戦闘風紀委員長、見参! 呻れ正義の鉄拳制裁!

    作者:空白革命

    ●正義を愛する男、悲しき拳のブルース!
    「鉄拳――制ッ裁ッ!!」
     風が唸り大気が捻じれ、雷鳴と共に繰り出された拳が不良漢の頬へ炸裂した。
     不良漢はリーゼントが吹き飛ばん勢いで窓ガラスを突き破り、校舎裏のプールまで吹っ飛んでぼしゃんと水没した。
     11月のプールはつめたかろう。気絶した男がぷかりと浮かび、うわ言のように呟いた。
    「まじ……すんません……でした……」
    「……クッ」
     対して、割れた窓ガラスの内側。
     シャープデザインの眼鏡をかけた白ランの男は、中指でブリッジを押し上げて苦しげに呻いた。
    「また私は校則違反を重ねてしまったのか……生徒へ暴行を奮い、窓ガラスを破損させ……」
     奥歯を砕けんばかりに食いしばり、窓に背を向ける。
    「しかしそれでも……風紀は守られねばならん。我等やその後輩が社会へ出た時、風紀の乱れた学校を卒業したと言うだけで進路に悪影響を与え、ひいては人生に傷を負わせてしまうことになる。そのためになら……!」
     拳を握り、フックまでしっかりと閉じたカラーを撫でる。校章に並び、風紀委員のバッジがきらりと光った。
    「私は、悪になろう……!」
     
    ●正義VS正義、曲げられぬ者たちの戦い!
    「暴力を奮うのはいけない事だし、物を壊すのはいけないことだ。そんなことは誰でも知ってるし、多分この男も充分わかっている筈だ」
     神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)は窓の外を眺め、目を強く瞑った。
    「重い罪や責任を負ってでも、人の為にあろうとする。それは間違ってはいない筈だ。彼が闘争の権化になったとしても、その願いは叶えられる筈だ。喪われるのは、彼の人生と自由だけだろう」
     歪んではいるが。
     悪ではあるが。
     それはどうしようもない程に、正義だった。
    「悪と正義は共存する。彼は正しく正義の味方……いや、正義そのものだった。それ故に……!」
     彼は、闇を……アンブレイカブルの力を受け入れざるを得なかったのだ。
     
     十七条・法拳(じゅうななじょう・ほうけん)。
     学校の風紀を守り、生徒の未来を想った一人の男。
     彼は昨今急増しつつある不良グループを単独で鎮圧する計画を実行に移そうとしていた。
     そのために、既に退学届まで出してある。
     彼は既に部外者であり、学校への被害は無い。もしこれが事件になったとしても、対外的には『善良な学校生徒が外の不良に襲われた』という扱いにされ、同情はされど悪評にはならないだろう。
     彼は磨き上げた戦闘技術と共に、どこか人知れぬ地へと去り、彼独りだけで闘争の権化へと転がり落ちる覚悟をしたのだ。
     彼を責めることは誰にもできない。嘲笑うこともできない。
     だが……止める事ならできる筈だ。
     彼と同じサイキックを持つもの……そう、あなたならば!
    「彼は不良のたまり場になっているという廃体育館に乗り込み、不良たちを病院送りにするつもりだ。わざと『学校に侵入した粗暴な異常者』を装ってな……そこへ割り込み、彼を止めて欲しい。完全な闇に落ちてしまう、その前に」


    参加者
    八重樫・貫(疑惑の後頭部・d01100)
    比奈下・梨依音(ストリートアーティスト・d01646)
    大業物・断(一刀両断・d03902)
    アンナ・ローレンス(高校生魔法使い・d05959)
    護宮・サクラコ(大天使サクラエルの光臨・d08128)
    柴・宗志朗(スカー・d10131)
    刑ヶ原・殺姫(中学生殺人鬼・d10451)
    彩風・凪紗(不壊金剛・d10542)

