「わ、すごい雪だな……!」
「本当、東京にこんなに雪が積もるなんて珍しいよねー!」
武蔵坂も、すっかり雪景色となった休日。
慣れない都会の雪は、何かと不自由なこともあるけれども。
「こんなにすごい雪だけど、すぐに溶けちゃいそうだよねー。だからさ、折角だし、みんなで雪遊びしよーよ!」
「井の頭公園で、雪合戦や雪だるま作りとかできたら楽しそうだな」
飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)や綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)の言うように、折角だから、この都会に降った雪を楽しもう!
場所は――井の頭公園。
雪の降った公園内で、雪と戯れるのも楽しいのではないか。
雪合戦や雪だるま作りできゃっきゃ遊ぶも良し、はらはらと舞い落ちる雪をまったり眺めるも良し。
この珍しい都会の雪の中、思い思いに過ごして貰えればと。
でも……やはり、雪の寒さに慣れていない人も多いだろうから。
「防寒はしっかりとしておかないとだな」
「それにさー何かあったかいもの買って、食べたり飲んだりもしたいよねー」
防寒はしっかりと、また何かあたたかいものを公園周辺で買ったり持参したりすれば、厳しい寒さも少しは和らぐかもしれない。
「ちょっと寒いかもしれないけど、珍しいこの機会を逃すのは勿体無いよねー!」
「折角の都会の雪、楽しめればいいな」
凍えるくらいに寒い雪の日だけれども。紗矢と遥河も、そう瞳を輝かせて。
「みんなも来るかなー? みんな一緒にわいわい楽しめればいいよね!」
「そうだな、楽しく雪遊びたいな」
早速、雪の降る武蔵坂へと繰り出していく。
●
雪やこんこん、絶え間なく空から降る白が。
井の頭公園をいつもとは違う色に染めている。
「修斗、修斗、大きいの作るぞ!」
一緒に雪玉をころころ、裕也と修斗が作るのは、チャーミングな雪だるま!
それから次に、小さいのを沢山並べて。
「持ち帰りたいのですか?」
修斗は作ったミニ雪だるまを、ちょこんと御盆に。
そして紅茶を飲んでいこうと修斗を誘いつつ、裕也は続ける。
お前が淹れるのが一番だけど――と。
エルメンガルトとアンテノーラも気合十分!
大きな雪だるまをと、息切らし二段重ねの胴体を作るエルメンガルト。
そして彼似のつんつん頭なイケメン顔を作ったアンテノーラだが。
気持ち良い雪に思わず潜って、ウトウト。
「雪の中で寝ちゃ駄目だよ! 起きて!!」
それを慌てて起こしたエルメンガルトは、温かい豆乳を彼女に。
ザクザク雪を集めるエイジと一緒に。
半纏姿の炬燵は早くこたつに入りたいと、かまくら作りを。
そして中にコタツを置き、熱源のカイロをぺたぺた貼って。
「かまくらの中でこたつに入り、みかんを食べる幸せ……」
「なんだかこのまま眠ってしまいそうです」
完成した風情あるコタツ空間で、ぬくぬくウトウト。
級友の紗矢と一緒に、雅弥も雪だるま作り!
紗矢の作った胴体に、よいしょっと固めた頭を乗せて。
「よし、これでいいじゃろう」
仕上げに顔を付けて、完成!
流希はその頃、人気の無い所を選んで、スノーアートに挑戦!
「造詣がいまいちですねぇ……」
そう呟きつつも、脇目も振らず作業して。
最後に、完成した芸術に一句を。
そして、雪に埋まる修行とか正気じゃねぇ! ……でござる、と。
急に雪から這い出てきて、買ったコーンポタージュの飲み口に詰まったつぶつぶを味わう木菟。
唯も、ペタペタよいせ、かまくら作りに没頭して。
「今年の雪も……去年に負けないくらい……白いですよ主……」
作ったミニ雪だるまにそう、そっと語りかける。
「こ、これが……ゆ、雪っすか……」
初めての雪にガタガタ震えるカルリーニョスに。
ズラタンは体を動かすぞと、一緒にサッカー1on1を!
最初こそズラタン優勢であったものの、次第に体が温まったカルリーニョスにあしらわれ始めて。
「……帰るぞ、疲れた」
マジ懲りてないっすねぇとどや顔の彼に、そう言うのだった。
雪かきでヘトヘトながらも、公園に辿り着いた登は。
何としても雪合戦をと、丁度雪玉を作っていた紗矢や遥河に加わって。
「寒い日はやっぱ肉マンだよなぁ」
達也も煌く雪をスピカと一緒に眺めながら、肉まんを半分こした後。
雪だるまを完成させてから、達也とスピカも雪合戦に参戦!
