クリスマスを、救いすぎて

    作者:旅望かなた

     今日は朝から、不良達が騒がしかった。
     道場に行く途中の公園で不純異性交遊しようとしていた奴らを怒鳴ったら歯向かわれたのでぶっ飛ばし。
     道場では「クリスマスだから遊ぼうよねぇねぇ遊んでくれよぉ」と無理やり女の子に絡む男子達を全力でぶっ飛ばし。
     帰りにはカップルの住む家の壁を殴っているマッチョ達を超速でぶっ飛ばし。
     地下鉄の中ではサンタ姿で痴漢していたおっさんをしゃかりきにぶっ飛ばし。
     ――そして、夜。
    「調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
    「おいこらリア充の手助けばっかしやがって!」
    「俺達に彼女がいないからって何なんだよう!」
     かの少年は、思いっきり闇討ちされていた。
     ボロ雑巾のようになって地面に倒れ、その上に足が乗せられる。
    「リア充だからって調子に乗ってるんじゃねぇぞ?」
     その言葉に、少年の心の中の何かがぷっつりと切れた。
     己は、ただ正義感に従って動いていただけで――!
     
    「俺だって彼女なんかおらんわボケエエエエエ!」
     踏みつけていた足を引っ掴んで膝と逆に捻り、そのまま地面に叩きつける。
     動かなくなった不良を踏み返し、少年――否。
     アンブレイカブルの虐殺が、始まった。
     
    「マジかわいそうだし……!」
     嵯峨・伊智子(高校生エクスブレイン・dn0063)が思わずハンカチで涙を拭う。
    「なんかクリスマスに不良撲滅に頑張りすぎて、結託した不良達に闇討ちされてアンブレイカブルになっちゃった中学生の男の子がいるんだよね。健剛・拳(けんごう・こぶし)くんって言うらしいんだけど……」
     一応彼は、まだ元の人間としての意識を残している。
    「なので拳くんが不良にぼこられてるとこに、何とか割り込んで助けてあげてほしいんだよね。で、その後説得して、拳くんと戦って……もし拳くんが灼滅者の素質あったら、助けてあげれるし!」
     けれど、もし彼が灼滅者として覚醒しなければ。
    「……残念だけど、そん時は灼滅、お願いするね」
     そう言って、ぺこりと伊智子は頭を下げる。
     
    「戦闘になったら拳くんはストリートファイターと同じサイキック使って、あとバトルオーラのサイキックも使えるみたいなんだけど」
     彼に灼滅者の素質があれば、説得によって攻撃の手を緩めさせることもできる。
    「拳くんは自分の正義感に従って頑張ってるんだけど、クリスマスだから助けるのって結構な割合でカップルだったりするじゃん? それに不良にボコボコにされて挑発されて心が折れちゃったみたいで……だから、何とか持ち直させてあげてほしいし!」
     説得の方法は任せるね、と伊智子は灼滅者達の顔を覗き込んで。
    「もしよかったら、学園に誘ってあげてちょ。……RB団とかいろいろあるし、きっと拳くん元気になるんじゃね!」
     RB団はどうなんだ。
     ――ともあれ、灼滅者達は伊智子に見送られ教室を後にした。


    参加者
    アリシア・ウィンストン(美し過ぎる魔法少女・d00199)
    玖珂峰・煉夜(狂獅子・d00555)
    葛木・一(適応概念・d01791)
    須賀・隆漸(双極単投・d01953)
    ヴァン・シュトゥルム(オプスキュリテ・d02839)
    ストレリチア・ミセリコルデ(銀華麗狼・d04238)
    不知火・読魅(永遠に幼き吸血姫・d04452)
    エデ・ルキエ(樹氷の魔女・d08814)

