バレンタインデー~フルーティーチョコフォンデュ!

    作者:志稲愛海

     きらきら煌く、甘酸っぱい果実を。
     とろーりチョコの噴水に浸して、甘いヴェールで閉じ込めれば。
     噛んだ瞬間混ざり合うのは、とろけるような甘さと爽やかな風味。

    「ねー家庭科室でさ、フルーツチョコファウンテンやるんだって!」
    「チョコファウンテン? ああ、噴水みたいなチョコレートフォンデュか?」
    「そーそー。バレンタインのチョコ作りイベントで、有志が企画したものらしいよー」
     武蔵坂学園の生徒なら誰でも参加OKらしいから、行ってみない? と。
     そんな飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)の誘いに。
     甘い物に目がない綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)は、断る理由などあるわけないだろう? と。
     遥河の差し出したイベント概要の書かれたチラシを、キラキラ輝かせた瞳で見つめる。

     フルーツチョコファウンテンイベントの内容は単純明快、以下の通りだ。
     専用機械から次々溢れ出る各種チョコレートの噴水に、好みのフルーツを浸して。
     アラザンやスプレーチョコ、チョコペンなどで、デコレート。
     これをラッピングするだけで、可愛くて美味しいオリジナルフルーツチョコの完成!
     フルーツにチョコをかけるだけでも十分可愛らしくて美味しいし。
     簡単な手順だけに、ほかに色々な工夫も加えられるだろう。
     あらかじめ串に刺した数種類のフルーツに、贅沢にチョコをコーティングするもよし。
     キャンディーの様に棒つきフルーツチョコにして、色とりどり何本も飾っても可愛いし。
     お菓子で耳や鼻をつけチョコペンで顔を描けば、動物さんフルーツチョコにもなる。
     不器用な人にも簡単に、オサレ可愛いチョコの贈り物が作れるのだ。

    「それで、バレンタイン用のフルーツチョコを作った後はさ。残った材料を余らせるわけにいかないから、フルーツチョコフォンデュパーティーをするんだって!」
    「フルーツチョコフォンデュパーティー……!」
     遥河の言葉に、さらにキラキラと瞳を輝かせる紗矢。
     材料が余ると勿体無いという理由で。
     バレンタインチョコを作った後、皆で試食を兼ねたパーティーが企画されていて、飲み物もお茶にジュースに紅茶や珈琲などの基本的な定番のものならば用意されているという。
    「チョコファウンテンに使うチョコも、普通のチョコからビター、ホワイトにストロベリー、抹茶まであるんだな。フルーツの種類も豊富で、組み合わせに迷いそうだ」
    「チョコファウンテンの機械や調理器具は勿論、装飾用のアラザンやチョコペンなんかも用意してあるみたいだし、足りなそうな材料があれば持ち込んでもいいらしーよー」
     武蔵坂学園の生徒であれば、年齢性別恋人の有無も一切関係なし!
     リア充でも非リア充でも、お一人様でもグループでも。
     楽しくバレンタインチョコを皆で作って、ついでに美味しく賑やかに試食をしようと。
     そういうイベントというわけだ。

    「よし、材料は余らせず、全て綺麗に美味しくいただかないとだな!」
     何気に底なし胃袋で甘い物好きな紗矢は、ぐぐっと気合を入れて。
    「ね、よかったらみんなもキャッキャ一緒に、フルーツチョコフォンデュしよー?」
     遥河は、オレへのバレンタインチョコも大募集! とへらり笑みながら。
     イベントのチラシを手渡しつつ、みんなに誘いを掛けるのだった。


    ■リプレイ

    ●チョコレイトジュエル
     一緒に作るは、甘いフルーツの宝石。
    「えっと、フルーツをチョコレートにつけるんだよね?」
    「そうじゃないよ、上から降ってくるチョコをね、こうやって……」
     流れるチョコの滝へと果実をそっと入れて。
     くるり、コーティングするミルドレッド。
     朱美も同じ様に、赤い苺をチョコの噴水にくるくる。
     そして綺麗にチョコを纏った果物を。
    「ねね、食べてみてっ」
    「ボクのも食べてみて?」
     お互いに、あーん、あむっ。
     広がる美味しさに、嬉し気に笑み合って。
     色々な果実で試してみては、にこにこ笑顔で試食を。

