静かなる祈りの時を

    作者:長野聖夜


     ――2028年12月24日。
    「……」
     カップルや友人、沢山の者達がクリスマスツリーの下へと集まり楽しそうに騒ぐ様子を何処か遠巻きに聞きながら、北条・優希斗(思索するエクスブレイン・dn0230)が静かに空を見上げている。
    (「泡沫かも知れない平和だけど……」)
     人々が騒ぎ、楽しむ様が何処か遠くに感じられて空を見上げていた優希斗は静かに目を瞑る。
     ――此処に至るまでに。
     多くの血が流れた。
     多くの死が、生があった。
     エスパーの営みが、灼滅者の営みが、ダークネスの営みが、其々にあった。
     其々に沢山の事を思い、思い思いに『生命』がその時を紡ぎ続けてきた。
     優希斗にとってそれらの者は全て等しく『命』だった。
     だからこそ……10年前迄に繰り広げられていた大きな戦いの中で失われた者達への鎮魂の祈りを静かに捧げたかった。
     ……世界は平和になったけれども、今でも尚戦い続けている者達は確かにいるから。
    「そう言う事だったら、酒宴でもしたら良いんじゃない?」
     珍しく少し遠巻きに人々のクリスマスの営みを楽しそうに眺めていた南条・愛華(お気楽ダンピール・dn0242)が問いかける。
     それに優希斗が軽く微笑を零した。
    「そうだね。それも良いかも知れないね」
     かくて、最後のクリスマスの晩餐が、今静かに行われようとしている。

     ――それは、過去や今において失われていった生命達に思いを馳せ、彼等への手向けとなるべく静かに、粛々と行われる小さな小さなクリスマスパーティー。


    ■リプレイ


    「戦いが終わって、10年……だねぇ」
    「そうね。もう10年になるわね」
     彩瑠・さくらえと、エリノア・テルメッツが、二人の娘……姫桜に理恵と月の照らす星空を眺めている。
     その輝きに姫桜が歓声を上げるのに微笑むさくらえ。
    「未来なんて想像できなかったけれど。一年一年をちゃんと歩いてこれたのは、エリノアのお陰だ」
     さくらえの言葉に、ふふっ、と穏やかに笑うエリノア。
    「私だってさくらえが居たからこそよ」
     エリノアの言葉に、さくらえが、柔らかく目を細めた。
    「見送った命もたくさんあったけど」
    「……そうね」
     さくらえの呟きにエリノアの脳裏を過るは一人の娘。
     刺青羅刹依として死んでいった友……加賀・琴。
     その様子を見ながらさくらえがそっと子供達の頭を撫でる。
    「迎える命もあったよね。姫桜や、理恵が生まれた時とか忘れられないな」
    「えぇ、こうして命の繋がった大切な、愛おしい家族が出来たわ」
     さくらえがしみじみとエリノアのまだ目立たないお腹へ触れると、エリノアも自分の腹部をそっと撫でた。
    「女の子かな? 男の子かな? それとも生まれるまでのお楽しみにする感じ?」
     さくらえの問いに小首を傾げるエリノア。
    「んー、男の子でも女の子でも、無事に産まれてくれればそれでいいわ」
     まあ……と少し悪戯めいた笑みを浮かべて。
    「生まれるまでのお楽しみでも良いかも知れないわね」
     その方が二人も楽しみでしょう、と弟と妹どちらが良いかとはしゃぐ二人に微笑みかけるエリノアを見ながら、さくらえが楽しそうに笑う。
    「二人は妹と弟どっちがいいの?」
     ん~、と軽く首を傾げる姫桜と理恵を見て、それじゃあ乾杯しようか? と、懐からジュースを取り出すさくらえ。
    「今年はジュースだよ?」
     ――新しい命も、エリノアの中にいるからね。
    「えぇ、乾杯にしましょうか。姫桜と理恵も、当然パパも良いわね?」
     子供達がは~い、と手を挙げる。
     それにエリノアが微笑んだ。
    「それじゃあ、メリークリスマスよ」
    『メリークリスマス♪』
     エリノアの音頭に合わせて、さくらえ、姫桜、理恵が続いて乾杯した。
     そうして暫しクリスマスパーティーを楽しむ間にさくらえがある輪に目を止める。
     そこから聞こえてくる会話が耳に入りそっと己が深淵を宿し映し出す玻璃を見つめた。
    「行って来たら? 子供達は私が面倒見ているわよ」
     何かを察し告げるエリノアに一つキスを落としてからさくらえは其方へと歩き出した。


