出会いたくない50%OFF

    作者:聖山葵

    「アーッ!」
     聞こえてきたのは、男性の悲鳴だった。
    「今のは、まさか……」
     男のものと思われる下半身だけの存在が夜な夜な近辺を彷徨っているという情報を手に入れた狐頭・迷子(迷い家の住人・d00442)は、この日真相を確認する為現場に張り込んでいたのだ。
    「あっ」
     その結果、確認出来たのは人形の上半身を引きずりつつ去って行く性別男な下半身と倒れ伏した一人の男性。
    「ううーっ」
    「駄目」
     連れていた霊犬が威嚇するのを抑えて迷子は去って行く都市伝説の背中――というかお尻を見ていた。流石に一人で挑んでも返り討ちに遭うのは目に見えている。
    「あの人を運ばないと……」
     だから迷子に出来たのは、倒れて気を失っていた男性を安全な場所まで連れて行くことぐらいだった。
     
    「またひでぇ都市伝説が現れたぜ」
     エクスブレインの少年は、この都市伝説は迷子が発見したものであることも合わせて告げると、そのまま説明に入った。
    「都市伝説とは、一般人の恐怖や畏怖がサイキックエナジーと混ざって出来た暴走体だ。バベルの鎖ってのを有してるせいで一般人にゃ対処出来ねぇ厄介な代物だな」
     だからこそ灼滅者が集められた訳だ。
    「んで、前に女性の下半身っぽい格好の都市伝説が遭遇する者に襲いかかってくるって話があったんだが」
     今回現れたのは、男性の下半身。
    「奴は『合体出来るモノ』を求めて夜な夜な人通りの少ない路地を彷徨ってる」
     何というか、上半身が欲しいのだろう。今まで襲われたのは人形やら看板やらとにかく人の上半身を模したモノを運んでいた人間ばかりなのだという。
    「ま、奪っても結局合体出来なかったのか、登場する時は下半身のみのまんまなんだけどな」
     ともあれ、命を奪われた者こそ居ない者の、襲われた者が何人もいるのだ。このままにはしておけないと言うことなのだろう。
    「とりあえずこの都市伝説との接触方法だが」
     人の上半身っぽいものを持ったまま出没する路地を夜に歩けば向こうの方から襲撃してくるとのこと。
    「そこを迎撃すれば問題ない」
     ただ、この都市伝説はこちらから攻撃しなければ一般人が気絶する程度で済むような攻撃しかしてこない。敢えて攻撃を受けつつ自己強化などで戦いの準備を終えてから反撃に出るというのも一つの手だろう。
    「囮に使えるように今回人体模型の上半身を借りてきてある。ま、夜中に持ち歩くにゃ少々不気味だがな」
     いや、少々不気味で済ませてしまっていいものか。
    「んで、こと都市伝説だが、襲撃時『上半身的な何か』をゲットした場合、それをお持ち帰りすべく脇目もふらず逃げ出すって厄介な行動パターンをしている」
     つまり、逃亡を阻止する為には誰かが『上半身的な何か』を奪われないようキープしておく必要があるという訳だ。
    「こっちが攻撃して本気になった都市伝説はご当地ヒーローのサイキックに似た攻撃手段をとる」
     股間からビームを撃ったり、跳び蹴りをかましたり、股に相手を挟み込み地面に叩きつけて爆発を起こす、など。
    「あー、何だ。ある意味油断ならねぇ相手のようではあるみてぇだな」
     少年は視線をそらしつつ言葉を続け、腕を組んでうんうんと頷いた。
    「とはいえこれ以上被害者を出す訳にゃいかねぇ」
     酷い相手とはいえエクスブレインの言うとおりこれ以上被害者を出す訳にはいかない。
    「よろしく頼むぜ」
     故に灼滅者達はただ頷きを還して教室を後にするのだった。
     
     


    参加者
    狐頭・迷子(迷い家の住人・d00442)
    白・彰二(虹色頭の反抗期・d00942)
    四童子・斎(ペイルジョーカー・d02240)
    赤星・緋色(朱に交わる赤・d05996)
    黄嶋・ひよこ(ぷりずむいえろー・d09839)
    高倉・光(羅刹の申し子・d11205)
    狗崎・誠(猩血の盾・d12271)
    紅月・故(透明な不透明・d12818)

