クリスマス~聖なる日の想い出を、富士急ハイランドで

    作者:御剣鋼

    ●そうだ、富士急ハイランドにいこう!
    「ついに、クリスマスという名の、慈悲なき運命の祭典が近付いてきてしまったか……」
     そう呟いた、神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)は、集まった灼滅者に向けて楽しそうに振り向くや――否やっ!!!
    「お前達、クリスマスは『富士急ハイランド』で絶叫し、絶景なる氷上のリンクを眼前に、ファーストフードで聖なる日を明かしてみないかッ!」

     ……沈黙。

     もとい教室に吹雪く、エターナルブリザード。

     灼滅者達の間に漂う空気は「おおっ!」ではなく、どよめきで……。
    「先生、何を言ってるのか、サッパリ分かりません分かりたくないです」
    「つまり、彼女いない奴は、全てを絶叫マシンで吹き飛ばしてしまえということ、か!」
    「確かに絶叫マシンに乗りまくれば、その日が聖夜なんて忘れそうね……悪くなくて、よ」
     片膝を折って己が運命を呪い、打ちのめされる者、数名。
     そんな彼等に哀れみの視線を向ける皆さまという、極寒の絵図ができようと……。
    「「ちっがああああああああああうっ!!!」」
     ヤマトは思いっきり首を横に振りまくって、熱く全否定ッ!!
    「お前達の持ってるスレイヤーカードを富士急ハイランドに持っていくと、10パーセントオフになっていることは、知っているだろう?」
     ヤマトは須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)から受け取ったと思われる資料を握りしめながら、説明を続けていく。
    「クリスマスは遊園地で遊ぶというのも定番の1つだからな。今なら『屋外スケートリンク』も楽しめるようだし、絶好の機会だと思わないか?」
     園内には幾つかスケートリンクが作られているけれど、特に『クリスタルラグーンリンク』と呼ばれているスケートリンクには、7つの小島が浮かぶ大きな池をそのまま凍らせたユニークな形で、富士急ハイランド自慢のリンクともいえる。
    「日中は眼前に広がる富士山を背景に、夕方からは光り輝くイルミネーションに囲まれたリンク……何ともロマンチックなスケートリンクではないかっ!」
     他にも『最恐戦慄迷宮』という、園内で大人気のホラーハウス。
     絶叫系の富士急ハイランドの鉄板ともいえる『FUJIYAMA』や『鉄骨番長』、『グレート・ザブーン』や『ええじゃないか』など、遊びのラインナップも非常に豊富だ。
    「絶叫系が苦手な者や身長が低い者も考慮に入れているのだろう、メリーゴーランドやティーカップなど、そうでないアトラクションも実に多種多様、仲間内でも気軽に楽しめるはずだ」
     絶叫系に絞るなら、待たずに乗れる『絶叫優先券』で刺激的に!
     絶叫はちょっと……な人は、ティーカップなど、のんびり気軽に乗れるアトラクションを中心に回るというのも、いいかもしれない。
    「まあ……ここだけの話だが……」
     不意に、ヤマトは声を小さくしぼめると、そっと言葉を続けた。
    「ここなら気軽にデートをしたり、誘うことができる……そう思わないか?」
     ゴージャスなディナーや、ラブラブなデートスポットはちょっと……な人でも、遊園地なら気軽に誘って遊べるぜと、ヤマトは微笑を浮かべる。
     1人でも2人でも、団体さまでも、誰でも目一杯楽しめる!
     それが遊園地の魅力だとでも、いうように……!
    「園内にはフードコートもたくさんあるというし、タイ焼きやケバブを食べながら、次に乗るアトラクションを考えるのも楽しいと思うぜ?」
     食べ歩きも遊園地の醍醐味!
     クリスマスの遊園地で食べるファーストフードは、きっと美味だろう!

    「さあ、スレイヤーカードを片手に行こうぜ……富士急ハイランドへ!」


    ■リプレイ

     師走の富士急ハイランド。
     バスから降りた134名は、寒風を切るが如く駆け出してゆく。

    ●鉄骨番長
    「寒……!」
     と、素直な感想を述べたのは、きすい。
     数分前の待ち時間中とは違う絶景が、否応なしに眼下に広がっている。
    「先に言っておくわ……」
     と、鈴乃もいろんなモノを込めて、呟く。
    「あたし、絶叫マシーン乗ると……ひゃほおおお!!」
     けれど、そんなことを言う暇もなく、鉄骨番長は激しく回転♪
    「酒に酔ったときってこんな感じなのかなー!」
     2人の楽しそうな絶叫が、広い空に吸い込まれてゆく。