    (「焼き菓子の詰め合わせと、地獄の様に熱く苦いコーヒー。これならば必ず皆気に入ってくれるだろう」)
     持参した自慢のパーティー用の飲食物に頷く神崎・摩耶。
    「神崎、久しぶり……でもないか。ブレイズゲート以来だからな」
    「摩耶も来ていたのか」
     連れ立って歩く鈍・脇差と文月・咲哉が見た摩耶が黙礼を一つ。
    「鈍に文月か。元気そうで何よりだ。折角だ、これでもどうだ?」
     摩耶が珈琲と焼き菓子を進めるのに頷き、脇差が珈琲を一口。
     地獄の様な苦みに思わず目を白黒させる脇差に焼き菓子の詰め合わせを食べさせる摩耶を見ながら、咲哉が微かに引き攣った笑みを浮かべる。
    「どうだ? よく合うだろう?」
     えへん、と胸を反らす摩耶に脇差が首肯しながら軽く咽た。
    「十分に食べて眠れば、世界は自然と回っていくさ」
     笑いながら摩耶がそう嘯くのに、そうだなと脇差が微笑を零す。
     摩耶と脇差の脳裏を過ったのは、保護こそ出来なかったが笑いながら灼滅されていったタタリガミ、七海の事。
    「……摩耶が此処に来たのは、もしかして……」
     咲哉が問いかけると、ああ、と摩耶が頷きかけた。
    「北条と少し話がしたいと思ってな」
    「俺達もだ。皆の話も聞きたいしな」
     返す脇差に頷きかけ、摩耶は、北条・優希斗の方へと歩き始めた。


    「月の綺麗な夜だね。そう、思わないかい?」
     月見をしながら南条・愛華が持ってきたワインを飲む優希斗に一人の女が話しかける。
     振り返ると雪の様に白い髪の女紫乃崎・謡が懐かしそうに柔和な笑みを浮かべていた。
    「謡さん、久しぶりですね。今日はどうしたんです?」
    「今年は10年の節目だからね。静かに想いに耽る聖夜も良いかと。隣、お邪魔でなければ失礼するよ」
     謡に微笑して、どうぞ、と軽く促す優希斗に頷き、隣に腰かける謡。
     白ワインの入ったグラスを謡が拾い、優希斗の手のグラスと軽く合わせる。
    「こう綺麗な月を見ると、どうしても思い出してしまいますよ。失われた多くの生命達について」
     軽く吐息を漏らした優希斗の呟き。
     ――謡さんが堕ちたのを見たのも月の夜だったな。……彼女との別れの時も。
    「そうだね。例えば、死から限りなく遠退いた現代において、その礎となった者達については、私……いや、ボクも思う事があるよ」
     謡の脳裏を過るは流水の如く生を駆け抜けた羅刹達の事だろうか。
    「どう、謡さんは思っているんですか?」
     優希斗に続きを促され、ワインで舌を濡らす謡。
    「ボクは。今も昔も生存を掛けた殺生に善悪はないと考えている。けれど同時に、不要な死は望まない」
    「だからあの時も交渉したんですね」
     優希斗の問いに意地だと言われればそうなのだけれどね、と微笑する謡。
     ――故に。
    「ダークネスの生き残り達とも今は交流があるけれど、どうしても命を奪う事になった彼らには……言葉に出来ない感情を思う事があるよ」
     それは決してすまない、では片付けられない。
     命は一度きりだから。
    「だから忘れずに、ですか」
    「そうだね。忘れずに……眼前の輝きを失う事のない様に、『わたし』の分まで愉しむんだ」
     静かに吟じ、自らを覆う紫鬼布を撫でた謡がそっと杯を掲げた。


