冬花庭園

    作者:中川沙智

     そこは自然公園のひとつだった。
     四季折々の花が咲く、それだけではない。ガーデニングの本場・イギリスからガーデナーを招待し契約して、ただ自然に溢れるだけではない造形美を作り上げた庭園。迷路のような花の小径、区画により色を変える花壇、花が咲き零れるアーチの下で揺れるブランコ。
     壁に蔦を這わせる葉すらハートの形を描いている、遊び心に溢れた空間だ。
     冬の午后。
     庭園の中でもごく限られた区画であるそこは、ある意味で秘密の花園であった。
     主要な区画からやや離れて小路を往こう。寒さに冴える空気を噛みしめて踏み込めば、出迎えるのは瑞々しい緑ではなく、厳しい環境にも耐えうる深緑。僅かな陽の光を拾って、凛と佇む風情は美しい。
     雪もちらつく静謐な空気の中、咲き誇るそれはクリスマスローズ。
     冬の女王、冬の貴婦人とも呼ばれるそれは派手な色はしていないが、澄んだ冬の景色に調和する控えめな美しさが魅力の花だ。
     他にもビオラやパンジー、フクジュソウやスノードロップやプリムラ、スイートアリッサムなど。他の季節にはない、ささやかながら優しい色彩を持つ花が多く見られるはず。
     春の爛漫、夏の喧騒、秋の風流を感じ歩くのもいいが、冬の清々しい空気を味わいながら庭園を見て回るのもなかなかいいものだ。
     煉瓦の小路、鏡のように冬空を映す池には、時折鳥の姿も見られるだろう。
     肺いっぱいに冷たい空気を吸い込んだなら細胞のひとつひとつが生まれ変わる心地になれる。
     そして少し手がかじかんで来たら休憩と洒落込もう。カフェスタンドの近くにテントが張られていて、そこではストーブを囲みながらあたたかい飲み物を楽しむ事が叶うのだ。
     おなかまでほかほかになって、そうしたらまた冬の自然に逢いに行こう。
     熱を携えて北風に立ち向かうように背筋伸ばして歩いていけば。
     風花ひとひら舞い落ちて、こころにまで届くはず。

    ●Helleborus niger
    「十年振りに! 皆で庭園に行きましょ! っていう!!」
     と言っても小鳥居・鞠花(茜色エクスブレイン・dn0083)自身はここ数年でも何度か足を運んでいる。
     だがこうして嘗てのように、武蔵坂の既知の面々を誘ってみようと思ったのは本当に久しぶりだ。今年はブレイズゲート探索や同窓会等で顔を合わせる機会もあったから、その勢いで声をかけてみたというわけだ。
     2028年の冬。平和を勝ち取って、それに馴染めた人も馴染めていない人も、心を洗うような機会はきっとあったらいいと思う。
    「いつも春に行ってたからあたしも冬に行くの初めてなの。楽しみ!」
     まず咲いている花が違う。常緑樹はともかく樹も違う。春の日差しに溶け込むように歩を進めた昔と違い、今回は冷たい空気を噛みしめながら眺める事になるだろう。
    「今回カフェスタンドではね、昔と違ってアルコール類の提供もあるんだって。折角だからあたしも何か飲もうかなぁって」
     未成年の飲酒は当然ご法度だが、年月を重ねて成人した者も多くいる。であれば共に飲み交わしたくなるのも自然の摂理だ。
     スパイスたっぷりのグリューワイン、馨り高い風味のホットラムは臓腑に染みる心地になろう。ドイツビールは深いコクが味わい深く、日本のそれとはまた違う美味しさがある。
     子供やアルコールが苦手な人は、ホットココアやチャイ、コーヒー、果実と一緒に煮出した紅茶がお勧め。白く大きめのマグカップに注がれたそれは、少しずつ口に含むごとに心まで豊かになっていくだろう。
     本来カフェスタンドで提供されるのは飲み物だけなのだが、今回だけはクリスマス時期の特例として、ドイツの伝統菓子シュトーレンが供される。
     皮付きのアーモンドや、杏やレーズン、黒無花果と白無花果の赤ワイン煮等がごろごろ入っている。アルコールは飛んでいるので子供でも食べられるのは良い。食べ始めはドライフルーツの酸味と甘味を感じ、余韻にカルダモンなどスパイスの香りが広がっていくそれは噛みしめる度に滋味深さを感じられるだろう。
     休憩用に用意されたテントは透明ビニールの窓もあるからあたたかさを味わいながら庭園を見る事も叶う。しかしやはり直接目にするものには敵わないから、あたたまったら再び冬空の下に舞い戻ろう。
     庭園を眺めるもよし、東屋で寛ぐもよし、カフェスタンドで飲み物を注文してテントの中で味わうもよし、写真撮影に挑むもよし。鞠花もデジカメを持ち込むようだし、勿論スマホのカメラでも十分だろう。
