進学したい学校の事で、言い争いになった。
門限が厳しすぎて部活から急いで帰らなきゃいけないけど、絶対に緩めてくれない。
告白を受けてもらって初めてのデートに行こうとしたら、「そういうのはまだ早いんじゃないか」と止められた。
そんな父親、母親との、大人になってみれば「あんなこともあったね」と笑って思い出せるような小さな戦い。
そのさなかにいる人は、なかなかそうは思えないけれど。
でも、だからといって――、
「君達の話はよくわかったよ」
家庭教師の先生は、母親が一目で「この人なら大丈夫でしょ」と言ったような好青年だ。
けれどその優しげな顔で、彼はこう言った。
「だったら、親を殺せば自由になれるよ」
ぬめりと光る、一振りのナイフ。
手渡されたそれは、見かけよりも重かった。
それが命を奪う道具であるという事実が、さらに手の中の重みを強く感じさせる。
「子どもってのは、いつか巣立たなきゃならないものだよ。それが、今だったってことで」
不安げに己を見上げる少女に、ふわりと男は目を細めて。
「自由に、なるためだよ」
好きな学校を受験すればいい。
いつ家に帰ってきてもいい。
恋人がいるなら、どれだけデートしても構わない。
「ちゃんと、僕も見ていてあげるから」
男は、獲物を捕らえた蛇の如く、笑んだ。
「些細な事で親が嫌いになったりするけど、また些細な事で好きになったりするんだよねぇ」
須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)はちょっぴり大人びた顔で、うんうんと頷く。
「ともあれ、ソロモンの悪魔……の、影響を受けた一般人が力を与えられて、他の一般人を勧誘しようとしてるみたい。この人は大学生の家庭教師なんだけど、ちょうど教え先の女の子が両親との関係に悩んでるのをいいことに、両親を殺すようけしかけてるみたいなんだ」
酷い話だよ、とまりんは言いながら、地図の駅から中学校へとルートを引く。
「彼が目を付けているのは、中学三年生の女の子、なんだけど。みんながバベルの鎖に感知されずに介入できるのは、家庭教師が女の子にナイフを手渡した、その時なんだ」
男には、少女を積極的に殺す必要も、理由もない。
けれど、それが灼滅者達の刃から逃れるためであれば、話は別だ。
「だから彼女を人質に取られないように、上手く立ち回る必要があると思う」
さらにまず彼女の部屋に入る手段、在宅している両親への対応なども考える必要がある。
難しいけれどお願い、と頭を下げたまりんは、男の戦闘力の説明に入る。
「基本的には魔法使いと同じサイキックを使って来るけど、その他に導眠符みたいな催眠付きのサイキックを放ってくるの。護符揃えの他のサイキックは使わないみたいだけど……」
強化された一般人はまだ存在しないが、男単独であっても、ダークネスには及ばないがかなりの力を誇る。
「それと、女の子……裕美さんって言うみたいなんだけど、些細な事でも親御さんとぶつかり合っちゃうみたいでね。どうもお互いに言葉が足りないままかっとなって喧嘩になっちゃうらしいんだけど……相談相手が悪かったわけで」
もし余裕があれば、叱るというよりはアドバイスをしてあげてほしいと、まりんは灼滅者達に頼んで。
「男の人の方は、もう助けられないけど……裕美さんが親御さんを手にかけて、苦しむ前に。どうか、お願いするね」
そう言って、まりんは灼滅者達を送り出した。
参加者 | |
---|---|
茅森・妃菜(クラルスの星謠・d00087) |
早鞍・清純(全力少年・d01135) |
板倉・澪(いつもしろちゃんと一緒・d01786) |
藤谷・徹也(高校生殺人機械・d01892) |
桜倉・南守(忘却の鞘苦楽・d02146) |
天羽・蘭世(虹蘭の謳姫・d02277) |
