バレンタインデー〜あなたの好きはどのお味?

    作者:笠原獏

     バレンタインデーが近付いている。
     バレンタインと言えばチョコレート、チョコレートと言えばバレンタイン。手作りのものはとても素敵、けれどこの時期だからこそ行ってみたい場所もある。
    「今年もこの時期が来たね! 僕は恒例行事として催事場に行くよ!」
     まるで女子のように手を組んで、満面の笑みで声を弾ませていたのは二階堂・桜(高校生エクスブレイン・dn0078)(十六歳男子)だった。机を挟んだ反対側にいた甲斐・鋭刃(中学生殺人鬼・dn0016)が読んでいた本から静かに顔を上げる。
    「催事?」
    「そ、各チョコレートショップがバレンタイン用のチョコを集結させた催事。本当に色々な種類が揃っているし普段この辺りじゃ買えないものもある、更に試食も沢山あるんだよ。実に素晴らしいね!」
    「お前が行くのか、二階堂」
    「おっと鋭刃君、キミの言いたい事は分かるよ? けれど催事場の入口に『男性の方はご遠慮ください』と書かれている訳でも無いのだからいいじゃないか、僕は毎年楽しみにしているアレとかソレとかを買わなければいけないのさ。その為ならば僕はスキーニングミッションどころか堂々とその地に足を踏み入れるね」
     桜曰く、女性からそれが確実に貰える保証などほぼ無いのだから、待っているだけじゃ駄目なのさとか何とか。聞いた事の無いジャンルの話を鋭刃は大人しく聞いていたが、様々な意味で縁の遠い話だな、と最終的に思い至った。
    「俺には、良く分からないが」
    「貰った事無いの? そもそも鋭刃君ってばチョコは好きなのかい?」
    「好き嫌いはしたくない」
    「あぁ、そういう方向ね……」
     とにかく、と催事の詳細が載ったチラシを見る。
     その数100を越えるブランドが集まったそこには定番のトリュフや生チョコは勿論、クッキーやケーキ、少し変わったモチーフを精巧に再現したものや、ホットミルクや紅茶に溶かして飲めるもの、有名パティシエの手掛けたものや王室御用達のチョコレートまで揃っている。見た目も味も色合いも様々、見ているだけでも心躍るよねと桜がチラシを抱き締めた。
    「僕のお気に入りはストロベリーシャンパン風味の限定品と、抹茶チョコにお茶葉が混ぜ込まれたやつー。トリュフならオレンジ風味かな。他に外せないのはドライ苺をホワイトチョコでコーティングしたやつね! 去年貰った塩生チョコも美味しかったなぁ。あとさ、ナッツは断然ピーナッツ派なんだけど鋭刃君はどれが好き? アーモンド? マカダミア? アーモンド派ならマシュマロアーモンドの割れチョコをお勧めするよ」
    「詳しくないんだ」
    「そっか、済まないねテンションに任せて一方的に」
    「構わない、楽しんできてくれ」
    「鋭刃君の優しさが先日から胸に痛いレベルだよ……でもこの学園にもさ、きっと行く人がいるのだろうね。いいねぇ、バレンタインに向け行動する女性ってば本当にいいと思うよ僕は」
     へらりと笑んで、チラシを置いて。それから窓の外を見る。
    「折角の機会だ、ためらっていたら始まらないさ」
     バレンタインデー、どう過ごすかはひとまず置いて沢山のチョコを楽しんで、特別な味と出会うというのはどうだろう。
     その後の事は──自分次第。


