「んー、めずらしくゾンビじゃない眷属の話なんだなーこっれがー」
教室に集まった灼滅者達への嵯峨・伊智子(高校生エクスブレイン・dn0063)の第一声に、隅の方で固くなっていた緋音・奏(中学生サウンドソルジャー・dn0084)が「……そんなに、ゾンビばかりだったの?」と控えめに呟く。
「まーまーまーそれは置いといて! 今回は鎌鼬退治の依頼お願いしちゃうぞ! ある街の展望台への登山コースでー、じきに通りかかった人が襲われちゃうみたいだから!」
伊智子が取り出した地図には、既に登山道が蛍光ペンで塗られ、「だいたいこのへん!」とぐるぐる丸と矢印で示されている。緊張した様子で席を立った奏が、横から地図を覗き込んでそっと道を指でたどる。
「いちお、誰か通りかかったら困るから、その辺の対策も……んー、お任せするずぇ!」
時間はたっぷりあるし、理性のある相手でもないから、登山口から現場までどこでも十分に対策が出来るから、と伊智子は伝えて。
「でもって登山道のこの地点を通りかかったら鎌鼬が飛び出してくるから、小細工とかはいらないんだけどね。逆に、不意打ちには気を付けてちょ」
ちなみに登山道には、うっすらと雪が積もっている。
「ちょっと対策してってね! こけたら痛いし!」
こくこく頷いて、小さく動く唇は、伊智子の言葉を頭に刻むべく呟いているのだろう。
「でで、鎌鼬は十体いて、前衛と中衛に散らばってます! 基本的にどんどん命中しやすくなる腕の鎌で斬り裂いてきたり、近くの仲間を回復したり、結構うっとーしーかも。でもって、その中のクラッシャーやってる一体がボスでね、他のヤツの倍くらい大きいからわかりやすいと思う。他の鎌鼬と同じ技の他に、風の刃で広い範囲に毒ばら撒いて来たりするから注意ね!」
説明しながら伊智子は近くの灼滅者に地図を渡す。その隙間から一枚のメモが落ちて、開いてみればキラキラした文字でハートマーク飛び交うメモ帳にメッセージが書かれていて。
『奏っちは闇堕ちしてた時を別にしたら、めっちゃ戦いとか素人です! サイキックの使い方とかは多分本能的に理解してるけど、いろいろわかんないことあると思うから教えたげてちょ! あ、この伊智子のちょーイケメンっぽい気遣いメモ、奏っちにはナイショにしとくよーに!』
受け取った灼滅者はメモを畳み、地図に挟んで無言で隣の灼滅者に渡す。奏は気付いていないようだ。
「ちゅーわけで、よろしくお願いするずぇ! 鎌鼬そんなに強くないけど、なんかあの鎌いたそーだから気を付けてちょ!」
「…………ん。えっと……」
伊智子の軽いノリに戸惑いながら、奏が立ち上がって。
「あの。……私、こういう風に戦いに行くのとか、初めてだから。どうか……よろしく、お願いします」
ぺこりと深く、頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
雪村・楓(普通の少女・d00012) |
乾・舞夢(スターダストガール・d01269) |
立湧・辰一(カピタノイーハトーブ・d02312) |
耶麻・さつき(鬼火・d07036) |
エクセル・フォンライゼン(緋月のアマリリス・d11124) |
詠月・千歳(月の創痕・d12094) |
如月・茜(薄幸の少女・d12713) |
比良坂・逢真(スピニングホイール・d12994) |
「さて、今回の相手は鎌鼬か」
耶麻・さつき(鬼火・d07036)の言葉には、戦いを重ねた者の余裕が生まれていた。新人さんも多いしぼちぼち頑張りますかね、と言って、さつきは仲間達の様子を笑顔で見つめて。
眷属の退治依頼は初めてで。
登山客を守ることも仕事。
そして口下手だからうまく教えられるかわからないけれど、これもやらなければ。
