クリスマス~ふぉーちゅん☆きゃぷちゃーず

    作者:黒柴好人

     ここ、武蔵坂学園には伝説の樹というものが存在する。
     名前からしても伝説だが、これがクリスマスになるとさらに伝説色が濃くなるのだ。
    「何ッ!? クリスマスツリー頂部に燦々と輝く飾りのお星さまを手にした者には幸運がもたらされるだと!?」
    「え、なんで今僕が言った事をそのまま反芻したの?」
     学園の廊下の壁に背を預けて話をしている2人の学生の内の1人が大げさに驚き、もう1人を若干引かせていた。
    「それで具体的にはどういう話なんだ!?」
    「ああ、うん。クリスマスパーティってあるでしょ、学園の」
    「雰囲気的に俺とは縁が遠そうだよなぁ」
    「そうかもね」
    「否定しろよ。してくれよ」
    「それで伝説の樹が飾り付けられてクリスマスツリーになって、その周囲でパーティが催されるんだ」
    「それで?」
    「本番は夜さ。パーティが終わった後……ツリーには猛者たちが集まる。目的は――」
    「お星さまか!」
     その通りだとインテリ風の学生が頷いた。
    「その星を手に入れると『幸せ』になれるそうだよ」
    「なるほど! 勝手に登って取っちまうわけにはいかないんだな?」
    「そう。これもイベントの一種のようなもので、学園もまあ大体容認している競技みたいなものでね」
     当日は参加者や観戦者、どこからともなく現れる実況やその他で大変賑わうそうだ。
    「競技って事はルールも?」
    「そうだね。ただしルールは単純明快。キミでもすぐに覚えられるさ」
    「俺馬鹿にしてんの? されてんの?」
     一つ、自らの手足を用いて登り切り、☆を獲得すべし!
     一つ、目的の為ならば他者の妨害も認める! 但し殲術道具の使用は禁ずる!
     一つ、みんなでなかよくたのしみましょう。
    「3つ目、何?」
    「楽しまないと面白くないだろ?」
    「あ、ハイ……」
     星を取れなくても妬み恨まず、達成者を素直に祝福しよう。といった所だろう。
    「それで、具体的にはどう登ればいい? ただの樹じゃないんだろ?」
    「フ、キミも成長したね。いいよ、ここで作戦の考え方を伝授しよう!」
    「上からっすなー」
     
     目標の樹は装飾などが華麗に施されたおよそ10mのクリスマスツリーである。
     一見登るのは困難そうに思えるが、諸君は灼滅者。何とかなるものだ。
     何とかなるのは全員同じ。つまり、基本的には皆、本気を出せば同じ速度で登る事が可能なのだ。
     それでは雌雄を決し難い。そこで、登っている最中にどのように行動するかの指針、作戦の出番というわけだ。
     ここは仮に、諸君の登攀ポテンシャルを10点としよう。
     この10点を4つのカテゴリーに自由に振り分ける事で、自らの行動を数値化するのだ。

    ●速度
     上、あるいは左右に動くスピードだ。
     高ければ高いほど速くなり、妨害に対する回避力も上がる。
     しかし思わぬミス、例えば足を滑らせてしまう確率が上がったり、妨害を避けられなかった際により大きな効果となってしまう可能性があるぞ!
     【登攀速度↑↑↑ 登攀精度↓↓ 妨害回避↑↑↑ 妨害防御↓↓ 妨害力↓↓】
    ●技量
     登攀に関する知識や技術の練度。安全を確保しながら進むには必要不可欠な能力になる。
     ポイントを振ってもあまり登攀速度は上がらないがミスは少なくなり、妨害を受けた際の効果を小さくする事ができる。スゴイ!
     【登攀速度↑ 登攀精度↑↑↑ 妨害回避↓↓ 妨害防御↑↑↑ 妨害力↓】
    ●妨害
     攻撃専用能力。ライバルをあの手この手でジャマしてやれ!
     妨害の命中率や成功率に影響する。
     妨害が成功すると相手を足止めしたりずり落としたりといった効果が発動する!
     妨害回避が高い相手は命中が困難。妨害防御が高い相手は、1m落とせるところを50cmで踏み留まれてしまったりするぞ。
     妨害対象を名指ししたり、「素早い奴を狙う」などの指定もできる。うまく活用せよ!
     地面からの妨害は全面的に禁止という点にも注意だ。妨害すれども紳士たれ!
     【登攀速度- 登攀精度↑ 妨害回避↑ 妨害防御↓↓↓ 妨害力↑↑↑】
    ●幸運
     全てが終わった時、頂点を制しているのは幸運の星の下に生まれたあなたかもしれない。
     ポイントを振ると一見無茶っぽい行動がうまくいく可能性が高くなる……かもしれない。失敗したらそれは、それで。
     【登攀速度↓ 登攀精度- 妨害回避- 妨害防御- 妨害力- プレイング超重視】