    ■リプレイ

    ●見つけちゃったモノは仕方ない
    「また下半身ですか……」
     何処か嫌そうに、狐頭・迷子(迷い家の住人・d00442)は小さくため息をついた。
    「下半身だけで動き回るって……嫌な絵面だな、オイ」
     白・彰二(虹色頭の反抗期・d00942)が思わず漏らしたように、その都市伝説はあまりにも酷すぎたのだ。この時点で目撃しているのは発見者である迷子だけだが、迷子の様子と想像だけでも何人かの灼滅者が顔を引きつらせるほどに。
    「……厄介な相手だ」
     四童子・斎(ペイルジョーカー・d02240)が見る限り、戦う前から一部の灼滅者へ精神攻撃を行っている上、斎自身をも悩ませている。殺人鬼のサイキックには急所を狙うものがあるのだが……。
    「それって殆ど上半身に偏っているから、はたしてどう戦ったものか……下ネタ? オレに似合わないだろう? いや似合わないってば」
     まるで誰かと会話するかのように呟いている辺りが状況の深刻さを窺わせた。
    「股間を狙うべきか尻を狙うべきか、それが問題だ」
     狙う場所で悩んでいたのは、狗崎・誠(猩血の盾・d12271)も同じだがそれはそれ。
    「……都市伝説も、変なのが多いんだね。変な内容だから広まりやすい……のかな?」
     紅月・故(透明な不透明・d12818)は首を傾げているだけで動じているようには見えなかったし。
    「依頼は二度目だけど……世の中って広い、ね」
    「最近変な都市伝説がよく出るよねー」
     故と言葉を交わす赤星・緋色(朱に交わる赤・d05996)も、どちらかと言えば都市伝説より発見者である迷子の様子を気にしていた。
    (「狐頭さん、予感が当たって欲しくなさそうな感じだったけど」)
     発見した都市伝説が男性の下半身では仕方ないのかもしれない。
    「やっぱり履いてねぇのかな……履いてないんだろうなぁ」
    「この下半身は、本当に裸なんだろうか……?」
     ましてや、いつの間にか裸疑惑まで浮上しているのだから。一部においては、もうどこかから「えっ、下着くらいは履かせるつもりだったのに。いいの? それでいいの?」と困惑する声が聞こえてきそうなぐらいの断定っぷりである。
    「なんでみんなそんな変なお顔してるの?」
     仲間達が微妙な表情を見せる理由のわからない黄嶋・ひよこ(ぷりずむいえろー・d09839)は不思議そうに周囲を見回していたが、どう考えても理解出来ない方が幸せだろう。
    「あーもー! 正直すっげー嫌だけど、さっさと灼滅して帰るぞ!」
     彰二はいきり立ったように叫んでいたし。
    「徹底的に切り刻んでやる……ふ、ふふふ」
     斎は黒く不気味な笑みを顔に貼り付かせていた。ツッコむべきかツッコまざるべきか。
    「人形はまだ分かりますが、何故看板にも反応したし。看板はさすがに合体できる対象じゃないだろ……」
     とりあえずここには居ない都市伝説の行動に高倉・光(羅刹の申し子・d11205)はツッコミを入れて。
    「ともあれ、問題の路地に入りますか。ここにいても仕方ありませんし」
    「そ、そうですね……」
     微妙に混沌めいた雰囲気の中、促された一行は歩き出した。

