●都内某所
服が透けて見えると言う触れ込みで、眼鏡を売り歩いている行商人がいるという内容の都市伝説がある。
この都市伝説が売り歩いている眼鏡は、某国で開発させた特別製。
元々は軍事利用されていたもので、潜入ミッションなどに使われていたという触れ込み。
だが、実際にはどこにでも売られているような伊達眼鏡。
都市伝説の催眠効果によって、服が透けたように錯覚しているだけ。
しかし、まわりにいる者は気づかない。
自分が騙される事にさえ気づかぬまま……、徘徊するのみ。
そんな噂から生まれたのが、今回の都市伝説である。
「怪しげな通販グッズの類だな、これは……」
自分なりに納得しつつ、神崎・ヤマトが今回の依頼を説明をし始めた。
今回、倒すべき相手は、怪しげな行商人風の都市伝説。
コイツは服が透ける眼鏡と称して、怪しげなグッズを売り歩いている。
おさらく、お前達が行く頃には眼鏡を掛けた怪しげな一団が、『見える、見えるぞおおお!』と叫んでひどく興奮しているだろう。
ただし、これは単なる本人の思い込み。
実際には、服が透けて見えるように錯覚しているだけ。
都市伝説の能力は、脳裏に思い描いたものをハッキリさせるのだから。
例えるなら、深夜アニメで不自然な光やモヤがとれるようなもの。
ただし、透視能力とは違うから、実際のものとは違う。
それが分からず、邪魔をしてくるから要注意。
それと都市伝説についてだが、眼鏡をエサにしてお前達を誘惑し、同士討ちをさせようとする。
まあ、今の話を聞いた上で、騙される奴はいないと思うが、くれぐれも気を付けてくれ。
参加者 | |
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逢坂・啓介(赤き瞳の黒龍・d00769) |
鷹森・珠音(黒髪縛りの首塚守・d01531) |
エルヴェティス・アヴェニール(コテコテ関西フランス人・d01842) |
ヴァン・シュトゥルム(オプスキュリテ・d02839) |
赤威・緋世子(赤の拳・d03316) |
耶麻・さつき(鬼火・d07036) |
朝河原・真也(中学生ダンピール・d10446) |
八神・浅緋(伊達ダンピール・d10487) |
●透視眼鏡
「服が透けて見える眼鏡か。そら男の子は欲しいやろうなー。おっぱいいっぱいで視界がパラダイスになるもんな。せやけど、この眼鏡も考えもんやで。視界内に意図せず、男やお婆ちゃんが入ってくる事もあるはずや。干し柿のように垂れ下がったおっぱいを見てしもた時、こんな眼鏡があっても幸せにはなれへんという事に気付くはずや……」
都市伝説の確認された場所に向かいながら、エルヴェティス・アヴェニール(コテコテ関西フランス人・d01842)がどこか遠くを見つめる。
しかも、自分が想像した姿が脳内に映し出されるのだから、それこそシャレにならない事になってしまう事だろう。
「いやはや、透視眼鏡ねぇ……。そこまでして見たいものなのかね」
すっかり呆れ果てた様子で、耶麻・さつき(鬼火・d07036)が溜息をもらす。
だが、それだけのリスクを冒してでも、見たいものは見たいっ!