頑張ろう、と心の中で言った立湧・辰一(カピタノイーハトーブ・d02312)は、その一歩として隣を歩いていた緋音・奏(中学生サウンドソルジャー・dn0084)に「一人じゃない。俺らも一緒だから大丈夫だ」と頷いた。
「うん、ありがとう……緊張してるから、そう言ってもらえると嬉しい」
真剣な顔で礼を言う奏と目が合って、慌てて逸らす。
辰一は寡黙で堅物に見えて意外に純情だ。その上奏をめんこい、と思ってしまったことに内心非常に葛藤中。
サポートのいろはが貸してくれた冬用装備に身を包んだ奏は、そんな辰一の様子に方位磁石から顔を上げてきょとんとした様子。
青春である。
「なんだ? 初めてか? 力抜けよ……」
十三がにかっと笑って奏の肩を叩く。
「初めての戦いか。私もそんなときがあったな」
思い出すように言って、雪村・楓(普通の少女・d00012)がでも、とにこりと笑って。
「この学園に居るうちは一人じゃないから、大丈夫だよ」
こくりと頷いたのは、奏だけではない。
「初めての灼滅か……思えば俺にもそんな事があったな」
エクセル・フォンライゼン(緋月のアマリリス・d11124)は一年間の戦いの甲斐あって灼滅者としての戦いには慣れているけれど、武蔵坂学園からの依頼には初めての参加。
「ボクも依頼に行くのは初めてだからちょっと緊張するんだよ……」
ぎゅっと手袋をはめた拳を握った如月・茜(薄幸の少女・d12713)に、エクセルは明るく笑って。
「油断しない程度にかるーく行こうぜ」
ぽんと肩を叩かれ、頼れる様子の先輩に茜は瞳を輝かせてこくんと頷く。でもその拍子につるんと足が滑って、既に濡れたズボンの膝にもう一つ水痕がつくかと思えば。
傍らの詠月・千歳(月の創痕・d12094)と、話していた奏の隣から比良坂・逢真(スピニングホイール・d12994)が両側から、優しくその体を支えていた。二人に助けられて立ち上がった茜は、ありがとうなんだよ? と礼を言いながら嬉しそう。
「最初の一歩は、誰しも経験する事だよね」
千歳が己の初依頼に思いを馳せて。雪を愛する少女を助けられた喜びを、思い出してにこと笑う。
「心構えといたしましては、死を忘れない事、死を恐れない事、行きたいと思う事、この三つにありましょうか」
リュカが己の経験から語れば、妃菜も「力を恐れてはいけない……大丈夫、あなたなら出来る」と奏に頷きかける。
頷きを返しながら、奏は歌手として活動するいちごの話を思い出していた。
己の体験談から「私たちが伝えたいのは見た目でなく、思いを乗せて届ける歌ですからね」と微笑んで。
「皆を助けたい、皆の力になりたい、そういう想いを込めて、精一杯歌うといいです」
貴方の歌声には皆を護る力があるから、と送り出してくれた先輩。
「戦闘中だとか、頑張らなきゃとか、あまり気負っちゃダメだよ」
そしてそう言ってくれた、あさひの言葉も思い出す。
雑念が混じっては上手く歌えないし、楽しくないと。
「ちゃんと息を吸って、心を込めて、楽しく好きな歌を歌うようにやってみてね」
頑張って、じゃなくて、楽しんできてね、と、あさひは笑顔で背中を押してくれた。
アンサンブルの経験は、と國鷹は問うた。戦闘のコツはそれとよく似ていると。
自分のやるべきことをやる。それと、仲間を信頼する。
そして数多く集まった仲間達に、無事に終わったらカラオケに行こうと呼びかける。全部俺が奢ります、と言えば、巻き起こる歓声。
戦いの後の目標は、士気が上がる元です、と。洒落た恋人の振る舞いに、エクセルはどこか誇らしげににこっと笑う。
「初めてで……緊張してるのは奏お兄さんや、みんなだけじゃないの……」
初めては誰でも……ドキドキ。