    「北条、一献受けて貰えないか?」
     熱燗をちびちびやっていた平・和守の耳にも謡達の会話は入っていた。
     思うところがあったのだろう、和守が熱燗を勧める。
     優希斗が頷きお猪口を受け取り和守から一献受け返杯。
     その後、謡にもお猪口を手渡し一献。
     和守がお猪口を掲げ、謡と優希斗もそれに倣う。
     それから思い思いにちびちびと飲む。
     優希斗が飲み干した所で和守が2杯目を注ぎながら問いかけた。
    「……北条、覚えているか? 10年前、義に殉じ、それでも尚俺達に未来を託して逝った羅刹達が居たことを」
    「ああ。よく覚えているよ。謡さんとも今、丁度彼等の話をしていた」
     優希斗の返しに和守が頷く。
    「改めて献杯だ。紫乃崎も」
    「ありがとう」
     和守の言葉にもう一度献杯し、静かに酒宴に耽る。
     何杯目かを徳利からお猪口に注ぎ和守が誰にともなく呟いた。
    「なあ……俺達は何時から、立場が入れ替わっていたんだろうな?」
     川と湖を保護しようとした時、そう思った。
     あの時の戦いで、自分達は強くなった彼等を圧倒した。
     優希斗が相槌を打ち、謡が和守の語りに耳を傾けている。
    「俺達はダークネスの成り損ないみたいなもんで、圧倒的弱者だったはずだ。それがいつしか、同盟を組むという程に力をつけ、気が付けば、傲慢にも彼らを保護する等と言える立場にまでのし上がった」
     ――同盟、か。
     和守の呟きに優希斗の脳裏に過るは、刺青羅刹依の事。
    (「彼女は……」)
     軽く目を瞑り熱燗を干した優希斗が和守に続きを促す。
    「……時折、不安になるよ」
    「不安に?」
     優希斗の問いに和守が首肯。
    「俺達は結局、彼らの治世の焼き直しを行っているに過ぎないのではないか、とな」
    「……」
     謡が月を見上げながら、杯を傾けた。
     その様子を見ながら和守が軽く頭を振る。
    「すまん、愚痴だ。忘れてくれ」
    「……大丈夫だよ、きっと」
     和守に告げる優希斗。
    「少なくとも、彼等の様に、世界の闇に潜んで裏からエスパーの皆を支配している訳じゃない。皆、其々に世界に向き合って日々を過ごしているから」
     優希斗が和守のお猪口に一献捧げると、和守がそれに返杯した。
    「優希斗」
    「北条、相変わらずだな」
     謡達が其々に物思いに耽っていた所に現れたのは、咲哉と脇差。
    「どうだ北条、お前達もこれを。良い気付けになるぞ」
     同行していた摩耶が黙礼し、地獄の様に苦い珈琲を勧める。
    「箸休めに丁度良いですね。頂きます」
     優希斗が摩耶からそれを受け取り一口飲み、僅かに目を瞬く。
     あまりの苦さに舌がやられたか、と思った脇差だったが彼は微苦笑を零した。
    「……本当に、丁度良かったです」
     その彼の様子を見て、和守と謡がほんの少し笑った。
    「文月達も、どうだ?」
     和守が熱燗を進めると、咲哉達も頷き一緒にその場に座り込む。
    「海達の事か?」
    「その通りだよ、咲哉さん。ボク達も決して忘れられなくてね」
    「海……?」
     摩耶の問いに、咲哉が懐かしむ様に目を細める。
    「俺達が話し合った羅刹僧のことだ。海には、川と湖という2人の弟子がいた」
     咲哉の脳裏を過るは、3体の羅刹達との語り合い。
     海と語った小さな可能性。
     俺達の武運を願った湖の言葉。
     そして川の決意に満ちた最期の笑顔。
     彼らの生きた証を胸に刻み改めて想いながら。
    「……文月から話に聞いた羅刹達の事か」
    「……似ているな」
     脇差が相槌を打ち摩耶が七海や、屍となった後に傀儡とされた炎獣の長を思い起こす。
     そして……地脈に還ったイフリートの少年の笑顔も。
    「もう一度献杯と行くか?」
    「それなら僕も参加させて貰うよ」
     和守の問いに、姿を現したのはさくらえ。
    「さくらえも来てたんだな」
    「家族とだったんだけど、皆を見たら僕もつい、ね」
     呟くさくらえに咲哉と和守、謡は納得した、と頷く。
    「こんばんは。私も混ざって、いいかしら」
    「……咲哉さん、摩耶さん久しぶりだ。皆も元気そうで本当に、安心した」
    「愛莉と美雪か」
     輪に入る様に現れた松原・愛莉と藤崎・美雪の姿に咲哉が返すと、美雪が呟く。
    「天摩さんも見かけたぞ。徒さんと話していたが。後で来ると思う」
    「そうか」
     美雪の呟きに優希斗が淡く微笑む。
    「松原と藤崎も献杯か?」
    「ええ、皆が良いのならね」
    「勿論、歓迎するぜ」
     摩耶の問いに愛莉と美雪が頷き脇差が返す間に、和守が御猪口を用意、熱燗を美雪達に配る。
     全員に行き渡ったのを確認して、咲哉がお猪口を掲げた。
