戦神の軍団~魔人たち

    作者:紫村雪乃


     東京近郊の倉庫。
     打ち捨てられたそれの近くに人の姿はない。が、中には異様な気が満ちていた。
     殺気。もしくは妖気。それが瘴気のごとく渦巻いているのである。常人であれば、その気にうたれただけで悶死するのではないだろうか。
     倉庫の中には五人の男女がいた。
     屈強な体格の男。長い黒髪の秀麗な娘。獰猛そうな若者。理知的な風貌の少年。短いスカートから輝く太腿を惜しげもなくさらした美少女。
     彼らの名は小栗大樹、神奈川恵、吉原太郎、国分圭、大町久美といった。人間ではない。ダークネスであった。
    「……いつまでここでじっとしてなけりゃあならないんだ」
     獰猛そうな若者――吉原太郎が吐き捨てた。すると秀麗な娘――神奈川恵が冷たく一瞥した。
    「静かにしてよね。こっちまでイライラしてくるから」
    「なんだと」
     太郎が恵を睨みすえた。すると理知的な風貌の少年――国分圭が二人の間に割って入った。
    「まあまあ。喧嘩しても仕方ありませんよ。もう少しアポリアからの連絡を待ちましょう」


    「闇堕ちしていた灼滅者達の救出は、おおむね成功しました」
     五十嵐・姫子(大学生エクスブレイン・dn0001)はいった。
    「しかし、六六六人衆のハンドレッドナンバー、戦神アポリアの逃走を許してしまいました。……狐雅原・あきらさん自身が救出を望んでいなかった以上、やむを得ない事だったかもしれません」
     ため息をこぼすと、姫子は続けた。戦神・アポリアが動き出したようだと。
    「アポリアは、どのサイキックハーツの勢力にも属していない野良ダークネス達を集めて自分の軍団を作ろうとしているようです。彼の目的が第三勢力の結成であるのか、或いは戦争に介入して場を争うとしているのか、それとも既に何れかのサイキックハーツ勢力に協力している状態なのかはわかりませんが、アポリアの思うとおりに事を運ばせるわけにはいきません」
     調査の結果、アポリアが集結場所に指定した場所が判明していた。その一つは東京近郊の倉庫である。
    「皆さんは、その集結場所に向かい、集まっているダークネスの灼滅をお願いします」
     敵はアンブレイカブルが一体、六六六人衆が一、羅刹が一体、デモノイドロードが一体、淫魔が一体の合計五体。互いに連携などはとれておらず、協力して戦うということはなかった。
    「アポリアがわざわざエスパー達を害する危険のあるダークネス達を集めて灼滅の機会を作ってくれたわけだから、ある意味、チャンスかもしれません」
     姫子はいった。


    参加者
    蒼月・碧(碧星の残光・d01734)
    ストレリチア・ミセリコルデ(白影疾駆の呑天狼・d04238)
    エミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・d04722)
    戯・久遠(悠遠の求道者・d12214)
    富士川・見桜(響き渡る声・d31550)
    リディア・アーベントロート(吸血鬼はんたー・d34950)
    ソラリス・マシェフスキー(中学生エクソシスト・d37696)
    パオラ・ストラヴィンスキー(高校生シャドウハンター・d38255)