     飲み物はカフェスタンドで買わなければいけないが、食べ物はよっぽど特殊なものを除けば持ち込みも可能らしい。軽食からお弁当、お菓子を持ち寄る客もいるようだ。
    「よければ一緒に行きましょ。いっぱい写真撮ったり、話したり、冬の寒さなんか吹き飛ぶくらいに楽しまなくちゃ!」
     気が向いたら一緒しましょと踵を返し、鞠花ははにかむように笑った。
     冬来たりなば春遠からじ、これからの季節を幾度重ねようとも、忘れられない思い出にするために。


    ■リプレイ

     冴えた冬の空気に光が満ちる。
     冬の小路にはいくつかの足跡が残るだろう。それは誰かの存在の証。
     未来へ続く道程は、自分達の過去から連綿と続いているものだという事を、どうか覚えていて欲しい。

    ●こもれび
    「お久しぶりね、鞠花」
    「恵理! でも全然久し振りな感じしない~!」
     小鳥居・鞠花(茜色エクスブレイン・dn0083)がじゃれ合うように抱き着くのも、それが許されると知っているから。ふたりの間には確かに培われた絆がある。ここ十年の間にも、一度を除けば鞠花の誕生日に毎年顔を見せてくれていたのだ。例外の一度も丁寧な手紙と贈り物が届いている。その心配りに感謝しているのも、十年前から変わらない。
     ふたりが重ねる杯に満たされるのは勿論グリューワインだ。馨り高く、滋味深い赤。
    「ここでは初の乾杯ね♪」
    「乾杯! 自宅にもお酒の専用貯蔵庫があるんだっけ。あたしも一度見に行きたいわ。旦那さんにオッケーもらえたらでいいから!」
     彼女が伴侶と仲睦まじい事を知っているからそれを仄めかすように笑う。その様子を眺める恵理の表情は穏やかだ。冬にも陰らぬ友の面差しを見て、再認識する事がある。
    「貴女は本当にいい顔になったわね、鞠花。寒さの中でも燃える生命の炎と、蓄えてきた経験が同居してる素敵な顔」
     長い付き合いだからこその言葉は実感が湛えられる故に、鞠花も殊の外嬉しそうに頬を綻ばせる。恵理は示すように促した。
    「……ね、そこに立って。覚えてる? 昔、そこに立った貴女の絵を描いた事。また一枚描き上げて贈ってもいいかしら?」
    「断る理由がない! 美人に描いてねっ」
     冗談めかした鞠花の言に、恵理の優美な微笑みが咲いた。
     リーファはグリューワイン、昴はカフェオレ、黒斗はホットココアでさあ乾杯だ。
     シュトーレンを摘まみながら語る話題は、昴と黒斗の結婚式について。
    「というかですね、急に結婚しましたじゃないんですよ! ちゃんと事前に言ってくれればあれやこれや楽しめたのに……!」
     コップを力強くテーブルに置く。祝う気満々だったリーファは口惜しそうだ。その気持ちが嬉しくて昴と黒斗は顔を見合わせ、黒斗がやや眉を下げて言う。
    「色々あって、式の類は簡単に済ませちゃってな。申し訳ない」
    「うーんいいんだけど、でもよくないです。見たかったなーお二人の晴れ姿」
     教えてくれてたら予定調整して無理矢理突入してやったのに! と歯噛みするも、変わらず仲の良い様子を見せるふたりにリーファが告げる言葉は決まっている。
    「まあ、おめでとうございます。末永くお幸せにして下さいね」
    「ありがとう。そうするな」
     昴が不義理に申し訳なさを抱きつつも感謝を伝えた後、話題が移る。聞き専なんて単語、今この場には存在しない。
    「エアねーさんも元気そうでなによりだぜ。で、良い人は居るのか?」
    「そうそう、久し振りだし聞いておきたいな。今は何をしてるんだ?  仕事は?」
    「え? 私の話ですか?」
     昴の率直な口吻に苦笑を零せど、黒斗もリーファの近況は気になっていたし、何より本人が厭うていないならばテーブルの下で蹴りを入れる事はないか。そう思い止まった。
     リーファがやや口籠って、視線を逸らしながら呟く。
    「今はジャーナリストとして昔の事とか色々書いてますよ。……えっそれだけじゃ足りないです? 私は……うん、今まで忙しかったですからね」
    「昔から美人なのに男っ気無いしなあ」
     昴が遠慮なしに言ったら黒斗が今度こそ蹴った。結構いい音がした。昴は神妙に謝れば、感慨が胸を満たす。こうして砕けた口調で話す場は限られているから。
    「まだ結婚まではしませんよ、まだ……ね」
    「『まだ』なんだ?」
    「さあ? どういう意味でしょうね?」
     黒斗に言葉尻を捕らえられて、リーファが誤魔化すように視線を更に外した。ちょっと白々しいけれど、行き交う気安さがあたたかい。黒斗は噛みしめるように囁く。
