カーテンコール

    作者:日暮ひかり

    ●2020年某日、武蔵坂学園某教室にて
     卒業式が終わった後の教室は、煩い。
     それは学校行事という学校行事をすっぽかして生きてきた鷹神・豊(エクスブレイン・dn0052)という馬鹿が、この六年間でようやく学び得たもののひとつだった。もう自分は学生ではなくなったのだという実感も乏しく、結局学校という組織にはいまひとつ馴染み切れぬままで終わってしまった気もする。
     夕刻、ようやく人気のはけてきた校舎の中で、今は使用されていない片隅の教室に向かう。エクスブレインの仕事が完全になくなった訳ではないが、死が常に目と鼻の先に視えていた頃のような緊張感はすっかり失われて久しい。
     かつての定位置であった教壇ではなく、『戦う者』の位置である座席へふと座り、過去を一つ一つ振り返ってみる。それでも、彼らの背負う想いを理解しきる事など永遠にできないのだろう。
     ――灼滅者。かつて俺のヒーローだと呼んだ彼らは今、世界のヒーローになっていた。

    「鷹神さん、探しましたよ。こんな所にいらしたんですね」
    「うわ、お前らか……来んなよ」
     ごめんごめん、と哀川・龍(降り龍・dn0196)がいつもの悪びれない笑みを浮かべ、イヴ・エルフィンストーン(大学生魔法使い・dn0012)もにこにこと笑っている。花など貰ってもどう扱ったらいいのか分からないというのに、いかにも卒業祝いという感じの花束を手にして。この二人はいつもこうだ。
    「大学卒業おめでと。そういえば今までちゃんと、ありがとうって言った事なかった気がするからさ、この機会に言わなきゃって思って。……助けてくれてありがとう、豊さん」
     贔屓屋で意地悪な神を罵り、正直に生きていたって良いことはないと自棄を起こしていた少年は、本当にそんな奴なのかと疑うほど呑気に日々の小さな幸せを満喫している。
    「ふふ、わかります。お友達に面と向かって感謝を伝えるの、ちょっぴり恥ずかしいですよね。はい、鷹神さんも恥ずかしがらずにありがとうの気持ちを受け取ってくださいね!」
     会った瞬間一方的に友達認定され、頼んでもいないのに六六六人衆と戦う仲間を集めて走り回ってくれたお節介な少女は今でもお節介で、ずっと自分より一枚上手な魔法使いだ。
    「…………」
     彼らを送り出す一方の身を歯がゆく感じたことはなかった、と言えば、それは嘘になる。
     けれど、それを態度に出して何になるのだと思っていた。ある意味ではずっと強がっていたのだと思うが、不器用な強がりも貫き通せば本物の強さになる。
    「まったく……先手を打たれたな。受け取っておく」
     別に仲がよかったつもりはない。趣味や話が合ったわけでもない。
     本来なら決して出会うことはなかったはずの、奇妙な三人だったと思う。
     けれど、もう長い付き合いだ。どうせ放っておいてはくれないだろうから、行き先はあえて告げたりしない。
    「有難う。俺も君達と出会えてよかった。じゃあな」
     これからは、戦いたくない奴がずっと戦わずにすむ未来になればいい。いや、する。

    ●never ending
     ……これが『三人の物語』の結末。
     けれど『人生』はこの先も、ずっと未来へ続いていく。
     かつてヒーローと呼ばれ、今、世界のヒーローになった君達へ。
     皆の抱えてきた想いの、紡いできた絆の、辿り着いたその先はどこなのだろう。
     物語は既に終わった後。けれど叶うなら、もう少しだけお付き合い願いたい。
     過ぎ去った時を少しだけ呼び戻して、一緒にその先を覗きに行こう。


    ■リプレイ

    ●2018
     時は戻らない。希望に溢れた未来なんて絶望でしかない。だから、思い出の海へ逃げた。
     ゆきひ。小さな声で喘ぐ彼の、太陽みたいな瞳から降る雨はなんて綺麗なのだろう――目尻に触れかけた雪灯の手を引き留め、萌火は指に力をこめた。
    「おれをひとりに、しないでっ……守れないときは、おれを、ころして」
    「うん」
     ああ、綺麗だ。間違った感情に優しい微笑みを返す君が、涙で濡れた君の眩しい笑顔が。溶けていく、解けていく――絡めた指の上へ、互いにそっと口づけを落とす。溢れる思いは心の穴を埋めて、二人で点した希望のひかりが、萌火の中の冷たい鎖を溶かしてゆく。
    「すき。だいすき」
    「俺も……すき」
     此処がいつかきみの描いた世界のはてではなくても。どうか笑っていて――私だけのあおいとり。

