葵・凰呀(灼光守りし金色の白虎・d00530)は、こんな噂を耳にした。
『幼女ばかりを狙う変質者がいる』と……。
その変質者は幼女を見かけると、おもむろにコートを広げて、相手にトラウマを植え付けるらしく、それが原因で男性恐怖症になったケースもあるようだ。
念のため、エクスブレインに確認を取ってみたところ、裏で都市伝説が絡んでいるらしい。
しかも、コートの中にあるのは、シャレにならないほどグロテスクなモノらしく、都市伝説は無数の触手を伸ばして攻撃を仕掛けてくるらしい。
おそらく、このままだと不自然な光やもやが支配するような展開になってしまうだろう。
それを防ぐためにも都市伝説を倒さねばならなかった。
参加者 | |
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葵・凰呀(灼光守りし金色の白虎・d00530) |
仲村渠・弥勒(世果報は寝て待てない・d00917) |
漣波・煉(迷惑な訪問者・d00991) |
壱乃森・ニタカ(桃苺・d02842) |
椿原・八尋(篋底・d08141) |
赤秀・空(アルファルド・d09729) |
桧倉・ララクー(パープルコール・d10044) |
凸囗・凹(幸運の娘・d11705) |
●危ないオジサン
「幼女趣味の変態都市伝説かぁ……。しかも、触手がうじゃうじゃって、そりゃートラウマにもなるよねー。オレでもヤだよー。そんなん、野放しにしとくわけにもいかないからねー。ちゃっちゃと退治しちゃおうねー!」
仲間達に声を掛けながら、仲村渠・弥勒(世果報は寝て待てない・d00917)が都市伝説の確認された場所に向かう。
都市伝説は全裸でコート一枚という危険なスタイルで、街をウロついているらしい。
これが変質者であれば、近隣住民に聞き込みをする事で目撃者も現れるはずだが、相手は神出鬼没の都市伝説。
どこから現れるのか、まったく予想がつかなかった。
「それに、幼女趣味の変質者なんて最低だ! コートの中にあるのがどんなものか分からないけど、トラウマを植え付けるほどだから……、きっとひどいものなんだろうね」
嫌悪感をあらわにしながら、椿原・八尋(篋底・d08141)が吐き捨てる。
どう考えても、クロテスクな映像しか浮かばない。
しかも、既に被害者が出ているのだから、このまま野放しには出来ない。
「ひょっとして、噂を流した人達も、何処か病気だったのかな。例えばロリ……げふんげふん」
派手にげふんげふんと咳き込みながら、赤秀・空(アルファルド・d09729)が口元を押さえる。
もしかすると、その手のネットワークで流行っていたシチュエーションかも知れない。
噂の出所がどこなのか分からないが、何となくそんな気がする。
「だからと言って、小さな女の子にトラウマを植えつけるなんて許せないよ! この都市伝説は絶対ニタカ達で倒すもん!」
不機嫌な表情を浮かべ、壱乃森・ニタカ(桃苺・d02842)が言い放つ。
都市伝説がどんな攻撃を仕掛けてくるのかわからないが、それでも放っておけば被害者が増えるだけ。
ならば、どんな危険を冒してでも、倒さねばならない。いや、ならなかった。
「変質者さんはめっすべき――失礼しました、滅すべきなのです! 例え都市伝説でも! ……そんな危険なのなら尚の事、かもです」
拳をギュッと握りしめ、桧倉・ララクー(パープルコール・d10044)が口を開く。
ララクー自身もソロモンの悪魔に追い続けられたため、変態や変質者が怖くて仕方がない悪魔恐怖症なチキンなので、小さい子を自分と同じような目に遭わせたくないようである。
「あぁ……、なんかもうこの手の相手に、なんの違和感も感じなくなってきた。もうばっちこい、みたいな? ……さっさと片付けて、お風呂に入って寝たい……。しかし、可愛い幼女達の安全の為だ。私がんばる!!! 早く出てこい、ロリコン都市伝説……。早く早くハリーハリーハリーアップ!! ガルルルルル!」
今にも飛び出していきそうな勢いで、葵・凰呀(灼光守りし金色の白虎・d00530)が叫ぶ。
だが、このままでは都市伝説に怪しまれてしまうため、その気持ちをグッと堪えて物陰に隠れる事なした。
「トにカく、都市伝説、見ツけナいと……」
太腿丈のローブを着込み、凸囗・凹(幸運の娘・d11705)がほわほわと歩く。
この辺りは既に都市伝説の出現ポイント。
最近は変質者が出るという事で、昼間であるにもかかわらず、まったく人気がない。
「とにかく都市伝説が現れるまで待つしかないな。このままだと確実に……怪しまれる」
険しい表情を浮かべながら、漣波・煉(迷惑な訪問者・d00991)が物陰に隠れる。
それと同時に囮になったニタカと凹が、都市伝説を誘き寄せるようにして、ゆっくりと歩き出した。
●変態紳士
「凹ちゃん、ニタカちゃんがんばってねー」
少し距離を置いてふたりを尾行しつつ、弥勒がかろうじて聞こえるほどの小声で応援をする。
ふたりが歩き始めてから、早30分。
ただの変態には声を掛けられたが、未だに都市伝説とは遭遇していない。
「はぅぅぅ……! 見ているだけでも心が痛みます。ほ、本当に大丈夫なんでしょうか」
心配した様子でふたりを見守りながら、ララクーがわずかに瞳を潤ませる。
本当ならば、すぐにでも飛び出したい心境だが、そんな事をすれば都市伝説に警戒されてしまう。
その間も変質者があの手この手を使って声を掛けているが、二人は何とかスルー。
おまわりさん、この人です状態になりたくないのか、変質者も深追いしないようである。
「……可愛い女の子達を囮にするのは少し心苦しいけど……」
自分自身に言い聞かせながら、八尋が茂みに隠れて移動を繰り返す。
次の瞬間、コートを羽織った、いかにも怪しげな男が『やあ』と言って、凹達に近づいてきた。
「コんにちハ、ごゼます。……ん? シラなイ おじさン。しょクムしツもん……?」
深々とお辞儀をして挨拶した後、凹が不思議そうに首を傾げる。
「大丈夫、怖くない、怖くないよ」
そう言いつつ、都市伝説のコートがゆっくり開かれていく。
そこから現れたのは、無数の……触手!
