冬の残り香と体操服

    作者:黒柴好人

    「なあ兄弟」
    「どうした藪から棒に」
    「そんな唐突でもあるまい」
    「用件はいかに?」
    「うむ。実はひとつ、怪談の類の話を耳にしたものでな」
    「冬に怪談……それもまたオツって奴か」
    「ブルマは、何故衰退したと思う」
    「気は確かか!?」
    「極めて明瞭だよ、兄弟」
    「そ、それでブルマとは……」
    「もはやこの世に片鱗を残すのみとなったブルマを纏った幽霊が、夜な夜なこの近くの中学校の運動場を爆走している。そういう話さ」
    「そういう話か」
    「どうだい、気になるか兄弟」
    「俺、スク水派だから」
    「そっか」
    「うん」
     
    「……っていう噂話がある地域で盛り上がってるみたいで」
     それを知った陽愛・ひかる(フレンジャー・d02976)は須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)に相談し、詳しく調べてもらったところ――。
    「やっぱりそういう都市伝説がいたみたいだね」
    「スク水があるなら、当然体操服もあるのね!」
    「当然、なのかな。なのかも」
     まりんはひかるから話を引き継ぐと、入手した情報を説明していく。
    「場所はとある中学校の校庭。少し郊外にあるから校庭はとっても広くて、野球とサッカーを同時にやってもまだ余裕があるくらいかな」
     その中央にある程度整備された陸上用のトラックがあり、件の都市伝説はそこに出るのだとか。
     都市伝説は条件を満たさないと姿を現さない。
     その条件とは。
    「トラックを全力で!」
     全力で。
    「はし」
     走。
    「っているフリをする!」
     おおっと。
     つまり、パッと見は全ての力を尽くして走っているように見えるが、実際は歩くより遅いスピードで進む。
     そういう事らしい。
    「なんでそんな条件なのかって? うーん、噂をまとめると『陸上部の女の子が自分が全速力で走っているプロモーションビデオを撮ろうとしている最中に謎の事故が起こってうんうんかんぬん』とかなんとか」
     後でCG処理でもするつもりだったのか。
     そもそも何のPVだ。と、疑問は尽きないが……都市伝説とはそういうものだろう。たぶん。
     この情報で一番重要なのは、都市伝説が少女の姿をしている事。これである。
    「ちなみに体操服でブルマなんだけど、これはどうでもいい情報かな」
     もっと重要だと思った?
     ああ、うん。素直なのは良い事だ。
    「さて、肝心の強さについてだけど」
     倒すべき敵は少女型の都市伝説1体のみ。
     ポニーテールの快活っぽい陸上部員風である点は特筆に値するだろう。
    「速いと見せかけて遅いとか、その逆とか……見切るのが難しい攻撃を使ってくるから結構厄介かも」
     主に近接戦闘を得意とするようだが、砲丸を投げて遠距離にも攻撃を対応する事もできる。
     1体とはいえ、この多彩な戦闘スタイルは侮れないだろう。
    「特に気をつけなくちゃいけないのはこれくらいかな。みんなにとっては強敵じゃないよ、きっと!」
     ブルマというファクターがどこまで影響するかにもよるか。
    「お仕事の話はこれくらいかな。なんだかちょっと走りたくなってきちゃったかも」
     そう言うとまりんは教室の窓を開き……。
    「さ、ささ寒っ! や、やっぱり走るのは今度でいいよね、うん!」
     運動を断念するのだった。


    参加者
    風野・さゆみ(自称魔女っ娘・d00974)
    天衣・恵(無縫・d01159)
    絲紙・絲絵(遠千慕・d01399)
    陽愛・ひかる(フレンジャー・d02976)
    天咲・初季(ブルームスターマイン・d03543)
    秋風・紅葉(恋愛したいお年頃・d03937)
    辛・来彌(ソウルボードサーファー・d06001)
    レオ・フーゴ(伊達男見習い・d06122)