     家族から見放された俺に、笑い方を教えてくれた温かい場所。そんなサーカスがダークネスに襲われたのは、多分俺が居た所為――仲間達の墓前に花を供えた天狼は、兄とも親とも慕っていた『彼』に語り掛ける。
    「俺はもう『戦い』の中にいないよ」
     貴方たちと過ごした愛鳩のシエルと仲良くやってるよ。……笑いあえる人達に会えたよ。
    「ありがとう」
     ――漸く、伝えられた。最期まで俺を助けてくれた彼は、笑ってくれただろうか。

    「……少し来るのが遅くなってすいません」
     大晦日、以前所属していた病院の跡地に訪れた真宙は、ダークネスの襲撃で殺されてしまった仲間達に長い戦いが終結した事を報告する。
     あの頃はいつも皆に守られていた。だから、これからの自分も誰かを守る人になりたいと、思い出の地と仲間に誓う。命だけでなく、心も守る。
    「まだそういったことは必要だと思うんです。まひろはまひろのやり方で、誰かを守れたらなと思います」

    ●2019
     桜舞う城を背景に、白いタキシードとドレスを纏えば御伽噺の世界のよう。今日の為に貸し切った遊園地の一角で、シェリーと七狼の結婚式が開かれた。
     王子が純白のヴェールを捲る。今日の君は、最高に美しいお姫様。
    「今日の幸せを超える日々を、君に見せていきたいな」
    「君に幸せを感じて貰える日々を、これからも紡いでいきたいな」
     誓いの言葉に心をこめ、何より甘く優しい口吻を。そのまま七狼に抱き上げられたシェリーは、彼の腕にそっと寄り添い頬にキスをした。皆から歓声が飛び、フラワーシャワーが二人に降り注ぐ。
     物語はハッピーエンドの先を超え、続いていく。離さないよ――これまでも、これからも。
     あぁ、君を傍に見上げる空はあんなにも鮮やかに蒼い。彩のある世界を二人で歩いて行こう。

     かつて悪魔の司令部として使われていた鶴見岳の駅舎はすっかり廃墟と化していた。2月5日――静佳にとっては忘れ得ぬ日だ。まるで鏡の向こうの自分のような、百合を纏い、人に興味を抱く白き悪魔に出会った日。
    「貴女のことが、きっと、好きだったの」
     答えはもう返らない。けれど毎年ここに来る――ちいさな『ともだち』と共に。
     暫し佇み、祈る静佳の足元には、影業の犬達がそっと身を寄せていた。

     卒業式。慣れない袴姿で校内を走り回るひよりは、イヴの姿を見つけてぱっと笑う。春は一緒に花を見て、夏はスイカを割って――楽しくて愛おしい思い出とも今日でお別れだ。
    「わたしにとっては、イヴちゃんそのものが素敵な魔法みたいだったよ」
     大切な友達に渡すのは、綺麗に包んだピンクのガーベラ一輪。感謝を伝えるひよりの一番好きな花だ。翡翠の瞳に涙を滲ませ微笑む彼女を見て、イヴの方が号泣してしまう。
    「イヴも絶対お手紙書きます……!」
     いつも笑顔で一生懸命で。大好きな貴女と、この学園で会えて良かった。

    ●2020
     卒業間近のある日、豊は難しい顔である絵本を読んでいた。ずっと自分の世界に閉じ籠っていた少女が、外の世界に旅立つ話――それは冠木ゆいという少女が描いた、私にしか描けない『私の物語』。
    「ど、ど、どうかな?」
    「……正直驚いた。君は才能があると思う」
     この本はきっと、皆に勇気を届けてくれるはずだ――その言葉に背を押され、ゆいはコンテスト応募を決意する。
     それから十年後、絵本作家・冠木ゆいが出した勇ましい鷹の物語が評判になる。俺も君に勇気を貰った。大切にすると書かれたファンレターを眺め、ゆいは微笑んだ。

     小学生の頃、楽しいよって連れて行ってくれた駄菓子屋が結月と竜生の初めてのデートだった。話すうちにどんどん竜生が好きになり、どきどきした事を結月は今でもよく覚えている。
    「あの時買ったお菓子もここの何処かにあったりするのかな」
     高校卒業記念に訪れた駄菓子屋横丁で、二人は大切な想い出を辿る。お昼に買った焼き団子をあーんと差し出された結月は、口を開けてそれを頬張った。
    「ふふ。なんだか照れちゃうのよ。だから、お返しなのっ」
     家族に土産を購入しつつ、ゆきには桜模様の組飴を。竜生ちゃんにはボールガムを。お互いの瞳の色を探し合って喜んだ、初めての想い出が蘇って笑いあう。
    「ねえ、ゆき。近くに神社もあるんだって」
     お菓子みたいにカラフルな二人の縁が、長く続きますように。