    ■リプレイ

    ●君の心が急ぐとき、咲き誇るロータスよ。
     十七条法拳。
     正しさを貫く為、悪になることを受け入れた男。
    「かっこいいわぁ……」
     護宮・サクラコ(大天使サクラエルの光臨・d08128)は伊達メガネに指で触れ、うっとりと頬を抑えた。少しぶかっとした士官帽が傾く。
    「そいつは自分の現状を受け止めた上で、自力で選択したんだろ。私個人としては否定しないぜ」
     彩風・凪紗(不壊金剛・d10542)は目を瞑り、鞘刀の鞘を肩に担ぐように持った。
    「より良い選択肢を提示できるってだけでさ」
    「だな、一般人にサイキック攻撃とかないわ。やり過ぎだ。イイ事したかったら学園にこいっつーの」
     一方で、両手をぶらぶらとさせながらどこか億劫そうに歩く八重樫・貫(疑惑の後頭部・d01100)。
    「過剰な正義は暴力だからな。だが、うむ……熱血漢は好みのタイプだ! うむ!」
     虚空に向かってシャドウボクシングを始めるアンナ・ローレンス(高校生魔法使い・d05959)。
    「分かりあえないなら拳で語り合い! 夕日に向かって走る! これだな!」
    「おぉっ、それだそれ! 理屈とか正義とかそういう話じゃないんだ。やろうとしてることを止めて、闇堕ちも止める。いいやつっぽいしな」
     同じようにシャドウボクシングを始める比奈下・梨依音(ストリートアーティスト・d01646)。
     そんな彼女達の後ろで、大業物・断(一刀両断・d03902)と柴・宗志朗(スカー・d10131)は沈黙のまま歩いていた。断はスカーフで、宗志朗はフードで顔を隠し、足音だけを響かせていた。
    「正しい事を貫くのは、難しい」
     ぽつりとつぶやく断。
    「けど、駄目。幸せになれない」
    「…………」
     宗志朗は彼女の横顔を一度だけ見て、視線を前へ戻した。
    「ふうん、いいけど……」
     少し遅れて来た刑ヶ原・殺姫(中学生殺人鬼・d10451)が、彼等の横に並ぶ。
    「なんで彼一人でやらなきゃいけないの。周りの人間は何をしてるのよ」
     ジャケットの内側に仕込んだホルスターから裁縫バサミを抜いて、しゃきんと鳴らす。
    「気に入らないわね」
     顔を上げる宗志朗。
     彼等の前には廃体育館の扉がひとつ。
     そしてしっかりと踏みしめたような足跡が、ひとつ。