    ■リプレイ

    ●ここがほぼ本編
     中学校の夜。
    「ていうか寒い! 鳥肌立ってるよ!」
    「この格好はちょっと寒すぎるのです~」
     天咲・初季(ブルームスターマイン・d03543)と風野・さゆみ(自称魔女っ娘・d00974)がふるふる震えていた。
     2人は体操服にブルマという機動性に満ちた出で立ち。
     自然と手は布面積を求め、体操服の裾を下へと引っ張る。
     入念に屈伸をしていた絲紙・絲絵(遠千慕・d01399)はそれを見て、
    「うーん! 既に目の保養って感じだなあ」
     大層充実しているようだった。
    「その見え隠れするブルマ……たまらないじゃあないかッ!」
     屈伸しつつ多機能携帯電話のカメラ機能でカシャカシャ記録に収めていく絲絵。上下様々なアングルを狙い、撮る。
    「ん、今シャッター音みたいなのが聞こえたような?」
    「ああ、気のせいだよ初季くん。だから気にしなくていいんだよ」
     絲絵はにこやかな笑顔を初季へと向けつつ、超人的な速度で端末をジャージの中へと隠匿した。
    「ところで寒くて困っているのだろう? 僕がイイモノを貸してあげるぜ!」
     そして代わりに取り出したのは細長い布。いや、ただの布ではない。これは……!
    「ニーハイね! さすがしゑちゃん!」
     瞳を輝かせる陽愛・ひかる(フレンジャー・d02976)が言う通り、それはひざ上まで覆う長大な靴下だった。
    「もみじちゃんも履いてるし、2人も履いておそろいにならない!?」
    「でもこれ、な、なんかブルマにニーソックスって太ももが凄く恥ずかしい……ね」
     既に黒のニーソックスを着用済みの秋風・紅葉(恋愛したいお年頃・d03937)は、しかしどこかもじもじと頬を赤らめている。
     上はブルマ、下はニーソ。これなーんだ。 
     そう、太ももの領域が絶対的に強調されるのだ!
    「ぐうッ! なんという聖域……!」
     絲絵はその神聖なる光景に大打撃を受けている。
    「う~ん、それじゃお借りしますー」
     しかし背に腹はかえられない。さゆみたちはニーソを受け取ると、その場で早速装備する事にした。
    「少しは暖かくなったような?」
    「ですね~」
     2人のブルマニーソ少女が顕現した。
     特にさゆみは髪型をポニーテールにしておりかなりの高ポイントとなっている。
    「ぐあああああ!!」
     結果、3柱となった神の前に絲絵はただただ鼻血を放出しながら倒れ伏すしかなかった。
     いや違う。倒れながらちゃっかりとシャッターを切っている……!
    「なんという絶景……みんなブルマが似合い過ぎだよ……」
     紅葉はごくりと喉を鳴らした。
     絲絵は地面に近い位置から同士を見つけたような目で紅葉を見ている!
    「でもやっぱりちょっと恥ずかしいかも。廃れたのもわかる気がしますね」
    「恥ずかしいって思ってるから恥ずかしいんだ!」
     少しばかり目を伏せる初季の前で天衣・恵(無縫・d01159)は堂々ろ仁王立ちをしてみせた。
     額を覆う白いハチマキがはためき、体操服がいい感じにフィットして体の線を曖昧に示し、そして燦然と輝くは紺のブルマ。
     恵のそれは健康美に溢れていた。
    「それにすっごく似合ってるから、堂々としてた方がいいよ?」
    「そ、そう?」
    「特に初季は最高! 明るい髪の色に白くて綺麗なお肌に紺のブルマがまた映える! 衰退したブルマ世界を救う神になるべき存在のよう!」
    「め、恵ちゃん? なんだか言動があやしくなってるけど……」
     恵の大絶賛に、しかし初季は様子を窺うように話しかける。
    「誰ぞ、誰ぞ初季のブルマ姿をカメラに!」
    「抜かりないよ、恵くん」
     絲絵は親指を立てた。
    「絲絵、あとでコピーをお願い……!」
    「抜かって欲しかったよ! なんだかとてつもなく恥ずかしくなってきたんだけど!」
    「大丈夫。ブルマなのは私たちだけじゃあないわけだし……?」
     そう言いながら恵は視線を後ろへと向けた。
     そこには、いかにもブルマが似合いそうな黒髪ロングの美少女……!
    「私は男ですし、ブルマとか持ってないですし、誰も喜ばないですよ?」
     あーっと、辛・来彌(ソウルボードサーファー・d06001)はフェイクだった! 少女でもなければブルマ姿でもない!
     しかし、だからこそ絶対ブルマ姿を拝めると思ったのに!
     そう思った諸兄も多い事だろう。
     残念、ブルマ姿なのは。
    「それは僕が恥ずかしいとでも言いたいのですか?」
     一見すると普通に格好いい少年、レオ・フーゴ(伊達男見習い・d06122)でした。
