【民間活動】精神防衛戦~未来は伏せたカードの下に

    作者:空白革命

    「よう、皆! タタリガミとの戦いはバッチリ勝利したみたいだ。タタリガミ勢力は壊滅状態らしい。
     だからかは分からんが、ソウルボードにも動きが出たようだ」
     これはソウルボードの動きを注視していた白石・明日香(d31470)や槌屋・康也(d02877)からもたらされた情報である。
     ソウルボードに異変が起こり、それに呼応するように(民間活動の結果で得た)武蔵坂学園支持派の一般人たちが倒れ意識不明となっている。
     病院でも原因は分からず、そのうえ同一の事件が多数起きているにもかかわらず報道もされていない。
     これがバベルの鎖の関わる事件……つまりダークネスの事件であることは確実だった。
    「それも、ソウルボードがらみの、な」

    「つっても、今はなんの情報もない。
     まずは入院してる意識不明者を通じてソウルボードへ行ってほしい。
     まあ十中八九原因になったヤツが待ち構えてるだろう。
     だが、だから何だって言うんだ?
     俺たちは今までもずっと、そういう奴らをぶん殴ってきただろう?
     そいつらを倒して、意識不明になった奴らを目覚めさせてやろうぜ」

    ●アメリカンダラー、エンカウント
     ソウルボードへとやってきた八人の灼滅者たち。
     うすぼんやりとした空間を見回して、久織・想司(錆い蛇・d03466)は目を細めた。
    「さて、どんな敵が待ち構えているんでしょうね」
     眼鏡に手を触れる想司。立花・誘(神薙の魔女・d37519)が長い髪を払った。
    「戦って勝てる相手ならいいんですけどね……」
    「不吉なことを」
    「待ってください、誰か来ます」
     雪乃城・菖蒲(隠世・d11444)がぱっと手を翳し、虚空を見上げた。
     その途端。
    「Ladies and gentlemen!」
     アメリカの古い軍歌が大音量で流れ始めた。
     どこかで聞いた音楽だ。
     テレビでも街角でもない、戦いの中で聞いた音楽だ。
     ゴッドモンスターとの戦いで、沖縄本島沖海戦で――そのほか幾度となく武蔵坂学園と敵対し、そして今日まで続いた因縁の敵。
     戦闘機の翼。星のベルト。コンドルのヘルメット。そして胸に輝くドルマーク。
     たった一体のダークネスが空からジェット噴射で降下してきた。
    「アメリカンコンドルだと!? ちっくしょう!」
     城・漣香(焔心リプルス・d03598)が感情を露わに歯噛みした。
    「ミーの作戦をこれ以上邪魔させまセーン!」
     たった一体。
     しかしその実力差は……。
     冷静な紅羽・流希(挑戦者・d10975)が仲間たちに呼びかけた。
    「ここは引くべきかもしれません。アメリカンコンドルはワールドクラス……決戦の場で無数の戦力を投じて倒すべき相手です」
    「いや、引く理由はねえな」
     天方・矜人(疾走する魂・d01499)がヘルメットをしっかりとかぶり直し、どこからともなく槍を取り出した。
    「ここで倒れても精神がソウルボードからはじき出されるだけだ。それは相手も同じ。つまり、『命のやりとり』にはならない」
    「そうだ、どれだけ損害を受けても、思い切り行ける!」
     白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)がロッドを握りしめる。
     二人を黄金のエネルギーが包んだ。
    「マジピュア・ウェイクアップ!」
    「いきなりヒーロータイムだ!」
    「ノー! ここからはミーのミリオンタイム!」
     ジュンと矜人による渾身の突撃。しかしアメリカンコンドルは翼を広げて迎撃した。
     翼から突如展開したアヴェンジャー機関砲が火を噴き、接近する前から吹き飛ばされる。
    「まだまだミーのターン! 星条旗の星に加わるのデース!」
     腰の星マークが発光し、とてつもない破壊光線を発射する。
    「くっ……!」
     拓馬が飛び出し抜刀。想司が血を固めたような剣を展開してそれぞれ防御する――が、あまりのエネルギーに足場ごと爆散した。
    「今こそグローバルジャスティス様復活のタイム! ミーたちはサイキックハーツへ至り、世界が征服されるのデース! この良き日を共に祝う気は?」
    「みじんも無い! 野望もろとも叩ききる!」
    「援護します」
     流希が抜刀し、突撃していく。菖蒲もまた美しい槍をとり、走り出した。
     漣香と誘も大砲を構え、援護射撃の準備をとった。
    「あーやっぱり戦うカンジ?」
    「どう考えても絶望しかないんですけどねえ」
    「HAHAHAHAHA!!!!」
     どこからともなく現われた無数の戦闘機が爆撃を開始。爆発に呑まれる流希たち。
     煙が晴れたあとに残ったのは、倒れた灼滅者たちの姿だった。
     状況は絶望的だ。
     だが……。
    「この……声は……」
     矜人のヘルメットの奥で、何かが光った。
     そう、聞こえたのだ。
    『まけないで』
    『見てますぞ、応援してますぞ!』
    『俺たちのこと、助けてくれたよな!』
    『でゅふふ今こそサイリウムを振るとき!』
    『私たちの思いは一つです。ダークネスを倒して、世界に――!』
     想い、というべきだろうか。
     これまで助けてきた一般人たちの想いが、灼滅者たちの胸の中に響き、炎のように燃え上がったのだ。
    「聞こえましたか?」
    「幻聴じゃなかったみたいですね」
    「サイキックハーツの力、なのでしょうか」
    「なんでもいい。今なら――やれる!」
     絶望的な実力差。
     しかし胸に燃え上がった想いの炎は、その差すら吹き飛ばす力を持っているような気がした。
    「ノー、理解できまセーン。ミーにウィニングすることができる筈がありまセーン!」
     だが挑むのだ。
     それができるのは。
     それが託されたのは。
     今、自分たちしか居ないのだから。


