クラブ同窓会~つながっている、夜空

    作者:若葉椰子

    ●2028年、某日
     あの忙しかった時期が終わってから、かれこれ十年。ずいぶん長く感じた学園生活も、気付けば残すところ一年を切っていた。
     社会に出る準備は万全、やり残した事もないはず。そんな大学最後の一年。
     名木沢・観夜(エクスブレイン・dn0143)が卒業論文に向けた研究資料とにらめっこしていたところ、携帯端末に新しいメッセージが届いた事を示すアラームが鳴り響く。
    「……変わってないなあ、あの人は」
     端末を開けば、懐かしい名前。観夜の表情は、昔を懐かしむ微笑みに変わっていた。

    ●タイムスタンプ、2028年XX月XX日。件名、『お誘い』同窓会やりましょう
     同窓会ですよ同窓会。
     天体観測やりましょう、あの時みたいに。
     ちゃんとミヤも誘いましたよ。
     返事めっちゃ速いですねあの子。
     もう十年経ってますから、来られる人どれだけいるか分かんねーですけど、やりますよ。
     場所はいつものとこです。あの星がよく見える平原。
     なんでいつもあそこだったんでしょうね?
     ああそうそう。
     今は冷え込む時期ですからね、あったかくして行きましょう。
     ちゃんとコーヒーも用意しましょうね。
     望遠鏡?
     多分ミヤが持ってくるんじゃないですかね。
     持ってる人は持ってきても構いませんけど。
     なくても楽しめますよ。
     きっと。
     あの時だって、いつもそうでしたからね。
     それで、日時は……――。