    ●『戦闘風紀委員長』十七条・法拳!
     シャープデザインの眼鏡をかけた白ランの男。
     彼を中心に、30人程の不良学生が輪を作って囲んでいた。
     手には木刀やメリケンサックといったあからさまな武器が握られ、どう控えめに見ても白ランの男がリンチにあっているとしか思えない構図ではあったが……その直後の出来事を見れば、考えを変えざるを得ないだろう。
    「十七条――交渉拳ッ!」
     大気を唸らせんばかりの拳が繰り出され、不良の顎に命中。
     不良は派手に吹き飛び体育館の天井に激突。跳ね返って入り口の辺りへと落下した。
     顎の形が歪に曲がり、腕の骨がやれれていたがどうやら命に別状はない。
    「こいつ、手加減してんのか……?」
     貫は負傷した不良をひっつかんで野外へ放り投げると、手をぱしぱしと払いながら『一般人向け』の殺気を放出した。
    「「な、なんだこいつ……!?」」
     ただならぬ気配に振り向く不良たち。
    「はよ帰れぇ。悪いことすんなよ死ぬぞー、っと」
    「う、うお……!」
     本能的な何かを感じ、不良たちが我先にと体育館から逃げ出していく。
     取り残される形となった貫と白ランの男は、10m程度の距離を開けて向かい合っていた。
     男が、中指で眼鏡のブリッジを押す。
    「私は十七条法拳。所属校は無い。そんな私から言われても説得力が無いとは思うが、この学校は部外者の立ち入りを禁止しているぞ」
    「知ってんぜ。あんたの名前と、今からやろうとしてるコトもな」
     ポケットからカードを取り出し、指の上で回す貫。
    「…………ほう」
    「十七条、あんたの持論で行くと、凶行を止めようとする俺達は『悪』か?」
    「暴論だな。自虐で相手の論理を揺するのはよせ」
     法拳は頭の上で右拳を水平に構えるような、どこ角ばった姿勢で構える。
    「そこまで語れるのなら理解できる筈だ。本来正義と悪の戦いは個人の中で行われるもの。集団で起きるのはただの個人対個人だ」
    「細かすぎてわかんねえよっ!」
     大きく踏み込む貫。しかしその時には右腕が縛霊手に包まれ、激しい電撃を纏って繰り出されていた。
     法拳は身を回転させ、振り込んだ右手をハンマーに見立てて縛霊手を払う。
     そのままもう一回転すると貫の脇へと回り込み、左拳を肩へと叩き込んでくる。
    「っと……!」
     吹き飛ばされそうになりつつも、片足でてんてんと跳ねて衝撃を殺す貫。
     そして蹲る貫。
    「……あ、駄目だ痛え」
    「弱い!?」
     もしかしてタイマン張ってくれるんだろうかと思っていたアンナはまさかのヘタレプレイに身を乗り出した。
     再び同じ構えをとり、左手で手招きする法拳。
    「実力の程は見て分かる。全員纏めてかかって来い。人の言葉は常に一定の嘘が混じるが、極限の拳は嘘をつけん。私が拳法を学んだのも、それが理由だ」
    「その理屈、乗った! キルケ、GO!」
    「ナノッ!」
     アンナの背後から飛び出したキルケ(ナノナノ)がシャボン玉をマシンガンの様に発射。
     それに合わせて拳を突き出したアンナも制約の弾丸を連射した。
     対する法拳は左手を内ポケットに入れ、内側から手錠を象った影業を引っこ抜いた。
     手首にぐるぐると巻きつけるように攻撃を弾くと、最後に手に握りナックルダスターのように掴み、残りの攻撃を殴って弾く。
    「プレッシャーにパラライズか。この程度で私は止められんぞ!」
     地を滑るようにまっすぐ突っ込んでくる法拳。
     と、そこへ横から進路上へ滑り込む宗志朗。
     素早く繰り出した法拳の拳を無言で絡めて払うと、顔面目がけて繰り出されたアッパーを上半身のスウェーで回避。
     手の甲に小規模力場を展開すると、裏拳で法拳の側頭部へと叩きつける。
     手錠型影業で受け止める法拳。更に繰り出した法拳の拳を、宗志朗は顕現した縛霊手で掴み取る。
    「……!」
     膠着。いわば、拳による鍔迫り合い状態である。
     至近距離でしか聞こえないほどの声で、宗志朗は囁いた。
    「何故正義を求める」
    「理論が逆だな。求める行為自体が正義になった」
    「だが最後には自分の正義を赦せなくなる。誰かのための正義ではなくなるぞ」
    「正義とは目的だ。達した時点で消えるもの。咲いた花が実を残して枯れ落ちるように、私の正義を引き継ぐ者はいる。それで良い」
    「……潔い」
     何処か羨望のニュアンスを込めて、宗志朗は言った。
     途端、ロッドと掲げたサクラコと刀を翳した断が左右から出現。
     黒死斬とフォースブレイクを同時に繰り出した。
     両腕が塞がった状態では(少なくとも法拳は)防御ができない。モロに食らって吹き飛ばされ、体育館の綺麗ではない床を長く滑った。
     可愛らしげなロッドを突き出し、帽子の鍔を掴むサクラコ。
    「よいお覚悟、正義の道を貫くならばサクラコも賛同いたしましょう。ただし、行く道は人の道。闇に堕ちてはダメです!」
    「やり方を間違えちゃ、自分が犠牲になっちゃ、駄目」
     同じく剣を突き出すように構える断。
     二人の視線を受けて、法拳は身を捻じるようにして立ち上がった。
     目を合わせ、断は続ける。
    「哲人アリストテレスは言った。各人には各人のものを。正義とは公平でなければならない。拳をふるって戒める行為は、公平とはいえない」
    「そのアリストテレスは、『前に習えぬ者には鞭を』とも言った」
     先端が鋭利に削られた手錠を放つ法拳。
    「そのための必要正義である!」
    「それじゃあなたが、幸せになれない!」
     飛来する手錠を剣で受け止めつつ、断は再び突撃。
    「それでも進むと言うのなら止めます。正義で正義を制するのでぃす!」
     同じく突撃するサクラコ。
    「よかろう!」
     法拳が影手錠の両端を拳に握った段階で、梨依音が大胆に割り込んできた。
     誰にも邪魔できず、そして誰にも分かりやすい割り込み方。
     ようするに、『まっすぐ走ってぶん殴る』である。
    「うーっらぁ!」
     雷撃を纏った拳が繰り出され、法拳の拳と相殺する。
    「お前は良い奴だけどなんか間違ってるから俺のそのままをぶつける!」
     背中にギターをかけたまま、唸りを上げて連続で拳を叩き込む梨依音。
     それを法拳は連続で相殺した。
     最後の一発をぶつけ合い、反発し、互いにノックバックする。
     慌てて回復とフォローに切り替えるサクラコたち。
    「でも一つだけ、言えることがあるぜ」
     梨依音は倒れることなく踏ん張り、再び拳を構えた。
    「あんたに必要なのは、自分の夢に協力してくれる仲間じゃないのか! 誰かにその思い、言ってみたのかよ!」
    「その意見だけは、賛成ね」
     梨依音の頭上を飛び越え、殺姫は裁縫バサミをぐぱりと開いた。
     反射的に放たれたであろう手錠の鎖を強制切断。二人の間に割って入る。
    「貴方の周りって、自己犠牲をされて喜ぶ連中ばかりなの?」
    「…………」
    「そうなら貴方、相当なお人よしね」
    「ぐ、う……!」
     もしかしたらそれこそが触れられてはならない部分だったのかもしれない。
     法拳は奥歯を噛みしめ、開いた白ランの内側から何十本もの影手錠を放出した。
    「それでも……だとしても、貫かねばならぬものはある!」
     幾重にも腕に鎖を巻き付け、殴りかかる法拳。
     と、その時。
     ひゅん、と風が吹き、法拳の眼前に凪紗が現れる。
     顔の前で、刀を水平に構えていた。
     人差指と中指の間で挟んで保持する奇妙な握り方である。知らぬ人に説明するなら、『二本指でカードを翳すように』と表現すれば分かりよいだろうか。どう控えめに考えても日本刀の重量すら保持できない持ち方ではあったが奇怪なことに彼女にとってはそれが自然な姿勢であるようだった。
     刀身で受け止められる拳。
    「そう思い詰めるな。高校の評価なんぞ誰も気にしないし、不良が憂き目にあうのは自業自得だろ。あんたもただ、殴りたくて殴ってる訳じゃないと胸を張って言えるかい?」
    「暴力に不本意はない!」
    「承知の上ってコトだね。じゃあ、後は『勝ったもん勝ち』ってことで」

