●
「サイキックハーツ大戦の完全勝利おめでとうなのよ!」
瞳をきらりと輝かせ、不破・真鶴(高校生エクスブレイン・dn0213)は幸福そうにそう言った。
「まだまだ問題はあるけれど……でも、ダークネスの脅威がなくなったってなればとってもとっても幸せだと思うの。これからどうするか――考える必要はあるけれど、その前に皆と修学旅行を兼ねておでかけがしたいのよ」
猫の様な金の瞳を細めて、真鶴は言う。
現在の世界は、人類エスパー化の影響が出始めている。しかし、社会的にはまだ平穏を保っていると言えるだろう。
この状況の内に、世界の未来を考える『未来を担う我々』が世界の実情を視察するべきではないか――と。学園のエクスブレインが世界視察に出かけることになったのだが……。
「わたしは母の母国、フランスに向かう、のだけど。
灼滅者のみんなも一緒に来てはくれないかしら……。その、今後の世界を考える一助になるかもしれないし、あと、その――」
みんなとなら、楽しいもの。
ぽそりと呟いた真鶴はどこか照れくさそうに目を伏せた。
向かうはフランスが首都。オペラ座の怪人が潜むガルニエ宮やエッフェル塔といった主要的観光地があるパリだ。
「多くの人が行きかう観光地の方が『一度に得れる情報』が多いと思うの。
あと、マナの――パパとママはパリで出会って……えへへ、なんでもないのっ!」
ふるふると首を振って、真鶴はパリの観光名所を上げていく。
3泊4日で宿泊先のパリから長距離の移動は余りに今回の視察旅行とは目的が合わない。
パリに軸を置いて、美術館やガルニエ宮、エッフェル塔と食事を楽しみながらの情報収集はどうかと真鶴は微笑んだ。
「視察という目的だけれど、普通にみんなで楽しむ事が大事だと思うのよ。
あっ、もしもデートをするなら宮殿とかもきっと楽しそう――もし、結婚式をするなら是非教えてね。マナ、頑張って予約もとっちゃう」
てへ、と微笑んだ真鶴。どこか浮足立っているのは彼女の大好きな『しあわせ』を灼滅者が勝利でくれたからだろうか。
「ふふ、一緒に楽しく情報集め――旅行をしましょうね。たのしくなるとうれしいのよ」
●
華やぐ街は日本の喧騒とはどこか違う。花の都に酔う様に、ぎゅうと詰め込まれた人波を抜ければそこにあるのは喧騒より離れた麗しの建築物たち。
瞳をきらりと輝かせ、飾ったフリルを大きく揺らした雛が振り仰ぐ。黒手袋に包まれた指先同士が合わさって故郷の空気を肺一杯に吸い込んだ淑女はきらりと瞳を輝かせる。
淑女たれと微笑む雛の傍らでこてりと首を傾げたエステルは常の如く「むきゅ」と小さく鳴いている。彼女を幼く見せる白のロリィタドレスの袖口で口元を隠してはぱちり、ぱちりと瞬かせて。
「ウィ、マドモワゼル達の教育も大変ですの。美味しく頂きましょう」
このはとエステルと共にいざ、フレンチ。メインディッシュの子羊のローストは手掴みではいけないと窘める『ひなちゃん先生』にエステルとこのはは四苦八苦。
「ナ、ナイフとフォーク……お箸は! お箸はどこなのー!?」
まだまだ淑女は遠いようで。
「皆でフランス旅行♪ ワクワクします。凄い長い戦争でしたからね。ご褒美と思えば楽しめます」
金の瞳を輝かせた陽和は楽し気にくるりと振り仰ぐ。楽し気にステップ踏んで進む陽和を追い掛けて「転ばないように」と忠告した朔夜は頬を掻く。双子の姉と同じ色の瞳はそれでも尚、爛々と輝いていて。
「……――――ここはどこーーー!?」
靭の叫び声が木霊する。は、と頬を赤らめて彼はすみませんと小さく呟いた。勇弥はくすくすと小さく笑う。ずっと日本だったもんね、といえば靭は大きく頷いて。
「色々回ってみようか。カフェの参考にもなるしね。お土産のカフェオレ・ボウルも欲しい所だけど」
「あ、クロカンブッシュ……」