    「戦いの中で散っていった幾つもの命達に献杯を」
    『献杯』
     咲哉の音頭に合わせて各々が献杯と声を上げ、其々に熱燗を口を付ける。
    「そうだ、北条にはお礼を言っておかないとな」
     告げる脇差に目を瞬く優希斗。
    「脇差さん?」
    「北条が予知を通して幾つもの可能性を示してくれたから、俺達は只流されるだけじゃなく、自分達の道を自分達で選び納得して進んでいくことが出来たからな」
     脇差の礼に、優希斗が困った様に微笑む。
    「俺に出来ることは……道を示す事だけだった。もっと俺に力があれば、死ななくて済んだ生命も幾つもあったんじゃないかなって、今でも思う」
    「……琴さんの事だね?」
    「琴さん……?」
     さくらえから出た名に美雪が首を傾げ、優希斗が苦笑。
    「エリノアさんから聞いていましたか?」
    「帰れなかった友の話として少しだけね」
    「でもそれが無ければ、天海大僧正との同盟も、海や川、湖達とあんな風に話す機会も無かったかも知れない」
    「依がいたからこそ、俺達は天海大僧正との同盟を実現出来たかも知れないと言う事か」
     咲哉の呟きに和守が呻く。
    「……そうなのかも知れないわね」
     愛莉の脳裏を過るは献杯の相手、ナミダ姫。
    「優希斗さん。私、一度愛華さんに言われてずっと考えていたことがあるの」
    「……」
     愛莉が口を開くのを優希斗が静かに促す。
    「ヒトと灼滅者とダークネスの違いは何処にあるのかって」
    「ああ、それか」
     頷く優希斗に愛莉が息を一つ。
    「ナミダ姫に聞いたこともあるわ。その時は『感情を持つのは同じ』と返されたけど。……私達の事をナミダ姫はダークネスと思っていた筈なのに」
    「ボク達が聞き出した事、か」
     謡がそっと目を細めた。
     愛莉の言葉に優希斗が息を一つつく。
    「これは、あくまでも俺の考えだけど。それ『組織』としてと言う可能性は無いかな? 元々灼滅者の大規模な組織自体それまでの社会に存在した事は無かった」
     熱燗を飲みながら続ける。
    「ヒトも、灼滅者も、ダークネスも其々に何らかの感情を何かに対して抱くことが出来る。だから、本質的には同じ『生命』だと言いたかったんじゃないかな? だからこれからも協力できる、そう言う意味だったのかも知れないよ」
     優希斗の話に愛莉が引き付けられた様に溜息を一つ。
    「でも、私達は際限なく力を求めるナミダ姫の事を見逃すことは……出来なかった」
    「そうだな。俺や彩瑠もあの時は慈眼城の攻略に力を注いだ」
     和守の呟きにさくらえが目を瞑る。
     あの時は力を削ぐ為に慈眼城を攻撃し、その前はナミダ姫と交渉した。
     ――それらの過去の全てが。
    「それがあるから、僕達は今此処にいる」
    「そうだな。全て俺達が選んできた道だ。後悔はない」
    「私の辞書にもな」
     さくらえの言葉に脇差と摩耶が頷いた。
    (「そうね」)
     七海の事は愛莉にも記憶がある。
     その時、摩耶達がどの様な想いで七海へと引導を渡したか。
     分からない筈もない。
    「……俺もだよ」
     呟いたのは、咲哉だ。
     届けたい想いがあった。
     すれ違う願いもあった。
     全てが上手く行った訳ではないけれど、それでも積み重ねた過去の先に今があり未来があるから。
    「だから優希斗、本当にありがとうな」
    「戦いで失われた命、か……私にとって実感があるのは……闇堕ちした兄、だろうか」
    「藤崎が堕ちた理由は兄の闇堕ちに巻き込まれて、だったな」
     美雪に反応したのは、摩耶に美雪が頷き返す。
    「皆程ではないが、何故、兄が堕ちたのか、今でも考えることがある」
    「……堕ちた理由、か」
     脇差の問に美雪がそうだ、と返す。
    「解が出ないと分かっていてもだがな」
    「そうか……」
     淡々と語る美雪に摩耶が相槌。
    「兄は私を大切な妹として面倒を見てくれた。私にとっては、面倒見のいい優しい兄だった」
     互いに互いを思い合うが故に巻き込まれたと言う事だろう。
    「兄も、兄を乗っ取ったヴァンパイアももうこの世にはいまい」
    「……そうだろうね」
     さくらえも相槌を一つ。
    「兄も、ダークネスの被害者だ。……だから、今は兄に手向けの杯を」
    「……藤崎。私はな、とある戦いで屍となった炎獣の長に引導を渡し、無念を晴らした」
     ――それが、償いだと信じるしかなかったから。
     珈琲を取り出し一服しながら、静かに告白する摩耶。
    「以降、私の戦う意義は、目前で失われた命に責任を持つことに集約されたな。奪うことは罪では無く、生き残る事は罰でもない。生命の輪環を回す事だと」
    「そうか……そうなんだな」
     摩耶の想いを受け取り、美雪が摩耶から受け取った地獄の様に苦い珈琲を掲げる。

