年が明けた瞬間の、あの雰囲気が好きなのだと花芒・愛(中学生エクスブレイン・dn0034)は笑った。
だから初詣に行きませんかと、彼女は誘いの言葉を言い添える。
伊勢神宮、内宮。
神宮は五十鈴川駅で電車を降りてから、数十分ほど歩んだ先に在る。本当は外宮から廻ることが正しいんだけれどと言いながら、彼女は星瞬く天涯を仰いだ。
疾うに陽は落ち、しかし朝日を拝むにも遠い夜の頃。手袋を纏っていてもかじかむほどに空気は冷たく、息を吐き出せば口許が白く濁った。
駅から延びる、石灯籠が立ち並ぶ坂道を下る、下る。やがて青緑に囲まれた神宮の姿が見え、愛は表情を笑みの形に綻ばせた。
平生なら寝静まっている頃合いであろう今、けれど今年最後の今日ばかりは、路に屋台の温もりが溢れている。焼きとうもろこしや豚汁、焼き鳥など、連なる屋台から零れる白く濁った湯気と暖かな灯りには、安堵混じりの笑みが咲いた。
屋台を抜ければ、神社に続く街道に並ぶ古屋敷。名物とも云えるぜんざいの香り漂う茶屋を横目に、更に進めば五十鈴川と宇治橋の姿が見えてくる。
橋を渡り切った後、ごうと唸りを上げる篝火を見つけ、愛は思わず瞠目した。飛び散る火の粉には一歩退き、視界をくゆらす煙には咽せ返る。涙目になった互いの姿に、目を見合わせて笑った。
足元で鳴る地面の砂利。
遠くで響く川の啼き声。
自分を包む様々な音に耳を傾けながら、漸く辿り着いた社前には、年明けまで随分と時間がある時ですら既に沢山の人影が見えていた。そして零時を迎える直前には、人影の数は何十倍にも膨れていく。人々の数に感嘆しながら、愛は手許の時計に視線を落とした。
あと十秒。
すると何処からともなくカウントダウンの声が響いて、愛の口許からも数字を紡ぐ声が落ちる。
九、八、七、六、五、四、三、二。
自分の口許から零れる声も、自分の耳に響く声も楽しげに弾んでいる。跳ねる音を楽しむように、愛は笑みを浮かべながら最後の数字を口遊んだ。
一、せーの──。
「ハッピーニューイヤー!」
ほら、ね、笑顔が沢山溢れるひととき。
私ね、やっぱり、この瞬間がすごく好き。
●
鼻許を擽る焼餅の香りの中、夏月が新年を迎える数字を囁く。
そして零を唱えた瞬間、颯音は愛達と一緒に跳んだ。
「この餅の様に、楽しい事で胸膨らむ一年でありますように、っす!」
「はい、今年も宜しくお願い致します」
ゆるり、夏月の双眸も緩む。
「やべぇーな俺ら、今、新しい時間跨いだぞ」
「おう!」
燵志の声が弾むから、朔之助も破顔した。今、共に在る事が嬉しいのは朔之助も同じだ。
願いは秘密、けれど神に届かずとも構わない。それは自力で叶えてみせるから。
「願い事は『闇堕ちに苦しむ人が出ないように』かなぁ……」
華琳自身、複雑な思いは在るけれど、先も大丈夫だと心に言い聞かす。
一方、寛子の願いは皆が無事に暮らす事。
叶える為に頑張ると誓った寛子は、また来ようねと華琳の耳に囁いた。
ムートンコートにダウンジャケット。ニット帽と白筒マフラー。逸れ防止に掌を握れば寒さなんてへっちゃらだ。
初初詣のイコと円蔵は揃って笑みを零し合った。
お互いは勿論、懐の白蛇達にかみさまも、皆にどうぞ宜しくと。
鳥居前で一礼。掌を水で清め、端を往く。
所作の意味や自身の詣でを語る燐音に、狭霧はただ感嘆するのみだ。
(「今年も元気に皆と仲良く!」)
(「皆が幸せに暮らせるよう依頼を頑張る」)