    参加者
    天方・矜人(疾走する魂・d01499)
    久織・想司(錆い蛇・d03466)
    城・漣香(焔心リプルス・d03598)
    無常・拓馬(カンパニュラ・d10401)
    紅羽・流希(挑戦者・d10975)
    白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)
    雪乃城・菖蒲(隠世・d11444)
    立花・誘(神薙の魔女・d37519)

    ■リプレイ

    ●声は力
     うつ伏せに倒れていた雪乃城・菖蒲(隠世・d11444)の耳に、心に、人々の声援が届いていた。
     動かなかった筈の指が動き、聞こえなかった筈の鼓動が聞こえてくる。
     ズタズタにされたはずの身体に、力が漲っていた。
    「声援を背に戦うなんて。本当に私達も変わって来てるんですね……ですが!」
     ぎゅっと握った拳が地を突き、菖蒲は立ち上がった。
    「ムッ……!? ホワイ!? ユーはもうスタンダップできるはずありまセーン。やせ我慢は――」
    「やせ我慢? 本当にそう『看えて』いるんですか?」
     仰向けに倒れていた筈の久織・想司(錆い蛇・d03466)が、僅かに浮き上がった。ジグザグにわき上がる妄想が彼を螺旋状に包み、全身へ入れ墨のように走って行く。
     網膜までもが『具現化した妄想』に満ちた想司は、ギラリと左右非対称な目を光らせた。
    「この力、この声……なかなかどうして。心躍るじゃないですか」
     立ち上がり、深く呼吸を整える紅羽・流希(挑戦者・d10975)。
    「正直、勝てる気がしないが……。此方にも負けられない理由がある。背中に、色んな人の期待を背負っちまってるからな」
     アメリカンコンドルの爆撃によって底を突いたはずの体力が、まるで嘘だったかのように満ちていた。百近かった彼の戦闘レベルが、見たことも無いほどに増したように感じた。
    「別の場所で、部員達も戦ってるしよ。部長としては、情けない姿、見せられない」
     彼の足下からオーラがわき上がり、螺旋状の風のごとく吹き上がっていく。剣を振った切っ先の円周ラインが、今や彼の城壁だった。
    「たった三人パワーアップした程度でミーのマネーパワーには届きまセーン! 今ここでヘルへのパスをギブして――」
     アメリカンコンドルの語彙が日本語から乖離しはじめた所で、後ろに転がっていた筈の立花・誘(神薙の魔女・d37519)たちが立ち上がっていた。
     地面から突きあがった影業へ手すりのようにつかまり、だらりと垂らした髪をかきあげる誘。
     影業が髪へまとわりつき、くるくると器用にまとめ上げていく。
    「思ってたより面倒な事態になってなくてよかったです。武蔵坂はダークネスの思惑を読むよりも、とりあえずぶん殴る方が得意ですからね」
     ハッとして振り返るアメリカンコンドル。
    「ぶん殴る? ウィナーのミーを、ルーザーのユーが……?」
    「無理臭いと思うよな。オレもだよ。けどさあ……」
     光と共に現われた泰流に手を引かれ、身体を起こす城・漣香(焔心リプルス・d03598)。
     落ちていた眼鏡を拾い上げ、中指でスッとかけなおした。
    「覚悟、キマッちゃってるからさ」
     もう弱くないんだ、オレも――。
     呟きが力になり、彼の前身に走っていた傷を修復していく。
    「ほんとは今だって恐いんだ。誰かの明日を守れるほど強くないのかもしれない。けど……やんなきゃ。今、やんなきゃさ。後悔するし、したくない!」
     圧倒的な敵を前にして、漣香は笑って口元の血をぬぐった。チッと火花が散り、ぬぐった血が燃え上がる。
     支え合い、立ち上がる白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)と無常・拓馬(カンパニュラ・d10401)。彼らに引っ張られるように、天方・矜人(疾走する魂・d01499)もまた立ち上がった。
     三人同時に、いまいちどカードを翳す。
     飛び出した黄金のシンボルを、禁断の果実を、古びたコンパクトをそれぞれ掴んだ。
    「だから」
    「もう一度」
    「「ヒーロータイムだッ!!!!」」
     矜人がホーリーシンボルを握りつぶした途端、彼のバトルスーツが黄金をちりばめたコートへと変化した。
     一本だけだったゴルドクルセイダーの鞘が展開し、タクティカルスパインが黄金のオーラに包まれていく。彼の肩や背を黄金の甲冑が覆った。
     拓馬が果実を握りつぶせば、天空から現われた球体が展開し、『極』の電子音声と共に強化外骨格へと変形、高速装着された。
     背中には武装が飛び出し、『諸行無常』と書かれた戦旗と法銃を装備する。
     コンパクトを開いたジュンが光に包まれ、全てのマジピュアコスチュームが頭上を転回し、融合していった。そうして、ピンクゴールドの豪奢なドレスが装着された。長く伸びた髪が風に巻き上げられていく。
    「みんなの心をあなたたちの自由にはさせない! 人間にはより良い明日がやって来るという希望が必要なんですから、だから――」
     空から降ってきた巨大なマジカルステッキを掴む。
    「希望の戦士ピュア・ホワイト――みんなの明日を守ります!」

