楔を喰らう炎獣~炎馬の蹄、高らかと

    作者:海あゆめ

    ●大分県別府市・鶴見岳
     何体ものイフリート達が、続々と鶴見岳に集結している。
     イフリート達の体毛によって、燃えるように煌々と輝く鶴見岳。
     
     頂上には、一体のイフリートが存在した。
     他のイフリートを圧するほどに大きく、威厳に溢れたその姿。
     イフリートの首魁は、配下の前でゆっくりと力を練り、人間の姿へと変貌する……。
     
     ……人の形へと転じたイフリートの首魁。
     少女のようなその姿は、居並ぶ配下の幻獣達に向かい、唸り声の如き少女の声で命じる。
     
    「ガイオウガノメザメハチカイ。ケダカキゲンジュウシュヨ、コノクニノクサビヲクライクダキチカラタクワエタノチ、ソノチトニクヲ、ガイオウガニササゲヨ! サスレバ、ガイオウガハゼンナルイチノゲンジュウトナリテ、ナンジラトトモニクンリンスルデアロウ !」
     

    「みんな、あけましておめでと~! 新年早々呼び出しちゃってごめ~んね! にひっ♪」
     教室で灼滅者達を待っていた、斑目・スイ子(高校生エクスブレイン・d0062)は、そう軽い調子で言ってみせると、ものすごくいい笑顔でウインクをしながら横ピースを決めた。
     若干イラっとする仕草だが、当の本人はそんな周りの反応を面白がるように笑いながら手にしていたノートを開き、ようやく説明の態勢に入る。
     
    「もしかしたら、みんなも優雨から話は聞いてるかもしれないけど、別府温泉のイフリート事件、あったでしょ? あの事件に新しい動きがあったみたいなの」
     スイ子の言うように、すでに、小鳥遊・優雨(優しい雨・d05156)から話を聞いている者も少なくないだろう。ここ最近、別府温泉で事件を引き起こしていたイフリート達が、新たな動きをみせているという。
    「みんなが頑張って別府温泉でいっぱいイフリートを灼滅してくれたおかげでね、強~い敵の復活っていう最悪な状況は防げたんだって。やったね! けど、それでイフリート達の方も新しい手に打って出てきたってわけなの」
     別府温泉の鶴見岳に出現していたイフリート達は日本全国へと散り、各地の眷属や都市伝説をその牙に掛けようとしているらしい。
     目的はおそらく、鶴見岳に封じられた強大な存在を呼び起こす事……。
    「この、全国に散らばったイフリート達は、今まで出てきてたイフリート達よりも、すごくすごくものすご~く強いの!」
     解決に向かうには、これまでの事件よりも危険度は高い。が、それなら尚のこと、このまま黙って見過ごすわけにはいかないだろう。
     灼滅者達が覚悟を決めたような表情で次の言葉を待つのをちらりと見やった、スイ子は、「さっすが灼滅者さん♪」と嬉しそうに頷いた。
    「あたしが予測したのは、北海道の札幌にいるイフリートの情報だよ」
     燃えるタテガミと長い尾。真っ赤に焼けた角を頭に持つ、大きな馬の姿をしたイフリート。
     スイ子が未来予測で感知したそのイフリートは、北海道は札幌市。丘珠空港の近く、中心部から離れた街の中の広大な雪原に現れる。
     なぜ、街中に雪原が広がっているかと言えば、その雪原の下はタマネギ畑になっているとのことだった。
    「畑って言っても、本当に一面雪に埋まってるからね。見た目には畑ってわかんないかもしれないから……はい、これ。地図渡しておくね」
     言いながら、スイ子はペンで印をつけた地図を灼滅者達に手渡した。
    「この馬のイフリートは、タマネギ畑にいる4体のゾンビを襲うの。あ、あんまり関係ないかもだけど、最近札幌にゾンビって多いよね。このゾンビ達も、雪の中から出てきたゾンビだと思うよ~」
     片手をひらひらさせながら適当な感じに言うスイ子だが、目線は開いたノートに残したまま説明を続ける。
    「馬のイフリートは、頭の角で刺してくる攻撃と、蹄を鳴らして炎を撒き散らす攻撃、それから、自分の炎で体力を回復させる技を持ってるよ。みんな、気をつけてね……!」
     ぐっと握った拳を突き出してみせて、スイ子は灼滅者達に向き直る。
     
