クリスマス~『伝説の樹広場』メイン会場・昼〜

    作者:atis


     街中が、クリスマスの音彩であふれる頃。
     武蔵坂学園『伝説の樹』が、今年も華やかなクリスマスツリーに変わる。

    「皆さん、クリスマスですね♪」
     いつにもまして嬉しそうな五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)。
    「武蔵坂学園『伝説の樹』広場が、クリスマス・パーティのメイン会場になります」
     華やかな会場に生演奏。多種多様なクリスマス料理。
     飲酒喫煙は禁止だけれど、飲食物の持ち込みは自由。

    「余興として……皆さんで楽しめる、プレゼント交換もありますよ。あと、クリスマスツリーにオーナメントも飾れます」
     詳しくは後でご説明しますね〜と姫子。
     1人でも、友人や恋人とでも、クラスでもクラブでも、きっと楽しい時間を過ごせるだろう。


    「せっかくのクリスマス・パーティですから、ドレスコードは『クリスマス』だそうですよ。トナカイさんのカチューシャやサンタ帽はもちろん、盛装や本格的な仮装も楽しそうですね~」
     ぺんぎんサンタになるのも可愛いですねぇ~、とうっとりする姫子。 

    「会場では、白いおひげのサンタさんが皆さんをお待ちしています」
     白ひげに丸眼鏡のふとっちょサンタさんがプレゼントの袋をかついで現れる。
     声をかければ、大喜びで遊んでくれる素敵なサンタさんだ。 

     クリスマス料理やケーキ、飲み物を堪能して、華やかな会場で友人と語らったり新たな出会いを楽しんだり。
     会場には立食用の丸テーブルが並べられ、クリスマスオーナメントを飾る為の生樹のツリーがいくつか立っている。
     身体が冷え過ぎないよう、所々屋外暖炉も設置してある。

    「学園行事のメイン会場ですから、『クリスマス・パーティ』を静かに楽しみたい方から賑やかに楽しみたい方まで、思い思いの時間を過ごせると思いますよ」
     周りの人に声をかけて、ゲームやプチイベントをする人もいる。
     公序良俗に気をつければ、メイン会場だけに、懐は深い。

    「それに何より、クリスマスです♪ 何が起きても、不思議はありませんね♪」
     ふふっと柔らかな笑みをこぼす姫子。
    「いつもより、偶然の神様がいらっしゃるようですよ」

     そう、クリスマスです。
     あなたに起る、素敵な『なにか』。
     それはきっと、クリスマスの魔法。
     たまには不確定な『なにか』に、身を任せるのもきっと楽しい。