    「――うまく自分に合わせた力の振り方を考えると、うまく登れそうかな。あ、ちなみにサイキックやESPも使用禁止だからうっかりダブルジャンプとかでズルしないように」
    「大体わかったぜ! つまりライバルをとことん邪魔しまくってやればいいんだな!」
    「ああ、あまりに見るも無残な妨害ばっかりしていると、人知れず魔神生徒会に消されたりするかもしれないから」
    「怖すぎだろ、魔神生徒会」
    「ところで、キミは星を手に入れたらどんな幸せを願うつもり?」
    「そら、幸せっていったら……なあ?」
    「フ、愚問だったね」
    「ああ。幸せと言ったら」
     2人は息を吸い、そして笑顔で向き合いながら言った。
    「彼女と一緒に幸せな学園生活を!」
    「彼女ができて幸せな学園生活を!」
     それは同時の宣言だった。
    「え?」
    「あ?」
     やや脳みそが筋肉質な生徒が友人を睨みつける。
    「なんつった? 今、何と申された、か?」
    「あれ、知らなかった? 僕、彼女ができたんだけど」
    「ああ? 聞こえませんなー。聞こえ……響き渡ったわ! 俺の脳内に!!」
    「おやおや、嫉妬かい? これだからノー彼女は」
    「なんだと!?」
    「やるかー!?」
     クリスマスは、誰もが幸せを享受できる日ではない。
     クリスマスは、戦火が揺らぐの木のぼりの日である。


    ■リプレイ

    ●開幕!
     クリスマスツリーに登っててっぺんの星飾りをゲットしろレース、通称『ふぉーちゅん☆きゃぷちゃーず』へようこそ諸君!
     この場は武蔵坂学園でそれなりの事情通と自分の中で話題のこの私が実況を務めさせていただく!
     現在、樹下ではずらりと集まった参加者たちがツリーを中心に円状になってスタンバイしている。
     ここまでの誘導は魔神生徒会の補佐に立候補した摩那が行なってくれたぞ!
    「同じクラブや因縁のありそうな人同士をなるべく近い位置に配置しました」
     んー、ナイスな配慮だー!
    「一つ……天上ならぬ樹上の星を掴んでみるか!」
    「あの星を絶対につかむんだ」
     光影とるりか。同じような動きで腕を真っ直ぐと伸ばして星飾りに向ける。予告ホームランならぬ予告ゲットだー!
     さあ、そろそろレース開始だ。参加者が息巻く中、今……笛が鳴った! レース開始だぁー!!

