それは、2018年冬の事ーー。
冬郷・彩里(中学生ファイアブラッド・dn0205)は動物園の園内マップを見ていた。
「キリン、シマウマ……パンダは絶対見たいよね。でも、一番好きなのはレッサーパンダだなぁ」
「ナノ―?」
楽しそうにしている彩里の周りを、ナノナノのもっちーがふわふわ飛んでいる。
「動物園もクリスマス仕様にしているんだって。
飼育員は皆サンタさんの格好で、大きなクリスマスツリーが飾られているみたい。写真撮らなきゃだね!
最後はお土産コーナーでぬいぐるみ買いたいな。大きいの買っちゃおうかなー?」
あれこれと、やってみたい事が浮かんで来るようだ。
という事で、クリスマスイブの日に動物園で過ごすのはいかがだろうか?
ふれあいコーナーで小動物と戯れるのも良し、のんびりと動物のスケッチをするのも一興だ。
コウモリ等がいる夜の生き物コーナーなど、室内エリアは暖かく過ごせる。
一方で、こんな寒い日はペンギンやシロクマなど寒冷地の動物たちは生き生きとしているようだ。
そんな多種多様な動物達が、皆の来園を待っている!
●クリスマスイヴの動物園へようこそ
2018年12月24日。
ひんやりとした澄んだ空気と、雲一つない抜けるような青空がまぶしい冬の日の事だ。
動物園の入場口を潜れば、サンタクロース姿のスタッフ達が笑顔で迎えてくれる。
今日はどことなく、いつもより活気づいているような雰囲気があった。
●もこもこ羊
やって来たのは、新婚の猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)と風峰・静(サイトハウンド・d28020)。
ふたりが同棲を始めたのは、つい昨日の事だ。
引っ越しを終えて、必要物資の買い出し中に脱線。連れ立って動物園に来たのであった。
「色々いるけど、君はどういうのが好きなの」
「そうですねー冬のフラミンゴ池は臭くないから好きですよ。足の形見るの好きです。
あとペンギン」
静が仁恵の手をひいて、園内をうろうろ歩き回る。
「あー、フラミンゴ池。臭いしないなら見た目華やかで良いかも」
浅瀬の池に、複数のフラミンゴ達が立っている。
自分の羽をつついている者、嘴で水中をついばんでいる者、ただぼーっとしている者。
冷たい水に足を浸かって寒いだろうに、鮮やかなピンク色のフラミンゴ達はポーカーフェイスで佇んでいるのだった。
それを見ながら、静の思い描く次の行先は。
「僕はほら、草食のやつらかなぁ。
本能的に追いかけたく……いや、うん。
ヒツジも好きだよ。いや食欲じゃなくて」
「ワッそれ食べる気じゃねーですか……? ラム肉」
仁恵の手を取って、目指すは羊たちがいるコーナーだ。
思い思いに牧草を食む羊たち。白い羊の中に、顔が黒い羊もまばらに混ざる。
「いやー全体的にこの季節だともっこもこだね」
仁恵のもこもこ髪と見比べて。
「たしかに冬毛ですねー。
ニエは人ですから冬毛じゃねんですけど?」
しばし見つめていた静がふと呟いた。
「……見てたらおなかすいてきたなぁ、ご飯にしようよ。お肉が食べたい」
「やっぱ食べる気じゃねーですか……」
結婚してから付き合ったようなもの。
ゆる、ゆるりとデートは続く。
●おみやげやさん
店内に足を踏み入れると。
お菓子に文房具、ぬいぐるみと、かわいい動物づくしのグッズが並ぶ。
サンタクロースの赤い服を着た動物のぬいぐるみなども置かれ、クリスマスフェア絶賛開催中だ。
静と仁恵は、ぬいぐるみが沢山並ぶ棚の前で立ち止まった。
「お土産は、そうだなぁ、狼のヌイグルミとかで良い?
君にあげるよ。僕だと思って大事にしてね、あはは」
「ははぁ、静を増やすのです?
エー、なら羊のぬいぐるみも買いましょう。
ニエが居ない時ニエだと思っていやらしい事して良いですよ」
「いやぬいぐるみにそんなの求めないけど!?」
「なるほど?」
談笑しながら、狼と羊のぬいぐるみを手に取って。
「じゃ、そーろそろ。ご飯を食べてから買物に戻りましょうか。
まだ食器だって足りねーですしね。ソファも欲しいですし」
「そうだった、そろそろ行こうか。
また来ようね。今度はゆっくり回ろう」
「はーい」
新たな二匹のお供を手に、ふたりは動物園を後にした。
新居用の買出し、再開だ。
●冬の動物達、そして大きなクリスマスツリー
冬の動物園は特別な感じがする。
桜井・夕月(もふもふ信者の暴走黒獣・d13800)は新しいデジカメを持って、わくわくしながら入場門を潜った。
冬にしか見る事が出来ない姿の動物を、時間いっぱい見て回ろう。
まず足を運んだのは、肉食獣のコーナーだ。
狼に、キタキツネ、そして虎。雪が似合いそうな冬毛の獣達が出迎えてくれる。
この寒空の下でも、ふかふかの毛皮で暖かそうだ。
「ニホンジカもプレーリードッグも、もふもふです」
そして、様々なコーナーを巡ってたどり着いたリスのコーナーでは、
リスが夕月の目の前で、ちょろりと大樹の巣穴へ戻って行った。
ニホンザルのコーナーでは、ふわふわ毛の猿達が、ぎゅっと身を寄せて団子になっている。
「ああもうみんな可愛い……! 格好いい……!」
撮影可能な所では、どんどん写真を撮ってゆく。
新しいデジカメの容量がさっそく一杯になりつつあるけれど、仕方ない!