     10月13日――愛莉の誕生日であるその日に、雄哉と愛莉は入籍しささやかな披露宴を行った。
     場所は三重県四日市のウエディングレストラン。純白のタキシードとドレスに身を包んだ二人は、式ののち参列者と食事会を開く。
     そこに灼滅者の姿はなく、二人の親族や故郷の友人、恩師、勤務先の上司、天涯孤独の雄哉には親ともいえる存在の弁護士や住職らが列席していた。友人らに祝福される雄哉の笑みは穏やかだ。
    「これからはふたりで未来を紡いでいくから……子供、できないけどね」
     それでもいいわ、と笑う娘の姿に愛莉の母が涙ぐむ。できればパパにドレスを見せたかったけれど、おばあちゃんには見せられて幸せだ。
    「皆さん、来てくれてありがとう。未熟な2人ですが、これからもよろしくお願いします」

    ●2021
    「荻原さんですか!?」
    「あっ、川田先生!」
     中学の担任だった武蔵坂の教師、川田翔吾に偶然再会した茉莉は飛びつきたいのを我慢し近況を報告する。今年、中学の体育教師になった事。灼滅者は人だと言い切ってくれた先生みたく、悩む誰かに寄り添いたかった事――興奮で纏まらない話をゆっくり聞いてくれる先生の優しい笑顔は、変わらない。
    「感動ですね。君が素敵な大人になっていて、僕は嬉しいです!」
    「川田先生、ありがとう。だいすき!」
     これからは共に頑張ろう。間違いながらもより良い方へ進んでいくのが『人間』なのだから。

     結婚式の後、二人のゆかりの地であるパリへとハネムーンに向かった絵里琉とノエルは、展望台から美しいイルミネーションを眺める。
    「僕らが付き合い始めたあの日も、こんな光を眺めながら話していたっけね」
     空も地上も満天の星のような光に包まれた異国の夜。それは絵里琉が学園祭で浴びたライトにも似ていて、見慣れないけれど綺麗だ。ノエルは自然と、妻の柔らかい手をそっと握る。
    「……エル」
    「十年後も、二十年後も。こんな綺麗な景色を眺めるとき……君と並んでいられるように」
     ううん。ありふれたいつもの日常だって、貴方の隣に居たいわ。絵里琉がそう返し彼へよりかかると、空いた手でクチナシの花を差し出された。これからもずっと、離れない。
    「……もう、驚かせるのが本当に上手いんだから」

     この年のクリスマス、16歳になったエミリオと断は、約束の結婚式を挙げるため彼の故郷スペインへ渡った。断の左手薬指に指輪をはめたエミリオは、青い瞳を見つめてふわりと微笑む。
    「Te prometo quererte para siempre.En las…ううん。え……と」
     ――僕は永遠に君のことを愛すると誓う。
     夢にまで見た王子様との結婚式。今日から彼のお嫁さんになれるのだ。想いが溢れて、もう貴方しか見えない!
    「嬉しい……世界で貴方が一番素敵で……一番大好き……本当の気持ちだよ……」
     ずっと一緒にいて欲しい。良い時も悪い時も隣に、貴方じゃなきゃ駄目だから。約束のキスを交わした二人は、抱き合って愛を囁きあう。もう絶対に、この手を離したりなんてしない。

     今年度の【クローバーハウス】のクリスマスは、家族揃ってのホームパーティ。いつもより少し手間をかけた佳奈子の料理はますます美味しく、タシュラフェルも千尋もついつい手が伸びてしまう。
    「まぁ! お願いしたケーキは手作りのプディングになったのですね!」
    「……匂いで、ばれちゃうよね」
    「凄いじゃない…とても良く出来てるわ」
    「うん、美味しいよ」
     今年は皆、高校や大学卒業を控え、新しい道へ向かう節目の年だ。今まで皆におんぶにだっこだったから、これは私だけの力で――ユーリのクリスマスプディングにはそんな想いがこめられている。
     自分も将来、いつかは神様を支えるシスターになりたいけれど。
    「その前にお菓子のお勉強して…美味しいもので、皆を応援、したい……いい?」
     初めて自分の意志で『なりたいもの』を告げた彼女を、神様――千尋は優しく受け入れた。
    「うん、いいと思う。そういや、タシェの話は聞いたことないね」
    「今でも、将来のコトなんてうまく考えられないのよね。でも……そうね」
     この家族との温かい生活を、失う事がないよう守っていきたい。確認するようにそう呟く。学園に来た頃のタシュラフェルは思ってもみなかった幸せの形だから。
    「肝心の姉さんは?」
    「わたしは、もちろん、皆さんを養います……!」
     そんな皆の姿を見て佳奈子は燃え上がる。おねえさんですもの――そう思えば、社会人になっても仕事を頑張れる。
    「……姉さんがそういうなら、将来僕が決断するときになれば……」
     やっぱり姉さんかな、と千尋も笑って頷いた。二人でこの温かな家を支えていこう。