    「皆の衆、いざ尋常に勝負!」
    「うん、それでは正正堂々がんばろ~!」
    「全速力で参ります!」
     有閑倶楽部の面々がスタートを切った!
     武士、くるみ、雅が一線に並び、一斉に幹へと取り付いた!
     同じエリアに吉祥寺キャンパス中学2年B組のクラスメイトたちが流れ込む!
    「お星様が私を呼んでいるぜ!!」
    「アタシも呼ばれてる気がする。けど、ロマンの欠片も無いねぇ」
     汐、次いで小梅がツリーに飛び付く!
    「む、天下を取るのは、わたしでござるよ!」
     2人の声が聞こえたか、武士がコースを変えながらじわりじわりとスピードは遅いものの堅実な登りで確実に高さを稼いでいく!
    「先行して安全を確保します」
    「かたじけない!」
     雅、武士を上回る速さで樹を登る! そうして安全な枝を指示して武士とくるみを誘導する。ついでに高い位置から他からの妨害を警戒している!
    「えへへ、皆速いねー」
    「僕たちは少しのんびりしながら登ろうか。賑やかな様子は見ていても楽しいからね」
    「そうだね♪ 私、体力とかちょっと自信ないから皆についていけないかもしれないけど、そういう楽しみ方もあるよね!」
     吉祥寺2Bの残りのメンバーの紗と響斗はやや後方で少しずつ登っている。
     さて再び上方に視点を戻そう。
    「生き別れの妹がどうとかそういうエピソードの二つや三つあれば違うんだろうけどなぁ」
     修也、安定した登攀を見せているがしかし、勝利へ導く回想は何一つ無かったようだ!
    「と、余計な事を考えている場合じゃない――ぶっ!?」
     おおっと! どこからともなく雪玉が修也の顔面に直撃ー! 一体どこからの攻撃だ!?
    「ヤハハ、雪球をホズミの顔面にシュート!」
     何と白い怪盗服でカモフラージュしていたモーリスによる一撃だった! 超エキサイティン!
    「やったな、モーリス……。八月朔流地獄投げ!」
    「オット、そんな勢いだけの攻撃当たりマセンネ」
     修也、手近な雪だるまの飾りをモーリスに投擲! しかしミス!
     2人はここで物体の投げ合いに発展する!
    「あ……ちょっとそこの格好いい兄さん」
    「ん? 今忙しいんだけど……ってい!」
     おや、汐が修也に話しかけたぞ。
    「すぐ終わるって。髪に葉っぱがついていい男が台無しになってるぜ。取ってやるよ!」
    「それは助か……」
     キュートな笑顔で手を伸ばす汐。これは親切。
    「おーっと手が滑ったぜー!」
    「うおお!?」
     パンチだー! 汐、パンチを放った! が、修也は急いで上へ移動して回避!
    「危ない所だった」
    「……ホズミ、どこ掴んでマスカ?」
    「どこって――あ」
    「お約束デスネ、ホズミ!」
     ん? 修也が掴んでいるのはモーリスの脚だ。慌てて登ったものだから誤ってモーリスの脚を掴んでしまった!
     しかしまだこの状態ならリカバリーが。
    「あはは、修也先輩、はっけーんっ」
    「な、舞夢! しまった完全に敗北フラグが立ってるじゃないか!」
    「えーい、げしげしっ」
    「や、やめ!」
    「ホズミ、手を離」
    「あ」
     なんてこった。舞夢のキックにより完全に力尽きた修也はモーリス諸共真っ逆さまだー!
    「ひゃーっ、ぜっけいかなぜっけいかなー!」
     そして周囲の景色を楽しむ舞夢。
     なんと恐ろしい子か!
    「ヤハハ、まさか雪に埋まるだなんテ」
    「第二ラウンドだ、モーリス!」
    「地獄投げデス」
    「げえぇ!」
     スープレックスをかまそうとした修也だったがモーリスにカウンター投げをされてしまった!
     ちなみに完全落下しても再登攀が可能だ。何度でも甦れ!
    「何か知らないけどラッキーだぜ。このまま一気に――」
    「ホーホーホー! 良い子にも悪い子にもサンタからクリスマスプレゼントだ!」
    「へ」
     全身黒尽くめな上に黒いサンタ帽をかぶった陽炎が投げた箱をつい手に取ってしまった汐。
     急に破裂音と共に箱が弾け、中からおもちゃのようなモノが飛び出した!
    「そんなのアリかー!?」
     そして落下!
    「小梅、後は任せたぜー!」
    「ぜぇぜぇ……あ、うん……」
     あーっと小梅、息が完全に切れている!
    「くっそ、分かっちゃいたケド皆速すぎンだろ……!」
     悪態をつきつつも、しかし小梅には何か秘策がありそうだ!
    「秘技! よ~じ~げ~ん~フ~ド~~~」
     小梅の秘策はなんかアレだった! ね、アレね!
    「せいッ!」
     なんとフードの中に大量のゴムボールが仕込まれていたようだ!
    「わあ、小梅さんすごい! そのボールわざわざ用意してたの?」
    「ま、まあ……大したこと、ない……よ……」
     体力が致命的だった!
     無差別に散弾のように飛び出すゴムボールが有閑倶楽部のメンバーを襲う!
    「迷ってる暇があったら、走らなきゃ……!」
    「むう、小癪なー!」
     地味ながら妨害の効果はあったようだ。
    「……が、がんばるもん……」
     と言うがくるみ、ゴムボールに気を取られ先に進めず……足を滑らせてしまった!
    「しまったでござる!」
     このまま真っ逆さまで雪上に人型の穴を開けてしまうのか!?
     む。何か空を飛ぶものがくるみを横切って……な、なんとタージが空飛ぶ箒で空を飛び、くるみを空中でキャッチしたー!
     が! これはESPの使用なのでタージは失格になるぞ!
    「あ、その……」
    「気にしなくていいよ。星は取れなくても、くるみをお姫様だっこできたから、これはこれで、いいんじゃないかな」
     そんな事を言われたら赤面するしかないくるみ!
     失格だが、特別紳士賞でもあげたいくらいだ!
    「よーし戻ってきたぜー!」
    「お、かえり……」
     ここで汐、小梅の位置まで復帰! だが小梅は消耗している!
    「ホーホーホー!」
     そして黒いサンタの攻撃は続いていた!
     破裂する箱を大盤振る舞いする陽炎!
     その箱は運悪く汐たちの間に落ちて……。
    「「あ」」
     炸裂! その衝撃にまたも落ちる汐! だが今度は小梅が隣にいる!
    「あたしが助け」
    「られればよかったなー」
     しかし小梅の腕力は限界を突破していた。ので掴もうとしつつ一緒に落下!
    「おっと、危ないよ」
    「わあっ、ありがとうだようっ」
     響斗は咄嗟に紗を庇い、箱の衝撃から守る。
     うむ、こちらもかなり紳士レベルが高い! が、
    「こっちも危ねぇー!」
    「魅せ場到来かもねー、響斗」
     落ちてくるのは箱だけではない。女子2人を支えられるか響斗!?
    「このメンバーだと男子は僕だけだからね、頑張って支え……」
     しかし足場はごつごつした樹。
     ちょっと無理っぽかったかなー。
    「結局また雪の上だぜ……」
    「あはは……ごめんね。でも痛くなかったよね?」
     落ちはしたが、身を呈して女子を守る姿勢はお見事であった!
    「み、皆大丈夫ー?」
     そして樹上に残った紗はややあって登り出すが黒サンタのプレゼントは降ってこない。
     何故かってそりゃ。
    「はーい、危険物をバラ撒かないようにー」
    「おのれ魔神生徒会! だが第二、第三の黒サンタが……もがが」
     魔神生徒会補佐の摩那のもう一つの仕事、『目に余る妨害者をハリセンで叩き落とす』の遂行により陽炎は逆さまに雪に埋まっていたからだ!