お菓子作りができる人が多かったと合点の云った靭に双調はゆるゆると頷く。鈴音のお祝いのクロカンブッシュはおいしかったと思い出す様に告げる双調に空凛は彼と陽和の食べ物を見る視線は素敵だと告げて小さく笑う。
「姉貴が結婚する時はあたしがこれを作る! その日迄目一杯勉強して全力で準備して皆を笑顔にするパティシエールになれるよう頑張るよっ!」
「鈴音さんに作ってあげたい、ですか。天音さんなら絶対いいものを作れますよ」
頷く燐に凛は「天音ちゃん!?」と大きく瞬く。「……うん、いつかその日が来たら」と言葉を繋げる。私も祝いたいとそっと言葉にして。
「鈴音さんのことを思いながら作るのなら、きっと美味しいものになるでしょうね」
涼子の微笑みを受け、鈴音は目線を揺れ動かした。天音が作るなんて――と思いながら、結婚式の時に、と言われれば何かがこみ上げる。
ゆっくりと、凛と天音を抱きしめて。楽しみにしてるわね、とそっと囁いた。
「パリって、名物の料理とかどんなものがあるのでしょうか?」
悩まし気に指先が揺れ動く。藍蘭の言葉にフランス料理と聞けばテーブルマナーを思い浮かべた葉織の表情が僅かに歪む。
「フランス料理……マナーとかいろいろ緊張しますよね」
サッカースタジアムへと向かえば真琴はきょろりと周囲を見回している。
スタジアムの外観をじっくりと見て、傍のグッズショップへ直行すれば、其処に並ぶのは憧れの商品ばかり。
(「世界的にも有名なクラブ、なだけに諸外国からのお客さんが来ている筈です――視察には事欠かない」)
なんて、言いながら手にはグッズの山。それは藍蘭や葉織が楽しむ気持ちと同じなのだ。
●
「パリの景色って……とっても、豪華だよね……。なんだか、童話に出てくるお姫様の世界みたいなの……」
宵の色の瞳を細めたシャオはドレスでこの都を歩みたかったかな、と小さく呟く。真鶴だってシャオと同じだ。綺麗なお姫様と白馬の王子様にあこがれる。
「お母さんの故郷……とっても、ステキだね」
「シャオさんにそう言ってもらえて、とってもとっても嬉しい」
紗綾が向かったのは師匠との思い出の地。修業時代の思い出と武蔵坂での日々に思いを馳せて緩く息を吐いた。
お菓子作りを教えてくれたフランスのシスター。支障を思いながら焼き菓子を購入した紗綾はマドレーヌ、フィナンシェ、マカロンを選び取る。
頷き、紗綾は真鶴へとマカロンを差し出した。よければ、とその言葉と共に渡されたのは彼女のオススメなのだろう。
「Vous avez fait tomber quelque chose !」
くる、と振り返った真鶴に成海は冗句めかして「-Votre sourire」と続ける。
「ね、不破さん。私もこの街が好きよ。訪れた平和が崩れぬように――この先も、貴女の好きな世界を護れるように」
瞳を覗き込めば、戦えぬことを不安がるエクスブレインが息を飲む。笑ってちょうだいな、と囁いて。
「花の都に溢れる笑顔に、誓うわ」
雑踏を見回して、雄哉の袖口をくいと引いた愛莉の笑顔が華やいだ。
「お久しぶりです。昨年の修学旅行以来……でしょうか」
ぱちりと瞬く真鶴に三人でと雄哉は淡々と告げる。愛莉は折角だものとガイドブックを片手に幸せそうに笑みを溢した。
「ようやく、守るべきもののために戦えるようになりました……もちろん、その中には不破先輩も入っています」
観光地を巡り記念撮影を楽しみたいという愛莉の背を追いながら雄哉は世界の事が落ち着いたら今度は自分の事も、と言葉を続ける。
「ふふ。落ち着いたら本格的に結婚を考えてるの。式を挙げるときはマナさんにも連絡するからね」
ぱあ、と笑みが華やいだ。ねえ、それってとっても幸せねと言葉を続けて微笑んで。
ノートルダム大聖堂で祈りを捧げる。チセは目を伏せて輝くステンドグラスへと手を伸ばした。
神聖なる空気を一身に浴びながら、一番見たかった円形のバラ窓へ。朝の陽の光はとても美しくい。