    ■リプレイ


    「いろいろなダークネスを集めて何をするつもりなんでしょう…」
     大きな廃倉庫を見つめ、蒼月・碧(碧星の残光・d01734)は眉をひそめた。真っ直ぐな眼差しをもつ可愛い少女だ。
    「それはわかりませんが」
     浅黒い肌の、穏やかな顔立ちの少女がこたえた。そして肩をすくめると、
    「まだこんなに野良と言うか……敗残ダークネスが残ってるんですか。彼らも同朋から爪弾きにされたのかもしれませんが……人に仇なすのなら、見過ごせません」
     少女――ソラリス・マシェフスキー(中学生エクソシスト・d37696)は、その優しげな容姿からは想像もできないほどしっかりとした声でいった。
     するとエミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・d04722)という名の少年がうなずいた。人形のように綺麗な顔立ちの少年だ。人形のように表情もまた乏しいのだが――。
    「エスパーを害する恐れのあるダークネス……人類の存亡を懸けた戦いの最中とはいえ見て見ぬ振りなんて出来ないよね? それが僕たちの選んだ道なんだから」
    「掃討戦とはいえ、油断は禁物だぞ」
     戯・久遠(悠遠の求道者・d12214)が警告した。静かな声音だが、よく通る声。身ごなしは只者でないことを窺わせた。
    「だね」
     富士川・見桜(響き渡る声・d31550)がこたえた。ハスキーだが、久遠以上に良く通る声だ。大きいというよりも、心に染み入るような声音であった。
    「気を付けて戦わないとね。まずは目の前の敵を一人ずつ……あきらちゃんとは知り合いだから、彼のダークネスが蒔いた種ならなんとかしておきたい」
    「戦神?」
     パオラ・ストラヴィンスキー(高校生シャドウハンター・d38255)が首を傾げた。白蝋を思わせる白い肌の少女の脳裏をかすめる名があった。
    「そう言えば、そんなのが以前、ちょろっと出てきてましたね。何したかったんでしょうね?」
     誰にともなく問うと、すぐにパオラはニッと笑った。
    「まあ、そんなことはどうでもいいよね。今回は敗残兵をわざわざ集めて、一網打尽にするボーナスステージまで用意してくれましたし」
    「誰が敗残兵だ?」
     含み笑う声。
     はっとして振り向いた灼滅者たちの眼前、爆発したように倉庫のシャッターが吹き飛んだ。


     もうと立ち込める粉塵。その中におぼろにうかぶ五つの影があった。
    「アポリアが来たかと思ったが、違うようだな」
     屈強な体格の男がいった。小栗大樹だ。すると短いスカートから輝く太腿を惜しげもなくさらした美少女――大町久美が問うた。
    「誰、あなたたち?」
    「普通の人間ではありませんね」
     理知的な風貌の少年が目を眇めた。これは国分圭である。
    「なんだっていいじゃえか」
     獰猛そうな若者――吉原太郎がニヤリとした。
    「殺ろうぜ。退屈してたんだ」
    「血の気が多いんだから」
     呆れたように長い黒髪の秀麗な娘が肩をすくめてみせた。が、灼滅者たちを見据える娘――神奈川恵の目には不気味な光があった。殺戮衝動という光が。
    「六六六人衆! リディアが相手だよ!」
     恵の前に一人の少女が飛び出した。ツインテールにした金髪を青いリボンで結んだ美少女で、しなやかな肉体を覆う戦闘衣はは腹部が大きく開いており、可愛らしい臍が覗いていた。リディア・アーベントロート(吸血鬼はんたー・d34950)である。
    「私の相手?」
     ふふ、と冷たく笑うと恵が足を踏み出した。
    「俺の相手をしてくれるのは誰だ?」
     ニンマリと笑いつつ、太郎が灼滅者たちを見回した。すると煌く銀髪をゆらして、お嬢様然とした端麗な美少女が進み出た。
    「あなたのお相手は私、ストレリチア・ミセリコルデ(白影疾駆の呑天狼・d04238)がいたしますわ」
    「となると、俺と戦いたい奴もいるということだな」
     大樹が口を開いた。
    「お前の相手は俺だ」
     久遠がこたえた。
    「はあ」
     ため息をもらしたのは久美であった。
    「わたしと遊びたい子もいるの?」
    「ボクだよ」
     久美の前に碧が立った。
    「あなたの相手は私よ」
     圭の前に見桜が進み出た。すると圭は見桜の全身をじろりと眺め回した。
    「ふーん。一人で僕の相手を?」
     訝しむように圭は目を眇めた。
     その時だ。地が鳴動した。ソラリスが交通標識を地に叩きつけたのである。
     瞬間、恵が動いた。鞘はしらせた日本刀の刃を薙ぎつける。切り裂かれたリディアの肩から鮮血がしぶいた。
    「きゃんっ! やったな、このぉぉっ!」
     ナノナノのナノちゃんの治癒を受けつつ、リディアは跳んだ。ぷるんと引き締まった尻を恵にぶつける。
    「あっ」
     恵は呻いた。爆裂したように彼女の身がはじけたからである。接触した瞬間、リディアが魔力を恵の体内に流し込んだのであった。
    「やってくれたわね」
     恵の目が血色に光った。