     こちらのエリアでも参加者たちが熱くしのぎを削っている!
    「いい腕だ。お前は何を願う?」
    「……木登りも修行の一環だ……別に……願いを求めているわけじゃない……」
     水泳を嗜んでいるという徹太は水泳ゴーグル越しに並走する白夜に視線を送っている!
    「修行か。それもいいだろう。今が願うという行いそのものでもあるのだからな」
    「……今が、そのもの……」
     お互い1cmも譲らず、しかしどこか通じ合っているような気がする!
    「勝って願いを叶えてみたい……。でも、だからって妨害に手を染めたりはしないぜ! そんなのは卑劣漢のする事だ!」
     さらに光影が迫る!
    「懸命だ。俺が落ちる場所は『人の心だけ』だ」
    「……出る杭は打たれる……その逆もある……それだけ」
     一直線って感じでいいね、このエリア!
    「つまり有り余るパワーを全力でぶつけてるって事だよな。それが青春ってやつだ!」
     あーっと、慧樹も軽々と枝葉を掻い潜り、集団に近づいて来ている!
    「俺は共闘できないが仲間同士の足の引っ張り合いも関係がない! 思う存分俺の意志ひとつで全力を出せるんだ!」
     慧樹の言葉に先行者たちは「確かに」と言葉少なく、しかし微笑をたたえて頷いている!
    「ただ星を取るだけで幸運が訪れるか? よじよじ這い登って幸運が掴めるのか?」
    「「「!?」」」
     なんと更なる人影があらわ……れ?
    「否! 幸運とは困難を踏み越えて己が両手で掴み取るものだ!」
    「な、なんだその動きは!?」
    「……まるで」
    「まるで樹を走っているようじゃねぇか!」
     そう、新たに一団に加わったこの男、十三は垂直に走っていた!
    「私はこの幸運の木を制覇しに来たのだ! どんな困難も文字通り踏み越えてみせぐはあー!!」
    「落ちた」
    「落ちたな」
     そりゃいくら灼滅者でも無理っぽいよねー。
    「いやあ、いい画が撮れました」
    「何ッ、いつの間に!?」
     本当にいつの間にかにょっきりと枝々の間から顔を出したのは光画部の腕章を輝かせる蝸牛!
    「さっきまでこの周囲には自分たちしかいなかったような」
    「謎の転校生だから移動方法も謎なんだよ」
     ……ふ、ふうん。
    「そういうわけで、次の参加者の様子を撮影してきますね」
     同じ場所に首を引っ込める蝸牛は、いつの間にか消えていた。
     謎情報によると、彼は現場を記録撮影し、場合によっては携帯端末からつぶやいたりしているとか。

    「どいつもこいつも血気盛んやな」
    「そうだねー。こんな寒いのにみんな燃えてるよねー」
     夜月・姫月ペアは冷静に兄妹の力を合わせて登っている。が、そんな彼らの近くにあの兄妹が迫る!
    「俺たち極悪非道の陽瀬ブラザーズ!」
    「星は修也兄妹のものだ! みんな平伏すがいいよっ」
     妹のすずめが妨害をで他者を陥れ、その隙に兄の瑛多が登る! 見事なコンビネーションが話題の兄妹だー!
    「ところでこの作戦だと私、どうしても遅れるんだけど……裏切らないでよ?」
    「いやだなぁ、すずめ。お兄ちゃんを信じろよー。お宝の星は山分けさ!」
     あー、これは絶対配分で揉めるパターンだわー。
    「それならいいけど。そういうわけだから、ごめんねお二人さんっ!」
     説明の通り、すずめが長物の飾りを使って夜月たちに襲いかかる!
    「ち、ちょっと! あっぶないなー!」
     姫月、夜月にしがみついて何とか回避。
     だが安全そうな枝が少ないエリアまで押し出されてしまった!
    「ふん」
     しこしここでも冷静に飾りをむしり取ると瑛多に投擲!
    「はっはっは、お先に――イテ!」
    「ちょっとお兄ちゃん!? 私がサポートしてるのに当たるってどういうこと!?」
    「姫ちゃんより上に行く奴はみんな落ちたらええんや」
     息を吐きつつ手首をコキコキ回す夜月。クール!
     だが割りと遅れをとってしまった。
    「うーん……そうだ! ちょっと……」
     なんと姫月、夜月の肩に足を乗せ、一気に上の枝に飛び乗るつもりだ!
    「しっかり支えてよねー」
    「もちろんや、姫ちゃん」
    「よ、っと」
    「なあ、姫ちゃん木登りするのんやったらスカートの下に短パン着けんとあかぶべしっ!」
    「バッカ! 上見ちゃ駄目!」
     妹の勇姿を見上げようとした夜月の顔面にめり込む姫月の靴。
     兄妹とはいえ当然の報い!

