「もうすぐクリスマスだね」
榛原・七月(廃墟と悪戯・dn0228)が頬杖をついて窓の外を眺めながら、ふと呟く。
「そうですねー、あっという間ですね」
桜田・美葉(桜花のエクスブレイン・dn0148)も相槌を打った。思えば、今年は本当に激動の年で、目まぐるしく日々が過ぎて行った。なんか10年ぐらい時が飛んでたような気がするほどだ。でも今は2018年だと言い聞かせ、美葉は尋ねた。
「今年のクリスマスはどうします? なんかやりたいこととかありますか?」
「やりたいことかー。ケーキ投げはもうやったし、んー……雪合戦とかかなぁ。雪玉に石とかワサビとか混ぜて威力高めるのアリの」
「……七月さんはやっぱりそういう方向にいくんですね……」
もう諦めた顔で美葉は呟いた。お手柔らかにお願いします、とだけ付け加えて。
「お手柔らかに……じゃぁケーキとかパイ投げるのもアリにする」
「いえ、投げるものの柔らかさの話ではなく」
ため息をつき、まぁいいかと美葉は顔を上げる。
「私は、かまくらとか作ってみたいなぁって。小さい頃からの憧れなんですよね。雪でかまくらを作るのって」
「かまくらかぁ。確かに、こっちじゃかまくら作れるぐらい雪降ることなんてめったにないもんねぇ」
七月も頷く。
「ええ。今年も、クリスマス当日にはグラウンドにどっさり人工雪を降らせてくれるそうですから。いいかなって」
雪合戦をやりたいという七月の希望にも合致する。当日は、雪合戦で遊んだり、かまくらを作ったり、かまくらの中で恋人や親しい友人などと語り合ったり、色々できるだろう。そんなに大きなものでなければ、雪だるまや雪像を作ることもできるかもしれない。なんにしても、と美葉は呟いた。
「今年ももう終わりですし、悔いのないように過ごしたいですね」
「そうだね」
七月も頷く。クリスマスは来年も再来年も来るけれど、2018年のクリスマスは一度きりなのだ。思いっきり楽しもうと、二人は目を合わせて頷いた。
●漣波峠のかまくら
「わーい、雪だー!」
一面の雪景色に、郁は歓声は上げた。見慣れたグラウンドは白く染め上げられて、まるで別世界のよう。人工降雪機すごい。
「雪……! です……!」
普段はあまり見ない景色に、噤も目を輝かせる。
「わー、すごい真っ白だ!」
詠がはしゃいでグラウンドに駈け出していく。コートとマフラーでしっかりと防寒しているけど、狼姿で駆け回りたくなってしまう。
「わぁ、わぁ、真っ白……!」
保も駈け出す。そしてしっかりと防寒している詠を見て、着流しと羽織の自身を見て。
「ボク、わりと寒い恰好してるかも……」
と頬を掻いた。うん、動こう。
「じゃぁかまくら作るよ!」
腕を突き上げる郁。
「はいな、かまくら作りましょ」
保も微笑み、
「かまくら……作りたい……です……です……!」
噤も尻尾を振って頷いた。
「えーと、まずは、雪だるま作る要領で雪を集めて山にする。で、水かけたりしてカチカチにして、内側くりぬくみたいに雪を掘って……とかするらしーよ!」
郁が調べてきたことを解説する。詳細は詳しい人にお任せ!
「雪を集めれば、いいですか……です……」
噤がふんふんと郁の話を聞く。
「なるほど、かまくらで暖を取るにはまず働く必要があるんだね」
静も頷いた。
「働かざる者暖まるべからず、ってやつだなあ」
煌希も言う。ダウンジャケットにジーンズ、長靴に毛糸の帽子と完全屋外スタイルで来たけど、ジャケットはそのうち脱ぐことになりそうだ。けっこう重労働だからなあ。
「私は雪を集める係ー。ごろんごろん雪玉作るのちょっと楽しーよね」
郁が早速雪だるまを作る要領で雪を集めていく。防寒厚めにして来たけど、動いてたらあったかくなりそう。
「じゃあ僕も雪を集める係で、ちゃんとシャベル借りてきたからねー」
シャベルを掲げ、静も周りの雪を集めていく。できるだけ集めたら、郁の転がした玉を中心に雪山にしていって。たまにシャベルの平面で叩いて固めたり……。
「ボクもシャベル係かな」
保もシャベルを手に、雪山を円の形に踏み固めて、積み上げていく。シャベルの裏側で側面をぺたぺたしながら、
「中は、柔らかめにしとくんやって」
と解説した。
「え、中は柔らかく? なるほどねー」
保の解説に相槌を打ちながら、静はせっせと雪を集めて積んで、固めて……。
「ねぇこれ完全に肉体労働じゃない!?」
思わず叫んだ。もう体が熱い。良いよ僕こういうの得意だけど!!
