「アタイ、どーしましょー……」
12月25日。クリスマス。
そいつは恋人もおらず、その類い希なる容姿ゆえナンパされるような気安さはなく、逆ナンを仕掛けたくても男の趣味がマニアック過ぎてより好みばかり。
「クリスマスに恋人もいないなんて、アタイ、淫魔としてどうなのぉぉぉぉん……」
ハンカチ噛みしめ、嘆く淫魔――そうこいつは淫魔である。
だが、能力を使っても、その類い希なる容姿が、そいつの魅力を最大限引き出しているせいで、近寄りがたく。
その、誰もが近寄りがたくすら感じる魅力と申しますと。
テカーン☆
顔に漲る脂!
ゆら~ん☆
キューティクルが眩しいわかめヘアー!
むきーん☆
タイトなワンピースを今にも破かんとする、豊満すぎる逞しい体!
じょりーん☆
その肉付きのいい足より直立する剛毛!
性別オカマ、御歳25歳、名前はぷりんちゃん♪
………………酷いもんである。
そんなスーパーぷりちぃオカマな淫魔、ぷりんにとって、25日の今日はある意味ロスタイムである。
「アタイ、売れ残ったクリスマスケーキだなんて言われたくないのねん」
多少レベルは落としてでもなんとかして彼氏を見つけなければ!
「アタイ、やるわん! 必ず彼氏を掴み取ってみせるのねん!」
た、大変だ。ある意味、より好みしていてくれたせいで世界は平和を保っていたというのに。
誰か、このオカマから一般人を守るためにイケニ……じゃない、囮をかって出た揚句退治してくれる猛者を呼び集めなければ!
「と、いうわけなんだよ……」
だるーん。
俺さんどーしてこんなもん見つけてしまったんだろう。たった一度の直視で、生気のほとんど奪われてしまったかのように、机に突き伏せている梓潼・鷹次(旋天鷹翼・d03605)。
性別詐称を取り締まっていたえっちぃ淫魔さんがいた隣町なんかに、意外と目に余るほどの超弩級のオカマなんかいたりしてーなんて何気なくクリスマスに賑わう街を歩いていたら。
「いやがりましたわけですね」
しゃきーん。眼鏡のブリッジ押し上げる、健全なるエクスブレインの少年。
「これはもう、運命ですね。ここでこのオカマを見逃したら、き、ききききっと、稚いしょう……うぼぁぁぁぁ!?」
「こいつ、何想像したんだ……」
非常に気になるところであるけれど、あんまり考えたくないものなのは明白なので、これ以上突っ込む気にもなれない鷹次さん。
「と、とにかくですね!」
健全なるエクスブレインの――というか本当に健全かどうかもあやしくなってきたエクスブレインの少年は、きっちりと鼻の穴をティッシュでせき止めつつ、
「た、鷹次さんの麗しきメイド姿が、ぷりんちゃんとの運命と結びついたに違いありません! ここでこの運命を見逃すなんて絶対にならない事ですよ! そうしないと、この辺の筋肉の角度が無駄に整った腕に抱きすくめられ、程よく膨らんだ胸筋の、このあたりにやたら動く筋肉があるんですけれどもこの辺の……」
やたらオカマの身体的特徴を細かく取り入れた攻撃説明する少年。細かい説明は依頼において非常に大事であるものの、
「むしろわかりずれぇ……」
俺さんなんでこいつに解析頼んだんだろう。いくら性別詐称取締淫魔との縁があるからって、他にも知っているエクスブレインいたじゃないか。
「よーするに、『いやーんばかーん』に類似したこと言いながら照れ隠しに叩く行為が乱れ手裏剣に酷似し、ハグしておひげジョリジョリがジグザグスラッシュに酷似、淫魔らしくパッショネイトダンスも使う」
「ちょ、鷹次さん、何勝手割りこんでるんですか!」
めっちゃプリンちゃんの詳細な話してたじゃないですか、貴方は何を端折って説明しやがったのですかと言わんばかりの、本当に健全かどうかもあやしくなってきたエクスブレインの少年だけれども。
「ああ、成程」
「ようやくわかった」
理解されている皆様の表情に、ホコンと咳払い。
「とにかくですね。要点をまとめるとそういうわけですよ。プリンちゃんの趣味が解析できなかったので困ったと思いましたけれども、様々なオサレしてとにかく皆でナンパすれば、プリンちゃんは間違いなくついてきます」
なので、もうマニアックすぎようとオサレ過ぎようと何でもいい。思い思いにネタをほうりこ……ではなく、淫魔の気を引くための服装をし、甘い言葉でナンパしろ!
