●新宿うずめ様事変~隠れた影は
「みんな、集まってくれたね? それじゃ早速だけど、説明するね」
と須藤・まりんは、集まった灼滅者へ。
「学園に保護されていたエスパーさん。今迄も、身体検査や、現在の状況への説明などを続けていたんだ」
「でも、神無月・佐祐理(硝子の森・d23696)さんからの意見があって、充分な警護を行った上で、エスパーさん達に、サイキックアブソーバーを見て貰う事にしたんだ」
「それで何か分かるとか、特別に期待していた訳ではないんだけど、エスパーさん達がサイキックリベレイターに触れたときに、アブソーバーに暗号めいた文章が出力されたんだ」
「この暗号は、最初は意味不明だったんだけど……新沢・冬舞(夢綴・d12822)さんと漣・静佳(黒水晶・d10904)さんの二人が解読に成功したんだ! この暗号が、サイキックアブソーバーの予知に似た力を持つ者の存在と、その居場所を示す者である事が分かったんだよ!」
「そして、その解読した暗号文章と、私達エクスブレインの予知から導き出されたのは、『うずめ様』が、デスギガスとの戦いで半壊した『新宿迷宮』で何か、を行っている事」
「うずめ様の目的は分からないけど、予知能力を持つ『うずめ様』が、ソウルボードの戦いに加わらないのは、彼らにとって重要な何か、があるという事に間違い無いと思うんだ」
「『うずめ様』は、新宿迷宮の最下層にいるみたいで、配下のデモノイドや羅刹たちは、うずめ様の指示に従いチームを組んで、新宿迷宮下層の探索を行っているみたいなんだ。そこで皆には、探索を行っているデモノイド達を掻い潜るか撃破して、うずめ様の元に向かい、うずめ様の灼滅を目指して欲しいんだよ」
と、続きまりんは、詳しい状況について説明を続ける。
「新宿迷宮の上層部については、もう既に破壊されて瓦礫になっている状態なんだけど、羅刹によって下へと進む道が作られているみたい」
「更に進んでの中層部だけど、あちこち崩れているものの、ここは探索可能な状態にはなっているみたいだね」
「そして下層部。ここは今の所はデスギガスとの戦いや、グレート定礎の出現の影響も無くて、迷宮として機能している様なんだ。そして多数のデモノイドや羅刹達が、何かを探して探索を行っているみたい」
「こんな状態だから、迷宮を、探索する敵を完全に避けて、最下層へと向かう事は難しいと思う。下層の攻略については、予知能力を持つうずめ様の逃走を阻止する為に、あらゆる方向からの同時攻略をする必要があると思う。それに突入するチームは、チーム同士で連携を行わずに、チーム単独での踏破を目指すことになりそうだね」
「迷宮攻略の定石通りに、拠点を作って周囲を掃討しつつ、確実に前進するような攻略を行えば、うずめ様には確実に逃走されてしまうからね」
「相手になるデモノイドや羅刹は、4から6体程度のチームに別れて行動しているみたい。これに遭遇しても、勝てない相手ではないと思うんだ。でも、流石に何連戦もして、全て勝利し続けるなんて事は難しいから、可能な限り戦闘を避けつつ、避けられない敵を確実に撃破し、地下へと向かって欲しいんだよ」
そして、まりんはもう一度皆を見渡して。
「予知能力を持った『うずめ様』が、ソウルボードの戦いに加わらずに、自ら新宿迷宮に来て探索している……理由は分からないけど、どうせ碌でもない事を考えているんだと思う。だから、絶対に邪魔出来る様、皆、頑張ってね!」
と、力強く、送り出すのであった。
参加者 | |
---|---|
影道・惡人(シャドウアクト・d00898) |
神田・熱志(ガッテンレッド・d01376) |
竹尾・登(ムートアントグンター・d13258) |
新月・灯(誰がために・d17537) |
富山・良太(復興型ご当地ヒーロー・d18057) |
風間・紅詩(氷銀鎖・d26231) |
秋山・梨乃(理系女子・d33017) |
吾唐木・貫二(赤眼の復讐鬼・d37267) |
●闇の合間
新宿迷宮深くに潜む、うずめ様。
その理由はまだ、闇に包まれては居る物の……うずめ様の不穏な動きを聞いた多くの灼滅者達が、新宿迷宮の入口へと立つ。
「それにしても……今回の役目は完全に盗賊だなぁ……まぁ、TRPGとかでは大体小人族をやるから、ある意味慣れているけどね……」
と、ぼんやりぼやく竹尾・登(ムートアントグンター・d13258)に、富山・良太(復興型ご当地ヒーロー・d18057)も。
「そうですね。昔のTRPGではマッパーが地図を描くのが普通でしたが、今ではマスターが描くんですよね。まあ、現実に探険する時にはマッパーが描くしかないという……当たり前ですが」