    ●ドドンパ
    「やっぱりカメラポイントで両手放しとかしたいですね」
     目指せ完全制覇!
     と、意気込んでいた一二三は【よろず屋】の仲間と今か今かと出発を待っていて。
    「これが動くのか……」
     初めての遊園地にテンションが高めな千李は席についても興味津々。
     表情には出さず、けれど珍しそうに周囲を見回している。
    「じっとしてないと危ないよー」
     楽しそうな3人に、空も笑みを隠せずにいて。
     千李の隣に座った空は、安全バーの下げ方を丁寧に教えていた。
    「心なしか皇さんも楽しそ……」
     待ちわびた綾鷹が一二三と同じように手をあげた、その時だった。
    「ぬぇぇぇぇ!!!?」
     ドドンパ、急発進!
     綾鷹の声がぐにゃんと曲がり、絶叫となって、数分後。
    「千李くん大丈夫?」
     空の肩を借りた千李は青ざめながらも小さな微笑を浮かべていた。

    ●FUJIYAMA
     日本最長のジェットコースター。
     その待ち時間中、暇を飽かした【傷心旅行】の3人は……。
    「そういえば、八重の前の彼女は高飛車でしたね」
    「黙れ、殺すぞ。巧いこと言ったつもりか」
     園内マップから顔を覗かせた仁恵に、八重華が鋭く睨みを利かせる。
     そんな光景を胸焼けしそうな甘いクレープを食べつつ、砂那が呆れ気味で眺めていて。
    「ほら次で俺らの番だぞ。乗ってる最中言い合って舌噛みちぎるなよ?」
     この2人が付き合ったら面白いかもと考えながら、砂那は前に進む。
    「もう暫く女はうんざりだね。戦慄するぜ」
    「行くですよ! 超やってやるです!」

    「70mの落差、楽しみだなぁ」
     霞月も【剣技部】の仲間と共に嬉々とFUJIYAMAに乗り込んでいく。
    「せ、背中からおっこちそうじゃ!」
     係員に見送られ、ゆっくり巻き上げられていく車体……。
     視線を逸らしても余りの高さで目が回った万歳は、青ざめてしまう。
    「うわー、すごいや!」
     けれど、余り感情を出さないエリミナがこの時ばかりはしゃいでいて。
     眼下の光景に感動する2人、万歳が心を決めたのも一瞬。車体は急降下!!
    「わぉ……、はははっ、はやーい!」
     声を立てて笑うエリミナ。
     万歳は自然な笑みを浮かべ、霞月も嬉しそうに2人を見つめていた。

    ●朝のクリスタルラグーンリンク
    「わ……あ、けっこう大丈夫かもっ! ひゃっ! わっ!」
     人生初スケートの京は、恐る恐る氷に足を乗せていく。
     ……が、踏み留まろうと努力するものの、すっ転んでしまうのはお約束。
    「スケートといえば、このぼくにまかせてよ!」
     氷上のコメディアンと恐れられた足の見せ所だと、幸は自信満々で。
     その滑りはコントのようなコミカルな動きながらも、何故か転ばない!
    「氷上のスキャットマンとして負けられない戦いがある!」
     まさか、ここで出会うとは……!
     直ぐに感覚を取り戻した壱も、華麗な滑りを魅せていて。
    「……お前ら、どうしたらそんな転び方滑り方が出来るんだ」
     序盤から豪快に滑る転ぶ【ジンジャーエール部】の仲間を見守っていた全は額を押さえ、溜息を洩らす。
     結局、全が指導側に回ったのは、言うまでもなかった。

    「お姉ちゃん早く早く」
     スケートが得意な沙希は、翠の手を引きながら滑っていて。
     妹が眼前で1回転ジャンプを決めると、翠は自分のことのように喜んだ。
    「さっちゃん、すごいですー!」
     けれど、翠のスケートの腕前は至って普通。
     余りの速さに着いていけなくなった翠は、沙希を巻き込むように転んでしまう。
    「もーお姉ちゃんたら」
     と言いながらも、沙希も楽しそうな笑みを零していた。

    「やはり足元が覚束ないな」
     これも修行の1つ。
     1日頑張ってみようと滑り出した尚竹も、氷の感触が掴めずにいて。
    「だが、これだけでも来た甲斐はあったものだな」
     尚竹の瞳は、高く低く広がる富士山に向けられていた。