たとえ顔が引きつろうとも。
たとえ直視して目が痛もうとも。
たとえ世間様に凄いもんナンパするなと思われようとも。
一般人に被害が及ぶ前に倒さなければならない!
それが灼滅者の役目なのだ!
――たぶん。
なので、人気のない原っぱに誘い込み、迎撃しよう。
場合によっては、待ちかまえている人と挟み撃ちしたり、すきを突いて先制攻撃できるかも。
「ボクも灼滅者だったらよかったと、これほど思ったことはありません……」
皆さんを危険に送り出すことしかできない自分が憎いと、ハンカチ噛みしめる健全かどうか怪しくなってきたエクスブレインの少年。
「キーーーーー!」
なんか悔しがってますが。
「行きたいなら、別に俺さん以外の人に行ってもらってもいいんだけどな……」
ともあれ、イケニエになってくれる猛者がいなかったら、俺さん勿論行くけどね。
とにかく、オカマな淫魔退治を宜しくお願いします。
参加者 | |
---|---|
紫月・灯夜(煉獄の殺人鬼・d00666) |
三兎・柚來(小動物系ストリートダンサー・d00716) |
水月・鏡花(鏡写しの双月・d00750) |
成瀬・亮太郎(小学生爆音サウンドソルジャー・d02153) |
梓潼・鷹次(旋天鷹翼・d03605) |
モーリス・ペラダン(悪意ゼロパーセント・d03894) |
三日尻・ローランド(王剣の鞘・d04391) |
シレネ・シャロム(ベラドンナ・d08737) |
●クリスマスにオカマ
街中でひときわ異彩を放っている、例の野郎。
きらびやかなクリスマスの街中でも酷く輝いていて(脂が)、街中を闊歩すれば道が割れるのは、圧倒的な魅力を駆使する淫魔の能力的なものが成せる業――であればよかったんだけれども。
「そもそもこいつ、どうして淫魔になんかなれたんだ……」
初っ端から天を仰ぎ、出口のない疑問に陥る、梓潼・鷹次(旋天鷹翼・d03605)。
そろそろ始めましょうかと、おもむろにモーリス・ペラダン(悪意ゼロパーセント・d03894)はマイクの様なものを取り出すと、どこぞに向けてキリリと表情を正し、
「実況は私モーリス。解説はオネエサンを求めて13年のシドウにてお送りしマス」
「ちょっ!?」
彼女いない歴13年なわけないじゃないかと動揺して口をアウアウしているを尻目に、
「マズはオペレーションクリスマスドリームの概要デス。目標は――」
モーリスはビシィと指差し、
「ワカメプリン!」
『フッ……。アタイの美貌に、誰もが圧倒されているのねん』
絶妙なタイミングで、くねっとせくしぃポーズを決めるオカマ淫魔、プリンちゃん。駆使しているのは、淫魔としてはあるまじき醜穢疑惑!
「ソシテ、そのワカメプリンに挑む勇者一番手。元気な小動物系! ミト」
「うわー。凄い変わった淫魔だなー」
淫魔っていっても個体によってここまで違うもんなんだねーと、プリンの強烈な視覚テロより興味が勝る三兎・柚來(小動物系ストリートダンサー・d00716)。
「二番手。決めるぜオサレ衣装! シドウ」
スーツで決めたクールスタイルも、げんなり顔でいまいちワイルド感が乏しく感じられる鷹次、
「三番手。ナノナノ様が見てる! ミカジリ」
別の意味で注目を集める三日尻・ローランド(王剣の鞘・d04391)。背負った孔雀の羽根と、ラメを駆使した衣装で颯爽と登場し、
「愛の妖精さんが悲劇を起こさない為にもがんばらないとねえ」
ふぁさぁ~っと髪をかきあげ目から星飛す。
「以上にて目標をナンパ! そして告白アンド袋叩きデス!」
目を見開き、どこぞへと熱く実況を続けるモーリス。
単純に現実から目を反らしたいだけですよ。ほら、よくカメラ越しの世界は虚像だって言うじゃないですかー。
そんなノリ。
成瀬・亮太郎(小学生爆音サウンドソルジャー・d02153)は、想像以上のルックスに凄い衝撃を受けたらしく、
「がんばれ先輩方! あわれ先輩方!」