    ■リプレイ

    ●チョコの楽園へ
     足を踏み入れた途端、ふんわりと甘い香りが鼻先と心をくすぐった。
     お菓子大好き桜子にとって目の前に広がる光景はまるで遊園地。迷った全てを食べてみたいけど、奏恵の言葉に肩を落とす。
    「中学生には世知辛いです……」
    「うん、とっても味見希望……」
     何せお小遣いをやりくりする日々だから。それでも行く先々で笑顔と共に試食が差し出されたものだから、二人の顔もやがて明るく綻んだ。
    「いやー、それにしてもいろいろあるもんだねぇ」
     チョコひとつ取っても、と王室御用達トリュフを眺めながら智が感心したように言う。奏恵や桜子も好きなフルーツ系、定番のミルクやビター、ホワイトチョコ。同じく定番の仲間入りをしつつある抹茶の他に、ほうじ茶のチョコだってある。
    「青いチョコも発見! ちっちゃいけど、普通にミルクチョコなんだって!」
     奏恵から手招きされて行ってみれば少し高いけれど綺麗な青色チョコ。中はサクサクで美味しいんだってと声を弾ませる奏恵の言葉に桜子はただ感心するばかり。
     誰かにあげるなら味も飽きないように、色々あれば楽しいけれど自分用となれば話は別だ。
    「やっぱり自分のなら甘いのがいいよね!」
    「あ、私もさーやと一緒ー。智ちゃん先輩は?」
    「ちょっと高めで甘めの、王道ミルクチョコー♪」
     話しているとやっぱり気になってしまうから。当日は皆で一口交換しようと約束を結び、女子三人、華やかにはしゃぎながら更なるチョコ巡りを楽しみに。
    「うーわーあー!」
     圧倒的勢いで揃うチョコに紅葉は目をきらきら輝かせ、相棒のテディさんと一緒に人波を進む。帰ったら運動しなくちゃと思いながらも試食ツアーを満喫していた。
     紅葉にとってナッツと言えばヘーゼルナッツ。苺の限定品、ベリー系のチョコケーキ、抹茶トリュフは見逃さない。一通りの味見の後に気に入ったものを友達用や自分用に沢山買って、抱き締めるようにしながら足取り弾ませた。
    「御機嫌ようっ、武蔵坂のエクスブレインさんですよね?」
     掛けられた声に二階堂・桜(高校生エクスブレイン・dn0078)が振り返ればそこにはきらめの姿。ファミレスに行く際はデザートがお目当ての、と付け足せば桜は緩く笑って頷いた。
    「再び出逢えたのも何かの縁。宜しければお兄さんの名前を、お聞かせ願えませんか?」
     あの時は聞きそびれてしまったから。微笑むきらめにそういえば名乗ってなかったねぇと苦笑した桜が、恭しく右手を差し出し気取った声で告げる。
    「僕は二階堂だよ、二階堂桜。あの時はありがとうね、きらめ君」
     花モチーフ、棒付きキャンディ風、チョコブーケ。一番最初に考えた人は凄いと思うと、郁は試食を味わいながらしみじみ考えた。途中で見かけた桜に手を振ってみればおいでおいでと手招きされる。
    「郁君だったよね。ほらこれ、チョココーティングした金平糖だってさ」
    「へー可愛い。あ、おいしい」
    「でしょ?」
     去年見たチョコが今年は無くてがっかりしていた反面で、初めての出会いも沢山あって。一期一会って言うんだっけと呟けば桜がいい例えだねぇと楽しげに笑った。
    「準備していたら、自分のも欲しくなってしまって。手作りは、自分で食べても楽しくないのだもの」
    「そういうものなんだねぇ」
     ショーケースを見ながら呟いた依子に、手作りの素晴らしさはそれはそれで小一時間語れると言っていた桜が返す。
     たっぷり悩んだ依子が選んだのは小鳥柄の箱がとても可愛い、ベルギーのオランジェットとシトロネット。午後の紅茶のひと時を彩るにも丁度いいと思うけれど、それ以上に。
    「パッケージが可愛すぎて……」
    「あー分かるー使い道考えちゃうよねー」
     この時期のチョコは、外見だってとっても素敵。
    「二階堂ー助けて……俺、全部食べたい……!」
    「分かるよ綾人君、どうしようね本当に!」
     真剣な顔で助けを求めた級友は、更に真剣な顔で同意した。この空間は何故こうも幸せすぎるのだろう──そんな事を語り合うに至った後で、綾人の目にふと留まったひとつがあった。
     たっぷりのココアが降った色々な風味のトリュフ五個入り、直感が選んだシンプルイズベスト。へらりと笑んだ綾人はすぐさま真剣な顔をして、
    「あとはあれだな……当日まで我慢出来るかだ」
    「あー……試練だよねほんと」
     再び真面目に語り合う。