    「さあ、俺たちも始めようぜ」
     太郎が獰猛に笑った。するとストレリチアは優雅に笑み返し、
    「吉原太郎さん?」
    「何だ?」
    「つかぬ事をお伺いしますが、貴方はこれまでに人を殺めたことは? お答え頂けるなら、私を好きにして頂いて結構ですのよ」
    「ほう」
     太郎の笑みに陰惨なものがまじった。そうと見てとり、ストレリチアは苦笑しつつ、首を横に振った。
    「でもまあ…愚問、なのでしょうね。――いえ、もう十分。貴方を斃す理由としては、十分ですの」
    「斃す? 俺を斃すってか」
    「ええ。私を好きにして貰って良いですけど、噛みつかないとは言ってませんわ。では…参りますのよ」
     ストレリチアは地を蹴った。人狼の脚力は瞬間的に時速六百キロメートル――亜音速をしぼりだす。一瞬でストレリチアは距離をつめ、二振りの日本刀をたばしらせた。ドレスの裾が翻り、濃い恥毛と奥の秘唇、ぷるんとした尻と茶色のすぼまりがさらけ出されたが、ストレリチアが気にしている様子はない。
     羅刹を斬った。
     手応えを覚えた瞬間、ストレリチアの身に太郎の拳が迫った。異形化した拳だ。刃がまとっていた膨大な畏れに身を灼かれていながら、太郎の拳には必殺の力が込められていた。
     ぐしゃり。
     粉砕された。ストレリチアをかばったクー・シー――ライドキャリバーが。

    「あなた達が何を考えてるのかは知りませんが、企みもここまでですよ」
     碧は跳んだ。流星のごとき煌く蹴りを放つ。
     同じ時、久美もまた跳んでいた。舞うがごとき蹴撃。
     空で二つの脚が噛み合った。衝撃に空間そのものが震える。
    「やるわね」
    「キミも」
     碧がこたえた。
     その時だ。久美の身体が爆発した。
    「rompe fuerza」
     マテリアルロッドを手にエミリオは舞い降りた。そして地に転がった久美を見やり、
    「flechas de luz! ところで……本当にアポリアから連絡なんて来るの? 騙されたってことはない?」
    「そ、そんなことは――」
     久美の可愛らしい顔がゆがんた。もしかすると久美自身、信じていなかったのかもしれない。


    「ふふふ」
     圭が笑った。理知的な風貌には似合わぬ邪悪な笑みだ。
     次の瞬間、圭は変身した。鋼の光沢をもつ青い皮膚に覆われた魔物の姿へと。
    「なんのためにどうして戦ってるのか」
     圭の姿を見つめる見桜の口から声がもれた。常に自身に問いかけているものだ。
     なんのためにどれだけたくさんのものを斬ってきたのか。まだ完全な答えは見つからない。けれど理由の一つを見桜は見出していた。
    「切り刻んでやるよ」
     牙をむき出した口から涎を滴らせつつ、圭は襲った。その手は瞬時に巨大な刀と変じている。
     ざっくりと圭の刀が見桜を切り裂いた。が、見桜は怯まない。その手のリトル・ブルー・スター――クルセイドソードに寄生体をまとわせ圭の胴を薙ぐ。切り抜けながら、見桜は独語した。
    「力でしかどうにか出来ないことは寂しいけど、誰かを守るって決めてるからね。迷うことはないよ」
    「何をぶつぶつと」
     胴を切り裂かれた圭が振り向いた。その手は刀から砲へと変化している。が、砲が炎を吐くことはなかった。空を疾った帯が彼の背を打ったからである。
    「敗残兵が雁首揃えて、アポリアの招待受けたと思ったら……地獄行きの片道切符だったみたいですね?」
     鋼鉄の硬度をもつ帯を回収しつつ、パオラは薄く笑った。
    「まあ、シベリア送りとどっちがいいかは分かりませんが。って、あなた方は寒くても平気でしたっけ。その無駄な頑丈さが羨ましい」
    「き、貴様」
     圭の口から憤怒の声が発せられた。すると、慌ててパオラは手を振った。
    「って、怒ったからって、人の服を破ったりしないでくださいよ? こちとら一張羅で、このあとスーパーに見切り品漁りにいくんですから! ボロボロの格好になって、スーパーに行けなくなったら……怒りますよ?」