    「確かに若さゆえの何とやらで僕もブルマを履いてしまいましたよ。男のこんな格好に需要なんてないのも解って……」
    「いやいや、需要ならこれでもかというほど溢れてるのだよ! ブッルッマ! それブッルッマ! ヘイ!」
     恵のテンションにレオも段々と自分のブルマ姿に誇りを持てるように……なってきたらそれはそれでどうだろうか。
    「どうしてそんな需要があるのでしょうか……」
     来彌はきょとんとしながら小首を傾げた。
     このような状況から需要は生まれるのだと、彼は知っているのかいないのか。
     ともあれ一行はトラックへと足を運んだ。
    「寒いーーーっ! これは命の危機を感じる寒さだよ!」
     開けた場所はより風が通りやすい。風を遮る遮蔽物がないグラウンドの中央では寒風が身にしみるようだ。
    「でもそんな時は、これ! 気休めかもだけど使ってね!」
     身震いをしながら紅葉が取り出したものは携帯用のカイロ。
     紅葉はそれを全員に配ると、自らもカイロをもみもみして少しでも暖を取ろうと試みる。
    「こうやって太ももに当てるとあったかくて気持ちいいよ!」
    「これはいいですねー。ありがとうございます~」
     さゆみたちは紅葉のカイロにしばし癒されるのだった。
    「始める前にちょっと全力で走ってきてもいいですか?」
    「あ、それなら私も! やっぱり寒さしのぎにはこれが一番かなって」
     軽く準備運動をしていた初季の言葉に、紅葉もカイロをにぎにぎ名乗りを上げた。
     『検証』を兼ねて2人は全力でトラックを駆け抜けた!
     が。
    「やっぱり出てこない。はやすぎたんだ……」
     検証も住んだところで時が来た。
    「皆さん位置についてください」
     来彌の合図でそれぞれ自分の走り出しやすい姿勢をとった。
    「よーい……」
     こうしてブルマ少女(一部少年を含む)が中学校のグラウンドに集う事はもはや現実では幻と化した光景――。
    (「……あれ? ブルマで走る必要ってあったのかな?」)
     ふと、手を挙げながら来彌は思う。
     エクスブレインの話から考えるに、その必要性はない。
     だが、この結果は必然だったのだ。きっと。
    「スタートです!」
     気付かなかった事にしながら来彌は勢い良く手を下ろしながら叫んだ。
     ブルマ少女(一部以下略)たちはほぼ同時に地を蹴った!
    「負けない、負けてなるもんですか!」
    「紅葉さんにはカイロもらったりしたけど……それとこれとは別ですよ!」
    「もちろん! さあ、本気を見せてみて!」
    「すごい気迫を感じるのですー。でも、わたしだって負けるつもりはないんですよ~」
     スタート直後からこの熱戦。
     トップ集団から遅れること数歩の位置では、
    「はぁ、はぁ、はぁ……くッ!」
     早くも絲絵が息絶え絶えになっていた。
     それほどまでにこの競技は過酷を極めると……!
    「躍動するブルマをこんな間近から見られるとは。ハァハァ」
     あ、別の理由でハァハァしていましたか。
    「なかなかお目にかかれない素晴らしい構図だ」
     そしてレオもまたカメラを携え、録画準備を進めながら絲絵の隣に並んだ。
    「レオちゃん、よもやご同輩?」
    「さて。しかし『良い画』があれば撮影したくなるというのがカメラマンのサガというものです」
    「フ……違いねえ!」
    「絲絵さんとは良いライバルとなれそうですね」
     レオと絲絵は互いに熱く握手を交わした。
     ……まあ、仲良さそうで何よりである。
     それにしても灼滅者たちの何と気合の入りようか!
     まるで残像を残し疾走しているような……。
    「やーん、みんな体操着超似合うよ~! かわいー♪」
     いや待て。トラックの内側をひかるが歩いている。
     そのひかると走っている灼滅者たちの速度がほぼ同じ……!
    「みんな頑張って~! きっともう少しよ!」
     見よ! 彼女らの足下を!
     気合に満ちているのは上半身のみ。脚はほぼ歩いているではないか!
    「んう、ブルマっておしりのところがちょっとずれやすいのですね~」
     走、いや歩きながらさゆみは自らのブルマに指を差し入れる。
     尻の部分を少し引っ張り、ずれたブルマを直す。繰り返す。さゆみが尻側のブルマと肌の間に指を入れ、形を整えた。
     レオと絲絵は静かにその様子を見守り、ただただ無心にシャッターボタンを押すのだった。
     その時。
    「皆さん、あれを見てください!」
     来彌の声に一同は足を止め、彼が指差す方を見た。
    「そんなふざけた走り方をするのは……」
     それは一見すると少女であり、そして。
    「私だけで十分だ!!」
     ブルマだった。