これはトラウマになるね、絶対。と、遠巻きで見守る所存。たとえその存在感が霞もうとも、これだけは譲れない。
「……それにしても皆ノリノリなのね。ああいうのが好きでたまらなくてナンパしに行くなんて……」
水月・鏡花(鏡写しの双月・d00750)は、鷹次を信じられないと言わんばかりにガン見。
「勘違いしないでくれ! これはあくまでダークネスを灼滅するっていう……」
「ま、人の好みはそれぞれよね。言い訳なんてしなくても大丈夫よ。支援はしっかりしてあげるから思う存分楽しむといいわよ」
じゃ原っぱで待ってるわと、とっとと踵返し足早に去りゆく鏡花。
「え? 楽しむって違っ! 誤解だ!」
●れっつなんぱ
誰を逆ナンしようかと物色しているプリン。一般の皆様が、危険を察知して、そそくさと離脱してゆくこの界隈。
『アタイのアフロで口ひげの逞しい無駄にマッチ棒な回転木馬の王子様はどこなのねん♪ ハッ! アタイったら高望みしちゃだめなのねん』
「…………」
嗚呼、あのブツが何を言っているのかワケがわからないよ。
実況も解説もしようの無いプリンの趣味に、さすがのモーリスも一瞬絶句。
ともあれ、世界の平和を守るため、流行のファッションに身包み、一番手の柚來いざ出陣。
「ソレではイイ夢を見せてあげマショウ……私達にとっては悪夢デスケドネ。一番手ミトがワカメプリンに接近しマス!」
「頼む。柚來、頑張ってくれー」
両手を組み祈る鷹次。
相手がアレなだけに超切実。
その横ではローランドが、鼻歌交じりに髪型を整えていたりする。
相手がアレであろうとも超呑気。
そんな様々な人間模様が交差するクリスマスの夜。
「あれ、お姉さんもしかして1人?」
『あらん?』
くるんと振り返るプリン。
柚來は世の中のおねえさんがキュンキュンしちゃうようなアイドルスマイルを繰り出し、
「ごめんな、綺麗な人だったからつい声かけちゃったんだ」
プリンのストライクに一寸もかすっていない柚來だけれども(いやむしろかすっていた方が困るけれども)、只今来るもの拒まずにほど近いプリンは、初のナンパにちょっとドキドキしゃったらしく、
「俺と一緒に楽しく過ごさ――」
『モチロンなのねん!』
がしぃっ!
言うより早く、柚來の綺麗な手を、がっちり掴んだ。
二倍の面積を誇る顔面を近付けられ、吃驚しながらも、天性の人懐っこさを発揮し、柚來は原っぱに誘いこもうと。
「夜景の綺麗な穴場があるんだけど行ってみない?」
『なら善は急げなのねん!』
何を急いでいるんだから知らないが、がっちり柚來を確保したまま、とっとと原っぱへ走り出す。
「ナンパ、成功デス……」
超渋い声で囁くように言い放つモーリス。
「……あれ……」
まさかの一番手エンドに、逆に拍子抜けの鷹次。
「エクスブレインの方も皆でナンパすればと言ってイマシタし……ヤハリ、全員で行った方が良かったデスネ、ケハハ」
オモシロさの面では。
まぁ、発揮し損ねた責任は、袋叩きの場でと、モーリスはプリンを追跡開始しようと促して。
なにはともあれ、柚來の貞操が心配だ……。
●れっつこくはく
「ぷりんちゃんは音楽とか好き?」
『めっちゃ好きなのねん♪ これでもアタイ、ブルースが好きなのねん』
和気藹々と、件の原っぱに、プリンと柚來がやってくる。
ひっそりこっそり草葉の陰に身をかくし、合図を待つ待機班の皆様だけれども。
「うわ~勇気(根性?)あるなー先輩」
亮太郎。そして原っぱ近くの高い建造物の屋根の上、シレネ・シャロム(ベラドンナ・d08737)は、ちっ、残念、鷹次のおもしろエスコートが見れず仕舞いと、スケッチブック片手にちょっぴりつまらなそうな様子で指鳴らし。
「夜景も綺麗だけどぷりんちゃんの前じゃ霞んじゃうな」
『あらん♪』
すっと差し出された花に、プリンの顔が更に輝く。
ただし視覚的効果ではなく、滲み出る脂効果で。
嗚呼、アタイもとうとう淫魔らしい春が来るのねんと、うっとり空を見上げていたら、何やら黒い影――が高速落下! あんど顔面直撃!