    ●2022
    「私達も卒業かー。色々あったなぁ」
    「何だかイヴ、あのカタパルトが恋しいです」
     卒業式の後、アメリアとイヴは学園の校庭で暮れゆく空を見上げていた。部長に呼び出された【Fly High】の部員たちが続々集まってくると、アメリアは少し寂しそうに笑った。
    「皆……ふふ、ありがとね。……ね、かのちゃん。ちょっと、空。付き合わない?」
     指名を受けた歌音はアメリアを追い、校庭から空へ飛び立つ。思い出を噛みしめるようにゆっくり並列飛行する二人を、残暑はぼんやりと眺めた。
    「今日は歴史が変わる日なのですわね……!」
     お嬢様の勘でそう確信した。木乃葉も空の上の二人を穏やかな笑みで見上げる。
    「一緒に駆け抜けてきた空、かのちゃん覚えてる?」
    「あの特別賞の時の爆発はすごかったよなー」
    「ふふ、いつも以上だったねあの時は」
     アメリアと歌音の想い出は遙か空を流れ、地上には届かない。未知と七ノ香にとって、あの姿はずっと一種の憧れだった。
    「さ、私の空はこれで一先ず終わり」
    「あー姉……まだ、終わりにしたくないよ、オレ……」
    「次は……貴女の空、見せて欲しいな」
     そして、アメリアは自分の帽子を歌音の頭に乗せた。
    「部長、やってみない?」
     かのちゃんになら、託せるんだ――託された歌音は一瞬戸惑うも、力強くうんと頷いた。
     皆やイヴが驚き、拍手と歓声を送る中、一人だけ先に事情を聞いていた未知はアメリアの視線に小さな頷きを返す。いつも姉妹のようだった二人。歌音ならアメリアにも負けない位、優しくて楽しい空を作ってくれる。残暑は空へ敬礼を送った。
    「アメリア様、今までお疲れ様でしたわ。草葉の陰からわたくし達の活躍を見ていてくださいませ!」
    「……戻りづらい空気になっちゃったよ!?」
     普通に降りてきたアメリアへ卒業の祝辞を送った木乃葉は、歌音にも励ましの言葉を。
    「ボクが法学部を卒業するまで残り数年ですが……2代目部長のFly hignも期待してますよ」
    「俺も副部長としてこれからも手伝ってやるぜ」
     未知がどや顔を作る。残暑の言う通り、今日は『歴史が変わる日』だ。どんな苦労も皆で飛び超えていこう。空は飛べなくても、七ノ香だって大切な仲間だ。
    「……ふふ、何でしょうね、この涙」
     私、ここに来てよかったです――だが、未知以外はまだ知らない。この年の夏合宿にアメリアがスタッフとして乱入し、結局いつものカオスな空が続く事を。

     互いに向き合おうと決めた日から、随分時間が経った。少しずつ関係が変わっても秘めた想いは変わらず、舞い散る桜はいつだって二人の想い出の花だった。
     春、近所の桜並木を歩きながら穏やかな時を過ごす中、蒼刃は思い切って切り出す。
    「俺は今でも薙の事が好きだよ」
     ずっと長く『家族』だった二人。だけどもし許されるなら――いつかもっと違う意味での『家族』になりたい。その『いつか』のための指輪を差し出された薙乃は一瞬躊躇う。
    「だってわたし、相変わらず意地っ張りなとこあるし。素直になれないとこもあるし……」
     そんな所も含めて、好きだ。この気持ちは思い込みでも夢でもない。
     薙乃は指輪を受け取り、よろしくお願いしますと小さく呟く。大切な彼女の頬は桜のような桃に染まっていた。

     イヴが偶然再会したいろはは4、5歳程の男の子を連れていた。相棒の面影を見て大戦の後に引き取ったのだと、公園のベンチに座った彼女は苦笑いを浮かべる。
    「当時はどうしようか見失ってたんだと思うんだ。……将来やりたい事も一緒にいたい人も全部無くしちゃったから」
    「いろはさん……」
     ――ねえ、おまじないをかけてくれないかな。
    「はい!」
     久々にスレカを使い、魔法使いに変身したイヴを少年は驚いた顔で眺めた。世界一信頼している魔法使いの魔法だから、きっと効く。後悔はしてない――母子の未来に笑顔が溢れますように。

     12月。さくらえは陣痛室で痛みに耐えるエリノアの手を握っていた。手を握り返す力の強さで彼女の苦しさを知り、こんな時男は無力だと思う。けれど妻は夫の想いに支えられ、無事に元気な娘を出産した。
     家族を知らなかった私が、愛する人の子を産めるなんて。エリノアの浮かべた笑顔が綺麗で、さくらえは号泣してしまう。
    「エリノア、お疲れ様……っ」
     娘を抱き上げるさくらえの姿を見ながら、エリノアは息も切れ切れに願った。
     ――ねぇ、名前。さくらえから付けて上げて。
     さくらえは頷く。どんな名前にするかはもう決めてあった。春の訪れを連れてくる桜のように、温かな優しい娘に育つよう。願いをこめたその名が呼ばれた瞬間、エリノアは泣きそうに微笑んだ。
    「姫桜(きさ)、この世界へようこそ」

