灼滅者たちの活躍により、イフリートの襲撃を免れた、大分県・城島高原。
「わーい、遊園地ー!」
今日も家族連れで賑わうこの場所は、平和そのもの……かのように見えるが。
実はまだ――終わっていなかったのである。
高原の遊園地にやって来た家族連れは、駐車場の一角が何やら騒がしい事に気づいて。
「あれ、駐車場でヒーローショーでもやってるのかな?」
「わ、ヒーローショーみるー!!」
人集りができているその場所に近づく。
そこにいたのは――。
「こんにちは、良い子の諸君! みんな、元気にシイタケ食べてるかーいっ?」
戦隊ヒーローっぽいいでたちの男であった。
そしてその色は、戦隊ものの定番の赤や青や黄色ではなく……シイタケ色。
さらに頭には、ヒダヒダが揺れるシイタケ帽をかぶっている。
むしろその姿は戦隊ヒーローというよりも、どこからどう見ても怪人であるが。
戦隊ヒーローかの如くやたら爽やかに、集まった人々に挨拶するシイタケ。
「華麗に蘇った私の名は『シイタケピルツ』、シイタケ戦隊の頼れるリーダーだよ! こーんにーちはー!! ……おや聴こえないなー? こーーんにーーちわーー!!」
だが返ってきたのは、こんにちはの挨拶ではなく。
「うわぁんっ、シイタケ大嫌いーー!」
「俺も、あのヒダヒダ無理!」
「私はあの食感が……」
老若男女問わず幅広い年齢から呟かれる、『シイタケ嫌い』の言葉であった。
それを聞いたシイタケピルツさんとやらは。
「……なん、だと?」
拳を震わせ、自分と目を合わせようとしない人々にヒダヒダをプルプルさせた後。
「シイタケ食ええええぇぇーーー!!! 焼いて良し、煮て良し、ダシにしても良しの、しんけん美味しいシイタケこそ世界を制するっちゃーー!!」
「わぁんっ、やだあああぁーー!!」
「え、ちょ、ふごおおおおッ!!」
「きゃあっ、やめ……むぐぐぐっ」
大量のシイタケを人々の口へと、窒息する程の勢いで突っ込んでいくのだった。
●
「……ね、一度ならず二度も、よりによってこの俺に未来予測させるとかさ……ホントいい度胸してるよね」
いつものへらりとした笑みではなく、何だかプルプルしながらも暗黒的な微笑を宿す飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)は。
「じゃあお望み通りさ、もう二度と復活しないよう消し炭にしてあげる……うん、灼滅者のみんながねっ!」
あとは任せた! と、隣にいる月宮・白兎(月兎・d02081)に涙目で丸投げする。
そんな遥河は、無類のシイタケ嫌い。
そして丸投げされた白兎も、実は同じくシイタケ嫌いであるが。
頑張って、事件の概要の説明を始める。
「先日、大分にイフリートを止めに行った時なんですけど。イフリートに倒されたシイタケ怪人が気になる言葉を残して爆散したので飛鳥井さんにもう一度解析して貰ったら、その時の怪人が、再生怪人かのように蘇ったことが分かったんです」
「確か、シイタケ戦隊サルジュピターとかいう、出オチのご当地怪人だったな。それがまた再生したのか?」
一緒にそのイフリート討伐に赴いていた綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)は、思い出しつつそう小さく首を傾けて。
白兎は頷きながらも、続ける。
「前回は出オチだったシイタケ戦隊サルジュピターなんですけど。妙にオサレ感を意識したのか、今度は『シイタケ戦隊アッフェンユーピター』の『シイタケピルツ』と名乗り、シイタケで世界征服すべく、人々の口に無理やりシイタケを詰め込むらしいんです……」
「ひいいっ、シ、シイタケを詰め込むって……もうなにそれまじ万死に価するよね!!」
アッフェン=猿。
ユーピーター=ジュピター。
シイタケピルツ=シイタケ。
ぶっちゃけ、ただ単にオサレ外国語にしただけなのであるが。
「もう、話をしただけでなんだか寒気が……私もしいたけ嫌いなんですよね……」
よりによって嫌いなシイタケの怪人の再来に、思わず身震いする白兎に。
「てかドイツ語になってもシイタケはシイタケってとこがまたもうホントなんか無理!」
遥河も同じく鳥肌が立った腕を擦りながら、息継ぎなしでそんな言いがかりをつけた後、気を取り直して未来予測を続ける。