八絡・リコ(火眼幼虎の葬刃爪牙・d02738) |
木通・心葉(パープルトリガー・d05961) |
「親に反抗したくなる気持ちもわからなくないなー」
早鞍・清純(全力少年・d01135)が箒の後ろに藤谷・徹也(高校生殺人機械・d01892)を乗せ、軽い口調で「俺の母親も俺の大切な雑誌とか本とか容赦なく捨てるしな!」と言って笑みを浮かべる。
その後ろで、徹也は表情の抜け落ちた顔の中、瞳だけを複雑な色に染めた。
誰が知っているわけでもない、けれど己は知っている惨劇の記憶。それは、裕美という少女が陥っている状況と、ひどく重なり合うものだった。
素早く着地しベランダの影に身を潜める二人に対して板倉・澪(いつもしろちゃんと一緒・d01786)の動きは緩やかだ。ナノナノのしろちゃんを抱いたその姿は、闇纏い故に一般人からは全く見えない。
ふと手に持っていた携帯電話が、光を放つ。サイレントモードにしていたそれを、澪は素早く耳に当てた。
「しかし、澪よりも比較的身体の大きい清純が魔法使いで助かった」
ひそりと小さな声で徹也が言うと、ずる、と清純が滑って転びそうになる。
「て……徹也先輩、小学一年生の澪に対して比較的身体の大きい俺って……」
徹夜の名誉のために言うと、彼は中学二年生としては普通くらいの身長である。
要するに百八十センチの徹也が大きい。
「ちょっと牛乳さんに相談する……!」
でもそんな徹也くらいの身長になってやる、と決意する清純であった。
それよりも、僅かに前のこと。
「裕美から家庭教師の評判を聞いて紹介してもらう約束をしていたんだ。友達と一緒に」
「ボクまだ家庭教師とかいいんだけどな……でも裕美先輩も良い先生だって言ってたから、会ってみようと思って」
桜倉・南守(忘却の鞘苦楽・d02146)がプラチナチケットを使い、八絡・リコ(火眼幼虎の葬刃爪牙・d02738)と一緒にあくまで友人らしい無邪気な表情を浮かべる。反抗期の娘に、ちゃんと友人がいることでほっとしたらしい両親の反応は上々。
「君も裕美のお友達?」と尋ねられた茅森・妃菜(クラルスの星謠・d00087)は、リコの妹と名乗る。「ユミおねーちゃんにはよくしてもらってます」と大人びた口調で言う妃菜に、両親の顔にも思わず笑みが浮かぶ。
自然な仕草で掌を耳に当て、天羽・蘭世(虹蘭の謳姫・d02277)が澪の携帯電話にハンドフォンを使う。ベランダ組と、こちらがどんな状況か、そして向こうはどんな状況か互いに把握しあうために。
「あと、裕美先輩が最近学校で沈んでるみたいだから、励ましにね」
「裕美、元気がないんですか?」
リコがそう切り出せば、心配そうに母親が尋ねる。ラブフェロモンの効果もあって、恐らく両親には灼滅者達が『可愛い娘のとっても大切な友人』辺りに見えているはずだ。
両親はやや干渉が強いようだけど、娘を愛しているのは確かだろうと思う。両親のぬくもりを知る者も――知らない者も。
「ケンカしたんじゃないのかなってみんなで話してて、仲直りしないまんまだと余計こじれちゃうし」
だから、と妃菜は小さく首を傾げて提案する。
「ユミおねーちゃんとの仲直りの切っ掛け作りはわたし達が頑張るから、その間にふたりはおねーちゃんの好きな物を用意してあげてほしいの」
さらに言葉を添えて、木通・心葉(パープルトリガー・d05961)がそのための買い物に行って欲しいと頼む。いざという時の保険に活性化した王者の風は、ここで使わずとも穏便に済みそうだと心葉は安堵した。
自然に済ませられるなら、それが一番だ。もちろん何重にもESPを使い保険を掛けたのは、どんな場合も考慮に入れた非常に良い作戦だった。
「それじゃ……モンブランでも、買ってあげましょうか」
「そういや、ケーキなんか買ってあげるのも久しぶりだ」