    ●ブルマよ永遠に
    「なの、準備して!」
    「我が名のもとに門よ開け」
     都市伝説の出現を確認した来彌や初季たちは一斉に戦闘準備を整える。
    「思ったより可愛い都市伝説だな」
     レオは感嘆の声を漏らす。
     可愛いがあれはブルマの絶滅を嘆く人々の負の思念から生まれた存在。
    「そう思うとなんだか妙な都市伝説さんですねー」
    「負の感情が求める姿を形作る、か。なんとも皮肉な話だねえ」
     来彌の呟きに、絲絵は感慨深く頷いた。
    「私のグラウンドを穢す不届き者は――」
    「はじめまして、ポニテちゃん! えっと、お名前はなんて言うのかしら?」
     お前たちかと決め台詞を披露しようとした都市伝説にひかるがずずいと割り込んだ。
    「語る名前なんぞないわ!」
     都市伝説が両腕を挙げて威嚇するようなポーズを取った。
     そうして見えたのは体操服にしっかりと縫い付けられた名札と『あお』の文字。
    「あお、ちゃん? あおちゃんなのね♪」
     ブルマポニテ都市伝説は「何故その名を!」といった表情を見せるが、これはお約束なのか。
    「ブルマに因んだ名前というコトだね」
    「名は体を表す、ですね」
     灼滅者たちは納得した。
    「あおちゃん、そんな薄着でいつまでもこんな所にいるなんて駄目よ! ちゃんとお空に行きましょ?」
     痛くしてしまうのは申し訳ないけど、とひかるは少し悲しそうにしながら訴えかける。
    「ええいうるさーい!」
    「きゃっ!?」
     あおは突然走り出したかと思うと、異様に不規則な動きでひかるの周囲を回った。
     咄嗟に防御姿勢を取るひかるだが、珍妙な攻撃の全ては受けきれなかった。
    「マカロ、少しの間引き付けて!」
    「いま治します! なのもお願い!」
     紅葉の霊犬、マカロが果敢に飛び掛かっている間にすかさず来彌とナノナノのなのがひかるの傷を癒していく。
    「この格好が寒さに弱いという事がわかりました。それならこれで!」
    「それはすごく効きそうですね~」
     自らの体験を元に初季は妖冷弾を撃ち込む。
     見るからに凍てつきそうな攻撃にあおも「ぴぎゃー!」と寒そうな悲鳴を上げた。
    「ベストアングルは……ここだ!」
     見計らったように影縛りで動きを封じるレオ。
     妖冷弾の冷気でしっとり濡れた体操服やブルマを撮影!
    「こ、こんのぉ!」
     尋常ならざる気配を察したのか、あおはレオに思いっきり砲丸を投げつけた。
    「させるか!」
     構えていたカメラをしっかりと懐に抱え、砲丸に背中を向ける。
     当然砲丸はレオの背中に直撃する――!
    「大丈夫ですか!?」
    「ああ……」
     駆けつけた来彌は闇の契約の使用準備に入った。
    「カメラは無事だ」
    「カメ、ラ?」
    「素晴らしい画を収めたカメラをこの場で失うわけにはいかないからな。さて、これから忙しくなるな」
    「あ、はい……そう、ですね」
     自分の身よりもカメラを庇う。
     これぞ男というものだ。
     その間に態勢を立て直したひかるが謝りながらレーヴァテインであおを燃やし、
    「ナイスブルマだけど、それでもブルマ力は初季の方が上だわー。間違いなく上だと確信できるわー」
    「そんなに私凄いの?」
     恵はシールドバッシュで注意を引き付けようと試みた。
     ちょっぴり焦げたあおは思惑通り恵へと何事かを叫びながらすごい蹴りを放ち、それをしっかりと防御する。その隙を逃すつもりがないのが、
    「――ムッ? 此は好い図だね!」
    「な、なにをっ!?」
     妖しく舌なめずりする絲絵だった。
     絲絵はブルマが強調されるような大きく脚を開いた格好で封縛糸を使い捕縛していた。
    「そういった使い方もあるか」
     関心しながらあおの周囲をぐるぐるしながらシャッターを切りまくるレオ。
     なにこの状況。
    「あんまりいじめたらダメなのですよー」
     と、さゆみの制約の弾丸が炸裂する。
    「そういえば戦闘中でもブルマですね」
     来彌の言葉にさゆみが不思議そうな表情を浮かべる。
     どうやらさゆみは防具も体操服を用意したようだ。
    「えっ、ダメでしたか~?」
    「いいや、一向に構わん!」
    「むしろ大正解だ!」
     一部から絶賛された。それが誉かどうかはわからないが。
    「ポニーテールにブルマがこれほど可愛いとは……私も参考にしよう」
     さゆみと、それからあおを見比べて心に誓う紅葉。だが、
    「ポニテ少女は世の中に二人もいらないのだよ!」
     世界中のポニテ少女を駆逐するつもりか!?
     そう思わせる勢いで紅葉の紋様が施された刀で上段から斬り伏せる。
     それが最後の一撃となったようだ。
    「む、むぎゅう……私が倒れても、ブルマは……」
     とかなんとか言いながら都市伝説はばったりと地面に……。
     倒れる刹那、ひかるは生地の暑いジャージを羽織らせた。
    「空へ登る時は、その格好じゃ寒いものね」