    「あっ、大事なこと言うの忘れてた! あのね、みんな! 今回は、イフリートがゾンビ達を襲撃した後を狙ってイフリートに攻撃してほしいの!」
     その前に戦闘を仕掛けてしまうと、バベルの鎖により察知され、イフリートの襲撃事件自体が発生しない恐れがあるという。
     現場に着いたら、まずはイフリートとゾンビ達の戦いを我慢して見守ってほしい、とスイ子は灼滅者達に頭を下げた。
    「今回のイフリートはすっごく強いし、危険な任務かもしれないけど……でも、みんななら絶対できるよ! うん! あたしはいつでも、灼滅者さん達のこと、信じてるからねっ♪ それじゃ、いってらっしゃい!」
     そう悪戯っぽく笑って、スイ子は灼滅者達の背を、ぽんと押した。


    参加者
    艶川・寵子(慾・d00025)
    小坂・翠里(臆病風・d00229)
    神泉・希紗(可愛いものハンター・d02012)
    シャルリーナ・エーベルヴァイン(ヴァイスブリッツェン・d02984)
    叶・維緒(白馬がとおる・d03286)
    波織・志歩乃(夢見る幸せの鳥・d05812)
    雨積・熾(白馬の王子様・d06187)
    ナハトムジーク・フィルツェーン(狂乱の旋律・d12478)

    ■リプレイ


     北海道、札幌市。中心部からは離れた場所にあるタマネギ畑。真冬である今は、ただの広い雪原に見えるそこに、それは現れた。
     地響きのように伝わってくる足音。燃えるタテガミは冷たい冬の空気をも凌駕する熱を生み出し、熱風となって吹きつける。
     イフリートだ。
     馬の姿をした大きなイフリート。その頭には燃え盛る鋭い角が生えており、獰猛に光る目は、迸る炎を映してゆらゆらと揺らめいている。
     その目が見下ろしているのは、四体のゾンビ達。
     十分に距離を置いた場所から様子を窺っていた灼滅者達は、思わず息を飲む。
     強い。
     直感的に、そう感じた。伝わってくる圧力が、今まで出会ったダークネスや眷属とはまるで桁違いなのだ。
    「あんなのが、日本各地で悪だくみしてるなんてね」
    「うぅ……やっつけるべき相手でも、やられるのを見てるだけってやだなー……」
     艶川・寵子(慾・d00025)は指先で顎の辺りを支えながら腕を組み、波織・志歩乃(夢見る幸せの鳥・d05812)も、眉をひそめながらもイフリートの挙動をじっと見つめた。
     バベルの鎖によって察知されてしまう恐れがある以上、今、飛び出していくわけにはいかない。灼滅者達は対峙するイフリートとゾンビ達の様子を、今はただ見守るしかない。
     だが、その時間は長くは続かなかった。
     凍てつく空気の中、噴き上げる蒸気のように上がった荒い息。大きく身体を持ち上げ、いきり立った馬のイフリートが、地面に激しく蹄を下ろした。
     雪原が、炎の海に包まれていく……!
    「がんばれゾンビ軍団! イフリートなんかやっつけちゃえ~!」
     声を振り絞った、神泉・希紗(可愛いものハンター・d02012)の叫びも虚しく、炎が消えたその場所に、ゾンビ達の姿はなかった。
     跡形もなく、焼き尽くされたのだ。
    「やっぱ、そう、上手くはいかないか!」
    「ですね……あんどれ!」
     視線の先にイフリートを捉えたまま、雨積・熾(白馬の王子様・d06187)は武器を抜き、叶・維緒(白馬がとおる・d03286)は唸りを上げた相棒のライドキャリバーに颯爽と跨った。
     立ち向かうのは、今までにない強敵。
    「私はまだまだ弱い……でも、引くわけには、いかないっす!」
     両手で頬をぴしゃりと叩き、込み上げてくる恐怖をバネに、小坂・翠里(臆病風・d00229)は霊犬の蒼を従え、駆け出していく。
     興奮か、それとも恐怖か。寒さはほとんど感じなくなっていた。
    「……行きましょう!」
     シャルリーナ・エーベルヴァイン(ヴァイスブリッツェン・d02984)も、着込んでいた防寒着を脱ぎ去り、仲間達の後に続いた。
     走る。吐き出す息の白さが、次第に濃くなっていく。
    「貴様らが何を起こそうとしているかは知らんが、この均衡を混沌に導くなら、防がせてもらおうか……!」
     震える声をぎりりと堪えて、ナハトムジーク・フィルツェーン(狂乱の旋律・d12478)は目前に迫ったイフリートを睨み上げる。
     灼熱の中の瞳が、灼滅者達の姿を捕らえた。