「それでそのシイタケ野郎はご当地怪人のサイキックと、得物の影業のサイキック、基本戦闘術を使ってくるよ。そしてシイタケピルツの周囲には、強化されたサルの配下が5匹いるけど戦闘力はそう高くなくて、攻撃手段は炎を宿す爪で引っ掻いてくる程度かな。奴等は遊園地の駐車場で、ある程度人を集めてから凶行に出るからさ。ヤツがシイタケを取り出して人々の口に詰め込もうとしたその時が、予測された灼滅のタイミングだよ」
先走って行動すれば、バベルの鎖で感知されてしまう。
周囲に一般人がいるだろう状況というのが厄介であるが、被害をできるだけ出さぬよう、上手く立ち回って欲しい。
「何だかシイタケ野郎曰く、強力な怪人の力で蘇ったらしいけどさ……もう二度と復活しないように、ボッコボコのギッタギタのメッタメタにしてきてね!!」
「しいたけ……は出来る限り見たくないですけど、ダークネスは放っておけませんしね」
「普通のしいたけであれば、10個でも20個でも、わたしがかわりに食べてあげられるのだが……怪人であれば、倒さないとだな」
シイタケが嫌いな人、好きな人、それぞれが悲喜交々な表情を宿しながらも。
灼滅者たちは蘇ったシイタケダークネスを退治すべく、再び大分へと赴くのだった。
参加者 | |
---|---|
二夕月・海月(くらげ娘・d01805) |
月宮・白兎(月兎・d02081) |
霈町・刑一(本日の隔離枠 存在が論外・d02621) |
金井・修李(無差別改造魔・d03041) |
風魔・こなた(ギャグ忍者ヒーロー・d08526) |
緋乃・愛希姫(緋の齋鬼・d09037) |
イヴ・アメーティス(バレットウォール・d11262) |
アイスバーン・サマータイム(精神世界警備員・d11770) |
●再来! シイタケピルツ!
数度に渡り、ダークネスの危機にさらされてきた大分県別府市に。
今度は、再生怪人の恐怖が迫る! ……特にシイタケ嫌いさんにとって。
「こんにちは、良い子の諸君! みんな、元気にシイタケ食べてるかーいっ?」
懸命に駐車場で呼び込みをするのは、テレビのヒーローではなく――どう見ても、怪人。
シイタケ色の全身タイツに、ヒダヒダが揺れるシイタケ帽。配下のサル5体と並べば、さらにひたすら茶色い。
だがヒーローショーの前座を、お笑い系怪人が務める事も珍しくはない。
大分のご当地のショーか何かかと。特に疑いもしない九州人の気質もあり、意外と沢山の人たちがシイタケの呼び声に誘われては足を止めている。
「ちょっとそこのお父さん! ドイツビールにシイタケのおつまみなんてどうよ、しんけんレッカー!」
しんけん→とても。
レッカー→おいしい。
中途半端な大分とドイツの混在が、何だか外国かぶれ的な痛々しさを醸し出しているが。
大分の地ビール勧めろよとツッこむ人は、とりあえず誰もいない。
きっとそれ以外にツッこみどころが満載であるからだろう。
そして妙なドイツかぶれは、ご当地怪人を再生させているというゲルマンシャークの影響なのかもしれない。
(「ドイツ語になってもシイタケはシイタケなのね、勉強になったわ」)
ヒーローショー開始前のような雰囲気に普通にわくわくしている二夕月・海月(くらげ娘・d01805)と一緒に人集りに紛れて。イヴ・アメーティス(バレットウォール・d11262)は今の所はまだシイタケアピールに必死な怪人の動向をそっと見張っているが。相手はダークネス、いつ人に害を成すか分からない。
(「私はシイタケ嫌いじゃないけど、人に危害を加える以上は倒さなければならないわね」)
悪い怪人はふるぼっこです!
(「相手が怪人なだけに気分はさながらヒーローですね」)
同じように月宮・白兎(月兎・d02081)もそう思いつつ。
なるべく直視しないようにしていた怪人を、チラッと視線の隅に捉えて。
(「あー……! なんであんなに裏がびらびらしてるの! くっ、違う意味で集中力が……!」)
高原の風にやたら波打つシイタケのびらびらに、鳥肌が立つのを感じながら。
やはり何度見ても椎茸なことに変わらない事実に、違う意味でやる気を削がれそうになる。
だが、同じシイタケ嫌いなエクスブレインに消し炭にすると約束した天敵を前に。
シイタケ嫌いとして、シイタケピルツの許し難い行動は阻止しなければならない!