「煌希、ニュイ、どっちが固く盛れるか競争ね!」
無理やりテンション上げていこうと、同じくシャベルで雪を積み上げている煌希に勝負を仕掛ける。
「はっはあ静、力仕事に関して俺に勝てるとお思いか」
煌希は不敵に笑った。なあニュイ……と話を振ろうとして、ニュイにシカトされる。
「結構体力使いそうだねー。力仕事大変そうだ……! 静おにいちゃん、煌希おにいちゃんがんばれー!」
働く二人を眺めながら、ぶんぶん手を振って応援する詠。
「詠! 君も手伝うんだよ!?」
思わず突っ込む静。めげずに皆でせっせと雪を運んでは積み上げ、水をかけて踏み固め、また積み上げての繰り返し。上の方は丸くして……。
「よし、かまくら……やのうて、隙のないかたまりができたよ」
保が額を拭う。
「形のチェックは保に任せれば確実だぜえ」
煌希の言葉にお任せあれと頷いて、保は少し離れた場所まで走った。そして遠目から全体的な形をチェックし、両手で大きく丸を作る。
「保先輩、良い仕事、です……です……!」
ぐっと親指を立てる噤。ぐっと親指を立て返し、保は、
「ほな、次は入口かな……掘ってみる?」
と月夜野姉弟に視線を送った。
「雪掘り、やります……です……!」
両拳を握り、詠と目くばせして一気に掘っていく噤。雪を出すことはあまり配慮しないくりぬきぶり。詠も噤と一緒に雪を掘り出していく。
「わわ、すごい勢い」
目を丸くする保。
「がんばれ二人ともー!」
応援する静。
「ねぇねぇ、保おにいちゃん、この雪かまくらの上にも丸めてのせたら、雪だるまにもできそうだよ!」
次第にかまくら作業外の事もし始める詠。そやねぇ、と頷きながら、保は双子の掘る雪を一所懸命掻きだし、またシャベルでぺたぺた。
「うん、ええ運動になるなぁ」
額を拭いつつ、保は微笑んだ。そして。
「……できました!」
ついに完成したかまくらの前で両手を広げる。
「完成かまくら……」
感動して眺める噤。
「この人数でやりゃこの大きさもできるもんだなあ」
煌希も喜び、
「雪ってすごいしっかり固まるんだねー!?」
詠はかまくらをぺんぺん叩いて感嘆の声を上げる。
「中もあたたかく感じて不思議!」
中に入ってまた驚嘆したり。
「そやねぇ、中は結構あったかい」
保も中に入って、キョロキョロと見回す。
「結構良い出来じゃない? サイズは……ああ、僕ら専用だと考えれば良いのか、ふふ」
早速中でゴロゴロしている静が笑みを浮かべた。
「全員入れるなら御の字だろ」
煌希がそう返す。
「皆、おつかれさまでありがとー。ぜんざいとか食べたいけど、自分じゃ作れないから缶入りお汁粉買ってきた。皆もどーぞ」
中で寛ぎつつ、郁は皆に缶入りお汁粉を配った。
「わーいお汁粉いただきまーす!」
静が早速受け取り、
「わーい、郁おねえちゃんお汁粉ありがとうだよ!」
詠も身を乗り出して受け取る。
「お汁粉……! いただきます……です……!」
噤も耳をピコピコさせつつ、両手で受け取った。
「おーう、汁粉だ! 郁サンキュ!」
煌希も笑って受け取り、飲んで息を吐く。
「やっぱり、ひと仕事の後の甘味はうめえ」
「あったまるねぇ……運動した後、甘うて美味しぃ」
郁に礼を言いつつ、保もほっと一息ついた。
「うんうん。重労働後(あんまりしてない気がするけど)は食べ物が格別においしいよねー!」
詠も笑って相槌を打った。
「みんなで作ったかまくら、です。あたたかくておいしい、です……です……!」
お汁粉を飲みながら、コクコクと頷く噤。本当に、皆の力でいいかまくらになった。雪を集めていた美葉も漣波峠のかまくらに気付き、
「わぁ、素敵なかまくら……!」
と感嘆の声を上げる。その声に気付いた郁が、かまくらから顔を出した。
「あ、桜田さん。桜田さんもよかったらお汁粉どうぞー」
