見た目と性別が一致しないことだってあると思うのです

    作者:聖山葵

    「何で……どうして」
     投げ込まれたノートはゴミ箱を逸れて床に落ちた。
    「くっ」
     端から見ればごく普通な年頃の女の子の部屋。椅子に座った部屋の主は男物の服に身を包みつつ、ノートをにらみつけた。
    「僕は……」
     主を馬鹿にするように開かれたページには先程までシャーペンを走らせて書いた文字の羅列がある。冒頭に書かれた見出しは、殺害計画書。
     そう、少女は一人戦っていたのだ、己が闇と。
    「誰か……」
     孤独な戦いが終わる時はあまり先のことではない。
     
    「闇堕ち、しつつ、ある、者、いる……」
     最初に口を開いたのは、エクスブレインの少年ではなく、横にいた小谷・リン(毒を食み氷纏う蝶・d04621)だった。
    「なんだカ、以前お会いした時と口調ガ……いエ、いいでショウ。闇堕ちしつつある一般人が居るのデスが、彼女は人間の意識を残していマシて、ダークネスの力を持ちながらもダークネスになりきっていないのデス」
     本来なら闇堕ちした時点でダークネスの意識が出現し、人間の意識はかき消えてしまうのだが、ダークネスになっていないが故に人的被害はまだ出ていない。
    「とハ言うものノ、犠牲者が出るのは時間の問題かト」
     ただし、これはこのまま何もしなければの話だ。
    「もシ、彼女が灼滅者の素質を持つのであれば闇堕ちから救い出して下サイ」
     残念ながら完全なダークネスになってしまうようであれば、その前に灼滅をお願いしマス、と少年は頭を下げた。
    「リンさんからお聞きした話でハ、彼女は自分をからかった同級生を殺す為の犯罪計画を練ることで内から起こる殺戮衝動に抗おうとしているようデス」
     言いつつ少年が取り出したのは、一冊のまだ新しいノート。名前の部分には、砂森・御崎(すなもり・みさき)と名前が書かれている。
    「ごらんの通リ、中は途中から殺害計画が書かれていマス」
     ちなみに標的になっているのは同級生である、中学一年の男子生徒。
    「彼女の近所は年の近い子が男の子ばかりデ、小さい頃は仲間はずれにされることが多かっタ様なのデス」
     この為か、仲間はずれにされないように御崎は男の子の格好をしたり振る舞うようになった。
    「いつシかこれが習慣となリ、ごく普通に男装する様になっていっタ所、今度は男装をからかう相手が現れたのデス」
     結果的に少女は闇堕ちの危機に瀕し、耐える姿が偶然リンの目にとまったことで、こうして灼滅者達が集められている。
    「ご存じかとは思いマスが、闇堕ちした一般人を闇堕ちから救うには一度戦闘してKOする必要がありマス」
     御崎と接触するにハ、戦闘のことも考えるなら朝方通学路で待ち伏せするのがベターでショウとエクスブレインの少年は言う。
    「人気のない空き地がありますのデ、戦場はそこにすれバ良いカト」
     遮蔽物もなく、戦闘の邪魔になりそうな物もないとか。
    「まタ、戦うにしてモ彼女の心に呼びかけれバ、戦闘力を下げることも可能かもしれまセン」
     問題は、彼女がこれまで周りの少年達に振り回されてきたという経緯だ。
    「おそらク、ごく普通の男の方が言葉で彼女を説得するのは難しいカト」
     だが、言い換えれば普通でなければいい。
    「その説明でオイラがここにいる理由が理解出来ないんだけど?」
     と言ったのは、どう見ても男の娘、男の子と言い張ってるのは当人だけであるとか最近そんな扱いを受けている少年、鳥井・和馬(小学生ファイアブラッド・dn0046)。
    「ごらんの通リ、説得するなら女装は必須デス」
    「や、オイラ女装してないよ?」
    「そうソウ、彼女は戦闘になると殺人鬼のサイキックのようなもので攻撃して来マス」
    「え、オイラの抗議スルー?!」
     何というか、いつも通りの展開だった。
    「皆様の女装も全ては少女を救う為、、私は何も見なかッタ。そう言うことにしておきマス」
    「や、そう言うことじゃないよ? そもそもオイラは――」
     和馬をスルーする辺り、微妙に確信犯っぽい気もするが、灼滅者達のすべきことは変わらない。
    「私から説明できることはそんなところデス」
     では皆様お気をつけテと言葉を続けつつ、少年は灼滅者達を送り出した。