    「何だか、昔に戻ったみたいだ」
     職人が集ったあのクラブ。重ねた思い出は色褪せない。あの頃が十年も前なんて実感も遠い。だからこそ、手繰り寄せたい絆がある。
    「またいつか、こうして会えると良いな」
    「ああ。またこうして話す機会を作ろう」
     今度はもっと大人数で。そう願えば、各々の表情が和んだ。
     ホットワインの湯気が緩やかに立ち上る。
    「牡丹が綺麗に咲いてた頃の庭園、覚えてるか?」
    「覚えているよ。あの日語った未来に、俺達はいる」
    「当時は仮定でしかなかったのが不思議よね」
     過日、牡丹の和風庭園で交わしたのは将来の話。御伽は武蔵坂の教師、鞠花はジャーナリストになるという各々の夢を叶えた。展望が見えていなかった翔すら今の仕事や在り方には翔なりの矜持がある。
     御伽は嘗て駆け抜けた日々を反芻する。まだ未熟な面もあって、今も大人になったとは言い切れる気はしないけれど、ただ前を見る事だけは諦めなかったあの頃。
    「あの時ガラにもなく夢とか語ってさ、今思うと気恥ずかしいんだが。俺は武蔵坂の教師やってる今の自分が誇らしい」
    「ふふ、青かったなーって思うわよね。でも評判いいみたいじゃない、先生?」
     懐かしむ御伽を茶化すような鞠花とて、事実彼が生徒達に慕われていると耳にしているからこそ笑みを深める。俺も学生に戻るなら野乃に習いたいな、と翔も目を細めた。
     混沌とした世界を駆け抜けたからこそ伝えられる思いがある。それを身をもって知っているから、御伽がそういえばと鞠花に向き直った。
    「今度特別授業をするんだが、講師として話をしてくれないか」
    「あたしでいいの!? 責任重大~……でも任せて!」
     いつも頼んだわよという台詞に応えてくれた彼だから、今度は鞠花が彼からの信頼に応える番だ。胸を張る。翔もこの機会にと感謝を手向けた。
    「そうそう、灼滅者としても手厚い支援をしてくれているだろう。ありがとう。直接伝えられてよかった」
    「こちらこそ。また手を貸して欲しい」
     御伽は浅く頷いて、かんばせに確かな自負を滲ませた。
     友情と信頼で織りなした縁の糸は、これからもずっと続いていくと信じている。
     ほろり舞い散る雪は儚くも美しい。
     ホットラムは臓腑を融かすようなあたたかさだ。烏芥が鞠花やアンリエットへの挨拶を済ませたなら、日方と翔と三人で庭園を見て回ろう。
    「……此の前は個展へ遊びに来てくれて、本当に有難う」
    「こちらこそ素敵な時間をありがとう。いい思い出になったよ」
    「そうだな。行けてよかった!」
     烏芥の謝意に、翔も日方も本音を返した。心も言葉もみんな嬉しくて、柔らかな歓びが烏芥の伏せた睫毛を震えさせる。大人になっても確かな絆を携えて顔を合わせられるのは奇跡みたいだ。大事な大事な、たからもの。
    「……日方、翔。『俺』を呼んでくれて有難う。何時も本当に有難う」
     掛替えが無さ過ぎて、相応しい言葉が見つからない。
     それでも伝えたいから声を絞り出した。
     烏芥のその気配を掬った翔が言葉を紡ぐ。
    「有難うを、ありがとう。……俺は、誰かと信頼関係を築く事が、とても得難い大切なものだって今ならわかる。教えてくれたのは、彩だよ」
     いつでも気にかけて、寿いで、一緒に歩んでくれた事こそが奇跡の顕現。
     胸を焦がすような熱は酒精のせいか、それとも。
     それが種火となってありがとうが膨らんで花開く。日方も口を開いた。
    「彩はいつも真っ直ぐ丁寧に物事に当たってて。関わりを繋げられて、絆を繋げられて、大切なものを本当沢山教えてもらえた」
     日方の真摯な声に、翔も目を細める事で同意を手向ける。烏芥の細やかな気配りと真直ぐな優しさは、いつでも今降り注ぐ雪のように柔らかく包み込んでくれた。
    「だから彩がそんな風に想ってくれるのと同じ位、俺にとっても大事な人だって思うんだ」
     烏芥が込み上げる何かを堪えるように口許を押さえた。
     永らく感情が乏しく、胸裏を占める想いを表現する方法を知らずにいた。もたついてもいい。それでも伝えたい気持ちだけが存在する。揺るがない譲れない、誓いに似た確信だ。
     本当に。
     本当に大好きだって。
    「幸せな縁をありがとう、これから先も一緒に歩んで行こうぜ」
    「……此れからもずっとずっと、一緒にいたい、一緒に生きていきたい。君と、君達と」
    「俺も彩と日方と、永劫、友達でいたいよ」
