クリスマス～ホームパーティーをカスタマイズ！～

■リプレイ

●大事な準備
　クリスマス一色の商店街で準備の買い出しをする翼は、姉がよく迷惑をかけるディアナと偶然会った。
「良かったら一緒に回らない？」
　買い物の後、こっそり買った小箱をディアナが取り出す。
「ね、これ貰ってくれる？」
　こういうの初めてだけど、翼に似合うかなと思ってと翼に渡す。中身はビーズを連ねた飾り紐。白金に細かい装飾も彫ってある。
「ありがとう」
　お礼を言って翼は叔父の喫茶店を教える。歓迎するから来てくれるよう。誘いにお礼を言ったディアナはメリー・クリスマスと告げて準備に向かった。
　同じく買い出しを終えて学園に戻って来たシアンと祇弦。クリスマスが初めてなシアンにはどれも新鮮で珍しいのかきょろきょろしてばかりいる。
「あれ何に使うの？」
　いろいろな質問に答えながら、普段とは違うシアンが見られて祇弦は嬉しくなる。
　家庭科室に到着すると祇弦はレシピを差し出す。苦笑しつつも視線に負けて了承したシアンが、笑顔で手伝ってくれるようお願いした。
　ガッツポーズした祇弦がお菓子を作ったことがないからご教授よろしく先生と悪戯な笑顔を送る。
　家庭科室では他にも準備をするメンバーの笑い声が響く。そんな中、景清が仲間を見つけた。
「皆さん、ここにいたんですね」
　全員そろったところで部長の花子の挨拶。
「部長のある花です」
　直接お会いすると新鮮ですねと言う花子のハンドルネームは『ある花』。チャットルームの部活のため、呼ぶ時はハンドルネームになる。挨拶がしまると美波が拍手を送り、ナナイに教わりながらのクッキー作りが始まる。
「しーくん、手際がいいなぁ」
　ナナイこと、『しーくん』に向かって弥咲が感嘆する。作業しつつも上の空だった昌利が、クッキーとナナイが片手間に作ったマフィンを焼く頃になると消えていた。
「蕎麦党・穏健派さんがいませんね」
　花子が周りを見ながら呟いた。
　料理を手伝うと言うミルフィを飾り付けに回したアリスがほっとする。ミルフィの料理は殺人的だった。
　定番のクリスマス料理を作りさらにブッシュドノエルを作る。テーマは『不思議の国のホワイトクリスマス』。
「うん、おいしくできたかも♪」
　一方、飾り付けに回されたミルフィはお菓子の家に姿を変えたメルヘンな図書室の前を通り会場に到着した。
「ここの飾り付けですわね♪」
　料理をさせてくれないことに少し不満を漏らしつつも、さっとテーブルクロスを広げて食器を並べる。
　違う場所で飾り付けをしていた智恵美と優希那。タヌキときつねの着ぐるみパジャマのしっぽが揺れる。
「クリスマスをお祝いしたことが無かったので憧れていたのです」
　瞳をきらきらさせて楽しみましょうと言う智恵美に優希那が幸せそうに笑う。
「実は私もクリスマス初めてなのですよぅ」
　リースや雪の結晶、ベルなどを並べクリスマスの雰囲気に二人がはしゃぐ。
「ふぁぁ、ねむねむ～なのです」
　はしゃぎすぎてうとうと。タヌキときつねが飾りに囲まれて眠るメルヘンな姿に、準備をする手を止めて皆が微笑む。二人が目覚める頃にはパーティーが始まっているだろう。

●始まり、始まり
　楽しそうな声が響いて乾杯が始まる。テーブルにはシアンと祇弦が作ったケーキやアリスが作った料理、クレープにお手製のジャム、サンドウィッチにクッキー、ロシア料理など様々なご馳走が並ぶ。
「メリーメリークリスマス！」
　楽しく行きましょと言う縁樹の声に歓声が上がる。早速とリュシールが準備して来たコーラスを披露するためステージに上がる。このために練習して来た澪と希紗、咲夜、頼仁も後に続く。全員サンタ帽にサンタ服と思いきや、頼仁だけ海賊帽に海賊コートで登場した。