    ●高飛車
    「カナさん……漢ニナロウゼ」
    「そっすよ、コワクナイヨー♪」
     と、掠れたような声でかなめの腕を引く、一了と花幸。
     人間が乗るものなのかと、かなめは微妙な顔だったが……。
    「ハナさんの素顔、チラ見のチャンスすよ」
    「確かに気になるところだね、一了君」
     と、絶好のチャンスを得た一了とかなめは、嬉々と高飛車に乗り込む。
    「ひろ君、次は高飛車に乗ろう!」
     前回、身長制限で乗れなかったアトラクションを心置きなく堪能していくかえでに、紘疾も楽しそうに頷く。
    「鬼無かえで、11歳、身長は130センチ超えてる、もん」
     と、胸を張って大人の対応を見せるかえでに、紘疾は微笑ましい気持ちでいっぱいで。
    「いよいよ私たちの番なのです」
     自分から挑戦すると言ったものの少しだけ恐い、月瑠。
     湊介に手を握ってもいいかと訪ねると、快く握り返してくれた。
    「ちゃんと握っててやるから、安心していいぜ」
     安全バーが降りても月瑠は恐怖で声が出ず、目を瞑ったまま……。
     最初はソワソワしていた湊介も一層強く手を握ってくる月瑠の信頼に応えようと、笑顔で励ましていく。
    「やっぱ叫ぶっすよね……ってうわあああ!!」
     花幸が両手を上げた瞬間、高飛車は風になる。
     辛うじて顔面を死守したものの絶叫、むしろ悲鳴?!
    「く、首痛アアアア」
     花幸をガン見しようと首を曲げた一了も、別の意味で阿鼻叫喚♪
    「抉るような落下が面白いね」
     腕を伸ばして思いっきり叫んでいた紘疾は、とっても楽しそう。
     そんな中、次はもう少し緩い所に行こうと誓った、かなめだった。

    ●絶望要塞
    「これ、ここに填めるとか……?」
     無機質な建築の内部は、さながら刑務所のよう。
     優奈は悠埜と共に、脱出成功率10万分の1の謎解きに挑んでいた。
    「特徴があるのが多いのも、地味に難易度をあげているよな」
     大量の扉を前に、悠埜も手掛かりらしきものをメモに記述していく。
     けれど、優奈がどれが本物か触って確かめようとした所で、時間終了。
     それでも要塞から出た2人は、晴れ晴れとしていた。

    「皆、迷子にならないよう気をつけるのだぞ」
     自信満々で【白王冠】の仲間と探索を始めた朱雀は周囲を見回す。
     ……が、案の定迷ってしまう、現実。
    「ボクの手をぎゅっと握ってるんですよ、はぐれるといけませんからねー」
    「つかさ、お顔がゆるゆるー?」
     皆の愛と勇気と努力と根性と運と、溢れる想いがあれば大丈夫っ!
     朱雀と共に白の手をぎゅっと握っていた司の表情は、笑みで崩れていて。
    「えーと……これなんだろね? って他の子もちゃんといる?」
    「時間がなくなってきたときこそ冷静に……」
     気付いたら頭脳担当となっていた響斗は、運担当の黒々と協力して手掛かりを探しだす。
     戦力が2人だけの状況に、白も健気に手伝いを買ってくれる、けれど。
    「当たって砕け散れですよー!」
    「こういうのは運任せで……えいやぁ!」
     女は行動力と司が、黒々も気合いを入れた所で、タイムアウト。
    「おや? おかしい、ここはさっきも通ったような気がするな」
     最後まで迷いながらも、5人は楽しむように帰還したのだった。

    ●ナガシマスカ
    「これは……お、思った以上に……」
     水流に振り回されながらも、シャーロットはボートの端を必死に掴んでいて。
     その時、少女の背を支えていたラグナが、声をあげた。
    「シャーロット様、見えて来ましたよ」
     この『祠』の前で手拍子すると、次の仕掛けが変化するという。
     ラグナにぴったりくっついていた少女の瞳が輝いた。
    「せーのっ」「それっ!」
     勢いを乗せたハイタッチが、心地良く響き渡る。

    ●最恐戦慄迷宮
    「い、いやだー! べ、べんごしをようきゅうするー!」
    「私、怖がりだから、こういうの好きなの♪」
     と、泣き叫ぶとものを抱き抱えた耀夜は、スキップしながら内部へ。
     廃病院を模した内部は広大で、恐怖のスケールも桁違いっ!
     すっかり雰囲気に呑まれた少女は、些細なことでも悲鳴をあげてしまって。
     気絶したとものに気付いた耀夜は、暫く楽しんだ後切り上げたという。