人の口に、シイタケを突っ込むなどという凶行は……!
いや、何もシイタケ嫌いだけではない。
(「えっと……しいたけは特に好きでも、嫌いでもないんですが……。ただ嫌いな人に無理やり食べさせようというのはよくないと思うんです」)
(「シイタケ……嫌いじゃないけど、さすがに生を口に入れられるのは嫌だね……」)
(「無理やり食べさせるとは……迷惑な」)
人の多い場所に少しビクビクしているアイスバーン・サマータイム(精神世界警備員・d11770)、金井・修李(無差別改造魔・d03041)や緋乃・愛希姫(緋の齋鬼・d09037)の思う通り、嫌いでなくても強引にシイタケを無理矢理食べさせられるのはご免である。
(「いや~、シイタケ自体は嫌いじゃないんですけどね~」)
霈町・刑一(本日の隔離枠 存在が論外・d02621)も、人集りが見渡せる場所から怪人の様子を仲間達と窺いつつ、調理次第で好みは分かれそうですが、と呟いた後。
「何はともあれ復活した訳ですし、2/14までの肩慣らしに……シイタケ爆破するべし!」
まずはシイタケを爆破すべく、颯爽とサバト服着用!!
そう、季節は2月……血のバレンタインを前に、復活したシイタケで準備運動です!
そしてある程度、人が集まった頃。
「華麗に蘇った私の名は『シイタケピルツ』、シイタケ戦隊の頼れるリーダーだよ!!」
ノリノリでそう観客に言い放つシイタケピルツの、すぐ目の前を陣取って。
(「拙者は囮役として見事シイタケを食べてやるでござる!」)
風魔・こなた(ギャグ忍者ヒーロー・d08526)は、出オチ……いえ囮となるべく気合を入れて。
「拙者はシイタケが嫌いでござるよ! シイタケなんて食べたくないでござる!」
張り切って口火を切る。
そして飛び交う『シイタケ嫌い』コールに。
「なん……だと?」
わなわなと拳をふるわせ始めたシイタケピルツは。
「シイタケの味も、あの歯ごたえもイヤでござ……ふごおおおぉぉっ!?」
「シイタケ食えええぇぇーーーー!!」
まんまとこなたの口に、ぎゅうぎゅうシイタケを押し込み始めたのである。
それに対抗し、詰められてはもぐもぐと、こなたがシイタケを食べる間に。
「危ない、入場門へ逃げろ!」
パニックテレパスを発動した海月の声が、一斉に人々の足を動かして。
綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)と共に沢山の灼滅者達が迅速に一般人を安全な場所へと誘導する。
焔竜胆が海月と共に襲ってきたサルを撃退すべく斬り伏せる間に。慌てすぎている一般人を和佳は捕まえ、正しい方向へと逃がす。
「大丈夫だよ」
ラブフェロモンを纏う由乃も、転んだ子に回復を施しながら笑顔で声をかけ、優しく手を引いて。
白兎も同じくラブフェロモンを纏い、大人しく避難場所で待つようにお願いしておくことも忘れない。
そしてシイタケやサルが荒ぶる駐車場から、一般人を全て避難させたのだった。
それから紗矢は泉に飴ちゃんを貰いながら。
「一般人のことは任せておきな。責任もって面倒見ておくから」
プリンアラモードを食べる約束をしつつ、彼の言葉に頷いて。
再生怪人を灼滅すべく、敵を抑える皆と合流をはかった。
その間も、怪人の気を自分達へと引くべく。
「……シイタケの菌が飛び回ってそうで嫌、かも……頭にしいたけ生えそう……」
「その……キノコなら私はシイタケよりもエリンギの方が好きです」
愛希姫はわざとらしくシイタケ帽をチラ見して。エリンギと比較して煽る、アイスバーン。
そんな灼滅者達の言葉に、まんまと怒りを顕にするシイタケ。
「エリンギだと!? あんな個性のないピルツが好きだなんて、ヴィルクリッヒ……!」
『ビックリ』の語源はドイツ語らしいです。
そしてシイタケがぷんすかしている間に、修李は囮のこなたを一時保護して。
「だ、大丈夫!? 水飲んで! 水!」
「シイタケを無理やり食べさせるとは……なんと非道でござろう!」
水を貰い、何とかシイタケ窒息を免れたこなたは、キリッと言い放つ!
