葬名煉の休日~井の頭公園巡り

    作者:飛角龍馬

     季節が秋から冬に移り変わろうというこの時期、井の頭公園は紅葉の見頃を迎えていた。
     都内有数の大公園は、休日ともなれば多くの来園者で賑わい、武蔵野市民を始めとした人々の憩いの場となる。
     公園という場所は、誰の来園も拒まないものだ。
     そうであるから、葬名・煉(赦されざる者・d08115)がこの公園に足を踏み入れたのも、別段、不自然なことではなかった。
     澄み渡る空が清々しい、この季節としては暖かな休日である。
    (「紅葉か。そう言えば、もうそんな時期だったな……」)
     敷き詰められた落ち葉を踏みながら、煉は一人、緩慢に歩みを進める。
     特に誇れるような理由や目的があるわけでもない。
     強いて言えば、気晴らしのためである。 
     煉は灼滅者として武蔵坂学園に転校してこのかた、クラスメイトの少女の家に居候している。居候先の夫婦は良くしてくれており、同居人である少女もまた同様だ。
     しかし、家にいるだけでは、どうしても思い詰めてしまうことがある。
     それは、煉が灼滅者として覚醒することになった、凄惨な事件の記憶と傷跡である。
     余りにも残酷なその惨禍は、煉の心身に消えない傷を残し、今も彼を苛み続けている。
     いや、苛んでいるのは他ならぬ彼自身だろうか。
     ともあれ――灼滅者にとって、何気ない日常は不可欠だ。
     戦いに満ちた非日常だけでは、心の天秤は闇に傾く一方である。
     それを知っているが故に、煉は気晴らしのため外出し、この公園に行き着いたのだ。
     公園には、休日を過ごす様々な人の姿があった。
     ある者は紅葉を眺め、ある者はゆったりとボートで池に漕ぎ出している。露店で手製のアクセサリーを売る者もいれば、器用にストリートパフォーマンスをこなす者もいる。
     公園は、誰の来園も拒まない。
     煉はまだ気付いていないが、園内には、あちこちに武蔵坂学園の生徒達の姿もあった。
     そう、武蔵野市に位置するこの公園は、灼滅者達にとっての憩いの場でもあるのだ。
     何も知らずにやって来た煉と、公園での一日を楽しむ学園の生徒達。
     本人達も知らぬうちに、いつの間にやら舞台は整い――ここに葬名煉と灼滅者達の、休日が幕を開けようとしている。
     
     
    ■このシナリオは『TRPGリプレイ連動シナリオ』です
     このシナリオは、11月20日に富士見書房から発売された、サイキックハーツTRPGリプレイ『灼滅者に涙はいらない』との連動シナリオです。
     今回登場した葬名煉は、この『灼滅者に涙はいらない』のメインキャラクターのひとりです。詳しくはリプレイを読んでみてくださいね!

    ●このシナリオは『参加無料』です
     みなさん気軽に右下の『参加する』をクリックし、参加してください。
     ただし、参加するには自分のキャラクターが必要です。まだキャラクターを持っていない人は、ここから作成してください。キャラクター作成も無料です。
     https://secure.tw4.jp/admission/

    ●リプレイには『抽選で選抜された100人』が描写されます
     このシナリオは学園シナリオです。参加者は必ずリプレイで描写される訳ではありませんが、冒険の過程や結果には反映されます。
     なお、今回のシナリオでは、抽選で選抜された100人のキャラクターが描写されます。抽選はトミーウォーカーが行います。

    ●2巻以降に登場してくれる人、募集!
     サイキックハーツTRPGシリーズは、今後も刊行される予定です。
     そこで『2巻以降のリプレイに登場していただける方』を募集します。登場してもいいよという方は、プレイングの1行目に、
    【TRPGリプレイ登場OK!】
     もしくは、
    【TRPGリプレイ登場OK!(闇堕ちもOK!)】
     という文章をコピー&ペーストしてください。
     今回の連動シナリオ4本のいずれかに参加し、プレイングの1行目にこう書いていた中から、FEARがキャラクターを選抜します。
     どのような形で登場するのかはFEARに一任となります。学園に通う生徒として事件に巻き込まれたり、重要な情報を教えるキャラクターになるかもしれません。闇堕ちもOKと書いたキャラクターは、ダークネスとして敵側に回ることもあるかもしれません(闇堕ち時の外見などをプレイングで指定しておくといいことがあるかも?)