遊ぶ子供達を眺め、自分の子供の頃を思い出し、物思いに耽っていた流人も。
二人に誘われ、雪合戦!
「当てたもの勝ちですよ」
えいえいっと誰彼構わず雪玉を連投する唯人に、有斗も反撃!
いつの間にか個人戦に突入!?
横から後ろから飛んでくる雪玉に、皆で真っ白になって。
きゃあー!? と足を滑らせた瑠璃羽を支えようとした遥河も、わぁっと一緒に、すてんっ。
それから一時休戦、瑠璃羽は皆におばあちゃん直伝善哉を振舞いつつ。
「白玉、カワイイ子豚の形ですね」
「違うよ、これタヌキだよ。ね? 風音さん」
「狸でも子豚でもないもん!」
猫に見えるよね、ね? と紗矢に視線を。
そんな瑠璃羽に、紗矢は瞳をぱちくりさせた後。
お、美味しいな善哉……と、そっと話を逸らすのだった。
雪にはしゃぐのは【星空芸能館】の皆も同じ。
ずらり藍が並べたのは、沢山の雪兎さん。
「これだけいればさみしくないよね」
それから一緒に、仲良く雪ナノナノも。
結衣菜もころころ大きくした雪玉を重ねて。
「うふふ、なんだか楽しいな」
木枝のお手々と眉毛、石でお目目を付けて……雪だるま完成!
ファルケもやるからにはと、巨大雪だるま作りに奮闘するも。
「……ち、でかすぎて頭が持ちあがらない」
こうなればと横に並べ、雪だるまの昼寝という力技を!
くるみも最初は普通に雪だるまを作っていたが。
そうだ! と雪玉に穴を開け、ミニ雪だるまを入れれば。
「ミニカマクラのできあがり~♪」
そして藍も、掌の雪兎をえりなにも見せて。
「紗矢ちゃん、皆さん、暖かいもの用意してあるから、どんどん飲んで食べて下さいね♪」
いつもと少し違った不思議な雪の公園で、皆で楽しくピクニックを。
●
小さい雪だるまは真白に、大きい雪だるまは有貞に似ていて。
仕上げに、マフラーをくるり。
そして。
「七生さんもあったかくなってくれたら、って」
有貞に巻かれたのも、真白とお揃いのマフラー。
Happy birthday♪ と歌う彼女に有貞は驚くも、ありがとう、と紡いで。
はにかんだ真白は呟く。あったかいな……と。
キャッキャ新雪に足跡をつけてから。緋織と眞白は、雪玉転がし競争を!
先に着いた眞白は雪に手こずる彼女を、こっそり可愛く思いながらも。
ふたつの雪玉をせーので重ねて、雪だるまが完成!
そして二人、缶のお汁粉を飲みつつ眺める。
緋織が頭にちょこんと乗せた雪兎が一緒だから……雪だるまも、寂しくないと。
さくりと足元の雪を掬い笑う縁に、瑞穂もふわり笑み返して。
「まあ、雪遊びもええと思うけども、雪の中一緒に歩くだけでも楽しいと思うで」
ほら、と差し出された大きな手を、そっと握ってみれば。
冷たかった手がとけるように、じわりと熱を帯びる。
そして二人公園を一周し、ココアで休憩を。
手と手を、繋いだままで。
「んー、冷たいっきもちーぃ」
美咲は新雪を掬おうと手を伸ばすも。
刹那、つるり滑って、尻餅覚悟で瞳をぎゅっ。
でも……感じたのは、冷たさではなくて。
「……大丈夫か?」
抱き止めてくれた、陸の体温。
そして、凄い近……と耳まで熱くなる美咲に、陸も少し視線を逸らして。
ぎゅっとしたい衝動に、きゃーっと美咲は更に真っ赤に。
4人で作ったかまくらは定員2名。
でも猫なら大丈夫! 悠はディアナに、だっこーとニャーと鳴いて。
「ああ、私は次入るから、先入って」
そう翼を促す織玻。
いえ……入りませんけどね!
彼が入った後、空気の読める猫さんもするり脱出して。
ディアナと二人きりと気付いた翼は、助けろ! と織玻に視線を。
でも向けられるのは、頑張ってね! といういい笑顔!
そしてそわそわする翼に気付いたディアナは。
もしかして、これは……。
「狭い?」
でも、彼の体温を感じるほどすぐ傍にいる今に、ドキドキと顔を赤くして。
「取りあえず、すまん! 狭くはないぞ!」
翼はそんな彼女を見ながら思う――どうしてこう、落ち着かないんだ? と。
●
「よっしゃぁぁあぁ行くぞ鈴!!」
「バカヤロウ言われなくても私色に染めたらぁなホアー!」
一緒にダイブした雪は冷たくて寒いけど……柔らかくて、面白い。
それから雪玉を当てられた鈴が、千慶の顔にソォイ!! とお返しして。
雪のかけ合いに!