    ■リプレイ

    ●変わった世界、変わらぬ空
    「はい。そろそろ始めましょうか。 皆、集まってくれてありがとです」
     集会の音頭、と言うほど堅苦しいものではないが、猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)の号令で、各々の荷物を開きはじめる。
     ここに広がるのは夜空と山の稜線、そして草木のみ。何もないのなら、皆が持ってくればいい。
     誰かが事細かく指示したわけではないけれど、そこはそれ長年の付き合いというもので、過不足なく様々なものが持ち込まれていた。
    「まさか十年越しで天体観測参加が叶うとは」
     Salut、とおフランスめいた挨拶を廣羽・杏理(アナスタシス・d16834)が投げかければ、懐かしいあの頃の面々がそれぞれの作法で返事を返してくる。
     十年の月日が経ってもしっかりと存在するこの場所は、メンツが多少変わろうとも受け入れてくれる懐の広さを表しているかのようだ。
    「それで、みんな読んでくれました?
     サイキックハーツになった灼滅者! ……みたいな帯掛けられたあの本」
    「あ、はい。私買いましたよ。水着の話とか、楽しかったです」
     自らの執筆した書籍について切り出せば、購入者の一人である村山・一途(普通の殺人鬼・d04649)が名乗りをあげる。
     仁恵と同居しているという彼女も変わりなく、壮健な様子。ベビーシッターめいた事をしているらしいが、その詳細は謎らしい。
    「そう言えば……かいどーさんは本、出しました?」
     書籍つながりという事で、挨拶回りをしていた戒道・蔵乃祐(ソロモンの影・d06549)を呼び止める。
    「それがねえ、ここんとこからっきしなんだよね。売り上げがさ」
     企業間や国家間の揉め事を取材し発信するという現職の都合上、いさかいがなくなれば飯の種に困るという寸法らしい。
     とはいえ、彼の顔に後悔の色はない。
     この平和こそが彼の、彼らの求めた未来だったのだから。
     食卓に並ぶのが激安カップ麺ばかりだと語る口調は、それでも明るいものだった。
    「なんかそれ明日にでも撃たれそうな台詞ですね。大丈夫?」
     シチュエーションと物言いが未練をなくした老兵のような蔵乃祐に、杏理の反応もからかい半分、心配半分といったところ。
     その死亡フラグは杞憂だと思いたい。
    「まあ、過労死よりはマシじゃないスかね。……オレら過労死すんのかわかんねッスけど」
     手土産に流行りの店で買ったというシュークリームを差し出した高宮・琥太郎(ロジカライズ・d01463)もまた、違う形の疲労が伺える。
    「他のもんはないッスよ、明日もオレ仕事なんスよ!」
     持ち寄ったモノへの野次にも、十五連勤の十三日目という事情から悲鳴めいた声をあげるのが精一杯なご様子。まさに忙殺を体現しているかのよう。
    「なんで卒業前のJDもいるってのに、そんな世知辛い話してんですか」
     ジト目の仁恵が手で示す方には、十年経ってようやく学生生活が終わろうとしている観夜の姿。
     当時よりは年の差をあまり感じなくなったものの、それでもここに集う面々の中では干支ひとまわり程度は離れているのだ。
     大多数の人と同じく平穏を享受している観夜にとって、十年前までその平穏のために送り出し、戦わせていた灼滅者の景気が悪いというのは、さぞかし複雑な心境に違いない。
    「そうだよー。世界がどうなっても、楽しんだもの勝ちだよ」
     そう語る月夜・玲(過去は投げ捨てるもの・d12030)もそこまで経済的に恵まれているわけではないけれど、世界中を飛び回り様々な物事を見て廻れる事に割合満足しているようだ。
     路銀が底をつけばワーキングホリデー的なシステムや人脈を活用し、案外なんとかやっていけているらしい。
    「大体そんな程度でへこたれてどーすんですか、こちとら家に動画投稿者住んでるンですよ」
    「どうも、動画投稿者兼家事手伝いです。ニエさんのお子さんの面倒も見てますよ」
     その声に応じ、しゅばっと挙手する一途。
     そう、家主である仁恵は既に母親なのだ。
    「あ、そうだ言い忘れてた。ご成婚おめでとう! 今度、お子さんにも挨拶させてね」
     式には行けなかったからと、観夜もようやく祝辞を言えて一安心。
     重い空気を払拭するには、やはり明るい話題が一番なのだ。
    「あーそっか、にえセンパイと……あと縁チャンもお母さんになってるんスね」
    「はい。夜中に連れ出すのも悪いので、結もお留守番させてますけど」
     同じく十年の時を経て母となっている渡橋・縁(神芝居・d04576)の方は、夫であるハイナ・アルバストル(賢しらの・d09743)と共に参加している。
     こちらの場合、問題となるのは旦那の方になるようで……。
    「おー、ハイナくんも来たか。相変わらず煮詰めたタールみたいだなあ!」
    「そがぶも相変わらず詩的だな。十年間のアレコレを考えれば、より濃縮されたような気もするけれど」
     聞いてみれば、胡散臭い話が出るわ出るわ。
     ラップで食べていこうと試みたり、投稿した動画が炎上騒ぎを起こしたり、挙句の果てには真っ当ではない暴力関係のお仕事で危ない橋を渡ってみたり。
    「ハイナさあお前さあ……」
    「まだ縁困らせてンですね」
    「通報で」
     周囲がこんな反応になるのも納得である。
    「ほっとくとこういう事始めるんで、ストップかけるのも私のお仕事です」
     最近は育児やカウンセリングのような事をしていると語る縁だが、話を聞くにこちらの方が重要な役割ではないだろうか。
    「うん、俺ハイナより落ち着いた自信あるわ。しっかり一般の企業に就職して真っ当な社会人やってるし」
     遺伝子関係の研究職に就いているという不動・祐一(幻想英雄譚・d00978)も、近くの枯れ枝を集めながらやれやれといった顔で頷いている。
     以前ヤンチャしていたとしても、彼のように真っ当な道を進んでいればそれで良いのだが……。
    「そうそうあっす、うまい儲け話あるんだけどさ。ほらネットワーク的な商売っていうの? あれが今アツいと思うんだよね」
    「お前そういうとこだぞ分かってる?」
    「はいはいあっすーせんぱい巻き込んじゃ駄目ですよ、ハイナさん」
     新しい獲物を見つけたとばかりに明日・八雲(追憶の鳴き声・d08290)へ売り込みをかけるハイナであったが、案の定即座に撃沈。
    「あんな醜態さらしてるハイナセンパイがおとーさんっつーのが一番怖い……ってか、おとーさんやれてるんスかアレ!?」
    「ええと、お父さんはちゃんとお父さんしてま、して、し、す」
    「あんまおりはすさんに迷惑かけんなよな……」
    「その、すごい可愛がってくれてます、大丈夫です」
     配偶者がだいぶ口ごもっていたのが心配ではあるけれど、うまくやっているのならこれ以上の口出しは無用……なのかもしれない。