     登場することになった場合でも、事前に連絡などは行われません。ご了承ください。 


    ■リプレイ


     麗らかな日差しが心地良い、小春日和である。
     落ち葉を踏みながら煉が歩くのは、公園の西にある、自然豊かなエリアだ。
     彼が井の頭池に向け歩いて行くのを、木漏れ日の差すベンチに座りながら、砂漠出身のペサディージャが静かに見送った。彼女は小鳥たちと戯れながら、森林浴を再開。
     この辺りは静かなんだなと煉は思ったが、その思考はすぐに掻き消されることになる。
     不意討ちとばかりに、小柄な少女――棗が襲って来たからだ。
     袋竹刀による攻撃を避けた煉が、咄嗟に振り向くと、
    「よっ、と。お前が噂の転校生だな。確か滝沢」
    「……葬名だ」
     襲撃者である棗に敵意がないことを認めて、煉は溜息を吐いた。
     二、三、言葉を交わした後、
    「一人で全部背負い込もうとするなよ。私達は仲間なんだからな!」
     棗は煉の背に、そんな言葉を掛けた。
     井の頭池の南西――弁財天の手前に伸びる道に出ると、煉は東に向かって歩いて行く。
     池の外周を、反時計回りに歩く道筋だ。
     道の向こうから歩いてきたのは、ココアのカップを手にした唯だった。
    「好い時ね」
     煉に向け、にこりと笑って唯は呟く。彼は煉とすれ違うと振り返り、
    「眉間に皺寄せてると、早く老けるわよ!」
     煉が驚いて振り向いたのを見届けて、唯は、そのまま道を歩き去る。
     道を進む煉の左手には、紅葉の木々に囲まれた、赤い鳥居と社。
     弁財天だ。
     そこで煉の前に姿を現したのは、神主服を着た少年、弓弦だった。
    「差し上げます」
     弓弦は唐突に缶ジュースを渡し、去って行く。
    「は? 待て、どういう」
     暇潰しの企画で、最初に会った人にジュースを奢る。そんな弓弦の事情を煉は知らない。
     首を傾げながらも煉が歩いて行くと、やがて、木造の弁天橋が見えてくる。
     橋の付近で、悠花が霊犬のコセイを遊ばせていた。
     近くのベンチでは猫変身したイリヤが寛いでいたが、コセイの姿を見ると、やれやれとばかりにベンチを降りる。
     すると、アレクセイが連れていた犬が、その様子を見て急に走りだした。犬はアレクセイを引っ張るように勢い良く駆け、イリヤがさっさと逃げていく。
     煉がその様子を見送っていると、紅葉を眺めながら歩いてきた美夜が、その肩に軽くぶつかった。
    「申し訳ない。大丈夫か?」
    「怪我なんてないよ。同じ学校行ってるから、ね」
     キミも灼滅者なのか? 煉の問いに、美夜は頷いて、
    「ぶつかったお詫びに、これあげる」
     煉に小さなチョコを押し付けて、さっさと立ち去ってしまう。
     制服のポケットにそれを突っ込みつつ、煉が歩いて行くと、
    「そこの君ぃー」
     呼び止める声。
     無視を決め込む煉に、声は再び放たれた。
    「ちょっと少年、君だってば。こっち、持っててくんなーい?」
     見れば、大人びた少女――駆が、道脇にバイクを止めて手招きしている。
    「このバイク、キミが乗るのか」
    「まさか。愛でてるだけよ」
     軽い単純作業を手伝った後、煉は再び散策を開始。
     その足は、そう歩かないうちにまたしても止まることになる。
     視線の先には、頭上の枝に背伸びしている少女――武士。
    「あっ、煉くん! その、手伝ってござらんか?」
     名前を呼ばれたことに驚いた煉はしかし、すぐ少女の状況を理解した。
    「兎さんの風船でござるよ! 諦められないんだよ!」
    「……なるほど。あの風船を、僕が取ればいいんだな」
     煉が頷いて手を伸ばすと、案外低い枝に引っ掛かっていた風船はすぐに取れた。
    「ありがとうでござるよ♪」
     一礼して、風船を手に去って行く武士。
    「何という主役力! 決してモブにはならないオーラを感じる!」
     一連の様子を見ていた敬太が、感嘆の呟きを放って煉に歩み寄った。
    「……キミは?」
    「ああ、僕はモ部という、モブキャラになることを夢見ているクラブの代表さ。今度一緒に遊ぼうよ?」
     言い終えた敬太は、あっさりと煉の前からいなくなった。
     落ち葉が浮かぶ池を眺めつつ、煉は緩慢に歩みを進める。
    「お兄ちゃん、灼滅者だよね?」
     煉が声のした方を見ると、そこにはパンダの着ぐるみを被った歩が立っていた。
     本人曰く、パンダまんである。
    「折角だし、紅葉を見ながら和んだらどうパホ?」
    「ああ、そうするよ」
     ――彼も、灼滅者なのか。
     煉の窺うような視線を尻目に、シャドーボクシングを始めるパンダまん。
     散策を再開した煉の右手に、日本庭園と呼ばれる芝生の揃えられた空間が現れる。
     その片隅で、新体操のように、くるくる回っている聡魅。
     芝生の上では、蓮二が雑誌を顔に載せ、昼寝中。
     ヘッドフォンから流れる音楽を聴きながらの午睡は、彼にとって、正に至福の一時だ。
     知らず通り過ぎる煉を、若干ランニングハイの晶が追い越していく。
    「やぁご同輩! 腹筋鍛えてるかい!?」
