縁在りし者達の邂逅式

    作者:長野聖夜


    「……もう10年、か」
     何処か遠くを見つめる様な表情となった北条・優希斗(思索するエクスブレイン・dn0230)。
     彼の机の上にはタロットを初めとした占い道具や、10年前の写真が並び、ペーパーナイフで封が切られた封筒が置かれている。
     その手に持つのは、手紙だ。
    「皆、今頃どうしているんだろうな。もしかしたら、懐かしい顔ぶれにも会えるかもしれないな」
     何かを思い出すかの様に、懐旧の念にその身を浸しながら、優希斗はそっと瞼を閉じ、当時の事に思いを馳せた。


    ■リプレイ


     ――さらさらさら。
     爽やかな風が、潮の香りを運んできて鼻腔を擽る。
     そんな三重県にある海に面したリゾート施設内のホテル。
     そのホテル内のチャペルに数十人の男女が集っている。
    (「やっとここまで来たか。カップルになるまで色々あったし10年前は模擬結婚式。8年前に籍を入れたのは聞いてるんだけど、10年も待たせたからには最高の式にしなきゃダメだよ?」)
     神父の前に立つ、2人の男女の様子を見ながら妻と娘と共に粛々と式の席に座るは、神凪・朔夜。
    (「雄哉さんと愛莉さんの事は義姉弟5人全員でずっと道行を見守ってきました。お二人にとって辛い出来事も何度かありました。それを乗り越えて漸くこの日を迎えられたのですね」)
     10年前、有城・雄哉が学園を出た後偶に顔を合わせていた神凪家当主、神凪・燐は今迄の事を振り返り、万感の思いを抱いて二人の姿を眺めている。
    (「10年越しのお二人の晴れの日。子供達も仲良しの雄哉さんと愛莉さんの挙式は指折り数えて楽しみにしましたので、漸くですね」)
     壱越・双調が優しく微笑み、傍らに座る黎明寺・空凛と3人の子供達を見て穏やかに微笑むと、空凛もまた、穏やかに微笑みそれに頷きかけながら、やんちゃにしようとする子供達を柔らかく窘めた。
     1人の息子と2人の娘。新郎新婦の晴れ姿を美しいと感じたのか柔らかく空凛が窘めただけで大人しくなる。
     幼さを感じさせる線の細い体だが精悍な印象を与えるネイビーのタキシードを着用した雄哉と、その隣の純白のウエディングドレスを羽織った松原・愛莉の晴れ姿を。
     2人の晴れ姿をプロのカメラマンである師走崎・徒がファインダー越しに覗き写真に収めている。
     こんな用意をしているとは思わなかったとやや困った様に顔を顰める雄哉の様子に、徒は微笑んだ。
     厳粛で静謐な空気に包まれる結婚式会場で神父が誓いの言葉を厳かに口にする。
    「汝、雄哉は、愛莉を妻とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
    「はい、僕は、愛莉を最後まで守ると誓います」
     二度目の誓いの言葉を告げる雄哉に、一つ頷き続けて神父は愛莉を見る。
    「汝、愛莉は、雄哉を夫とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
    「はい、誓います」
     はっきりとそう告げ頷く愛莉に静かに頷きを返しそれでは、と神父が続ける。
    「指輪の交換を……」
     それぞれの薬指に指輪を嵌め込む雄哉と愛莉の姿を、参列し静かに見守るは彩瑠・さくらえ。
    (「今回は流石に間違えそうになりませんでしたね」)
     双調が二人を微笑ましく見つめていた。
     同様に文月・咲哉とその隣に寄り添う様に微笑む女もその姿を見ていた。
     彼等の真ん中には漆黒の髪と母親譲りの赤い瞳を持った子供、瑠璃がいる。
     咲哉達と同じく席に参列した北条・優希斗は優しい微笑みを浮かべて彼等の姿を見つめ静かに拍手をするのだった。
     それは波紋の様に広がっていき……程なくして会場全体を揺るがす大きな拍手へと移り変わった。