　会場に綺麗なコーラスが響き渡り、皆が笑顔になる。パーティーが本格的に始まった。
　ファルケが配ったクラッカーが華やかな音を立てる。それぞれがサンタ服やドレスで見た目も華やか。赤の中に緑のミニスカサンタの藍が目立って見える。
「え～と、お皿とグラスは足りてるよね？」
　くるみに全員が大丈夫と笑顔を送る。えりなが苺のショートワンホールの蝋燭に火をつけた。
「それじゃ、皆で一斉に蝋燭消しますよ」
　ふーっと全員が息を吹きかけ、火が消える。待ってましたと結衣菜が一番大きい苺が欲しいと告げる。ケーキを配り終えた黒岩・いちごが自分もとケーキを口に。
「ん、美味し♪」
　そばのテーブルでは久遠・雪花がそわそわしている。
「変じゃ、ないでしょうか……」
　そんな雪花に百花が太鼓判を押す。
「すごく似合うよ！」
　百花の言葉に雪花が安心したような顔をする。雪花が着る花飾りいっぱいのドレスは百花がコーディネートした。
　コーラスを聴いたりご馳走に手を伸ばしたり。一緒に来て良かったと雪花を見ると、口の両端に人差し指を当てて持ち上げている。
「雪花ちゃん、それなんか違う！」
　笑顔を作ろうとした雪花は首を傾げて難しいと呟く。雪花と仲良くなれた気がして百花は嬉しそうに笑った。
「チャットルーム、ＡＡＡをよろしくお願いしまーす」
　美波の明るい声が響く。横で弥咲が誘惑に負けてサンタ型のクッキーをぱくり。すると、少し離れたところで悲鳴が上がる。何が起きたのか察した景清は噛み殺したような笑みを浮かべる。辛子を入れたのだ。
「これは姉さんも喜ぶかな？」
　配り終わる頃にふらっと昌利も戻ってくる。いつの間にかクッキーを配っていたようだ。上の空だったのが嘘のように晴れやかだが、見た目はぼろぼろになっている。
「蕎麦党・穏健派さん、どこに言ってたの～？」
　昌利はナナイをはぐらかす。
「いや、まぁ。高い山は良いすよね」

●宴
　近くのテーブルでは、持ってきた七面鳥の丸焼きを置いたクラレットが満足そうに笑う。
「中一にして私たちセレブ！」
　持ち寄りの食べ物が並び、確かにセレブの食卓と言う感じだ。さらに楼沙が持ってきたノンアルコールのシャンメリーが色を添える。
　はしゃぐ姿を見ながら優雅に紅茶を飲むアリスティア。食べ物の減る速度が速いのは気のせいだろうか。
　一発芸とステージに上がるクラレットを見て乃亜は持参したロイヤルブレンドティーに口をつけながら微笑んだ。
「ピザもぐもぐして材料言い当てれるわ！」
　元気よく奈穂が持ってきたチーズたっぷりのピザを口に入れるクラレット。もぐもぐしてはっとした顔をする。
「チーズが多くてわかりづらい！」
　会場から暖かい笑いが上がる。次はと奈穂がステージに上がる。エレベーターガールの物真似を披露。
「三階でございます♪」
　がらっと変わった声とうまさに拍手が上がる。トランプマジック行くのだと楼沙が意気揚々とステージに上がり、止まった。
「あれ？　カードが見当たらないのだ」
　一発芸の締めにアリスティアと乃亜がヴァイオリンを持ってステージに上がる。クリスマスらしい楽曲と綺麗な音色に会場が包まれる。
　葡萄ジュースをワインに見立てる円蔵に続いて時春も同じものを。すると私にもとスタニスラヴァがグラスを差し出す。葡萄がワインならと、シャンメリーをシャンパンに見立てる華月。サンタ服の梅太郎を下ろした千穂もシャンメリーを注ぐ。全員にグラスが回ると乾杯の声が上がる。
「メリークリスマスですよ！」
　嬉しそうに声を上げる燈子に皆がメリークリスマスを返す。
「みんなと過ごせて嬉しいな」
　と微笑むイコに瑞樹が同意する。