    「クリスマスケーキがかかっているんでな。悪いが邪魔させてもらうぜ」
     十夜、そんな事を言いながらるりかに妨害を、
    「怖いっ」
    「う」
     目を潤ませるるりかを前に、持ってきた人工雪をぶつけようとしていた十夜の手が止まる!
    「おっと、るりかに手は出させないぜ!」
    「しまった! ここで真白に離されるのは不味いか。なら!」
     黒虎に雪を吹き飛ばされた十夜は妨害をやめ、代わりに枝を掴んだ。
     その少し上では十夜を見て彼の対戦相手である優樹が笑っている。
    「お財布の準備ちゃんとしといてよ。空になるまでおごらせるんだから」
    「目を輝かせてるところ悪いが、俺もまだ負けたわけじゃないぜ?」
     十夜と優樹は、レース終了時点でどちらがより高い地点まで登れるかを競っているようだ。
     そこへ闖入するのは鈴音と緋頼!
    「面白くするためには妨害も大事よねって事で! ひよひよ!」
    「了解です、鈴音さん。行きます、バトンゲート!」
     トワリングバトンを交互に投げ合いながら投擲をする高等技!
     両者間に挟まれると危険だ!
    「やっと追いついたぜ、真白!」
    「あ、丁度いい所に」
    「真白? って、どうして俺の下に隠れて……なっ、これは!?」
     なんと優樹、十夜を盾にしてバトンをやり過ごした!
    「それじゃお先に、風雷さん!」
    「ま、まあこういう事もあるよな……」
     ゲートは黒虎たちに迫っていく!
    「雪を下に向けて落としたりしたけど……なかなかしぶといわね、あの2人」
     黒虎一行のひとり、夜桜が苦々しく残弾ゼロを告げる。
    「こうなったら仕方がない。俺がるりかと夜桜を守る!」
    「守るって……それじゃ風水さんは!?」
    「女子を守らないで何が男だ! ……まだ協力中だし、もし落ちてもまた登ればいいからな」
     黒虎、男を見せる!
    「見える、ボクには動きが見えるよ」
     まずはるりかが援護を受けながら範囲外の枝へ。
     そして背中で庇いながら夜桜も加害範囲から遠ざける事に成功!
     だが!
    「るりか、後は任せたぜ……」
    「風水さん? その枝は――」
     夜桜たちを逃すためには自分の足場を犠牲にしなければならなかった!
     徐々に黒虎の体は後ろへと倒れて……。
    「風水さん! 掴まって!」
    「夜桜……!」
     手を伸ばした夜桜はしっかりと黒虎の手を握り締める!
    「……白、か……」
    「しろ? え、ちょ、何処見てンのよ!?」
     いやあ、お約束というか。黒虎の一言でバランスを崩した夜桜は、いつの間にやら着地態勢に。
    「You……bastard……」
     黒虎を下にして雪上に折り重なる2人。
     大丈夫そうだが、後が怖そうだ!
    「今のでバトンがどこかにいっちゃったわね」
    「でもまだまだ投げるものはあります」
     ペットボトルや指輪、木刀にトンファーまで。鈴音たちのキャッチボールは過激さを増した!
     これを突破できる者はいるのか!?
     そんな懸念をよそに、梓・暦兄妹がその歯牙に掛けられようとしている!
    「例え魔神生徒会が、世界が敵に回ろうとも……俺は妨害をやめない!」
     数々のアイテムがぶつかろうと梓は怯まない!
     このまま妹を守る盾になるのか!?
    「既に見切った! 暦に向かう妨害は全て叩き落とす!」
    「これは!?」
     梓、雪玉で飛び交うアイテムを次々と撃ち落としていく!
     それらの幾つかはビリヤードのように跳ね返り緋頼らへと。
    「し、しまった!」
    「まさかそんな方法で返されるとは、ね」
    「いけ暦。真っ先に星を掴みとれー」
    「了解。狙いに行くよ。兄さん」
     ボロボロになりつつも妹を促す梓。これぞ兄の鏡だ!
     障害は排除され、暦はするすると登っていく。それを満足そうに見送ると、後続者たちに叫ぶ!
    「妹の幸せを願う兄貴の屍。越えられるものなら超えてみろ」
     このエリアは修羅と化すだろう!
    「ありがとう。でも屍になられるのは困るんだ、兄さん」
    「実際にはならないから安心しろ、暦」