そして赤くなった手を擦りつつ。帰りのコンビニで、千慶の奢りでお汁粉を。
腰を落とし颯爽滑りからの雪山顔面ダイブをした、徹太目掛けて。
「俺が滑る訳ねぇっすよー! ……っと、うわあぁ!!」
見事につるりと、時春がタックル!
そして置いてっていいと寝る徹太に、時春が周に何やら耳打ちして。
刹那、上から雪を、どさぁッ!
「……覚悟は出来てんだろうなコルァ」
「うわー怖ぇー! 左も逃げろー!」
「うぎゃ!? ちょ! 冷たい!」
「あっやっべ地味に痛いぞこれ」
「どーだスナイパーの雪玉眉間ヒットは効いたろ」
雪兎を作っていた幾彦も巻き込んで。
「秘奥義! スコップ雪投げー! どりゃああ!」
いざ、合戦の始まり!
そして、ようこそ! 人部へ! これから宜しく! と。
今度は時春へと、痛すぎる歓迎の集中砲火を!
雪の公園には【Chalrotte】の皆の姿も。
「雪兎、作ってみたい……こういうかんじ?」
凪月は雪を固め、自分と同じ赤い南天のお目目で仕上げて。
かわいいなぁと和むシェリーも、雪兎のお友達を。
「可愛いー!」
実も雪兎のモブの出来に自画自賛!
そんな皆の様子をスミと眺めていた庵だが。
「いおりーん! 雪の妖精さんよー♪」
「あはは、何するんだよ草灯っ!」
雪をぶっかけてきた妖精さん目掛け、雪玉をブン投げ!
そして、いらっとやり返してきた庵に、ヤダー本気なの? と。
草灯がキャッキャ身を翻せば。
「寒いな……わっ」
赤い鼻で白い息を吐きつつも、そう寒そうではない雄大に、流れ玉がばしゃ。
そして雄大もうずうず、雪合戦に参戦!
「楽しそうじゃねぇか、オレも混ぜてくれよ?」
「このっ……お返しでござるよ!」
烏衣と無形も、乱戦の輪に加わって。
大きな雪玉に正拳突きした香純の狙いは、同じ年の無形と凪月!
でも並ぶ雪兎に気付き、ヤベッと呟くが。
咄嗟に庇ったのは、綴。
「こっちに投げんの禁止ですよ~。スミちゃんに当たったら可哀想ですやん」
天音は避難してきたスミを撫でつつ声を掛けて。
綴もやはり少し悔しくて雪玉を投げ返すも。
「ちょ、待っ!」
思わぬ流れ玉に、再びべしゃり。
「……手加減は、要らないよね?」
「此処には頼もしい男の子ばかりだからね、えいっ」
沢山雪玉を作った凪月とシェリーも雪合戦に参戦!
「おう、オレは何時だって受けて立つぜ……わ!」
烏衣も被弾し、雪まみれに。
モブに雪玉が当たり、何するのー! と実も加われば。
「変わり身の術でござる!」
咄嗟に雄大を盾にした無形に、忍者すげーと香澄が呟いた刹那。
「顔拓とれた!」
無形と一緒に、ばたんきゅー。
そして一時休戦!
実のコーンスープと天音のココアで、暖を。
天音は庵へと真っ先に差し出した後、慌てて皆にも配って。
少し照れながら受け取った庵は、てしてしするスミを嗜めつつ。
ココアを飲んで呟く……あ、美味しい、と。
「立派なのが出来るかなぁ」
「作った事はないけど頑張ろう!」
藺生と侑緒が作るのは、外国で見るような3段雪だるま。
その隣には、綺麗なお目目の雪の動物達。
りりの雪兎は赤い実、鐘のヒヨコとネコのは硝子玉。
そして、りり! の声に振り返った、瞬間。
「む、なかなか耳が刺さらな……わぁ!」
宗一の雪玉が、りりに顔面ストライク!
でもすかさず、あやかの雪玉が宗一にヒット!
「わ、上手!」
「そか? テクニシャンやろ」
「へぶっテクニシャン言うと、何かエロいで、あやか」
思わず手を叩く藺生に、あやかはへらり笑んで。
幼馴染にツッコむ宗一へと、りりもお返しの一投! ……のつもりが。
「イタタ……」
「あららら、ごめーん!」
他の皆に流れ玉が。でももうこの際、気にしない!