    参加者
    水瀬・瑠音(蒼炎奔放・d00982)
    黒鉄・伝斗(電脳遊戯パラノイア・d02716)
    川代・山女(色褪せた鎖・d03521)
    小谷・リン(凶星を見上げる氷蝶・d04621)
    小鳥遊・優雨(優しい雨・d05156)
    無言・しをん(はチョコレゐトがお好き・d11557)
    榊原・智(鷹駆る黒猫・d13025)
    清水・式(魔に魅入られし者・d13169)

    ■リプレイ

    ●これも彼女を助けるためだから
    「月並みだけど、足がスースーする……」
    (「誰がどんな格好してようが、気にするようなことじゃないと思うけどねぇ」)
     女物の服を着た感想を口にする黒鉄・伝斗(電脳遊戯パラノイア・d02716)をちらりと横目で見ると、無言・しをん(はチョコレゐトがお好き・d11557)は肩をすくめつつ頷いた。
    (「動きやすくて寒くない感じの格好でって言ったはずなんだけど、なんでこんな丈の短いスカートのセーラー服なのかな」)
     同じ女子制服に身を包んでいるとはいえ、白のニット帽&マフラー&手袋に黒のパーカーと追加で色々着込んでいる伝斗と比べるとしをんはかなりの軽装なのだ。つまりは、寒い。
    「確かに、冷える」
     持参してきた水筒から小谷・リン(凶星を見上げる氷蝶・d04621)は温かいお茶をコップ代わりの蓋に注ぎ、立ち上る湯気は白く曇った吐息と一緒に冷たい風がどこかへと連れ去って行く。
    「う~ん、女性の身体ってなぜこう、窮屈なんだろ? 胸が苦しいかな」
     まぁ、女装に抱く不満が寒さだけでは無いらしく、清水・式(魔に魅入られし者・d13169)は窮屈そうに身をひねっていたし。
    「こんなに可愛い子が女の子のはずがないですね。わかります」
    「や、確かにオイラは男の子だよ。と言うかそもそも女装何てしてないよね?」
     鳥井・和馬(小学生ファイアブラッド・dn0046)は自身にかけられた声へ、引きつった顔をしていた。
    「和馬くんはこんなのばっかですね~」
    「あ、うん」
     応援に駆けつけてくれた灼滅者に首肯しつつも、納得行かない点があるのだろう。
    (「砂森さん……必死に衝動に抗おうとしとる……あの時のウチと違って……今はウチが助ける側や……絶対助けたる!」)
    「まだ戻れるのですから、救ってあげたいですね」
     とはいえこれも一人の少女の為なのだ。詰襟学生服に身を包み無言のまま強く拳を握る技留榊原・智(鷹駆る黒猫・d13025)を見て、表に出さない気持ちの何割かを察した小鳥遊・優雨(優しい雨・d05156)は、仲間の気持ちを肯定するかのように頷くと和馬の方へと歩み寄った。
    「和馬ちゃんは男の娘だから、困ってる女の子は助けてあげないとダメですよ」
    「え゛っ」
     和馬が固まったのは、優雨に男の娘と断定されたからなのだろうが、おそらく青天の霹靂だったのは、当人のみで。
    「男の娘ってジャンルもあるんだし、その逆もアリなんだろうねぇ」
     空き地の片隅で既に待機する姿勢を作っていた水瀬・瑠音(蒼炎奔放・d00982)は、固まった少年を見つつそんな感想を漏らす。もっとも女の子の部屋に居たとしても違和感のない容姿なのだ、誰かが「……なむです」と合掌するが、そう言う扱いになるのも仕方ない。
    「行きましょうか」
     男装少女や女装少年に囲まれていると言う嬉しさを心の中に押し隠し、周囲を見回した川代・山女(色褪せた鎖・d03521)は同じ役目を帯びた灼滅者達を促す。
    「うん」
    「和馬ちゃんはいつも通り振舞ってくれるのが一番の説得になると思います。自分が男の娘だということをしっかりアピールしてくださいね」
     応じた一人目にアドバイスを送るのは、二人目である優雨。
    「や、オイラ男の娘じゃ――」
    「君なら砂森・御崎さんの気持ちを多少なりとも理解できるのに違いないです」
     男の娘扱いされた誰かの抗議が遮られたり押し切られたりするのも、もはやいつも通りの流れでしかなく。
    「わたしにはまったく縁のない話なんで気持ちもまったくわかりませんねー……」
     そう前置きしつつ、誰かが声援を送る。
    「鳥井くんを頑張ってフォローするよ!」
    「や、フォローするならオイラが男の娘――」
    「ふふ、これも修行の一環ってね」
     おそらく応援に駆けつけた灼滅者達のサポートを受けつつ、三人は空き地に面した道を歩き出す。
    「ちょっといいですか?」
    「何?」
    「私は武蔵野学園から来ました川代山女といいます」
     山女達が問題の少女と接触したのは、その数分後のことだった。