    ■リプレイ

     クリスマスへの鬱憤を人にぶつける事しかできない、哀しき者達の前に。
    「ジングルベール、こんばんは!」
     ミニスカサンタが現れた!
    「通りすがりのサンタのおねーさんですのよ?」
    「「「うひょおおおお!」」」
     スタイルの良いストレリチア・ミセリコルデ(銀華麗狼・d04238)がさらにエイティーンで18歳、そりゃ不良達も飛びかかるってもんである。
    「おい、貴様ら何をしている!」
    「そこまでだぜ? 集団で一人を相手するなんて、情けないとは思わないのか?」
     そこに割り込むは玖珂峰・煉夜(狂獅子・d00555)。「男に興味はねぇ!」と叫んでストレリチアに突撃しようとする不良の一人を、煉夜が腕の力だけで食い止める。
    「トランスアジャスト!」
     さらに響く声に振り向く不良達!
     ゴージャスモードを起動して裾のひらひらとかマントとかが増えた中学男子冬服で、葛木・一(適応概念・d01791)が塀の上からすごいカッコいいポーズで登場!
    「複数で寄ってたかっていじめとかかっこわりぃぞ! そんな事したってお年玉が減るだけだ!」
     小学一年生男子の切実な叫びに不良もびびっている!
    「大丈夫ですか!?」
     その間にすぐさまエデ・ルキエ(樹氷の魔女・d08814)が少年――健剛・拳に駆け寄り、そっとその腫れた頬に手を当てる。
    「こんなになるまで……ひどい!」
     驚いたような顔で目を見開いた拳は、照れたように慌てて「大丈夫だから!」と立ち上がる。
    (「何かかわいそうな兄ちゃんだなぁ……良いじゃん正義、かっちょいいと思うけどなぁ」)
     一、小学一年生。まだまだ思春期の葛藤には縁遠いお年頃。
    「八つ当たりか……これまた迷惑な者達じゃのう……」
     アリシア・ウィンストン(美し過ぎる魔法少女・d00199)が嘆息し、不良達に向き直って。
    「もてない理由を人のせいにするとは……言語道断じゃ!」
    「ちくしょーもてるヤツはこれだから! これだからー!」
     殴り飛ばされて吹っ飛びながら不良が叫ぶ。アリシアの胸にその視線が注がれていたのは――追求しない方がいいかもしれない。
     さらにそれでも近づいてくる不良は。
    「サンタクロス・カウンター!」
     ストレリチアが思いっきり(手加減と言う名目の)踵落としで撃退していた。
    「一人で多数を襲うとはこの卑怯者! 悪いのはお主たちであろうが!」
     不知火・読魅(永遠に幼き吸血姫・d04452)がぐぐっと不良達に詰め寄って。
    「これだけ独り身の者が集まっておるのじゃから、お主らでクリスマスパーティーでも開いたらどうじゃ?」
    「意味有るかよ!?」
     つかお前が一緒に来てくれよー、と言ってすり寄ろうとする不良を、ぺちんと読魅が降り祓う。
    「ふん、そんな性根では彼女もできぬ筈じゃ」
    「何だと!?」
    「くそっ、お前等もリア充か!」
     さっさと殺界形成で不良を追い払おうとしていた隆漸の額に、ぴき、と青筋が浮かぶ。
    「うっさい! 俺だって彼女おらんわ! ロンリークリスマスだったわ!」
     半キレ半泣きのグーパンチ。
    「元々はあなた方が見苦しい無様な真似をしていたのが原因だというのに、その上一人では勝てないからと大人数で一人に危害を加えるなんて、卑怯な」
     轟、と王者の風をヴァン・シュトゥルム(オプスキュリテ・d02839)が呼べば、ひぃと不良達が腰を抜かす。
    「うーん、たしかに皆殴られても仕方ない様な人だと思うけど、ちょっとね」
     小さな声で言って、エデが肩をすくめて。
    「サッサと立ち去らねば貴様等全員、身ぐるみ剥いで商店街のクリスマスツリーの飾りにするぞよっ!」
    「これ以上の恥の上塗りはやめて、さっさと消えてください」
