足癖の悪いジャガーノート

    作者:高橋一希

     とある町、とある公園で行われた、子供同士の腕相撲大会。
     寒空の下、一生懸命相手に勝とうと頑張る少年少女。
    「ほーら頑張ってー!」
    「もうちょっと! もうちょっとで勝てるよー!」
     周囲の大人達もにこにこ笑顔で優しく彼らを応援する。
     見るからに小さな小さな地域の集まりという雰囲気。
     ……だったのは、良かったのだけれど。
     明らかに異質なモノが、その集団の中へと入り込んだ。
    「おらおらおらおら! ここで一番強いヤツは誰だぁぁぁあ!!」
     吼えたける筋肉質な男。ちびっ子も、子供達を穏やかに見つめていた大人も彼の怒鳴り声に驚いた。
     見るからに異様な風体。剛毛を後ろで1つにまとめ、胴着を着こんだ姿。
    「だ、誰ですか貴方は!?」
     慌てた1人の大人に男はこう答える。
    「ここは相撲の試合場なんだろ? だったら強いヤツが居るはずだよな? 出せよ! さあ今すぐ出せよ! 俺の足技で倒してやるぜぇぇぇぇ! この俺、ジャガーノート様を楽しいませろおぉぉぉぉ!」
     血走った瞳、そして全身からわき出る殺意。絶叫に凍り付いた人々へと男は蹴りかかる。最初の犠牲者は先ほど彼に声をかけた大人。まるで熟れきったトマトのように真っ赤な液体を飛び散らして彼は死に絶えた。
    「さあ! 早く出てこい! 出てこないなら片っ端から殺して殺して殺しまくって見つけ出してやる!」
     彼は片っ端からその場の人々を薙ぎ払う。
     ……そう、この腕相撲大会に乱入した欠片も空気読んでない男はアンブレイカブルだったのです……。
     
    「カポエラってご存じですか?」
     五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)は灼滅者達へと問いかけた。
     カポエラは基本ダンスを思わせる動きの格闘技。おもに足技が多いのだというが、大層アクロバティックな動きをするのだとか。
    「エクスブレインの未来予測が、ダークネスの行動を察知しました」
     姫子はそう告げる。
     ダークネスはバベルの鎖による予知能力を持つ。しかし、エクスブレインが予測した未来に従えば、予知をかいくぐりダークネスへと迫る事が出来るだろう。
     今回現れたダークネスはアンブレイカブル。
     どうやら、子供達の腕相撲大会を、相撲大会と勘違いして乗り込んでいったらしい。
     なんとも迷惑な話である。
    「アンブレイカブルがどのような性質のダークネスかは、皆さんご存じですよね?」
     言いつつも姫子は説明する。
     ひたすらに強者を求める狂える武人。それがアンブレイカブル。
    「どうやらもともと各地の格闘関係の競技やお祭りを見かけては乱入していたみたいなんですけれど、今回はその乱入先が子供達の腕相撲大会だったみたいですね……カポエラ使いみたいなんですけれど」
     腕相撲大会に足技メインの格闘技で飛び込むとはなんとも空気を読んでいない話である。
     さておき、ならば、どうやって相手と接触するのか? 首を傾げた灼滅者達へと姫子が微笑んだ。
    「それは――簡単な方法があります。皆さんがその腕相撲大会に参加すれば良いんです」
     子供達、と言っても下は小学生から上は高校生まで幅広く参加できる大会らしい。
     なので、灼滅者達が紛れ込むのも余裕。
     大会中にアンブレイカブルは現れる。
    「アンブレイカブルの名は、自称する所によればジャガーノートというそうですよ」
     姫子曰く、ジャガーノートは、かなりの強さのダークネスらしい。灼滅するのは難しいかもしれない。
    「ですが……アンブレイカブルには『戦った相手がそれなりの強者ならば命を取らない』という性質があります」
     彼の力量は最高レベルの灼滅者と比べても圧倒的な戦力を持つ。故にそう簡単には勝てないだろう。
     だが、本気で戦えば。そしてそれを敵が認めたならば。
    「ただ、とにかく強い相手を充実した戦いをしたい。それがジャガーノートの願いのようなんですね」
     とりあえず相手を満足させてやればとりあえずこの場の被害は納められる……というわけだ。
     ヤツが現れ「強いやつを出せ」と言い出した時に自分が強者だと言えば、敵の気は灼滅者達に向けられる。皆が戦い引きつけさえしておけば、その間に一般人達は逃げ出せる。
     あとはひたすら全力で戦うだけ、だ。
    「その……正直空気を読んでいないアンブレイカブルだとは思います。ですが、その戦闘力は半端ではありません。どうか油断なさらぬよう気をつけて」
     どうか無事に帰ってきてくださいね、と姫子は灼滅者達を送り出すのだった。