    ●説得
    「砂森さん、貴方は最近同級生を殺そうとしていますね?」
    「な、何を突然……」
     問われた少女の、御崎の見せた反応におかしいところはまだ無かった。ただし、まだ。
    「冗談はやめ――」
    「これを」
     思ってもいなかったことを言われて戸惑っているかのような表情は、優雨が一冊のノートを見せた瞬間、固まる。
    「少しお話をしたいのです」
    「わかったよ。ここで? それとも――」
     沈黙を破って申し出た優雨の言葉に御崎が応じたのは、自分のノートを急に出されて動揺したからか。まだとぼけることが出来たはずなのだ。
    「女の子が男の子の格好してたら、何か問題あるのかな? 私にはよくわからないなぁ……ん?」
    「お待たせしました」
     結果として誘導は上手くいった。こちらの姿に気づいたしをんへ山女は頷いて見せ。
    「はじめまして、砂森・御崎さん。本当に男物の服を着てるんだね」
    「とりあえず、わざわざ足を運んで貰った理由なんだけどね」
     会釈した式に続き、しをんが事情の説明を始める。
    「仲間外れにならない様にねぇ、まぁ一人が怖いってのは分かるぜ」
    「わたし、兄上の、影武者、だから、男装。主の、事情、詳しく、知らない、けど、仲間外れ、気持ち、わかる」
     始まったのが戦いではなく説得だったのも、事情説明から話に入ったからだろう。
    「自分が好きな服を着て、こうありたいと思う自分のままでいいと思うよ」
    「見た目と、性別、一致、しなく、たって、いいじゃ、ない、か」
     まず理解を示した瑠音とリンに混ざる形で伝斗は会話に混ざり。
    「だって全部ひっくるめて『砂森・御崎』っていう人間じゃない」
    「おんりぃわん、と、言うやつ、だな」
    「砂森さん……あなたの男装、素敵です……ですから、自信を持ってください……」
     今度は智が伝斗達の言葉を継いだ。
    (「悩みは人それぞれなんですね」)
     肌をあまり見せたくないからと言う理由で今の服装を選んでいた優雨は遠巻きに説得の様子を眺めつつ、嘆息し。
    「え?」
     同じように少し離れて成り行きを見守る和馬を見つけ驚きに目を見開く。たぶん和馬も優雨とは別の理由で少女と共感出来なかったのだろう。
    「僕は僕のままで……」
     そもそも、説得は上手く言っているようなのだ。写真を撮られたり弄られたり御崎を連れ出した時点で役目は終えているようにも思える。
    「私はこんな身長ですし胸もありません。学校に行く時はいつも男子制服です」
     少し悲しげな顔で話し始めた山女をちらりと見ると、瑠音は「同じような悩みを抱えてる奴は他にもいる」と続けて。
    「言わしたい奴にゃ言わせとけばいいのさ、気持ちは分かるけどさ」
     肩をすくめると、手を差し伸べる。
    「だからお前もそういうの気にしねぇ連中と一緒になりゃいいさ。何なら私が友達になってやるぜ?」
     そんな仲間を示し、伝斗は頷く。
    「確かにからかう人もいるだろうけど、逆に、受け入れてくれる人も絶対にいるよ。こんな風にね」
     だから。
    「どんな姿であろうが主は主、己の意思持ちて生きてゆけばええ。我とて、世間一般で言えば異端だしのう」
     尚も続く説得の先で。
    「体を思いっきり動かせば、殺戮衝動も少しは和らぐかもしれませんね。私たちは少し壊れ難いですから、発散に付き合いますよ」
    「うん……お願い出来る? これ以上、抑えておけない気はしてたんだ」
     促された少女は、求められた戦いに応じた。

