深窓の暴君

    作者:蔦草正果

     宝石みたいなキャンディにチョコレートパフェ。紅茶には角砂糖が二つ。
     細い身体を上品に飾る、フリルとリボンとレースで彩られた春色のワンピース。膝の上にはふわふわの猫。
     上質な素材でまとめられた品のある調度。
     いつだって、あたしの部屋を満たすのはそんなもの。

     四十を過ぎた年齢の執事が入ってきて、深々と一礼したあと重々しい口調で言った。
    「幸乃(さちの)お嬢様。お勉強のお時間です」
     片手で投げたフォークが執事の胴に突き刺さる。あたしは笑った。
    「いい角度。それで、なあに? 何か言った?」
     ぐらりと男の身体が倒れた。返事がなくて、ため息をつく。
    「ちょっと、寝ないでよ遠藤(えんどう)。ねえ、遊園地に行きたいわ。お父様ったらなかなか連れてってくれなくて困ってるの」
     遠藤は相変わらずうずくまったままだ。そこそこ長い勤めのはずなのに、無礼にも程がある。
     新しいのを雇ってもらおうかな――そう思った瞬間、なんだかとても楽しくなってきた。そうだ、メイドとかも一新してしまおうかしら。
     

    「時が、来たようだな」
     神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)は教室に揃った皆を見るなり、後ろ手に引き戸を閉めてそう言った。悠然と教卓まで歩いていく。
    「生育環境ってヤツは生まれつき持ち合わせた因果だな。しかし豊かだからといって幸せとも、貧しいからといって不幸とも限らないようだぜ。――少なくとも闇堕ちに関してはな」
     そんな前置きをして、一般人がダークネスになろうとしている、と彼は続ける。
    「しかしながらまだダークネスになりきっちゃいない、救える可能性を秘めた存在であることも判明している。灼滅者としての素質が眠っているようなら、お前達の手で救い出してやってほしい」
     けれどその前に完全にダークネスに変容するなら、それもまた運命(さだめ)だろう――そう付け加えるのを、彼は忘れはしなかった。
    「対象は勅使河原・幸乃(てしがわら・さちの)。実はとある企業の重役にして暴力団と通じている、勅使河原氏の一人娘だ。年は十四歳」
     籠の鳥だとか、深窓の令嬢だとか。そんな言葉から想像出来る環境に置かれた、可憐な少女。
     しかし突如、彼女は気に入らないものを全て拒み、黒曜石の角が与える衝動に身を任せる暴君となってしまった。
    「難しいのはコンタクトだ。――が」
     ヤマトは満を持して、といった風情で一枚のチラシを繰り出した。
    「ここに折りしも勅使河原家の執事及びメイド募集の告知を入手した」
     ……どうやらそれらになりきって、潜入してこいということらしい。
     ふっ、と赤髪のエクスブレインは浅く笑う。
    「年齢不問。使用人になるにはただひとつ、礼儀作法と所作、細やかな気遣いだ。お前達なら容易い偽装だ間違いない。お嬢様に気に入られて闇堕ちから救って来る。完璧だ。……とはいえ屋敷内では難しいだろうから、彼女の興味を惹いて外へ連れ出してしまうのがいいだろうな」
     最近は何やら遊園地に興味があるらしい。
     どうも手の早いお嬢様らしく、鬼神変を主として用い、癪に障る相手から倒してしまおうとする性質があるという。
     灼滅者達以外の取り巻きがいることは避けられず、強化された一般人を召し抱えているのには違いない。しかし灼滅者達が親しくなればなるほど取り巻きの数は減るだろう。
     
    「何不自由なく育ったお嬢様が、暴力に走る、か」
     ヤマトは軽いため息を付いた。
    「じゃあどこかに不自由があったのかもな。上手く学園に呼べれば、或いは――武運を祈る」


    参加者
    スウ・トーイ(黒禁門・d00202)
    山城・竹緒(ゆるふわ高校生・d00763)
    室崎・のぞみ(世間知らずな神薙使い・d03790)
    明咲・シャルル(月虹を纏う者・d04828)
    北逆世・折花(暴君・d07375)
    護宮・サクラコ(大天使サクラエルの光臨・d08128)
    高宮・綾乃(運命に翻弄されし者・d09030)
    天槻・空斗(剣に眠る黒影焔・d11814)