     串に並ぶ、イチゴにベリー、バナナやキウイ。
     それにホワイトを纏わせ、チョコペンで飾れば完成!
    「うん、綺麗にできたかな」
     それから七葉は、フローズンフルーツでも挑戦。
     そのパリパリの食感は、味見した遥河や紗矢もお墨付き!
     料理は趣味だが、そう上手ではない理緒。
     でも、皆の手際を見つつ研究を怠りません!
     基本に添い、くるりフルーツチョコを作りながら、少し珍しい抹茶も試してみて。
     果実とチョコの組合わせに試行錯誤しつつも、楽しく作業を。
     テレビや雑誌で見たチョコフォンデュ体験に感動する空は、チョコを口へと運びつつ。
    「そうだ! 動物さんフルーツチョコ、というのも作れるんでしたっけ!」
     そう思いつき、ひたすら食べている紗矢へと、面白い組み合わせを見つけたか聞いてみて。
    「食べたい~~! チョコうまいよな~~!」
     織兎はチョコをつけた桃を遥河へと差出し、遥河からお礼のチョコバナナを貰いつつ。
     二人で一緒に、うまーうまーー! と。
     いろんなフルーツにチョコをつけてみては、キャッキャ。
    「よくできておるものじゃ」
     賑やかな会場を見回し、ファウンテンの機械を眺めた後。
     雅弥は山盛りのフルーツをフォンデュしている紗矢にやり方を聞きつつ、色々と試してみて。
    「紗矢の分もあるから遠慮はいらぬのじゃよ」
     そう、チョコに合いそうなミルクティーを差し出した。
    バナナはビターで、苺はやはりストロベリー。パイナップルには普通のチョコ?
     光は普段お世話になっている人用にいくつか作ってみながらも。
    「……柿はチョコフォンデュにしても美味しいのでしょうか」
     紅茶をひとくち飲みつつも、とりあえず柿は抹茶につけてみることに。

    ●スイーティーフォンデュ
     まずは無難に苺か? と。
     試して食べてみた亮輔は、その美味しさに頷いた後。
    「みてみて、苺5兄弟ー!」
    「カッコイイ兄弟が出来たな」
     ひとつずつ違うチョコを纏った、小鳥の斬新な苺団子を受け取りつつ。
     くれんの? 有難なと、楽し気な彼女に礼を。
     そして。
    「亮輔くんはどれがオススメー?」
    「抹茶のフォンデュで食うのもオススメだ」
    「これはどうー?」
    「うん、この組み合わせ意外とイケるぜ」
     互いに、好きな味やおすすめをお裾分けし合えば。
     楽しさも美味しさも笑顔も、倍に。

    「みて~、このハートのマシュマロにチョコレートつけたら可愛くなぁ~い?」
    「ラブ満載ってカンジで、マジバレンタイン向き!」
     ひかるは初体験な三朗に、まずはお手本を見せて。
     チョコを纏ったハートを、さぶさぶにあーん!
     そしてぱくり食べた三朗も、ハートに苺チョコを纏わせて。
     ヒカヒカにお返しの、あ~ん☆
    「フォンデュ仕立てって、すっごいとろふわで幸せ~♪」
     ひかるは、や~ん超おいし~と蕩けた後。
     ふいにリア充へギリッと嫉妬する三朗を宥めつつ、一緒に本番を心待ちに。

     見つけた最高の組合わせをあーんしてくれただけでなく。
    「ね! 美味しいでしょ?」
     アスセナに向けられるは、普段はあまり見せないクラウディオの満開の笑顔!
     弟ラブなアスセナは、もうメロメロ。
    「きゃー、クロードーっ!」
     人目も憚らず抱き締めて、ぎゅっ。
     そんな姉に怒ることなくクラウディオは少し照れつつも。
     先程と違う組合わせのフルーツチョコを、姉にあーんしてあげて。
     そしてアスセナは決意する。
     こんな反応が見られるならばもっとお菓子作りの腕を磨かなくちゃ、と。