    「体も冷えきってしまったでしょう。ホットココアがありますよ」
    「ホットの蜂蜜レモンもあるから、みんな飲んで飲んで♪」
     レオとひかるはそれぞれ温かい飲み物を皆に振舞った。ついでにひかるは大きめのカイロも配り、一行は久方ぶりの暖を取るのだった。
    「遠慮無く頂こう。いやあ恐ろしい敵だった!」
    「そうですね、あの動きは厄介で」
    「――好い写真が撮れたよ」
     撮れすぎて恐ろしかったのか。ニヒルに笑う絲絵に同意しようとしていた来彌は口を噤んだ。
    「ふぅ、じんわりとあったまるねー」
    「癒されるよね。あ、ところでグラウンド整備までは、しなくていいよね……?」
     ふと初季は不安になったが、紅葉は首を振った。
    「そんなに荒れてないし大丈夫だよ!」
     ココアを手に、恵はさゆみをしげしげと眺めた。
    「さゆみ、すっかりブルマが型にはまったって感じだけど」
    「そうですねぇ。すっかりずっとブルマでした~」
     ところで、とさゆみは一同に向けて疑問を投げかけた。
    「体操服の裾はブルマの中に入れるのか出すのか、どっちがいいんですか~?」
    「よしよしよし、良い質問ださゆみくん! それはだね――」
     その後、ブルマニアによる長時間の解説が続いたのは言うまでもない。

    作者:黒柴好人 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年2月1日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 4/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 7
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