『おぶっ!』
「将来有望な少年たちをたぶらかす、悪しきオカマを退治する、ぷりてぃーちゃーみーな魔法少女、シレネ、ただいま参上☆」
というか参上する前に、ちゃっかり先制していましたけれども。高速空飛ぶ箒落下してきたシレネの殺戮領域に踏みつぶされるプリン。その表面積広い顔面の上で、きゃっぴるーん(死語)なポーズ決めてますが無表情。
「夜鷹がてめぇの魂かっさらいに来たぜ、っとぉ!」
そう、てめぇのせいで俺さんどんだけ酷い仕打ちを受けたか。同情も何もない。例え顔面を踏みつぶされたままであろうとも。原っぱへと華麗に躍り出ると、食らいつく影業矢の如し。
「今晩は、うつくしい人、聖夜とは古来愛にあふれた者たちが互いに愛をぶつけあい、 天に向けて昇華するものだと子ども図鑑で読んだことがあるよ。愛は数が多ければ多いほど燃え上がるんだそうだ! ボクたちと熱く愛を交わし合おうじゃないか」
フッ。ローランドはキザな手つきで髪をかきあげながら、愛がたっぷり詰まった影喰らい一発。
『うふっ。アタイの魅力的な尻追っかけてきたんね♪』
まさか一日で三人にも愛をぶつけられちゃうなんてーと、ますます舞い上がったプリン。そしても豪勢な孔雀の羽根を背に揺らしつつ、自らを尻と気軽に呼ぶことを推認しているローランドは、この生まれ持った魅力は罪とばかりに、困った様な仕草で、
「いつの間にボクは愛の妖精さんのものになっていたのだろろうか……」
ごめんよえくすかりばー。妬いちゃったかいと、このオソロシイ戦場の中、優雅に余裕たっぷりに、ナノナノのえくすかりばーへと振り返って。
「いやそっちの尻じゃないのよ」
尻違いだとツッコミ入れる鏡花。そしてどっちかっていうと、生まれ持った魅力よりも、後付け孔雀の方が注目度高めとか。
『あらん可愛いわん。アタイの魅力に嫉妬する女の子と、抜け駆けされて妬いちゃう男の子って』
「うわー。神様もひどいことするね。このオカマ淫魔見るだけで、『足止め』とか『トラウマ』とかのBSになりそうじゃん!」
実際のプリンはそういうものは持ち合わせておりませんけれども。もう少しましな容姿にしてあげられなかったのとぼやきつつ、亮太郎は防護符で耐性を付けてあげて。
「むしろエフェクトトラウマの方が、純粋に救いがあるような気がする……」
リアルトラウマの方がサイキックだけでは拭い去れない。目の前のブツが酷いだけに、否が応にも発生するリアルトラウマに頭抱える紫月・灯夜(煉獄の殺人鬼・d00666)。
柚來クンには悪いけど、しょうがないから慰めのハグしてあげるーと、陽気に乙女走りしながら突っ込んでくるプリン。
来るなー来ると撃つぞーといった状態で、影の刃を矢に変えて、天星弓でバンバン打ちまくる鷹次さんでしたが、
「ぶはぁっ!」
これほどまでに自らを呪ったことは嘗てあっただろうか……。
『いやーん!』
とか言いながら、破れちゃった服もそのままに鷹次へダイビングしてくるプリン!
灯夜は、オソロシイ映像に不快感とわき上がる怒りに苛まれながら得物を構える。
「もう、何も言うまい……」
黙って速やかに屠り去るべく、瞬殺も辞さない構えのマジックミサイル発射。
「はぐっ!? た、たくましい胸板と油ギッシュがこってりでぇえ!?」
そんなマジックミサイルにも衰えを見せないプリンのハグに、口から魂抜けそうになる鷹次。
「コレの服破ってどうするの!」
そういうのは二人っきりでやってよと鏡花は、ツッコミ交じりのジャッジメントレイで彼の世に行きそうな魂引き戻し。
「ほら、鷹次ももっとハグしてもらったらどうかしら?」
盾になってくれるディフェンダーがいなくなっちゃ困るじないのよ、だ。
コメカミ辺りを貫通した影業すら気にならない鈍感さを発揮しつつ、彼氏手に入れた優越感に浸りながら起き上るプリン。が、言い切る前に厚い筋肉にめり込む拳。
「ごめんな、けど俺たちは戦う宿命なんだっ」
『アーレー』
油断していてクリーンヒット。まさかのナンパ相手に鬼神変で殴られるとか。
『いやん、柚來ちゃんたら。そーゆーのが好きなのねん♪ 奇遇なんよ、アタイも弄られるの好きなのねん♪』
どこまでも脳みそおめでたいプリンである。
シレネは無駄にくるっとまわって、スカートひらひら靡かせつつ、