    ●激戦!
     レースも中盤。
     ArcadiAの潮と彰二、その速度が光る!
    「こっちはクリアだ。彰二は大丈夫か?」
    「大丈夫だ。オレは、どうしても……ッ、星が、欲しいッ!」
    「……今の、駄洒落?」
    「馬鹿野郎本心だ!!」
     そういう事にしておこう。
     そんな両名に迫るのはAtelier ARNICAのくるみだ!
     小柄な体格を生かし難なく細い枝さえも乗り越えて進む。これは速い! ミニスカサンタなくるみ、かなり速い!
    「こんな樹、どうということは――あ」
     あーっと! 速さが仇になったか。不注意で細い枝から足を滑らせくるみ転落ッ!
    「いったーい! ちょっとさっきから私に恨みでもあるの?!」
     くるみ、実は初の転落ではない。これで3回目なのだ!
     しかしリカバリーは早く、すぐに先頭集団まで追いつく。が、滑落する! なんとタフなサンタ少女か!
     もう数mの高さを突破し……。
    「って、またこの枝?! 何でもっとしっかりしてないのよ!」
     これはミス! またバランスを崩して……おっとだが、
    「え、あ、大丈夫ですか?」
    「あ、ありがとうございます……」
     同じクラブの檀がくるみを支え、落下を阻止したー!
     檀は慎重に慎重を重ね、安全第一で登っていた。足場も安定したところのみを選んでいたため、人を支える事など容易だった!
    「私の場合、後先考えない突撃はくるみさん以上に大ピンチにつながって後で泣くことになりそうなのです」
     サンタ服の上に学ランという妙な出で立ちの同クラブ員、ティナーシャが2人の近くでじっくりと高さを上げてきている。
    「そういうわけで、目立たない着実な努力がかっこいいのですよ」
     速さと確実さを重視したバランスのいい登攀を見せるティナーシャ。その姿勢は格好いいぞ! たぶん!
     さて、このエリアにはもう1つ勢力が存在する。
     その1人、亜熱帯観察部*kokopelli*の三郎がぐんぐんと力強い登攀を見せている!
    「うおぉおおお! 彼女……じゃなかった、星は誰にも渡さ~ん!!」
     なんという気迫か!
     ちなみに確かな情報によると、三郎が身に着けているイヤーマフ、ハートのアップリケが施された軍手、それからどこかに持っているであろう星の形をしたエコなカイロはそれぞれ同じクラブの女の子からプレゼントされたのだとか!
     実にうらやまけしからんぞ三郎ー!
     ……ん、1人違う? ま、まあともかく。
     そのプレゼントした女の子たちは実は同じく参戦しており、三郎の栄光のロードを築くために周囲へ様々な妨害を行なっている。
     とことんけしからんな、三郎!
    「三郎はん、そっちはあかん、人多いで?」
    「おお本当だ。ありがとう史子ちゃんセンパイ!」
     三郎の下方、史子がちょっとしたナビを行い、ひかるや颯夏、灯倭が周囲への妨害を。
    「危ない!」
     ノエリアが警鐘を鳴らし、周囲が警戒の色を強めてもなお彼女たちは強行する!
    「えい! やー! さぶさぶの邪魔をしたら許さないんだから!」
    「これで足を止めてみせる」
     このようにひかるはぴこぴこハンマーで彰二に殴りかかり、颯夏はティナーシャに自前の菓子を投げつける!
    「させませんよ」
     しかしアルカ、彰二を狙ったぴこハンを代わりに受け止め、同じ力で振り払った!
    「わわっ!?」
    「……先に攻撃を仕掛けてきたのはそちらですから、文句は受け付けませんよ!」
    「助かったぜ!」
     彰二の進行に影響が出なかった事を確かめると、アルカはここぺり勢に迎撃の構えを見せている。
     一方のティナーシャ、飛んできた菓子をしゅばばっとゲット!
    「……おかし? かっこいい私が評価されたのですね」
    「遠いからといってお菓子じゃ無力か。いや、相手が痛くないならいいのだけど……ボクの心は、痛むな」
     ほんの少し足を止める事はできた気がするが、それ以上に颯夏の貴重な菓子が失われてしまった!
     これは自分に大打撃か、颯夏!
    「その右のルートは枝も太いし、人も少ないかな。2人とも頑張って!」
    「任せろッ」
    「了解だ」
     ノエリアはクラブの仲間をナビし、そして妨害に対して目を光らせる!
    「私の目が光っているうちは、誰にも手出しさせないんだから!」
    「せやかて、うちらも負けるわけにはいかないんよ。灯倭はん、ちょっと」
     史子に作戦を伝えているのか。灯倭は若干顔を赤らめるが、意を決した表情で動き出す!
     その先には門番のように周囲を警戒しながら登っているアルカ!
    「ねーねー、そこのお兄さんー!」
    「ん……?」
    「そう、そこの君! イケメンさん!」
     振り向いたアルカに……わーお! 灯倭、眩しいくらいの笑顔で、かつ胸を左右からぎゅっと寄せておいろけアピールだ!!
    「……」
     同様の方法で全ての妨害をカウンターしてみせるといった気概を見せていたアルカも、さすがにこれは如何ともし難い!
     そのままふっと目を逸らした!
    「ああっ! ちゃんとこっち見てよー、イケメンさーん!」
    「そういう訳にはいかないでしょう……」
     この状況をどう打破する!
    「あら、あなた」
    「えっ?」
     不意に灯倭の下から声が掛かったぞ。
    「……見えているわよ」
    「見えてるんじゃなくて見せて……って、え、どこが!?」
     ぞくりとする声音に思わず灯倭は自分の衣服を確認。
     声の主はArcadiAの巳桜だ!
    「わたしを忘れて頂いては困るわ」
     巳桜は身を翻すと、次なる目標へ視線を向ける!
    「え、あたし!?」
    「さて、どう可愛がってあげようかしら」
    「可愛え二人の御邪魔をしたら馬に蹴られてしまうんよ?」
    「ふみこちゃん!」
    「あら、それは楽しそうね」
     ぴこぴこハンマーを持った史子が巳桜に迫る!
     と、少し上でも動きがあったようだ。
    「メリークリスマス、プレゼントだ」
     お、潮が何か液体を撒いたぞ。な、なんと油のようだ! これいいの?
     ……範囲も拡散しなかったし、ちょっとしか流れなかったからいい? むしろ面白くなっていいんじゃね?
     とのジャッジの話。
     まあやりすぎはよろしくないがね!
    「怯な気もするがこれは戦争だ……仕方ない」
    「可愛子ちゃん達の応援がある限りオレってば登るんだし! うおおお、お、お?」
     あーっと! その影響で三郎滑る! ぬるりと滑っている!
    「さぶさぶ、危ない!」
    「ごめーんヒカヒカー!」
     危うし三郎! だが、なんという事か。そんな彼に救いの手が!
    「掴み、ました。これで大丈夫、ですよ」
    「おお……助かったんだぜ!」
    「って、それ妨害してきたクラブの人じゃないの!」
     なんとその手は壇のもの! 言わば敵をも救う壇!
     これにはくるみも唖然の様子!
    「……あ、競争でした、ね。でも、見過ごせない、ですし」
    「まあ悪いとはいいませんけど……」
     ここに仄かな友情が芽生えるのか?
    「やー! よくもさぶさぶをー!」
    「さぶさぶ頑張れー!」
     ここぺり、妨害の矛先を潮一点へ!
    「戦争に恨み辛みは付き物か。けど――」
     どうなる多人数参戦バトル!