     ――今は亡き者達への想いと共に。


    「……皆、何の話しているんだろ?」
     愛莉達を見ながら、市川・朱里が隣でビールを飲む愛華に問いかける。
    「多分、失われた命について、だと思う」
    「……そっか、失われた命について、か」
    「朱里さんはそういうのある?」
    「私? 私を感染させた双子の妹の事しか話せないから。命について考えられる程の経験をしている訳じゃないし」
    「まあ、普通はそうだよね」
     そう言って缶ビールを呷る愛華。
    「朱里さんはどうなの? 妹さんの事、どう思っている?」
    「ん? もう吹っ切れているよ。灼滅者とダークネスとの差はあるけれど私も妹と同じ力を持ったから」
    「そっか」
     あっけらかんとビールを飲む朱里に、愛華が頷く。
     朱里が開いている左手を軽く握った。
    「闇堕ちライブハウスで改めて闇と向き合ってこの力を妹だと思って、生きていくって決めたんだ」
    「まあ、その方が良いと私も思うよ。ゆ~君みたいに思い悩むよりはよっぽどね」
     愛華の言葉に軽く頷く朱里。
    「そう言えばさ、愛華が灼滅者になった切欠、って何?」
    「私の切欠? まあ、極々平凡な家庭に産まれたけれど、父さんがヴァンパイアになっちゃってね。その時に巻き込まれたの。幸せだった日常が崩壊しちゃって途方に暮れていた所を学園にスカウトされたって話」
     数本目かの缶ビールの蓋を開ける愛華に朱里が目を瞬かせた。
    「あっけらかんというね、愛華」
    「もう10年以上前の話だし。他にも同じ境遇の人がいるのもこの学園で知ったからね。今は違うけど、当時は交通事故とかで死んだ人の方が遥かに多かったし。……さっ、飲もう、飲もう!」
     愛華に押されて再び飲み始める朱里。

     ――因みに気が付いたらこの二人は夜明けまで飲み明かしていた、と言うのは別の話。


    「……海、川、湖っすか……」
     和守達の話を聞きながら、獅子凰・天摩はふと思う。
     あの時、海とは確かに心を通わせることが出来た。
     その時に胸に抱いた温かい想いは今も尚、忘れられぬ思いで。
    「皆の所に行かなくて良いの、天摩?」
     師走崎・徒の言葉に天摩が軽く頭を掻く。
    「いなくなった人達の事も忘れることは出来ないからその話もしたいっすけれど。その前に整理したいことがあるなと思ったっすから」
    「そうか」
     グラスのウイスキーを呷る徒に天摩が微笑み徒に2杯目のウイスキーを注がれながら続ける。
    「仲間だったリードっち。矜持と信念。それでオレが背負ったもの。それと、優希斗っち達が今話している海やアスカ」
    「アスカ?」
     徒の問いに天摩はオレが会ったイフリートの事っすと微笑する。
    「平君達と一緒に接触した子なんすけれどね」
     彼女も大地に溶け込み、龍脈封印儀式の力の一端となってくれているのだろうか。
    「そうなんだね」
     カラン、とグラスの中の氷が静かな音を一つ立てる。
    「徒っちはディエースの事、覚えているっすか?」
    「……うん。覚えている」
     天摩の問いに徒が首肯。
     ――彼が告げたのは、自分達が守るべきとしていた人々に裏切られるであろう未来。
     そして癒しを得られなくなり、共食いと言う名の破滅を辿る道を示したシャドウ。
    「どうしても考えるんすよ。ディエースが予見した未来とは違う未来をオレ達は進めているだろうか。オレ達こそが真の邪悪だった。そう後世に語られることが無い様な未来をオレ達は進めているのかなって」
     ウイスキーを一気に呷る天摩。
     徒が空になった天摩のグラスに再びウイスキーを注ぐ。
    「きっと、違う未来を進んでいるんじゃないかな、俺達は。そうじゃなきゃこんな風に平和に皆で過去を話したり、笑い合ったりなんて出来ないと俺は思うよ」
    「カメラマンとして世界中を巡っている徒っちがそう言ってくれるなら、本当にそうなのかも知れないっすね」
     注がれたウイスキーを飲みながら、天摩が笑う。
     グラスの中で浮く氷の向こうに、『彼女』の姿が透けて見えた様なそんな気がした。
    「あの頃理想とした未来とは違っても」
     完全なる人と灼滅者とダークネスの共存。
     これが果たせたのかどうかは分からないけれど。
    「でも、背負ったものに恥じない道を進んでいくしかないんすよね」
     天摩が少し離れた所を見る。
     そこで会話をしているのは、荒谷・耀と柊・玲奈。
    「天摩、折角だし、耀達とも話をする?」
    「そうっすね。丁度良いっすね」
     徒の問いに天摩は頷き、徒と共にグラスを片手に玲奈と耀の方に向かった。