　クラスで集まったメンバーはミニスカサンタに盛り上がる。一人だけ寒がりな千巻はカラータイツにレッグウォーマー着用だ。
「生足さらしてへん戯けはおらんやろな、あかんでー、脱ぎなはれ」
　と冗談で迫る右九兵衛に黒白のツッコミが入る。
「って、何してるっすかー！？」
　そんなやりとりに皆が笑うと、ツェツィーリアの乾杯の声が上がる。
「一年間お疲れ様ーの来年の幸せの為に、乾杯！」
　それに合わせて乾杯の声が上がり、メインディッシュのドーナツタワーが現れた。
「食べ切るまで帰さないからね…？ 」
　と笑顔の紫に殊亜がいくらでもとドーナツを口に運ぶ。
「食べ切れるでしょうか……」
　と心配顔の鞠藻の横ではミニスカサンタの感想を男子に聞いて弄っていた祐一が楽しそうに声を上げる。
「いやー、これで闇堕ちせずに済みそうだわー」
　そんな祐一にセクハラは厳しく蹴り入れるからねと巫女が笑顔で忠告した。
　由衣ときらめが何を食べようかとおしゃべりを楽しんでいる。縁が口に入れたケーキが美味しそうと見つめていると、目の前に一口差し出される。
「桜埜も食べるか？　ほれ」
　素直に頂いてお礼を言う由衣の横で、縁が配ってくれた飲み物を飲むきらめ。嬉しそうに笑う由衣を見て、釣られてきらめも笑顔になった。
　ケーキを持ってきた透に由衣が美味しいと笑顔を向ける。
「誘ってくれてありがとう。一人じゃ顔を出せなかったわ」
　そんな透に由衣は楽しいですねと満面の笑みをお返しする。いろんな料理を食べていた春原・雪花もケーキを一口。はふうと甘いケーキに感嘆していると、律にゲームに誘われる。ある程度お腹が膨れたのでここらで遊びの提案だった。透も誘われ気付けばみんなでゲームを楽しんでいた。

●メリークリスマス
　パーティーも終盤に差し掛かりプレゼント交換に盛り上がる中、朔之助の声が響く。
「僕のプレゼントを爆発物扱いか！」
　触ってみろよと等身大くらいある袋を差し出す。触った涼葉がもこもこしてると呟く。自分もと触った葵の顔が変化する。ふわふわしている。
「何コレ、怖い」
　素で呟く葵に朔之助の声が再び響く。早速と七が箱を振った。中には数字が書いてある紙が入っている。
　冬崖にはサンタ帽を被ったしろくまさん。涼葉が背中が小物入れにもなるやつだよと言うと、冬崖がお礼を言う。
　イヅルは冬崖が用意した黒のネックウォーマーをもらい、士騎がイヅルのマグカップをもらう。選ぶのにけっこう時間かかったとわいわいしているところで声が上がった。
「馬！？」
　七のプレゼントを開けた葵の声だった。馬の肌の質感、そして飛び出している目玉と見事に再現され過ぎている。
「舌もあるわよー」
　ハードル上げられたからと微笑む七。お馬さんになるのは葵に決定した。全員の笑いが収まって涼葉がプレゼントを慎重に開ける。爆発しないってと言う朔之助の声にさらに皆から笑い声が響く。
　そして登場したリアル過ぎる熊のぬいぐるみに唖然とした。鮭を加えて仁王立ちしている。どうやって持って帰ろうと涼葉は呟いた。
　次僕ねと朔之助が手を伸ばす。出てきたのは人体模型セット。ボタンを押すと光るんだという葵に、ツリーの代わりにクラブに飾ろうと大喜びだ。
　最後に七が手を伸ばすと可愛らしい包装の照れ隠しに士騎が呟く。
「柄にもなかったか」
　そんなことないと言う声の中、出てきたのは民族調のロングマフラー。刺繍とボーダー柄が可愛らしい。首に巻いた七に士騎が嬉しそうに笑った。
「梅太郎さんとお揃いですねぇ！」
　サンタカラーにヒヒヒと笑った円蔵が小腹も満たされたしとプレゼント交換を提案した。歌いながら後ろ手で回し、歌い終わるのと同時に手元のプレゼントを開ける。