    「ねーねーゆーいちくん、こういうのって『でーと』っていうん?」
     一緒に買い物が嬉しくて、甘いものが楽しみで、自然と綻んだ表情を浮かべた結弦はくるり振り返る。周囲をきょろきょろ見回しながらあっちへ行ったりこっちへ行ったり、美味しいものには満面の笑顔を咲かせたり。
     こっそりと探すバレンタイン用のチョコに気付かれれば渡す宛ては無いんやけどと目を逸らし、
    「……ゆーいちくんにあげよかなー、って。きょ、今日のお礼なんやからっ!」
     その頬を僅かに紅潮させた。
     この、女の戦場へ毎年挑む男は勇者だ──誰かを思い出しつつ逃亡を図ろうとした千早の前に、彼を連れて来たオデットが立ち塞がる。
    「だって日本人の好みも男の子の好みも、一人で両方分かるじゃない!」
     年上の幼馴染みは何時だってこの笑顔で押し切ってくる。また勝てなかったと嘆息した千早が諦めたように会場へきびすを返すと、オデットは嬉しそうにその背を追った。
     何周も巡り、試食を重ね、真剣なオデットの横顔を見ている内に千早は思う。考えた事は無かったけど、この選んでいる時間もチョコと一緒に貰ってるんだな、と。
    「……茶の心に通じるな」
     心を込めて、相手を喜ばせる為に。
     そうして選んだチョコは茶葉の練り込まれた抹茶チョコ。それを手にした途端に何かを閃いたオデットが千早へ謎掛ける。
    「お茶とかけて、友達ととくのよ」
    「その心は?」
    「どちらも毎日を和やかにしてくれるの!」
     勿論千早もその一人──答えを聞いた千早は思わず笑う。これだから、この人には敵わない。
     人の多さに圧倒され人酔い気味のさくらえに、涼子が優しく手を差し伸べた。そうして手を繋ぎ歩き回って少しずつ賑わいに慣れてくれば、周囲の女の子以上に目を輝かせ様々なチョコを見つめるさくらえが。
    「あげるのはこれとか面白そう」
    「唐辛子スパイス入り? 弟にあげようかな。兄貴は意外と普通に食べそうだから、パス」
    「あ、ワタシ自分用はコレがいいな」
     さくらえがにこにこと手にしたのは100%カカオチョコレート。意外な好みに目を丸くした涼子はそれでも、ビターな味が好きなのね、と笑った。
    「涼子さんは気に入ったのあった?」
    「私は、この紅茶風味のチョコとオレンジ味かしら」
     涼子が示したそれを見て、それから再度涼子を見たさくらえが折角だから今日のお土産買っていこうよと声を弾ませる。そうねと頷いた涼子が明るく手を合わせ、同じく弾んだ声を響かせた。
    「プレゼント用と自分用、買っちゃいましょうか!」