「そんなダークネスはサクッと倒すでござるよ! 仲間がっ!」
そう、サクッと退治しますよ仲間が! ……あれ?
とにかく、シイタケピルツが他のシイタケ嫌いさんへと向かわぬよう、もぐもぐ囮頑張りました!
これで後は!
「出番が少ないから復活した激弱ご当地怪人とか思ってませんよ、ええ、ほんとに!」
出番が少ないから復活した激弱ご当地怪人を、ふるぼっこするのみです!
●激闘?? vsシイタケ戦隊!
陣を成す灼滅者達の前には、やたら茶色い戦隊。
再生ご当地怪人シイタケピルツに、配下サルが5体。
というか。
「今思いましたが、なぜシイタケのセットで猿なのかが凄い気になりますなモヤモヤからの殺気!」
刑一が展開した無尽蔵の漆黒モヤモヤ殺気が、敵の群れを覆いつくして。
「く、サルといえば高崎山やろおおおお!!」
襲いくる衝撃に顔を顰めつつそう叫ぶシイタケに続き、刑一のモヤモヤに、何気に九州に祖母がいる紗矢が答える。
「大分には野生のニホンザルを餌付けした自然動物園・高崎山がある。高崎山は、お菓子を出せば瞬く間にサルの大群に囲まれ強奪されたり、サルと目を合わせれば威嚇されて襲われるという、ファミリー定番のお出掛けスポットだ」
わたしも幼い頃、お菓子の入ったリュックごとサルに取られたなと、ほのぼの思い出を語る紗矢。
高崎山でお菓子を出すのは死亡フラグなのです。
「ほな、行こか」
そして解除コードを口にし、全国の椎茸嫌いの為に一肌脱ぐ白兎は。
なるべくシイタケは見ない様にしながらも、爆炎の弾丸をサルに浴びせて。
「大量の弾をばら撒けば……1匹ぐらいは絶対に当たる!」
修李のガトリングガンから撃ち出された無数の弾丸が、雨霰と同じサルへと降り注ぐ。
刹那、肩で揺れていたクーが海月の腕に絡みついて刃を作り、高速の斬撃でサルの身を大きく揺らせば。
イヴの構えた『Mement mori』と『Vive memor mortis』の2丁のガトリングガンからの乱射がサルを蜂の巣にし、まずは1体、撃ち倒したのだった。
そして仲間達が、1体ずつサルに攻撃を集中させ倒す間に。
「ふっふっふ、拙者が来たからにはもっとカオスにしてやるでござるよ!」
引き続きシイタケの前に立つのは、こなた。
(「拙者は皆が来るまでの前座……噛ませ犬でござるっ!」)
キリッと小田原市への愛を乗せたご当地ビームをビシイッとシイタケへと見舞いながら。
「此処を通りたくば拙者たちを倒すでござるよ! まぁ、無理でござろうがなぁ……!」
「な、なにぃ!?」
シイタケ相手に、いいどや顔!
そんなこなたに、シイタケは任せて。
「setup……"Hello world"」
アイスバーンが力を解き放つやいなや、バスターライフルから発射された魔法光線がサルに炸裂して。銀糸の髪を揺らし愛希姫が噴出させたレーヴァテインの炎が、こなたの援護をして怪人を焼きシイタケにする。
そしてサルにトラウナックルを見舞う紗矢をサポートするように。
前に立つサーヴァントに愛し気な視線を投げた後、イブはシイタケ嫌いの級友達の為にシイタケを燃やす加勢に入って。
宗志朗や境月やミリーが誘導した一般人の監視を担い、ミルミも駐車場の入口で『立ち入り禁止。特にシイタケ嫌いな子は近づいちゃめ!』という看板を持ってシイタケ嫌いを戦場から遠ざけている。
……いえ勿論、シイタケ好きも近寄らせません!
沢山の仲間のサポートで、灼滅者達は配下サルを1体ずつ的確に狙って。
「これで……確実に仕留める!」
危なげなく最後の1体のサルが、修李の魔法光線に貫かれて事切れる。
だが――その刹那。
「ふっはっは、拙者を倒せると思……ぶべらっ!」
「シイタケ食えええいッ!!」
こなたの口に執拗にシイタケを詰めつつも放った、怪人の必殺どんこダイナミックが。
彼女の口にあったシイタケを、偶然喉に詰まらせる事態に陥らせたのである。
「ん? おおっ、見たか! これぞゲルマンシャーク様から授かった新たなる最強の力だ……!」
シイタケピルツは再生怪人のお約束かの如く、どや顔で高笑い。
だがそんな怪人に対抗し、何故か高笑って。
「ふははははは!」
『別に……倒してしまっても構わんのだろう?』と言わんばかりに、刑一はズビシイッと毒を帯びる漆黒の弾丸でシイタケを撃ち抜く。いえ、これフラグじゃないよ、武器ですよ!