    「へ、へー……ケッコー雰囲気あんじゃん」
    「なんだか凄そうね」
     頼りになる所を見せようと【武蔵境高校2-5】の先頭を切って進むのは、剣。
     仮にもヒーローを名乗る者がここで恐れる訳にはいかないと、エリザベスも平然を装っている。
    「なるほど、廃病院をテーマにしているわけだな」
     最後尾についた力生も一見、平気そう……。
    「女子は可愛いけれど、男子は情けないだけよ?」
     そんな彼等を後ろから眺める朔良は、楽しそう♪
    「だいたいこーゆータイミンぎゃあぁ!!?」
     流石に女子は怖がっても……と、油断した龍凡が開けた扉から、お化け登場♪
     そのまま逃げ出す勢いの龍凡、誰かがぎゅっと掴んだ。
    「──っ!! ぁ……、ゃ……」
     平然としていた朔良もいざ遭遇すれば、ビシッと音を立てて、硬直。
     絶妙のタイミングにエリザベスも引き攣った笑みを浮かべていて。
    「ギャァァヤベぇ怖ぇ助けてぇーー!」
    「って、なにがどうした! 敵はどっちだ!!」
     誰よりも大きい悲鳴をあげた剣はかぎりに抱きつき、力生もパニック!
    「落ちつけ力生、あれはダークネスじゃないスタッフさひゃうあっ!?」
     所詮作り物に過ぎないと思っていたヘカテー、前言撤回。
     純粋なホラーがここまで予測不可能で怖いものだったとはッ!
    「情けないわねェ、男のコ達」
     虚を突かれたかぎりも流石にビックリしてしまう、けれど。
     溜息を零しながらも竦んでしまった女子を庇うように、言葉を掛けていた。

    「ニーナちゃんが来たことないなら、仕方ない……!」
     軍と共に【映桜】の先頭を歩く涼花は、妙にヤル気満々な様子。
    「……大丈夫なのかよ?」
     前回の記憶が確かならば、泣くわ叫ぶわの阿鼻叫喚♪
     軍はげんなりと涼花に視線を送りながらも、事ある毎に後方を振り返る。
    「ニヨニヨしてる暇があるなら、スズを見てやれよ?」
     2人に先頭を薦めた奈兎は、後ろから見てようぜと仁奈に耳打ちする。
    「ん、奈兎がいれば大丈夫、だから放さないで、ね」
     お化けは兎に角、暗いのはちょっと苦手。
     奈兎の声に仁奈は笑みを零し、差し出された手を握り返す、が。
    「……! な、な、奈兎ー!!」
     暗闇から聴こえた大きな音に、仁奈は思わず奈兎の背にしがみつく!
    「なに!? やだ! いっくん!?」
     今は恐怖の方が勝った涼花の足も、完全に竦んでいた。

    「部の隊長の俺が、オバケからみんなを守るからな!」
     と、顔を引き攣らせた航太は【ねぶくろ部】の先頭を切っていく。
     子分のひふみが着いて来てることに気を良くするものの、膝は笑っている。
    「お化け屋敷……別のところなら行ったことあるけど……」
     と、呟いたエイナに亮輔が「ここはマジヤバイ」と身を震わせる。
    「ぼく、お化け屋敷って初めてなんよね~」
    「ひめも、わくわくするよー」
     つむぎと小鳥は皆と離れないように手を繋ぎ、しっかり着いてきていて。
    「大丈夫! 作り物だよ~!」
     周囲をじっくり観察していた陽太郎が怯える仲間を励ました、その時!
    「おぉっ!」
     死角から飛び出したスタッフに陽太郎が大きな声をあげたのは。
    「うわあああ!!」
     先程の勇ましさは露に消え、悲鳴を上げた航太はひふみにしがみつく。
     余裕を見せていた小鳥も顔面蒼白で硬直、つむぎはぎゅっと目を瞑ってひたすら我慢!
     エイナは余りに恐かったのだろう……ちょっと半泣きになっていた。
    「空閑隊長、エイナさん!」
     対して反撃をぐっと耐えたひふみは何事もなかったかのよう。
     航太を支え、エイナを引っ張って足早に前進したひふみが最後尾を志願したのは、また別の話♪
    「皆、だ、大丈夫か?」
     不意に飛び出す仕掛けにビビりながらも、亮輔は周囲に気を配っていて。
     気が付けば腰を抜かした航太を背負い、つむぎの手を握っている、お父さんのような自分がいた。

    ●フードスタジアム
     絶叫系を堪能した遥、るりか、香乃果は休憩を兼ねてお食事タイム。
     皆で分けっこして食べたいと言うるりかに、遥と香乃果も快く応じてくれた。
    「私は富士宮やきそばにするよ」
     香乃果の焼そばはイワシの削り粉が香ばしく、麺も硬くてコシがある。
    「このカレー、面白いよね」
     ユニークな形のふじやまカレーに、るりかも何度も瞬きしていて。
     2人にも薦めてみると「美味しい」という言葉が返って来た。
    「あと、静岡おでん如何でしょうか」
     遥の味噌味のフジヤマラーメンには葱も沢山入っている。
     美味しそうに麺を口に運ぶ遥に、香乃果も楽しそうに頷いた。