     呆気に取られながら見送る煉に目を留めたのは、黒髪の少年だ。
    「君、一人? いや、何だか不思議な目をしていると思ってね。あぁ、怪しまないで。ボクは十京寺・斎牙。中学二年だ」
     笑って自己紹介すると、斎牙はひらひらと手を振って、煉とは別の方角に歩き出した。
    「じゃあ皆、こっちのベンチで一緒に読もうね」
     はーい! と元気に返事した子供達に囲まれるのは、児童館の子達とやってきた亜理栖。
     彼の絵本を読む声を耳にしながら、煉はその前を通り過ぎて行く。
     池のほとりで、暫し立ち止まり、紅葉を鑑賞。
     池にせり出すように伸びた枝の、紅く色付いた葉が風に揺れている。
    「紅葉、好きなの?」
     唐突に声を掛けたのは、紫亜である。
     聖歌隊のメンバーである彼女は、最近うまく歌えず、気晴らしに来たのだという。
     挨拶と僅かな会話を交わすと、紫亜は煉に、クッキーの入った小袋を手渡した。
     互いに別れを告げて、煉は再び道を行く。
    「ん? せんぱい?」
     煉の制服に目を留めたのだろう。スタニスラヴァが、すれ違う間際に声を発した。
     立ち止まった煉に彼女は少し言葉を選んで、
    「ん、と……今日があなたにとって、特別じゃない素敵な一日になりますように」
     彼女は告げると、ばいばいと手を振って、再び道を歩いて行った。
     その時、歩道の向こうから、紅葉を眺めつつ薙乃がやって来た。
     平穏な日常を慈しむように歩く彼女は、煉の制服姿に目を向けると、
    「気持ちいい日ね。……良い一日を」
     言うと、のんびりとした足取りで歩いて行った。
     

    「現在位置は……ここか。この公園、案外広いんだな」
     煉はふと立ち止まって、看板の地図を確認する。現在位置は、池の南側に伸びる歩道。ボート乗り場のある半島に架かる、狛江橋のほとりである。
     近くのベンチには、文学書に視線を落とす瑞樹の姿がある。ソイラテを傍らに、時間を忘れて読書に耽っている。
     池の南側に伸びる道を、煉は再び、東へ歩き出す。
     ジョギング中の巴が、ヘッドホンで音楽を聴きながら、颯爽と彼を追い越していく。
     池の外周は、ジョギングコースとしても有名だ。
     咎人もまた煉を追い抜いていく。この日常を守り抜こうと、決意も新たに、咎人は走る。
    「ボート乗り場か」
     煉は足を止め、狛江橋の向こうに見える船着場に視線を投げていた。
    「よぉ、兄さん、一人?」
     その後ろから声を掛けたのは、シュヴァルツだ。
    「間違えて二本買っちまって。貰ってくんね?」
     おもむろに缶コーヒーを出すと、彼は煉にそれを差し出した。
    「いや、貰うのは申し訳ない」
     遠慮する煉に、いいから、とシュヴァルツはコーヒーを押し付け――そこからぎこちなくも、他愛のない会話がぽつぽつと続く。
     やがて、じゃあなと告げてシュヴァルツが離れ、煉もまた散策を再開。
     その、直後のことだった。
    「こら! 待ちなさい!」
     どういうわけか、懐中時計を首から提げた白兎が脱兎の如くに走ってくる。
     不思議の国の少女さながらに追いかけるのは、アリスだ。
     煉とアリスの間には、兎の他に、アイスを手にしたひよりの姿もあった。
     兎とアリスは、ひよりのすぐ横を駆け抜け、驚いたひよりがバランスを崩しかける。
     少女の肩を支えたのは、実にタイミングよくそこにいた煉であった。
    「大丈夫か?」
    「ありがとう、お兄ちゃん! ここで何してるの? お散歩?」
    「ああ、そんなものかな」
    「ひよりはね、家族で遊びにきたの!」
     言って手を振り別れる少女を、煉は心に微かな痛みを覚えながら見送った。
    「あ、葬名くんだ。散歩? 絶好の散歩日和だもんねぇ」
     そんな煉に言葉を投げたのは、数匹の犬を引き連れた、匡だ。
     煉は、彼の連れる犬達を見て、
    「ここは犬を連れている人が多いな。キミも散歩中なのか?」
    「僕? 僕はバイトだよ。ペットシッターの」
     応えた匡は、犬に急かされるように煉とは反対の方角に歩いて行く。
     そう歩かない内に、煉はまた犬を連れた少女と出遭った。
    「こんにちはー! 学校で見たことがあったから声掛けちゃった。名前、聞いてもいい?」
    「名前? 僕は、葬名煉だ」
    「私は犬童朱花。こっちは黒柴の小太郎ね」
     犬のことや学園の話題を振る朱花に煉も彼なりに返事をしていく。
    「折角の縁だし、困ったことがあったら声かけてね」
     手を振り、歩き去る朱花。
     煉もまた歩き出すと、池のほとりで、小柄な少女――百花と目が合った。
    「あの、良かったらボート、一緒に乗りませんか?」
     楽しそうだけれど、一人では挑戦しにくいのだという。
    「いや、申し訳ないけど」
     その申し出に、軽く首を振って応える煉。
    「おい、そこのにーちゃん!」
     唐突に割って入ったのは、色黒な少年、葉である。
    「その制服、学園のせーとだな。そんな難しい顔しないでさ、手伝ってよ、スワンボート!」
     乗ってみたいんだけどさ、俺一人じゃ難しいだろっておっちゃん言うんだぜ?