    「おっ、間に合ったか」
     ひょい、と軽い調子で披露宴会場の前に辿り着いいて呟くは、ダークグレー系の三つ揃えに蒼パステルカラーのネクタイで爽やかさを演出した柳瀬・高明。
     程なくして高明は目当ての人物を見つけた。
     それは、緑色のパーティードレスで披露宴に共に参加して来ている、槌屋・透流だ。
     普段はラフな格好ばかりの影響故に慣れていないのか気恥ずかしそうに顔を俯かせる。
    「ひ、久しぶりだな……」
    「似合っているぜ、透流ちゃん」
     軽くウインクを返しながら、こっそりと手元でスマホの写真アプリを起動し撮影するが、透流には気づかれてしまったらしく、透流が顔を赤らめながら軽く反駁。
    「……おい、何を撮っている」
    「ははっ、良いじゃねぇか。減るもんじゃないんだからよ」
    「相変わらずですね、高明先輩は」
     楽しそうな2人を見掛けた優希斗が微笑して高明達に声を掛けた。
    「よっ、優希斗。10年ぶりか? 久しぶりだな」
    「そうですね。透流さんも久しぶり」
    「久しいな、北条」
     高明が笑い、透流も柔和な笑みを浮かべて其れに答えている。
    「あの頃より、ずっと柔らかくなったね、透流さん。そうそう、高明先輩も出演しているあの映画、中々面白かったですよ」
     優希斗の言葉に笑む高明。
    「何だお前? ちゃんと見てくれているのか、嬉しいな」
     透流が適度に相槌を打つ様子に、クスリ、と優希斗が笑って中に入る。
    (「此処からが本番だよ!」)
     次々に人々が入場してくる中、水色のドレスに白のストールを身に纏った市川・朱里が内心で気合を入れている。
     つつがなく結婚式がすみ、いよいよ始まる披露宴。
     それは、若手の実力派舞台俳優として名を広めている朱里にとっての晴れ舞台の一つ。
    「ただ今から、有城家・松原家、両家の結婚披露宴を始めさせていただきます。先ずは、新郎・新婦の入場です」
     そう言って照明に照らされた大きな扉から、雄哉と愛莉が入場。
    (「雄哉さんとは10年ぶりになるな。元気そうで、少し安心した」)
     結婚式の最中に感じたことを、改めて思うは藤崎・美雪。
    (「有城、松原ご結婚おめでとうだぜ」)
     鈍・脇差は、素直にそう雄哉達の姿を見ながら祝いの言葉を心の中で述べつつ、少し複雑な表情を浮かべていた。
     雄哉と愛莉が席に着いたタイミングを見計らい、朱里が司会進行を続ける。
    「さて、これより新婦である愛莉から皆様にご挨拶をさせて頂きます」
     朱里の言葉に頷き、新婦である愛莉が立ち上がる。
    「10年ぶりの人も、時々お店に来てくれる人もみんな、私達の披露宴に来てくれてありがとう。本当に嬉しいわ。折角の機会なので同窓会の様に気軽に仲良くお話してくれると嬉しいわね。それと、乾杯に関しては、優希斗君にお願いしてもいいかしら?」
    「……俺?」
     高明達と別れ少し離れた所にいた優希斗が思わず瞬きを一つ。
     こくりと頷く愛莉を見て、仕方ないなと何処か気恥ずかしそうに立ち上がり、そっと左手に持ったグラスを掲げる。
    「二人の、それから此処に集った学園の卒業生の皆とその家族達の幸福な未来を願って。乾杯!」
    『乾杯!』
    「この晴れの日に感謝を込めて」
    「この素晴らしい日に祝福を!!」
     優希斗に続けて穏やかに空凜がノリノリで陽和が告げ、燐が精一杯のお祝いの気持ちを、朔夜と双調が万感の思いを込めてグラスを掲げる。
     かくて、披露宴と言う名の【ホワイトキー】を中心とする卒業生達の同窓会が始まった。