そして、こなたが喉のシイタケを取っている間に。
「相手してもらいますよ」
フォローに入るのは、白兎。
シイタケ嫌いな彼女にとって、内心どうしたらいいかと正直涙目であるが。
「こ、これは怪人、倒すべき相手!」
全国の椎茸嫌いの想いを背負ったブレイジングバーストの炎の連射を天敵へ見舞い、シイタケを無理強いする怪人をコテンパにすべく、頑張って自己暗示!
「そのヒーローモドキの服……穴だらけにしてもいい!?」
「炎はシイタケ戦隊アッフェンユーピターさんだけが使えるわけじゃないんですよ。えっと……焼シイタケになってください」
「いたたっ! あつっ!?」
続いて連携をはかった修李のガトリングガンからの怒涛の連射とアイスバーンの爆炎の連射が、シイタケに情けない声を上げさせて。
「私は好きだぞ、シイタケ」
シイタケ怪人にふとそう告げるは、海月。
「え、本当?」
「ああ。シイタケおいしいけどな、焼いたり煮たりして」
「そう! シイタケはおいしいいい!!!」
ちょっぴりそんな海月の言葉に感動し、嬉し気なシイタケピルツ。
でも……やはり。
「だから別に恨みはない。ちちくりまわすけども」
「ぎゃあああっ!?」
恨みはないけど、ちちくりまわします!
イヴも猫耳パーカーを揺らし、容赦なく耐久性を強化したガトリングガンをふるい、トラウナックルでガツンとシイタケをぶん殴って。
「くっ……お主、なかなかやるでござるな……!」
ようやく喉のつかえが治まったこなたも、シイタケへお返しのご当地ダイナミック!
そして愛希姫はシイタケピルツへと、シイタケの食材としての価値や存在感を語るが。
「飾り切りでかわいく見た目をアレンジすればイケるかも……スライスしたらつけまつげ、見たいだから……嫌いとかはないですよ。たぶん……」
「そ、そうかな……ぎゃあっ!?」
アドバイスしながらも、何気にレーヴァテインで焼きシイタケに。
そして灼滅者達は、シイタケをふるぼっこする手を全く緩めずに。
「いい加減……倒れろー!」
「というか嫌いな人に無理矢理食わすのがいけないと思うんだ。更に嫌われるだろ」
修李の一撃に揺らいだシイタケへと、海月の図星な言葉と再び刃と成ったクーが牙を剥いて。
「要するに自業自得、お前が諸悪の根源だ。も一度種菌からやり直してこい」
シイタケに飾り切りする様に、死角からの鋭い斬撃が、怪人を防具ごと引き裂いたのだった。
そして、シイタケピルツは。
「わ、私が倒れても、第三第四のシイタケ怪人が……ッ!」
「もう椎茸はいいですから」
ドライ、ツヴァイ、アインス、ゲルマンシャーク様ばんざーい! と爆散したのだった。
●さらばシイタケ!
改めて戦いが終わって。
「もうしばらく、椎茸は勘弁です」
ぐったり精神的疲労が半端ない白兎に。
「ふぅ……恐ろしい敵でござった……!」
ある意味シイタケを喉に詰まらせながらも頑張ったこなたは、風味豊かな後味を感じつつ汗を拭う仕草をして。
「……で、この散らばったシイタケ……どうしよっか?」
駐車場中に沢山落ちているシイタケの山に、修李は遠い目。
それから戦闘の後処理をしつつ、遊園地に行きたいと言う海月に頷いて。
本物のヒーローショーがないかと、アイスバーンも遊園地のパンフレットをチェック。
刑一も、折角ですし遊園地でも回って……と、おもむろにサバト服を着用するも。
イヤーッ!! と気合の声と共に彼に炸裂する、ダイナミックドロップキック!
サクラコと共に、紗矢の手を引く昴は、きっとリア充狩りを目論むだろう刑一を見張っていたのである。
そして、再生ご当地怪人やRB団によるリア充爆破から守られた城島高原に。
平和が戻ってくるのだった。
作者:志稲愛海 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年2月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 11
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