    ●2023
     青空の下、日の当たるガーテンには秋の花が咲き揃う。希沙の祖父、小太郎の養父母ら二人の大切な人を招いた人前式で対面した二人は、泣きそうな顔でくしゃりと笑う。
     純白のドレスとタキシード――18歳からの約束。共に重ねてきた想い出の中でも、今日の貴方は世界一だ。
     互いに誠実であり、家族や友を大切にすること。嬉しい時も悲しい時も分かち合い、互いの人生を愛し、いつも感謝を忘れないこと。
     幸せを誓うなら、神様よりも大切なひとへ。二人で考えた言葉を口にし、結びに唇を重ねあう。希沙の瞳から涙が一筋こぼれ、小太郎も揃いの瞳で見送る。
    「オレを生きさせてくれて有難う」
    「きさを見つけてくれて有難う」
     貴方を愛してる。爺ちゃん婆ちゃんになってもずっと、隣でしあわせに笑い合おう。

     同居を始める為、恋人の自宅で両親に会う、というのはこうも緊張するものなのか。一哉に両親と育ての親の小夜さんを紹介された杏理は、互いに落ち着かぬ空気の中で挨拶をする。いつもお世話になっていますの一言が、重い。
    「杏理と、付き合ってるんだ」
     そう両親に告げた瞬間、一哉は不思議と肩の荷がおりた気がした。ずっと後ろめたかった事もあるがそれ以上に、彼を大切な人に会わせたかったらしい。
     来てくれて有難う。そう言われ、杏理も同じ想いに気付く。
    「この人を、この世に産んで、こうして出会わせてくれた人たちにお会いして、ご挨拶とお礼を、したかったんです」
     ――有難う御座います。
     心よりの礼を口にしたら、成程案外自然に笑えた。これから二人で共に生きていく――その意志をこめて。

    ●2024
     春、壱と共に引っ越しの準備をしていたみをきは、お気に入りの硝子棚の中に置き忘れたCDを愛おしげに撫でた。手書きの曲順はかつて壱が書いてくれたもの。壱が古さに苦笑いしても、これは宝物だ。
    「あの頃はこんな未来があると想像もしていなかったな、と」
     背伸びし、見様見真似で生きて死ぬつもりだったのに。この頃から始まった気がするよね、と壱も懐かしむ。けれど想い出話はまた後で。
    「ありがとう、にいさん」
    「ここで遊んでると梱包しちゃうぞ、きなこ」
     植木鉢を運ぶビハインドは悠然と微笑み、転がるきなこの不満げな声が響く。そんな日常の中で、あの頃名を知らなかった感情は毎日生まれ変わり、色褪せない。一生、君だけのもの――あたたかいあなたの隣で、これからは、これからも、ずっと。

     輝乃と出会い10年、想いを告げ恋人になって6年。彼女の大学進学を期に同棲を考え始めた脇差は今、輝乃の母親代わりとも言える義姉、彩歌に緊張の面持ちで向き合っていた。
    「月雲……いや彩歌さん、輝乃の事は任せてください。大切にします、絶対に」
     脇差は覚悟を決め、深く頭を下げる。普段は気心知れた同僚と言えど、彩歌が輝乃を大切に想う気持ちを知っているから礼を尽くす。ガチガチに固まっている脇差を眺め、輝乃は仕方ないかなと密かに笑った。
    「彩歌姉さん、今までありがとう。あたしも脇差と一緒にいたい」
     大切にする宣言を受け、少し赤みのさした頬で輝乃はしっかりと言い切る。
     学園に来てからずっと、自分は一児の母となってもなお、家族として見守ってきた輝乃。彼女の成長と門出を嬉しく思う反面、彩歌は少し寂しくも思う。
    「脇差さんならきっと、輝乃を大事にしてくれるでしょう」
    「! 有難うございます!」
     もう輝乃も、子供ではなくなっているんですから――そう言いつつも過保護にあれは要るか、これは要るかと聞いてくる彩歌に輝乃は苦笑する。
     脇差はほっと胸をなで下ろし、二人のやりとりに加わる。そこに確かな母娘の情を見た。

     11月12日は紗奈の20歳の誕生日。成人になった記念に、春と二人でお酒を呑みにきた。カクテルとビールで乾杯し、まずは一口。想像以上の苦みにべっと舌を出した春は、カクテルはジュースみたいだよと紗奈が差し出したグラスが受け取れなかった。彼女は気にする様子もなく、春のビールを試飲する。
    「春はいつもこんな苦いお酒飲んでるの」
    「オレも酒初めてだけど」
     ――待っててくれたの?
     きょとり、返る問いを思わず否定しかけて。
    「待ってた、かも、しんない、です」
     口に出せたのはきっと酔いのせい。紗奈も気持ちがふわふわして、彼に抱きつこうとするも拒否される。照れずに寄り添うにはまだ少し時間がかかるらしい。
     でも、うれしい。意地悪だけどやさしい幼馴染と、一緒に進んでいけるから。