そんな男達の欲望が都市伝説を生み出してしまったのであるのだから……。
「よほど見たいようだな。ほら、前を見ろ。いかにもって奴らがいるぞ」
目の前にいる怪しげな一団に気付き、八神・浅緋(伊達ダンピール・d10487)が呟いた。
その一団はみんな眼鏡を掛けており、不自然なほどハアハアと息を荒くさせていた。
「何それ、超欲しい」
瞳をランランと輝かせ、鷹森・珠音(黒髪縛りの首塚守・d01531)が怪しげな一団に近づいていく。
次の瞬間、怪しげな一団が『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』と甲高い声を上げ、珠音の体に釘付けになった。
それをも見た都市伝説がニンマリ。
「ねっ、言ったでしょ」
と得意顔。
「……って、そんなもんで見えるわけがないでしょう。眼鏡のイメージが悪くなるので、全世界の眼鏡と眼鏡を使われている方々と、メガネスキーさん達に土下座で謝ってください」
げんなりとした表情を浮かべ、ヴァン・シュトゥルム(オプスキュリテ・d02839)が頭を抱える。
それを聞いた都市伝説が『だったら、これを覗いてみなさい』と言って眼鏡を渡す。
「す、透ける眼鏡やて! けしからん! そないなもん、すぐに没収や! でも、ちょっとだけその効果を確認せな、あかんな。いや、別にいやらしい意味とかでなく、ほらあれや。敵を知り己を知ればってやつや! おおおおおおおおおお、本当や。見えるっちゅーか、見えまくりやないか! もう少しで肝心なところが……見えへん。せやけど、このもどかしさがイイッ! 最高や!」
すっかり眼鏡の虜になり、逢坂・啓介(赤き瞳の黒龍・d00769)が女性陣に視線を送る。
それが単なる妄想である事すら忘れているらしく、他の男達と一緒に『おおっ!』と声を上げていた。
しかも、啓介の妄想が元になっているため、エルヴェティスがマッチョなTシャツを着ていても、無意味。
啓介の脳内では、エルヴェティス達のあられもない姿が映し出されている。
「怪しげな眼鏡の話をしっかり聞いて、それさえ分かっているならば、騙されるような人間はいないと思っていたが……、まさかこんな呆気なく眼鏡の虜になってしまうとは……」
生暖かい視線を啓介に送り、朝河原・真也(中学生ダンピール・d10446)が汗を流す。
だが、啓介はありとあらゆるものから解放されたような表情を浮かべ、暴走気味に女性陣の体を見ている。
もしかすると、それだけ都市伝説の催眠効果が強力だったのかも知れないが、それ以上に啓介の妄想力も半端なかったのだろう。
そんな夢のコラボが実現したため、歯止めが利かなくなってしまったのかも知れない。
「てか、啓介。……やっぱり警戒して正解だったぜ。そのメガネで見えるものは偽りだとしても……、掛けている以上は女の敵ーッ!! 実際に見られてる訳じゃなくても不愉快だ! ……くたばれ変態!」
激しく怒りを爆発させ、赤威・緋世子(赤の拳・d03316)が啓介を殴る。
その一撃を食らって眼鏡が木っ端微塵に砕け散り、啓介が天高く吹っ飛んだ。
●妄想男子
「さて、これで効果は分かったはず。さあ、あなた達もこの眼鏡で、幸せな一時を……」
半ば暴走状態にある緋世子をよそに、都市伝説が男性陣に眼鏡を配ろうとする。
だが、あれだけの惨劇を見せられて、眼鏡を欲しがる者などいない。
「そんなものはいらん。メガネを手にした時点で、俺達にはありとあらゆる攻撃が降り注ぐ事が予想されるからな」
都市伝説の誘惑をキッパリと拒絶し、浅緋がヴァンパイアミストを展開する。
「クッ……、そんな強がりを言いつつも、ほら彼を見なさい。もう掛けているじゃありませんか」
勝ち誇った様子でニヤリと笑い、都市伝説がヴァンをビシィッと指差した。
「私の眼鏡は普通の度入りの眼鏡です。そんな変な眼鏡と一緒にしないでください」
少しイラッとした表情を浮かべ、ヴァンが眼鏡をサッと外す。
その間も男達は眼鏡を掛けたまま、珠音の体を眺めていた。
「ほら、こうすると、もっと良く見えるんよ、ほらね」
男達の興味を引くようにして座り込み、珠音がわざと大きく足を広げて、ラブフェロモンを使う。
それを見た男達の妄想力が大爆発!