学園に来たばかりで初めてサポートに入ったヨギリは、初依頼の面々を見上げて「私も……頑張る。だから、一緒に頑張ろう……ね」と頷く。
「俺も初めての依頼だけど、お互い頑張ろう」
そう言ってはにかんだ逢真は、作戦を立てる時も教わることに非常に熱心だった。「初参加の人が他にもいるから俺も気軽に他の人に相談できるよ」と、やや緊張した様子ながらも謙虚に明るく。
「僕もまだ戦いは不慣れだけれど……皆で一緒に頑張ろう」
千歳の言葉に、もちろん! と乾・舞夢(スターダストガール・d01269)が、仲間達を鼓舞するように拳を突き上げる。
そして、仲間達も元気をもらったように、笑顔で拳を突き上げる。
それに合わせながら、奏はそっと胸に手を置いた。沢山の仲間から、もらった手紙。
仲間達を信じ自分も皆を助けるんだという気持ちで臨めば何とかなると、そして前準備の必要を教えてくれた蓮璽。目を逸らさず、ステージで歌うように恐怖を見せず、歌う時はみんなへの想い、負けない想いを込めてと可愛らしい文字で励ましてくれた陽桜。作戦や方針の認識を一致させ、役割を全うし、引き際を誤らぬ、あと殺る気は大事☆ と手紙に託してくれた彩希、「頑張れば 何でもできる 灼滅者」という句と共に、皆と一緒に心折られず気合を入れて頑張るであります、と敬礼で気合をくれた達郎、自分の力と仲間の力を信じれば、一人の灼滅者として立派に戦えると、不安な心を支えてくれた結唯、昔中国の軍師が作ったような三枚の手紙を順に見よとくれた歩、そして『信じろ』の一言を強い筆跡でくれた亮。
大切に胸元にしまった手紙達は、確かに奏に力をくれる。
「ずんだ団子でも食うか? 甘味にはリラックス効果があるらしいぞ」
「あ、ありがとう。じゃ……これ、助けてくれた人から、もらった」
辰一と奏がずんだ団子と飴を交換し、くすと笑みを交わす。皆で飴でも舐めて落ち着いたらどうだ、との和弥の手紙と共に入っていた飴を、奏は仲間達に配っていく。
「今日はよろしく。実戦についていろいろ教えてください」
逢真が丁寧に戦いの先輩達に教えを乞えば、しばし、様々な話が盛り上がる。戦いの注意点や防具の属性などこれからの灼滅者生活に役立つ話、戦いへの気概、それから能力に目覚めたきっかけまで――微笑みと共に頷いていた楓は、ふと「そろそろだね」と口を開く。地図に書かれた出現場所は、もう近い。
逢真がすっと息を吸い、一般人を自然に遠ざける殺気を開放する。「念には念を、です」と李は、戦闘が始まったらサウンドシャッターを使ってほしいと告げれば、奏が緊張した様子で頷く。さつきが歩調を緩めよう、と提案し、灼滅者達はゆっくりと注意を払って歩き出す。
「緋音君も皆も、頑張って行こう」
そう言って笑顔を浮かべる千歳の体が、僅かに強張りふるりと震える。
武者震いかな、と千歳は笑みを浮かべて。
「来た!」
がさり、と草の動く音を聞き逃さずに、さつきが叫ぶ。ほぼ同時に飛び出してきた十体の鎌鼬に、けれど覚悟していた灼滅者達の動きは素早い。
「中後衛の人は下がってー!」
箒に跨った舞夢が、一気に地を蹴り脚より速き速度で距離を取る。遅れる者がいれば引っ張ろうと思ったが、重なる注意喚起と詰めた作戦が功を奏し、陣形を作るに不自由はなく。
まずさつき自身が、一気に解放したWOKシールドの出力を高め、巨大なる盾を作る。攻撃に晒されるであろう前衛の仲間達を、状態異常から守る盾。
「それじゃぁ、始めるんだよ?」
カードを胸の前に構え、茜は力を解放する。豊かに笑ったり驚いたりしていた茜の表情が、こつん、と抜け落ちて真顔になる。
一気にさつきが、
「我草卒ならず、成すべきを成すのみ」
素早くカードから力を解き放ち、辰一が素早くサイキックソードを輝かせて切り込む。
「名乗りは省略!」
叫びながら決めるは猊鼻渓ダイナミック!