     吹きつけてくる熱風に、肌が、チリ、と焼けつくように痛む。
    「悪鬼平定!」
     宿った神の力を解放して、希紗は雪の地面を踏み締めた。
    「イフリートなんて全然怖くないし! ……思い切って行くよ!」
     低い体勢のまま両腕を大きく振り払えば、巻き起こった風が鋭い刃となって馬のイフリートへと迫る。
    「っし、一気に行くぜ!」
     すぐ後に熾も続いた。希紗の起こした風が馬のイフリートの身体を斬り裂くのとほぼ同時、唸る槍の一撃が放たれる。
     当たる攻撃は、まるでスポンジが水を吸収するかの如くだが、怯んでいる暇はない。
    「……こちらからいきます!」
     すかさず間合いへと飛び出していったシャルリーナは、バチバチと爆ぜる拳を馬のイフリートの顎の下辺りに思い切り打ち込んだ。
     風が、震える。
     引き絞ったような、馬の高い声。大きく前脚を持ち上げたイフリートが、その蹄を雪の地面へと激しく叩きつける。
     腹の底に響くような重たい衝撃と共に、真っ赤な炎が白い雪原の上を走った。
     炎が燃える轟音の中、いくつかの悲鳴が響く。
    「……っ! く、う……なんて威力……!」
     思わず表情も歪んでしまう。維緒はちらりと仲間達の様子を見やった。最前列で攻めの態勢をとっていた希紗と熾のダメージは大きそうだが、後方で構えている寵子やナハトムジークと視線を交わせば、任せてほしい、と言った瞳が返ってくる。
    「はい……! 援護は、頼みました!」
     駆け出しながら、維緒は自分の後ろについている相棒のライドキャリバーに合図を送りつつ、両手にしっかりと握った斧を力いっぱいに振るった。唸るエンジン音に交じって、ゴキリ、と骨を砕くような鈍い音が響く。
     軽く飛び去るように、馬のイフリートが戦線を一歩退いた。
     今だ。このまま押し込むにも、態勢を立て直すのにも、今が好機。
    「Ich werde nicht verlieren! 私達は……! 絶対に阻止しちゃうわよ!」
    「そっちは頼んだ!」
     寵子の傷を癒す光が瞬き、ナハトムジークの癒しの矢が空気を裂くように真っ直ぐ飛んでいく。
    「……! ありがとっ!」
    「サンキュー! 助かった!」
     それを受け取った希紗と熾は、崩しかけていた体勢も何とか立て直して戦線を保つ。
     きっと、大丈夫だ。こうして皆で支え合いながら攻めていけば、きっと勝てる。
    「みんなといっしょに、絶対勝つんだからー!」
     バベルの鎖を集中させた瞳で馬のイフリートを真っ直ぐに見据えて、志歩乃は根限りの声で叫んだ。
    「その通りっす! まだまだいけるっすよ! 蒼!!」
     翠里も大きく頷いて、ガンナイフを構えながら傍らの蒼に呼びかける。
     短く吠えて応え、勢いよく駆け出していく蒼。その後ろから、翠里は馬のイフリートに狙いを定めて砲弾を撃ち込んだ。
     上半身に伝わる、激しい反動。弧を描くように伸びた砲弾はイフリートの身体を捕らえ、蒼の咥えた刀がその身を斬り裂く。
     先程よりも大きく甲高い馬のイフリートの鳴き声が、空を突いた。
     そして、激しい地響きと、風圧に舞い上がった粉雪。
    「……っ、どうなった!?」
     ナハトムジークが視界を遮った雪の向こうへと目を凝らす。
     手応えがあったのは確かだ。図らずとも高まる期待。だが、それは次の瞬間、脆くも崩れ去ることとなる。
     咆哮。そう言っても過言ではないほどに激しい、馬の鳴き声が上がった。
    「そんな……」
    「うそ……だろ……」
     灼滅者達は目を疑った。
     舞い上がった雪が、一瞬のうちに蒸気となり、空へと上っていく。徐々に開けていく視界のその先に、力強く立ち尽くす影があった。
     炎獣、イフリート。
     まさに、そう呼ぶに相応しい。
     燃え盛るタテガミの炎を全身に巡らせ、炎馬は高らかと蹄を鳴らした。