「あなたの悪いブレイン黒こげシュート☆」
おめでたい奴へ、おめでたい言葉と共にティアーズリッパープレゼント。
『あらーん。アタイどうしましょー』
「きゃーーー!! だから、これ以上酷い映像にしてどうするの!」
「え?」
ますます酷くなってゆくプリンに慌てる鏡花さんと、目の前に何があろうともまったく動じないシレネさん。
そして黙々と斬り付ける灯夜を、勝手に僻んでいるのだと解釈しているプリンは、
『んもぅ、まだまだ若いのねん☆ 羨ましいからって僻んじゃノンノンよん』
嗚呼、おめでたさが止まらない。
とにかく係わりたくないから、灯夜は完全に意識を別のところに集中して、無言を貫く。
そしてビハインドのバロリと一緒に、静かに、つつましく、攻撃を重ねていたモーリスさんですが。
『もう、奥手なのねん☆ 負けずに奪いに来ていいのねん♪』
ちゃっかり求愛者の一人に数え、しっかりロックオンするプリンは、手招きするように脂を飛び散らせて。
強烈な毒々しさを放つプリンの脂。なんつー恐ろしいもん飛ばすんだと、中衛へと飛んでゆく脂を目で追う鷹次でしたが。
「ヤー、俺サンガード!」
「ぬああぁ! 畜生わかったよ!」
アナタディフェンダーデショと、モーリス、鷹次召喚!
おそらく悪意ゼロパーセント!
「(肉体的な)傷は回復してあげるわよ。キュアがあるから(BSの)トラウマは治るんじゃない?」
どかーんとジャッジメントレイを放ち、傷を治す鏡花。
何度も言うが、プリンはエフェクトトラウマを仕込む技術はない。
『嫉妬するとブスになっちゃうんよ』
居ない彼氏を居るもんだと思いきるおめでたさを如何なく発揮しつつ高笑いしながら、ぶっとい腕を振り抜いて。
衝撃と共に後衛へ飛び散る脂!
「うわわ!」
嘗てない恐ろしい攻撃に青ざめ叫ぶ亮太郎。
「きゃ、こわーい」
完全棒読みでセリフ繰り出しつつ、ローランドの後ろに隠れて(というか肩代わりしてもらって)可愛いこぶりっこ。
そして。
「汚物は消滅よっ!!」
『ひゃぁぁぁんっ!?』
怒涛のようにマジックミサイル発射する鏡花。相当不快感に苛まれている模様。
「よ、よくも俺さんを穢してくれたな……。影に沈んで消えちまえっ!」
えくすかりばーとなのに回復貰って一応見た目は綺麗になった鷹次ですが。心の汚れはこってりし過ぎていて離れそうになく。恨み悶々と漲らせながら、完全に据わり切った目で影喰らい。
『きゃぁんっ! そんなに僻んじゃダメねーん』
「ヤハハ、コレがリアルデス」
僻みじゃなくて袋叩きとイイマス。軽いノリのモーリスですが、轟雷脳天目掛けて打ち落とすあたり容赦はない。
「さよならうつくしい人」
ローランドのブレイジングバーストが、プリンの腹に風穴開けたついでに脂に引火!
『いゃーん。せめて愛の炎に焼かれたかったわんっ!』
そのままぷすぷすと燃え尽きてしまいましたとさ。
合唱。
●おつかれさまー
「ふふ、えくすかりばー妬いてくれたかい?」
がっちり決まったえくすかりばーの関節技に涙しながら、トドメの報告をするローランド。
「あはは、なかなか楽しい人だったな♪」
そう笑った後、ふと大地に張り付いている鷹次が目に入り、なんで疲れてるんだろうと首傾げ。
そんな鷹次が疲れきった声で、
「甘いもんでも食べにいかね?」
そうでもしなけりゃやってられねーと。
「そうだね、頑張った梓潼にはごほーびをあげようか」
よしよしと頭撫でるシレネ。
じゃ、まずは小腹を満たしましょ。鏡花は密かに用意していた手作りケーキを取り出して。
「折角のクリスマスだし、ちょっとくらい良い思い出もあった方がいいでしょ?」
聖夜に現れたオカマの灼滅は、多大なるトラウマを刻まれつつも無事完了。
あまーい香りと、遠くで響く聖夜の鐘の音に包まれて、平和になった街並みへと戻るのでありました。
作者:那珂川未来 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年1月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 13/キャラが大事にされていた 3
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