     三者が互いに目を合わせたら楽園みたいな煌きが降る。
     大事の輪が少し大きくなって、決して途切れぬ絆が優しく紡がれていくだろう。

    ●うたかた
     冬花を愛でた後にカフェスタンドに立ち寄った。時生はホットラムを、夜奈はホットココアを手に近況報告と行こう。まずは専業主夫として奮闘している夜奈の夫について。
    「弁当がおいしくて、すきな物ばかり入れてくるんだけど、なぜか晩御飯の時に嫌いな物をちまちま出してくるのよね」
     昼食時に箸が止まらぬよう心掛けてくれているようだが、夜奈の困った顔は彼専用、という事らしい。
    「いくら睨んでもにこにこしててちょっとむかつく」
    「そうなるとまた得意料理増えたんだろうね。ふふふ、微笑ましいなあ」
     口振りの割に夜奈ははにかむような微笑みで、時生は彼を知っているだけに目を細めるしかない。
     そういえばとこの場を借りて、夜奈の歌動画を毎日聴いているとそっと時生は告白してみる。
    「心に灯をくれるから大好きなんだ。すっかりファンだな」
    「真正面から動画見てるって言われると、……とても、照れくさい」
     夜奈の頬が照れで朱に染まった。それでも胸に落ちてくる素直な感情は、やっぱり口にしたかったから告げた。
    「ありがとう。……時生の旦那さんとかはどうなの?」
    「ウチの旦那? 公私共に支えてくれているよ」
     今度は時生の話題へと方向転換。聞けば、時生が社長で夫が秘書らしい。組としての在り方と変わりはないのだとか。
    「時雄と暁緒に甘過ぎるのが、有難いやら困るやら……」
    「なんだかとても優しそうなひとだね。時生はなんだか姉さん女房みたい」
     子供の名を挙げて嘆息する時生を見つめる夜奈の瞳は優しい。しっかり者の友達のあたたかい家族の姿が鮮やかに思い描けたから、その幸せをこそ願おう。
     一息ついて、大好きなその名を呼ぶ。
    「ねえ、夜奈」
     環境は変わったけれど変わらぬ縁を繋ぎたいから。
    「これからもどうか仲良くしてね」
    「それはわたしの台詞」
     楽しいも悲しいも教え合いたい。何にも無くてもたまに会ってたくさんお喋りして、同じ思い出を共有したい。
    「貴女と生きて行きたいんだ」
    「一緒に生きるって、約束したからね。――これからも、よろしくね」
     ずっとずっと未来の果てまで。
     肩を寄せ合い、込み上げるあたたかさを分かち合おう。
    「確か僕の誕生花だったな」
     共にクリスマスローズを眺めていた時の一幕だ。不意に紗夜が囁いたから、アンリエットがはにかんだ。お似合いです、そう告げたのは凛と冬に咲く様になぞらえて。
    「硝子の器で浮き花にして飾ると綺麗なんだよね」
    「ますます水燈さんにぴったりに思えてきました……!」
     笑顔を携え、ホットラムとシュトーレンを手に東屋で休憩しよう。普段シンプルな――例えばうぐいすパンみたいなものを食しているから、無花果やレーズンがたっぷりのシュトーレンはひどく美味しく思える。
     今時季ならではの美味を分け合って、紗夜がふと問いを零す。
    「そろそろ卒業が近くなるか。何か考えている事はあるのかい?」
    「ボクはフランスに帰ってそちらの出版社に勤めるつもりです。素敵な古書が見つかれば、ご報告させてくださいね」
     アンリエットが告げる――水燈さんの古書店、日本に来る度に寄りますね、って。
     内緒話みたいな囁きはこれからを和やかに綴っていくだろう。
     唯一無二の主人と執事の語らいは穏やかだ。
     嘗て春の夜に、巽が霧夜に初めて名を呼んでもらった庭園。懐かしさに胸が軋んだ。思えば年月を経たものだ。以前は付き従って、今は隣に並んで歩いているのだから。
     滅私だと凝り固まっていたのは巽のほうだったけれど。
    「霧夜様は初めから、個人として見て下さっていたのですよね」
    「……執事だからと巽を見たことは一度もない」
     彼の想いに心打たれたが故に執事としたのだ。選んだ本質は彼が彼であったからだ。
     ゆっくりとふたりで冴えた冬の庭園を眺める。ふと表情が綻んだのは、遠い国の庭園を思い出しての事。
    「霧夜様、宜しければ今度の休みに海外旅行は如何でしょう?」
     巽の母国・英国。ご案内したい場所が沢山あるのです、そう巽が進言すれば霧夜が頷かないはずがない。
    「そういえば……実家の庭園に似ていると言っていたのは此処だったか? 近々、見てみたいものだ」