きゅ、と目を瞑る。これからの事を思って祈りを捧げて。どうか、どうかこれからの世界が皆様にとってよき世界となりますように。
「おとうさま、おかあさま、ただいまですの……」
生まれ故郷を目指すシエナは嘗ては自身の家のあった場所へと向かった。思い返せば逃げることに精一杯だった過去。
様々な事をプランニングしていた。この後は動物病院でフランス全体の医療事情を確認したいと考えているし、見学が終わったらフランスのグルメを楽しみたいとそう考えている。
咲哉は一つ、真珠と約束をしていた――『いつか一緒に世界中を旅してみよう』
雨の日のあの約束を漸く果たせる機会が来たのだと咲哉は各国の下見に余念はない。
マルシェを歩けば、彼女はどんな表情をするのだろうか。
世界を巡るのは未だまだこれからだ。これからも一緒に彼女と共に思い出を紡いで。
こっちですよ、と香乃果は真鶴を手招いた。パリ観光の定番を峻と香乃果と共に、というのは贅沢ではないだろうか。
「凱旋門にどうやって近づけば……わ、地下道なのですね。展望台まで階段で登るのは大変だけど頑張ります」
香乃果はカタツムリを登ってるみたい……と小さく呟く。峻はその言葉に首を傾げ、真鶴はふふ、と小さく笑った。
360度のパノラマ。絶景の風景は峻にとっての思い出のひとつで。思い出の風景なんですねと微笑む香乃果は「そうだ」とくるりと振り仰いだ。
「オルセー美術館内に天井画の綺麗なレストランがあるらしくて。そこでランチにしましょうね」
闘いの日々が終わり、殺戮の気配からも随分と遠ざかった。刑は武蔵坂卒業後の進路を考えて調理関係の職に就くのだと真鶴に告げた。真鶴は母が作った思い出の料理も作れるのかしら、とぱちりと瞬く。
「不破さんが望むなら」
何処か紳士然として告げる彼に真鶴は可笑しそうに小さく笑った。これから、彼が調理師として羽ばたく未来が楽しみだという様に。
ロダン美術館の地獄の門の前に立つ。この門の先に行きたかない、なんてケレイは息をつく。
知らない言葉、景色、匂い。学園に来たときも、戦争であちこちを回った時だって、馴染めなかったのは初めてじゃない。
(「知ってけばいいんだ。救いの手はあるってことを――」)
●
2年前、オペラ座の怪人のクリスティーヌを演じた絵里琉は歌手として、きちんと彼女をなぞらえていたかしらと首を傾げた。
「この劇場でクリスティーヌが歌ったんだってさ」
そういうノエルはオペラ座の怪人のクライマックスを真似をした。此処で何時か君が歌えば――その歌声は美しく響き渡る事だろう。
額へのキス一つ。ファントムの末路と違って彼女を諦める気はないけれどと冗談めかしたその言葉に絵里琉は「置いていかないわ」と約束するように口づけを返して。
「随分デケェ教会だな」
きょろりと周囲を見回して、宗田は不思議そうに七色に輝くステンドグラスを見上げる。此処は外せないという澪の口元にもゆったりと笑みが浮かんでいた。
「ノートルダムとも迷ったんだけどさ。いいなぁー。こんなところで聖歌歌ったりしたら絶対気持ちいいだろうなぁー」
少しだけ、そう呟いて小さく奏でる旋律に。錯覚とは知って居ながらも彼女の背に純白の翼が見えた気がして。
「……やっぱお前の歌声は、俺だけのもんだ」
歌声だけ、だなんて。宗田が望むなら全部あげるのに。囁く様に呟いて、深く唇を合わせて。
ビデオを手にした真鶴にちら、と視線送った遊は大きく頷いた。ステンドグラスから差し込む光を浴びて、ゆっくりとクマのぬいぐるみとブーケを抱いた桃香が歩いてくる。
「これは夢じゃなくて――夢を現実にするためのスタートライン、だよな」
世界以上に考えていくことが増えるかもしれない。けれど、桃香が出来ない事を遊がするように。ふたりでならきっと大丈夫だから。
一度、口付けて。誓いの言葉を交わし合おう。緊張で震える桃香を抱きしめて――これを現実だと刻み付けて。