あとはお願いするね、と立ち上がった二人が家を出て、窓の見える位置からも過ぎ去ったのを確かめ、灼滅者達は静かに立ち上がると二階の裕美の部屋へと向かう。
部屋の前で息を殺すことしばし――ハンドフォンを繋げたままだった澪の手が、上がった。
それは、ナイフを渡した瞬間の合図。
心葉が部屋の扉を叩く。即座に部屋の中から伝わってくる緊張感。
「クラスメイトなんだけど、お母さんがご飯の用意中で手が離せないらしくて上がらせてもらった。宿題のプリント渡すの忘れたから持ってこさせてもらったんだけど、開けてもらっていいか?」
「誰……?」
当然ながら声の主に心当たりがないのだろう、戸惑うような少女――裕美の声がする。
そして続いたのは、一見穏やかで優しげな声。
「裕美ちゃん、聞いただろう。君の両親の手先だよ」
そして……たっぷりと心に沁みる毒を、含んだ声。
「どうすればいいのかは、教えてあげたよね?」
――ゆっくりと、鍵の回る音。即座に心葉はドアノブを引いた。
次の瞬間、ガラスの割れる音。
ドアの前でナイフを持ったまま唖然としている裕美と素早く振り向く男、そして「魔法使い参上!」と叫びながら飛び込む清純と続く徹也、そして箒から直接室内に飛び込み窓の前を塞ぐ澪が玄関班の仲間達の前に露わになる。
戦場内にいる彼らには清純のサウンドシャッターが功を奏したかはわからなかったが、人が集まる気配も感じないから恐らく上手く行ったのであろう。
さらに徹也が殺気を放ち、周囲の一般人を遠ざける。
「その選択に後悔はないか」
男と少女の間に身を躍らせWOKシールドを構える徹也には、躊躇はない。
「俺は後悔している。だが、一度壊した物は戻らない」
脅えたようにじわり、じわりと下がる裕美と家庭教師の間に、リコがナイフと構えハンマーを肩に負い楽しげに飛び出す。
「いっちばん乗りぃっ!」
反応する暇一つ与えず、死角に回り込んでの一撃。
「ほら邪魔、どいてね!」
裕美に興味などなさそうな様子は、彼女を人質に取る意味などないと男に思わせるため――そして強敵を好むバトル好きとしての一面がいくらか。
「……一階に逃げて」
咄嗟に妃菜がパニックテレパスを使い、異様な状況に震える裕美を一階へと逃がす。男が追いたくても、徹也や清純に南守、リコや澪がしっかりとガードし、そんなに広いとも言えない部屋には一部の隙もない。
「虹蘭、天の羽根とともに」
ふわり、と現れたバトルオーラは、虹色の翼の形。それを羽ばたかせて、蘭世は戦線の半ばに加わった。
「しろちゃん、一緒にがんばるのです~♪」
「ナノッ!」
澪がそう言ってしろちゃんを抱き締めた手を離せば、ぽわぽわの体がひょいと浮かんで威勢よく鳴き声を上げる。
「ったく……僕の素敵な授業を邪魔してくれて……」
そう肩をすくめた男の顔に、一瞬後にはひどく邪悪な表情が浮かぶ。
「許さない。お仕置き決定だ」
冷気が、一気にその場の灼滅者達を凍らせた。
ち、と南守が舌を鳴らす。バスターライフルを片腕に構え、己を愛してくれた他人からのお守りでもあるハンチングの鍔を、反対の指で強く掴む。
両親からの愛を知らず、義理の親とも上手く行かぬ自分が、控えめな反抗期を送る裕美と重なって思えた。
「子どもに親を手に掛けさせようなんて、絶対に許せねえ!」
だから南守は叫ぶ。バスターライフルから、その思いの強さを表すように、光線が真っ直ぐに飛び男を貫く。
こくり、と妃菜が頷く。赤子の時から研究組織で育った彼女は、両親の顔どころか存在すら知らない。
けれど、だからこそ大切なものだと思うのだ。
「自分の子を大切に思わない親は居ない……って聞いた」
歌姫の歌声が、愛された少女の部屋に響く。うっすらと靄がかかった瞳を、男は咄嗟に見開いた。同じ効果を返され、妃菜は侵食する催眠にぐっと拳を握って立ち向かう。心葉がついと清めの風を呼び、癒しを与えていく。