     小節を区切はしたものの、戦いに間が空くと言うことは無い。
     凪紗が不敵に述べたその直後に、断は上段から刀を繰り出してきた。
     紙一重でかわす法拳。彼は腕に巻き付いていた影手錠を数本外し、断の両腕を接続。輪っかをひっかけるようにして転倒させる。
     その直後、腹めがけてスイングされるサクラコのロッド。その根元に影手錠が嵌り、じゃらりと音を立てて上方向に引っ張り上げられる。
    「……っ!」
     拳を引き絞る法拳。
    「十七条――制裁拳ッ!」
     地面を強く踏みしめ、真っ直ぐに放たれる拳。ノーガードのサクラコは一瞬で影喰らいに覆われ、後方へと弾き飛ばされる。
    「下がっているのだッ!」
     彼女をフォローするように位置取りし、アンナが制約の弾丸を連射。
     対して法拳も影手錠を回転させながら投擲。先端がブレード化した手錠がアンナの脇を切り裂いた。
    「わ、このえっち! 信じられないのだがっ! 女の服を切り裂……かれてない!?」
     ナンデっ!? と言いながら脇の辺りをぱたぱたとやるアンナ。
     服破りが衣服を破ると言うのは、語感からくるデマだということは、あえて詳しく語らないでおく。
     そうしている間にも梨依音と宗志朗が高速で法拳へと接近。
     下段に繰り出される宗志朗の足払いと、顔面目がけて放たれる梨依音のパンチ。
     法拳は軽く飛び上がって蹴りを避け身体をスピンさせつつ梨依音の拳を横に反らす。
     が、それで終わる彼女達ではない。
     宗志朗は床を叩きながら素早く起き上がり、ロケット発射の如きアッパーを叩き込んでくる。モロに食らって地面からさらに浮く法拳。そこへ梨依音が追いつき、更に電撃を纏ったアッパーを叩き込んでやった。
     二段階に飛び上がった法拳。そこへ、地面を殴った勢いで貫が追いついてくる。
     空中で軽く一捻り。遠心力を加えつつも縛霊手から祭壇を展開。エネルギーを上乗せしての縛霊撃を叩き込む。両腕をクロスして受け止める法拳。彼から放たれた無数の影手錠が長い鎖として伸び、螺旋状に縛霊手へと絡んで行く。
     そうして互いを固定すると、二人は素手の拳を振りかざし、顔面に思い切り叩き込み合った。
     鎖が断ちきれ、影の破片となってまき散らされる。
     思わす口角を上げる貫。
     そうして派手に着地した法拳を待っていたのは、直立不動の凪紗だった。
     反射的に繰り出した腕を掴み取り、ひっくり返すように転倒させる。
     背中から叩きつけられる法拳。しかしもう一方の腕で重心移動をかけ、素早く足払い。凪紗の両足が強制的に刈り取られ、地面に叩きつけられる。
     追撃を受けぬために素早く離脱する凪紗だが、法拳はその場から動くことができなかった。
     そう、今になって、アンナが浸透させたパラライズが発現したのだ。
     ここぞとばかりに宙を舞い、法拳の腹に膝から着地する殺気。
     裁縫バサミの取っ手に指をかけて半回転。逆手に握ると、思い切り胸に突き立てた。
     そして。
    「遅かったわね」
     と極小の声で呟いた。