     そうきっぱりと命令する読魅とヴァン、そして隆漸の呼んだ殺気によって、不良達は慌てて去っていく。ちょっとぼこったが、歩けないほどの者はいないようだ。
    「あ、その……ありがと、な……」
     助ける事には慣れていても助けられることには慣れていないのか、ぺこりと拳が頭を下げる。読魅が大きく頷き、拳の行いへの共感を伝えられただろうと微笑む。
    「ひとまず不良は追い払えたのぅ、まぁカップルを救ってきたお主へのプレゼントじゃな」
     そうアリシアがにこりと笑って、ひとまず武器を収める。
     ストレリチアもオーラを引っ込め、密やかに笑みを浮かべた。
     ――さて、ここからがサンタの腕の見せ所ですわね?
    「どうしてこんな事になったの?」
    「それは……」
     エデの問いに、素直に少年は口を開く。時々悔しげに歪められる眉からは、嫉妬よりは強い、強すぎるとも言える正義感が感じられる。
    「皆やっつけちゃったから、その仕返しが来たんだね」
    「ん、そういうことなんだ」
     エデの確認に、拳は素直に頷いて。
    「しかし、お主の今持つ力は間違っておるのぅ……」
     そう言って、アリシアが目を細める。彼の中にある、闇を見つめるかのように。
    「何っ!?」
     それに気色ばんだ様子で、ぎゅっと拳が手を握る。血管が浮かぶほど、強く。
    「だって仕返しされたってことは、皆反省してないって事なんじゃないかな?」
    「何……だって?」
     そんなことは思ってもいなかったのか、一気に手から力が抜けて、拳は目を丸くする。
    「仕返しが終わったらきっとまた繰り返すよ。道場でも、鍛えた拳は凶器になるから一般の人には振るわないようにとか、そういう教えがあるんじゃない?」
    「だって! 間違いだろう、武道を身に着けたから、悪いことしてるやつを止められないなんて! 第一、言ってもわかんないじゃん!」
     エデの言葉に、少年は激情を露わに叫ぶ。
     はっきりと言葉に表されたその信念に、思わず口をつぐんだエデに代わって口を開いたのは、ストレリチア。
    「鬱憤を溜め、心俺、過剰な暴力を気に入らない者に向ける――それではまるで、貴方が成敗した方達と一緒ではありませんか!」
     ストレリチアのその言葉に拳を振るってきた少年は、はっと顔を上げる。
    「そうだ……こんなんじゃ、奴らと一緒だ……」
     俯く拳に、けれど、とストレリチアは口を開いて。
    「貴方は人の為に戦える、とっても素敵な方だった筈ですのよ!」
    「……そんな、だって俺は、根本から止められなかった……」
     悔しげに、拳は唇を噛み締める。
    「困っている人を助けたいという気もいてゃ分かる。すぐにぶっ飛ばすのは短慮だったかもしれないがね」
     それでも、と煉夜は拳の肩に手を置いて。
    「それでも、その行動はいい事だと思うよ。……うまく、咄嗟に言葉にできればいいな」
     行動の真意が相手に伝わりにくい少年を、煉夜は何とか助けてやりたいと、そう願って声をかける。
     それでも、まだ自分の中で何かを消化しきれないように目を閉じていた少年が、すがるように顔を上げて。
    「……怖いんだ。本当は、正義感からじゃなくて……もっと何かに突き動かされてるみたいで……俺、本当は……」
    「お前の正義は、クリスマスに助けたのがカップルだったというだけで壊れる程度のものなのか!」
     隆漸の強い言葉に、拳が驚いたように目を見開く。叫んだ隆漸自身、若干涙声になるのを止められない。
    「……くそう、俺だって彼女なぞおらんわ!」
    「友よー!」
     がし。
     何かが思いっきり共感し合った瞬間だった。
     そう、どっちもストリートファイター、だし。女っ気ないし。武道一筋。
     しばし涙と叫びの応酬の後、それを温かく見守っていたヴァンが口を開く。
    「困っている人を助ける時に暴力に訴える事の是非については、何も言う気はありません――しかし貴方に不良達の命を奪わせるわけにはいきません」