「いいんですか? ありがとうございます!」
笑顔で受け取る美葉に、いえいえと首を振って。
「桜田さんにはたくさんお世話になってるから。どのエクスブレインさんもそうだけど、いつも待っていてくれてありがとう」
と改めて礼を言う。美葉は涙ぐんだ。
「そんなこと言ってもらえるなんて、エクスブレイン冥利につきます……こちらこそありがとうございます」
嬉しいです、とても。と、彼女は微笑んだ。
●二人のかまくら
「……よし、できた」
完成したかまくらを悠士と二人で眺める千朝。しっかりと形作られたかまくらに、悠士は感嘆の声を上げる。
「さすが千朝、雪国育ちなだけある。うん、これならあったかくて中でお鍋おいしくいただけそうだな」
その言葉に微笑む千朝。外観も十分に楽しんだ後、二人は鍋セットを手にかまくらの中に入った。
「鍋の方も千朝に任せる形になるけど、俺はその味を楽しもうかな?」
さすがにかまくらの中で食材を切ったりするのは難しいかと、予め切ってきた食材を手に悠士が尋ねる。
「うん。調味は任せてくれて良いよ?」
頷き、千朝はカセットコンロの火をつけた。いざ鍋調理開始。食べられる範囲のいろんなものを入れようと、悠士が切ってくれた食材を次々に投入していく。やがて湯気が立ち、コトコト言い始める鍋。悠士は思わず唾を飲んだ。
「お鍋、さすがに美味しそう……湯気が立っているし、いい香り……」
「ありがとう。それじゃ、一緒に食べようか」
悠士を促し、一緒に鍋をつつく千朝。
「はふはふ。熱いけど、暖かいな」
千朝が微笑む。心まで暖かくなりそうな空間。気のせいか、周りの音も声も気にならなくなってくる。それを悠士も感じたのか。
「なあ、折角だし、あーんで食べさせててくれないかな?」
と千朝に甘える。千朝はくすりと笑って、
「……仕方ないなぁ。はい、どうぞ」
と鶏団子を差し出した。
手袋越しとはいえ雪に触れての作業だから、手が冷えてしまうけれど。雪で何かを作るのって楽しい、とチセは目を輝かせる。了にも手伝ってもらってかまくらを完成させた後、
「早速中に入ってみましょうよ」
と了を手招きした。頷き、一緒にかまくらの中に入る了。チセは歓声を上げる。
「わぁ、かまくらの中って暖かいのね」
雪で作るからちょっと寒いのでは……と思っていたけれど、そんなことは無くてびっくり。一方、了の方は寒そうに肩を震わせていた。
(「かまくら作り手伝えば体暖かくなるかなと思ったけど。とても寒い。手が冷たい……」)
体を温めようと、了は持ってきたお汁粉缶を取り出した。苦手じゃなければどうぞ、とチセにも差し出す。チセは珍しいものを見る様に受け取った。
「私、お汁粉なる飲み物を初めて見るのですよ……! 有難く頂くのです」
「あれ、そうなんだ。飲みきれないほど持ってきたからね。好きなだけどうぞ」
少し目を丸くし、了は持ってきたお汁粉缶を指差す。礼を言うチセと一緒に座って、二人でお汁粉を飲んだ。外では雪合戦やってる一団がいるらしい。はしゃいだ声を聞きながら、了は呟く。
「チセ後輩とは夏にビーチバレーやったし、今回は雪合戦せずにゆっくりしようか」
「そういえば了さんとは、夏にビーチバレーをしましたね」
ちびちびとお汁粉を飲みながら、チセが相槌を打った。
「あの時はアグレッシブでしたけれど、今回は大人しくのんびりと過ごしましょうか」
「うん」
頷きながら、了はチラリとチセの方を見る。後輩の青と白が雪景色に馴染みすぎてて、お汁粉飲んだら溶けてしまうんじゃないかと余計な心配をした。視線に気づいたチセが不思議そうに了を見る。
「私の顔に何か、ついてますか?」
「いや」
視線を逸らし、了は、
(「先輩の頭を踏み付けてこない大人しい後輩も居るんだね」)