    ●圧倒と圧倒
    「姿が変わったグレードで――ミーのマネーでペイしてやりマース! カモン、アヴェンジャー!」
     アメリカンコンドルが両手でコインを弾くと、無数の機関砲が彼の背部から展開された。
     僅かに浮き上がり、両手を広げて回転を開始。圧倒的な射撃が彼の周囲を薙ぎ払っていく。
     現実であれば地形ごと変えてしまいそうな一斉掃射。
     しかし。
    「なぜでしょうね。弾が止まって見えますよ」
     手を翳した想司。彼の腕から展開した妄想の巨腕が弾を空中で停止させていた。
    「ノンッ――!」
     戦闘機の翼からジェット噴射をかけ、超高速で接近するアメリカンコンドル。鋭い爪が想司へ迫る。
     想司は全身から大量に『妄想の腕』を解き放ち、アメリカンコンドルへと叩き込んだ。
     直撃!
     直撃!
     両者直撃!
    「ホワイ……!? 灼滅者ごときが、ミーの身体にダメージを……!?」
     ぼろりと小さくはがれたアメリカンコンドルの胸部装甲。
     一方で想司は腕が激しく切り裂かれ、大量の血がこぼれ落ちていた。
    「なんだ。ちゃんと痛いじゃないですか」
     想司が、ようやくニヤリと笑った。
    「全く、ダークネスって奴らは。人様の精神世界に出張ってまで、こんな事をするもんなんだな。なんにしても、だ。ダークネスが見せていい夢など、存在しない。たとえ、それが悪夢であったとしても」
     刀を握った流希が距離を詰め、アメリカンコンドルへ斬撃を繰り出した。
     両手の爪で弾くアメリカンコンドルだが、流希の斬撃の速度は倍倍で増していく。
     アメリカンコンドルは食いしばった歯をむき出しにして、額にわずかな汗を滲ませた。
    「認めまセーン! 灼滅者がこれほどのパワー……もはや、ダークネスとイーブンか、モアー……!」
     ギン! という激しい音。火花が散り、両者は同時に飛び退いた。
     声援がワッと沸いたように聞こえた。
     突撃する矜人。
    「無茶や無謀で何とかなるとは思ってねえ。敵の強さはよくわかってる。だが、お前らとなら何とか出来ると思うんだ。さあ、あの鳥野郎にデカい風穴を開けてやろうぜ!」
    「言葉は所詮言葉でしかない。けれど言葉は心で感じられれば大きな力に変わる。俺の声が聞こえるならば、君達の言葉を、想いを、俺達に預けてくれ!」
     法銃を構えた拓馬が、集まった大量のエネルギーを弾に込めて連射した。
    「ソイ鉄砲デース!」
     無数の機関砲を乱射するアメリカンコンドル。
     弾幕に紛れた矜人が、黄金の光を纏って突撃していく。
     と、そんな彼の頭上を跳躍するジュン。
    「敵は強大ですがこちらも今までの活動のおかげで皆さんの声が力になっています。ここで相手に思いっきりぶつかって、私たちの選択は正しかったのだと……胸を張れるような戦いをしましょう!」