    参加者
    神元・睦月(縁の下の力任せ・d00812)
    多嬉川・修(光の下で輝く・d01796)
    東風庵・夕香(黄昏トラグージ・d03092)
    五美・陽丞(幻翳・d04224)
    七生・有貞(アキリ・d06554)
    柴・宗志朗(スカー・d10131)
    叶・一二三(輝装闘神レイヴァーン・d12033)
    亡霊・三番(目覚めぬ者・d13204)

    ■リプレイ

     休日、とある公園で行われた、地域の腕相撲大会。
     寒空の下、子供も大人もあつまり和気藹々と熱戦中。
     子供達は、小学生は学年ごとに別れ、それ以外は中学高校でわけられ懸命に腕相撲に励んでいる所だ。
     それを大人達が応援し、時には真剣な顔で判定をしていたりする。
     ごくごく平和な地域の寄り合い。そんな印象。
    「アンブレイカブルが強者を求めるという性質は知っていましたが、格闘技をもって子供の腕相撲大会にって……」
     強さの基準は何でも良かったんでしょうか……と東風庵・夕香(黄昏トラグージ・d03092)は首を傾げたが、ダークネスの真意の程は知れない。
     もしかしたらついうっかり腕相撲を相撲と勘違いしたのかもしれないし。
    「地域の楽しいイベント、楽しみにして、真剣に頑張ってきた子もいるだろうに……」
     多嬉川・修(光の下で輝く・d01796)はやりきれないと言った顔。
    「それをぶち壊すダークネス。許せはしない、ここはきっちり叩き潰す」
     その為には、それぞれ腕相撲大会に参加しなければならないわけで。
    「腕相撲大会なんて緊張しますね……でも頑張ります」
    「そんな面白いかね……まあ一応参加しとくかな」
     夕香と七生・有貞(アキリ・d06554)はエントリーしつつも周囲に油断なく視線を巡らせる。
    (「……精々1クラス分くらいってトコか。これくらいなら避難もまあ簡単にできそうだな」)
     有貞は避難しやすそうなルートを確かめ、一般人の数も数え、修へとそれを伝える。
     直後試合の為に呼ばれ、有貞はその場を後にする。
    「がんばれー」
     亡霊・三番(目覚めぬ者・d13204)も笑顔で両手を振って応援中。
    「わぁ、さすが男の子、強い強い。この調子で頑張ってね」
     まけちゃったーと笑うは、叶・一二三(輝装闘神レイヴァーン・d12033)。彼女は対戦相手の青年へとエールを送る。
     このまま何事もなく時が過ぎれば良いとすら思う。しかし恐らくそれは叶わない。
     嬉しそうに次の戦いへと向かう青年の姿に、彼女は誓う。
    (「あの笑顔を護る為にも……アンブレイカブルとの戦いには負けられない!」)
     その直後の事だった――明らかに異質な人物が公園に訪れたのは。