     貴方の手は、齢人を守る為にあるのではありませんか?
    「その為に、今まで頑張ってきたのではないのですか?」
     ゆっくりと諭す様なその言葉に、拳はぎゅっと目をつぶってから、己の手を見つめる。
     武骨な手だ。
     殴る事ばかりしか知らない手だ。
     けれどその手で、確かに救った人がいる。
    「あんな汚い連中の血でその拳を汚しどうするのですか」
     ゆっくりと、ヴァンは真っ直ぐに歳の近い少年の瞳を覗き込む。眼鏡越しであっても、真摯さは遮られない。
    「つか良い事してたのは見返りが欲しかったわけじゃないだろ? オレはカッコいいと思う」
     ぎゅっとその手を握って、一はにかっと笑う。
    「兄ちゃんは彼女居ないんじゃないじゃん? 作ってないだけじゃん」
     硬派な男ってカッコイイと思うぞ?
     自分の半分ほどの年の少年にそうきらきらした瞳で言われ、思わず「いやぁ……そんな恰好よくは、あるかな……」と照れまくる拳も年相応の少年の顔。
    「だったら、悪い人には善い人に代わって貰わなきゃ。それがその人の為であり、繰り返させない事が町の人の為にもなると思うの」
     拳さんも仕返しされないしね、とエデが穏やかな笑顔を見せる。
    「例え今は報われぬと感じたとしても、貴方の信念、貴方の正義を私は好ましく思いますのよ」
     ――だから、どうか私に見せて下さいな。
    「そう、何に恥じる事もない――貴方の信じる真っ直ぐなその拳をっ!」
     ストレリチアが構えを取ると同時に、拳の口から叫び声が溢れ出す。ばさりと髪が逆立ち、黒いバトルオーラが体を覆う。
    「餓鬼に言葉は通じても、戦わねば闇は倒せぬか……」
     くるりと杖を構え、アリシアはざっと距離を取る。
    「ならばお主の闇、妾が解き放つ!」
     マジックミサイルを先端に宿し、振るう杖は魔法少女として戦う証。読魅が一気に吸血鬼の魔力を霧と為し、仲間達の力を高めるべく展開する。
    「先生に言いつけ……じゃなかった……拳さんは優しくて正義感の強い人、アンブレイカブルは似合いませんよ!」
     優等生だから悪い人に注意したい気持ちは分かるけれど、とエデは槍を掴み、力すら高める螺穿の一撃を解き放つ。
    「君の目指した行く末は、そんな道じゃないはずだろう? ……まだ間に合うんだ、戻って来い!」
     煉夜がそれに続け、必死に呼びかけながら紅蓮の輝きをガンナイフに宿して振るう。
     けれど、ストレリチアは言葉ではなく、拳で語る事を選んだ。
    「最早言葉は要りません……後は身体で語るのみ」
     再びバトルオーラと影業を展開し、ストレリチアが一気に距離を詰める。
    「絶望を晴らすべく、存分に打ってきて下さいな。私も全力で……それに応えましょう!」
     脚を覆った影をそのままに、ストレリチアは回し蹴りを仕掛ける。拳がガードした瞬間、それははらりと解けて拳の身体を縛り上げる。
     さらに無謀なほどの勢いで突っ込んできた拳の幾度もの打撃を、全力で受け止めて。
     影業を鋭いスパイクへと変え、素早く死角に回り込んだ隆漸が爪先を蹴り上げた。守りが弱り、そこにヴァンが紅きオーラの逆十字をぶつけダークネスの精神を斬り裂こうとする。
    「よっし、グーとグーで語り合うんだな! だったらめっちゃ応援するぞ!」
     元気いっぱい一が、「ぎゅいーん!」と回復ゲージの伸びる音を擬音化しつつ思いっきり防護符をストレリチアに投げる。霊犬の鉄が、わおんと吠えてきらきらした浄化の瞳で仲間を見つめる。
     瞳にバベルの鎖の力を集め、読魅が狙いを定める。さらに彼女のヴァンパイアの力によって強大な魔力を引き出したアリシアが、絶対零度まで温度を奪う術式を一気に展開する。
     紅蓮の輝きを脚に宿し、ストレリチアが拳の懐に向けて膝蹴りを放つ。スカートが翻り、チラリと見えそうなのも気にしない。拳の打撃を受けるのも、心からとても楽しそうに。