     夕方には、この会場でダンスパーティが行われる。
     それまでのあいだ、楽しいクリスマス・パーティを。


    ■リプレイ

    ●Xmas Eve
     赤と緑、金銀白。
     華やかで清らかな装飾と青空に祝福された、武蔵坂学園『伝説の樹広場』。 

    「両手に花やなぁ」
     オシャレした2人と会場入りする深隼。
    「エスコートされてあげてるのよ」
     ミントグリーンのベアワンピ、ほんのり女王様な白百合。
     お花を沢山飾ったドレスの百花、初エスコートに頬を染める。
     吉祥寺高1-3の級友を振り返る念次。
     無表情の恢、人ごみに埋もれぬよう依子にくっついて歩く穹。
    「暖炉近くの席にしましょ」
    「ヤッターXmasだね! ツヅルのおかげでテスト……乗り切れた、今日は食べるぞ!」
    「うん……頑張ったよね」
     ドイツ訛りのエルメンガルト、やけに神妙な顔の綴。
     そんな2人の前に立ちはだかる、赤鼻のトナカイ2頭。
     天文台高1-2の三珠と樹咲楽だ。
    「ボクたちトナカイのおかげでサンタはプレゼントを運べるんだよーねーほめてよー」
     サンタ服の綴に冗談ぽく迫る樹咲楽。
    「そうだね、ありがとう。でもサンタ服、外だと寒いんだよ?」
     あったまるもん食べたい、と綴。
     毛布男のエルメンガルトに羨望のまなざし。
     FGR女子部ってドキドキですね、とシャルル。
     トナカイ角に赤ドレス白ファーマフラーの篠。
     黒ティアードミニドレス、若干抵抗しつつ黒猫耳をつける鶫。
     白兎耳のシャルル、紺のスパンコールドレスが綺麗な夜空。
    「赤いリボンと金色のベルがお揃いなのね」
    (「普段から可愛い二人だけど、今日はより一層愛らしいわ」)
     サンタポンチョにトナカイ角、ベルネックレスの江利子。
     慣れない口調で可愛いと江利子を褒めるトナカイ角を被った途流。
    「あ、白ひげサンタだぜ?」
     目を輝かせる江利子と一緒に、プレゼントくれーと騒ぐ途流。
    「サンタさん! こっちこっち!」
     真琴が集めれるだけ人を集め記念撮影。
    「百合ちゃん、えらい可愛い!」
     Xmas万歳と、白袋の伊介サンタ。
     百合は白地に金線の、長い袖裾のドレス。
     雪の様なストール、サイドに結った雪髪が優美。
    「食べるのに夢中になって汚さないようにね」
     伊介は百合をお姫様のように扱う。
    「ワッ、七チャンと慧チャンのミニスカサンタ超似合ってる!」
     髪と同じ灰色のスーツに緑シャツ赤ネクタイの芳春、デジカメ連写。
     慧杜と一緒にイエーイ! と七。
    「今日はサービスで撮り放題とします。ふっふ」
    「いいねーパーティーの空気! どーだ可愛いかろー」
    「セクシーで可愛いよ。芳春くん、撮ってあげるから両手に花を堪能するといい」
     オーナメントやモールを飾った濃緑のコートに焦茶パンツ。
     Xmasツリーっぽく佇む怜示。
    「鼻眼鏡に三角帽子?」
     大阪育ちのツッコミ気質、サンタ姿のムウが黒々に思わず。
    「君、太鼓叩かないのか?」
    「えっ……太鼓、ですか?」
     白スーツに赤シャツの煉夜、黒々の姿にあえてスルー。
    「……アッシュくん寒くねーの?」
     赤と緑の着物で勘違い中のアッシュ。
     その影を、小悪魔が通り過ぎる。
     黒尻尾に黒衣装の双子の妹、柚莉に大感激の迪琉。
     渦巻き角に小リース、迪琉が可愛くて拍手の柚莉。
    「ゆずも悪魔さんになっておねーちゃんを悪い悪魔さんから守るのっ」
    「みち、大感激だよう。ゆず、かわいいよう、すごおくかわいいよう!!」
     双子の妹をぎゅーっと抱きしめて、おおはしゃぎ。
    「ウルスラ、随分と大荷物ですけれど、何を持ってきましたの?」
     ミニハットに赤黒ゴスドレスの、リュックに目を止める由良。
    (「首元のベルはトナカイのイメージかしら?」)
     由良がオーナメントを手に、深緑のAラインドレスをふんわり翻す。
     胸元に星型ブローチ、Xmasツリーなドレス。
     由良がツリーへと歩けば、深緑の上品な生地に散らしたラメがきらきら輝く。
     やたら高級そうな生地で作られている、小さな天使の人形をツリーに飾る由良。
    (「芸能人の写真に、鯖缶……ですの?」)
     目にしたオーナメントに驚く由良、思わずウルスラを振り返る。
     リュックからマントを出し、身体を隠す様に翻すウルスラ。
    「ユラ、見て下サーイ、変☆身!」
     ウルスラの赤黒ゴス衣装の黒部分、実は二重構造。
     黒部分を紐で引き抜けば、赤白ゴスへと早変わり!
     サンタ帽をかぶれば、一瞬でサンタなウルスラ完成デース♪
    「メリークリスマス!」
     目を丸くしたままの由良に、桜色マフラーをプレゼント。
     そんな2人の近くには、ヘタレ異邦人気質のハイプ。
    「メリークリスマス! 来てくれてさんきゅな、芽衣♪」
    「こちらこそ誘ってくれてありがとう」
    「芽衣と同じクラスでよかった! 俺と一緒にいてくれて本当にありがとう」
     学園で、一番始めに話したのが芽衣だったから。
    「……ふふ、私もあなたと同じクラスで楽しいわ」
     できれば、また同じクラスで……ハイプに笑顔で応える芽衣。
    「ハイプでいいよ、芽衣」
    「あらじゃあ、遠慮なくそう呼ばせてもらうわね。ハイプ?」
    (「とりあえず今回はコレが限界だ……! 顔、熱ぃ!」)
     ハイプの様子に思わず笑みが零れる芽衣。
     色々考えて言葉にしてくれたことが嬉しい。
    「クリスマスツリー見にいかねぇ? すごいきれいだぜ!」
    「そうね。見に行きましょう。ふふ、楽しみね」
     2人の笑顔の先には、華やかにドレスアップされた伝説の樹が煌めいていた。