     その人物は道着に身を包み、剛毛な髪を後ろで1つにまとめた男だった。
    「おらおらおらおら! ここで一番強いヤツは誰だぁぁぁあ!!」
     吼える男の前へと一二三が立ち塞がる。
    「強いヤツならここにいるよ!」
     聖光招来! 輝装転身!! と叫ぶと同時に彼女の身を白銀の鎧が包み、眩く輝く。
    「正義の光を拳に宿し、尊き世界の闇を討つ! 輝装闘神レイヴァーン、見参!!」
     一二三と有貞は殺気を解放。周囲の一般人がじりじりと公園から退避を始める。
     装備していたゴーグルを下ろそうとして、有貞はふと気付いた。
    (「これ、同居人から貰ったのだ……」)
     何せそのゴーグル、悪役っぽいシロモノである。
     一瞬「あっ」と思ったものの、即座に通常通りの彼へと戻る。
     悪役でも問題無い。寧ろ同居人から貰ったものなら、それに勝利を誓えばいい。
    「テメェが強い……? じゃあ試させてもらうか!」
     じろり、とアンブレイカブル、ジャガーノートが一二三と有貞を睨め付ける。 
    「……強い相手を求めて、か。なるほど。純粋だな、お前は」
     柴・宗志朗(スカー・d10131)が構える。ジャガーノートは彼の言葉を意に介した様子は無い。
    「さあ、やろうぜ。楽しい殺試合をよぉ……!」
     ジャガーノートが素早く地を蹴る。宗志朗に接敵するも――。
    「中々迷惑なアンブレイカブルですね」
     神元・睦月(縁の下の力任せ・d00812)がその間に滑り込む。
     ダークネスの蹴り上げた足は青白い雷が爆ぜていた。
     雷撃と蹴りの衝撃に睦月は奥歯を噛みしめる。
    「ダークネスは年中無休なので気が休まりません……早々に帰ってもらって休日を楽しむとしましょうか」
     カウンター気味に睦月が攻撃を繰り出すも。
    「ぬるいな……」
     あっさりと敵はそれを回避する。
     ダークネスの力量は、最高レベルの灼滅者と比べても圧倒的な戦力を持つ。それはエクスブレインの予報にもあった事だ。全力を叩きこまなければ――殺られる。
    「はい、押さないでー。大丈夫だから、慌てずに。転ばないように注意して、ここから離れて下さいねー」
     プラチナチケットを使った修は落ち着いた調子で一般人を公園外へと送り出す。
     しかしそんな彼を見てジャガーノートは笑った。
    「そんな連中庇ってるヒマがあるたぁ余裕だなァ」
    「倒せそうな、自分より格下の相手しか標的にしないなんて……アンブレイカブルといっても、弱いんですね」
     一般人を狙われては不味い――夕香は慌てて挑発する。身に降ろしたカミの力が渦巻き、びゅうと鳴った風が刃となりジャガーノートを切り裂いた。
    「っはははははははは! いいじゃねぇか!」
     切り裂かれた頬をべろりと舐め、ジャガーノートが笑う。
    (「強さを求めるのは悪い事じゃないけど、人の命を奪うのは強さじゃない……」)
     灼滅したい所だが、人命優先、と五美・陽丞(幻翳・d04224)は自身へと言い聞かせる。彼は現在も一般人の脱出を手助けする修へとモスグリーンのセルフレーム眼鏡の下からちらりと視線を投げた。
     まだ一般人は公園内に僅かだが居る。ならば。
     陽丞と有貞の胸元にスートが具現化する。闇堕ちへと傾けられた魂は彼らの身体能力を極限まで引き出すのだ。
     宗志朗は無言で必殺のビームを放つ。だがそれをジャガーノートはあっさりとステップを踏み回避。
    「そんなもんか。ぬるいな。ぬるすぎる」
    「これを喰らってもそんな事言える!?」
     一二三の叩きつけた拳をジャガーノートが受け止める。
    「口だけか!」
     にぃと笑った彼の表情が、直後驚愕へと変わる。拳から糸状の霊力が放たれジャガーノートの四肢へと絡みついたのだ。
    「ちっちゃな炎はゆっくりおっきくなってぜーんぶ燃やしちゃうんです」
     即座に三番が炎の奔流を叩きこむ。
     紅蓮の炎が地を舐め敵をも包み込んだ。
     しかし――それではジャガーノートは倒れない。
     圧倒的破壊力の名の通り、彼は全てを踏みつぶしてでも進むのだ。

