると同時、黄金の刃が生まれてひと時風雪が巻き起こった。
    「――始めましょう」

    ●連鎖
     単純な体当たりだけでなく、動きを縛めようとするのは鎖の性だろうか。雷撃を放ったりもする鎖は油断はできなかったが、連戦に備えて充分な回復を行ったことで危なげのない戦いとなった。
    「貴方はどこから来たのですか。貴方は何を求めているのですか」
     鞠音がどれほど呼びかけようと、鎖は彼女の問いに応えなかった。意思疎通が図れないことがもどかしいけれど、術はなく。
    「その鎖は、誰が手繰り寄せているのですか――?」
     膨れ上がる竜巻の直撃で鎖は軋んだ音を立てた。それでも攻撃をやめない。破邪の光を宿したゴルドクルセイダーで矜人が斬撃を見舞うと大きく震える。
     本当に鎖を破壊していいのか確証はない。それでも鳳花に迷いはなかった。
    「これがどう転ぶか、今の時点では誰も分からない。まあ、敵の強化に繋がったってさ、今更……だよね。今までだってそうして打ち破ってきたんだし」
     捕らえようと追いすがる鎖を縛霊手で叩き返し結界で押さえつける。ダメ押しに猫が魔法をぶつけて動きが鈍ったところへ、ラススヴィが疾風のように襲いかかった。仲間の攻撃が命中して弱った個所へ大鎌を振りかぶると突き立てる。怨念宿る刃の一撃をもって、見るまに鎖の表面へ亀裂が走った。
     ぶるんと震えた鎖が幾重も重なり、その中心に雷光が閃いた。轟くような音をたてて中衛――渡里へ光が飛ぶ。
    「……!」
     渡里の周りを飛び交う幾つもの光の輪が即座に反応した。一時は彼の間近にまで迫った雷を光が次々と迎え撃ち、相殺しながら消えていく。残った光の輪は鎖を直撃し、思わず息をつく渡里の傍らに立つサフィアが続けざまに六文銭を撃ち込む。
     勢い余って鎖がじゃらじゃらと音をたてて一塊りになった一瞬。
    「鎖だケド神妙にお縄に付きやがれッてな、オラよッこいしょー」
     まさに神速の刺突で踏み込んだ盾衛の槍は、亀裂の入った個所を正確に貫いた。短期決戦を見込んだ泰孝が縛霊手を起動。
    「諸行無常。鎖よ、受け入れよ」
     渾身の殴打は動きを止めるに充分な打撃を与え、展開された結界が更に鎖を縛めた。鎖にとって完全な死角、知覚範囲の外から黒斗が死の影のように飛び込んでくる。
    「これで終わりだ!」
     鍔持たぬBlack Widow Pulsarは鎖を砕きながら貫いた。
     横薙ぎに振り切ると亀裂が鎖の端から端までを埋め尽くし、耳障りな音をたてて割れ砕けていく。やがて全てが砕けると、鎖は幻のように消えていった。

     鎖が塞ごうとしていた綻びに変化が起きたのはその時だった。
     綻びの部分からソウルボードの一部がごそりと崩れたのだ。数メートルはありそうな大きな二、三の欠片と、一緒に小さな欠片が幾つかソウルボードから剥離する。
     欠片は水が蒸発するように消えて行った。
    「……何故でしょう。あれは、ソウルボードにではなく……」
    「ああ」
    「現実世界へ消えていったようだった。皆もそう感じたか」
     鞠音の言葉に矜人が頷き、重々しくラススヴィが呟く。誰もが同じ印象を受けたことに驚きはあるが、それが灼滅者にとって共通の認識だという証明ともなった。
     渡里が亀裂の中の部分に、泰孝が蒸発する前の欠片に触れてみたが何も起きない。
     『ソウルボードから漏れる力』なるものが、崩れて消えていった欠片であろうことを泰孝はなんとなく悟っていた。触れても何も起きなかったのはソウルボードだからか、灼滅者が触れても何も起こらないのかはわからない。
    「是をして『色不異空、空不異色』か」
    「あー確か般若心経だよなァ。ざッくり言うとどんな意味だッけかねィ?」
    「つ、つまり現世における物質的現象は本来実体がなく、実体がないからこそ物質的現象であり得るということであり……」
    「なンて?」
     包帯の上からだらだら冷や汗を流す泰孝に、盾衛があっけらかんと問い返している。
     いずれにせよもう危険はなさそうだ。万一の時は仲間を逃がす為に身体を張る覚悟だったラススヴィや泰孝は息をついた。
     首を傾げていた鳳花が仲間を見回して提案する。
    「ふむ。ここで出来ることはもうなさそうだね」
    「……そうだな。学園に帰るか」
     黒斗の言葉に誰も異論はない。未だ下水道のような風景を保つソウルボードの一角を、一行は無言のうちに後にした。

     ソウルボードの綻びで起きたことの全てが理解できるほどの情報はない。
     ただ灼滅者の選択が次なる局面を呼び、新たな知識の欠片をもたらすだろう。
     ――今は変化の時を待つばかり。

    作者:六堂ぱるな 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年4月16日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
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