岩手の誇る渓谷、名勝指定もされていて、舟下りもできるのだ!
さらに前へと出ながら、楓がどす黒い殺気を解き放ち、妨害の力を高めながら鎌鼬達を一気に巻き込んで。
その幾分後方から、さらに千歳が己の殺意を解き放つ。ジャマーというポジションを、生かすための鏖殺領域。
さっとガンナイフを抜いたエクセルの逆の腕には、巨大なる縛霊手。実は使うのが初めてで、思わず「ほほー」と眺めてみたり。
そのまま一気に鎌鼬の一体の懐に跳び込んで、縛霊手で殴ると見せかけガンナイフを突き刺して動きを止めたところに弾丸をぶち込む。リロードが必要なガンナイフだが、彼女のリロード速度は非常に素早い。
「まもって!」
星屑の如き光がさらさらと集まって、舞夢の手から新たなるシールドリングとなって舞い飛ぶ。守らんと華麗なる回転を繰り出すりんぐを見つめ、ふ、と息を吐き、逢真が槍を手に飛び出した。くるりと回した槍は一気に敵陣を薙ぎ、鎌鼬達の敵意を己に集める。戦いが始まってしまえば、精神は高揚し戦意に溢れて。
一際巨大な鎌鼬が、轟と毒を込めた風を呼ぶ。それに従う九体の鎌鼬は、二体ほどが己と仲間の回復に回り、他は一気にその前足の刃を突き立てる。
いくつかが逢真に集まるも、シールドリングに弾かれ勢いを殺されていく。それを抜けようとした一匹を、エクセルが縛霊手で叩き落とした。辰一は傷も構わずサイキックソードを一気に斬り下ろし、楓は殺気で鎌鼬を威圧するとそのまま黒き嵐となった殺気を一気に広げる。千歳がハンマーを胸の前に構えて刃を幾分逸らし、奏がよろめきながらも癒しの歌声を張り上げる。ヨギリが回復の手を添え、死角から奏に飛び込もうとした鎌鼬を一枚の符が弾き飛ばした。援護を気付かれぬまま、七星は再びそっと物陰に身を潜める。
毒など持続ダメージには早めのキュアを。李のアドバイスに、茜は幾分遅れて頷いて。けれど清めの風を解き放つのは、頷くよりもずっと早い。
闇に引かれる精神を自覚しながらも、力を使うならばそれに触れざるを得ぬ。本来感情豊かな柔らかな精神に、負荷がかかっていく。
心配そうに彼女を見つめる奏の肩を、そっとギルドールが叩いた。一人で戦う訳じゃないから、全部引き受けなくても大丈夫、と。
「とにかく仲間を頼れ。仲間のカバーあっての戦いだ」
人数のアドバンテージってでかいぜ、と精神引き裂く逆十字を放ちながらエクセルが笑って。一人の戦いを知るが故の、言葉であろう。
今がチャンス、とのギルドールの言葉に背を押され、一気に奏はサイキックソードの刃を炎に変えて。飛び出した彼に並ぶように、逢真が槍を回し飛び込んで鎌鼬の攻撃を受け止めていく。
「いい攻撃だよ!」
初依頼の少年達のコンビネーションに、思わず千歳も感嘆の声を上げて。そして素早くハンマーを地面に叩き付け、強大なる衝撃波を生み出す。
「それじゃ、いっちょ頑張りますか!」
青士郎がその鎌鼬の死角に逆に潜り込み、一気にナイフを振るって。灼滅者になって間もなき彼も、経験を詰もうと懸命に戦うのだ。
指をくるくる回せば、一面に氷の粒。
一撃ごとに狙いを研ぎ澄ましていく鎌鼬を一気に巻き込み、舞夢が前に居る数体をまとめて絶対零度に凍らせる。メディックの力が、サイキックの加護を打ち破る力となって解き放たれる。縛霊手を振りかぶり、定めた狙いを消しきれなかった一体に、茜が神薙の風の刃を飛ばす。縛霊手を叩きつけると同時に網状の霊力が鎌鼬を縛る様子に、エクセルは楽しげに見入る。
「厳美渓キック!」