     くるりと隆漸が小さく分裂させたリングスラッシャーを飛ばせば、それをまとわせたエデが掴み投げようとした拳の腕をひらりとリングで弾く。
    「私がぶつけてるのは拳じゃない……気持ちなんだからっ」
     助けたい。そう願う必死さを宿して、エデが紅蓮に染めた槍を振るう。同じ紅蓮に輝く糸を引きながら、ヴァンは懸命に呼びかけた。
     本来ヴィオラの弦である鋼糸が、ぴんと引かれるたびに澄んだ音を立てる。
    「思い出してください、貴方が助けた方々の笑顔を。闇に負けないで」
     闇に負けてしまったら、貴方が守った人達の笑顔も曇ってしまいますよ、と必死にヴァンは呼び掛ける。彼の守りたいという思いを、力にしてほしくて。
     手の中に集めていたオーラキャノンが、そのままふつと消える。その隙に一が、「ばばーん!」と勢いよく影を展開し飛び込んで。
    「闇堕ちしちゃったら、もう誰も助けてくれてありがとって笑ってくれないじゃん、そんなのやだろ!?」
     ばしゅーん、と影が一気に闇を縛る。鉄がその後方から、ひらりと刃を閃かせる。
    「闇に身を委ねた己を悔いるのじゃな……」
     アリシアの魔力の矢と続けざまに、炎の上がる弾丸が一気に読魅のガトリングガンから放たれ、闇の力を燃え上がらせていく。
     そしてそれにも全く臆せず、跳び上がりざまにストレリチアが拳の首を引き込む――ジャンプして影業を解いた、その生脚で!
     ぐるりと体を回転させ、思いっきり闇を払うフランケンシュタイナー!
     ――生足羨ましいとか思ってはいけない。あれ、すごい痛いんだぞ。
     ごふ、と頭を打った彼は、「……あ、れ……」と呟き唖然とした瞳を、体を回転させて上へと向ける。
    「これで清々したかぇ?」
     ぼんやりと天を見上げていた拳の顔を、アリシアは覗き込んで。
    「力は無闇に人に見せびらかすものではなく、何かを守るために使うのじゃ」
    「うん……うん!」
     がばりと起き上がって、拳は大きく何度も頷く。
    「はい、そんなたくさん頑張った拳さんへサンタからプレゼントですわ」
    「え? ……え?」
     ストレリチアから笑顔で渡されたのは、武蔵坂学園の入学書類。
    「色んな意味で充実した日々をお約束しますのよ?」
    「君の正義感には、凄く共感してるんだ。……力の使い方とか、お互い色々学ぶべきところもあるだろうし……」
     どうだろう、学園に来て、人々を守る為に一緒に戦っていかないか?
     真っ直ぐな瞳で誘うストレリチアと煉夜の言葉に――。
    「ああ、わかった! 一緒に、戦わせてくれ!」
     拳の名とそれに恥じぬ信念を持つ少年は、大きく頷いて顔いっぱいに笑ってみせた。
    「ところで、カップルの住む家の壁を殴っているマッチョ達ってなに……そんな人いたの!?」
     勢い込んで尋ねるエデの言葉に、「ああ聞いてくれよ!」と拳は早速嬉しそうに口を開いて。
     ――それは、きっと彼の武勇伝の、一頁になる筈。
     そして、読魅が最後ににっこりと口を開いて。
    「これで一件落着じゃな。では妾はこれからデート故、先に失礼するぞよ」
    「「「ええええええ!?」」」
     思わず振り向く一同。さっさと楽しげに歩いていく読魅。
    「うおおおおおリア充めー!」
    「俺は闇堕ちするぞー!」
    「リア充ー!」
    「「「やめろおおお!」」」
     ――愉快な武蔵坂ライフが、きっとまた一つ新しく始まる。

    作者:旅望かなた 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年12月29日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 9
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