    ●昼のクリスタルラグーンリンク
    「奏先輩ー。どどど、どうですか」
     初心者を配慮した【LEO】は、端の方で楽しんでいて。
     心配よりも楽しさが大きく、昼過ぎのリンクは活気に満ちていた。
    「沙季ちゃん、上手上手!」
     バランスが取れずよろけてしまった沙季を、奏が直ぐに支える。
     時々一緒に転んでしまうけど、そのつど笑みが零れあう。
    「りりさんすっごいなぁ……」
     あれくらい滑れるようになりたい。
     そう呟いた奏の視線が、鐘を指導していたりりに止まる。
    「あああ、そんな風に言われるとっ」
     尊敬の眼差しを一斉に受けたりりは、慌てて照れてしまう。
    「私も、りりさん目指して頑張る」
     鐘もりりに触発されたのだろう、ぐっと小さな拳を握ってみせて。
     傍に皆がいるから怖くない。
     そのうちいろいろマスターしたいと告げる鐘に、沙季も楽しそうに頷いた。

    「……やっぱ基本は大事だよな」
     スケートの腕前は、手すりの掃除レベルのアキラ。
     それでも、後輩の前では格好いいところを見せたくて……。
    「アキラお兄ちゃん、速く滑ろ♪」
     金色の星つきの白いスケート靴で滑る飴莉愛の瞳は輝いていて。
     遊びで滑るには十分な技量に、アキラの心がほんのちょっと折れる。
    「よし、初心者スケート教室にGOだ!」
     決意を新たにしたアキラに、飴莉愛も嬉しそうに頷いた。

    「しまった、置いてかれたわ」
     綾沙は【刀剣愛好会】の仲間を探そうと、周囲を見回す。
     香を見つけることは出来たものの、彼女は尻餅をついてしまっていて。
    「近くに手すりとかないわね」
     氷面から早く逃れたい香は、助けを呼ぶか否か躊躇している様子。
     それよりも早く、シュヴァルツが香の前に止まった。
    「……転んだのか。ほれ」
    「仕方ないわね」
     言い訳を交じえながら香がその手を掴もうとした、その時だった。
    「ヴァルさん、駿河サーン、と、止まり方教えてー!」
     香を助けるため、少し飛ばしてみようと思ったのが運の尽き♪
     綾沙はそのまま2人の前を通り過ぎていく〜。

    「壁にしがみついてばかりじゃ面白くないですよー」
     初めての割りに転ぶことなく上手に滑っている、真夜。
     そんな友人に祢々は「雪国生まれ?」という疑問が浮かびあがる、けど。
    「待って無理無理」
     リンク端で停止中の祢々は、立つだけで精一杯♪
    「ほらほら、行きますよー」
     軽く一周しようと真夜は祢々の手をとって滑り出す。
     転びはしなかったけど、生まれたての小鹿の如くガクブルな祢々だった。

     マイシューズ持参の瑞葉は【井の頭中1F】と共に早速氷上へ。
     氷を蹴ってスピードに乗ると、つい時間も忘れそうになってしまう。
    「富士急も夏以来かなぁ」
    「すごい、俺立てた。氷の上に立てた!」
     周が爪先に体重を乗せると、体は前に進んでいく。
     氷上で仁王立ち出来た色も、じわーと涙を浮かべていた。
    「お、霞末も滑れてるじゃん」
     不安だったら側で見てるからと告げる、丹。
     その助言に早速……。
    「ちょ、丹助けろ! た、助けてくださいお願いします!」
    「どうやって止まれば良いんだ?」
     氷上の障害物と化していた色と止まれない瑞葉が、ほぼ同時。
     天を仰いだ丹は色の手を引っ張り、遠くの瑞葉には。
    「壁に向かうんだ」
    「って、それ、壁激突コースじゃねえかああ!」
     そんな微笑ましい光景を周はぼーっと眺めていた。

    「二人も早くいらっしゃい?」
     煌めく銀盤は予想以上!
     暁の足取りは自然と軽やかになり、颯爽と氷の上に降り立つ。
    「わ、すごいすごい!」
     軽やかに滑べる【霄画楼】の仲間を倖は尊敬の眼差しで追っていて。
     傍らの律嘩に促された倖も氷に足を踏み入れた、その時だった。
    「……!?」
     つるっと足を滑らせた倖が掴んだのは、律嘩の腕。
     立て直しが難しいと判断した律嘩も咄嗟に暁に向けて手を伸ばす、が。
    「二人分は流石に無茶か」
     結局3人揃って尻餅をつくことになり、溜息を洩らす律嘩。
     それでも溢れる笑みを忘れず、暁が微笑む。
     ……Merry Christmasと。