    ●伝説の樹へ
    「えへへ、今日は凄く楽しみだなっ♪」
     シンプルサンタな湊は、月子との待ち合わせ場所へと向かう。
    「クラスでクリパ! ちょー楽しみにしてたんだぜ!」
     吉祥寺中1-D。
     トナカイ角の慧樹、凝った飾りに魅入る鞴。
     ミニハットのサンタ羽衣。
     Xmasツリーな伝説の樹に感動する1-D女子。
     は、はしりたい。
     近くのクラスメイトの手を引っ張って、伝説の樹まで走りだす羽衣。
     雪をかぶったモミの木風の、緑ワンピ白マフラーの晶。
     白ドレス白翼、金輪で天使な優。
     トナカイフードケープの非も走り出す。
    「にゃっ?!」
    「大丈夫か羽衣?!」
     やっぱり転んだ羽衣を助け起こす慧樹。
     その耳に珊瑚の不思議な歌声が聞こえて来た。
    「きれーな声だなっ! 両声類ってやつか?」
    「……楽しんでいただけましたか?」
     拍手する1-Dの面々に、フィンランド名物黒飴を贈る珊瑚。
     さっそく口に入れる1-D。
    (「……激マズッ?!」)
     若干涙目の1-D、笑顔の珊瑚を見る。
    「わたしの好物なんですよ」
     その横でツリーを前に祈りを捧げる鞴。
     ふと樹上を見上げると、下を楽しそうに眺める谷古宇兄弟。
    「シーッ!」
     鞴へ明るく悪戯っぽく笑う双子の伊月と陽規。
    「あっ、月子さん♪」
     鞴の近くで、湊の弾む声がした。
     トナカイ角にミニスカサンタの月子に、見惚れながら手を差し出す湊。
    「今日は思いっきり楽しもうね!」
    「ええ、目一杯愉しむわよ!」
     湊の可愛い反応と姿に、満足げにウインク一つ。
     差し出された手を取ってパーティへ。
    「よっ、ゆえるー!」
    「あっ、小夜子おねーさまー! わたしも今来たところなのですよ!」
    (「やっぱりかわいいなぁ……」)
    「今日は何して遊ぼうか」
    (「昼間しか付き合ってやれないから、楽しいクリスマスにしてやらねぇと」)
     小夜子が小さな結留の手をとる。
    (「ほんとは好きな人と一緒に居る日なのに、わたしに付き合ってくれてるのです。なら、楽しまないと失礼なのですよ!」)
     お互いを優しく思いやる、姉妹のような2人。

    ●乾杯♪
     皆でグラスを手にしたら、白ひげサンタが乾杯の声。
     FGR女子部も、乾杯と微笑む。 
    「今日は来てくれてありがと」
    「こちらこそ、誘ってくれてありがとう」
    「可愛い皆さん、お写真よろしいですか?」
     突如現れたモミの木男。腕には光画部の腕章……蝸牛だ。
     思わずうなずく鶫。
     愛らしい3人を記録撮影ツイートすると、蝸牛はお礼を述べてふらりと消えた。
     今度は美味しいお菓子を作ろう。
     ……よかったらまた、3人で。
    「うわ、衣幡も雨宮も美味そうなのいっぱい!」
    「ふっふー美味しそうなの沢山でねーこんなになっちゃったわ」
     Xmas風の色味やアレンジを加えられたオードブル。
     色鮮やかに盛られたクラッカー星が輝くサラダに一口チキン。
     七と芳春が、様々な料理をトレーに乗せてテーブルへ。
    「クリスマスの料理ってさ、見てるだけでテンション上がるよね!」
     嬉しそうな芳春。
    「あーん、このオードブル美味しいっ。ねぇ、そっちのも一口貰っていい?」
    「ジンジャーマンのクッキー、あるかな? 美味くないって話だけど」
    「志塚、美味しく無いのが良いとかどういう事なの……」
     終始楽しげに笑う七。
     湊と月子も生演奏に聞き入っていた。
     湊のはしゃいでる姿が可愛くて、始終上機嫌な月子。
    「あ、これすっごく美味しいよ♪」
    「どれどれ? あーん」
     悪戯っぽく笑って餌付けを催促。もちろん月子もお返しに。
     赤白のドレスダウンワンピの香が、ステップ踏みつつチキンを手に戻る。
    「ぉ、美味そうなローストチキンだな」
    「素手で分解しちゃっていい?」
     手は洗ってる。
     言うやいなや香の手で、部位ごとに骨と肉にパパッと分解されるチキン。
    「姉御、ほれぼれしちゃいます!」
     解体ナイフを手にしたまま、香の綺麗な手さばきに魅入るアッシュ。
    「えっ……」
     ノンアルコール・シャンパン・ボトルを抱えた黒々が固まる。
    「香ちゃん手際いいねー、サンキュー♪」
    「すごいです。鳥の丸焼き、手で分解できるんですね!」
     感動する真琴に、さあどうぞとお裾分け。
    「黒々くんはどーした? 美味いもん食ってる時くらい難しい顔しないで楽しみなよ?」
    「いや、香先輩、女の子なんですから……」
    「……何その目」
     深いため息で呆れ顔の黒々。
     おいしいけど、何か腑に落ちない気がする。
     暖炉近くではムウと吉祥寺高1-3がXmas料理に夢中。
    「喉、詰まらせないでね」
     がむしゃらに食べる念次に笑いながら飲み物を用意する依子。
    「何か……タッパ持ってきたくなるわ」
    「食える時に食っとかないとね、がふっ」
     胸を叩きながらひたすら食べまくる念次。
     並ぶ料理に無表情に目を輝かせ、皆に料理を取り分ける恢。
    「ありがとう」
     受け取る穹。
    「恢君も食べてる?」
     依子が恢へと視線を移す。
    (「心配無用、とてもたべてる」)
     無表情でうなずく恢。
     てんこ盛りの料理を、一瞬で平らげていく。
    「おいしいね」
     ほんの少し、口角上げて笑った。
    (「何だこのコスチューム……動きづらい、食べづらい」)
     毛布男・エルメンガルトが綴を見ると、紅生姜と葱でXmasカラーの器を持っていた。
    「エルトンコツあるよ! 勉強の時、食べたいって言ってなかった?」 
    「とんこつラーメン!?」
     折角だからラーメン食べよっ、とエルメンガルト。
    「あーあったまった! 寒いからさ、楽しかったりが余計に嬉しいんだよね」
     デザートへと足を運ぶ2人。