    「耀はお酒弱いから、あんまり飲んじゃ駄目だよ?」
    「大丈夫よ、いざとなったらあの人に来て貰うから。玲奈も飲み過ぎは駄目よ?」
     シックな感じのパーティドレスを着用し、シャンパン片手にほろ酔い気分の玲奈のウインクに耀もシャンパンを飲みながら応じる。
     天使が二人の間を通り過ぎていく。
     穏やかな沈黙を先に破ったのは耀だった。
    「二人で居ると思い出すわ、ルナ先輩の事……」
     ――いつも落ち着いてて、儚げで、それでいて意志の強さは人一倍で。
    「そうだね。私も時々思い出しちゃうな。こんな風に月の綺麗な夜は尚更」
     玲奈が夜空に輝く月を見上げる。
    「だからあの時は……戻って来ないだなんて思いもしなかったわ」
    「うん……私もあの洞窟での、あの表情が本当に忘れられなくて、届かなった事を今もまだ後悔している」
     まるで慈母の様に優しく微笑んでいた彼女の表情は、とても綺麗だった。
    「天摩さんや、雄哉さん達もそうなんじゃないかな? 優希斗さんもルナさんが戻って来なかった事をずっと背負っているみたいだし」
     玲奈がそう告げたところで、私ね、と顔を赤らめた耀が溜息を一つ。
     酔いが回ったか、少し声音が幼い。
    「憧れてたんだ、先輩の事」
    「綺麗で儚げで、本当にいいお姉さんで……お母さんだったんだよね。私も憧れだったな」
     相槌を打つ玲奈にでも、と寂しげに呟く耀。
    「あんなことになって……怖くなった。いつか皆、あんな風に消えていくんだって」
    「……」
     耀の呟きに、玲奈は静かに続きを促す。
    「そう思ったら正直気が狂いそう……いいえ、狂ってたわね」
     ルナの死の尊厳を奪い、名古屋の人々に無残な死を与えた六六六人衆。
     それが耀の心を蝕み狂わせていった事は、今でも記憶に焼き付いている。
    「特に六六六人衆を殺す為に手段を選ばなくなってたし……今思うと、我ながらどうかと思ったわ」
     耀の呟きにシャンパンを飲んだ玲奈が頷く。
    「私は落ち込んだりはしたけれど、自暴自棄にもなれなかった、かな? 武蔵坂に来る前に友達を灼滅してたから……辛くても、前を向かなきゃってね」
    「皆もそうだったのかしらね?」
    「少なくとも優希斗さんはそうだと私は思うよ。まあ、人其々だけど」
     軽く微笑を零し髪を掻き上げる玲奈。
     風が玲奈の髪を梳いていく。
    「御免ね。あの頃の耀を見守る事しか出来なくて」
     優しく耀の頬に触れる玲奈に微笑する耀。
    「まあ、色々あったけれど。あの時、皆が居てくれたおかげで、今はこうして希望を持って私は生きているから。玲奈が堕ちた時はまたあの時みたいに失うのか、と怖くて仕方なかったけれど」
    「あ……アハハ……」
     困った様に笑う玲奈と共に耀も笑った。
    「でも、ありがと。人を捨てたりせず、踏み留まってくれて。幸せになってくれて、ありがとう」
    「私も、ずっと友達でいてくれてありがとう、玲奈。今後ともよろしくね」
     シャンパンの入ったグラスを重ねてルナへの献杯としながら、玲奈と耀が笑い合った丁度その時……。
    「柊さん、荒谷っち……じゃなくて、一っちの方が良いっすかね?」
    「あっ、天摩さん」
    「どっちでも良いわよ。まあ……一っちの方が良いかしら」
    「耀も玲奈も久しぶりだね!」
     天摩と徒に声を掛けられ、耀と玲奈が其々返す。
    「天摩さん達も、やっぱりルナさんの事?」
    「他にも色々あるっすけどね。でも……一っち、前よりもずっと綺麗になっていて素敵だと思うっすよ」
    「ありがとう、獅子凰先輩」
     天摩の称賛に耀が微笑む。
    「僕達は優希斗の所に行くつもりだけど。僕は言いたいことも少しあるしね」
     徒の言葉にまあねぇ、と玲奈が呟く。
    「相変わらずみたいだしね。ブレイズゲートで会った時もいつでも来てって言っておいたけど」
    「あれ? 柊さん今、何やっているんすか?」
     天摩の問いに玲奈が微笑んだ。
    「心の治療をする医者になったんだよ。やっぱりどんな世界でも皆を護るって想いは私の中で変わり続けることは無さそうだったからね」
    「なるほど。柊さんらしいっすね」
    「じゃあ、折角だし皆で行こうか。……あっちの話も大分収まったみたいだしね」
     徒の言葉に天摩達は頷き、優希斗の方へと向かった。