　燈子がサンタ服のテディに笑顔になる。時春にはオーナメントクッキー。トリュフにスタニスラヴァが喜び、瑞樹には室内用ニットソックスに色とりどりのフラワーキャンディーの詰め合わせ。これなら妹たちにも分けてやれるとお礼を言う。
　華月にはヘクセンハウス。チョコの屋根にアイシングの雪。庭にはクッキーの梅太郎。千穂にはドライフルーツたっぷりのパウンドケーキ。
　イコには白蛇を模した綺麗な飴細工。驚いたように瞳が開かれてすぐ柔らかい笑顔に変わる。円蔵には特大バニラキッフェル。手を出す前にとお菓子を撮り始める皆。
「駄目っすよ、これ俺のっす！」
　時春の声にお菓子は食べちゃ駄目という千穂の声が重なる。そんなワンシーンも写真に納めてイコが笑う。
　コーラスの後、食べたりおしゃべりしていた緑樹たちもプレゼント交換を始める。事前に用意しておいたあみだくじで決定した。
「暖かいです～」
　手袋をもらった澪が笑う。手製ナノナノのしろちゃんを手にした頼仁が驚きの声を上げる。もふもふ感が気持ちいい。
　挿絵の綺麗な絵本に大喜びのアリスと、海賊帽とセクシーなサンタ服のミルフィ。お手製の可愛いぬいぐるみに咲夜は幸せそうに顔を埋める。
　クリスマスカラーのリボンをつけたリュシールと空色のフリルリボンをつけた希紗がくるりと皆に見えるよう回る。銀の星をもらった緑樹が綺麗ですねー！　と感嘆の声を上げる。思い出と一緒に残る素敵なプレゼントばかりだった。
　　ドーナツタワーを制覇してついにプレゼント交換。じゃんけんで勝った人から番号を言う。事前に適当に数字を貼ったツェツィーリアは最後だ。人数が多いせいでなかなか決まらずそれも楽しくて笑いが上がる。
　一番に抜けた紫にはシンプルな革製のカードケース。巫女にはコニャック色の革製ドキュメントケースとクリスマスカード。右九兵衛には一年手帳と万年筆。
「来年のイベントもクラスで行くから書き込んどけよ？」
　祐一が声をかける。そんな祐一には手作りクッキー。料理を用意した巫女のだけに期待大だ。千巻にはエクステ。お洒落に活用するねぇ！　と言いながら黒白とお揃いなのに笑う。
　鞠藻には入浴剤の詰め合わせセット。殊亜には推理小説。知識欲の高い殊亜が吸収させてもらうと喜ぶ。
「何っすかこれー！」
　驚きの声を上げた黒白へはゾンビのマスク。反応に満足した右九兵衛がニヒャヒャと笑った。最後にツェツィーリアがクラス名が刻んである金属のお手製ブックスリーブに喜びの声を上げた。
　シャッフル式でプレゼント交換した奈穂にはカシミア製のセーター。アリスティアにはルームシューズ。クラレットには手編みのピンクと白のウサギ柄マフラー。乃亜にはひつじ型の枕が届く。離れた場所では、サンタテディのストラップを見て律が嬉しそうに笑った。
　えりなのピアノの伴奏と藍の星型のタンバリン、そしてファルケと結衣菜のギターが響き渡る。最後のしめにと曲に合わせて全員でクリスマスソングを歌う。
「雪だ」
　シアンの声に祇弦も外を覗く。皆の感嘆の声が響く中、ディアナは同じ会場の中で翼も見ているかしらとふと思う。
　全員が楽しいを余韻を引きずりながらわいわいと片付けを始める。いつの間にか起きてパーティーを楽しんだタヌキときつねのしっぽが揺れた。
　全ての命あるものにメリー・クリスマスを！

作者：奏蛍	重傷：なし 死亡：なし 闇堕ち：なし
種類： 公開：2012年12月24日 難度：簡単 参加：63人 結果：成功！
得票：格好よかった 0／感動した 0／素敵だった 13／キャラが大事にされていた 5
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