    ●空路
     トナカイフードポンチョ&ワンピの琴音。
    「琴もリア充だよね。これはリア充宣言してもいいよねッ!」
     赤ポンチョに白ファーが魅力のミニスカサンタ涼花の側へ。
    「ほらほら、すずちゃんとペアみたいでしょ」
     ちらりと軍を見やる琴音。
     トナカイ帽子、尻尾付きもこもこサロペットに黒スキニー、だと?!
    「イクちゃんもなんでトナカイなのよ」
    (「……でもでもみんなの仮装ホント可愛い!」)
    「萌えすぎる」
     ひめのトナカイ。文乃の牧師服。
     あいすの赤アリスサンタ。
     琥鳥のショートケーキ装飾白ワンピ&リース髪飾り。
     白ワンピ赤ポンチョの露、赤ニットワンピ白ぼんぼんケープ&リーストーク帽の華凜は好対比。
     ホナミは深いグリーンの膝丈ドレス。
     髪はアップ、うなじとデコルテで大人っぽく。
    「部内じゃ年上組だから、気合入れてみたの」
     ウインクしつつカメラを取り出す。
    (「最初の一枚がこんなに華やかだなんてうちの相棒贅沢ね」)
    「お嬢さん達! 是非一緒に写りましょう」
    (「これは全力で写真におさめるでしょ」)
    (「ホント写真部も随分賑やかになったよな……って、皆の仮装クオリティがパネェ」)
    「写真部魂見せますか」
    (「わ、Xmasの仮装って言っても人それぞれで面白い、な」)
    「……トナカイと、女子はサンタコス似あってんな」
    「ん、奈兎かわいいでしょ。ふわふわー」
     仁奈のサンタワンピのうさ耳を弄ぶ、赤サンタ帽に鈴ピアスの奈兎。
    「流石我らが写真部」
     奈兎もレンズ越しから笑顔を一枚。
    「皆、着飾って楽しそうで、心が躍るね……」
     牧師服の文乃、こんなに賑やかなクリスマスは初めてだ。
    (「皆さんいつもと違うお姿で。でも、流れるのはいつもと同じ空気。不思議で、あったか、です」)
     華凜もカメラを構える。
    「撮らないなんてヘマしないもん!」
     ショートケーキワンピの琥鳥、ひめと露もおおはしゃぎ。
    「見てるだけで楽しくなってくるねー!」
    (「……ときめきが止まりません」)
    「沢山写真に残さなくては」
    (「運動会で必死に撮影しているお父さん達の気持ち、露も今なら少し解る気がしま、した。だって、この愛らしさをそのまま全部残したいって……心から思います、もの」)
    「みんな、とってもかわいいよ……!」
     思わずぎゅ~っと抱きつくあいす、そのままカメラに幸せ笑顔でピース♪
    「そういや俺、Xmasクラッカー持って来たんだ」
     軍が皆に英国伝統クラッカーを配る。
    「ペアで引っ張るんだ。中身は飴とかキャラメルだけど、ワクワクするよな。ペアも中身も時の運」
    「はいはーい! あたしとクラッカー引っ張りたい人ー!」
     涼花の声に飛んで来る琴音。
     軍とひめ。華凛と奈兎。ホナミと仁奈。あいすと琥鳥。文乃と露。
     近くに居た人とXmasクラッカーの両端を握る。
    「今日と言う日の、ご縁の一つ。大事な思い出、幸せです」
     華凛の言葉にうなずくトナカイ角のホナミ。
    「ちょっと、皆ぎゅって近寄ってよ! ツリーも写すんだからね!」
     涼花がアングルを決めた。
    「サンタさん、カメラお願い!」
     伝説の樹を背景に、涼花が合図。
    「いっせーのーで!」
     パァン!
     あちこちでクラッカーの弾ける大音。
     キラキラのお菓子がいっぱい出てくる様子は夢みたい。
    「イクちゃんはまるでサンタさんだね……!」
    「あのね、琴ね、写真部のみんなが大好きッ」
     叫ぶあいす、琴音。
     あ、っと素敵なワンシーンをげっとする仁奈。
     音と共に放たれたお菓子達を拾い集める奈兎。
    「俺甘いもん駄目だから欲しい奴、おいで」
     少しサンタ気分。
    (「隠されていたお菓子を一緒に食べるなんて……何だか、悪戯をしているみたいで楽しい。今日という特別な日を絶対に忘れたくない」)
     文乃が柔らかに笑む。
    (「この時間がずっと続いたらいいのに……けれど、明日はもっと素敵なはずですよ、ね」)
     露が皆を見渡す。
    「だって皆さんが一緒なのだもの」
     皆の声、皆の笑顔。鮮やかな彩りはどこまでも眩しくて。
    (「クリスマスの魔法もきっと無限大。だって、みんなと一緒だもん、留まる先なんてどこにもないでしょ?」)
     この幸せを目一杯に、焼き付ける琥鳥。
    (「こいつらと出逢えた事が一番のプレゼントだ」)
     でも柄じゃないしと、こっそりサンタに感謝する軍。
    「皆で一緒に同じことをするって凄く楽しいんだね! また遊びに行きたいな!」
     ひめが元気に笑う。
    (「皆と一緒に撮った写真は部室に飾ろう。今日は幸せな日」)
     涼花がガーベラの花のように笑った。