    ●刃交えて
    「かわいい女の子でもわたしは容赦しませんよぉ。ぶつかる時は全力なのですぅ、にへ」
    「うくっ」
     説得の効果か、御崎の動きは一対一で勝てるレベルではないものの脅威と思えるほどではなかった。外野から撃ち出された光の刃をかわし損ねて浅い傷を負い。
    「いくぜぇ!」
    「はいっ」
     雑草の茂る地面を踏みしめて瑠音が飛ぶのに合わせ、優雨に死角へ回り込まれて。
    「くっ、うあっ」
     息のあった連係攻撃を捌ききれず、捻りを加えた突きと急所狙いの斬撃をまともに食らい微かによろめいた。
    「それじゃ、こっちも行くよ」
     伝斗は御崎の動きを封じるべく鋼糸を操り。
    「別に僕らは君をからかいに来たんじゃ無いよ。ただ、君が抱え込んでいるモノを一緒に持ってあげたいと思ったから」
     戦いを始めて尚、説得しようとする式の言葉を御崎は疑わない。
    「はぁはぁ……」
    「僕は男なんだから!!」
     自分を狙い繰り出される攻撃に呼吸を荒くしつつ、視線を向けた御崎の前で式は叫びながら女装を解き。
    「どんな服を着るかなんて人それぞれですよ……自分が好きな服装でいいんです……」
     智は語りかけつつガトリングガンを一人の少女に向けると、ライドキャリバーへ声をかけた。
    「いくで、富士鷹」
     向けられたサーヴァントからの返事は、フルスロットルで吹かしたエンジンの音。
    「ふむ」
     トランプのマークを胸に浮かべつつ始まった戦いを見ていたリンは、己の影に目を落とすと次の瞬間には動きだし。
    「男の中には私らみたいなのもいるんだし」
     手にした妖の槍に捻りを加えつつ言葉を紡ぐしをんも、地面を蹴る。
    「だから君のことをからかった男の言うことなんていちいち相手にしなくていいんだ」
    「くぅぅっ」
     かわしきれなかった突きがそぐように御崎の身を削り。
    「何て言うかさ……」
     押し寄せるどす黒い殺気と少女を飲み込まんとする炎の奔流。
    「この攻撃密度だと」
    「回復はあまり必要ないかもしれませんね」
     御崎を襲う仲間達の集中攻撃を見つつ、メディックの二人は苦笑する。
    「はぁっ!」
    「どうした? もっと全力でぶつかってきな!」
     身を守る防具ごと切り裂かんとする御崎の斬撃と盾にするようにかざした瑠音の黒い無敵斬艦刀がぶつかり。
    「っ、やぁぁぁっ」
     斬り結んだ弾みに上体が流れた瑠音を御崎が再び斬りつけようと地面を踏みしめ強引に身体の向きを変える。
    「っ」
    「うぐっ」
     間一髪だった、突っ込んできた御崎の斬撃を受けながらその身体を跳ね飛ばしたのは、智のライドキャリバー。
    「くっ」
     地面に叩き付けられながらも転がって御崎は身を起こすが。
    「移ろい行くは、時と意識なり」
     この時既にリンがその死角に回り込んでいた。斬撃、続いて遠方から飛来する魔法の光線、どちらもが一人の少女を狙っていた。
    「僕だって、小4まで姉さんに言われて女物着てたから皆に笑われてたよ。けど、それがどうした!!」
     叫びつつも式が攻撃の手を止めたのは、御崎が追い込まれつつあったから。
    「ある国じゃ、スカートは男性の制服だし。女性だってパンツスタイルってファッションがあるんだ!!」
     声を張り上げる間も、少女に攻撃は降り注ぎ。
    「女装とか普段はしないけど、昔、今回セーラー服提供してくれた同居人に、女形顔だからって、着付けられて日舞の練習とかさせられたこと思い出したよ」
     男装少女と女装少年の入り乱れた戦場の中、解体ナイフに己の身体から拭きだした炎を宿しつつ、しをんは目を閉じた。そして、地を蹴る。
    「動いていたら些少は暖かくなったけどね」
     説得によって戦闘力を減じている上に灼滅者側には加勢も加わっていたのだ、ここまでもっていたのも健闘した方だろう。何より、しをんとしては寒いからさっさと終わらせたかった訳で。
    「きゃあっ」
    「その胸ン中のもやもやごと焼き払ってやるぜぇ!」
     叩き付ける様な一撃に仰け反った少女とすれ違い、後背から聞こえた声に振り返れば、無敵斬艦刀を振り上げた瑠音がまさに超弩級の一撃を見舞うところで。
    「くはっ」
    「だから、もう気にしないで良いんだよ」
     戦艦斬りに崩れ落ちる御崎を駆け寄った式が抱き留めた。戦いが終わったのだ。
     