     ダークネスは1体でも恐ろしい程の力を持つ。癒し手が必死で回復をするも中々追いつかない程の破壊力をもって、敵は灼滅者達へと攻撃を繰り出してくる。
     灼滅者達も次第に余裕が無くなってくる。最初に犠牲になったのは、睦月のライドキャリバー、ライバーだ。
     そんな中、三番は無邪気に、そして楽しげに戦いを繰り広げていた。
     幼いが故の残酷さをもって、彼は攻撃を繰り出すのだ。
    「追いかけっこです!  捕まえますよー」
     彼の放ったオーラキャノンを真っ向から敵は喰らう。それでも敵は悠然と立ち塞がる。
    「こそばいこそばい! 力ってのはこういうモンだ!」
     三番を、足で引っかけるようにしてジャガーノートが投げ飛ばす。ディフェンダー達が庇おうとするも――間に合わない。
     彼の小さな身体が地へと叩きつけられ、跳ねた。
     今まで常に笑みを絶やさず戦い続けていた三番から笑顔が消えた。
     ぴくりとも動かず再び立ち上がる気配も見せない様に灼滅者達に動揺が走る。
    「弱いな。弱すぎる」
     愕然とする灼滅者達へとジャガーノートは躊躇いなく言い捨てた。
    「もっともっと鍛えねぇと、俺には勝てねぇなぁ……! 正直つまらねぇ……」
     陽丞が懸命に仲間を癒し続けるも――旗色は悪い。これまでも夕香や三番が時折回復を手伝っていたが、とにかく一撃で持って行かれる体力量が多すぎるのだ。
     誰しもが早く戦いに飽きてくれと願うも、その思いはジャガーノートには届かない。
    「お前らの攻撃なんてそんなもんか。甘すぎる!」
     ジャガーノートはそう告げた。
    「てめぇが壁役のつもりか?」
    「…………」
     宗志朗はただそんなジャガーノートの言葉に黙す。元々無口な彼だが、それでも思う所はあるのかもしれない。フードの下からただ視線だけを投げかける。
    「ガキが。イキがりやがって」
     フッ、と敵が息を吐いた。
    「いいだろう、死ね!」
     鍛え抜かれた蹴りが、鋼鉄のような重さをもって宗志朗を貫く。
     何もかも甘すぎた。そう思う間もなく彼の意識は途切れ、その身は地へと倒れ込む。
     予知にはこうあった。「皆が戦い引きつけさえしておけば、その間に一般人達は逃げ出せる」と。
     一般人の安全性を第一に持ってくるならば、確かに彼らを公園の外まで送り出すのもアリだろう。しかしその分攻撃を繰り出すのは遅れ、ジャガーノートとしては退屈な時間が伸びるだけなのだ。
     初手対応をそのあたりに追われたメンバーも居た事もあり、全力というわけにも行かなかった。
     更に言えば積極的に攻撃をしなかったモノも居る。防御メインの行動では、ジャガーノートは満足するわけが無い。
     睦月は横の、砕け散ったライバーを見やる。
     自分は倒れてでも、何としてでも仲間達には敵を砕いて貰いたい。それが彼女の本懐。
     カウンター気味の攻撃を狙う事もあり、あまり積極的に攻撃はしていない。
     そんな彼女の傍を修が駆け抜けた。
    「ジャガーノート! 真っ向勝負だ! 俺の拳で砕けろっ!」
    「いいねぇそういうの。俺はそういうの好みだぜ!」
     修は拳にオーラを乗せて連打! 連打! 連打!!
    「かはははっ! やるじゃねぇか! そうだ! 本気を見せろよ!」
     殴られ乍らも敵は笑う。
    「俺はな、強いヤツと戦うのが好きなんだよ。戦って戦って戦って戦って戦って戦って勝つのがな!」
     狂ったように笑うジャガーノートに、夕香は僅かだが己の中に恐怖が芽生えるのを感じた。
     それでも――。
    (「子供たちの大会の場を穢させるわけには……!」)
     恐怖を振り払い、彼女は己を奮い立たせる。
    「行きますっ!」
     右腕を異形化させ、振り下ろす!
     凄まじい膂力から振るわれた一撃だがそれをジャガーノートはステップを踏んで避ける。
     地にめり込んだ腕を即座に持ち上げ彼女は敵から距離を取る。
     その間に陽丞は中指にはめられた悪魔めいた指輪を振るい、仲間へと癒しの光を放つ。