と当たり前のことをしみじみ考えながら、がぶがぶとお汁粉を飲む。
「甘いものはいつでも美味しいね」
呟いた一言に、
「はい」
チセは笑顔で頷いた。
●皆で雪合戦
「みなさんは、かまくら作りに没頭されているようでちね♪」
グラウンドを眺めながら、にっこり笑う八王子。
「でも我々は、雪玉ビンゴ作戦を遂行するでち!」
と拳を握る。早速、
「美葉さんは、みなさんへの景品の準備を!」
と指示を出した。
「け、景品って何準備すればいいですか!?」
突然言われてあたふたする美葉。
「時間もないし、簡単なものでいいですよー、カイロとかティッシュとか」
「なるほど! じゃぁちょっとコンビニ行って買ってきます!」
美葉が敬礼してダッシュする。
「七月さんは、いたずら玉も作って構いませんので、景品の番号を仕込んだ雪玉作りをお願いします!」
「オッケー、任された」
八王子の指示に目を輝かせ、早速雪玉の中に石を詰める七月。ビンゴ用の雪玉が出来上がり、美葉が景品を買ってきたのを確認すると、八王子は皆に呼びかけた。
「みなさん、七月さんの作った雪玉を一個ずつ手に取って下さい。それで、一人に一個、感謝でも冗談でも良いので、言葉を添えて雪玉を当てて下さい。雪玉の中にビンゴの数字が入っていますので、美葉さんの所まで持って行って景品と交換して下さいね♪」
「なになに、雪玉ビンゴ? 面白そう!」
聞いていた柚理が目を輝かせる。
「でも雪玉ビンゴだけっていうのも寂しいので、普通の雪合戦もやりましょう! 参加するからには全力で遊びたいです!」
雪玉をこねこねしながら、陽桜も言う。柚理も頷いた。
「そうだね! なかなかこういった機会はないし、思い切り雪合戦を楽しむよ!」
そう言ってまず、普通の雪玉を作っては全力でぶん投げていく柚理。
「楽しむなら常に真剣勝負だからね!」
「きゃっ! やりましたねー!」
当たってちょっと冷たそうにするも、楽しそうに雪玉を投げ返す陽桜。こう見えても負けず嫌いだ。雪玉が当たりすぎるとちょっと冷たいからと、雪合戦用の盾も装着する本気ぶり。
「だって、勝ち負け関係なくても、当てられっぱなしは悔しいじゃないですかー」
とどんどん雪玉を投げていく。尤も、雪玉に石を詰めたりとかはしない。ぶつけられたらその分ぶつけ返す所存だ。
「はおちからは、ビンゴ雪玉をプレゼントです♪」
八王子も雪合戦に加わり、思いっきりビンゴ雪玉を投げる。柚理に命中し、中からは「4番」と書かれた紙が出てきた。景品はポケットティッシュ。こんな物でも、当たればそれなりに嬉しい。お返しに、と八王子に投げたビンゴ雪玉は命中して砕けて、8番。こっちもポケットティッシュだった。
着込み過ぎてモフモフ……モコモコになった呼音も雪上に立つ。吐く息が白い。寒くて足がガクガクする。
(「七月と遊びたくて雪合戦しに来てみた。けど、寒い……」)
猫は寒いの苦手。七月はよく大丈夫だなぁ、と彼の方をチラ見しながら、雪玉を投げたり避けたりする。とても楽しい、けど寒い。
「七月、寒くないの?」
問いと共に、彼に向かってビンゴ雪玉を投げてみる。
「寒いけどやりたいし、動いてればあったかくなるし」
返事と共に受け止めた雪玉は砕けて、7番。ウェットティッシュだった。
「というわけで、僕の魔球も受けてみろー」
大きく振り被って、雪玉投げる七月。辛子入りだ。
「もも、雪玉が飛んでこないか見ててくれないかな?」
とか柚理がももに言ってたらぺしゃっと命中。ちょっと間に合わなかった。すまなさそうに、そして心配そうに見ているもも。ちょっと痛い。でもめげない柚理。
「お返し! あたしの一発避けられるならどうぞ!」
真っ向勝負で思いっきり投げる! 七月は避けようとするも、雪で足が滑ってアウト!