    「そうさ、俺達はダークネスの種族じゃない。いつだって人間の自由と平和のために戦ってきた、人類の守護者だ」
     三人の攻撃が一つに合わさる。
    「マジピュア――!」
    「アルティメット――!」
    「ブレイク――!」
     弾幕によって払われそうになった彼らは、無理矢理に突破してアメリカンコンドルに直撃を与えた。
    「ぐあああああっ!?」
     驚愕に目を見開き、痛みと僅かな恐怖に叫びを上げるアメリカンコンドル。
     が、彼とてご当地怪人アメリカ代表。ワールドクラスの幹部である。
    「ミーが、ルーザーなはずありまセーン! ミリオンダラー……ラッシュ!」
     空中制動、着地、から――胸を張ってドルマークを激しく光らせた。
     一撃で一流企業を消滅させてしまうようなマネービームが連続して放たれる。
     直撃を受けたジュンや矜人たちは派手に吹き飛び、ソウルボードに存在する何かの障害物に激突。崩壊させながらバウンドしていった。
    「ジュン、矜人!」
    「ミーはウィナーデース! ルーザーになりなサーイ!」
     両手の爪をギラギラと発光させ、突撃してくるアメリカンコンドル。
     が、それを阻んだのは漣香たちだった。
     右手を漣香が、左手をビハインドの泰流が阻み、霊力と炎を燃え上がらせる。
    「まだオレ達は立てるよ。皆の気持ちを分けてもらえたら、ワシ野郎を追い出せる! 立ち上がる力を貸してほしいんだ」
     声援が強くなる。
     今まで漣香が助けてきた人々の声が、救ってきた命の声が、束になって彼の腕を支えた。
     七色に燃え上がった漣香の炎が、アメリカンコンドルの腕を包み込む。
     負けじとジェット噴射の勢いを増し、翼を鋭くするアメリカンコンドル。
    「さて、人様のソウルボードから退場いただきましょう。ここはアメリカ映画のロケ地でも、ハンバーガーショップ店内でもないんですし」
     地面をタンッ、と踏んだ誘。影業から跳ね上がるように黒い弓が飛び、それをキャッチすると螺旋状に編み上がった矢をつがえた。
    「待っててもアッップルパイは出ませんよ」
     狙いはアメリカンコンドル――を受け止めている漣香だ。
     彼の腕にはびきびきと亀裂のようなものがはしっている。
     それを押さえるべく、癒やしの矢を打ち込んだ。
    「ぐっ……!」
     腕を貫いた矢が開き、彼の腕をコーティングしていく。
     力を増したことで、漣香たちはアメリカンを逆に押し始めた。
     走る足音、飛ぶ足音。頭上をとった菖蒲がバベルブレイカーを構えた。
    「アメリカンコンドル、貴方はここで退場です!」
     菖蒲の打ち込んだ杭が、アメリカンコンドルの胸に輝くドルマークを粉砕した。
    「ノオオオオオオオオオオオオオオオオウ!!!!」
     アメリカンコンドルが、今度こそ本当の悲鳴をあげた。