     あとどれくらい耐えきれば良いのか? じりじりと焦りが浮かんでくる。
    (「メディックとして最善を尽くさなければ……」)
     懸命に焦りを振り払い、陽丞は自身の役割へと意識を戻す。
     今の時点で倒れたメンバーは既に居る。それでも彼自身はベストを尽くしたと言っても良い。だがまだ戦いが終わったわけではないのだ。敵の強さを考えれば、油断出来ない相手なのはもう既に骨身に染みている。
    「しかしカポエラカッケーな、変なオッサンのくせに……」
     ゴーグル着用の有貞はそんな事を言いつつもガトリングガンを向ける。
     どれだけ厳しくとも、淡々と、ただひたすらに淡々と。
     いつものリズムでガトリング連射。ダダダダダダダダダ! と凄まじい音と共に吐き出された弾丸がジャガーノートを穿つ。更に弾幕を追うように一二三が接近。
    「子ども達の楽しい時間を邪魔するダークネスに正義の鉄拳をお見舞いだよ!!」
     文字通り、鋼鉄を思わせる硬度を持った拳が敵へと叩きこまれる。
     軽くだったがたたらを踏みつつもジャガーノートは笑う。
    「がっは……いいなぁその拳! 滾るじゃねぇか!!」
     僅かではあったが、灼滅者達に希望が生まれた瞬間だったと言っても良い。ふらつく程度にはダメージを与えることが出来たという事に他ならないのだから。
     ジャガーノートは足でナイフを掴み上げ、そこから毒の竜巻を放つ。黒くすら見えるそれは前衛を呑み込んだ。
     睦月と修が倒れ、あっという間に前衛が瓦解する。
     修の頭から輝きが薄れていく。それでも――それでも彼は戦う事をやめなかった。
    「さてと、そろそろ殺しちまうか。弱いヤツに生きる価値なんてねェからな!」
     ずい、と踏み寄ろうとするジャガーノート。だが残る前衛はあと2人。ここを切り崩されたなら、最早後は無い。
     敵は容赦なく足を振り上げる。それを、修ががっしりと掴んだ。
    「やらせ……ない……」
    「チッ……邪魔だぞ。テメェから死にてぇか?」
     彼の手を振り払い、ジャガーノートは笑った。
    「……だがその戦意が失せねぇあたりは気に入った。テメェは俺の獲物だ。強くなれ」
    「誰がお前なんかの為に……!」
     呻くように告げた瞬間、腹に蹴りを叩きこまれた。苦痛に一瞬意識が遠のいたものの、その場にごろりと転がされながらも修は耐えた。
     そんな様を見てジャガーノートは満足そうに笑う。
    「強くなれ! 俺の為に! 俺だけの為に!! 強く強くなって俺に倒されろ!! そこのお前らもな」
     笑いながら、ジャガーノートは未だ構えを崩さない陽丞と有貞へと言葉をかけ、そのまま公園から立ち去ったのだった。

     公園に静けさが戻った事を確かめ、灼滅者達は安堵のあまりその場へと座り込む。
     そんな中でも陽丞は戦闘中に倒れ込み、そして起きなかった三番、宗志朗、そして睦月の3人の様子を一番に伺いに行った。
     彼らに息がある事を確かめ、ほっとした用に陽丞もまたその場に座り込む。
    「強かった……ですね……」
     灼滅出来なかった、と夕香はため息を吐く。エクスブレインから伝えられた成功条件は何とか守れたものの、それでもここまで犠牲が出るとは。
    「……しかし次は負けねぇ……」
     彼女の言葉に続けるように、有貞が呟く。
     彼らに出来る事は、恐らく、再戦に向けて腕を磨くことだけだ。
     そして、ジャガーノートが思う以上の強さを身につけ、灼滅する。
     灼滅者達は再戦への決意を固める。次は決して負けない、と。

    作者:高橋一希 重傷:神元・睦月(縁の下の力任せ・d00812) 柴・宗志朗(スカー・d10131) 亡霊・三番(他化自在天・d13204) 
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年1月31日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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