「うん。現実に完成している地図が元から合ったら、それは探険じゃないし。まあ、この新宿迷宮自体は、今迄も何度か探索されているから、ある程度は地図はあるんだっけ?」
小首をかしげると、秋山・梨乃(理系女子・d33017)が。
「ああ。一応事前に資料室や、実際に行った人の話を聞いておいた。勿論、これに頼り切る訳にも行かないだろうがな」
その手には、コピーしてきた100層分の新宿迷宮の地図。
勿論、未探索領域は記されていない、未完成な物であるし……うずめ様らが破壊などしていれば、全く同じ、という訳もないだろう。
「まぁ、無いよりはマシ、って所だべさ。取りあえず、油断大敵って事だべな?」
と吾唐木・貫二(赤眼の復讐鬼・d37267)が言うと、神田・熱志(ガッテンレッド・d01376)、風間・紅詩(氷銀鎖・d26231)も。
「そうだな。特に今回は慎重かつ、大胆に進まないと、うずめ様の所にまで行き立つ事は出来ないといった状況だしな」
「ええ。だからこそ、こんなに多くの仲間達が、この作戦へと参加するのですから……例え私達が辿り着けなくとも、どこかのチームがうずめ様を討ち倒してくれると信じるとしましょう」
そして梨乃、良太二人も。
「そうだな。死に損ないに今度こそ引導を渡してやらなければな」
「ええ。僕もうずめ様とは少なからずの因縁がありますし、ここで決着を付けたいところです」
笑みは替わらないが、強い気持ちを抱いている良太。
と、そんな仲間達の話を聞きつつ、新月・灯(誰がために・d17537)が。
「それにしても新宿迷宮ですか……確か此処は、刺青羅刹の外道丸さんが倒された場所でもあるのですよね。あと、気になるのは、この新宿迷宮下層を探索しているデモノイド達の瞳と心に映るもの全てが、『ロード・プラチナ』の元に届いているかですね」
と問うと、影道・惡人(シャドウアクト・d00898)が。
「んー……ま、届いてんじゃね? 少なくとも下層を徘徊してるのはデモノイドや羅刹達なんだし。わかんなきゃぶったたいて話を聞き出すだけだ。めんどーだがな」
悪びれもなく、言い放つ惡人に灯はそうですね、と頷きつつ。
「まぁ、何にしても大変な事に変わり在りません……と、そろそろ作戦開始の様です。わたし達も向かいましょう」
周りの仲間達の動きを見て、灯が促し……そして灼滅者達は、新宿迷宮へと突入していくのであった。
●一つ一つの影に
そして灼滅者達は、新宿迷宮へと潜入する。
上層部は、既に様々な箇所は破壊され、多くの瓦礫が転がっている。その結果として、地図とは多少違う進路にはなるものの……進む分には大きな問題には至らない。
ただ、当然の事ながらフロア数は多く、進む分には多少時間が掛かり……不意な遭遇を避ける為にも、決して警戒を解くことは無く、進む。
……そして、上層部を切り抜けるのに30分程がかかり、切り抜けていくと、中層。
中層はあちこちと崩れては居る為、地図とは色んな部分が狂い始めている。
が、全く以て探索出来ない様な状況では無く……。
「取りあえず、探索をしないといけませんね」
と灯りを灯し、進軍先を照らす。
そして、その光源が届くギリギリの所へ先行して歩くは登と、ダルマ仮面。
その手には、赤いフェルトで頭を覆い、光量を抑えた懐中電灯と、3m33cmの棒。
更にカバンの中には潤滑油、手鏡、フック付のロープにドライバー、バールなどを詰めて、探索の準備は万全。
そしてそこから少し離れた位置に紅詩、熱志に梨乃。
対し後ろ側には灯、良太、貫二に惡人。
そんな隊列で、暗い中層部の新宿迷宮を進む。
前の地図を元に、追加のマッピングをしながら進んで行くと……新しい道が出来て居たり、逆に塞がっていたり、と。
「……うーん。本当はこっちを右に行かないと行けないんだけど塞がっちゃってる……」
と顎に手を当てて考えて居ると、それに惡人が。
「そーゆー時ぁこっちさ。左手の法則、ってな」
壁に左手を当てて、左へ、左へ。
確かに多少は周り道になってしまうものの、むしろ敵との遭遇を避ける為には、都合が良い。
……そして曲がり角に差し掛かったら……。
「ちょっと待って」
とハンドサインで後方に登が知らせ、手鏡で曲がり角の先を確認。
敵が居なければ進み、次の曲がり角ではまた、手鏡。
又、灯から。
「危なそうなところは、離れたところからこの3.3メートル棒で、注意深く突いて罠を確認するとしましょう」
と提案を受け、適宜棒を壁や天井に軽くコツコツと当てる事で、罠が無いか、罠があれば誤発動してくれる様に工夫していく。
勿論、罠が発動した所には、マッピングに印を残し、以降の資産として残す様にする。