飛び込んだ辰一の力強きキックが、岩手への愛を込めた一撃が、鎌鼬の一体を消し飛ばす。すぐさまそれと競うように、楓がもう一体の懐に飛び込み閃光を撒き散らして拳を叩きつける。
「敵の前衛が消耗してる、多分落とせるよ!」
楓のアドバイスに従って、奏が誘惑の歌声を張り上げ、逢真がバトルオーラを輝かせて閃光百烈拳を決め、一体の鎌鼬を吹き飛ばす。「大事なのはコンビネーション――続けて行こうか!」と巨体の鎌鼬にロケット噴射を解き放ったハンマーを叩き付け、プレッシャーを与え威圧する。
ガ、と大きく口を開いて鎌鼬が呼んだ毒の風を、逢真が咄嗟に体を挟んでその身に受け止める。受け止めきれなかった風が茜に届いた瞬間――その小さな体が、宙を跳んだ。
吹き飛ばされたのではない。飛びかかったのだ。
鬼神に変えた腕、そして縛霊手に覆われた反対の腕。体型に見合わぬ巨大な両腕を、茜は一気に振り下ろす。巨体が、揺らぐ。
すっと距離を取った茜の背を――否、幾分身長が違うので、腰に近い辺りを。
ぽんと叩いて、舞夢が茜の毒を癒す。
さらに歌声を重ねようとした奏の前に、鎌鼬が飛び出してきて、咄嗟に構えようとしたサイキックソードは間に合わず――けれどそこに飛び込む、尖った髪型と大きな背中。
「おっと、危なかったな。前を見て歩けよ」
素敵にわざとらしく、にかっと笑って去っていく勇生の背中に、ありがとうと奏は言って、再び癒しの声を張り上げる。
さらに仲間達の背後に入り込もうとした鎌鼬の鎌を、百花の弾丸が弾き飛ばす。さらにそこに、さつきのシールドバッシュが割って入る。
新人達の頑張りを優しく見つめながら、けれど危険とあらば躊躇はしない。
「逃げ場なんてないんだよ?」
舞夢が笑って、秘めていた殺気を一気に解き放って。河北山拳、と叫びと共に、辰一が一気に距離を詰めトラウマを乗せた拳を叩きつける。
既に敵は、もはや巨体の鎌鼬のみ。
千歳の影が、きりりと巨体を縛り上げる。動きを止められたところに逢真が大鎌を振りかざして飛び込み、霧緒がライドキャリバーと共に突撃をかけて。
気を取られた次の瞬間、その腹にナイフが埋まる。エクセルがにやと笑んで、引き金を引いた。
断末魔と共に――跡形もなく、鎌鼬は消えて。
「皆で掴み取った勝利、嬉しいね」
にこと笑って、千歳が奏に手を差し出す。あ、と頷いて、ぱしんとハイタッチ。そのまま、全員と楽しげにハイタッチを決めて。
戦闘中に励ましてくれた歩の手紙の、三枚目をそっと奏がめくる。「お疲れ様っす」と書かれた文字に、思わず笑んで。
カードに力を収めた茜の体が、ぐらりと揺らいだ。
「大丈夫?」
尋ねられた彼女は、こくんと頷いてはにかんだ笑顔を浮かべる。
「はーっ! 無事に終わった!」
大きく息を吐いてぱっと笑った舞夢は、展望台に行ってみようと仲間達を誘う。みんなで写真を撮りたいと。
あったかいミルクティの水筒を抱えて、茜が嬉しそうに頷いた。
そして平和になった山を、灼滅者達は登りだす。確かな、達成感と共に。
作者:旅望かなた |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年1月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 1/素敵だった 20/キャラが大事にされていた 2
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