午後の授業の終わる音が校舎に響き渡る。
武蔵坂学園での通常授業を真面目に取り組んだり、眠気に負けて居眠りをしてやり過ごしたり、宿題を消化するために内職に勤しんだりと、一日のカリキュラムを終えて、教室で静聴していた生徒達も、その静寂から解き放たれ、ざわめきと話し声に取って代わる。
今日の放課後は何にしよう?
下校してどこかに寄り道して帰る? それとも、まっすぐ帰って据え置き型ゲームやネットを楽しもうか。
暖かい部屋の中で、温かい飲み物を脇に置き、読書もいいかも知れない。
部活動を終えたらお腹すいているだろうから、ファストフードのあるお店に寄ってもいいかなと、そんな事を考えたりしている生徒も居る中、目的が決まっている生徒は、迷い無い動きで教室を出て行く。
向かうのは、各自が所属するクラブのある場所。
さぁ、今日はクラブで何をしよう?
●それぞれの日常
毎日を彩る楽しい時間が始まる。
足取りも軽く、それぞれのクラブハウスへと向かう。
このゆびとまれの仲間は授業が終われば元気に子どもの時間を満喫する。
今日は天気が良いから鬼ごっこをしようと部長の縁樹が提案をすると、元気よく飛び出していく。
縁樹とミルフィが鬼となり、10数えて追いかけ始める。ミルフィはアリスを楽しげに追い、一は遮蔽物を上手く使い逃げるが追い込まれたら、スカートめくりでかいくぐる。
その様子を見たシュシールが駆け寄って突っ込みを一閃。
そんなこんなで留まっているうちに、追いつかれ捕まってしまった。
後になり、パンツともう一枚履いてるって、ふんぞり返って言ったんだろうとちょっぴり恥ずかしいと思い返したりして、楽しい時間は過ぎていく。
だべりぶの面々は茶室の縁側で、自分の好きなタイプについて語り合う。
部長の雪風は優しい人、と口にすると火鳥は好きそうだと納得し、自身は確りしている様にみえて意外というギャップには弱いらしい。セナははっきりしているらしく、兄さんタイプ。
「ボクは、穏やかな性格で趣味が合う人がいいな」
樹咲楽は紅茶を口にしつつ、ふわりと笑う。
隼人は照れ乍らも何とか好みを口にする。
少し離れた勇は考えた事がないといいつつも、思いつく項目を挙げていく。料理が出来れば良いかもしれないと。
「俺はおしとやかで優しい子がいいな」
飛鳥は色々付け足しつつ、特定の誰かを想定しているんじゃないかと、にやりと笑った。
武道の鍛錬で模擬戦や自己鍛錬の汗を流しているのは武刃蔵の面々だ。場所は刃兵衛の実家の道場。
鞠藻とユーキはチャンバラ用のウレタン刀を手に、真剣な眼差しをして向かい合う。
「宜しくお願いします」
光明は一礼して、レヌーツァが動くまで微動だにしなかったが、その瞬間は直ぐにやって来た。
なをと刃兵衛は木刀で刃を交え、勝負感を養っていく。
ジャックも模擬戦を終えた後は、充実した内容に満足そうな表情を浮かべている。
仁之助は防具を装備させた木偶人形に打ち込みを力尽きるまで繰り返す。
道場の隅で友衛は見学し、皆の動きに関心しつつ、誰か技の解説をしてくれないかと思う。
「疲労回復には糖分とクエン酸ですよ」
光明手製のレモンの蜂蜜漬けを皆に配る。
一戦交えた後は一息ついて、心地よさを感じさせる緊張を緩和させる為、刃兵衛がお茶を準備し始めた。
普段は戦闘に関して意見を戦わせているフラッパーサテライトも今日は一休み。
八津葉は下拵えを担当し、普段自分を怖いと言っている仲間の胃袋を捕まえてみせると、意気込む。ヴォルフガングへとバトンは渡され、鍋Pとして実力を披露され始めた。梓は片付けをし、鍋パーティが始まっているのに気付き慌てて戻ってくる。
鍋と戦術は似ているという、へるの意見に確かにと睡蓮は思う。
「ヴォルフおまえ、鍋奉行気質だったんだな…」
しみじみと呟く。断もこくりと頷く。
煉は鍋の食べ方は奥が深いのだと、妙に感心している。栄養が身長にまわってほしいと若干思ったりもしつつ、秋沙は箸で野菜をつまんだ。
