東雲・蔓(求める兎・d07465)は、こんな噂を耳にした。
『胸をじーっと見る男と、胸を揉む女の都市伝説が現れる』と……。
最初はタチの悪い冗談だと思ったが、エクスブレインに確認を取ってみたところ、都市伝説が絡んでいる事は間違いないようである。
男の都市伝説はとにかく女性の胸をじーっと見る。大きくても、小さくても、関係ない。
とにかく、見る。じーっとみる。そして、笑う。クスッと笑う。
しかも、鼻から空気を抜くようにして、小馬鹿にするな笑い。
ただ、それだけ。それだけであるが、イラッと来る。
無性に腹が立って、殴りたくなる。そんな奴。
また女性は胸を揉みまくる。揉んで、揉んでも揉みまくる。
大きくても、小さくてもクスッと笑う。
そして、笑う。クスッと笑う。口元を押さえて、クスッと笑う。
意味ありげな視線を送って、クスッと笑う。
そのせいで頭に来る。無性に腹が立つ。
そんな二体の都市伝説。
大した害はないが、心の平穏を保つためにも、退治しておいた方がいいだろう。
参加者 | |
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月瀬・沙耶(鏡花水月・d00026) |
九牙羅・獅央(誓いの左腕・d03795) |
三日尻・ローランド(王剣の鞘・d04391) |
龍統・光明(千変万化・d07159) |
東雲・蔓(求める兎・d07465) |
砂原・皐月(禁じられた爪・d12121) |
ヘキサ・ティリテス(カラミティラビット・d12401) |
水城・恭太朗(健全な病気の新ステージ・d13442) |
●小さい事はイイ事だ!
「……ったく、ちっちェヤツらだな。別に胸なんか小さくたっていいじゃねーか。マンガの受け売りだけど、それぞれちゃんと需要があンだよ! つまりステータスだ! 勝手に人にランク付けしてンじゃねェよ!」
ヘキサ・ティリテス(カラミティラビット・d12401)は不機嫌な表情を浮かべて、都市伝説が確認された場所に向かっていた。
今回の敵は二人組のようだが、ただ……眺めるだけらしい。
それだけならば、大した被害はないのだが、小馬鹿にしたような笑みを浮かべると、話は別。
おそらく、大半の人がイラッとする。
理由が分からなくとも、こいつムカツク、フルボッコにしてやる、と思うかも知れない。
「ふむ、ボクの親戚のコも毎日おぱいおぱいって荒ぶっているから女性の胸というものは、かくも魅力的で罪深きものなんだねえ……。ボクのえくすかりばーはジャンルとして『つるぺた』だけど、非常に魅力的だと思うんだよ。特に思い切りのいい全裸なところとかね☆」
親戚の顔を脳裏に浮かべつつ、三日尻・ローランド(王剣の鞘・d04391)が答えを返す。
「それにしても、揉んで笑うだけ、ですか……。実に勿体無いですね。もっとこう……色々と楽しみ方があるのに……」
少し残念そうにしながら、月瀬・沙耶(鏡花水月・d00026)が呟いた。
おそらく、都市伝説は何故そうしなければいけないのか、本人ですら理解する事が出来ぬまま、そのような行為を繰り返しているのだろう。
それは噂が元であるが故。
「女の方はともかく男は許さん。他の女子の先輩と見比べたら、生きて帰すと思うなよ……」
殺気に満ちた表情を浮かべ、砂原・皐月(禁じられた爪・d12121)が指の関節を鳴らす。
そんな態度を見せた途端、迷う事なくデストロイ。
二度とそんな事が言えないように、最大級の恐怖をお見舞いしてやるつもりである。
「大した害はない……けど、男には無害……だけど、これはダメだ! なんかすごいダメだ! 妄想の具現化とか思われたくないー!!」
思わず本音を漏らしながら、九牙羅・獅央(誓いの左腕・d03795)が叫び声を響かせた。
「ええ、駄目です。こんな都市伝説は、存在しちゃいけません」
納得した様子で頷きながら、水城・恭太朗(健全な病気の新ステージ・d13442)が口を開く。
正直、都市伝説の話を聞いた時はどきりとした。