    ●それぞれの特別を
    「……ほんとに行くのか?」
     来たばかりの都会以上にこういう所に慣れていない。けれど冬真に対し実璃は全く気にせず売場の方へ。
    「あ、冬真ちょっと」
     入ってすぐ、見かけた姿に実璃が足を止めて冬真を呼んだ。実璃の声掛けに振り返った桜がおや、と零す。
    「実璃君、と、もしかして冬真君?」
    「はい。冬真、この方ですよ、君の事を教えてくれたの」
    「! 初めまし……や、こんにちは、あの時はどーも……ありがとうございました。えっと……センパイはこういうトコよく来るんすか?」
     お礼はしたいけれどそれは同時に黒歴史を掘り起こす。程々に留め次の話題を振った冬真の葛藤が分かったのだろう、桜と実璃がちらりと顔を見合わせて笑った。
    「もし良かったらオススメ知りたいなって」
    「あ、ずるいです。僕もそれ、聞きたい。ナッツ系のが好きなんです」
     けれどオススメの話となれば実璃も身を乗り出して。
    「ホットミルクに溶かすヘーゼルナッツ風味のチョコとか? 寒い時にもいいし」
    「なんすかそれ!」
     男子三人、楽しければそれでいい。
     料理研究同好会として部費で食べ物を買……真面目にチョコの研究と資料調達をしに来たものの。
    「なあ部長、男子二人で来てる面子っていると思うか」
    「俺も少し場違いかと思ったんだがな、今そこで見た」
    「……じゃあまあ、いいか」
     陽己の言葉に修太郎はそう結論付けて催事場へ踏み込む。修太郎の目当てはご飯のおかずにもなるようなチョコ、陽己の目当ては珍しいものだ。
    「……何、チョコかけのさきいか?」
    「ほう、塩と組み合わせるのは知っていたが胡椒もあるのか」
    「チョコ納豆? いや待てカレーチョコ……だと……?」
    「カカオ原産地別のチョコレートの詰め合わせだと? 世界は広いな……そこの生姜と唐辛子入りは取り寄せも出来るだろうか」
     淡々と言うべきか軽やかにと言うべきか、次々と増える戦利品。両手にそれを抱えた修太郎が戦慄の表情で実感こもった声を上げる。
    「……奥が深いなチョコ!」
     ここはまるで、チョコレートの博覧会。
    「まり殿、拙者のオススメでござるよ!」
     あーん、と差し出されたザッハトルテと忍の笑顔、一口食べればふんわりシナモンが香る。生クリームと共にとろけるような甘さにまりは忍と同じく頬を緩めた。
    「骨董店に帰ったら、戦利品でお茶会しましょう、ね……!」
    「勿論でござるよ!」
     目を輝かせ催事場を巡る忍に対し、まりは手にするものを選びかねていた。この時期に外せないハートのトリュフが欲しいけれど──きょろ、と見回した先に桜の姿を見付け、声を掛ける。
    「良ければ相談に乗ってくれませんか? 私の一押しチョコ、お裾分けしますから」
     それはミルキィな色合いの中にバニラビーンズや苺の粒々が覗いている、つるりと丸い白とピンクのタブレット型チョコ。
    「絶対美味しい、ですっ……」
    「バレンタイン前にいいのかい? ありがとう!」
     はにかみながら言ったまりに桜は遠慮なく礼を告げ、甘い一粒を受け取った。

     いつもながらこの時期は凄いと真琴は思う。とても凝ったもの、色っぽいもの、高級なもの──見ているだけで楽しいけれど、チョコの香りには少し酔わされたような気がした。
     父と祖父と弟と、サッカークラブの監督と先輩達と──要するに探しているのは多数の義理チョコ、けれどあれこれ迷ってしまう。結局選んだ有名な国産トリュフ二個入りは義理でもお勧めの味だ。
     バイトをしてお金を貯めているのはこういう時の為と言っても過言じゃない。どれも絶対美味しいという確信を胸に試食を貰っていたマキナの口の中には今、香ばしいプラリネの味が広がっていた。
    「やっぱり美味しい!」
     これだけ色々あるのに自分の為だけにというのは何だか勿体ないけれど、意中の人が現状いないのもまた事実。そんな未来が来る事を夢見つつ、今は皆で食べられる沢山入った一箱を手に取った。
     瞳が心惹かれるのは見た目のインパクトが強いチョコ。天体を模した惑星ショコラはまるで宝石のよう、演奏も出来てしまうリコーダー型チョコの音色はきっと甘い。リアルな造形の動物チョコは可愛いものだけじゃなく、それが逆に目に楽しい。
     お小遣いがいくらあっても足りないし、自分が貰いたい位だと思う。実際に男子が貰って嬉しいのはどれだろう──瞳はそれを聞いてみようと視線きょろきょろ、やがて見つけた姿に手を挙げた。
     爺ちゃんの為のチョコで悩んでいた希沙は、その時口に含んだ濃厚な抹茶生チョコにこれだと思う。けれど後は自分のものを──となるとまた悩ましい。白チョコのビスケットサンドとマシュマロ入りブラウニー、お小遣い都合であと一つしか買えない究極の選択肢。
    「最終手段は天の神様の言うとおりで決めよかな……」
    「あはは、いいねそれ」
     真顔の希沙に、相談を持ちかけられていた先輩が笑った。
     心躍る甘い日。戦利品の味も、皺くちゃの笑顔も楽しみだ。