「きゃー、変態だー!! ……なぁ~んてねっ!」
その触手が伸びるよりも早く、ニタカが仲間達に合図を送る。
「な、なんだと!?」
それに驚いたのは、都市伝説。
すぐさまコートで触手を隠し、警戒心を強めていく。
「……力を貸してね」
その間に空がふたりを守るようにして前に飛び出し、スレイヤーカードを解除した。
そのため、都市伝説が悔しそうな表情を浮かべ、その場から逃げ出そうとする。
「……そこまでだ」
行く手を阻むようにして物陰から姿を現し、煉が制約の弾丸を撃ち込んだ。
しかし、都市伝説はコートをサッと翻し、不気味に……笑う。
「消え失せろ!」
それと同時に凰呀が物陰から飛び出し、都市伝説に抗雷撃を放つ。
だが、都市伝説はコートをバサッと広げ、蝙蝠のような恰好で後ろに飛び退いた。
「……甘いな。甘すぎる。私はただの変態ではない。変態界のエリート。いわば変態貴族。その私が貴様の攻撃など喰らうか、汚らわしい!」
自分の事は棚に置き、都市伝説が言い放つ。
しかも傭兵役がよく似合いそうな渋い声。
そのせいで、やっている事に反して、無駄に恰好よく見えた。
●コートの中
「それじゃ、片づけさせてもらうぜ」
攻撃を仕掛けるタイミングを窺いながら、煉が少しずつ間合いを取っていく。
都市伝説はコートをひらりとさせ、股間が見えるか見えないか絶妙なもんまり感を漂わせ、煉と距離を取るようにして飛びのいた。
「絶対に逃がさないからねっ! これがトラウマを植えつけられた子の痛みだよ!」
都市伝説の逃げ道を塞ぐようにして陣取り、ニタカがマジックミサイルを撃ち込んだ。
それに気づいた都市伝説がコートをひらりとさせ、ギリギリのところで何とか避けた。
「さっさと墜ちろ、この変態!」
イライラとした表情を浮かべ、凰呀がサイキック斬りを放つ。
しかし、都市伝説は蝶のように舞い、無数の触手を伸ばして反撃をする。
「ひぃん」
それに驚いたララクーが悲鳴をあげ、都市伝説の触手から逃げていく。
だが、触手はラクラーの足に絡みつき、都市伝説の高笑いが響き渡る。
「ひかえオロう。このインロウがメにハイらぬか」
虫刺されの時に塗るメントール系の薬品を印籠の如く見せつけ、凹が何となく偉そうにえっへんと胸を張る。
「それがどうしたっ!」
だが、都市伝説は怯まない。
それどころか、無数の触手を伸ばして、凹を攻撃!
そこですかさず薬品を塗りたくり、凹が素早く飛びのいた。
「ぎゃああああ、これは!?」
驚いた様子で悲鳴をあげ、都市伝説が触手を引っ込めようとする。
「おーえス オーエす。ヨルのウンドうかい……?」
しかし、凹がガシィッと掴み、引っ張るようにして、塗っていく。
「ぎゃああああ、やめろ、やめてくれええええ!」
激しく首を横に振り、都市伝説がのたうち回る。
おそらく、地味に痛いのだろう。
先ほどと比べて、声質が三下レベルになっている。
「やれやれ、さっきまでの威勢はどこに行ったのやら」
すっかり呆れ果てた様子で、八尋が都市伝説に抗雷撃を放つ。
その一撃を食らった都市伝説が『お、おい、待ってくれ。話せばわかる!』と急に弱気な態度を取った。
だが、それは死亡フラグを立てる禁断のワード。
都市伝説自身はその事に気づいていないようだが、確実に……ヤバイ。
「このまま蜂の巣にしちゃうよ」
仲間達と連携を取りながら、弥勒がガトリング連射をする。
それに合わせて、ララクーがマジックミサイルを放ち、都市伝説に攻撃を仕掛けていく。
そのため、都市伝説は反撃する機会をすっかり失い、悔しそうに歯軋りをした。
「闇に飲まれよ……なんてね」
都市伝説の死角に回り込み、空が影喰らいを炸裂させる。
次の瞬間、都市伝説が『こ、こんなはずではっ!?』と叫び、塵ひとつ残す事なく消滅した。
「……頑張ったね」
都市伝説が消滅した事を確認し、ララクーが囮役のふたりにキャンディーを渡す。
ふたりは思ったよりも平気そうであったが、頑張ったご褒美である。
「それにしても、色々と酷い都市伝説だったね。ああいうのを生み出す人類の恐れは、何時かとんでもない都市伝説を生みそうな気がするよ」
先ほど倒した都市伝説の事を思い出し、空がぶるっと身震いした。
今はまだ笑い話で済むレベルだが、それがいつ恐ろしい変貌を遂げるとも限らない。
そうなる事を防ぐためにも、ここで立ち止まっている暇はなかった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年1月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 6
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