毎日、美術室へ通って好みのモデルをメモしている恭太朗からすれば、噂とは思えない。……その都市伝説が自分の姿をしていないかと不安がよぎった。
「それにしても、まさか前の依頼で仲間が取った行動がそのまま都市伝説になろうとは……まぁ、あれだけ胸を凝視して揉んだりしていたらねー。しかも、人前で……あっ……あれ? ……おーい、二人ともこんなとこで何やってる。……あ、あれ? 顔が違う!? ……都市伝説か!!」
ハッとした表情を浮かべ、東雲・蔓(求める兎・d07465)が汗を流す。
遠目から見るとよく似ていたが、近くで見ると全くの別人。
おそらく、特徴が似ていただけなのだろう。
その間も都市伝説がじーっと見ている。
今にも何か言いそうな雰囲気を漂わせ……。
「傍迷惑な都市伝説は、ここで灼滅する」
そう言って龍統・光明(千変万化・d07159)が、仲間達に合図を送る。
それに合わせて、仲間達が二手に分かれて、都市伝説を引き付けた。
●都市伝説(男)
(「それにしても、さっきから何を見ていやがるんだ?」)
都市伝説の注意を引いた獅央は、殺界形成を使った後、その視線の先に目をやった。
(「あー、うん。なるほど」)
納得した様子で、獅央が皐月の胸を眺める。
都市伝説も『なっ?』と言わんばかりにクスリと笑う。
「なんだよ、お前ら。人の胸を見て、にやけやがって! だから、笑うな! もぉぉ……怒った! お前殺す! 行動開始だオラァ!」
ムッとした表情を浮かべてコートを脱ぎ捨て、皐月がスレイヤーカードを解除する。
その間も都市伝説は胸を眺めていたが、さすがに獅央は気まずい雰囲気に耐えきれず、サッと視線を逸らした。
「地面との摩擦でさらに燃えやがれ! そして散れ、火の桜吹雪ッ! テメェの魂、文字通りキレイに焼き尽くしてやらァッ!」
それと同時にヘキサが『兎の玉璽』のホイールに桜色の炎を纏わせ、都市伝説に攻撃を仕掛けていく。
都市伝説は素早い身のこなしでヘキサの攻撃を避け、再び何も言わずにじーっと見始めた。
「そうやってよそ見をしていると、痛い目を見るよっ!」
ナノナノのえくすかりばーと連携を取り、ローランドがブレイジングバーストを使う。
次の瞬間、都市伝説が嫌らしい笑みを浮かべて攻撃を避けようとしたが、その場所にいたえくすかりばーに激突して派手にバランスを崩す。
「そのまま地面に頭を押し付けて死にやがれ!」
都市伝説の頭を地面に叩きつける勢いで、皐月が一気に間合いを詰めて抗雷撃を叩き込む。
その一撃を食らって都市伝説が地面に突っ伏し、悔しそうに拳を震わせる。
「……と言うか、女性のバストをみて『クスッ』って笑うならば、男性都市伝説くんの股間を見て、クスッてヤッてもいいんだよね? たぶんボクの方がいいオタラカを持ってると思うんだよ! 人種も違うしね!! 解りやすくお見せしてもいいんだけど、この国の法律だとオマワリサンにしょっぴかれちゃうみたいだから自粛するよ!」
都市伝説に戦艦斬りを叩き込み、ローランドがクスッと笑う。
「笑うなァァァァァァァァァァァア!」
その途端、都市伝説が逆切れ。
必死に股間を押さえて、涙目になっている。
「知るか、ボケェ! これでトドメだァ! 真っ白く燃える渾身の『ウサギの牙』だぜッ! あの世どころか来世まで、その下らねェ考えごと蹴ッ飛ばしてやるよ! 走って!跳んでェ! 蹴ッッッ飛ばすッ!!」
一気に間合いを詰めながら、ヘキサがレーヴァテインを炸裂させる。
次の瞬間、都市伝説が大量の血を撒き散らして、跡形もなく消滅した。
「はぁ……虚しい」
都市伝説が消滅した事を確認した後、皐月が胸の辺りを撫でつつ、深い溜息を漏らす。
戦いには勝ったが……、虚しい気持ちが以前にも増して、膨らんだような気がする。
「でも、恐ろしい相手だった。……二度と現れて欲しくない。しかし、きっと第二第三の……いやいや、これ以上は想像しない方がいいな」
激しく首を横に振り、獅央が余計な事を考えないようにした。