味を堪能し、へるらしい語彙で評価してみせた。
「まぁ、小難しい話も良いが食べようぜ」
まずは、腹ごしらえだと祇翠がいった。その意見には皆異論はない。鍋奉行の号令の下、本格的に始まったのだった。
HEROESでは、部長のガムによるHEROとは何かという講座が行われていた。
早速太一は右から左へと聞き流していたのだが、ガムに土下座を命じられて、完璧な土下座姿勢だ。
稜の横にはヒーロー物の漫画やDVDの山。お菓子の山は少しずつ攻略されている。
「ガム殿、ちと質問良いかのう?」
イルルは、最前席でメモを取り、すっと手を挙げた。
「うむ!」
ガムの講義を聴きつつ、問われた銀都は自身のヒーロー像を言葉にする。ファルケもギターを掻き鳴らし、大きく息を吸った。
「みんな、俺の歌を聴きやがれーっ」
音が鳴ると同時に、ガムは耳栓をすぽんと収め、聞いている振りをする。
「あ、あれ…? ヒーローの話ですよね?」
確りと聞いていた迷子が、軌道修正すべく突っ込みをいれた。
ご当地の友では、ご当地ヒーロー達がご当地怪人対策会議するという名目の下、各地の菓子を持ち寄ってのお茶会を開催していた。
アキラはアイスの発祥について語り、飴莉愛はカナッペを用意して楽しそうに怪人の想像をし、神楽は普段はおちゃらけているが、時には真剣な眼差しで語る。
三珠はしょんぼりなご当地怪人想像図を黒板に描き、それを見たジョーが難問を解く様に腕を組むのだった。
卓上競技部内では麻雀が行われており、部長の朱梨が初心者さん相手にレクチャーする。実際の牌を手に役を組み合わせているので理解しやすい。実戦あるのみと、早速卓を囲み2卓4人打ちが始まった。
理一は名前にあるジンクスには頼らずに場を賑わし、浪漫重視の彰二は牌を振り込み、朱梨はリーチ後椿からあがり、彩希は感性で突っ走り最終的には点棒が寂しい状態に、都璃はというと何となくそろえた牌であがってみせたり、椿は朱梨にもって行かれない様に用心するがうまくいかず、七対子狙いの寿は思い切りよく必要ではない牌は切っていき、自牌が周囲に丸わかりな葉月は予想しやすいと、各自のプレイスタイルが出ている。
8人シャッフルして再び始めれば、読めない展開に緊張が走ったりした。
武蔵坂奇譚蒐集倶楽部では、部長の弥彦が白衣を仲間に着せられ、雰囲気を醸し出しているのを、修と士騎が似合うと頷き合いっている所に千尋が部室に入って来、その姿をみて、いかにも狂科学者って感じだねと突っ込めば、きついお仕置きを食らってしまった。
エデの用意した紅茶とジンジャーマンクッキーで落ち着くと、都市伝説の赤マントや口裂け女について語り合う。対処法はどうしたらよいかと、議論は尽きない。個々の対処法も楽しく、研究に明け暮れるのが皆の日常だ。
夜天薫香へ優志が一番乗りで入室すると、茶葉専用棚の前に立ち、今日はルーナティアラの好きな茶葉を選ぶ。
自分が一番乗りだと思っていたルーナティアラは優志の後ろ姿を捉える。準備をさりげなく手伝いテーブルの上を拭き、お茶にはお茶請けと独楽鼠のように動く。
のんびりとしたティータイムが始まり、今日は誰が来るだろう? と扉の方へと視線を向けるのだった。
●新しい発見
武蔵坂軽音部Secret Baseは、いつも音が溢れている。
生まれてくる新しい音色達。
「わ、曲作り?」
結理がベースの調整を済ませて、錠の傍に腰を下ろす。そこには今まさに生まれようとしているメロディラインがあった。
都々は、楽しそうな光景をスケッチブックに留めていく。ひかるが差し入れたクッキーを手に会話が弾む。買い出しから戻ってきた美潮は音楽を聴き乍ら、ごろごろ出来ればと思う。最高なのにと。
貫はいつも通りの光景で愛器を手にして加わる。
千波耶はふと気付く。楽器を弾かない仲間達も自然とリズムを取っている事に。
それなら、と直ぐに取り入れて全体の音としていく。
「思い切り踊れば気分爽快、スッキリ元気になれマース」