    ●余興スウィーツ♪
     伝説の樹の下で変な動きのトナカイダンス。
     そこへカッコよくポーズを決めて名乗るサンタ!
    「葵だけど髪も服も赤い! 長谷堂葵ただいま参上! ……よっしゃ完璧に決まった!」
    「ひゅー! 若干ダメな名乗りがキマってるね、さすが葵!」
     鈴サンタが口笛を吹けば、ギャラリーから拍手と男と林檎が飛ぶ。
     宙に舞う白シャツ黒ベストサンタ帽の男・白焰と林檎数個。
     次の瞬間、白焰が林檎を空中で綺麗にカット、落下中の林檎に楊枝を刺し皿に受けて着地!
     思わず記録撮影ツイートの蝸牛。
     ギャラリーの大歓声の中、皆へと林檎を供する。
     白焰はそのまま近くの丸テーブルで即席カフェ開店。
     葵と鈴のサンタペアに迫るトナカイの影。
    (「トナカイペアにすげえ威嚇されてるどうしよう」)
    「動物をもっといたわれ!」
    「トナカイ使いが荒いぞ、サンタ!」
     トナカイ角で冗談ぽく威嚇する三珠と樹咲楽。
    「わーったわーった労わりますよ! Xmas料理って言ったら肉じゃろ肉。大掛かりなものは大変だから唐揚げだけどね! これ食って英気を養いたまえ。今日は無礼講じゃ」
    「素直に謝るならば、茨城の栗を使ったモンブランケーキをやろう……なまはげじゃないよ?」
     白焰の即席カフェ。
    「珈琲は充分飲めるモノにはなっている筈。鏡花とレイリアもどうか」
    「珈琲って上手に淹れるの難しいんだってね」
    「ミルクと砂糖は少しだけね」
     レイリアが持ち込みの菓子パン、シュトレンを出す。
    「Xmasと言えばこれっ。ドライフルーツとかナッツが入ってて美味しいんだよ。良かったら皆もどうぞーっ」
     周りの皆にも振る舞うミニスカトナカイ、レイリア。赤と緑のXmasカラーニーソだ。
    「私はブッシュ・ド・ノエルを作ったわ。ま、私にかかればこれくらいのスイーツを作るくらいなんてことないわね」
     ミニスカサンタの鏡花。
    「シュトレンとケーキも頂こう。鏡花は多才なのだな」
    「水月さんのケーキ良くできてるなぁ」
    「シュトレンも美味しいわね」
     幸せな3人。
    「今日はクリスマスやし、仲良くしてくれとう感謝を込めて、腕奮ってお菓子作ってきました!」
     深隼、やっぱり王道やんなーってブッシュ・ド・ノエル。
     マジパンのサンタとトナカイ、2人の名前にちなんでチョコの花で飾り付け。
    「うわわすっごく綺麗だよ! こ、これ食べていいの!?」
     感動する百花。
    「おいっしーい! すごいよ深隼くん! 感動のあまり涙が出そうだよ!?」
     白百合にキラキラした目を向ける百花。
    「はいはい、悪くないんじゃない」
     そう言いつつも沢山食べる白百合。
    (「もう、白百合ちゃんってば素直じゃないんだから!」)
    「パティシエ目指してる俺にはちょちょいのちょいやな!」
    (「って、ほんまはだいぶ頑張った」)
     2人の笑顔に、嬉しそうな深隼。
     その隣には伊介と百合。
    「美味しそうに一杯食べる子は可愛いね……!」
     伊介サンタの献上ケーキを「頂きます」と手を合わせるや片っ端から平らげる。
     美味い物で上機嫌の百合。
    「これもうまいぞ」
     一種類ずつ伊介の口に差し出した瞬間、トナカイペアが襲いに来た。
     トナカイペアに変な動きで威嚇される伊介、笑い出す百合。
     サンタが素直に謝れば、モンブランケーキがお皿に乗る。
    「一緒に食べる相手が居るのは、一人で食べる時より美味いし嬉しいんだ」
     兄の様な伊介の誘いに感謝する百合。
    「ゆず、あーんしてねー」
     美味しい料理は大好きな妹にもあげるのが姉の愛。
     ぱくりとさせたら、柚莉の笑顔にとろける迪琉。
    「おねーちゃんにあーんして貰ったから美味しいのーっ」
     ほっぺを押さえ力説の柚莉。
    「おねーちゃん、あーん」
     生クリーム沢山をぱくり。
    「すごく美味しいよう」
     手をつなぐ姉妹。
     サンタの砂糖菓子、大きな苺、チョコの家。
     素敵なものは、あなたにあげたい。
    「メリークリスマス、ゆず! ふたりだから、いつだってすごくすごく幸せだよう」
    「大好きなおねーちゃんとクリスマス過ごせてゆず、学園一! 世界一の幸せないもーとなのっ」