新婚旅行にはパリを。ガルニエ宮を歩む結衣奈は明彦を振り仰ぐ。ピンクのフォーマルなワンピースを身に着けて、結衣奈はくるりと回る。
「とっても細やか煌めいて、素敵!」
瞳輝かす妻の姿に明彦は大学の授業の参考になるなと大きく頷いた。優しいエスコートを続けて、人気ない場所でゆっくりと抱き締める。
「ガルニエ宮は綺麗だけど、結衣奈の美しさも負けてないよ――」
囁きに。ならばオペラ座の怪人に連れ去られないように、話さないでと唇を重ね合わせて。
「色んな場所を巡りましたけど、どの場所もとても綺麗でしたからね」
セーヌ川に通り沿いのウィンドウショッピング。何処も素敵だったけれどと告げる結城に満月は微笑んだ。
レストランでランチをしながら満月はぱちりと瞬く。結婚式を横目に見て、幸せそうですねと笑った結城はゆっくりと満月の手を取った。
「満月さん――私と結婚をしてくれますか?」
ああ、そんな――なんて嬉しいのだろう。目を覗き込んで応えるのは勿論YESだ。
シャンゼリゼの顔と呼ばれる老舗に向かえば結の心は踊る。ふと、目が留まるのは結婚式。
「やっぱ、結婚とか興味はあるのかい?」
その言葉に結は恥ずかし気に憧れだと告げた。憧れならば――「その憧れ、俺にかなえさせてくれないかな?」
「ふぇっ?」
「……ごめん、言い直す。俺の花嫁さんになって欲しい。結婚、してくれないか」
「あ、あのえと、ふ、不束者ですがよろしくお願いします。た、達人、さん……」
――そんな、呼び方。ああ、頬は赤くなる。
「パリって綺麗ですね!」
徹はほう、と息をつく。その言葉にオリヴィエは幸せそうに微笑んだ。パリに来るのは初めてだから――消えない滲みたいな窓を二人で見上げて。
両親が見てるならいい子でいなくちゃと気持ちをしっかりと持って――けれど。
「今日一日、二人に君を紹介していいかな。そして、日本に戻ったら……今度は君のご両親にも、もっときちんと挨拶してもいいかな」
その言葉にYes以外はあり得るだろうか。パパとママには悪いけれど――首輪をはずして。花嫁のように唇を重ね合わせる時を待って。
お土産を悩まし気にみるノエルとマリー。パリでデートだなんてくすぐったくて。故郷の空気は胃になじむ。
そういえば、と振り仰いだマリーは「ご両親のお家に帰るんだったわよね」と瞬いた。両親に報告しようと告げる二人の前に結婚式の幸福が見える。
「貴方の事は私が絶対に幸せにするから、よそ見しちゃダメよ」
「目を離したりなんてしないよ。オレだって、マリーを幸せにするのも、一番そばで君を見ているのも、オレでないと嫌だから」
●
「この日程だと私の暮らしていたブルゴーニュまではいけないわね」
そう告げる樹の言葉に彩歌はぱちりと瞬いた。じゃあ、今度と告げて今から二人でスイーツ巡り。フランスと言えばお菓子の国だ。
「パリで1番のレモンタルトとか、頼んでから作るミルフィーユがあるのよ」
「レモンタルトもミルフィーユも良いですね、私はカスタードにしようかな」
そう告げる彩歌に素敵ねと樹は微笑んだ。明日は香水大博物館に行きましょうとプランを約束して。
「おれ、フランスはストラスブールってトコの生まれなんだケド」
そう告げるポンパドールに「ポンちゃんの故郷なんだ」とりねの心は華やいだ。こうして二人で来れたことは何よりも嬉しくて。
美術館のカフェに行こうと誘うその言葉にりねはこくこくと頷いた。
何を食べようと指さした位置は同じ。ポンパドールとりねは同じ思い出が増えたと小さく笑う。
食事を終えたら美術館で楽しもう。パスタの味は二人とも同じ。だから、倍で嬉しくなって。
「ホラ見て、あの窓! アレ、ココが駅舎だったころの大時計がそのまんまお店の窓になってるの! でっかくてスゴいよネ!」
視察といえど海外旅行だなんて夢のようだと彰はガイドブックを手にシャンゼリゼ通りへと踊りだす。