「あ、トナカイ!トナカイ見ないと……!」
トナカイコーナーでは、ちょうど飼育員さんの餌やりタイムに来る事が出来た。
サンタ姿の飼育員さんとトナカイのツーショットは、夕月の予想通り、とても絵になる。
これはシャッターチャンスと写真を撮っていると、
「もっちー大きなクリスマスツリーだねぇ」
「ナノナノ―」
冬郷・彩里(中学生ファイアブラッド・dn0205)がちょうどやって来た。
すぐ横に設置されているツリーを見に来たのだ。
「折角だから、記念写真撮ってあげようか? ツリーとトナカイと、サンタの飼育員さんと夕月ちゃんが一緒の写真♪」
クリスマスの記念にと、夕月のデジカメで写真を一枚パチリ。
「次は、レッサーパンダ見に行こうかな。またね!」
そう言って、彩里は次のコーナーに去って行った。
●カピバラ温泉
「ゾウにキリンにカバにシロクマ、どの子もとっても可愛いのです!」
シルヴァン・メルレ(トワイライトは斯くして遊ぶ・d32216)と蓬野・榛名(陽映り小町・d33560)は、
ふれあいコーナーを目指して園内を歩き回っていた。
道中も、動物園ならではの大型動物が目白押しだ。
「あ、ヌイグルミみたいな生き物がのんびり温泉に入ってる」
「シルヴァンくん! あれはカピバラなのですよ!
大きいけどネズミの仲間なのですよぅ」
もわもわと白い湯気が立ち上る、ここはカピバラ温泉。
ぷかぷか浮いている柚子と一緒に、たくさんのカピバラ達が気持ちよさそうに目を細めて入浴している。
おっと、夕月の姿もある。
目を輝かせて、何枚も写真を撮っているようだった。
シルヴァンと榛名も、温泉の前で足を止めた。
「へー、カピバラっていうんだ? たしかにデカイねずみっぽい。
めっちゃカワイイね! 写真撮りまくろうっと」
「ああ……ぽかぽかしているのです。
ぽーっとなったお顔がかわいいのです……」
ほぅ。とカビバラたちを見つめる榛名はとても幸せそうだ。
●もふもふ、ふれあいコーナー
そしてふたりは、お目当てのふれあいコーナーに到着した。
暖かそうな羊に、柔らかそうなひよこ、ポニーの姿もある。
ほわほわの動物達が待つこのコーナーは、まさに癒しの空間だ。
「わぁい念願のふれあいコーナー! ふわもこが沢山なのです……。
ひよこもポニーも羊も居てたまりません」
「どの子もすっごくカワイイね」
「特にわたしはウサギが! 家でも飼ってみたいのです。
ま、前歯がめきょっとなるのも、それはそれで」
うさぎをそっと撫でてあげると、大人しく気持ちよさそうにしている。
「榛名ちゃんはうさぎが気に入った? おっとりしてて癒されるね!」
「オレはモルモットが好き。なんかすごいモフモフしてる。
この子も大きめのねずみだからね」
シルヴァンはモルモットをひょいと抱き上げた。
「モルモットもかわいいのです。仕草がカピバラに似てるのですね」
ふたりは、思い思いに可愛らしい動物を可愛がった。
「そうだ、良ければ小動物と触れ合ってる榛名ちゃんの写真撮ろうか」
「お写真! よろしいのです?
わぁい、じゃ、撮ってくれたら次は交代してシルヴァンくんを撮るのです!」
まずは榛名とうさぎのツーショットをパチリ。
「え、オレのも撮ってくれる? アリガト、きっと良い思い出に成るね!」
モルモットと一緒に写る、シルヴァンの笑顔が弾けた。
●さようなら、また来てね!
夕刻16時を過ぎれば、太陽が西に傾く。
冬の昼は短いのだ。
真っ赤な夕日に照らされて、動物達はそれぞれの小屋やねぐらに戻っていく。
17時を過ぎればすっかり暗くなり、
帰路に着くお客さん達を、サンタ姿のスタッフが閉園のメローディーと共に見送った。
さようなら、また来てね。
ちらほらと小雪がちらついて、クリスマス・イヴの夜が更けてゆくーー。
作者:koguma |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2018年12月24日
難度:簡単
参加:5人
結果:成功!
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