「まあ……。正直、心の底からどーでもいい依頼だったぜェ……。オレは特に女の胸なんか気にしねーしな! あんなモンただの脂肪のカタマリだろ、気にする方がおかしいぜ。まあ、バカにされンのが男のアレのデカさだったら、ブチ切れてたけどな!」
軽く冗談を言いながら、ヘキサがサッと背を向ける。
そして、ヘキサ達はもう一体の都市伝説と戦っている仲間達の無事を祈って空を眺めた。
●都市伝説(女)
(「万が一の事を考えて一応女装セット持ってきたけど、この様子だと大丈夫かな」)
人気のない場所に都市伝説を誘導した恭太朗がホッとした様子で溜息を漏らす。
都市伝説は大きな胸を持ち上げるようにして腕を組み、胸を見て品定めをしているようだった。
「あなたに決めたわ」
そして、こちらの気持ちなど全く考えず、蔓の胸を一心不乱に揉んでいく。
「こ、こら! いきなり何を……! そんな事をしたら、やり返される覚悟もあるって事よね?」
反射的に都市伝説の手を弾き、蔓が警戒した様子で後ろに下がる。
「覚悟? ふざけないで! 触らせる訳ないでしょ」
不機嫌な表情を浮かべ、都市伝説が吐き捨てた。
よほど触られたくないのか、都市伝説が急に警戒ムード。
警戒した様子で辺りに注意を払っている。
「俺の知人が言っていた。『胸に貴賤は無い、貧富があるだけ』と……。まぁ、賛同は然ねるけどな」
意味ありげに指を一本掲げた後、光明がゆっくりと降ろして語っていく。
「そんな事はどうでもいいわ。私はただ目の前にある胸を揉めればそれでいいの。ただ、それだけ。シンプルでしょ?」
全く悪びた様子もなく、都市伝説がさらりと答える。
「揉む機会があるだけでも羨ましいのに……、それを只々遊びも無く揉むだけなんて……勿体無いです。ところで貴女の胸はどんな揉み心地なんでしょうね?」
含みのある笑みを浮かべ、沙耶が都市伝説の胸を揉む。
都市伝説の胸はとても柔らかく、いくら揉んでも飽きないくらい、触り心地が最高であった。
「こ、こら、やめなさい。揉むのは好きだけど、揉まれるのは……ちょっと」
物凄く困った様子で、都市伝説が汗を流す。
どうやら、あまり揉まれ慣れていないらしく、恥ずかしそうに頬を染めている。
「……今だっ!」
その間に恭太朗が一瞬の隙をつき、都市伝説に影縛りを仕掛けた。
「しかも、この縛りは両手を封じた上にバストが強調されるので、揉みやすくなっているぜ! コイツは唯倒すだけでは倒せない……。揉むという事は揉まれたいという事、つまり満足するまで揉んであげないとこの都市伝説は倒せないんだ!」
いかにもそれっぽい雰囲気を漂わせ、恭太朗が息を吐くようにして嘘をつく。
それと同時に蔓が都市伝説の胸を掴み、揉んで揉んで揉みまくる!
「それじゃ、もっと刺激的な事をしてあげるわ」
次の瞬間、沙耶が封縛糸を使い、鋼糸で相手の胸を強調するよう縛り上げた。
それに気づいた蔓が即座に離れ、ヴォルテックスを放ってトドメをさす。
「まあ、悪くはなかったのですが……、やっぱり物足りませんね。次はもう少し楽しめる都市伝説が出てくれるといいのですが……」
都市伝説の断末魔が響く中、沙耶がボソリと呟いた。
「彼らは蘇るさ……おっぱい好きが世界にいる限り……また会おうぜ、同士よ」
そう言って恭太朗が都市伝説のいた場所を眺める。
おそらく、世の中におっぱい好きがいる限り、似たような都市伝説が現れる……かも知れない。
「やっぱり、女性は背中を預け、共に歩ける人がいいな。何だか早く会いたくなってきたよ」
同じクラブの一人を思い浮かべながら、光明が仲間達を急かすようにして口を開く。
そして、光明達は別の場所で都市伝説と戦っていた仲間達と合流し、その場を後にするのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年2月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 8
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