    ●2025
     獣道の先、漸く見つけた里の小川はすっかり自然に還っていた。吸血鬼の噂も聞こえなくなり、結局逢えぬ儘終わっていたのだと思う。
     ――小夜。
     里を滅ぼした吸血鬼の少女。布都乃の幼馴染にして、宿敵。討つならこの手でと鍛え続けた拳で今、川岸に小さな碑を立てる。今ならお前も、還って来れるだろ。
     不意に凛とした風が吹き、振り返る。そこにはもう誰もいなかった。次の一歩を踏み出そう――腐って生きるには柵が多くなりすぎた。

    「……客が来ねェなァ」
    「客ではなく患者でしょう」
     新婚なのに妻の声が冷たい。厳暑のタクラマカン砂漠に建つ非公式・非合法の国際医療団体『見境なき医師弾』医療テントでは、幸か不幸か閑古鳥が鳴いていた。
    「死に難ィッてのも考えモンよネ。痛くて苦しくて辛くて死にてェのに死ねねェッてンじャ、エスパーの皆サンも『こんな世界に誰がした』ッてなモンよ」
     こんな場所だから、だろうか。ふと垣間見えた盾衛の本音に、フランキスカは小さく笑みを浮かべた。
    「……だからこそ、世の人の良き生の為に医学を志したのでは?」
    「イイエ、そンなヤツらの足元を見てWIN-WINでウィンウィン儲ける為DEATH!」
     犬歯を剥き、盾衛はあくまで偽悪的に笑う。困ったこの夫には、当分の間監視が必要だろう。

    ●2026
     故郷ロンドンにて5年前に出した店で、服のデザイン画を描く民子の元に懐かしい老け顔が現れた。店内の空気に懐かしい面影を見た多岐は、民子にせがまれ近況を報告する。
     隠す事はない。好きな事をブレずに続けている彼女が少し眩しいけれど。
    「教師は辞めた。それで、写真家になった」
    「知ってる。たまに雑誌で名前見るし」
     腹立つわ、と悪態が返る。本当は民子も認めている――あたしの服の世界観を切り取れるのはあんただけ。言わずともいつかまた共に何かを創る日が来る、そんな関係だから約束はいらない。
     店を幼い天使が覗きこむ。駆けてきた幼子を抱き上げる多岐を見て、民子はきょとんとした。
    「娘のアンナ。連れ子だけどな」
     ――生意気!
     漸く一泡吹かせられたと、多岐は蹴られながら笑った。

    ●2027
    「よし。掃除完了、陳列OK!」
     澄の雑貨店が、12月23日、ここ吉祥寺にいよいよ開店する。
     一旦は一般企業に就職したものの、学生時代祖母から預かっていたこの店がずっと気になっていた。こつこつ貯金をし、祖母とも相談して、昔と同じ場所で新装開店だ。
     店名はやっぱり――祖母の名前が由来の『ちどり雑貨店』。
     看板を出した澄が客を待っていると、武蔵坂の制服の少女が一人ご来店。
    「……あ! いらっしゃいませ!」

    ●2028
     夏の日、茅花は子供を連れて通り雨に降られた御伽を迎えに出る。うさぎのレインコートを着た妹の蛍は、蛙を捕まえる悪戯に夢中だ。
     ほた、だめ。かわいそう。ひよこレインコートの兄、燈が蛍の手を取る。ぱぱをびっくりさせるんやろ――その言葉にぱっと顔を明るくした蛍は、逆に燈の手を引き駆けていく。
    「転ぶわよ」
    「はーい!」
     元気なうさぎとひよこは母の声も聞かず、水たまりを散らして走る。雨の中に家族の姿を見た御伽が、駅前で手を振っている。
    「ぱぱー! かさー!」
     飛びこんできた子ども達を抱きとめ、御伽は有難うと頭を撫でる。
    「ほたねー、さっきかえるみつけたの。おにーちゃんびっくりしてた!」
    「してないよ!」
     帰ろうか。四人で手を繋げば、雨音にも負けない賑わいが家族を包んだ。

     所在不明というから意地で探し出し、武蔵野の交差点でやっと見つけた。仙は豊の姿に駆け寄り、呼び止める。
    「よく考えたら私、大人しく守られてるだけは性に合わなかったんだよね」
     ――背中を守らせてくれないか。つまり、
    「好きです、結婚してくださいって事だけど」
    「すまん。断る」
    「……思った以上に決断早いし動じないね」
    「その手の申し出は全て断っている。だが仕事上のパートナーなら歓迎だ」
     丁度技術者を探していた。
     掛け合ってみるがどうすると問われ、仙は苦笑する。どうしたって『普通』の道は通れない恋らしいから。