     今までの攻撃が、すべてなかったことにされてしまったような……そんな錯覚さえ起こしてしまうほどの回復力。だが、これは逆に言えば、イフリートも回復をせざるをえないくらいには追い詰められていたという証拠。
     ここで弱気になってしまっては駄目だ。戦意を奮い立たせ、灼滅者達はもう一度、イフリートに立ち向かう。
    「さすが、強いな……」
     槍をしっかりと握り直して、熾は構えを低く落とした。
    「だが、負けるわけには行かない!」
     唸りを上げる切っ先を前方に向け、そのまま引き絞られた矢のように踏み込む。
    「うんっ! ゼッタイに勝って、みんなと一緒に帰るんだから!」
     希紗も強気な目線でイフリートを捕らえ、勢いよく伸ばした影でその大きな身体を絡めとっていく。
    「よーし! 援護はまかせてー!」
     被った帽子をくいっと直してみせてから、志歩乃は護符になっている本のページを迷いなく破き、維緒に向かって飛ばした。
    「維緒ちゃん! これで何とか、がんばってー!」
    「っ、助かりました!」
     維緒は短く礼を返し、素早くイフリートの側面へと回り込む。
    「シャルリーナちゃん! そっち、お願いします!」
    「はいっ!」
     反対側の側面に向かって、シャルリーナも雪の地面を蹴った。
     挟み込むように捕らえ、仕掛ける。
    「……っ、効いて、下さいっ!」
     祈るように、シャルリーナは唇を噛み締める。
     握り締めた維緒の拳から放たれた雷撃がイフリートの全身を巡り、死角から放たれたシャルリーナの斬撃が馬の後ろ脚の腱を断った。
    「あんどれ!!」
     そこへ、維緒の号令に呼応して、白馬のような姿をしたライドキャリバーが駄目押しのように特攻する。
    「ふふふ、戦場の……魂をぶつけあう炎はとっても綺麗……」
     ぺろりと、寵子は唇を舐めてみせて、ガトリングガンをガチリと鳴らし、構えた。
    「炎を使うのはあなた達だけじゃないのよ? Nimm das!」
     馬のイフリートに向けられた銃口は激しく火を噴き、炎の弾丸を次々と吐き出していく。
    「……っ、行くぞっ!!」
     震える声を押し殺し、意を決して、ナハトムジークも攻撃の戦列に加わった。
     天星弓から限界まで引き絞られた矢が彗星のように弾け飛び、イフリートの身体を鋭く貫く。
    「もう一回! 行くっすよ!!」
     目の醒めるような攻撃網の合間を縫うように、ガンナイフを構えた翠里が砲弾を撃ち込み、それに重ねるように霊犬の蒼も六文銭を飛ばす。
     まさに、畳み掛けるような総攻撃。
     さすがに効いたか、馬のイフリートが、ぐらりと大きく体勢を崩した。
     寸でのところで踏ん張りを利かせた前脚の、大きな蹄が雪を掻く。
    「危ない! 来るぞ!!」
    「え……っ!?」
     後方に構えたナハトムジークには見えていた。馬のイフリートの頭に生えた鋭い角が、一段と激しく燃え盛るのを。
     一方、イフリートのすぐ側まで接近していたシャルリーナからからは、それがちょうど死角になっていた。
     一瞬、反応が遅れたシャルリーナの体の真芯に、燃え盛る角が深々と突き刺さった。