本やテレビで見た有名な街並みに自分がいるだなんて不思議だと彩希はくるりと振り仰いだ。
「ここ、入ってみる?」
気になるスイーツを楽しんだり、ショッピングしたり、それを大切なお友達とできるなんて嬉しくて。
穏やかな日々に、一番の笑みを見せる彰の頬を包んで。嬉しそうな顔が見れて嬉しいわと囁いた。
「まーこうなるとはわかってたけどね」
漣香は今日は荷物持ち。千巻が大量に買い込んだ洋服は『美人二人』にのファッションショーだ。
「オレが玩具にされるのもわかってた!」
そういう彼のもとにハイセンスな情人が着こなせない服を着せて千巻はからからと笑う。
「に、似合うー!! これ、待ち受けにしていい?」
その言葉に漣香の表情が歪む。傍らのビハインドだって楔帷子はないだろう……? なんて――最後にはちゃんとした服をくれたのだけど。
憧れのパリ。想希はあれもこれもと目移りする。その様子を横で眺める悟はこれは何に使うんや? と楽し気に首を傾げた。
「なぁ想希、帰ったらまた菓子作ってくれるか? 俺想希の菓子食いたいで」
果物の道を歩く世界旅行をしている猫のケーキ。どうでしょうかと微笑む想希に悟はええな、と瞳を輝かせ。
「ほら、想希。サイコーのスイーツ食いいくで!」
母国といっても生家は此処から遠いけれどと杏理は一哉と共にマルシェを歩む。
朝食は、と首傾げる杏理に彼の故郷のマンステールをと一哉は告げた。アクセサリーショップに向けて歩み出せば、ほら、其処に並んだイヤリングは一哉のようで。
「イヤリング? ブレスレット? ……好きなのどちらか、送らせてくださいよ」
代わりにお前のも選ぶと告げた彼ににまりと杏理は笑う。フランスに居る彼は何処か自然だから。いつか彼の故郷にも行きたい。
「何年も帰ってない不良少年ですけど。案内、できるかなぁ?」
宿泊は実家ですか、と問い掛ける彼に「……お前が構わないならね」と小さく返して。
「僕個人的にはモンサンミッシェルに行きたいけど。まぁ、それは今度で」
クリスの言葉に桃夜は頷いた。凱旋門に行きたいと告げる桃夜をしっかりとエスコートして。
「戦争とか色々大変だったけど、ここに君と2人で来られてよかったよ……」
「クリスも最高! 街の眺めも最高だよ!」
へらりと笑って桃夜はぎゅ、とクリスの手を握る。美味しいものを食べてもう少したくさん観光しよう。きっともっと楽しい思い出は増えていく。
「……ニムロドもわたくしじゃなくって、もっとかわいい他の女の子と遊べばいいのに」
ぽそりと呟くオルゴールにニムロドは小さく笑う。そんなことを言いながら、幸せそうな顔でパティスリーを回るのだから、此方もつい笑顔になるというものだ。
「わっ、ねぇニムロド、このマカロンがいっぱいついてるやつかわいい。ちょうだい」
どれがいい、とそう告げたニムロドにオルゴールが指先たのはウェディングケーキ仕様のスイーツ。
「卒業したら、君が何と言おうと用立てることにしようか」
心配事はダース単位でどこかへ行った。好きな人との結婚なら盛大にしたいものだと告げたニムロドにオルゴールはぱちりと瞬いて。
初海外に緊張する榛名をシルヴァンはしっかりとエスコート。観覧車に乗って上空から眺めてみよう。
「オペラにバレエ。榛名、ザ・日本家庭ですから、そういうのとっても憧れなのです……!」
きらりと輝く瞳に笑みを溢して。さあ、マドモアゼル、ショッピングに出かけよう。
「あはは、腹拵えが先カナ? まずは美味しいカフェに行こう!」
――きっと、もっと素敵な事がこの花の都には溢れているから。
作者:菖蒲 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
|
種類:
公開:2018年8月2日
難度:簡単
参加:63人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|