    ●なにこれ
    (「下半身だけだとやっぱり上半身も欲しくなっちゃうよねぇ。でも、他人に迷惑かけちゃダメなんだよ!」)
     たぶん、ソレに対して同情をしたのは、ひよこだけだったと思う。もちろん襲撃行為自体は否定している訳だが。
    「噂から生まれるのが都市伝説ならば、この下半身もまた人の生み出したものだということか」
     故が人体模型の上半身を持っていたからこそ遭遇した都市伝説の姿は、あまりにも下半身過ぎた。迷子はもう断面がどうなっているかなど気にしないつもりだったが、そう言う次元の問題でもない。
    「業深いというか、誰が得するんだこんなもの爆誕させて」
    「都市伝説ってちょっとした噂から派生しちゃうみたいだけど……何でこんな突拍子のない姿なんだろ?」
     上半身っぽい品を認識したからだろうか、心の内を表現するかのように軽く飛び跳ねるソレのステップは敵対者を前にした闘士を思わせる。
    「下半身さん上が無くて可哀想だけど、人体模型さんは渡さないよぅ!」
    「そこの都市伝説! 被害も出てるし灼滅させてもらうよ!」
     そんな都市伝説の動きに変化があったのは、ひよこと緋色が下半身都市伝説と対峙しつつ宣言した直後だった。
    「面白いではないか、朕にその様な事を申すか」
     ピクリと震えたソレが漏らした言葉に一瞬ではあったが、時が止まった。
    「「しゃべったぁぁぁ?!」」
     声をハモらせて灼滅者達が驚愕したのも無理はないと思う。
    「何を驚くことがある? そなたら、『こんなこと言いそうってセリフがあったら自由にしゃべらせてok』とか『アドリブ歓迎』などと思っていたのではないのか?」
    「いや、何がどこをどうしてそうなった?!」
     得意げに腰を逸らす下半身に彰二が思わずツッコミを入れるが、そもそもこの都市伝説ツッコミどころが多すぎる。
    「……あんま危険な感じはしませんが、ただただ迷惑ですし容赦なく消えてもらいましょうか」
    「とりあえず真っ二つとか切り落とす感じで頑張ればいいのかな」
     ただ、都市伝説が喋れたとしてもやることは変わらない。
    「ならば、朕はそなたらを倒し今度こそ完全体となって見せよう」
     光達の言動にそう応じて見せつつも下半身が殺気を向けてこないのは、エクスブレインの説明通り灼滅者達が攻撃しなければ本気で攻撃しないということなのだろう。
    「故センパイは後ろに」
    「そっか、人体模型の安全を確保しないとね。……生きてないものの安全を確保って、何か変な感じだけど」
     だからこそ彰二達は声を掛け合い、陣形を整える。眼前のアレを迎え撃つ為の陣形を。顕現した炎の翼が夜の闇に輝き、魔力を宿した霧が光を正体を虚ろにする夜霧が斎を中心に広がって行く。
    (「それにしても、すっぽんぽんで、寒くないのかなぁ」)
     ひよこはバベルの鎖を集中させた瞳で、都市伝説を眺め。
    「ゆくぞっ!」
     眺められた方はアスファルトを蹴って走り出していた。
    「来るぞ」
    「いや、大丈夫だろう?」
     誠が警戒の声を上げるが、斎は動じない。こちらから攻撃しなければ都市伝説は一般人を気絶させる程度の攻撃しかしてこないはずなのだ、過度に警戒する理由など。
    「……ん?」
     あるとすれば、ビジュアルから想像される攻撃方法ぐらいなのだ。
    「はっ」
    「っ、やっぱりか。なんて運動量してんだ」
     悔しそうに顔を歪めた光の視界で下半身は緋色の妨害をひらりとかわすと一直線に斎の元へと突撃する。
    「うわやめろこっち、にくるな」
     近攻撃は中衛まで狙えるので仕方ない。
    「うるぁぁぁぁっ!」
    「アッー!?」
     都市伝説の咆吼と重なるように斎の絶叫が響き。
    「……オレに、そっちの趣味など、これっぽっちもない……!!」
    「何だか、凄い、ね?」
     故は、ぐったりした様子の斎から飛び離れた都市伝説を見送る。
    「わたし、あれはやだな」
     逃げる訳にも行かない以上、攻撃されない為には都市伝説を倒すしかないと緋色にも解っていた、だから。
    「いちげきひっさーつ!」
     戦いの準備は反撃へと移行した。後方に飛んだ都市伝説を追いすがる様に時の鉄を振り上げた緋色は前方へ飛ぶ。
    「くっ」
    「小梅」
     着地と同時に下半身都市伝説は横にステップしてかわそうとするが、それを見据えたかのように迷子は片腕を巨大化させて振り下ろす。
    「ばっ、ぬわぁぁぁっ」
    「わうっ」
     下半身の絶叫が響く中、に呼ばれた霊犬の小梅は除霊眼で斎の傷を癒す。精神的なモノまで癒せたかは不明だが、それはそれ。
    「おのれぇぇ、朕に抵抗致」
     むくりと起きあがりふるふると振るえる都市伝説は、次の瞬間。
    「でかけりゃ良いってもんじゃねぇ!」
    「がはっ」
     チェンソー剣を振りかぶって肉薄した彰二の斬撃を叩き込まれていた。