     そう言って、拗ねて見せる葉。
    「そう言われてもな……」
     少し困って煉が投げた視線の先には、
    「あ、もう学校終わり? お嬢さん、宜しければ俺がボート漕ごうか?」
     手当たり次第にナンパを吹っ掛ける黒虎。
     彼は周囲の女性に当たり尽くすと、ふと、自分に注がれる熱い視線に気が付いた。
     百花と葉と、そして煉である。
     黒虎は視線に気づくと、きょとんとした顔をして自分を指さし、
    「え、オレ?」
     三名は一様に、深く頷いたのだった。
     ――それから暫くの後。
     何というか完全に他人任せにしてしまった感のある煉は、再び池のほとりを歩いて行く。
     手を繋ぎ二人で歩く姉妹――その片割れである緋月が一瞬、煉に視線を投げたが、何事もなく通り過ぎる。
    「そこ行くおにーさん、こんにちはっ。いい天気だねっ」
     何処からともなくやって来た舞夢は、煉に声を掛けたり、手を引いてみたり。
    「おいでよー、お茶もあるよー」
    「いや、誘いは嬉しいんだが、僕は……」
     困る煉に、舞夢はにぱっと笑って、
    「それじゃまたねっ、おにーさんっ」
     彼女がささっと戻っていったのは、木漏れ日の差す木陰のシートだ。
     すぐ近くの木陰には、ぼんやりしているヒルデガルドの姿もあった。
     池を泳ぐ鯉や、悠々と浮かぶ鴨を観察していた心太は、制服姿で歩く煉に挨拶をする。
    「こんにちは、お兄さん。この公園には沢山の動物達もいるから、是非、挨拶してあげてくださいね」
     頷き、煉が暫く歩いて行くと、今度は弥咲が彼に声を掛け、
    「やあやあ知ってるかな。この池には妖怪がいてね。まあ、古い小説なんだが、面白いよ?」
     そのまま歩き去って行く弥咲。
     スワンボートに乗った湊介が煉の姿を見つけて、ボートを岸につける。
    「何処かで見た顔だなって思ったら、この前の。話聞いたぜ。大変だったみたいだな」
    「ああ……もうそんなに広まっているんだな」
    「折角の休日だ。次の戦いの前にゆっくりするといいぜ」
    「ありがとう。そうするよ」
     湊介と別れた煉は、池に面した、ベンチの多く並ぶエリアに足を踏み入れた。
    「いやん、なーんにも聞こえませーん」
     声の主は、道の向こうからやってきた楸。妹の小言から逃れるように歩いてきた彼は、前をよく見ていなかったために煉とぶつかりそうになる。
    「あららー、ごめんね。って、うちの生徒じゃん」
     言うと、楸は何を思ったか、
    「これ、お詫びにあげよう」
    「え?」
     持っていたパンを強引に押し付けると、楸は許しを乞う言葉と共に、連れの少女に駆け寄って行った。
     そろそろ、お昼時である。
     

     井の頭池の南側に伸びる道には、どこかのんびりとした空気が流れていた。
     昼食時ともなれば、シートやベンチでお昼を楽しむ者も多い。
    「こうして皆さんと一緒に食べられるのも倖せです。とても」
     暖かな日の差す位置にシートを敷き、食事や会話に興じる柚姫。
    「皆さん、温かい飲み物は如何ですか?」
     少し離れたところでは、紅葉を愛でながら、仲間と共にお茶を楽しむロイドの姿がある。
     桜もまた、姉と共に、お手製の昼食やお菓子を口に運んでいる。
    「キレイな紅葉。パパと一緒に来たかったなぁ」
     マリアは小さめのシートの上に持参したお弁当を広げながら、亡き父に想いを馳せていた。
     とは言え彼女は、縫い包みのパステルをお供に、この一日を精一杯満喫している。
    「食欲以外の秋ってのも、たまにはいいもんさねぇ」
     霊犬を連れて、落ち葉の降り積もる道を歩くのは、エイミーである。
    「ま、弁当、忘れただけなんだけどさ……」
     昼食を摂る以外にも、穏やかな時間を過ごしている者は多い。
     冴は池に近いベンチで、さやさやと揺れる葉音に耳を傾けながら昼寝中。
     すぐ隣のベンチには、バーガーショップの袋を横に、本に目を落とす填魔がいる。
     読書をするというよりも、彼は自らの心に潜む、ダークネスという存在について思索していた。答えはまだ、深い闇の中にあるとしても。
    「確かこの池のボート、カップルで乗ると別れるって伝説があるとか」
     等間隔に並ぶベンチに座り、池のボートを眺めているのは叶だ。