    「10年前に上げたのは模擬結婚式で、8年前に籍を入れたのはお聞きしていますが、漸くお披露目ですか……長い付き合いで雄哉さんと愛莉さんの馴れ初めも知っている者としては長い10年でしたよ」
    「特にそこまで長引かせる予定も無かったと言うか、そもそも結婚式自体今更するとは思わなかったんだけれど……」
     神凪・陽和の苦言を聞いて微かに顰め面になる雄哉。
     とは言え、心の何処かで安堵してしまっている自分を感じるのは学園の仲間達への帰属意識の様なものが残っているからだろうか。
    「有城くん、十年ぶりだね。幸せそうで良かった。あの時の皆は元気かい?」
     神凰・勇弥の問いかけに雄哉が軽く頷きを返す。
    「皆元気にしているよ、神凰先輩。其々の道を歩んでいる」
    「ふふっ、それなら良かった。俺は俺の仕事があって中々其方の方に行くことが出来ないからね。そう言う話が聞けると安心できる」
     勇弥が心底安堵したと言う様に軽く肩の力を抜いている。
    「有城さん、愛莉さん、ご結婚おめでとー。有城さんはお久しぶりだね」
     さくらえが穏やかに問いかけると、少しだけ何処か気まずそうにしながら頷く雄哉に、相変わらずだなぁ、と笑みを浮かべる。
    「どんな形で在あれ、こうして縁が繋がった事は嬉しい限り。招待状送ってくれた愛莉さんには感謝だよ」
     礼服を縛る様にした絆縁を見ながら呟くさくらえに困った様に顔を背けつつ、何処かで安堵した様な姿を見せる雄哉。
     一方で愛莉の方はぺこりと一礼。
    「来てくれてありがとう、さくらえ君。さくらえ君もお仕事忙しいんでしょ?」
    「店も中々繁盛しているし、子供も2人いるし、頼まれれば『仕事』をすることもあるからね。でも、キミ達の結婚式には参加したかったから。エリノアに娘を任せて来ちゃったから、後で怒られそうだけれどね」
     そう言って幸せな笑顔を向けながら、子供達の写真を見せるさくらえに愛莉が微笑を零し、優希斗が申し訳なさそうな表情になった。
    「すみません、皆其々の道を歩んでいますから、どうしてもそういう役割が出来る人に頼みがちになりまして。脇差さんや、咲哉先輩みたいな人もいるのですが、脇差さん達だけでは対処できない事もありますから」
    「そう言えば優希斗くんは今、何しているの?」
    「エクスブレインをする傍ら、占い師をやっているよ」
    「愛華さんは?」
     愛莉の問いかけに軽く肩を竦める優希斗。
    「学園の体育の先生。部活の顧問の都合上、愛莉さん達の結婚式に行けないって悔しがっていたよ」
    「優希斗達にはいつも助けられているよ」
    「俺も咲哉先輩達が情報を集めて来てくれているから、占い師をやりながらでもエクスブレインとして活動できるんですけれどね」
     会話に加わって来た咲哉に微笑を零す優希斗。
    「それにしても、10年は長い様で短いな。あの時のサプライズ結婚式もつい先日の様に感じるよ」
    「あっ、ああ。まあ、それはその……」