    ●白ひげサンタ
     大きな袋を抱え、どこかへ消える白ひげサンタ。
     その後をこっそりつける1-D。
     星空のプール横を抜け、校舎裏の電飾を眺め、かぴばらとお菓子の家を通り過ぎ、サンタが立ち止まった。
     そうっと覗くと、サンタが赤いソリに乗り込んだ!
     ソリには前4頭、後ろ2頭のトナカイ……の着ぐるみ魔法使い!
    「サンタさんもオツカレ! これ取ってきたんだけど、食う?」
     慧樹の声に、振り向く白ひげサンタ。
     1-Dの皆が笑顔で現れる。
    「サンタさん、僕達をそりに乗せて空を飛んで欲しいです」 
     鞴と優の笑顔に、思わずOKのサンタ。
     まずは皆、サンタの袋から一つずつプレゼントを頂く。
     軽量で安定した装着感のループハンガー『スポーツタイプ・ヘッドホン』は慧樹。
     フワモコの『雪色のミトン』は非。
    『フェレットっぽいキャラのぬいぐるみ』は羽衣。
    『「アーカムテラー」クトゥルフ神話の神々と戦うボードゲーム。君は生き延びる事が出来るか?』は鞴。
    『大きな熊のぬいぐるみ』は優。
     甘い苺の香りの『黒兎のサシェドール』は晶。
     さっそくゲームをしたがる鞴。
     1-Dがソリに乗り込むや、6頭のトナカイ箒の力でふわり舞い上がるソリ。
     気がつけば光画部の腕章付きモミの木、蝸牛が同乗している。
     蝸牛の誇る、極薄の存在感を活かした旺盛な好奇心。
     ここまでくれば天晴だ。
     鈴音を鳴らし空飛ぶソリから校舎を見下ろせば、月星の電飾。
     ツララやトナカイも試験点灯中。
    「これは、夜が楽しみですね」
     さあ、伝説の樹のメイン会場が見えて来た。

    ●Happy Xmas
    「ホワイトクリスマスになったら素敵よね」
     晴天の空に魔導書を開き、なにやら唱え始める鏡花。

    「これ……手編みのストールです」
     ありがとう、と微笑む月子。
     湊へは大人っぽい銀のシックなデザインのネクタイピンを。
     夜も一緒だからと落ち着こうとするも興奮ぎみの湊。
     その手をそっと握る。
    「そんなに飛ばしてると夜までもたないわよ?」
     ほっぺをぷにぷにしてからかう月子。
    「クリスマスはこれからよ!」