     銀の双眸に柔く関心の色が覗けば、巽はあたたかさを噛みしめ微笑んだ。昔は何にも殆ど関心を持たなかった霧夜が、笑みを湛え興味を示してくれる事が何よりも胸裏をあたためる。
     色んなものを見て、色んな事を知って、色んな景色を共有しよう。
     幾重にも思い出を織りなしていきたいと願っている。
    「また、巽とゆっくり語りたいものだ」
     その未来は夢物語じゃない。手を伸ばせば届く幸いを知っている。
    「霧夜様のお傍で、俺は結構、我侭になったようです」
     巽に齎された変化は優しくて、瑞々しい。
     まるで冬に咲く花のように。
     世界で一番大切な君と庭園のそぞろ歩き。
     前に来たよね、というひよりに対し、悠はそうだったっけか? と嘯くも、実のところしっかりと覚えているわけで。
     ひよりが俯いたスノードロップに視線を落としたのは、嘗ての自分と重なって見えたから。
    「あの頃はね、少しだけ不安だったの」
     長い片思いの末に実った恋だった。自信が持てず、恋心が迷惑にならないかと胸を軋ませた日々。翡翠の瞳に湛えられるは愛しさだ。
    「でも、ずっと傍に居たいって言ってくれて、同じ気持ちなんだって教えてくれたから、悠の隣はわたしの場所なんだって思えるようになったの」
    「そっか。それなら良かったぜ。でも、その『言葉』は、俺に対するひよの想いが届いてたからこそなんだぜ?」
     以心伝心とはいえども言葉にしなければ伝わらない想いもある。
     そして掌から伝わる想いも。手袋外してぎゅっと手を繋いだなら、優しい熱が心を融かしていく。
    「大好きよ。わたしの一番は、ずっと悠なの。だから、ずっと隣にいてね」
    「俺も、ひよが一番大好きだぞ。……ん、勿論ずっと傍に居るさ」
     悠の肩にひよりが頭を預ける。優しい空気。君の隣の特等席。
     将来ここに来る時には三人になっているかも、という未来予測を辿っていこう。
     過去も現在も未来も、いつだってはっきりしている気持ちがある。
     ――君が好き。
     Salut、そう告げる杏理の立ち姿はその職業故か冬の庭園にもよく映える。
    「秋ぶりですね鞠花先輩。さ、庭園にも負けないくらい魅力的な頬にキスさせて」
    「恥ずかしいけどずるい……抗えない……」
     ずるいというのは褒め言葉だ。ぐぬぬと唸る鞠花にひらり、軽口ひとつ。
    「今日の僕はいつもと違いませんか?」
    「? まあいつも通り男前だけど」
    「……いや、今日は先輩を連れて翔くんを襲撃しようかなって」
     悪戯な誘い。一応名前は呼びながら背後からサンドイッチを狙うという杏理に、鞠花も口の端を上げた。
    「寒いしね。たまには許されるでしょう?」
    「ふふ。あたし杏理くんのそういうとこ嫌いじゃないわ」
     つまり快諾。大人なのに子供みたいな戯れを、せーのの掛け声とともに快活にぶつけよう。
    「翔くん!」
    「鴻崎ー!!」
    「わっ!?」
     素の喫驚が跳ねる。してやったり。ぱちり瞬くばかりの翔の姿にふたりはハイタッチ。
     その距離の近さにはわけがある。
    「僕はね、二人の親友枠ですから。呼ばれればいつでも飛んでくるという例です」
     その囁きには培った信頼の色が乗っていたから、翔も鞠花もそれは嬉しそうに破顔する。
    「翔くん頬を貸して。今日は平等にキスでいこう――Je t'adore、二人とも愛してるぜってことだ」
     顔を寄せる杏理へ、翔が先程の自分と同じような反応をしているから、鞠花がこっそり笑みを噛み殺していた。
     はしゃぐのも多分楽しく生きる秘訣だ。
     今日も一枚、特別を切り取ろう。

    ●ひだまり
     冬の庭にしんしんと静寂が降る。
    「――……あ。福寿草です」
     冴えた空気に映える深黄色の花。その前で膝を折り眺めてしまうのは、花屋兼園芸家の道を選んだみをきの性分であった。視線を流せば調和を保って景色に馴染む花々が美しい。
     壱が遅れて合流して黄を覗き込む。
    「へえ、うちには無いんだっけ?」
    「ええ。此処の樹花はいい手入れをなされていますね」
     みをきが立ち上がる。花壇は慈しまれているとわかるからこそ、それを見つめる露草色の双眸は優しい。こんなに広いと大変だろうな、そんな壱の呟きには実感が籠っていた。少なからず土や植物に手をかけることが増えたから。ちなみに看板猫は食っちゃ寝の羨ましい生活を満喫中だとか。
    「壱さん、あの黄花の花言葉を御存知ですか?」