     咲哉が微笑を零しながら呟いたそれにその時の事を思い出したか、何処か気恥ずかし気に目を泳がせる雄哉。
     愛莉も又、その時の事を思い出したか少しだけ顔を赤らめて俯ける。
    「ははっ、皆元気そうで何よりだな」
     そう言って会話に入って来たのは、サーシャ・ラスヴェート。
     その目が少しだけ潤んでいる様に見えるのは、恐らく気のせいではないだろう。
     実際、先程の乾杯の時から目頭が熱くなっていたのは確かだから。
    「よっ、雄哉。結婚おめでとうな」
     昔の思い出話に花を咲かせるサーシャ達の輪に入って来たのは、高明と透流。
    「有城も松原も元気そうで何よりだ」
    「あら、高明くんに、透流さん。来てくれてありがとう。透流さん、そのドレス良く似合っているわよ」
    「そ……そうか……?」
     緑色のパーティードレスを愛莉に褒められ、照れくさくなったか、目を逸らす透流。
     高明がだろ? と胸を反らす。
    「何故師匠がドヤ顔をする」
    「そりゃ、弟子が褒められているんだ。嬉しくないわけないだろうが。なぁ、雄哉?」
    「まあ……そうかも知れないね、柳瀬先輩」
     軽くそう頷き返す雄哉に笑顔を浮かべる高明。
     嵐の様に挨拶をし、それから思い思いに思い出話に花を咲かせていると、背丈の低い少年、ライ・リュシエルもやって来た。
    「十年ぶりだね、雄哉、愛莉」
    「……本当に久しぶりだね、リュシエル君」
    「ライくんも来てくれたのね。ふふ……そんなに見た目、変わらないわね」
     学生時代から背が伸びておらずそれほど変わっていないライに愛莉が言うと、そうかもね、とライは微笑で返す。
    「2人に、お祝いにこれを渡そうと思って」
     そう言ってライが差し出したのは、愛らしいお揃いの鈴のお守り。
    「ふふ……ライ君、ありがとう」
    「……ありがとう」
    「どう致しまして。それじゃあ、僕は戻るね」
     愛莉と雄哉が同時に礼を述べるのに2人の結婚を祝う兄の様な笑みを浮かべてその場を去り、神凪家を初めとした人々が連れてきた子供達の相手をする薄緑色のドレスで髪形をアップにした北條・薫の所へ戻るライ。
     薫は子供達を窘める様に声を掛けていた。
    「パパやママは大切なお話があるから、おばちゃんと一緒に遊んで待っていようね」
     子供達の為に用意されていた遊ぶためのスペースで子供達の相手をする薫。
     また披露宴で用意されている食べ物をもしゃもしゃと好奇心一杯に口に運んでいた瑠璃は、近くに用意されていた動物の人形に興味を持っている。
    「瑠璃ちゃんは、こういうのが好きなの?」
    「うん。でも、本当は着ぐるみが大好きなの。猫さんとかの着ぐるみでクルクルおどるのが」
    「ふふ……そうなんだ」
     瑠璃の言葉にライが微笑んで瑠璃のお人形遊びに付き合いながら、優しい目つきで、サーシャや、徒との会話に興じる雄哉達を見つめていた。