     白焰の即席カフェでもプレゼント交換中。
     レイリアには鏡花の『Crimson charm』深紅の宝石の魔除けのお守り。
     鏡花には白焰の、小さく薔薇を彫り込んだ精緻な銀細工のペーパーナイフ。
     良く斬れる逸品を、白焰の蒐集物から。
     白焰にはレイリアのオルゴール。
     さっそくカフェのテーブルに、Xmasキャロルが流れ始めた。 

    「特別にあげるわ」
     微妙に高飛車に内緒の贈り物する白百合。
     深隼にはコーヒータンブラー。
     百花にはイニシャル入りマグカップ。
    「これ、くれるの?」
     自然に顔がほころぶ百花。
     嬉しくて仕方ない深隼。
    「ほんまに幸せなクリスマスやなぁ」
     こんな風にずっと3人、一緒にいられたら。

     七の雪兎入り手作りジェルキャンドルは怜示へ。
     怜示の大きな毛糸靴下に詰められた、オーナメント型のバスボムは慧杜へ。
     慧杜の持ち手がトリガーの銃型マグカップは芳春へ。
     芳春のミツバチの緊縛ストラップは七へ。
     プレゼント交換が終わればデザートを取りに行く芳春。
     嬉しそうにテーブルにケーキとジンジャーマンクッキーを乗せると空を見上げた。
    「……雪!」
     晴天の空に、ふわふわと白い妖精が舞い降りる。
     そして聞こえてくる鈴の音。

    「「サンタクロース!」」
     
     声をそろえた『空と君』、会場中が空を見上げる。
     トナカイにひかれた、赤いソリにはサンタの姿。
    「Merry Christmas!」
     楽しそうな声と共にプレゼントがばらまかれた。
     Xmasカラーのパラシュートでふわふわ降りてくる贈り物。

    「てかこの子、ちょっと怜示クンに似てない?」
    「え、ジンジャーマン……似ているかい?」
     抓んで顔の横に並べて首を傾げる怜示。
    「ハハ、カワイイ~オレ持って帰ろうかな~」
     笑う芳春の目の前に、体長30cmはある『特大サイズのジンジャーマン』が舞い降りて来た。
    「大は小をかねる、だって」
     そんな怜示には『Xmasツリー入り水晶玉の置物』が。
    「あたしは『たい焼き型カバー付きカイロ』だよ!」
     楽しいね、と慧杜。
     七には『最近の趣味っす。第一号。ただバランスが悪い』と書かれた『白のアミグルミ(熊)』。

     吉祥寺高1-3、穹がサラダの手を止めた。
     3人の顔を模したメープル・チョコ・抹茶味のクッキーを3枚ずつ謙遜しながら渡す。
    「私もマフィンを。音符型のチョコ飾りつきは恢君、苺と赤い花飾り付きは穹ちゃん、輪泉君は……チョコ眼鏡! なんて。皆を思いながら、遊んでみたの。今日は、ありがとう」
     恢も手袋を取り出した。依子にはライトグリーン、穹にはスカイブルー、念次にはオリーブドラブ。
    「いつも、ありがと」
     皆からの贈り物に目を輝かせる念次、ダイスのキーホルダーを取り出す。
    「詩詠はブルー、森田はグリーン、瑠璃垣にはクリアだ」
     クリアダイスの中に小さいダイスが入ってる一品。
    「みんなですごすクリスマスも悪くない……むしろ楽しい」
     空から念次に『シックな絵柄でクリスマスの情景が描かれたトランプ』が舞い降りる。
     依子に『クリスマス・ジェルキャンドル』ほんのりシトラス香、聖夜の風景を模す。
     恢に『ガラス細工の天使のオルゴール』。
    「僕、コレも持ってきたんだ」
     穹が手編みのマフラーを取り出した。森田には深緑、恢には青、念次には赤を。
    「今日はみんなありがとうね。楽しいよ」
     恢の手の中で、天使のオルゴールがとびきりロマンティックで甘いメロディを奏でた。

    「あたしから皆にプレゼント! 横浜名物シュウマイセットだ」
     さっそく皆と食べ始める葵。
    「ねね、皆プレゼント何もらった?」
     鈴の手には、ガラス細工のツリー型『聖夜のオルゴール』。
     三珠はふわふわ素材の『ゆきだるまキーホルダー』靴下つき。
    「ボクは『トナカイ型のクッキー』カラフルなアイシング」
     樹咲楽のプレゼントに、笑い始めるトナカイ・ペア。
    「やった! 限定パッケージ『板チョコ5枚組』!」
    『すごく甘い』んだ? と葵。
    「そのチョコ俺からのだ!」
     葵の隣から綴の驚いた声。
    「ツヅル! 見て、セクシー♪」
     隣からエルメンガルトが『「sexyエプロン」チャイナドレス使用のエプロン。勿論ミニ丈』を毛布衣装の上から纏ってポーズを決める。
     綴の手には妙な袋。
     思わず叩くと甲高い笑い声と共に星が飛び出して来た。
    「『笑い袋、の中にラッピングされた金平糖』……」
     皆揃って、お腹を抱えた。