ウルスラが紫髪を揺らして、踊り出す。
「ヘイ野郎ども、手拍子おくれ!」
鈴の元気な声が弦から零れる音色と共に響く。
十織がジャケットにと描いた絵は、机と心に仕舞い込み、手拍子をうつ。
自然に身体が動くのか、ゆうが踊ろうと手を差し伸べた。
美術部部室では、洋子の趣味も多少入ってなくもない感のメイド服+猫耳をさくらえと遠音に着せてモデルとしてポーズを取って貰い、スケッチタイム。
「わぁ、日下部さん似合ってるよ」
「先輩可愛いー」
互いの姿を褒め合う。
「おふたりとも可愛いですねぇ。先輩ですけど、男性ですけど」
一葉がしみじみと呟く。
やがて色々無茶なリクエストで、ポーズを維持できずに倒れ込んでしまう。
そんな2人の姿に、いけない姿だと洋子は笑みを浮かべた。
●楽しい事
散策同好会の面々は、お出かけ先について相談している。
紫音は、苺キャラメルを使う美味しいクレープ屋さんを提案する。
「商店街でぶらぶら…、する?」
かれんは皆の願いを叶えるのなら最適な場所だという。
ペットの白蛇達に防寒具をと考えて円蔵も同意する。
「今の時期、クリスマスイルミネーションも見られるかも知れませんね」
「美味しいものあると良いわね」
法子は、かれんに声を掛け微笑む。
「マフラー、手袋も欲しいね」
ちいさな毛布をかぶって、カミラの隣にいるサシャの方を見、笑いあった。
路地裏談話室では快適空間を構築すべく、先日買い物を済ませてある品物を設置する作業だ。
「サクっと済ませようぜ!」
縁は空気清浄機、エリスは数枚の毛布、樹はフェイクの蔓植物等の花々、澪は洗面道具や風呂用品、螢は三角枕や間接照明。
「悠一くん、がんばってね。おーえんしてるから」
と、生温かな眼差しを樹が向ける。
悠一の為の生活必需品を補充している彩歌に、縁が親密さを感じさせる冷やかしをする。
「こたつとみかん、この2つがあれば準備は万端だな!」
「昼寝帝国の完成でもあるわ」
ふふふ、と満足そうに螢が微笑む。鷲介はというと、忙しそうに立ち回り、突っ込んでまわる悠一を眺めて楽しんでいる。片付けが済むと、こたつを取り囲んで和気藹々。
殊は彩歌と編み物の話を弾ませ、
「えへへ~♪ 好きなの取ってや」
澪の用意した飲み物を各々口にして、様々な反応があがる。
「…ん、いつも通り」
そう言ってエリスは頷いた。
Art☆Guerrillive内で、広げられているのは大きな模造紙。
「うちといえばこれだよな」
そういって部長の航平が言い、色彩道具を周りに並べ白い世界を色のある世界へと変えていく。
航平は爽快感を感じつつ、スプレーでくじらを描き、倖は水色と青色ペンキで夜空色に染め、暁は深海を描き、律嘩は色を重ねる。
一通り満足した頃に、暁が戯れで律嘩と倖に色水をかけた。
眼鏡のガード具合に思わず、
「2人の眼鏡、もはや盾ねぇ」
としみじみ呟いた。
Optional Radioは好きなCDやLPを持ち込んで音楽を共有して楽しむ所。
一番にやってきた部長の眠兎は曲をお供にいつの間にか眠り込む。次にやって来た光流が激しい目の曲に切り替えると、眠兎が吃驚して目を覚ます。
「…花廼屋さん?」
「おはようございます」
そんな眠兎を見て、光流は柔らかな笑みを浮かべた。
恋愛部の一角で、夜好と司は向かい語り合う。お題は互いの趣味や嗜好について。
話は止まる事なく弾む。
「あとはぁ、お洋服とか小物、可愛いモノを集めるのが好き!」
「ぐ…うちより乙女やん」
夜好の女子力の高さに思わず前のめりになる司。
話の内容は恋愛部らしく、その方面へと発展していく。
TRPG同好会では、セッションが行われていた。
丞が今回予告を読み上げる。挑むはランダムダンジョン。
「油断してたら殺られる…!」
司がガチスキルで挑む決意をし、
「僕はひたすら支援を飛ばすよ」
攻撃なんて必要ないというかスキル枠の余裕なんてないよ! とキャラシートと睨めっこの京夜。
作成時間ギリギリまで粘り開始。