     ――あのカップルも、あのカップルも、別れるといいなぁ。
     弁天様にお願いしておこうなどと、甘酒片手に不穏な思考に耽る彼である。
     さてそんな中、葬名煉もまた、ベンチで昼食を摂っていた。
     口に運んでいるのは、散策の道すがら貰ってしまった飲み物やパンなどである。
     池を眺めながら黙々と食事する彼の前を、
    「いやっほーーーー!!」
     高速でスワンボートを漕ぎながら、康也が勢い良く横切っていく。
    「こんにちは。隣、いいかしら?」
     声を掛けられ、煉はベンチ脇に立つ少女を見遣った。学園の制服を着ている。
    「一之瀬準よ。あなたの噂は聞いているわ」
     煉は準が座るのを、拒みもせず、許しもせず。
     それでもベンチに腰を下ろした準は、池を眺めながら、
    「……ねぇ、復讐を果たした復讐鬼は、その後どうすればいいのかしら」
     暫しの、間。
    「それは、人それぞれじゃないか。少なくとも僕は……復讐だけでは、許されはしない」
    「……そう。参考にさせて貰うわ」
     準が去り、食事を済ませた煉もまた、散策を再開する。
    「そこのお兄さん、難しい顔してるね。いい天気なのだから、何も考えないで景色を見渡してみたら?」
     ベンチに座っていた綾香は、煉にそう言うと、また音楽鑑賞に戻る。
     すぐ近くの長椅子には、穏やかな日差しを浴びて昼寝する色白の少年、空斗の姿もあった。
    「こんにちは」
     並ぶベンチの一つで読書していた香名が、ふと煉に声を掛ける。
     驚きながらも挨拶を返した煉に、彼女は更に言葉を投げる。
    「苦しくても、昔のことは忘れないほうがいいんじゃないですかね。何もかも忘れたら、私みたいに空っぽになるんですから」
     煉は何かを口にしようとしたが、軽率に応えられないと、言葉を飲み込んだ。
    「貴方にはまだ希望があると思います。過去は忘れず、未来に希望を持ってみたらどうでしょうか」
    「ありがとう。……努力するよ」
     礼を告げて再び歩き出した煉に、向かいから走って来た啓司がぶつかりそうになった。彼は買ったばかりのゲームを手に、家路を急いでいたのだ。
     避けた拍子に、煉の足が道脇の落ち葉を踏む。
    「うわっ、熱っ……!」
     するとすぐ後ろで声が上がり、煉はふと振り向いた。ベンチに座っていたのは、想希だ。
    「す、済みません、ぼんやりしていたもので。驚いたでしょう」
    「いや。それより、服は大丈夫なのか?」
    「ええ、それは。俺も灼滅者だから」
     クリーニングのESPを行使した想希に、煉は一瞬、目を見張った。
     お茶に誘う想希の申し出を煉は丁寧に断ると、再び歩き出す。
    「っわ、熱っ!」
     似たような叫びを放ったのは、同じようにベンチに座っていたヴォルフ。ミルクココアをこぼした彼は、道行く人にハンカチはないかと尋ねている。
     池の南側に伸びる道も、そろそろ終端だ。
    「おはようございます。って、もう昼ですね」
     ベンチで新聞を広げていた侑二郎が、通りがかった煉に声を掛けた。
    「……大丈夫ですか? 思いつめた表情をしていたので」
     新聞から顔を上げて言う侑二郎。
     彼の気遣いに、煉は大丈夫だと応え、軽く礼を告げた。
    「おいお前。葬名だよな?」
     ベンチに座っていた一が、ヘッドフォンを首にかけて、煉に疑問符を投げる。
    「キミは?」
    「俺は西織一だ。同学年だし、噂はよく聞く。俺にも妹がいるから、心配する気持ちはよく分かるんだ。……何か情報があれば伝えるようにしよう」
    「それはありがたいな。助かるよ」
     絶えず妹のことが胸にある煉にとって、それは得難い申し出に違いなかった。
     道脇の落ち葉の上で、猫達に囲まれて戯れているのは、あとりを始めとする面々。
    「あ、にゃんこだ! 野良猫達がいるよ!」
     紅葉狩りを堪能していたひめも、連れと共に、集まった猫達と遊び始める。
    「紅葉が綺麗なの! あ、猫さん達も」
     デジカメを構え、紅葉や猫の写真を撮影する江利子。
    「ちょっとそこのお兄さん。少し協力して欲しいのだけど」
     歩く煉を呼び止めたのは、ベンチに座ってベースを抱えた紫苑だ。
    「こういうのと……こういうの、どっちがいいと思う?」