     みをきの問いに壱が首を横に振れば詳らかにしよう。『幸せを招く』『永遠の幸福』。縁起の良い花なので、と前置いてそっと顔を寄せ耳打ちを。耳許に触れる手の冷たさに壱は瞬いた。
    「……今度うちでも育てませんか?」
    「……もう置くとこ無くない?」
     寒がりな手を掬う。温度が伝わる。互いの境界が滲む。
     その答えは、否じゃなかった。
    「だから寝室に飾ろうよ、いつも見るとこに」
     うちがわに触れるよな囁き。みをきの幸せは微笑みを模った。
    「ええ、きっと綺麗な花が咲きますよ」
     一緒に育てよう。これからも部屋を占領する花は増えていく。君への想い募らせるように。
     芽吹いて、花開いて、実る。そんな幸せの色を知っている。
     いつでも触れられる距離で、咲き誇る明日を辿っていこう。
    「はー、何かこんなに長く日本に居るのも久しぶりだなー」
     玲の声が冬の空気に溶けていく。シュトーレンを肴にホットラムを腹に落とせば熱が生まれる。世界を巡る旅人たる玲は、退屈と怠慢に浸るような性分じゃないのだ。次はどこに行こっかな、そんな嘯きはあくまで前向きだ。
     隣で休憩していた鞠花へ視線を向ければ、語るは先日の村での同窓会。
    「何か十年前を思い出しちゃった」
    「そうね、確かにいい意味で皆変わってなくてほっとしたわ」
     教室で鞠花が背を押す時、玲が真直ぐに向き合ってくれた事を知っている。死闘もあった。悔しさも、歓びも。濃密な日々に思い馳せる。
    「戦いばっかの青春だったけど、まあそれはそれで楽しかったな。ううん、それが楽しかったんだ」
     声に出せば腑に落ちる。故に、素直な呟きがまろび出た。
    「私、凄く良い青春を送れた。本当に、ありがとう」
    「あたしこそありがとう。信頼してくれて、信頼させてくれて、応えてくれて」
     冬の陽が煌めく。
     あの日々があったからこそ今がある。玲はそんな清々しい笑みを携えていた。
    「もう十年ですって、信じられる? ホント十年前経ってもアタシたち変わらないわね」
    「確かに。改めて数えてみても、ちっとも変わらないね僕等」
     実感籠めたやり取りだ。敢えて言うならアリスの髪が伸びたくらい。
     冬の庭園はひどく静かで、ふたりの整った横顔を浮かび上がらせる。暁がスケッチブックに筆を走らせ、アリスが何がしか作り上げる。ありふれた日常が重なった先の今。
    「でも……其れが安心するって言ったらアンタは笑う?」
    「僕もだよ」
     予定調和だって悪くないのだと培った日々が証明する。満足げに不敵な笑みを交わす。
     思い馳せるのは重ねた思い出から続く現在だ。嘗てタイムカプセルに詰めていた設計図で本当に物を作ったり、昔の作品に手入れを施したりしてみようか。
     花壇を見遣れば胸裏に戴く花がある。一緒に植えたクロッカスが咲くのは春の爛漫の盛りだろう。その邂逅を思えば今から明るく浮き立つ心地。
    「その時はアンタも一緒よね、アリス?」
    「勿論。楽しみだ」
     庭園にふたりの影が伸びた。
     肩を並べて、明日を見つめる。
     これから更に時を経て、身体が朽ち思うように動かなくなっても。
     最期の最期まで変わらぬ在り方で、貪欲なままでいる事だろう。そんな楽しみを辿る道行は、きっと色鮮やかな彩に満ちているに違いない。
     心地よい距離感もずっと変わらない、共に歩いて行ける確信が柔らかく背を押した。
     十年前の答え合わせを、今。
     この庭園に在る緑は、いつだって依子を彷彿とさせる。春のとなりに佇む、芽吹く豊かな気配。密やかなそれに昭子は目を細めた。あたたかさが染みた。
     依子も感慨深げに白い息を零す。昭子と見たたくさんの灯りを思い出したからだ。人も場所も出来事も瑞々しい。花のように儚くも強い芯を持ち、未来を諦めず前を見据え続けた。
     勇気をくれた、わたしのともだち。
    「ね、依子ちゃん。依子ちゃんは、なりたい場所に辿り着けましたか?」
     いつかのはなし。夢の涯て。あたたかくて、すこし眩しい。
     昭子の問いを反芻するように間を置いて、依子はどうかしら? と内緒話のように囁いた。
    「あいするひとの森に……帰る場所になりたかった。そんな、強さが欲しかったの」
     受け止め支え共に在るために。沢山の出逢いを経て、何かを信じて思い続けるこころを知ったのだ。
     そのこころの一端になれていたならと願った昭子は灰色の眸を細める。並んで歩く幸いは、ここに。
    「あなたは? なりたい場所に、在りますか」