名家の生まれであり、天涯孤独である彼女は――何を思うか、それを口にすることはない。
雷の力をまとわせた拳で、男の腹を貫かんとばかりに一気に徹也は攻勢を仕掛ける。――己と同じ境遇の子どもを作り出そうとする者に、容赦など必要ない。
両親を手に掛ける子どもなど――増えない方がいいに、決まっている。
男が飛ばしたマジックミサイルを、清純はガンナイフを逆手に持ち替えて受け流した。そのまま順手に戻し、マジックミサイルで迎撃する。
「へなちょこだけど俺も魔法使い、魔法勝負では負けられねぇ!」
「じゃあボクは肉弾攻撃で負けないよ!」
ナイフで魔法弾を弾き飛ばしてから、リコが一気にハンマーにロケット噴射をつけてぶちかます。血族を皆殺しにされた過去は、今は力を蓄える為の原動力として彼女を突き動かしている。
「ソロモンの悪魔なんかに負けないのです~♪」
除霊結界が一気に構成され、男の動きを強制停止させようと動く。
「その手下にもです~♪」
はぁ、と澪の歌うような口調に、男が苛立ったような溜息を吐く。
「お嬢ちゃんみたいなちびっ子に負けるつもりもないんだがな」
「ボクは男の子です~!」
「へ?」
思わず気の抜けた声を出す男。
あぁ、うん、男なんだよ。うん。
「しろちゃん、やっちゃってなのです~♪」
澪の合図と共にしゃぼん玉を思いっきり飛ばすしろちゃん。え、とか言いながら、とりあえず瞳にバベルの鎖を展開し予知能力を高めて傷を癒す男。
素早く踏み込んだ徹也が、鋼鉄の拳ですぐさま鎖の加護を消し去る。高速演算を繰り広げる南守の後方から、蘭世が高速のビートを凄まじい技法で掻き鳴らす。
傷ついた仲間には、妃菜が的確にヒーリングライトを、癒しを増幅する力を得たならばジャッジメントレイを使い分け、素早く傷を癒していく。時折織り交ぜるディーヴァズメロディや轟雷が、何種もの音を伴い男の力を削いでいく。
神薙の刃が、空気を切り裂く。心葉の伸ばした指からは、時には癒し、時には灼滅の風。
「女子中学生の家庭教師とかエロい立場でさらに誘惑するとかリア充は滅べぇぇぇぇぇ!」
「犯罪に興味はねえええええ!」
叫ぶ清純。叫び返す男。
いや殺人教唆も犯罪、と誰かが思わず呟いた。
守りは頼むと言ってリコが前に出るのを、庇うように清純はホーミングバレットを撃ちながら味方を護れる位置を確保する。
蘭世の翼が、一気に光を放出した。妃菜の歌がそれに重なり、天界の如く響く。敵といえど痛みを与えることに躊躇した南守が心の昏き情念を凝らして狙ったのは、男の腕であった。
「っらああああっ!」
一気にリコが距離を詰め、ハンマーを振り回す。のけぞった男がそれをかわしにやりと笑った所で――喉に突き刺さった刃に気付き、かはりと血が零れる。
「悪魔とどうやって会ったの?」
急いで清純が叫ぶように尋ねる。男は――笑って、言った。
「君達に教える事じゃないね。冥土に行かないなら土産はあげない」
そして、笑って、逝った。
「先生は……」
「ベランダから、逃げちゃったよ」
二階から降りてくる灼滅者達におずおずと尋ねた裕美に、リコがそう言って肩をすくめる。
死体は残らず部屋もある程度片付けたとは言っても、人の死んだ部屋で暮らすのは負担だろうとのリコの心遣いだ。
「そっか……」
へなり、と崩れ落ちた裕美が、ぺたんと床に腰を下ろす。
そっとその傍らにしゃがみ、南守が視線を合わせた。
「俺も親と上手くいってないから、気持ちが少し判るよ。……あんたも本当は親が好きで、仲良くしたいって願ってるんだろ?」
逡巡するように、少女は視線を走らせてから――歳の同じ南守に安堵したのか、こくりと頷く。