捧ぐなら願いより誓いが良いと狭霧が笑み、燐音が肯う。今年も宜しくと二人の掌が重なった。
染の黒には赤桜、柚姫の白蝶舞う桃には薔薇が咲く。彩ある着物姿に笑む紫桜と三人、訪れたのは社前だ。
皆で無事に過ごせるよう、またゆっくりでも頑張れるよう。
また来年も皆とお参りできるよう。
染と紫桜の願事が叶うよう。
願いを隠す紫桜と柚姫に染は抗議を響かせたけれど、軈て変わらぬ縁を願って笑い合った。
「寒くない?」
そう言うも、気遣い過ぎて煩わしいかと考える志乃の隣、美夜はへーきとしか返せない自分を思う。
(「もっと可愛げある子と一緒だったら良かったのにとか思ってないのかな……」)
繋いだ掌は彼のポケットの中。
その掌は少し、擽ったい。
今年は式年遷宮の年だと云う。
同時に千早の脳裏を過ったのは人間の細胞の入れ替わりの事。変化と不変はまるで魂のよう、と彼は合掌する。
「さすが神話の国、ニッポンね!」
感嘆を零すオデットが祈るのは闇のない日々と皆の笑顔だ。
華丸は『平凡な未来』を祈り、秋の再訪を心に決める。二十年後にはもう一度、成長をして見に来るのだ。
「今年は全てに勝って来年戦勝報告に来たい!」
戦勝祈願を響かせた茶子が猪鹿蝶の皆を見廻した。
朔日餅が無いなら朔日朝粥を、と彼らは笑み合って歩き出す。
「くれぐれも迷子にはならないようにしてくださいね」
臣がそう冗談を述べるのも仕様がない程の大混雑。
着物姿の寿は動きを気遣う彼らに「紳士ねえ」と感嘆しつつ、然りげなく善哉をねだった。
「良い一年になるとええね!」
無事息災健康の願いを秘めた壱世は、愛に林檎飴を渡しつつ、壱兵衛と共に人数分の善哉と甘酒を用意。
食しながら並ぶのも食の神の傍なら少し位は良いだろうと、蛇柄耳当て姿の壱兵衛は口許を緩めた。
人混みも年明け参拝の醍醐味かと諦め気味の蓮曄の向こう、真が捧ぐのは感謝と多くの者を護るという決意だ。
銀都は決心が鈍らぬよう独りで参り、もっと強くなる事を誓う。
然し、御守りは間違えて安産祈願を買ったとか。
流希の後頭部には五百円玉が直撃。抗議の声を上げるもそれを確りと賽銭箱に入れる辺り、彼も中々人が良い。
「日頃巫女さんは好きじゃないって言ってるんだから、どこでも関係ないわよね!」
(「あっちに行きたいんだオレはああああ!」)
舞依を前に熾の煩悩は砕け散る。
輝かしい笑顔の傍ら、屋台で嗜むするめは塩っぱかった。
「巫女鑑賞?」
「あ、ちゃんと御守りも買うよ」
紘一は愛と妹の御守りを選ぶと、屋台巡りも楽しみにしつつ織兎達と境内へ。
(「楽しい思い出たくさん出来ますように〜」)
(「……いや、あまり沢山願い事しすぎるのもよくないな」)
目指すは超研究部、と織兎はゆるり。
逸れない様に裾を掴みつつ、都璃も良い年であるよう願って合掌する。
黒の羽織袴と大人色の晴れ着で挑んだレクトとしいなの初詣は、早々逸れる事から始まった。
無事合流、参拝を終え、願事は内緒と笑むしいな。
もっと仲良くなれたら──その願いは、レクトのものと重なっていた。
「璃耶先輩と仲良く遊べますようにー!」
「雪之丞さんが心健やかでいられますように……」
そう願う傍ら、彼女を誰より幸せにする人が現れるよう、彼が恋人と幸せで在れるよう。
二人は真の願いを胸に宿して笑み合った。
お団子に揺れる藍瑠璃、見惚れる様な羽織袴。
移り変わる愛しい表情、掌の体温。
大切な奇跡を傍らに添え、透と風貴は目一杯に笑み綻ぶ。