    「こんな賑やかなリンクは初めて」
     銀盤を眺めていたシエナは、普段より少しだけ笑顔が増えている様子。
     遊園地とスケートが未体験のフレッカは、浮き足立っていたけれど。
    「……動けん」
     何とか氷上に立てたものの、そのまま硬直する緒璃子。
     一応、建前は戦闘訓練、案外いけるものだと思っていたが。
    「ッたく、ゴキゲンじゃねぇですか。手が必要で?」
    「あ、ちょっ……! まだ心の準備できちょらんから!」
     転ぶ時は道連れだと吠える緒璃子に、赤音は笑みを浮かべるだけ。
    「どうせ転ぶんだから。ほら、ほら」
     どうやらシエナと自分以外は戦闘訓練のノリのよう。
     要は慣れだと悠が手を伸ばすけれど、緒璃子の足元は覚束ない。
    「なんの、これしき!」
     隣では転倒仕掛けたフレッカが、超ブリッジ態勢!
     意地でも転倒をするまいと踏ん張る団長に、赤音が軽口を叩く。
    「ムリに頑張らなくていいよ」
     灼滅者はそうそう怪我しないんだからと苦笑する、シエナ。
     何だかんだ楽しそうな一行に、悠は安堵の息を洩らした。

    「日頃鍛えた着ぐるみ捌きの見せ所、華麗なステップを披露するぜ!」
     遊園地と言えば、着ぐるみ♪
     クロネコ直哉の合図と同時に【文月探偵倶楽部】が銀盤に飛び出した。
    「くるくる回る向日葵、葉っぱが閉じたり開いたり~♪」
     ミカエラの向日葵着ぐるみは少し視界が狭いのが、チャームポイント♪
     クロネコ達と一緒にくるくると回る姿も、とってもプリティ!
    「皆で滑るのも楽しいですねー」
     猪着ぐるみで参戦した師将も手を振り、愛らしさをアピール。
    「わーい! 着ぐるみ・オン・アイス!」
     桃色の長耳わんこ着ぐるみの陽桜も嬉々と楽しんでいて。
     けれど、スケートをしていた人達は、少し迷惑そう……。
    「……そういえばアタシ、スケートやったことあったっけ」
     と、現実に返る灰色トラネコもとい、毬衣。
     瞬間。滑って転んで、そのまま崇と衝突するのは、お約束。
    「くるくると回り……目が回る〜」
     更に目を回していた直哉とぶつかり、師将もバランスを崩す。
     同じく滑れない陽桜も、べたーんと派手にすっ転んでしまって。
    「わわわ、止まらないたぬ~」
     背中でくるくるスピンしながらフェードアウトする、着ぐるみーず。
    「違和感がなくなる組み合わせの筈ですのに……何故違和感?」
     1人冷静に眺めていた桐香はワンピース&パンツスタイル。
     滑っていると意外に暑くなるもの、転がってきた着ぐるみ達に飲み物を手渡した。

    「初めてでしたけれど、スケートって楽しいんですね」
     と、まだ滑ってもいないのに感想を告げるのは【吉1-8】の絶奈。
     勢い良くリンク中央に飛び出すものの、止まれば一歩も動けない現実!
     実は素人を通り越し、氷上での滑り方そのものの知識が皆無でした。
    「動き易さを考えて、ゴスロリミニ姿で来てしまいました」
     念の為、膝にはサポーターをつけてきましたと告げる、レイ。
     髪はヘッドドレスでしっかり飾ったクリスマス仕様、お洒落心は忘れてません。
    「元は氷上、曲線を描くもの。なれば、我はその歴史を重んじ、曼荼羅を描こうぞ」
     泰孝は無駄にターンやジャンプを駆使して小さな曼荼羅っぽい何かを作成中。
     大きな作品は速攻で滑られて消されたので、小さくしてみたとのこと。
    「氷の上って楽しいんだもの、前を見てみて」
     壁際に集う初心者の元に向かった樹は最初にレイの手を握る。
     次に絶奈と回り、最後は拓馬の番。ふと悪戯心が沸いた樹は……。
    「下ばっかりみてたら怖いだけよ」
     突然の加速に思い切り焦る、拓馬。
     と言っても少し速めに滑ったり、前に押す程度のものだったけれど。
    「スケートは初めてだけど、やっぱり難しいのかな?」
     女性の手を借りるのは少し恥ずかしいと、呟く麗羽。
    「ん、そんな緊張せんで大丈夫やよ。万が一倒れても支えたるさかいにな」
     それまで自分のペースで滑っていたシジマが手伝いを買ってくれて。
     麗羽にゆっくり教えながら、全力滑走から別方向に移行した鉄子に即アウトで以下略。
    「ウチのクラスの連中は、どこ行っても変わらんなぁ」
     寒いのが苦手な悠一は1人壁際で温かい御茶を飲んでいる。
     悠一にとっては至って平常運転だった。