    ■リプレイ

    ●灼滅者→使用人
     居間に集められた新しい使用人達を見て、ふうん、と甘い声が令嬢の鼻先で鳴った。
    「ちっちゃい子ばっかりじゃない」
     そう言った令嬢、幸乃自身も、身に余るサイズの一人掛けのソファに小柄な身体をゆったりと据えている。柔らかな黒髪のツインテールの中には――黒曜石の角。
    「本当に仕事出来るの? 出来が悪かったらとっとと追い出しておしまいね」
    「……タッパのでかさと仕事って関係あんのかよ」
    「き、聴こえてしまいます……」
     執事服のタイを密かに緩めながら天槻・空斗(剣に眠る黒影焔・d11814)が低い呟きを放つと、隣にいるためにうっかり耳で拾ってしまった高宮・綾乃(運命に翻弄されし者・d09030)が身代わりのように身を縮こまらせる。
     そんな使用人の会話など露知らず、横からケーキと共にそっと置かれた湯気の立つ紅茶を引き寄せ、幸乃はすました顔で言った。
    「まあいいわ。せいぜい頑張って頂戴?」
    「はい。よろしくお願い致します。幸乃お嬢様」
     両手をきちりと揃えて優雅に頭を下げた旧家のお嬢様――護宮・サクラコ(大天使サクラエルの光臨・d08128)に、引けを取らぬ者、すぐさま合わせる者、数瞬遅れて続く者。取り揃えられた個性を鑑賞する黒い瞳。
    「こちらこそ」
     ティーカップが静かにソーサーに置かれ、指先がケーキ皿に滑る。
    「よろしく、――ね!」
     明らかに無造作に掴まれ、――空を切ったナイフとフォーク。
     しかし鳴ったのは肉に突き刺さる音ではなく。
     ぱし、とあまりに軽い音と、鈍い金属音。
     八人の内の一人、スウ・トーイ(黒禁門・d00202)は実に涼しげに微笑み、指先に挟んだ無傷のフォークをくるりと回した。目前の長テーブルの上へと置く。
    「お戯れを、お嬢様。こちらへ参りまして早々、崩れた身なりをさらす訳には参りませんので」
    「お嬢様、危ないですよ」
     困惑と微量の驚きを交えて室崎・のぞみ(世間知らずな神薙使い・d03790)が続ける。
     手の届く位置にあるワゴンに載っていた銀色の丸トレイが、いつの間にか両手で掲げられている。ナイフはそのトレイに貫通し歪んでいた。
     ふうん。ソファの上に深く座り直し、幸乃はまた小さく鼻を鳴らす。けれど今度は暗い愉悦がその顔に浮かび上がっていた。
     後ろに控える数名の使用人たちにも一人たりとて異常に震えるものはいない。すでに彼女の支配下にあるようだ。
    「……洗礼か」
     淡、と北逆世・折花(暴君・d07375)が呟いた。
    「面白い。いいわよ、ちょっと気に入ったわ。改めてあなた達のご主人様を教えてあげるわね。勅使河原・幸乃。それがあたしの名前よ」

    ●殺伐お茶会
     それから一週間と数日。
    「Guter Morgen お嬢様。まもなく朝食のお時間です」
    「ぐー……?」
    「ドイツ語でおはようございます、って意味ですよ! お嬢様。おはようございます!」
     そう注釈した山城・竹緒(ゆるふわ高校生・d00763)に合わせて、明咲・シャルル(月虹を纏う者・d04828)もロングスカートの裾をつまんで一礼する。
    「さあさあ、お嬢様。お着替えを。学校が待ってますよ」
    「聞いてないの? あたし行かないわ。行ってないの」
     竹緒は何となく隣のシャルルと視線を交わす。ふわりと白い髪を揺らして、シャルルが引き継いだ。
    「お友達が、いると楽しいですよ」
    「ね。請け負いますよ」
    「……別に、要らない。そんなもの」
    「んじゃせめてランチは皆で囲みましょう」
     背後の扉の隙間から空斗の声が投げられる。部屋の中を覗き込まない位置に立ち、片手に持ったはたきで掃除をしていた。
    「誰かと一緒に食べる方が、一人で食べるよりもおいしいと思いますよ?」
    「ですよっ」
     二人が声を揃え、めいめいに笑って後を押す。
     ――そうして、昼頃。
     日当たりの良い庭の真っ白なテーブルセットに、ちょこんと令嬢が座ることになる。
    「使用人の願いをあたしが聴くなんて、――あらこのお茶美味しい。茶葉を変えたの?」
    「本日の紅茶はサクラコ、さんが」
    「淹れ方を変えるだけで風味が違ってくるそうですよ」
     折花とのぞみの言葉に、ふーんふーんと無関心を装った関心の声が奏でられる。
    「あ、お嬢様。食べかすが」
    「取って、綾乃」
    「自分で取りましょうね。はい、ナプキンを」
     少し離れた位置に控えていたスウが、すっとした立ち姿にそぐわぬ不明瞭な発音で呟いた。
    「手懐けるのもそう難しくない気がするねぇ」
    「でもあの『洗礼』のあとも、豹変してしまう瞬間を皆さん度々見ているそうです」
    「……あの女面倒くせぇ」
     庭仕事を済ませ遅れてやってきた空斗が、折よくスウとシャルルの後ろを通り過ぎ、ボソリと悪態をつく。
    「この"お茶会"のセッティングも、菓子は何が良いだとか、ランチだからメシメインだっつってんのに聴かねぇ――」
     刹那、言葉を切り、弾丸のように投げ放たれたスプーンを振り返りざま得物で撃ち落とす。ちなみに高枝切り鋏。
    「っぶねえ、何しやがんですかお嬢様!」
    「あいつだけは本当に無礼だわ、この間も!」
     クッキーの載った皿が舞う。今度は折花が無言で叩き落とした。
    「お嬢様ー!」
     一触即発の雰囲気の中、マイペースに朗らかに駆け寄ってきた竹緒が割り入る。一言断りを入れてテーブルの上に一枚の紙を広げた。プリントアウトされているものは、どう見ても遊園地のマップ。
    「紅茶のお代わりはいかがでございますか」
     ポットを携えて粛々とやってきたサクラコが続く。目を白黒させる幸乃へにこりと微笑み、
    「――よろしければこちらも。親睦を深めるために、ご一緒させていただけると嬉しゅう存じます」
    「親睦……?」
    「仲良くなりたいってことですよ! ええと、大型ローラーコースターに高さ五十メートルの回転ブランコ、戦慄のホラーハウス……ですって!」
     竹緒を始めとする勢いに呑まれつつある幸乃の後ろで、綾乃がメイド服のポケットを探る。遠慮がちにテーブルの上に滑らせた。
    「よろしければ、ほら。割引チケットもありますよ、お嬢様」