    ●超越
    「まるでリーマンショック……ありえまセーン……」
     スカスカになった胸元を撫で、首を振るアメリカンコンドル。
    「HA……HAHA! ミーはアメリカ合衆国永年皇帝! 大統領すら手駒! 核ミサイルボタン押し放題! ミーは最強! 地球最強国家のトップオブトップ! そう、リメンバーミー! アイアムナンバーワンッ!」
     ガッツポーズをとったアメリカンコンドル。彼の頭上に無数の戦闘機が現われたように見えた。
    「世界の警察に逆らう罪、思い知りなサーイ!」
     天空に向かって叫ぶと、無数の爆弾が降り注いだ。
     幾度もぶつけられた爆撃に全員が巻き込まれる。
     常人であれば何度となく死んでいただろう。肉片すら残らなかったかもしれない。
     だが。
     誰一人として、倒れてなどいなかった。
     矜人も、拓馬も、ジュンも、流希も、菖蒲も、誘も、漣香も、泰流も、想司も……みなボロボロだったが、血まみれだったが、誰も倒れてなどいない。
     最後の最後、ロールプレイングゲームでいえば1ポイントの体力で、彼らは立っていた。
    「なぜ屈服しない! ミーのパワーにひれ伏せば、栄えある合衆国市民にだって――!」
    「外交が下手くそだな! 行くぞジュン、矜人!」
    「オレ達は限界まで力を出す! だからお前らの想いをさらに乗っけてくれ!!」
     拓馬が仲間と同時に飛び出した。
     イエローゴールドの気を纏った拓馬の槍。
     ピンクゴールドのオーラを纏ったジュンのロッド。
     ホワイトゴールドのオーラを纏った矜人のロッド。
    「想いを力で刻み込む! アルティメット・ブランディング――ファイナル!!」
     その全てが一つに集まり、七色の黄金となってアメリカンコンドルを貫いた。
    「こ、この程度で……ミーがぁ……! アッ、ア、ア、――アメリカンビーム!」
     咄嗟に発射した星ベルトからのビームで吹き飛ばされる矜人たち。
     が、そんな彼の背後に流希と菖蒲が急接近していた。
     流希の刀がアメリカンコンドルの左腕を、菖蒲の七不思議がアメリカンコンドルの右腕をそれぞれ切り落としていく。
    「あ、あああああああああああああっ!」
     展開する無数の機関砲――に対抗して叩き付けられる誘の大砲。
    「アヴェンジャー!」
    「『闇夜の標』」
     一斉射撃、と同時に零距離射撃。
     ごう――と大気をかき分けるように飛び込んだ漣香と想司が、同時に拳を引き絞った。
     泰流の霊力を受けて、漣香の拳が激しく燃え上がる。
    「この力は未来のためにある。オレ達が、ヒトが明日を生きるための力なんだ!」
     妄想が形を無し、想司の腕を何倍にも増やしていく。
    「到底敵いそうもない奴をひっくり返してブチのめす。燃える展開でしょう?」
    「待っ――!」
     アメリカンコンドルの制止など無視して、二人の拳が直撃した。
     白目をむいて吹き飛ぶアメリカンコンドル。
    「こ、今回だけ! 今回だけ、たまたまデース! 現実世界でこうはいきまセーン! 必ず、必ず粉々にし――」
     ばしゅんと音をたて、アメリカンコンドルは粉々に散って消えた。
     振り返れば、仲間たちはボロボロになって倒れている。
     だが……。
    「勝ちましたね」
    「ああ……!」
     漣香と想司は拳をガツンと打ち合わせた。

     今まで助けてきた人々の声援と、それに応えた心によってアメリカンコンドルを退けた灼滅者たち。
     だが本当の戦いはこの先にあるのだ。
     サイキックハーツへと至ったダークネス軍団に、灼滅者は打ち勝つことはできるのか。
     世界の明日はもはや、彼らの腕にかかっていた。

    作者:空白革命 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年5月28日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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