    「お前スケートやったことあんのかよ……」
     いつも通りのテンションで滑り出す紗椰を黙って見つめる、伽夜。
     案の定、綺麗に転んだ様子に苦笑を零しつつ、氷を鋭く蹴る。
    「ちょっと待って! おいてかない……っで」
     紗椰のジト目を気にせず、伽夜はグルグル回るだけ。
     流石に可哀想と思い、手を差し伸べるが。
    「有難うー……ぉらぁっ!」
     紗椰に引っ張られてコケた伽夜は、己の甘さに脱力したのだった。

    「まぁコツさえつかめば、直ぐに滑れると思うぜ?」
     珍しく教える側に回った【蒼桜】の紫桜に、一同動揺を隠せずにいて。
    「初めて部長らしく……おっと。成る程こうすればいいのですか」
     一足先にコツを掴んだ大破は、徐々に速度を上げていく。
    「ふむ。こんな感じか?」
     白いマフラーを靡かせながら滑走した央もスピンを決める。
     けれど、周囲の視線に央はマフラーに顔を埋めて逃げだしてしまう。
    「いって~中々、バランスを保つのが難しいな」
     和真と千世は思ったように滑れず、何度も転倒してしまう。
     壁を支えにしながら和真はゆっくり滑り、千世には紫桜が支えに回る。
    「これは爽快ですね」
     思ったより上手く滑れた大破が更に速度をあげた時、歓声が沸いた。
    「……教えてくれて、ありがと……っ!」
     思い切り良く滑ったことが功を奏した和真は、ご機嫌♪
     央の手を借りた千世も見事な滑りを見せるものの、最後はコロンと転倒。
     そんな彼等に紫桜はカメラを向けた。

    「えへへ、ちょっとずつだけど滑れるようになったよー」
     学園に来るまで地下に居たエーミィにとって、スケートは初体験!
     最初は転倒ばかりのエーミィも、今は笑顔で滑れるほど上達している。
    「キャア!」
     しかし中東育ちのライラに氷上というのは、まさに未知のエリア。
     いつもならあげない嬌声が零れ、何度も転んでしまうくらいで。
    「一緒に滑ろ!」
     夏に来れなかった分も込めて花夜子はライラの手を取り、ゆっくり滑りだす。
    「……難しいね」
     僅かに顔を紅潮させて虚勢を張る、ライラ。
     その幸せな感覚のまま、ライラは【吉中2H】の仲間とスケートに身を委ねていく。

    「こういうの得意だからね、負けないぞ!」
    「お、お兄ちゃん流石気合入ってる……! 待ってー」
     靴を借りた【czas】の瑛多が一目散にリンクへ向かうと、すずめも直ぐにスイスイと滑り出す。
     途中でくるっと振り返っては、皆に手を振ることも忘れない。
    「チロル殿も、初めてなのか?」
     覚束ない手付きでスケート靴を履いた透に、チロルは元気良く頷く。
    「得意って程でもない、けど……一通りは滑れる、カナ?」
     あっちを追い掛け、こっちを心配するチロルの瞳は何度も瞬いていて。
    「……え、これってどうやって滑るわけ?」
     覚束ない足取りでリンクに着いた一哉は、絶句!
     とりあえず手すりに掴まるものの、へっぴり腰がどうにも残念極まりない。
     皆の温かい視線と励ましで、更に胸が痛くなった、その時だった。
    「きゃー止まらない! 助けてすずめちゃん!」
     颯爽と駆け……られなかった千穂の悲鳴に、すずめが風になる。
     このスピード感が楽しくて、びゅんびゅん走り回りたいくらいで!
     思わず後を追った透は派手に転倒、よろよろと颯夏が掴まっていた手すりにしがみつく。
    「最初は転んでもいいというか、転びながら覚えるようなものだ」
     1人で滑走し、鈍った身体の動きを取り戻した瑞樹は、瑛多と共に初心者の手ほどきを買って出てくれて。
    「初心者なお仲間が結構いるみたいで安心した」
     いつもきりっとしてる一哉に変な親近感を抱きながらも、颯夏は千穂、透と共に練習を重ねていく。
    「後は習うより慣れろ、だな!」
     最初は立つのもやっとだった千穂も、少しコツを掴んだよう。
     一哉も張り合うように、氷面を蹴って滑り出した。

    ●聖夜のイルミネーション
    「き、急に離したりしないで下さいね!? 絶対ですよ!?」
     幻想的なイルミネーションに彩られた、夜のリンク。
     その光景に心奪われる間もなく、白果は必死に麗にしがみ付いていて。
     転んでばかりの白果を見かねた麗も、手を繋いでゆっくり滑り出す。
    「帰るまでに1人で少しでも滑れたら、ケーキを奢ってやろう」
     しかし、盛大に転んだ白果はそのまま麗にヘッドスライディング!
     麗はそのつど白果の首根っこを掴む芸当を見せていた。