    ●好きとか嫌いと言えること
     階段の影になる場所で座り込んでいる幸乃を、シャルルが見つけた。
    「こんなところに」
    「行くわよ。行くけど」
    「はい」
    「使用人と行くなんて思ってなかったから」
    「私達とは、嫌ですか?」
    「そんなんじゃない」
     どことなく不安げに聞こえる。聞いたことのない響き。
     睫毛を揺らしたシャルルの肩に軽く触れたのは、のぞみだった。軽い目配せに応じて片方が半歩下がり、片方が半歩進む。
    「お嬢様は、お父様とお母様の事はお好きなのですか?」
    「当たり前でしょ。ただすごく、そうすごくお忙しいから、時間がなかなか取れないの。だから、それが、――嫌い」
    「好き、でも、嫌い。なんですね。……お嬢様。私は……親の愛情というものが分からないんです」
     許可を取り、スカートが汚れることも構わずに隣に座る。声は密やかに薄暗がりに落ちる。
    「ずっと、親の言われるがままに生きてきました。でも両親は私よりも家の名前の方が大事だったみたいで、私のことは家の為の道具程度にしか思っていなかったようです」
     幸乃は数秒だけ黙って、ぷいと顔を背ける。
    「……だから、お嬢様。私に、私達に教えて下さいませんか」
     ――――両親と遊園地に行った時、どんな風にして遊びたいと考えるものなのか。

    「そんな経緯があったんですねい」
     見上げた先。青空の下、ジェットコースターで流れていく悲鳴を右から左に聴きながら、サクラコと折花、綾乃が言葉を交わしている。
     遊園地とはいえ平日ともなれば人の入りはそれほど多くもない。しかしさすがに使用人の装いというわけにもいかず、一様に普段着をまとっていた。
    「実際そんな時が来るんでいすか?」
    「どうでしょう。お屋敷にお帰りになられているところも、まだ見たことがありませんし……」
     ――お嬢様は、大好きな両親に大事にされているんですね。
     後でのぞみがそんなことも呟いていたなと、折花は思い返す。
    「このまま沈静化するならどんなにいいか。実際は角もそのままで、着火だって頻繁になっています」
    「ゆるやかーに闇堕ちされるわけにはいきませんねい」
     灼滅者たちの他に二人の使用人を含む同乗者、それとのぞみの手を引っ張りながら駆け寄ってきた幸乃を迎え入れる。
     表情を見れば問うまでもないことが知れた。心から楽しんでいるようだと。
    「次! 次は回転ブランコね!」