     ――エルフィンストーン先生。
     イヴが届けてみせると誓った魔法は、遠い砂漠の国にも届いたようだ。探検家として活動するキィンは旅先でも占いの本を読んでくれているらしい。
    『見知らぬ地で灼滅者(スレイヤー)としてあれこれたずねられるのが不思議な気分だが、先生の魔法に負けてられないな。 Kean.K』
     イヴも返事の手紙を出そうと筆を取る。
    『頑張る探検家さんへの特別な占いです。貴方のラッキーアイテムはペンと手紙。旧交を大切にしましょう。特に、魔法使いの友達は大事にして下さいね』

    「初めまして。宮瀬・冬人、です。センリ先輩と、お付き合いさせていただいてます」
     彼女の両親から答えはない。墓前に花を供え、冬人は恋人の優しい声に耳を傾ける。
    「父さん、母さん、姉さん。……来るのが遅くなって、本当にすまない。報告したい事があって」
     記憶を取り戻してからも、来るのがずっと怖かった。冬人に貰った勇気を胸に、ずっと一緒に居たい大切な人ができたのだと、センリは家族へ報告を終える。
    「先輩……ううん、センリさん。貴方とずっと一緒にいたいです」
     支えになれているかはわからない。でも、家族として一緒にいたいと思ったから、わがままを許してもらえたら嬉しい。
    「……ふふ、やっと名前で呼んでくれたな」
     あなたは自慢の恋人だった。これからは、伴侶として共に歩もう。

     海外のどこかの国の片田舎。孤児院が併設された教会で、アレクセイと月夜は子供たちと飾りつけをしていた。
    「喧嘩しないで、仲良く飾るですよー?」
     夫妻の子供の他には――少し変わった子供達が合わせて10人ばかり。近隣の大人との相談を終え、アレクセイはやっと一息。
    「あれから10年、やっと腰を落ち着けてクリスマスを迎える事ができましたね」
     寄ってきた獣の子供を撫で、アレクセイは夕食を作る妻の背中に声をかける。彼女には苦労ばかりかけていないかと心配しているが……。
    「苦労とかはよく分からないですが……ボクはみんなと一緒で楽しいのですよー。これからもずっと一緒なのですよー♪」
     今日はクリスマス。種族も関係なく皆で温かな食事を囲もう。お鍋とスープ、どちらが良いだろうか。

     背が高くなったな。聖夜のイルミネーションに照らされる豊を眺め、真珠は不意に泣きたくなる。この後も仕事だという。君は戦っているのに、何もできない。
     帰るという彼を呼び止めた。心配無用とは知っているし、困らせるのも分かるから、これは私の欲。
    「あのね。好きです」
     僅かな間の後、浅い溜息が聞こえた。
    「悪いが応えられない。忘れろ。君は俺の『守るべき日常』の一つだから」
     有難う。ごめんね。互いに眉を下げて笑い、少しだけ抱き合った。
     真っ直ぐで、厳しいけど優しくて――君が寄りかかれる止まり木になりたかった。

     思えば初めてのクリスマスデートは此処だった。15年ぶりに見上げるヴィーナスフォートの女神は少し古びていたが、あの日口にしなかった願いははっきり覚えている。
     『どんな人なの』『やっかいな人』昔、友人へそう話した彼は今、千波耶の旦那になっていて、けれど結局やっかいな人のまま。ずっと変わらぬ願い――『彼が幸せになりますように』。それがどんな形でも、彼が幸せなら、いい。
    「葉くん」
     久々に聞く呼び名だ。
    「最期まで一緒にいられなくてごめんな」
     俺はいつか殺されるけれど、最期の時まで彼女と子供達の幸せを願うだろう。
    「いいよ。うんと幸せにしてあげるから――覚悟しておいて」
     葉にとっての女神はきっと彼女だった。
     ――その時が来たら聞き届けてくれよ、俺の女神様。
     不意に携帯が震えた。見覚えのある番号から、大量の着信が入っている。

    「留置所の中ってこんなカンジなんだな……!」
     まさか本当にかつ丼を奢る破目になるとは。知人という事で急遽呼び出された豊は、誘拐犯として捕まった錠の口の堅さに頭を抱えていた。
    「……この手は使いたくなかったが」
     イヴ君を呼ぶかと脅され、錠はやっと白状する。ライブをがんばったママとパパに、ひみつのクリスマスプレゼントを――留守番中のニノマエ家長男に頼まれたのだ、男の約束は破れまい。
     漸く釈放された錠は、夫妻からの呆れと心配のメールにも悪びれず笑う。愛するお前らへ一斉送信――『メリークリスマス』。