     空からの包みを勢い良く外す真琴。
    「お菓子のつまったサンタの長靴!」
     ほっとする真琴の後ろから黒々の声。
    「ボクからのです……」
     中性的な容姿に鼻眼鏡三角帽の黒々に、思わず笑顔でお礼の真琴。
     黒々の手には『チョコのクッキー詰め合わせ』。
     そんな2人を横目に、アッシュは『柊の葉のコサージュ』を赤と緑の着物に飾る。
     香の手には『Little Christmas』スノードーム、小さなクリスマスの街に銀色の雪が降り積もる。
     煉夜の手には『調子に乗って作ってしまった大型のキャンディ・ケイン(50cm)』。
     本物のステッキの如く扱う煉夜。

    ●伝説の樹
     伝説の樹の上で『カップルでも誕生したら祝ってやろう』と待ち構える谷古宇兄弟。
     そんな双子の手にも、プレゼントが舞い降りる。
    「『サンタ衣装のカッパのぬいぐるみ』陽規、牛久って何処だ?」
     ぬいぐるみに書かれた『メリークリスマス!』『おいでよ牛久!』に釘付けの伊月。
    「『横浜名物シュウマイセット』よし食べよう、伊月♪」
     さっそく樹上で宴会の双子。
     樹下では珊瑚が変幻自在にずっと歌っている。
     その近くの丸テーブルに、ミニハンドベルが並べられた。
     楽器が苦手な江利子の為に、途流が考えた。
     江利子が手に入れたばかりの『手を組み合わせた少女の人形が乗った小さいオルゴール「乙女の祈り」』をテーブルに飾る。
    「巧くできるかどうかは……気にしないよーにするのよ!」
     奏でるのは、Xmasの定番曲。
     江利子が両手のベルを鳴らせば、途流が音を重ねて行く。
     一音一音。
    「ツヅル! あのオルゴール、オレの出したヤツ!」
     エルメンガルトと綴が、江利子と途流の演奏に聴き入り始めた。
     伝説の樹の下、由良がプレゼントを開く。
    「『運命のロザリオ』運命の人に出会うと光る十字架のネックレス……!」
    (「わたくしの王子様……!」)
    「……『ただし誤作動が多いです』? 『運命』は自分の手で惹き寄せますわ!」
     小夜子と結留も伝説の樹の下にいた。
    「手作り猫と子猫のぬいぐるみキーホルダー。おねーさまへのクリスマスプレゼントなのです!」
     お返しにと、手編みの耳あて付き帽子を取り出す小夜子。
    「かぶせてやるからおとなしくしてろって――」
     被せてポンポンと頭を叩く小夜子。
    「わ、わ……」
    (「顔が近い……今しかないのです!」)
    「……え?」
    「こ、ここでキスすれば、ずっと一緒に居られるって聞いたのですよ!」
    (「……ずっと一緒に、な。かわいいこといいやがって」)
     頬に手をそえる小夜子。
    「……大好きだぞ、ゆえる」
     呟いて抱きしめる2人に、舞踊る紙吹雪。
    「さて、クリスマスを楽しみますか」
     FGR女子部の3人も伝説の樹の下にいた。
    「プレゼントどんなものがもらえましたか?」
     シャルルの問いに、鶫がしゃらりと鳴る、星型のシルバーをいくつも連ねたペンダントトップ『スターゲイザー』を、そっと見せる。
    「今日は楽しかったわ。また3人で遊びたいな」
     眠る『羊のサシェ』の甘い香りに包まれて言葉を紡ぐ篠。
    「こんな雰囲気ならクリスマスの奇跡があるんじゃないかってて信じちゃいますね。お二人にもそして私にもクリスマスの幸せを。メリークリスマス」
     シャルルが、ほわりと。

     生演奏が一段と大きくなり、気づけば皆が歌を口ずさみ身体を動かし始める。
     いつのまにか配られたクラッカーを皆手にすれば、白ひげサンタが現れた。
     ーー今年も一年、ありがとう。
     来年も、どうぞよろしく。

    「Merry Christmas!! & Happy New Year!!」

     クラッカーと共に、谷古宇兄弟の仕掛けた極彩色の風船が会場中から放たれる。
     伝説の樹上でハイタッチする伊月と陽規。

     音楽が軽やかなヴィエニーズ・ワルツへと変わる。
     さあ、舞踏会の始まりです!

    作者:atis 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年12月24日
    難度:簡単
    参加:65人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 14
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