     今度は依子が問う番だ。昭子は頷いた。
    「外へ、行けるようになりたかったのです。帰りを待ってくれるひとがいるなら、どこへでも」
     嘗て病室から眺めていた外に自分は立っている。大切な人がいる。その得難さを噛みしめて、親愛なる友に向き直る。
     世界がかわっても、これから先も。
    「ずっと、ともだちでいてくれますか」
    「勿論」
     依子が手を差し伸べたなら、昭子もそっと重ねた。煤まみれの掌を繋いでくれた君へ、胸を浸すぬくもりが、言葉よりもっとずっと強く雄弁に伝わりますよう。
     踏み出す一歩手前。また明日、の前に。ココアを飲みに行こう。優しい甘さはふたりの心を満たしてくれるはず。
     春のとなり。雪の果て。いつか芽吹く、あたたかいもの。
     世界がかわっても、大人になっても。
     ――約束は果たされる。

    ●あしたへ
     親友と過ごす冬の日は、不思議と心はあたたかく感じられる。
     元々植物に携わって育ってきた藍蘭にとって、花や植物で彩られる庭園は心浮き立たせるものでもありほっとする場所でもある。こうして葉織と訪れる事が叶ったのが嬉しい。
    「自然に囲まれた食事、とても楽しそうです」
    「楽しみだな。最近根を詰め過ぎていた気もするし、休暇をこうして過ごすのも、悪くない」
     葉織も夜色の双眸を細める。二人とも植物の研究者として働いているから、休みであっても庭園に足を運んでしまうのはある意味職業病のようなものかもしれない。
     東屋にてお茶会だ。多種多様なベリーの馨りがする紅茶は、胃に落とせばふわりと芳醇な香りが身体中に満ちていく心地だ。
    「この紅茶、果実と煮出したのですね、甘い香りがとても素敵です」
    「これを選んで正解だったな。いい香りだ」
     藍蘭と葉織は優しい匂いのする紅茶で喉を潤す。声すらぬくもりを帯びる気がした。シュトーレンのしっとりした甘さは確かに舌に残るのに、しつこくはないのが興味深い。様々な食感や奥行きのある滋味深さに、葉織は柔らかく目を細めた。
    「このシュトーレンも、甘味だけじゃなく酸味もあって、美味しいな」
    「僕は初めて本場の物は食べますけど、甘味がしっかりとしていて、とても美味しいですね」
     庭園に視線を向ける。決して派手ではないけれど、凛と咲き誇る花々。
     命の芽吹きを感じさせるそれに微笑んだのはどちらが先だっただろう。
    「葉織も、折角この庭園に来たのですから、記念写真とか撮ってみないですか?」
    「是非」
     通りがかった鞠花にカメラを託したら、ふたりの記念が画像になる。
     この思い出をよすがに、これからも繋いでいきたい絆がある。
    「葉織、何時までも良き友で居て下さいね」
    「無論だ。こちらこそよろしく頼む」
     冬の庭園。緑は濃く、花は穏やかに、佇む人々は春を待ちわびる。
     恵理が零したのは打ち明け話。
    「そうそう、鞠花……貴女のこの本にサイン貰えない?」
     望がね、読んでファンになっちゃったんですって。恵理が一番上の娘のお願いを示したなら鞠花は快諾する。最後に望ちゃんへと書き添えて、まだ見ぬ友の娘に思いを馳せた。
     グリューワインを手に、コルトと天草はテントの中から外を眺める。そこにははしゃぐ息子達の姿があんまり楽しそうだったから、自然と表情はあたたかいものになる。噛みしめる幸せは柔らかく優しい。冬の冴えた空気に透ける光は穏やかだ。
     コルトが何度目かのシュトーレンを口に入れた時、息子達も両親の元へやってきた。その手には凍っているスノードロップ。それは冬本番を迎えたこの気候のためか、それとも。思い当たる節に天草は表情を寛げて、少し屈んで子供と目線の高さを合わせる。
    「その花、目の前で落ちたって? はは、お庭からのプレゼントかもな」
    「あら、ダメよ勝手に持ってきたら」
     あくまでこの庭園は一般の客も多く訪れる公共の場なのだから、窘めるのは親の務めだ。それでもコルトの面差しが穏やかなのは、凍った花がハネムーンの時を彷彿とさせたから。
     旅行先は北極。オーロラの美しさは今も鮮やかに覚えている。玄妙な光のカーテンを、二人で眺めた記憶はずっと覚えていると確信を持って言える。
     天草はゆっくりと噛みしめるように囁いた。
    「たしかに。オーロラのカーテンが揺れる一瞬一瞬が、変化し続ける世界を象徴しているようだったな」
    「そう、これが私達がこれからも住んでいく世界……」