     12月26日はクリスマスと正月の間の一番大事な日。新潟に嫁いで米農家となった穂純は、仕事を終えた龍を和食中心のご馳走とケーキで出迎える。
    「尾頭付きの鯛! すごいな」
    「すごいと言えば今日も雪すごいね!」
     何気ない事で一緒に笑いあう毎日は幸せに満ちていると知った。もっと幸せを増やしたいから、今日は少し我儘を。
    「……ね、ぎゅってして欲しいな」
     泣くのはずっと我慢していた。けれど、嬉しすぎると涙が止まらないのだとも知った。大好きだよ龍さん――涙を流す穂純を抱きしめ、龍も言う。おれも穂純ちゃんが大好き。

    「ようこそ我が家へ。新築一戸建てだ」
     豊が案内されたのは陽光がさす明るいダイニング。香乃果特製のすき焼きとホタテのカルパッチョ、胡瓜の浅漬けが並び、二人の子供もきちんと席についている。重いローンも背負う価値がある。
     仕事の相談や依頼の想い出話を肴にビールを呑み交わす峻と豊を眺め、香乃果が皆で鍋を囲める幸せに浸っていると、娘が袖を引いた。
    「豊さん。娘がどうしても手紙を書いて渡したいと言って聞かなくて……」
     『こんにちは またきてね』の幼い文字に、豊も思わず笑顔になり少女の頭を撫でる。
    「ふふ、初恋だったらどうしましょう」
    「初こ ……」
     峻はフリーズした。家庭を顧みず娘には嫌われ、何かとずれた自分にずっと付き合うのは正直大変だろう。けれど。
    「峻さんだからこそ、ですよ」
    「ああ、お前と歩く人生は予測不能で愉しい」
     昔、未来は暗くて見えなかった。眩し過ぎて戸惑う時もあった。解ってくれる二人がいるから、今は温かだ。最後まで貴方と共に――香乃果の願いはきっと叶うだろう。

    「貴方は俺を殺してくれますか」
     踏ん切りがつくまで随分かかってしまった。普通の田舎の普通の家に生まれた少年は、胎児の頃から生粋の『殺人鬼』だった。
     視界に入る人を殺める妄想に囚われ、空想上で数多くを殺した。中でも、最も繰り返し殺めた両親――行方知れずだった息子に今、何を想うだろう。妄想に必死に耐えながら、殺人鬼だった青年は前を向き、声を絞り出す。
    「ただいま」
     それが『灼滅者』久織想司の最期だった。

     イヴと正式に付き合い始めてから二ヶ月――大晦日の今日は地元で朝からデートをし、年越し蕎麦も食べた。除夜の鐘が響く中、近所の神社へ向かう道すがらで敬厳は不意に立ち止まる。
    「イヴさん、結婚しましょう」
     凝った事は言えないから、伝えたい言葉はまっすぐに。密かにサイズを調べ、作っておいた指輪は彼女の指にぴったり嵌まるはずだ。
    「……はい。今日から蜂イヴ、ですね」
     二人手を繋ぎ、神社へ向かう。父様と母様、姉様達。それから親戚の皆さん。新年早々良い報告ができそうだ。蜂家のお正月が楽しみだと、イヴは微笑んだ。

     武蔵坂学園の屋上より見下ろす街明かりの向こうから、厳かな除夜の鐘が響く。
    「ここからなにが、見えますか?」
    「灯が見える。一つ一つに人の意思と意図があって灯っている」
    「ひとのいのちの灯火です」
    「確かにそうでもある」
     ずっと彼の見ているものが見たかった。知りたいのは、今でも。今年のことは今年のうちにーーころり、昭子の鈴の音に純也は一つ瞬きを返す。
     初詣に参りましょう。春はお花見、夏の夜は花火。秋の味覚、冬の雪景色、来年も、次も、その次も――。
    「またあしたと、言わせていただけませんか」
     巡る季節と言葉の先で辿りついた感情は、知りたがりの二人が未だ見ていない景色。未だ知らぬ、普段のうち一部の共有。
     断ると思って無いだろう――そう零しつつ、純也は教典に倣う。ではこれからも、またあした。

     屋上に誰かの人影が見えた。忙しなくも充実した日々の中、10年ぶりに訪れた母校は変わらずそこにある。あの輝かしく素晴らしい青春は、皆のかけがえのない思い出だ。
     結婚し、家庭を築き、家業を継ぎ……そんな友人達に負けない位、煌希も順風満帆な人生を送っている。死と隣り合わせの戦いは終わり、皆が新しい戦いに赴く。
     除夜の鐘もそろそろ終わりそうだ。だがまた、新しい年が来る。

     ゆけ、灼滅者。世界に果てはない。
     俺の、俺たちの生きる道は、いつだって自分の望む道なのだ。

    作者:日暮ひかり 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年12月24日
    難度:簡単
    参加:71人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 3/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 15
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