「今年も大好きだよ」
「俺も、同じだ」
今年も宜しく、愛しいひと。
魔術の上達を願ったと鏡花が言えば、流石魔法使いだと鳴海が笑んだ。
蒼香は作法に従い、白焔と共に参道の端を歩みながら、華綻ぶ蒼袖を振る。
「わたしは頼られるような人物になる、でしょうか」
「私は、今年も多くの人と知り合えたら良いなと思ってるわよ?」
そう答えを続けたのは紅葉。
もっと背が伸びろ、の方は黙ったまま。
「その、アレです……俺の周りの人達が、笑っていられますようにって」
「私も『今年も皆にとって良い一年になりますように』です」
「ボクも皆と似たような感じかなっ」
願事を告げた双人は、鏡花の着物を褒めた時のように照れ顔だ。
その隣、着付けの約束に笑みを返していた緋月とレイリアが、彼の言葉に同じだと肯う。重ねて鳴海や白焔も同じだと知れば皆の双眸も綻んだ。
「やっぱり皆も似たような事を考えていたのね」
ふと、鏡花から零れた言葉。
傍らで五つ紋の礼装を整えていた白焔は、軈て小さく口許を緩めた。
──皆『も』、か。
「ひお、みーんな幸せになりますよーにって!」
「オレはね、一人前の灼滅者になれますよーに」
裾を掴み、掌を引き、三人並んだ社前。
皆を護るのだと意気込む勇介と赤振袖を翻し跳ねる陽桜の姿に、想希の表情が綻んだ。
「俺は……強くなれますように、かな」
護ると誓うのは想希も同じ。揃いの心を宿し、彼らは善哉屋へ歩む。
「これって実家? 今の住所? ……どっちも言っちゃえ」
「いっそ学園にいます! ってダメかな? ダメだよね」
「案外有りかも。智ちゃんはもう願った?」
「うん! にゃはは、私のは至って平凡なお願いごとだけどねー」
奏恵と桜子、愛、智は仲良く作法を確認し合うと、内緒の願事を抱えて笑み交わす。
後には善哉はたまた豚汁。否、何方も捨て難い。
●
繋いだ掌、一緒のマフラー。善哉の温もりも相俟って、ぴとりと添う頬は温かい。
猫舌柚莉に迪琉はきゅんきゅん。
お餅をふーふー、はいあーん!
幸せに包まれてほわり、おいしいねーっと仲良し姉妹は笑い合う。
遥と掌を重ね、兎踊る振袖を翻すゆすら。
彼女が羽織も摘めば照れ隠しを少し、それから華鏡は人の流れから二人を護る位置を取る。
遥は幸せそうに善哉をはふはふ。然し直ぐ食べ終え、次の食に心惹かれるのもご愛嬌だ。
ゆすらはその姿に笑み、皆へ御守りを差し出した。
「また来年も皆で初詣行こうね!」
それは、華鏡と遥も揃いの願事。
奢りの善哉にはしゃぐも不意に、銀河の脳裏を以前は共に在った姿が過る。
眼を伏せた彼に傍らの鬼丸は微笑んだ。
「……次に来る時はまた皆で来よう」
「……うぃっす」
御守りも買おうと、今の約束も一つ。
「食べられてよかったね」
「はい。あぁでもそんなに食い意地が張ってるわけではないんだべさ」
逢うや否や皆を撫でた咲楽の傍ら、善哉大好きの女雪が白夜の言葉に首肯いた。
然し自分の勢いに気付き、彼女は恥ずかしげに眼を伏せる。
「食べれそう?」
「(お、お餅大きい……!)」
月風・雪花は問うも、春原・雪花が口を開くから、ふーふーしたお餅をあーん。
途端、人酔いを慰めた掌にも似た温もりが身体を巡り、善哉を運び合う雪花達に笑みが咲く。
「ふにぁぁぁ♪」
たまきは幸せに浸りつつ、萌え袴男子たる叡智を激写。眉を上げる彼の隣、猫舌観月が甘さと熱さに瞬いた。
然し担当からの着信が響けばそれも終い。
「全く世話が焼けるね」