    「取り敢えず、火ィおこそーぜ。焼いたり鍋のっけたりするんだろ?」
     餅は餅屋とばかりに、焔の扱いには自信があるという祐一が着火を担当する。
     手頃な紙から枯葉へ、そして枝へ。
     ゆらめきながら広がる赤色が周囲を照らし、一段と冷え込みが激しくなってきた夜の空気を、少しだけ温めてくれる。
    「お、じゃあ俺も手伝うかな。マシュマロも持ってきたけど……焼くだけ焼いとくか」
     キャンプに慣れているという八雲も加わり、安定して調理できるように調整がされていく。
     簡易の五徳が置かれ、石や盛り土で風防も作りながら、持ち込んだアメリカンサイズのマシュマロを竹串に刺し、周囲にセッティング。
     本場のマシュマロはそれはもう大きいのだ。具体的に言うと握りこぶし程度の大きさまである。焼き甲斐もひとしおだろう。
     立派なキャンプのかまどと呼べる設備が出来るのに、そう時間はかからなかった。
    「お、もう始まってますかい! しからばあっしも拵えて来たモンを出さにゃァスジが通らんでしょう!」
     フォンデュ用のものとは別の小鍋に水を注ぎ、そこへジャガイモと思しきものが封入された袋を投入するのは撫桐・娑婆蔵(鷹の目・d10859)。
     元々カタギの者とは一線を画する雰囲気を纏っていた彼だが、この十年間で上に立つ者としての風格も出てきたようだ。
    「ここんとこのシノギはこんなもんでさァ。
     祭りに繰り出した人を盛大に出迎えるってえのも良いモンでござんすよ!」
     水がお湯となり沸騰をはじめ、しばらく経ったところでおもむろに袋を引き上げ、少し深めの紙皿へと中身を出していく。
     この香り……じゃがバターだ!
    「ついこないだまで少年少女だと思ってたのに、みんな大きくなってまあ。
     しゃばぞーもあんなに立派に……ねえ僕より身長高くなってない?」
    「信念が実った結果だと思ってくだせえ!」
     それだけ、心身ともに様々な成長があったという事だろう。
     ハートウォーミングな小話も交えて語る娑婆蔵にハイナはそれ以上の追求を諦め、観夜も「困ったな、軽率に身長ちょうだいって言えなくなったよ……」と小さく呟いたとか。
    「あ、チーズもちょうどいい感じに溶けてきたかな?
     こーゆーのがイカすキャンプみたいだから何となくやってみたけど、案外形になってよかった」
     頃合いとばかりに、玲の持参した下茹で済みの野菜をはじめ、様々なフォンデュ用の食材が大皿へと移される。
     大勢が供出した甲斐あって、少なくとも不足する事はない。
    「久々にカップ麺以外のモノを食った気がするなあ! エビとかチーズとか!」
    「オレもう、コンビニ飯食いたくねえ……」
    「うめ……うめ……」
     多少がっついている人がいても、たぶん大丈夫。
     きちんとバランスを考えれば、の話だけれど。
    「普段の食生活が心配になる方々が……」
    「野菜余ってますよ、ちゃんと食べましょうね」
     こうして心配しあい、融通しあうのも仲間というものだろう。
    「おや、けっこう遅刻しちゃったかな?」
     そうした声を聞きつけて……という訳ではないけれど、ファリス・メイティス(黄昏色の十字架・d07880)も追加の食材を持ってひょっこりと顔を出す。
    「俺がどこで何してんのか分からないだろうに、どうやって招待状出したんだか」
    「ふふ、デキる女の秘密ってやつですよ。いったい何してたんですか」
     余裕の表情を浮かべる仁恵に、降参のポーズを取るファリス。
    「そこんとこも相変わらずか。……あんまり公言できない仕事してるからさ。最近は」
     そうは言うものの、後ろめたい様子はない模様。
     守秘義務は強いが、いたって真面目な方面の活動らしい。
     そんな感じで裏方に回っているからなのか、他のメンバーとは一歩引いた位置に陣取って静かに楽しむと決めたようだ。
    「みんなエキセントリックな連中ばっかりだったけど、今はすっかりまともに……」
     感慨深げに見渡せば、そこには。
    「杏理のその本もフォンデュします?」
    「やめて!?」
     あの頃とあんまり変わらない風景。
    「……訂正。今のやっぱなし」
     やっぱり、彼らの個性はそうそう失われるわけもなく。