     圧倒的な女性比率、例えるならキラキラ空間。赤の他人の目は気にもならないけれど、このアウェー感だけは如何ともし難い──そんな気持ちを押し隠した騰蛇がさなえを見れば、そこには年相応にはしゃぐ少女の姿があった。
     宝石のようなチョコレート、綺麗に作り込まれたそれはさなえの興味を惹くに足る。何故だか和ましげに自分の背後へ控えていた騰蛇を隣に呼び寄せて、はぐれないよう手を繋いでから歩き出した。
     さなえがこのような表情を見せる事は稀だっただけに感慨深い。騰蛇はそう思っていた。
     いつも表情に乏しいへびちゃんも何だか楽しそうで嬉しい。さなえはそう思っていた。
     試食を楽しみながら巡る最中、やがて見つけた生チョコは騰蛇にとって初めての美味しさで。その表情を見たさなえは笑みを深め、同じチョコを手に取った。
     とりあえず隅から隅まで制覇してみよう──千穂と華月は頷き合っていざチョコの国へ。
     フルーツフィリングを包んだほろ苦チョコは大人の味、一足早い春のような抹茶や桜の和スイーツは箱までとても可愛らしい。それでも一番目を奪われたのは、食べるのが勿体ない可愛さのわんこ型。
    「確かに食べられない……!」
    「ね! 私、自分の分を確保して味見したいの。美味しいものをあげたいもの!」
    「それは大事よね!」
     千穂の力説に華月は全力で頷いた。やっぱり喜んで欲しいから、きっとラッピングにも迷うのだろう。その悩む時間も幸せに浸って、一つ一つに心を込めて。
    「……で。華月ちゃんの本命さんて誰だれ!?」
    「!! そ、それはー……じゃあ、言ったら秋津さんも教えてね!」
     切り込んでみたら返されてしまったそれに、千穂が狼狽え視線を泳がせる。
    「え、わ、私の事はいいのにー」
     そんな二人の少女の事を、わんこ型チョコがじっと、見つめていた。
    「見てるりかちゃん、すごく可愛いチョコばかりだよ」
    「わーホントだ。みーんな可愛いね」
     香乃果の手招きに、るりかがうっとりと表情を緩ませる。お値段が凄いものも多いけどチョコの集まるこの場所はまるで宝石箱のようで、見ているだけで幸せだった。
    「ねえ、お互いに『これが良いな』って選んだ物を交換しない?」
    「うん、交換しよっ」
     だから香乃果の提案には一も二もなく頷いて。
     フルーツピューレで出来た青い花とホワイトチョコの薔薇のセットは香乃果のよう。シュガーパウダーに包まれたストロベリーガナッシュ、桜の形の生チョコレートはるりかのよう。後は当日に交換するだけだよねと笑みを深めたるりかが香乃果の顔を覗き込む。
    「ボク、嬉しくてこのまま羽根が生えてどこかに飛んでいっちゃう程わくわくするんだ」
     純粋な言葉と春のような笑顔。香乃果の顔がふわりと緩んだ。
    「うん! 私もすごく楽しいの!」
     それはきっと、二人一緒だったから。

     甘い香りに綻ぶ笑顔、明日へと向けた様々な気持ち。
     それぞれの抱く特別に満たされた空間で、あなたの好きを見付けよう。

    作者:笠原獏 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年2月13日
    難度:簡単
    参加:30人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 13/キャラが大事にされていた 4
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