    「ふぉ……っ、やっぱり高いですね……」
     じっくりと歩みを進めるあらん。小柄ながらもいよいよ頂点が見えてきた!
    「よっ、と。次はこの枝に」
     実はかなり綿密な登攀を見せていたあらん。
     小学生恐るべしである。のだが、下から迫るのは邪悪な気配!
     一気に距離を縮めてきた棗があらんに並ぶ!
     そしてあろうことか今、「はん」って鼻で笑ったー! それに気を取られたか、あらんは手が滑ってしまう!
    「ふあっ! こん、な、ところでー!!」
     ナイスガッツ。何とか持ち直したが結構調子が乱されてしまった。
    「妨害など恐れず突き進めー! 我が幸運をここに在り!」
     そう息巻き、気合を入れてスパートをかけ始めるワルゼーのもとにも奴は現れる!
     自分の力量、そして他人の力量を慎重に精査、検討して幾度も駆け引きに勝利してきたワルゼー。
     取るべきコースも左螺旋状と、妨害対策も万全……だが、やはり絶対ではない。
    「む。そこの凡愚、どかんか!」
     進路上には意図的にブロッキングする棗が!
     回避は余裕だが、少し遠回りせざるを得ないか!
     棗は次なる妨害というか嫌がらせ? の目標をレトロゲーム部の悠へと定めたようだ!
    「俺もなかなか頭脳派だな」
     ルートを割り出し、最適化を図る。幾度と無く攻略法を考えてきた悠にとっては造作も無いか!?
     だが、敵キャラは現れる! 棗だ!
    「悠隊員、気を付けてー!」
    「おわあっ!」
     同じクラブの柚莉の警告によってギリギリ防御態勢は間に合ったが、それでも足を引っ張られて少しずり落ちてしまった。
    「やっべー、妨害すんのが超楽しい」
     これまで数々の参加者を妨害しまくってきた棗。目的が変わってしまっているぞ!
    「ほら、あの瞬く星を掴んだらミニスカサンタがやってくる♪」
     ふと、棗の下から歌声のようなものが。
    「そうだウサミミも追加しよう?」
    「……」
     ど、どうした棗。あきつの言葉に動揺しているのか、足が止まっているぞ。
    「ナ、ナギちゃんにだけは負けられねぇ!」
    「一度先んじたらそれを譲るわけにはいかないな」
     あきつに追い抜かれてから再動する棗。これは負けたほうが罰ゲームでアレなのか。
     さて負けていられないレトロゲーム部!
    「ゆー兄~っ、新しい顔……じゃないや、おやつのチョコだよう!」
    「おねーちゃん!?」
     そうして迪琉が悠に投げるのは、雪玉!?
     意図を悟ってか、悠は放物線を描く雪玉を顔面でキャッチ! 顔を雪まみれにしながら笑顔を返し……おお、そのクチにはチョコが!
    「みちすごい、天才♪ これでゆー兄は元気全開だよう!」
    「わぁ、おねーちゃんナイス東急、なのっ。悠兄頑張って、だよー!」
     これは感動せざる得ないだろう。そして何としてでも勝たねばならないだろう!
    「ゆず、みち……。くーっ、やってやろうじゃねぇか!」