     自然とコルトの口許が綻んだ。彫刻もいいけれど、今を生きる人達も何だか美しく見えてくる。互いに呼ばれるように頬を寄せた。
    「だから改めて、よろしく」
    「……これからも、ずっとずっと、よろしくね天草」
     永久に。
     子供達の見ている前で、重なった唇は少し熱かった。
     希沙は何度かこの庭園に足を運んでいるが、一緒に来るのは今回が初めてだ。最愛の夫である小太郎はもとより、穏やかな面差しで花を眺める長男の暁、舞う雪にはしゃぐ双子の長女次女の祥と幸も。家族みんなで、冬を渡る。
    「念願叶って嬉しい。それも、子供達と一緒に」
    「大事な場所に招いてくれて有難う。ふふ、三人とも目がキラキラだ」
     すっかり可愛い我が子を見守る親の目線。T字路の角、黄色い幸福が花開いている。希沙が小太郎の袖を引いた。
    「小太郎見て、フクジュソウや」
    「ほんとだ、懐かしいな……」
     眦緩めるのは、それが初めて二人で育てた花だからだ。小太郎は希沙と過ごした日々の中で、自然に触れあい、花の名前もたくさん覚えていった事を思い出す。冬の花はひっそりと可憐に、でも寒さに負けず逞しくて咲くから好ましい。希沙が口許綻ばせたなら、息子が何やら気になった花があったようで見入っている姿に気づく。
    「暁、その花気に入ったん? 可愛い形やもんね」
     それはスノードロップ。曇り硝子のランプのような優しい花。小太郎が内緒話をするように暁に耳打ちした。
    「暁、その花はね、パパの誕生日の花なんだよ。……お、暁カメラの出番かな」
     パパ嬉しそう、希沙はそう微笑み解けさせた。紳士然ときりりと写真撮影に臨もうとする息子を見守っていた、その視野の隅で娘達がきゃーきゃー言いながら走り回っている。このままでは別の区画に行きかねない。
    「あっ祥、幸、走ったらあかんよ。パパ、捕まえて!」
    「っと、と、さちゆきストーップ」
     そこのプリムラが可愛い子とお話したいってと注意を惹いて両腕で抱き着くように掴まえた先、見覚えのある茜色が目をぱちぱちさせている。
     希沙が表情を明るくしたら、小太郎も懐かしさに双眸を緩める。
    「鞠花先輩! へへ、夫と……子供達と一緒に来ちゃいました」
    「あ、小鳥居さんこんにちは。改まると照れますが……希沙の夫、と、子供達です」
    「わ、わ、秋に言ってた家族だ!」
     いつか顔を見たいと思っていたけれどこんなに早く叶うとは思わなかったから、鞠花の眸が潤む。幸せそのものみたいな貌して小太郎が告げた。
    「家族仲良く、温かに暮らしています……ご紹介できて良かった」
     その言葉が決定打だった。鞠花が年甲斐もなくぽろぽろ涙を零し始めた。
    「もー泣くって言ったじゃない……幸せそうでよかったっ」
     感極まった茜色の女の表情につられて、二人もみんなで過ごす日々の尊さを噛みしめる。希沙がひだまりの微笑み咲かせて問う。
    「……お写真、一緒に撮って貰てもええですか?」
    「駄目なわけあるか!!」
     写真に挑戦したい暁の心意気も歓迎して、切り取られる今日という光。

     冬の日差しは清廉だ。
     保の眼は細められる。寒さ故コートの中で身が震えるも、それすら味わって庭園を往く。
     優しい色の花。立ち上る白い息。踵が煉瓦道を踏んだ。
     空を仰ぎ、渡り鳥を見送る。
    「冬の彩りて、綺麗やね」
     独り言つ。眼鏡を外し在るがままに景色を瞼の裏に焼き付けよう。
     冷たい空気が肺いっぱいに満ちたなら――染み入るように思い出す。嘗てこの庭園でまみえた絢爛の春。確かな青春があった十年の月日を噛みしめる。
    「――風が歌うてる」
     目を開いた。映し出される世界はこんなにも美しい。いのちの巡りに、ささやかな花の趣に感じ入る事の幸福に浸る。
    「……ボクらが、人の未来を守れたなら。この道は、きっとどこまでも、続いていく」
     数多の道程があろう。戦って悩んで泣いて願って、手に入れたこれからを見据える。

     綾なす彩を辿ろう。
     どこまでも続く道へ、少しずつ、歩みを進めていく。

    作者:中川沙智 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2018年12月24日
    難度:簡単
    参加:29人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 3
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