    「よっ、雄哉、愛莉! 結婚式の写真、バッチリ決まってたよ!」
    「ありがとう、師走崎先輩」
     徒の挨拶に雄哉が静かに頷きを一つ。
    (「ファインダー越しに見える雄哉の表情は、嘗ての苦悩とは明らかに違ってる」)
     まあ、こんな風に言われると困り顔になるのは変わらないみたいだけれど。
    (「いまだに人と触れ合うのは苦手なんだなぁ……」)
     微苦笑を漏らした徒が隣の愛莉へと目線を移し、それからもう一度雄哉を見てしたり顔で頷いた。
    「やっぱり尻に敷かれるよなあ」
    「まっ、有城は大人しく尻に敷かれてるのがいいんじゃね? まあ、十年前からずっと松原の尻に敷かれている気がするけど」
     徒の実感の籠った呟きにサーシャが笑いながら頷き、俺もそうなんだよなぁ、と徒がぼやき、傍と何かを思い出したような表情に。
    「千尋からも宜しくって言付かってるよ」
     結婚話に花を咲かせるサーシャ達を横目で見ながら、勇弥が朱里へと声を掛けた。
    「市川さん、久しぶり。この間の舞台も見に行かせて貰ったよ。とても良かった」
    「ありがとう、勇弥。そうそう今度私、皆と一緒に劇団を立ち上げることが決まったよ!」
    「それはぜひ応援させてよ。ケータリングとかサービスするよ!」
    「ありがとう、勇弥! おっと、そろそろ時間みたいだね」
     勇弥と今後について話をしていた朱里があわあわと司会席へと戻っていく。
     それを見送り勇弥が空凛や燐、双調、陽和、朔夜達に合流し薫達が相手をしている子供達を優しく見る。
    「神凪さんや双調君達の子供達も相変わらずだね」
    「はい、お陰様で健やかに育っています」
    「元気が一番だよね、やっぱり」
     陽和や朔夜がそれに頷くのを耳にしながら司会席に戻った朱里の姿を見て美雪が呟く。
    「と、私も準備をしておかないと」
    「おっ? 何か余興でもあるのか美雪?」
     美雪の呟きに高明が興味を惹かれ問いかけると美雪がそれについて話をする。
     なるほど、と高明がサムズアップを一つ。
    「それでは、此処で一つ余興をさせて頂きたく存じ上げます。今回、余興をご用意くださったのは、藤崎・美雪です」
     美雪が頷き、披露宴会場の中央へ。
     天井からライトアップされた美雪が美しい調べを奏で、高明が歌に合わせて華麗に舞う。
    「そうか……美雪、歌、相変わらず続けているんだな」
    「ええ、そうらしいですね。とは言っても趣味の範疇位だと俺は聞いたことがありますが」
     懐かしさからか咲哉が目を細めるのに優希斗もまた、懐かしそうな表情を見せる。
     生き生きと踊る師の姿を、透流も又、柔らかい表情で見つめていた。
     徒は、そんな美雪達も写真に収める。
     歌が終わり割れんばかりの拍手が起こる中の朱里の声。
    「さて、これより新婦のお色直しに入ります。皆様、お色直しが終わるまでごゆるりと歓談をお楽しみくださいませ」
     愛莉が中座し神凪家の人々と話をしている雄哉の方へ脇差が神妙な表情で近づいていく。
    「時々戦場で会っていたけれど、こうやって面と向かって会うのは久しぶりだな、有城」
    「鈍先輩……。ああ、そうだね」
     陽和や、朔夜、燐達も脇差と雄哉に気が付き、微かに表情を曇らせた。
     優希斗も又、ちらりと目を細めて視線を投げている。
    「戦場ではきちんと話せなかったが、俺は何が正しいかなんて分からない」
    「僕は自分の選んだ選択が最善だと思うけれどね」
    「そうだろうな。少なくともお前が人に、闇に、自分に正面から向き合い出した答えを俺が否定できる筈もないさ」
     脇差の言葉に一つ頷く雄哉。
    「そうだね」
    「でも俺には俺が信じている道がある。だから、またぶつかったとしてもその時はその時だ。お前はお前の信じる道を行けばいい。俺もまた俺の信じる道を行くだけさ」
    「僕は僕の道を、鈍先輩は鈍先輩の道を。それが最善なんだろうね」
     互いに頷く2人を見て、優希斗がそっと息をつく。
    「雄哉さんが何処かで学園の皆と再会して、心底安堵しているのを見れたから、俺も来た甲斐はあったな」
    「北条先輩は……」
     暗に問う雄哉に軽く肩を竦める優希斗。
    「人伝に少し位さ。でも、俺の意志と姿勢は変わらないよ。俺の贖罪も、まだ続いているから」
     寂しげに微笑する優希斗に雄哉が軽く目を瞬いた。


    「それでは、新郎新婦からのご挨拶です」
     朱里が、黄・オレンジ基調のドレスにお色直しをした愛莉達へと話題を振る。
     集まってきた人々全員と一通りの挨拶をした愛莉が、改めて一礼する。
    「今回はみんな、集まってくれて本当に嬉しかったわ。私達は、これからも穏やかで平穏な日常の為に……お互いにお互いを支え合い、守っていくわ。だから、みんなも思い思いの幸福を見つけて、幸せになって下さい」
    「これからもずっと、お幸せにして下さいね」
     新郎新婦からの挨拶に代表としてそう挨拶を返した薫の言葉を皮切りに、参加者達が嵐の様に拍手を叩く。
     鳴り響く拍手の中を雄哉と愛莉は歩き、外に出た。

     ――これからも続く未来に向かって。

    作者:長野聖夜 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年10月8日
    難度:簡単
    参加:19人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