早速、丞のカードの引きが強くエネミーエンカウント。
「燃えよ! 赤き魔弾よ!」
後ろからサクラ(咲桜)の攻撃魔法が飛ぶ。
前衛でサムライの和弥が攻撃を躱すべくダイスを転がす。
が、ダイスの神様は波瀾万丈をお望みです。
「…部長、ダメージをくれ…」
「えーい、やったねクリティカル!」
えっへんと崇が胸を張る。いざというときのダイス運は良いのだ。
そんなこんなで、漸くボス部屋に到着し、丞はイイ笑顔でマップにポーンを並べ始めたのだった。
●公園にて
世紀末荘の仲間で今日は近所の公園をボランティアで清掃中。
姿は某世紀末的な服装の三成やゴンザレスがヒャッハーとテンション高い乍らも、丁寧な動作でゴミ拾いをし、集めたゴミは紫乃が小さく纏め、拓馬は自作の歌詞に節をつけ乍ら歌いつつ頑固な草を根っこから引き抜き、ゴンザレスの肩に乗っているクアドラがゴミを発見しては号令を掛けていた。
ゴミ捨てをする者が居れば、丁寧な態度でお持ち帰りを願えば効果覿面。それが世紀末荘の面々である。
●下宿にて
温泉下宿『湯乃花荘』に下宿しているので、クラブ部室でもあり帰宅する場所。
温泉宿ということもありお手伝いを勝手出て、分担して掃除や片付けを率先してこなしていく。
セレナはタオルなどの洗濯、毬衣といちごは浴場をブラシで湯垢を落として、湯船も湯の入れ替えで順序よく進めて、女将のゆのかは皆の監督。
終わった後は、よく冷えた瓶入り牛乳を振る舞って労う。
●空を見上げて
言葉紡では連想遊びが始まった。自由に過ごしつつ、色を紡いでいく。
雪篤は、色の辞典を探そうと部屋を巡る。
「真っ白でふわふわで綺麗ー!」
李は赤兎に髪を弄って貰いつつ童話に目を落とし、由乃は和名の色辞典を片手に新しい色を探す。
いつの間にか外は夕暮れ。
「もう夕暮れ、と言う事で茜色で行きましょう。赤系は悠木様がお似合いですわ」
遥翔が李の方を振り向く。
「俺は赤っぽい?」
九十三は皆の様子に微笑を浮かべ、新しい本を高い位置にある本棚から取り出すと、他の本も一緒に雪崩れた。
一点に集中した視線を受けて、笑いが起こる。九十三はおどけて肩をすくめて見せたのだった。
「今日も綺麗な夕焼けだね~♪」
向日葵が笑顔で振り返り、夕暮れ時の海鳥部の面々も頷く。
右九兵衛と向日葵、沙月で遊んでいたが、途中でデルタが混ざり、空は観戦に徹する。
虚は緑茶を淹れ、用意してきた羊羹を取り出すが、失敗した方を持ってきたのだと気付くが、味は問題ないと保証し、他にも皆の持参した菓子を味わう。
「ん~、美味い」
虚は羊羹を口へ運び、夕焼けをも堪能して、満足そうに笑う。
「また、皆で新しい夕暮れを迎えられたらええなー。…どや、部長らしい言い方やろ? ええやつやろ?」
「銀夜目くんは最後の一言さえ無ければ、部長さんらしかったかもしれません」
ちょっぴり残念な感じの右九兵衛だった。
●真夜中の階段は
放課後怪奇調査団の夜月と識は、学校の七不思議を確かめるべく、深夜の探索。
意外と何もなかったりする中、増える階段へと。
一緒に数え始めて、? といった表情を浮かべる。
「ボク13段あったんだけど」
「え、今14段なかったか?」
と、識。
えっ、と2人は互いの顔を見つめ合う。もう一度と確かめると、数が合わない。
ほんわりとした夜月は見つけちゃったかも、と微笑んだ。
それぞれの毎日は大切な仲間と作り出していくもの。
毎日が楽しいのは、きっと仲間が傍にいるから。
作者:東城エリ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2012年12月1日
難度:簡単
参加:125人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 18/キャラが大事にされていた 13
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