「私……お父さんとお母さんに、一瞬でも死んでほしいって思っちゃった……なのに、自分は死にたくなくて……最初に浮かんだの、お父さんとお母さんの顔だった……」
ゆっくりと、呟くように言う裕美の手を、小さな手で握ったのは蘭世だった。
「蘭世には、まだ今の裕美ちゃんの気持ちはわからないのです。けど、思い出してください」
小学一年生の少女は、中学生の少女にそう口を開いた。
いつかは彼女の通ったように、自分も親に反抗したくなる時があるのかもしれない。けれど、今の蘭世だから、言える事がある。
「裕美ちゃんが蘭世くらいのとき、裕美ちゃんはきっと、お父さんとお母さんのことが大好きだったはずなのですよ」
無垢な微笑みに、裕美は目を見張る。
その瞳から、ぽとりと涙が落ちて――堰を切ったように、零れ出す。
「お父さん……お母さん……ごめんなさい……殺そうなんてして、ごめんなさい……!」
こくん、と妃菜が頷いた。男に向かって言った言葉を、もう一度妃菜は唇に乗せる。
「自分の子を大切に思わない親は居ない……って聞いた」
それは、彼女に実感としてあるわけではないけれど。
裕美の涙は、それが本当なのだと語っているように思える。
「わたしには、お父さんもお母さんも居ないし知らないから……貴女が羨ましい」
表情をほとんど変えず、妃菜は言った。それ故に、かえってその言葉には真情がこもる。
改心の光はなくても、彼女はきっと大丈夫。そう、あえて冷静に考える。
「喧嘩になってうやむやになるより、言いたいことを言った方がすっきりするものだぞ」
そう言って、心葉がぽんと少女の背中を叩いた。
「でも、なんか自然に喧嘩になっちゃって……私のこと、嫌いなのかなって思っちゃうくらい」
「子どもが大事じゃなきゃ、うるさい事なんか言わないさ」
小さくなっていく少女の声に、南守がにかっと笑みを浮かべる。
「人は分かち合うために神様から言葉をいただいたのです。なら、裕美ちゃんとご家族だってきっと分かり合えるのです」
真っ直ぐな蘭世言葉。けれど、性根は真っ直ぐだろう少女には、きっと相応しい。
「大丈夫、親を信じて、自分の気持ちぶつけてみろよ」
そう言って、南守ははにかんだ。おずおずと、裕美が頷く。
「お互い歩み寄って、和解できるといいな。ご両親と」
そう、素直な気持ちを清純が口にすれば、「ありがとう」と裕美は灼滅者達に向かって頷く。
「何を選ぶのも自由だ。だが……その前によく、考えてくれ」
そう、徹也が表情を浮かべぬまま、けれど不思議に力強さを持った声で言う。
闇に操られ選ぶことが出来なかった自分を、振り返るように。
「お父さんお母さんがいないのは寂しいです~?」
小さく言った澪の声に、はっと裕美は息を呑んだ。
両親が揃い、愛してくれる今が、とても幸せで貴重な時間だと――彼女は、はっきりと知ったに違いない。
「ありがとう……!」
その時、玄関の開く音。
「お父さん! お母さん!」
玄関に駆けていく少女を、灼滅者達はほっとした思いで見守った。
――家庭教師と傷ついた部屋の顛末は、プラチナチケットを全開にした状態で当たり障りの内容に解説して。
結局お土産のケーキまでもらって、灼滅者達は帰途に就く。
最後に家を出た徹也が、そっと裕美の家に一礼。――願わくば、この家族に良い未来を。
作者:旅望かなた |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2012年12月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 6/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
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