     戦いはすでに始まっていた。が、久遠と大樹はいまだに対峙したままである。
    「腕におぼえがあるようだな。手合せ願おうか。もっとも、向かってくる勇気があるのならば、だがな」
    「ふっ」
     不敵に笑うと、大樹は足を踏み出した。無造作に間合いをつめる。
     久遠もまた足を踏み出した。海原を思わせるオーラを身にまとわせて。
     そして間合いはつまった。刹那、二人は拳を繰り出した。目にもとまらぬ一撃だ。
     ガシッ。
     岩と岩が相博つ重く硬い音が響いた。鋼の硬度をもつ二つの拳が二つの顔に食い込んでいる。
     ニヤリ。
     二人の猛者が笑った。


     続く攻防は激しさを増して。が、灼滅者たちは身体の異変を感じとっていた。生命力の賦活化により、戦闘力が増しているのだった。
     久美の口から歌声が流れ出た。可憐な声だが、それには破壊的な力が込められている。碧とエミリオの身が刃物で切られたように裂けた。
     と、地を影が疾った。それは刃の鋭さを秘めていた。切り裂かれた胸から黒血がしぶく。
    「エミリオ。ここはいいから他の人のところへ」
     エミリオに告げると、碧は久美に襲いかかった。
    「ここで遊んでる場合じゃないの。だから、一気に行かせてもらうよっ!」
     碧が手を振り上げた。その手から白光がのびる。サイキックエナジーで造りあげられた光剣だ。
     影に切られて態勢を崩した久美には避けられない。一気に碧は久美を斬り下げた。

    「ふんっ」
     太郎が腕を振った。生み出された風が空を疾る。
     ストレリチアは横に跳んだ。が、躱しきれない。彼女の身を風が薙いですぎ、鮮血とドレスが舞った。
    「くっ」
     足に激痛をおぼえ、ストレリチアは膝をついた。
    「はっはは。尾の前の肉体、好きにさせてもうぜ」
     太郎が躍りかかった。が、すぐに太郎は地に落ちた。その肩には矢が突き刺さっている。高純度に圧縮された魔法の矢が。
    「間に合ったようだね」
     表情も変えずエミリオがいった。

     下方から大樹の拳が上方に疾りぬけた。咄嗟に身をひいた久遠の頬をかすめてすぎる。稲妻と化した闘気が空にむかってのびていった。
    「我流・紫電光風」
     頬をぱっくりと切り裂かれた久遠が、開いた大樹の身体めがけて拳を繰り出した。
     凄まじい速さの連打。が、左腕でガードした大樹はニンマリと笑んでいる。スウェーバックした状態から繰り出したパンチの威力は半減していたのである。
    「浅かったか」
     久遠は再びかまえをとった。