    ●使用人→友達
     夕暮れを過ぎた頃。最後の締めとして向かうホラーハウスは、園内の外周に程近い位置にあった。
    「遊びすぎて疲れた……寝たい」
    「だらしないわねっ」
     嘲るように空斗へと投げ放つ言葉にも、自然に手が出る。
     受け止められ、睨み合うことになったせいで、背後で人が倒れる音に幸乃は数瞬反応し遅れた。
     わざと遅れて歩いてきていたスウと折花に意識を向けるべきだったのかもしれない。振り返ったその時にはもう、それぞれが先輩の使用人二人に拳を落とし終えていた。
    「幸乃お嬢様。――大変残念でいすが、これはぜーんぶ、お芝居」
     整えた口調を途中でがらりと、それこそ残念なものに変えて、サクラコが宣言する。
    「……どういうこと」
    「分からないでいすか。ばーかばーか」
     スウが帽子をくいと引き下げ、その影で笑った。
    「夢は終わるものさ。目覚めの時間だぜ、お嬢様。お前さんからそろそろ悪いもんを追い出さねぇと、どうしようもなくなる」
    「そのために、……そのため、だけに?」
    「……痛い思いを、させてしまうかもしれません」
     どこか悲しげに呟いて、シャルルは掌をひらめかせる。
     撃ち放たれた魔法の矢の群れは、しかし幸乃を捉えることはなかった。
     サクラコの眼前。少女のものとはとても思えぬ異形に巨大化した右腕が、迫っていた。
     圧倒的な速度をもって拳が振るわれる。強い力でシールドリングが弾かれ、交差した細腕が軋んだ。
     横合いから突き出された空斗のナイフが、羅刹の動きから追撃を取り上げ変則なものにさせる。右方へ飛び退り着地――するだけではない。ナイフ使いに向け、返礼じみた風の刃を腕の一振りで巻き起こす。
     咄嗟に飛び出したジャージ姿がソーサルガーダーを展開する。見えぬ刃が血の雨を降らせたが、見目ほどの痛みを阻んだ。
    「まだまだ。ダンスの相手に如何ですかってね」
     涼しげに返すスウの後ろ、
    「駄目だ。眠い」
    「ほ、本気でお疲れだったんでいすか!?」
     サクラコの戦慄。
    「そりゃ、そうだろ。友達ってのは全力で本音を言って、ぶつかってくれる奴のことだろ?」
     折花が前に出た。指先をくい、と曲げて。
    「らしいよ。……さあ、来なよ、我侭お嬢様。相手になってあげる。一人じゃ退屈だったんだろ」
     泣き声のような、悲鳴のような。そんな声が、少女の喉奥から上がった。
     鬼神変を有した右腕をして、疾駆する。折花も応じて駆ける。
     繰り出そうとした抗雷撃は、しかし利き手を鷲掴みにされることで潰えた。ばちりと飛び散った雷の華。
     羅刹の背後に回った綾乃がマジックミサイルを解き放つ。ほぼ全弾が命中した、ように思えたが、もうもうとした煙の中に少女はまだ立っている。
    「絶対に、闇堕ちなんてさせない!」
     竹緒の導眠符によって腕が弛んだ瞬間を逃さなかった。折花が拳を振り解く。懐に入ったこの位置。その間隙。
     幸乃越しにのぞみを見た。清らかな癒しの風が流れてくる。純然たる、救いたいという意思の具現化。
    「――なあ、お嬢様。自分が気に入らないからじゃなく、誰かのために力を使うっていうのも、存外悪くはないよ」
     力の奔流に飲み込まれて。
     羅刹が、膝をついた。

     力なくもがく幸乃を無理やり抱き締めて、サクラコが歌う。
    「痛いの痛いの飛んでけ、羅刹の角も飛んでいけ」
    「お嬢様……じゃなくて、幸乃ちゃんっ。よかった!」
     ぎゅう、と反対側からまとめて竹緒が抱きしめる。学園と灼滅者について、そして自分達の行動についてせつせつと語られている幸乃の眼前で、綾乃が控えめに笑い掛けた。
    「私たちと一緒に、来てもらえませんか? 教えられなかった楽しいこと、まだまだ沢山あるんですから」
    「……う、そつき。だって。お芝居だって。全部。仲良くなりたいって、言っ」
    「ええ、全部お芝居でいすよ? あなたを助けるためなら、どんな芝居も打ちましょう」
    「だから、こっから先は芝居じゃない。ごめんな、さっきは」
     言葉を失った幸乃に向けて空斗が謝罪を口にした。使い慣れなかった敬語ではなく、友人の距離感。シャルルが言い添える。
    「今度は学校で。友達として会えるといいですね」
    「……」
    「ほら。お手を。お父様でも出せないとっておきの一番甘いもの、差し上げましょう」
     スウが飴を取り出して、小さな掌にそっと載せる。
    「ようこそ、武蔵野学園へ」
     帽子の位置を直しながら。どこまでも軽やかに笑っていた。

    作者:蔦草正果 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年1月29日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 9
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