     一方、こちらではましろが月人から一歩リードしている。
    「やっぱり人が少ない所を狙ってささっと登ると早いんだよ」
     そうパンダ姿のましろが。
    「はっ……ぱんだだけに『笹』っとね!」
    「……ましろ、今のは」
    「あ、盗っちゃだめだからね、今の」
     それはどうだろうか。
    「そうだ、勝つためにしっかりと妨害しなくちゃね。ぱんだだけに!」
     ましろが瓶を取り出した! 中身は……胡椒のようだ。
    「これをぱらぱらと……あっ」
     手が滑ったか! ましろの瓶は月人の顔面にゴスリと音を立てて落ちた。
    「ご、ごめんね月人くんー!」
     さらに一方では牢也が妨害を楽しんでいた!
    「欲しいのは幸運よか楽しさなんスわ」
    「だからって俺の邪魔すんじゃねーっつーの」
     それを相手にしているのは兎紀。
    「ぜってーひょーには負けらんねーってのに!」
    「せいぜいそこで争っててくれよ」
     と、兎紀の双子の兄である豹は争いを避けてひょいひょいと上へ。
    「ま、オレがうさぎちゃんに負けるわけねーじゃん?」
    「うさぎちゃん言うな!」
    「まあゆっくりしてすりゃいいスよ」
     無邪気に笑う牢也を尻目に龍哉は登る。ひたすら!
    「ふふん、妨害にかまけてると負けると凄い俺は知ってるんだぜ。だから俺の凄さをも」
    「龍さんにもおすそわけス」
    「て、牢也何投げてんだよお前!」
    「雪」
    「だろうな! 凄くなくてもわかるわ!」
     結局足止めされている龍哉だったり。
     と、その間をそろ~りと抜けようとするのはアザミか!
    「ってあ、アザミズリィ!」
    「あ、見つかっちゃった? ズルいとか姑息じゃないよぅ作戦だよ!」
    「アザさんには雪増量しとくス」
    「ええっ、いいよぅ。アザミは正々堂々卑怯にがんばるんだから!」
    「負けるか、て違う! 俺は妨害じゃなくて登るんだよ! 俺は番になれる筈なんだ。凄いからな!」
    「すっかり術中に嵌った感じだねぇ」
    「まあ落ちる時はご一緒するスよ。死なば諸共」
    「キリっとしながら言うんじゃねぇー!」
     結局卑怯と認めるのか!
     そんなゴタゴタの近くでは譲と煉火が最終決戦に燃えていた!
    「よお百舟! 台形の面積は?」
    「そんな雑言に惑わされるボクじゃないさ。勝利はヒーローたるボクの手の中にあるのだからなッ! しっかし仮にも高校生なんだからもっと難しい問題でもなぁ」
    「じゃあこの2次方程式を」
    「その口を慎め!」
     こうどなじょうほうせんだ!
     間近に迫る両者。譲は煉火の苦手分野を攻め、煉火は雪玉で物理攻撃を連打している。
    「もういい、ボクは先に行く!」
    「あ……。なあ百船」
    「なんだ?」
     おっとこれはイケナイ予感が!
    「スカートの中見えてたぜ……」
     凄くいい表情で言ったね、譲!
    「どこを見てるんだ貴様ああぁ!!」
    「うぎゃああああ!!」
     もはや格闘技レベルの蹴りが炸裂している!
     まあ実際はジャージ履いてるから見えてないんですけどねー。

    ●決着!
     数々の熱戦をくぐり抜け、今、頂上に手が届きそうな者は僅か数人!
     最後の戦いを制するのは!
    「ここでやらなきゃ男が……!」
     三郎か! いや! どこからか飛んできたボールに弾かれた!
    「もうちょっとだよう!」 
     紗……いや悠か! うーん、今一歩届かず!
     ああ、そしてついに!
    「全ての幸運を歓迎する! 俺の所に来い!」
     星がもぎ取られたッ!
     結果は……蛙石・徹太! 徹太がフォーチュン・ホルダーに決まったァ!!
     さあ、望むのはどんな幸運だ!?
    「俺は……天辺で皆の星になろう」
     えっ、それでいいの?
    「いや、だからって取ろうとすんなよ危ねえ!」
     我も我もと徹太に群がる参加者たちだった。
     実力と幸運が丁度良い感じにバラけて、それでいて最後の運の要素が強い場面でうまく取ったという感じだった!
     ちなみに他の気になる勝負の結果は。
     優樹対十夜は80cm差で優樹の勝利! ケーキを貪り尽くすといい!
     豹対兎紀は55cm差で豹の勝利! これは速度の差が出たか。
     ちなみに魔神生徒会の注意を受けた人は魔神お説教が待っているので心するように。
     それでは以上、現場から私でした!
     参加した全員に幸あれ!

    作者:黒柴好人 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年12月24日
    難度:簡単
    参加:61人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 13
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