「くっ、こんなところで終われない……!」
火がついたらしい七月、今度は陽桜に向かって雪玉を投げる! しかも石入りのやつ。女子に向かってえぐい。しかし陽桜はこんなこともあろうかと、あまおとをいい笑顔で盾にした。
「わふ!?」
前にもこんなことがあった気がする。何か言いたげに主の方を見るあまおとに石入りの雪玉命中。一方、呼音の方にも七月からの雪玉が飛んできていた。猫の血が騒いで猫パンチしたら、砕けた雪が全身に降り注いで……もう無理。
「七月……もっと遊びたいけど私はもうだめみたい……帰る」
ふらふらしながら帰ろうとする呼音を、七月が呼び止めた。
「あ、待って、今当たったやつ、ビンゴのやつだから」
「そうなの?」
番号を見ると5番。カイロだった。ちょうどいい。手を温めながら、それでも寒さには耐えられないのでやっぱり帰ることにする。だって。
「冬は今日だけじゃないし、明日でも来週でも来年でも何年後でも、いつでも遊べるしね」
その言葉に、七月も頷く。
「うん。僕も、呼音さんとはずっと友達でいたいから」
また遊ぼう、と手を振る。呼音は少し目を瞬かせ、頷いた。
「うん。また、遊ぼ」
そのやりとりをいいなぁ、と少し羨ましそうに眺めている美葉の背に、陽桜が投げた雪玉がぶつかる。
「きゃっ! な、何するんですか~」
ちょっと涙目で振り返る美葉に、
「だって美葉ちゃん、観てるだけで参加してないじゃないですか~。そんな美葉ちゃんに、あたしからのプレゼントです♪」
と悪戯っぽく笑う。投げたのはビンゴ雪玉だった。番号は3番。景品は箱ティッシュ。涙をひっこめた美葉が、そういうことなら、とおずおずとビンゴ雪玉を陽桜に向かって投げた。
「今年に限らず、たくさんたくさん、ありがとうございました」
言葉と共に割れた雪玉の番号は一番。景品はちょっとしたお菓子だった。
かくして、雪合戦は終わり。
「これって勝敗関係ないんだっけ?」
尋ねる柚理に、七月はそうだよと首肯する。
「そっか~……でも全力で楽しむことができたんだから、みんな勝ちってことでいいよね!」
「そうですね!」
柚理の言葉に頷き、陽桜はさて、と伸びをする。
「ひとしきり遊んだし、今度はかまくらで温かいお茶で一息つきたいですね。あたし、サンドイッチと紅茶持ってきました。たくさんあるので一緒にいかがです?」
陽桜の言葉に一同は歓声を上げ、かまくらへと移動した。雪合戦とは一転、まったりした空気の中で、陽桜が持って来てくれたサンドイッチと紅茶を楽しむ。そんな中、つと八王子が二つの包みを取り出した。
「美葉さん、七月さん、いつも優しくしてくれてありがとうございます! ビンゴとは別にプレゼントでち♪」
「わぁ、いいんですか? ありがとうございます!」
笑顔で受け取る美葉。
「僕らの方こそいつも遊んでもらってるのに、ありがとう」
七月も礼を言って受け取った。そして、
「ちょっと気が早いけどさ、また来年も、その次の年も、こうして皆で遊べるといいね」
と呟く。
「そうですね。せっかく平和になったんですし」
美葉も頷いた。そう、灼滅者達の尽力によって、世界は闇の支配から解き放たれたのだ。未来に想いを馳せながら、灼滅者達は平成最後のクリスマスを思い思いに楽しむのだった。
作者:ライ麦 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2018年12月24日
難度:簡単
参加:14人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
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