    「キレイだね」
     星が瞬くと同時に灯されたイルミネーションは、星空のよう。
     アナスタシアは【Salamander House】の指導も一瞬、見入ってしまう。
    「……あれ、いつの間にかヘンな力が抜けてる!」
     最初は中々前に進まないことにもどかしさを感じていた、慧樹。
     スケートのコツを掴んだ今、速度を上げて滑れるほどになっていた。
    「え? もうそんなに滑れてるって、ずるいです!」
     慌てたゆまも頑張ろうと意気込んだ直後、バランスを崩してしまう。
     恥ずかしそうに起き上がったゆまも、確実に上達している1人だ。
    「ちょっと1人で滑ってくる」
     2人の成長を見届けた百舌鳥は感覚を慣らしてくると告げ、滑り出す。
     ……が。
    「調子に乗りました、スミマセン」
     瞳に映ったのは、華麗なカーブをキメようとしてコケた慧樹でした。

    「それじゃ掴まってて下さいねっ? いきますよ〜」
     初挑戦のミネットと星子の手を引きながら、勇は指導に徹していて。
     そんな心境などお見通しと言うが如く、縁はニマニマしていた。
    「教えるという名目で手を繋ごうなんて、これだからムッツリさんだな!」
     ここは全力でからかうのが【Aile paisible】の先輩としての礼儀!
     そう思わないかと光琉にサイドパス。
    「なんか、ほのぼの可愛くて良いよね?」
     からかわれた勇は縁を追い掛け回すけど、全然追いつけない!
    「よし光琉君、挟み撃ちにしちゃおうっ」
    「1回やってみたかったんだよねー」
     と、勇の言葉に頷いた光琉は初心者とは思えない滑りっぷり。
    「縁さーん、御用ですよーっ♪」
    「え、やっと真っすぐ滑れるくらいなのに!?」
     滑り慣れてきたミネットは鬼ごっこの要領で全力滑走!
     始めは首を横に振っていた星子も腹を括って正面から突っ込んでいく。
    「オレはサンタじゃねぇぞ!」
     皆で白い息を吐きながら笑い、たまに転んで、また笑って。
     今宵の空が特別輝いて見えるのは、きっと……。

    「かーっ! テンション上がるぜ♪」
     夜のイルミネーションに興奮していたのは、真二も同じ。
     初心者の千代に手本を見せようと、まずは近辺をぐるっと一周。
     そして、転ぶのを怖がらないことが一番大事だと告げた。
    「転ぶのを怖がらない……了解です!」
     びしっと敬礼を返す、千代。
     しかし足は思うように動けず、代わりに真二は優しく手を取り滑り出す。
     景色に心奪われる暇もなく、時は過ぎてゆく。

    「広いわね。とりあえず滑りましょう?」
     何か話さなきゃと思いながらも、櫂は言葉が詰まってしまう。
    (「俺と一緒で楽しいもんかね」)
     淡々とした櫂の本心が掴めず、冬崖も少し思案にふけてしまう。
     ……気まずいのか、場を繋げようとしてくれているのだろうか?
     何となく漂うぎこちなさ。もしかして体調が良くないのかもという不安が過った冬崖は、櫂の顔を覗き込む。
    「熱でもあるのか?」
     妙な焦燥感を覚えた櫂が、やっと発したのは。
    「い……イルミネーション、綺麗ね」
     明らかにおかしいイントネーション。
     櫂の頬が赤いことに気付いた冬崖は、掌を額に運んでいく。

    ●シャイニング・フラワー
    「あのね、その……メリークリスマス、ね」
     眼下の夜景に瞳を輝かせていた幸に、ドキっとする雪之丞。
     同時に。足元に視線を移した幸も硬直してしまった。
    「って、おおい!? 高いとこダメなのかよ!?」
    「ご、ごめん、わ、忘れてたけど……」
     思わず雪之丞に抱きついた幸は、ぎゅっと瞳を閉じて。
    「……よしよし。大丈夫だぜ、幸。俺がいるからな」
     怖いことなんて何もない。
     優しく背中を擦る雪之丞、幸もそっと体の重みを預けた。

    「ね、目を閉じてみてくれますか?」
     小夜の震える指先に気付いた一佳は、そっと肩を抱き留める。
     温もりと共に小夜が視るのは、金色の陽と紺青の宵が織りなす、景色。
    「高いところが怖くなくなる、おまじないです」
     鼻先に小さなキスをひとつ、瞼に隠れた瞳が笑った。
    「いちか、私、高所恐怖症でよかった」
     瞼を開いたのは淡雪のようなキスが効いたのもあるけれど……。
     確かめたかった。彼女を通して見た景色は、実物より美しいことを。

     聖夜を彩るイルミネーション。
     これはきっと来園者にも贈られる、クリスマスプレゼントーー。

    作者:御剣鋼 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年12月24日
    難度:簡単
    参加:134人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 11/キャラが大事にされていた 15
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