     彼女はアンプラグドでベースを鳴らし、二通りのフレーズを聞かせる。
    「僕が決めていいのか?」
    「いいから聞いてるのよ」
     それじゃ、と、煉は二番目のフレーズを推した。
    「ありがと。参考になったわ」
     煉は紫苑と別れ、井の頭池の東端にあるひょうたん橋を渡る。
     橋を抜けると、道は池の北側へ。
     そこから先は、露店やパフォーマンスで賑わうエリアだ。
      

     携帯のカメラ越しに、夏槻は公園の風景を眺める。画面を通して見る景色は余所余所しく、別の自分が見ているようだ。物思いに耽りながら、夏槻は画面越しの世界を見る。
     煉は、道の途中であずみに声を掛けられていた。
    「あの、私まだ友達とかいなくて。もし良ければ、一緒にいてもいいですか?」
    「申し訳ない、一人で歩きたいんだ」
     丁寧に断りを入れて、煉が歩き出した道には、歩道に沿うように、多くの露店が立ち並んでいた。
    「あら、このアクセサリー綺麗ね。アタシに似合うかしら」
     綾音は紫水晶様の石の付いた指輪を手に取ると、それを買い求めた。
     買い物ついでに散歩をしている陸那は、連れと歩きながら身内の過去に思いを馳せる。
    「二人共、最近は楽しそうでよかったですわ」
     通行人の中には、ペアで歩く者もそれなりに見受けられる。
     はるもその内の一人で、
    「す、すごい人ですね……」
     はぐれないように、パタパタと急ぎ足で歩いて行く。
    「あれー? あと百円ないなー。……ねえ、負けてくれないかな」
     九々乃葉はアクセサリーを売る露店で、店員を値切り倒す構えだが、実はそのポケットには五百円玉が入っていたり。
    「手作りアクセ! 良いよなぁ手作りって、そこにしかない感じが」
     嬉々として品物を物色しているのは、染だ。
    「そっこのカワイコちゃーん! 俺と一緒に露店巡りしなーい?」
     戒は道行く女性に声を掛けていたが、残念ながら、ことごとく玉砕。
    「お、意外にいいアクセ売ってるじゃん!」
     お土産物を買う方向にシフトした彼であった。
     檸檬もまた露店で綺麗なポストカードを買い求めたが、急な風が吹き、手にしたカードが飛ばされてしまう。
     偶然通りがかった煉が、ひらひらと舞うカードを器用にキャッチ。
    「ごめ、ハガキ……!」
    「ああ、キミのなんだな。ほら」
     礼を言って、カードを受け取る檸檬。
     ミルドレッドはアクセサリーを買おうと、ポーチから財布を取り出した。
     その時、ふと、すぐ隣に煉がいることに気付いて、
    「キミも散歩かな? たまにはこういう穏やかな時間もいいよね。あ、これを」
     彼女は言うと、意中のアクセサリーを店員に示した。
     ――少し眺めるだけで通りすぎよう。宣伝に捕まると面倒だ。
     そう考えていたのは、実は、煉だけではない。
     詠霧も、そのつもりだったのだ。動物の小さな縫いぐるみを見つけるまでは。
     勘違いするな、別に俺はちっとも欲しいわけじゃない。内心で言い訳しながらも、
    「……こいつは、いくらだ?」
     いつの間にか買っていたりする。
    「あ、こんにちは」
     日傘を差して露店を見回るセレスティアは、煉を見つけて、軽く会釈。
    「いい天気ですね」
     片耳のイヤリングが印象的な夕耶が、煉に一声かけた。
     安売りの衣類が詰まった買い物袋を両手に、露店を物色するのは一郎太だ。
     彼の傍を通りながら、煉はその荷物の多さに呆気に取られる。
    「葬名煉さん、だっけ?」
     唐突に名を呼ばれて煉が振り向くと、微笑を湛えた少女、鈴女がそこに立っていた。
    「人も灼滅者も、同じ地上で、同じ事で微笑むことができますよ」
     鈴女は不意にそう囁くと、煉を追い越していく。
     埼玉をこよなく愛する栄一は、露店に埼玉関連のグッズを並べて売っていた。煉が軽く眺めていると、栄一は身を乗り出して、
    「あのっ。埼玉とか、好きですか!?」
    「いや……その、特に考えたこともないかな」
     暫く眺めただけで去った煉に、栄一はこの世の終わりのような表情を浮かべる。しかしその顔色も、続く客がグッズを買ってくれたことで好転した。
     露店が並ぶエリアの終端付近に店を構えていたのは、ピエロ姿の道実だ。