     ところで諸兄は、この催しのメインを覚えているだろうか。
     そう、天体観測である。
    「うわ、セッティングしてたらみんな始めてるし」
     実は、天体望遠鏡というものは設置に時間がかかるものなのだ。大型となれば尚更。
     設置場所の選定、三脚の設置、架台と鏡筒の接続、極軸合わせ、温度の均一化。
     むしろここまでの短時間で唯済・光(星をみるひと・d01710)が全ての準備を終わらせられた事に賛美を送るべきだろう。
     余談だが、観夜も中々のモノを持ち込んでおり、この運搬のために自動車免許も取得している事を追記しておく。
    「まあ良いや。ごっついの持ってきたから、他の人も使っていいよ」
     小遣いをはたいて購入したモノだという光の天体望遠鏡が使える状態になった頃。
     すっかり周囲も暗くなり、星を見るには最適の時刻だ。
    「いよいよ本題ってえ事でござんすね!
     十年ぶりの講義なら、この十年でどれほど星の並びが変わったかを訊いてみやしょう!」
    「あー、歳差運動の話かな? 恒星の固有運動についても言及しとく?」
    「両方言った方がいいかも」
     現役スペシャリストである光とその卵である観夜、二人が協力して講義を始める。
     時には念の為持ってきた地球ゴマのジャイロを回して傾けてみたり、あるいはタブレットPCで銀河系の想像図や概念図を見せたり。
     惑星や衛星はともかく、一般的な星の並びは十年どころか百年、いや千年経ってようやく目に見えるような小さい変化に過ぎないけれど、人の叡智はそこまで細かい変化を捉え、先を想像する事ができるのだと、胸を張って。
    「ただ、詳しい事は今でも研究中なんだ。そこでより正確なデータを出していくのが、僕たちのやり甲斐だと思ってるよ」
     そう締めくくる観夜の顔は、あの時と同じく宇宙のロマンを追う者としての輝きに満ちていた。
    「あーうん、よく分からないけど分かった気がするな!
     ところで今の話に出てきた北極星ってどこにあったっけ?」
    「えっとね、戒道さん。
     ほら、あっちの匙みたいな星座あるでしょ。アレの根元にあるよ」
     蔵乃祐の質問に即答した光は、真北の空を指さしてから小さくこぐま座の形をなぞる。
     小北斗七星とも言われ、北斗七星と点対称のように並ぶこの星座の端にあるのが北極星だ。
     学校教育では北斗七星やカシオペア座からアタリをつける探し方が一般的だが、簡単に正確な方位と高度が分かる現代では真北の空、自分のいる場所の緯度と同じ高さを見れば容易に見つける事ができるだろう。
    「実のところ星座が分からなくてもそこまで苦労しないけれど、これは極軸合わせの時にいつも見るもんね」
     高い望遠鏡を買ったら、嫌でも覚えるようになるよ、といたずらっぽく笑う観夜。
     もっとも、彼女らはそれ以前に自然と覚えていたのだろうけれど。
    「何時ぶりかなー……こんなゆっくり空見たの」
    「んー。みんなでって言うなら、俺は沖縄行った時以来かな。
     相変わらず大自然でセンセイやってるけど、やっぱり一緒に見るメンツで違うからさ」
    「そういやあっすは先生十年目か。
     子供の相手は大変だけど、長く続けてりゃ成長が分かるってのは面白そーだよな」
     火を囲みつつ、何を見るともなしに空を見上げ、余った食材をつまみながら、とりとめもない話をする三人。
     そんなゆっくりと流れる時間が、今はとても贅沢なものだと分かる。
     特に、次の日からまた企業戦士として戦わなければならない二人にとっては。
    「あー、大自然いいなー。ブルーライト浴びまくりの目も治りそう」
    「琥太郎もう既に目が死んでね? 星見える?」
    「それよりもユーイチ、腕相撲しようぜ! 特に意味は無いけど!」
    「無意味な上に急だなオイ。今の仕事はデスクワーク中心だから、もう腕力に自信ねーんだけど?」
    「あ、じゃオレ審判やるッスよ。はい構えてー」
     男たちの勝負の行方がどうなったのか。敢えてここでは語るまい。
    「そう言えば観夜、卒業できそうです?」
    「ん、取り敢えず今のところは問題ない……かな?
     今から卒論の本文書くところだから、どこから手を付ければいいか不安といえば不安だけど」
     集まった面々がほぼ社会人の中、一人だけ現役大学生の観夜。
     となれば、関心事は卒業や就職に向くわけで。
    「そうそう、うちに来てるパンフとか、公開できる資料も持ってきたよ。
     必要なら持ち帰っていいからね」
    「あ、この赤外線画像ってここのだったんだ!
     ええと、これも多分使うから……ここらへんかな。ありがとう!」
     やはり、その道に進んだ先輩からの手伝いがあると心強いもの。
     見落としていた資料を発見したり、補足の説明が入れば、大きな手助けになるだろう。
     と、そんな和やかな情報交換の場でうめき始める人が一名。
    「そ、卒論……就職……やめてくれえその呪文は俺に効くっ!」
    「どっちももう蔵乃祐くんには関係ねーじゃねーですか」
    「いやその、過去の古傷がな……俺みたいな駄目気味な大人になるんじゃねぇぞミヤァ……」
     がっくりとうなだれる蔵乃祐と、ジト目で見ている仁恵。
     色々と不安になった観夜へ家事手伝いや超過労働者、そもそも何してるのか分からない人等々がフォローしはじめ、いよいよ場は混迷を深めていく。