    ●本気
    「朕を本気にさせたこと、後悔させぐばっ」
    「手応え有り、だ」
     灼滅者達の反撃は苛烈だった。
    「ええい、何度朕に台詞を言い直させれば」
     とりあえず都市伝説の発言を何度も中断させる程度には。第一、早く倒さねばその分被害が増えるのだ。
    「っていうか汚いし汚いもの嫌いだからこっちくんなー!?」
     既に犠牲になっている斎は、起きあがり向かってくるソレへ当然のように叫ぶ。
    「くっ、ならば――」
     同時に死角に回り込もうと斎が走り出して目標を見失った下半身都市伝説は、やむを得ず別の標的を探した。
    「む」
     この時、都市伝説が近くにいた緋色へ気付いたのはただの偶然だったのだろう。だが、標的に定める理由には充分だった。
    「え?」
    「危なっ」
     とっさに彰二は身代わりになろうとしたが、攻撃を重視する立ち位置にいた彰二が盾になることは叶わず。
    「ふんっ!」
    「んぶっ」
     下半身の太ももが挟み込んだのは、誠の頭だった。
    「狗崎さん?!」
    「ぬぅ、仲間を庇うと――」
     忌々しげに呻きつつも都市伝説は、挟み込んだ獲物をそのまま地面へ叩き付けようと身体を揺らして反動をつけ。
    「んんぃんぶし!」
    「ぐがぁぁぁぁぁぁっ」
     股の間へ差し込まれた誠の一撃に絶叫した。
    「うぐっ、一歩間違えば自分の顔に当たりかねない一撃を……だがっ朕とて」
     ただ、都市伝説が誠の頭を離すこともなく。
    「ぬおおおっ!」
     アスファルトにが叩き付けられて爆発が生じる。
    「大丈夫? 回復がんばるよっ! りずむ」
     爆炎も消えぬ中、霊犬の名を呼びながらひよこは符を飛ばし。
    「小梅もお願い」
    「わうっ」
    「ありがとう、しかしとんでもない攻撃だな」
     主達の指示を受けた霊犬達にも癒された誠は顔をしかめつつ身を起こした。数人がかりで癒されたのだ、回復不能なダメージ以外は完治している。
    「誠センパイ、オレは庇わないでくれ」
     だが、割り切れないものもあったのだろう。女性を庇えなかったからか、彰二はそう言って――。
    「いや、庇う庇わないではない……後ろだ!」
    「へ?」
     警告の声が響いた時には都市伝説の太ももで頭をロックされていた。
    「うぎゃあああああ!?」
     後頭部に感じる形容しがたい感触に彰二は叫び。
    「このま」
    「そうはいきませんよ!」
     光の影が触手と化して足を絡め取った都市伝説を引きはがす。
    「ぐがっ」
     足を引っ張られた下半身はアスファルトの上でバウンドし。
    「……ふ、ふふふ」
     黒い笑みを貼り付けた斎が死角からこれを強襲する。 
    「があっ」
    「潰れて下さい」
     身を守る物ごと切り裂かれ、仰け反った下半身都市伝説へ叩き付けられるのは、異形化した迷子の右腕。
    「うぐっ……これしきで」
     半ば潰されかけながらもアスファルトを転がって距離をとった都市伝説は起きあがるなり魔法陣を纏い、詠唱を始める。
    「我が大願への道阻みしは怒りに囚われ尽く戦いの中で滅ばん。そは、光条にして朕進む栄光のみがふぅっ」
    「見物してるだけじゃ、拙いよね」
     詠唱圧縮した矢を故が撃ち込んで阻害したのは、股間が輝き始めていたことから鑑みるにおそらく股間からのビームだったと思われる。
    「おのれぇっ」
    「つーか股間ビームとか誰だよこんなアホな都市伝説の噂広めた奴……」
     光は引きつった顔でビーム不発までを見届けると、ガトリングガンを傷だらけの下半身都市伝説へ向ける。
    「……せめてもの情けだ。上半身をお前の墓標にしてやろう」
    「た、な、さ、ばっ」
     ガトリングガンの連射が下半身のみのソレを踊らせ。
    「くっそー! こうなったら急所ごと燃やしてやる!」
    「ぶっちゃけ股間からビームとかビジュアル的に許せない。切り刻んでやる」
    「私も参加させて貰おう」
     たぶん私怨を含む都市伝説の犠牲者達が畳みかけるべく襲いかかった。
    「がっ、ひっ、やめ、止めよ。朕は朕は」
    「とどめの小江戸キーック!」
    「アーッ!」
     犠牲になっていない灼滅者も混じっていたような気はするが、それはそれ。
    「……ゼェ、ゼェ、何で、下半身相手にむきになってたんだろう……」
     最終的には残虐極まりない集中攻撃によって視覚的に酷い都市伝説は滅びたのだった。