    「っとぉ、兄ちゃんもどうだい? 辛気臭いお前さんには隣って字が似合うかもな!」
    「燐……? いや、違うか。そんなわけはない」
     道実のピエロ姿に、未だ塞がらぬ傷が疼いて、煉は胸に手を当てた。
     逃げるように、足を早める煉。
     暫く歩き、人の気配が希薄なベンチを見つけて、彼は休憩ついでに腰を下ろした。
     少し離れたところには、ストリートダンスの練習をするハンナがいる。
     鉛筆とスケッチブックを手に、静かに紅葉を描き出す朔夜の姿もあった。
     同じく絵を描いている夜羽は、簡易椅子に座って紙に鉛筆を走らせている。
    「こんにちは。……何かお悩みのようで?」
     そんな風に、見えただろうか。
     無言で見上げた煉に、藍色の髪をした年上の少女が、やんわりと語りかけた。
    「いえね、貴方と同じ年頃の弟と妹がいまして」
     彼女の言葉に、煉は幾つか相槌を打って。
     敢えて名は告げず――煉の妹と同じ名を持つ少女、燐は、やがて静かに歩き去った。
     煉は暫く、そこで休憩を続ける。
     と、不意に、彼に向けて問いを投げた者があった。
    「君も、探し物をしているのかね?」
     声の主は、熊の着ぐるみを被った、ポーだ。
     いや、と首を振る煉を見て、ポーは片手を腰にあて、
    「なに、その積もりがなくとも、無意識に何かを探しているものさ。形あるものとは限らない――」
     滔々と、彼は煉に語りかける。
    「得てして己の中では既に決まっているが、後押しの切っ掛けが必要ということだね、君」
    「……どういうことだよ?」
    「さて、それは本人の心次第だろうね、君」
     曖昧に応えて、ポーもまたその場を後にする。
     紅葉の間から差す陽は、少しずつ、夕方の色を呈しつつあった。
       

     この季節の日は短い。昼下がりの太陽は、数時間もしない内に辺りを淡い夕日に染める。
     日が暮れる前に帰路につくつもりで、煉は再び歩き出していた。
    「あ、おにー、じゃなかった。えへへ、ごめんなさいっ」
     数メートル先で辺りを見回していた少女――朱美は言うと、煉に笑みを見せる。
     池を覗いたりしている内に、兄とはぐれてしまったのだという。
     幾つか言葉を交わすと、朱美は手を振って煉に別れを告げた。
     日が傾くにつれ、風も冷たくなってくる。
     道脇で、猫の遺骸を抱えた零哉が、煉を見つけて声を掛けた。
    「親猫のようです。子猫を庇って轢かれたんですよ」
     言葉に、煉は微かに眉をひそめる。
    「でも、子猫を責めることは出来ません。……誰にもです」
     殺人鬼だって、死を悼むことはできるんですよ。
     去り際、零哉は意味深長な呟きを残した。
     池のほとり、紅く色づく葉陰で、カノンは亡き者達にレクイエムを唄っている。
     そのすぐ傍、木の影に隠れたベンチに座ってぼんやりと池を眺めていたのは、バスケットボールを抱えた幸だ。偶然通りかかった煉に、幸は「あっ」と声を発した。
     ぎこちなく挨拶を交わす二人。煉は幸が抱えるボールに目を向ける。
     バスケットボールに日々を費やした、同じようで別の過去を持つ二人。
    「いつかまた、バスケが出来ればいいね……お互いに」
     煉にとってそれは、既に朧気になりつつある過去。それでも、煉は「ああ」と頷いた。
     比較的日当たりの良いベンチで、猫に囲まれながら瞑目していたのは和麻だ。
     彼は、煉がそこを通り掛かるのを待っていたかのように、
    「記憶は意志を、意志は力を生み出す。……悩め、苦しめ。得た力をどう使うか、楽しみだ」
     煉の反応を無視して、和麻は再び目を閉じる。
     吐息して歩き出す煉。そこに、ジョギング中の修也がすれ違う。
    「友達作って相談でもしろよ。学園には親切な奴が多い」
     煉の顔を見て、彼はそう声を掛けた。
     やがて煉は、公園の北側と中央のボート乗り場を結ぶ橋――七井橋のほとりに行き着いた。橋の付近は、店もあり、ちょっとした広場のようにもなっている。
    「お、ジャグリングやってるな」
     煉を見つけて隣にやって来た飛鳥が、語りかけるようにそう言った。
    「折角の休日、笑って過ごさなきゃ損だぜ?」