……そして、中層部を探索するのに、約40分。
一層と不穏な気配が漂う下層に辿り着いた灼滅者達。
貫二のDSKノーズには、ひしひしとデモノイドの匂いを感じる事が出来て。
「……おう、中々の匂いだべな。でも……そんなに強く無い気もするだべ」
聞いた限り、多くのデモノイドと羅刹が居ると言うのだが……DSKノーズで感じるのは、ぼんやりとそんなに多く無い様にも思える。
そして……その時。
『グゥゥゥ……ガア!!』
と、咆哮を上げて、前の方から突撃してきたデモノイド。
視界に捕らえたと共に、即座に仕掛けてきたからには、避ける事も出来ない。
「ったく、しゃーねえな。おぅヤローども、殺っちまえ」
と肩を竦めつつ、全体に指示。
先陣切って灯が、駆け込んできたデモノイドにレイザースラストを撃ち抜くと、続く感じが。
「デモノイドは死に尽くせ!!」
と叫びながら、DMWセイバーの一閃を叩き込む。
そして、惡人もレイザースラストで撃ち抜くと……デモノイドの身体に、大きな風穴を開く。
そして、熱志はご当地ビームを放つと、登は鋼鉄拳、ダルマ仮面はキャリバースピン。
そして良太のビハインドの中君は霊撃、梨乃のウイングキャットのミケが猫魔法でそれぞれ攻撃し……最後に、紅詩が。
「取りあえず、余り時間を掛ける訳には行きません。容赦無く行きますよ」
と言いつつ、至近距離でレーヴァテインでの一閃。
……と、そんな猛攻の前に、デモノイドは早々に崩れ墜ちる。
「お疲れ様……と、一端身を隠すよ」
と良太が指示し、今来た道の中で、身を隠せるところへと戻り、急ぐ。
……息を潜め、敵の気配が無くなるまで……暫し。
周りから気配が無くなったところで、身を乗り出し、左、右と確認。
「ふう……問題無さそうだね」
と安堵の表情を浮かべる灯。
それに対し。
「それにしても……この様な事をして、うずめ様は何がねらいなんだろうか?」
と、小首を傾げる熱志だが、当然うずめ様に聞かない限り、答えは分からない。
「そうだな……うずめ様のする事だ。何かしらの力を手に入れようとしている気がするのだが、実際の所は分からんな。ともあれ、今回の目的はうずめ様を倒す事が目的だ。その為にも……うずめ様の元に辿り着かなければならない」
「そうだね。とは言っても、戦闘を続けたら疲弊するだけだし……中々バランスは難しいけど、頑張らないとね」
と頷き合うと共に、灼滅者達は更に進む。
「また、敵影発見! 今ならあっちは気がついていないっぽいから急げば撒けるべ!」
と、回避出来ない様な戦闘にならない限り、敵が進路上に現れた時には、身を潜ませてやり過ごす。
又迂回路を中心に進む事で……元々、敵と遭遇する可能性が低いルートを取りながら、下層へと進んで行く。
……ただ……いかんせん、敵の数が多い。
どうやら他の仲間達も……強行突破をしないのが多かった様で、敵の数は思った以上に減っていない様である。
そして、回避しきれない敵との戦闘は幾度となく有り。
「っ……しゃーねぇな」
と舌打ちしながらも惡人は。
「オラオラッ、どけや!」
とレイザースラストやガトリング連射で一斉掃射。
同時に灯のレーヴァテインに、貫二が。
「とっととくたばれロクデナシ!」
と断じながらも、一匹、また一匹討ち倒し続ける。
……しかしながら、中々敵陣を切り抜けることは出来ず、時間は刻一刻と過ぎていった。
●傷負いの翼に
そして、数多くのデモノイドと羅刹を倒しを続けた灼滅者達。
新宿迷宮に潜入し、2時間半以上が過ぎた、その時。
『みんな、うずめ様は倒したよ!』
今迄はホワイトノイズしか流れていなかった無線機から流れてきた、嬉しい言葉。
うずめ様を倒した事により、無線機が通じるようになったのだろう。
「流石に、時間掛かりすぎちゃったかな……」
と、登がぽつり呟くと、梨乃が。
「そうですね。でも、うずめ様を倒したのならば、作戦は成功です。後は……私達がちゃんと帰れるか、ですね」
ここは新宿迷宮下層部。
たとえうずめ様が死んだとしても、羅刹、デモノイド達はまだまだ居る訳で。
「んじゃ帰ぇるか」
と言う惡人のさらっとした言葉に、紅詩が。
「そうですね。少なくとも中層までは行き着かないと、息をつく事が出来ませんから……急いで来た道を戻るとしましょう」
そして、多くの敵がまだまだ巣くう新宿迷宮下層部を、注意しながら撤退していくのであった。
作者:幾夜緋琉 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
|
種類:
公開:2018年6月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|