    「……あの頃必死に打ち込んでたことって一体なんだったんだろうなって、今でも思うよ」
     そんな中、一歩引いた位置でどんちゃん騒ぎを見ていたファリスは、誰に言うでもなく小さな呟きをもらす。
     皆の変わらぬ姿を見て、当時を思い出しているのだろう。
     しかし、今の自分があるのは当時の自分あってこそ、とも思っている。
     その表情は夜の闇にまぎれてうかがい知る事こそ出来ないが、否定的なニュアンスは持っていないように感じられた。
    「よーし、写真撮るよー! 集まってー!」
     これも記録だからとカメラを構えた玲の呼びかけに応じ、ファリスも腰を上げ皆のもとへと歩く。
    「やっぱり、結も連れてきてあげれば――」
    「また、いつでも集まれるよーになるさ。それが俺たちの目指した未来ってことだろ?」
    「そうですよ。また皆で同じ空を見ましょう」
     我が子と同行できなかったのを悔やむ縁だったが、『次』があると確信している面々に深く頷く。
    「そうですね。またいつか、みんなで」
    「はい。十年、二十年先も……みんな一緒だといいですね」
     そう。いつだって、こうして会う事が出来るのだ。
     きっと、十年二十年先でも。
    「はい、チーズ!」
     どこまでもつながっている、この空の下で。

    作者:若葉椰子 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年11月22日
    難度:簡単
    参加:13人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 3
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