     色々言いたいことはあるが、先ずはそれが一番と、飛鳥は煉の肩を軽く叩いて去って行く。
     ジャグリングを、まるで王が道化を見るかのように眺めているのは、マリクだ。
     彼は煉を見つけると歩み寄り、
    「そこの貴様。何だか知らんがそんなブスッとしていると余が不愉快だ。笑え」
     天気の良い休日で珍しく機嫌が良いため、マリクは煉に声を掛けてやったのだという。
     その余りに尊大な態度に、煉は可笑しくなって、つい口元に笑みを見せた。
     広場の片隅では、小柄な少年――ネジが足元の紅葉に興味を持ち、不意に両手いっぱいに抱えて頭上に舞い上げている。
     マリクが満足して去った後、煉は、橙色の陽を浴びる七井橋を眺めていた。
     その足元に、何処からともなく帽子が飛んでくる。
     持ち主である由良が煉の前に立ち、彼が帽子を拾わないことに文句の一つでも言おうとした正にその時、
    「……キミのか?」
     帽子に手を伸ばし、窺うように差し出す煉。
     由良は喉から出かかった文句を飲み込み、
    「こんな良い日和に、辛気くさい顔をしていては勿体ないですわ」
     発破をかけながらも、別に心配している訳ではないけれど、と彼女は言い足した。
     煉の近くには、落ち葉を選び、拾っている者の姿もある。
     その中の一人である颯音は、煉の視線に気づくと、
    「ああ、この紅葉っすか。大切な人達に、栞にして上げようかと思って」
     なるほど、と納得し、煉も何となく落ち葉に目を配る。
    「なに、アンタも栞作りするの?」
     茨倩花が煉の様子を見て、問いかけた。
    「落ちた紅葉だって、拾い上げて手元に残せる。終わる筈のものをこうして新しい形にするってわけ。悪くないでしょう?」
    「そうか……そういう発想もあるんだな」
     紅葉狩りという言葉もある。煉もまた、手頃な紅葉を選んで手に取った。
     七井橋の入り口付近にあるベンチには、静流が座り、ほうじ茶を飲んでいる。自然や日常風景を眺めながら、大切なものを守ろうと、彼は決意を新たにしていた。
     その周辺に植え並べられた木々も、紅葉が見事だ。
     橋のほとりに立ち、煉は池と紅葉を眺める。そっと彼の隣に立った朔夜が、呟くように言葉を口にした。
    「綺麗な紅葉だよね。こんな何気ない風景こそ、大切じゃないかな」
     さり気なく言って、歩き去る朔夜。
     彼とすれ違うように歩いてきたのは、泰三だ。特に目的もなく公園に来た彼は、喧嘩に明け暮れていたつい最近までの自分を回顧して、何だか嘘みたいだと感じていた。
     今の泰三は、学生で、灼滅者。それで十分だろと、彼は家路につく。
     煉は最後に、七井橋からの景色を見て帰ろうと決めた。
     橋の上は幸いにも、それほど人通りが多くない。
     橋を渡って行くと、向こうからやって来た汀が、煉に会釈。挨拶をして、すれ違う。
     立ち止まり水鳥を眺めていたのは、マーテルーニェ。同じように足を止めた煉と、彼女は軽く挨拶を交わす。
    「辛い記憶を持っていても、明るく過ごす人は沢山いますわ」
     的を射るように、彼女は煉にそう告げた。
     霞月は走り込みを終えて橋を歩いていたが、学園の制服を纏う煉を見て、声を掛けた。
    「この公園、灼滅者が多いよね」
     煉は今日一日の出来事を思い返しながら首肯する。
    「こんなにも大勢の仲間がいて、僕は嬉しいんだ」
     橋の欄干に腕をかけ、霞月が言う。 
    「仲間、か」
     今日一日をこの公園で過ごした煉にとって、それはあながち、不自然な言葉とも思えなかった。
     灼滅者達が集う憩いの場――井の頭公園。
     気晴らしになったのは、間違いない。 
     夕日を浴びてきらきらと光を放つ池を、煉は眺めやる。
     平穏な休日を過ごした彼の表情は、心なしか、穏やかな雰囲気を湛えていた。

    作者:飛角龍馬 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年12月13日
    難度:簡単
    参加:1038人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 30/キャラが大事にされていた 42
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