     高く、か弱い悲鳴が上がった。
    「間に合ってくれ……っ!」
     もっと早く、気付いていれば。ナハトムジークは、ぎり、と歯を食いしばり、急いでシャルリーナに癒しの矢を放った。
    「……っ、は、あ……」
     雪の上に倒れたシャルリーナは、苦しげに息を漏らす。冷たく白い地面に、生温かい赤が、じわり、じわりと広がっていく。
    「大丈夫よ、任せなさい」
     寵子も咄嗟にヒーリングライトを発動させた。
    「……す、すみませ……大丈……ですから……!」
     何とか意識を保っているシャルリーナも、必死に自身の回復を試みる。そんな彼女の元へと駆けつけた寵子とナハトムジークは、シャルリーナを庇うように守りながら自分達の後方へと押し込んだ。
    「私、今の平和をとっても気にいっているの。だから、邪魔しないでもらえるかしら?」
    「貴様らの、好きにはさせない……!」
     そして、イフリートを睨み上げる。
     想いは皆、ひとつだった。
    「もうこれ以上、好き勝手暴れさせなんてしないよー!」
    「さあ! 今のうちっすよ!!」
     志歩乃が五星結界符を飛ばし、翠里は霊犬の蒼を伴い、援護射撃を撃つ。
    「……いきます! 勝って、みんな揃って帰りましょう!!」
     斧を握る手に力を込めて、維緒はライドキャリバーのあんどれと共に駆け出した。
    「猛き鬼神の腕よ! 我が手に宿り敵を滅ぼせ!」
    「これで終りだああああーッ!!」
     希紗が鬼と化した己の腕を大きく振り上げ、熾はオーラを溜めた拳で目にも止まらぬ速さの鋭い突きを繰り出した。
     耳を突き刺すような馬の鳴き声が響いた。
     木霊した鳴き声が空へと飲み込まれていくのと共に、馬のイフリートの炎も勢いを潜め、そして、その巨体ごと溶けるようにして消えていく……。


     見渡す限りの雪原には、もう自分達以外の気配はない。
    「……やった、のか?」
     未だ半信半疑のように呟いて、ナハトムジークは、ぽかんとしたままその場に膝をついた。
     柔らかく埋まったそこから、雪の冷たさが伝わってくる。
    「勝ったんだ……勝ったんだよ!」
    「うん……! 勝ったんだー!!」
    「よっ、良かった! 良かったっす~!!」
     わぁっ、と、希紗と志歩乃、翠里は手を取り合って歓声を上げた。
     勝ったのだ。この地に現れた、強大な力を持つイフリートに、灼滅者達は勝ったのだ。
    「うん、本当に良かった……シャルリーナちゃん、傷は大丈夫ですか?」
    「はい、大丈夫ですよぉ。私が無事だったのも、皆さんのおかげですねぇ」
     心配そうに覗き込んでくる維緒に、シャルリーナは、普段のようにのんびりとした口調に戻って小さく笑ってみせた。
    「とりあえず、一息だな。あー……何か、ほっとしたら腹減ってきたな。皆でラーメンでも食べて帰るか」
    「あら、いいわね、それ」
     熾の提案に、寵子は、ふふ、と口元に笑みを浮かべる。
     他の地域に現れたイフリート達はどうなっただろうか。少し、気がかりではあるが、きっと、大丈夫だろう。
     そう、信じて。
     灼滅者達は、今日の戦いの勝利を喜び合った。

    作者:海あゆめ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年1月16日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
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