叡智が彼の腕を引く。暫し不機嫌顔だった観月も軈て表情を緩ませた。叡智と腐女子道驀地のたまき、二人が居るなら偶には修羅場も悪くない。
仲良くもふもふ参りをした後はあったか善哉のご登場。
「誰か奢ってー!」
「ここは部長の度量の大きさを見せる時だよね?」
「直哉お兄ちゃん(奢ってくれて)ありがとー」
「えっ?」
直哉の一言に、キラキラ瞳の毬衣とにこやか笑顔の崇がすちゃり。
流れに乗り、寧々や桐香、ミカエラもちゃっかりご馳走様でした。
「少し多めに食べますか?」
「きっと厄落としになりましたし、今年一年安泰では?」
久々の味を愉しみつつ寧々はそっとフォローの一言。
福かえるを薦めつつ慰める桐香に毬衣や崇も諾えば、そうだなっ!と直哉は復活。
満腹ご機嫌のミカエラもまたひっそり、彼のポケットに五百円入りポチ袋を忍ばせて。
「さ、次は何食べよっか~?」
●
「ん、うどん美味い」
一方、難を逃れた咲哉は一息。
羽織袴を纏う彼の傍ら、振袖の向日葵は七五三と言われてぷんすか。蝶花綻ぶ白に水の真琴や新調した帯締と帯留を纏う陵華、薄紅振袖の悠花やセカイにも、褒め言葉は素直でなく、咲哉さんったらと悠花は笑んだ。
「学園戻ったらコセイ乱舞の刑です」
割と真剣だそうな。
「これ、美味しいです!」
「ん、旨いな」
「こちらもひと口如何ですか?」
「あ、文太も食べたい? ……うどんなら大丈夫かなー?」
ともあれ、真琴は伊勢うどんに満面の笑み。様相に感嘆していた陵華も首肯した。セカイは皆の晴れ着汚れを気遣いつつ食を薦め、向日葵は文太と一緒にうどんと睨めっこ。
慣れた仲間との一時は今日も楽しく緩やかだ。
「リタちゃん、お人形みたいでキレイっ♪」
「空ちゃんも雰囲気変わってえぇな」
「天ヶ瀬にセクハラしちゃダメだぞ?」
リタの黒に綻ぶ花牡丹、空色の袖と結いた空の髪。華やかな二人に感嘆する内蔵助と空の間に立ち、リタは千李の肩を叩く。
「そんなことしてると刺されますよ」
今宵の千李は艶やかな蝶。彼は女性が如く柔らかさで内蔵助の胸許を指でなぞる──も、キスをされれば思わずばちん。結局、泣きそうな顔で項垂れた。
「似合いますかしら~?」
くるりと廻る乙女と隣の明菜は実に見事な晴着姿。同じく晴着の弥咲はこれぞ華と満足げだ。
「あ、あ~……ん。こちらからも……」
「うーん、女の子から貰うと美味しいな」
然して華達は食気も備え、たこ焼きをあーん。
恥ずかしさ滲む明菜に対して弥咲はご満悦、悪い顔だったとは乙女談。
一方、神籤屋台。遥斗も似合うと称えた振袖を揺らし、灯倭は罰ゲームを宣告する。
「ちっちゃい字で思いつく限りの願望をね!」
「やってやるぜえええっ!」
遥斗の絵馬が百八の願望で真っ黒になるのは後の事。
神籤は凶のみという識の為、翠は巫女パワーフル稼働で神楽舞──と思えど識の手にハリセンを認め、普通に祈祷する。
「……大吉、当たれー」
「凶以外が引けるといいとは思うが」
結果、凶。
矢張り普通の祈祷では駄目かもしれない。
「紗ちゃん、今年もいっぱい遊んだり、お話しようね」
「うん、仁奈ちゃんといっぱい遊びたいよう」
掌を繋いだ仁奈と紗は、綿菓子とピンクのチョコバナナを半分こ。
分け合えば一層に増す美味しさに、幸せ一杯の笑みが咲く。
「よし、決めた!」
ネイトは再三悩んだ末、たこ焼き屋台を探して歩み出した。