    (「あれは……」)
     少し頭を冷やそうとさりげなく和守達の輪から抜けた優希斗が少し離れたところで一人物思いに耽る女性を見つけ、立ち止まる。
     その女性の名は、高原・清音。
     喧騒から少し離れたところでホットワインを飲みながら空を見上げる彼女の姿は身に着けている純白の修道服もあり幻想的だ。
    (「ルナ……あれから何年経ったかしら……?」)
     心臓を貫かれ、地面に倒れたルナの最期を思い出しながら物思いに耽る。
     ……助けると決意して挑んだ救出作戦。
     しかしとある不用意な一言が彼女を絶望させ、その結果討ち果たされた。
     再び自分達の前に戦争で姿を現した時には、最早彼女の面影は無かった。
     今でも、時折あの頃確かにあった幸せな一時を夢に見ることがある。
    (「……未練がましいのは分かっているわ……」)
     もっと沢山の音楽に出会う筈だった彼女の代わりに世界中を旅する様になったのも。
     空いた時間を見つけては練習用に小さな玩具のピアノを持ち歩く様になったのも。
     それだけルナと共に生きた日々は、私には忘れられなくて。
     ……ずっと貴女への想いを胸に頂いたまま、今を生きている。
    「……また……いつか会いましょう……」
     呟き、空に浮かぶ月を見ながらホットワインをこくり、と一口。
    「……貴女の為に……鎮魂の祈りを……いつか一緒に歌える日まで……」
     自然と清音が澄んだ声で月に向けて鎮魂の歌を捧げる。
     思わず声を掛けようとするが、軽く頭を振り懐の白ワインを飲む優希斗。
     そして、清音の歌に合わせる様に月を見上げて静かに鎮魂の祈りを捧げた。


    「北条さん……」
     優希斗の後ろからそっと声が掛かった。
     振り返ればそこにいたのは狂舞・刑。
    「久しぶりですね、刑先輩」
    「……やっぱりルナさんの、事ですか?」
     刑の問いに、優希斗が淡く微笑んだ。
     清音から少し離れて腰掛け、新しいワインのグラスを刑に手渡す優希斗。
    「ロゼ……?」
    「ええ。同じワインばかりだと飽きますから」
     注がれたロゼを見た刑の脳裏に思い起こされたのは自分が『三度』救えなかった灼滅者。
     当時の事は昨日の事……どころか、数分前の様に思い出せてしまう。
    「あの日闇堕ちするのがオレだったら……まだよかったのにと、今でも思うよ」
    「そうですか……」
     刑の呟きに優希斗が相槌を打つ。
    「……チャンスはあった」
    「……ありましたね」
     刑の呻きにロゼを呷る優希斗。
     自分が予知したその希望が、皆を追いつめてしまった罪だと思うからこそ、刑の言葉は重く響く。
    「犠牲を払えば或いは、とも思った」
    「……そうですね」
     しかし、それまでにどれだけの名古屋の住民が犠牲になるのか。
     ――けれども。
    「全て取りこぼした時は……涙も出ない程に絶望した」
    「……」
     刑の悔恨に優希斗は月を見る。
     月は美しく輝くだけで何も語らない。
    「本当に、ホンの少し会っただけの縁でも……オレにとっては、大事な縁だった」
    「……」
     刑のグラスにロゼを注ぐ優希斗。
     空虚を埋める様に、それを呷る刑。
    「あの人の事は……一生忘れない」
    「……俺もですよ、刑先輩。俺もルナさんの事は忘れられません。多分……他の人達も」
     そう優希斗が告げた時。
    「優希斗っち」
     天摩の声がして、優希斗は刑と共に其方を振り向いた。
    「久しぶりって程でもないか。相変わらずみたいだね」
     玲奈がひらりとパーティードレスを風に靡かせ、優雅に一礼。
    「玲奈、北条先輩と踊ったら?」
    「それも良いね~。……って耀、酔っぱらっているね?」
     耀の冗談に軽くつつき返して笑う玲奈。
     二人の仲睦まじい姿に、優希斗が笑み、刑の方へと視線を向けた。
    「刑先輩、此処にいる皆もきっとルナさんの事は忘れませんよ。……雄哉さんも」
    「そうっすね。10年前のあの時、有城君達と一緒に名古屋の夜桜を見上げたオレもいるっすから」
     天摩が笑い掛けたのに刑の唇がゆっくりと動いた。
    「ああ……そうだな」