     ライドキャリバーが地を噛んで走った。
    「邪魔だ」
     圭が巨腕ではじく。吹き飛ぶライドキャリバー。が、その瞬間をパオラは待っていた。
     空を光が貫いて疾った。パオラが放ったものだ。
    「ぎゃあ」
     獣のような声を圭は発した。そして腕から光を噴出した。苦悶しつつパオラを狙っていたのはさすがである。光に灼かれてパオラは倒れた。
    「やってくれたね」
     報復。
     圭と同じように腕を砲と変え、見桜は圭を狙い撃った。
    「まだだよ」
     仰け反る圭にむかって見桜は駆けた。そして寄生体をまとわせたリトル・ブルー・スターで一気に斬り下げた。
    「こう言うのはもう、終わりにしたいよね」
     荒い息とともに、見桜は声を吐き出した。


     リディアが気づいた時、恵はすでに彼女の背後に回り込んでいた。刃が閃き、リディアの背が切り裂かれる。
    「くっ」
     振り返りつつ、しかしリディアは驚いていた。
     六六六人衆の一撃だ。本来ならすでに瀕死状態に追いやられている。が、リディアは致命の一点をずらしてのけていた。やはり戦闘力があがっているのだ。
     怨念が込められた魔槍をリディアは繰り出した。恵はわずかに身動ぎし、躱した。いや――。
     恵は躱しきれなかった。ドリルのように捻りを加えられた槍は彼女の脇腹をえぐっている。恵が呻いた。
    「馬鹿な」
    「おかしなことはないよ」
     声は恵の背後から響いた。碧だ。
    「準備はいい? それじゃ、行きますよっ!」
    「わかったよ、碧おねーちゃん!」
     同時にリディアと碧が動いた。空を引き裂く流星と化して放たれた碧の蹴撃。常人には視認不可能な速度でふるわれたリディアの打撃。
     反射的に恵は碧の蹴りを刃で受け止めた。が、リディアの拳は防ぎ得なかった。
    「ああっ」
     凄まじい衝撃に恵が吹き飛ばされ、地に転がった。
    「リディアの、勝ちっ!」
     恵が立たぬことを確認し、リディアは二本の指をたてた。

    「かつては私も大人達から利用され、最後には爪弾きにされてました。でも真に自身のこと以上に私のことを思い、幸せを願ってくれた人達も居た。そんな人たちを――その内に輝く光を護るためなら、私は戦います」
     ソラリスは巨大な交通標識を地に打ち下ろした。地を揺らす鳴動が仲間の魂を震わせる。
    「rompe fuerza」
     エミリオがマテリアルロッドを太郎に叩きつけた。咄嗟に太郎が腕で受け止める。
     爆発。腕を半ば粉砕された太郎が吼えた。だから気付かなかった。背後からするるすると近寄るストレリチアに。
     汗に濡れて透けるドレスの裾翻し、ストレリチアは渾身の一撃を唐竹にうちおろした。
     ぐしゃり。
     頭蓋を小砂利に変え、太郎はどうと倒れた。

    「……仲間はみんな殺られたぞ」
     久遠がいった。すると大樹はふふんと笑った。
    「仲間?そんなものは俺にはない」
    「だからお前たちは弱い」
     久遠がいった時、パオラの手から帯がとんだ。すると大樹は左手ではじいた。のみならずパオラに接近、拳を彼女の腹にぶち込んだ。が――。
     背後から薙ぎつけられた見桜の斬撃は避け得なかった。鮮血に吹きくるませる大樹。
    「これが俺たちの力だ。俺の全身全霊の拳、くれてやろう。我流・要散木」
     久遠がパンチを放った。ゴオ、と唸りをあげて疾ったそれは、ガードした大樹の腕ごと彼の顔面をぶち抜いた。


    「無事に終わったか。皆、大丈夫か?」
     五体のダークネスの骸を見回してから、久遠が問うた。すると七人の灼滅者たちがうなずいた。
    「これで一先ずは安心、かな?」
     エミリオは小さく息を吐いた。残念そうなのは碧と見桜、リディアの三人だ。彼女たちはアポリアについての情報を得ようと思っていたのであった。
    「心配はいりません。私たちがいる限り」
     そういうソラリスの声は大きく、遠くまで響いた。

    作者:紫村雪乃 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年7月6日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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