屋台を全軒巡るもおやつ感覚で居られる胃袋底無しのアリシア。一方、佳輔は胡瓜やタコ棒、コロッケを手におかげ横丁を練り歩く。
イカ焼きに焼きそば他諸々、屋台物を抱えた紘疾の傍ら、かえでは彼の服を引いた。手は、少し恥ずかしい。
「美味しいね、ひろ君も食べる?」
「食べる、食べる」
かえでが淡紅の綿飴を寄せれば紘疾はぱくり。うめぇと笑みが零れ落ちた。
豚汁と善哉を愉しんだ藤乃と希沙の手には、縁起物だからと愛から贈られた篝火の焼餅が一つずつ。
次にたこ焼きを手にすれば、念願のはふはふをする藤乃の姿に希沙は笑んだ。
「今年もよろしくね、ふじ」
「こちらこそですわ、希沙ちゃん」
●
伊勢の和紅茶、生姜糖を抱えた響斗の傍ら、お茶会したいかもと伊勢茶を手に呟く瑞樹。
参拝、善哉と制覇した彼らは今、お土産選びの真最中だ。
「これ、みんなでお揃いだ!」
「え、うっしーちゃんくれるの?」
「わ、汐ちゃんありがとう!」
汐の土産は鈴守。夫々への贈り合いっこも繰り広げ、三人は笑みを零し合う。
互いに大事なきよう願いを添え、守祓を両手で差し出すシャーロット。
その彼女が幸有る年を過ごせるよう、願わくば一助となれるよう想いを込め、ラグナも守祓を贈る。
袋無き守祓を携えた二人の、掌が再び重なった。
「ふふ、最っ高の年明けですこと!」
「えぇ、これ以上ない年明けね」
傍らには最愛の人。加えて御守りと祈りを贈り合えば、フィーネと百花は嬉しさが触れて堪らない。
今年はきっと、否、必ず良い年になる。
息濁る寒さも平気な詞貴へ、冷血だもんなァと治胡は軽口を一つ。
続けて口遊むのは感傷、彼への願いと自身の目標だ。
──風を吹かせられますように。
風日祈宮からの帰り道。記憶を探し歩む達人の願いにレインは肯いを返した。
「きっと、風は吹きましょう。先輩の願う方向へ」
ほら、現に。そう言う彼女に達人の口許が緩む。ああ、風はきっと吹く。
「……私と離れたくないカナ〜?」
屋台巡りの別れ際、寂しさを隠す歌織に雅臣が告ぐのは表情を和らげる一言。
「離れたくない、と言ったらどうする?」
冗談には冗談を。
歌織はにやりと笑み返し、彼に掌を振ってみせた。
エクセルは今宵が初めてのデート。頬を染める彼女は可憐だけれど、言わぬが礼儀と心得て、國鷹は別の褒め言葉を紡ぐ。
「いつか、俺と一緒に隣を歩んでくれるか?」
エクセルが問えば彼は告げた。──あなたが、それを望んでくださるのであれば。
慧杜や七達が挑むのは鹿探しだ。カメラを構える芳春は初の野生鹿にどきどき、然し寒さには思わず足踏み。女の子は元気と呟く彼に、怜示は表情を緩めた。椿綻ぶマフラーに触れ、これが有って良かったと息を吐く。
「(ん……? 今……)」
「(えっ嘘うそマジいた!?)」
七に添い、慧杜は逸る気持ちを抑えて木陰を覗くと、直ぐ様に皆を手招いた。
顔を見合わせ笑み綻び、一緒に年を越せて良かったと囁く彼ら。
皆に諾い、七は双眸を細めた。
──ふふ、そうね。良い思い出だわ。
作者:小藤みわ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年1月16日
難度:簡単
参加:119人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 12/キャラが大事にされていた 17
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