    ●正義の連鎖
    「全員停止せよ(フリーズ)!!」
     体育館じゅうに響き渡る少女の声。
     同時に派手に開け放たれた扉より、数十人の男女が雪崩れ込んできた。
     六法全書を両手に構えた丸メガネの少女を中心に、一般人生徒がずらりと並んでいた。
    「風紀委員会の者です! ほ、本校は許可なき暴行を固く禁じております! 停止要求に応じない場合然るべき機関への通報を行います! 法拳先輩、無事ですか!」
    「お前たち……!」
     はっとして起き上がろうとし、法拳は胸に刺さっていた裁縫バサミがないことに気が付いた。
     更に言えば、これまで自分を取り巻いていた暴力的な衝動が綺麗に霧散している。
    「これは……」
    「馬鹿って伝染するものなのかしらね」
     殺気はそうとだけ言うと、ハサミを内ポケットにしまってさっさと法拳の上をどいた。
     代わって、アンナが背中から抱き着いてくる。
    「克服できたんだね、ダークネスの力!」
     にこにこと笑うアンナ。
    「真面目だね。アタシのパパも似たような人だったかもって思うよッ」
    「……」
     法拳は暫し沈黙すると、アンナを振り落して立ち上がった。
    「私は十七条法権。校外の部外者だ! ここ数分にわたる暴力行為を深く謝罪し、即刻退場するものである!」
    「…………わかりました」
     道を開ける生徒たち。
     法拳は振り返ると、ずれかけた眼鏡を中指で押した。
    「話は、行きながら聞こう」

     後に、彼は武蔵坂学園へと訪れることになる。
     その際の彼の名乗りを引用するに――。
    『私は十七条法権。趣味で風紀委員をやっている者だ』
     である。

    作者:空白革命 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年11月30日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 15/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 2
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