    ●少女の未来
    「おー大丈夫か、立てるか?」
     御崎が目を覚ますのを待って、瑠音は手を差し伸べた。
    「うん……何とか。ありがとう」
     身を起こし手を借りて立ち上がった少女の足下がおぼつかないのは、戦いの後であることを考えれば無理もない。何にせよ、灼滅者達は一人の少女を救うことが出来たのだ。
    「起きて早々だけど、謝りたいことがあるんだ。実は――」
    (「男装、女装はやっぱりいいものですね。見てるだけで眼福です。欲を言えば恥じらいが欲しかったですね……」)
     ウィッグを外し、本当は女装趣味はないことを告白しだした伝斗と神妙な顔で話を聞いている御崎の姿を眺めつつ、山女は胸中で呟く。
    「女装好きは嘘だけど……それ以外の言葉は嘘じゃないよ」
    「解ってる、僕がここにいられるのはみんなが呼びかけてくれたからだろうし――」
    (「男装が日常となっているなら元に戻させてあげれば恥じらいとか出てきますかね?」)
     言葉を交わす二人は、自分達を眺めていた山女が遂には妄想を始めたことなど、たぶん気づいていないだろう。
    「男装することは何も悪くありません、自分の行動に自信を持って下さいな」
    「ありがとう」
     だから、かけられた言葉も額面通りに受け取って御崎は礼を言い。
    「時に、これから、主は、どう、したい?」
    「え?」
    「主の、人生、これから、じゃろ」
     リンの問いに面を食らい、御崎が答えを返すより早く、山女は切り出した。
    「学園に来てみませんか? 皆さんも受け入れてくれますよ。いざと言う時は助けに行けますからね」
    「学園かぁ……。僕――」
     微笑みつつ向けられた言葉に、少女は少し考えてから述べた。彼女の希望を。

    作者:聖山葵 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年1月28日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 10
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