    「なあ、優希斗」
     耀達が再び話し始めた時、徒がグラスを突き出してきた。
     優希斗は其れを受け取り、徒に勧められるままにウイスキーを飲む。
    「どうしましたか、徒先輩?」
    「お前、今日何人から声かけられた?」
     徒の問いかけに優希斗が目を丸くする。
    「集まってくれた殆どの人が声を掛けてくれています」
    「そうか」
     そこで少し言葉を区切る、徒。
     自分のグラスにウイスキーを注ぎ改めて口火を切る。
    「僕にはお前が背負っているものの重さは理解してやれない。でも、お前が重いものを背負っていることは分かるよ」
    「……俺が抱えているものなんて、きっと皆程は……」
    「そんな事はないよ。少なくとも僕にはお前が重いものを背負っているとはっきり分かる。天摩の話もディエース達の様に灼滅せざるを得なかった奴の話だった。それはお前が予知した事件だ」
    「……」
     黙ってウイスキーを開ける優希斗のグラスに2杯目を注ぐ徒。
    「でもな、優希斗。重さは分かち合っていいんだ。なくすことは無理でも、軽くすることは出来る。お前、こんなに助けてくれる手があるじゃないか」
    「……そうですね」
     徒の真摯な呼びかけに静かに頷く優希斗。
    「罪は忘れなくていい、でも幸せになってもいいんだ。僕はお前の笑える未来を願っている」
    「幸せに、俺が笑える未来ですか……」
     徒の言葉に優希斗が月を仰ぐ。
     脳裏を過るは、自分の予知で死んでいった『生命』達の事。
    「多分、皆も望んでいると僕は思うよ。ほれ、飲め飲め!」
     すっかり酔った徒に勧められ、優希斗もウイスキーを飲む。
    「よ~し、優希斗さん、踊ろうか?」
    「玲奈さん、出来上がっているね」
     赤ら顔の玲奈に優希斗は微笑み、耀や天摩が笑い合い、咲哉達も合流して語り合う。

     ――静かながらも賑やかな宴は、夜更けまで続いた。


    「北条先輩。僕もご一緒して、いいですか?」
     徒達と分かれて、一人になった優希斗はその気配に息をつく。
     黒のライダースーツ姿の有城・雄哉から放たれるそれで大体状況は把握できた。
    「やっぱり来たんだ、雄哉さん」
    「はい。……戦いの中で失われた沢山の一般人と灼滅者の命を偲ぶ気持ちは、今でも変わっていませんから」
     現れた雄哉に小さく頷き、優希斗は懐からグラスを取り出して雄哉に渡して会場から頂戴してきたロゼを注ぐ。
     注がれたそれを雄哉は怪訝そうに見たが、優希斗が杯を掲げたので諒解し、軽くグラスをぶつけ合った。
    「献杯」
    「はい」
     頷き一口それを飲む雄哉。
    「今でも、一人で?」
    「ええ……そうですね。10年前に比べれば少なくてもダークネスが、彼等の日常を奪ってしまった事実もありますし、守れなかった、救えなかった命も……数多くあるから」
    「……そうだな。俺達の予知も万能じゃない。救えなかった命は沢山ある」
     雄哉に頷きながら、ロゼを呷る優希斗。
     甘みのあるそれが少し苦かった。
    「……特にリード先輩の事は、決して忘れてはいけない事だと、僕も思っています」
     雄哉の呟きに応じる様に【贖罪と未来】が桜と蒼の光を放つ。
     それを見ながら優希斗が頷きを一つ。
    「でも、俺達が抱えなきゃいけない罪は、その事だけじゃないだろう? 雄哉さんの復讐の気持ちも、ダークネスとの共存を否定する気持ちも間違っていないとは思うけれど」
    「ええ、そうですね。僕は、ダークネスに大切なものを奪われた。けれども、『彼等』の未来を奪った罪と責は、僕にもある」
     それは、全人類エスパー化の事だろうか。
     それとも……変わりゆく世界の中で相対し、その未来を奪った川や湖の事だろうか。
     いずれにせよ自分達の選択の結果……世界の在り方は、大きく変わった。
    「エスパーが生まれ、時代は大きな変革の波に飲み込まれた。今は大規模なエスパーの暴動は起きていない。けれども……在り方を変えられた、と理不尽に思う人達はいるだろう」
    「ええ、僕もそう思います。だからこそ、その世界の在り方を変えた、罪と責も僕は背負う」
     告げる雄哉に息をつく優希斗。
    「俺もそうだから、エクスブレインとしての仕事も続けるために学園に残った」
    「ダークネスによる事件を未然に防ぐ為……ですね」
    「ああ。俺達は、学園にいなければ予知能力を使うことは出来ないからね」
     告げる優希斗に雄哉が溜息を一つ。
    「……ダークネスへの憎しみを、僕には消すことが出来ません。だから、僕はダークネスを灼滅し続けます。事件がゼロになる、その日まで」
    「それでも良いと、俺は思うよ。学園には学園の、俺達には俺達のやり方があるけれど、一方で雄哉さんみたいなやり方も必要だと思うからね。けれども今日は……」
     ――そう、今日は。
    「失われた生命へと鎮魂を捧げたいんだ。例えどんな存在だったとしても、死が訪れた者には等しく安らぎが与えられるべきだと思うから」
    「……そうですね。それでは」
     献杯とグラスをぶつけ合う。
     月光が、そんな2人を優しく包み込む様に照らしていた。

    作者:長野聖夜 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年12月24日
    難度:簡単
    参加:17人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 3
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