    ●忘れた方が良いこともある
    「嫌な、事件だった……」
     攻撃の犠牲者にとってはまさにそうだろう。
    「あー……変なトラウマ植えつけられた気がする……」
    「一夜にして、とても大切なものを一気にいろいろ失った気がする」
     声のトーンが、浮かべる表情が、全てを物語るのだ。
    「でも、これでもう被害が出なくなるんだったら……これで、良かったのか……なぁ」
     都市伝説から受けたいろんな意味でキツい攻撃を思い出す彰二の視線は遠くに向けられ。
    「なんでみんなあんな変なお顔してるの?」
    「さぁ、どうしてだろう? 都市伝説の断面、見ちゃったとかかな?」
     誰の目にも明らかなほどに肩を落としたり項垂れる者が続出する一方で、故やひよこには精神的に消耗した様子もない。
    「……本当、なんであんな都市伝説が、生まれちゃったんだろう。不思議だよね?」
    「下半身さんだけがうろうろしてたってことは、どこかに上半身さんとか首さんとか居るのかなぁ」
     一人は、都市伝説の不思議に首を傾げ。もう一人は派生しそうな都市伝説の姿を想像しつつ夜空を眺め。
    「都市伝説が回収したアイテムって持ち主に返してあげた方がいいのかな……って、そもそも奪われた物って何処にあるんだろ?」
     緋色は首を巡らせてそれらしき物がないのか周辺を探し出す。
    「ないなぁ」
     結局見つからず、目に留まったのは一枚のブリーフぐらい。
    「下着?」
    「それは私が供えたものだ。都市伝説の供養にな」
     街灯の明かりに照らされた下着に視線を落とした緋色へ明かしたのは、誠。
    「……いろんな意味で、謎が残っちゃった、ね。服とかどうなんだろう……」
     都市伝説は全裸だったのか否か。誠の供えたブリーフが真実を物語っているような気もするが。
    「あのぶらぶらしてるの、みーくんにも付いてるけど、ビーム、出るのかなぁ」
    「相手がヤローに見えたからだろうか、何となくオレまで痛い気がする……今日は帰って早く休もう」
     空を仰いだひよこの言を斎は色々な理由で聞かなかったことにしつつ、白く曇ったため息を吐き出し、踵を返す。別に引き合いに出されたひよこの兄の為に聞き流した訳では無いと思う。
    「そ、そうですね。帰ろう、小梅」
     きっと思い出したくない何かを忘れる為だ。迷子は少しおどおどしつつも頷くと霊犬の名を呼んで歩き出した。
     

    作者:聖山葵 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年2月9日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 13
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