侑緒もあやかに、お返し! と一つずつ雪玉を投げるも、明後日の方向に。
そして。
「おにょれーっ」
「宗一さんは不意打ちしたから、りりさんに加勢……♪」
「ちょ、待てぇ! 多勢に無勢やろが!」
宗一へと集中砲火!?
いえ、彼だけでなく――全員揃って、楽しく雪まみれに。
やっぱ冬はこうでなきゃな、と。
本片手に、幸太郎は【LIFE PAINTERS】の皆と、かまくら作り。
大和も雪を集めては固め、雪の様に無心で無言に作業をこなして。
立派なかまくらが完成! 次は二手に分かれて雪合戦!
深夜テンションな零人が構えるは、雪発射仕様のマシンガン。
これで負けなし! のはずが。
「あ! て!? 百舟さん当たってます! 当たってますって!」
「ところで、なんで百舟さんの雪玉は三回に一回くらいパーティアタックなのかな?」
「何の事だか分からんなぁ!」
仲間の南守共々、煉火のノーコン被害に。
そして作った雪玉を煉火に奪われた椛も、駄目なのです~!!と雪玉を投げるも。
明後日の方向に飛んだそれを、見なかったことに。
そんな椛から雪玉を貰い、律花は相手にそっと近づいて。
「よし、今のうち狙っちゃいましょう」
横がガラ空きよ? と雪玉をぶつけるが。
刹那、南守の一投で枝から落ちた雪が、敵味方関係なく、どさりっ。
そしてかまくらを盾に移動する譲は、この絶好のチャンスに。
「よし、もらっ……やべっ」
雪玉を投げるもすっぽぬけ、さらに煉火もノーコンを発揮、雪玉がかまくらの中へ!
そして雪合戦を終え、戻ってきた皆に。
「ところで、中にまで雪玉を投げ込んだのは誰ですか?」
笑顔で威嚇しつつも、お汁粉を配る紫姫。
そんな怒りのオーラに、しらを切る煉火とダンマリを決め込む譲。
それから皆と、大和は立ち上る湯気や甘い薫りを楽しんで。
雪だらけの身体を震わせていた南守も、んー美味い! と。
雪玉より餅玉を幾らでも食らいたいよと餅を頬張って、ほくほくあったか。
公園で作るのは雪だるま? いいえ、雪像です!
「雪で日本のお城作らない? 姫路城とか!」
「世界に誇るニッポンのお城ね!」
挑むは、世界遺産・姫路城!
丁度白くてぴったりと、はしゃぎ作り始める茶子とオデットに。
「あんな複雑なもん作んのかよ!?」
「三角っておい、それじゃ塔みたいだろ」
思わずツッこむ、華丸と千早の男性陣であったが。
出来ていくにつれ、お城は次第に歪になって……その度に、不思議と楽しくなる。
そして完成したのは姫路城? ――いいえ。
「私達の花札城ってトコかな?」
「それを言うなら猪鹿城、だろ?」
自分達だけの、愛嬌たっぷりのお城!
そんなキラキラ輝く城のお殿様は。小さなサムライの、雪だるま。
目標は、公園を埋め尽くす、雪だるま大家族を作る事!
「頭を乗せるときが一番壊れ易いので、そこは細心の注意が必要ですね」
雪国育ちの林檎の助言を元に、【正義の味方部】の皆で、まずお父さんを。
「ぐっ、おもっ、これ一人じゃ!」
「力仕事なら任せとけって」
大きな雪玉を転がすあさひに、将平が手を貸して。
「目は石、手は木の枝とかで良いかな?」
顔や手をつけた謳歌が、ぽふり自分の帽子をかぶせて完成!
その横で、雪ダルマトリョーシカを頑張って作る花火に。
「10体、20体……まだまだいけるぞっ!」
孫から孫の孫まで、表情の違うちっこい子を沢山、織子は作りながら。
皆に家族構成の説明を。
「これがパパさん、それから、ママさん。……あと、子だくさん」
希子も賑やかになる大家族に楽しそうに笑んで。
「皆、行くよーーーっ!」
「それじゃ撮るよー! はい、チーズ!」
並ぶ雪だるま大ファミリーの横で正義の味方っぽく決めて、ハイポーズ!
将平は級友の遥河に、よっと声を掛けた後。
「いいよな、こういうの」
照れを隠すように小さく呟く――家族みたいで、と。
そして雪が溶けるのは、少し寂しいけれど。
春の訪れも、またご一緒できますように、と。
希子は、雪や雪だるま家族と戯れる皆に、そう微笑むのだった。
作者:志稲愛海 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年1月31日
難度:簡単
参加:78人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 8/キャラが大事にされていた 15
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