今にも、不自然なもやが消えそうな勢いで、脳内に映し出された映像が鮮明になっていく。
「……ひどい。私より珠ちゃんの方ばかり見てる……。どうして、私の事を見てくれないの?! きっと私に魅力が無いせいね」
わざと大袈裟に演技しつつ、さつきが隠し持っていた目薬を使う。
その途端、男達が『ご、誤解だ!』と言い訳をし始めたが、今度は珠音がうわあんと泣き出した。
もちろん、二人とも演技だが、それを知らない男達は、オロオロするばかり。
「つーか、さっきから反省もせずに何をやってんだ、ゴルァ! てめえら、ぜってぇにぶっとばす! とっととメガネごと消え去りな!」
妙に殺気立った様子で、緋世子が男達を殴り飛ばしていく。
一応、手加減をしているようだが、理性よりも怒りの方が勝っているせいで、かなり痛い。
殴られた方も、あまりの痛さに妄想が覚めるほどに……。
「お、おい! さっきのは誤解や。あれは演技。ヴァンが邪魔だったせいで、肝心なところは見えんかったし……うごっ!」
そのため、啓介も目を覚ましてすぐに言い訳をし始めたが、すべて言い終える前に緋世子から鉄拳制裁を食らい、再び派手に宙を舞った。
しかし、ライドキャリバーのエクシーは、その場から動かず助けに行かない。
おそらく、自業自得と言う事なのだろう。
それに、ここで迂闊に啓介の肩を持てば、緋世子から何をされるか分からなかった。
この状況では男達も眼鏡を掛けて妄想ライフに浸るほどの余裕もなくなり、抜き足差し足で逃げていこうとする。
「逃がさんよっ!」
すぐさま男達に飛び掛かり、珠音が馬乗りになって動きを封じた。
その上で、緋世子が笑顔を浮かべて、フルボッコ。
何とか一命は取り留めているようだが、二度と悪さが出来ないほど、肉体的にも精神的にもダメージを受けているようだ。
「ちゅーか、都市伝説! アンタがすべて悪いんやん。怪しげな眼鏡を売って、思春期の男子を騙すとはとんでもない悪党やな! お仕置きや!」
彼女の中に流れる大阪人の血をメラリと燃やし、エルヴェティスが都市伝説の行く手を阻む。
ちなみに、エルヴェティスの体に大阪人の血は流れていない。
だが、それはほんの些細な事。
そうしている間にも、都市伝説が眼鏡の入ったカバンを抱えて逃げようとしているのだから……。
「ウワァアアアアアアアア!! 逃がすかああああああああああああァ!」
激しく雄叫びを響かせながら、真也が都市伝説るがけてバスタービームを放つ。
その声に驚いた都市伝説が咄嗟に避けたが、その代わりカバンの中に入っていた眼鏡が、転がるようにして辺りに散らばった。
●都市伝説
「ぎやああああああああ、わしの眼鏡があああああああああ」
辺りに散らばった眼鏡に気付いた都市伝説は、慌てた様子でそれをカバンの中に詰めていく。
おそらく、都市伝説自身にとっても、この眼鏡は特別なのだろう。
「……自業自得だ。危うく、こっちまで巻き添えを食らうところだったんだからな」
都市伝説に対して冷たい視線を送り、浅緋が見せつけるようにして眼鏡を踏む。
「おい、こら、何をしやがるんだァ!」
それは都市伝説にとって、最悪な光景であった。
浅緋達によって眼鏡は次々と踏まれ、まともな物などひとつもない。
「何もかもお前が悪いんだろうがっ! この……、女の敵め!」
都市伝説の懐に潜り込むようにして、緋世子が閃光百烈拳を叩き込む。
それに合わせてヴァンがギルティクロスを放ち、都市伝説をジリジリと追い詰めていく。
「まあ、これも運命だと思うんよ」
都市伝説の死角に回り込み、珠音が制約の弾丸を撃ち込んだ。
その一撃を食らって、都市伝説は身動きが取れなくなった。
「催眠効果で見えてるだけの眼鏡と違って、うちは実際に見えたらアカンもんをポロリさせたる。ポロリしたアレを見て反省しぃや!」
一気に間合いを詰めながら、エルヴェティスがティアーズリッパーを放つ。
それと同時に都市伝説の何かがポロリ。
「……って、一緒にモツまでポロリしとるやんか!」
心の中で『やり過ぎたっ!』と思いつつ、エルヴェティスが頭を抱える。
次の瞬間、都市伝説がブクブクと血の泡を吐き、崩れ落ちるようにして消滅した。
「あー……、なんだろう。終わったら、すげー恥ずかしくなってきた……」
都市伝説が消滅した事を確認し、さつきが自己嫌悪に陥って座り込む。
色々な意味で反省しなければならない事が山積みだ。
その上、思い出すたび、顔が真っ赤になってしまう。
「それにしても、これは酷い」
冷静になって辺りを見回し、真也が男達の惨状を目の当たりにした。
手加減しているとは言え、まわりにいる男達はズタボロ。
特に啓介のダメージは大きく、よく重傷にならなかったものだと、感心するほどのレベルであった。
「やれやれ……、服が透ける眼鏡なんてある訳がないのに……。風の冷たい季節になりましたし、さっさと倒して帰りましょうか」
仲間達に声を掛けながら、ヴァンが外していた眼鏡を掛ける。
そして、啓介は気絶したままエクシーに乗せられ、その場を去るのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2012年11月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 7
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