     シャーロットとラグナも、甘いひとときを。
     折角だからと、互いのフルーツチョコを交換こ。
    「赤と白で綺麗ですね。それにとても……とても甘くて、美味しいです」
     ホワイトチョコ纏うイチゴを食べさせて貰ったラグナは目元を緩ませ、弾んだ声で礼を言って。
    「ん……甘いのですけど、なんだか不思議な味です」
     彼へとあーんされたストロベリーチョコのバナナは、少し斬新?
     そしてシャーロットはふと、ラグナに瞳を細める。
     口直しに、もう少し食べさせてもらいましょうか……なんて、と。

     まさにぴったり、仲良く同じタイミングで。 
    「百花さん……あーん♪」
    「ほら、茉莉。あーんてして……あーん」
     差出し差し出されたフルーツチョコ。
     そんな同時のあーんが、可笑しくて、幸せで……微笑み合い、改めて一緒に、ぱくっ。
     そして手と手を恋人繋ぎしながら、茉莉はふと気がつく。
     恥ずかし気に染まった百花の頬にも、チョコのデコレートが。
     茉莉は躊躇しつつも、ほっぺのチョコをちゅっと取ってあげて。
     甘くて素敵なバレンタインイブに、ふたり照れては楽しく笑み合う。

    「ディアナ、あーんだ」
     いつも通りの無表情で、袖引くディアナに言った翼。
     互いに食べさせあうのがマナーだと、ねーさんに聞いたから。
     そしてディアナは、わかったわと頷きつつも続ける。
    「でも……翼。日本ではバレンタインは女性が男性にチョコを贈る日でしょう?」
     そして、先に彼女からあーんされたフルーツチョコを口にした翼は。
     お、おいしい? と訊かれ、とても美味しいと頷く。
     ディアナが食べさせてくれたおかげかもな――と。
     それから今度は、彼女にあーんのお返しを。

     彼女が御凪を誘ったのは、もっと会話や遊ぶ機会が増えるといいなと……そう思ったからで。
     彼がゆのかの誘いに応じたのは……ちょっと気になる人からのお誘いだったから。
    「観凪君、良かったらこちらにどうぞ~」
     御凪が確保した席に、改めて鍋や皿を準備したゆのかは。
    「欲しい果物言ってくださいね? すぐに絡めますので……」
    「好きな果物は、林檎かな」
     彼の好きな林檎にチョコを纏わせつつ、他にも色々試してみる。
     バレンタインには……美味しいチョコを手渡ししてあげたいから。

     豪華で本格的なチョコの噴水を見つめる琉珂と故が思う事は、同じ。
     楽しみなのは……大切な人と、一緒だから。
    「甘いの好きだよね?」
    「ん、好きだよ。故の次に……だけど」
     囁かれる甘い言葉に赤くなりながらも、故は彼に、甘めのミルクチョコ纏う苺を差し出して。
     そのお返しは勿論、定番のあーん。
     そしてバナナやキウイに蜜柑まで、色々試してみながらも。
     食べさせ合いこしつつ、また来年もラブラブに過ごしたいと二人は見つめ合って。
     互いに気持ちを紡ぐ――大好きだよ、と。

    ●フルーティーパーティー
    「チョコレートに、ちょっと酸っぱいリンゴのジュースが良くあうたぬよ」
     崇が掲げるリンゴジュースは勿論、【すーぱーふぁーむ☆あかいくま】で実った果実で作ったもの。
     そして、何に乾杯かって?
    「皆とのこの時間に乾杯したいたぬよ!」
    「組み合わせたら可愛く仕上がるかもしれませんねー」
     嘉月は乾杯後、イチゴにブルーベリー、さくらんぼを組み合わせて。
     ストロベリーチョコにくぐらせ、チョコペンで顔を描いてみれば。
    「ほら、『あかいくま』の完成ですよー」
    「こ、これは!カカオの苦さの中にフルーツの甘さが嵐のように吹き荒れて……ほ、ほっぺたが落ちそうな程おいしいたぬ!」
     崇も思わずそんなリアクションになる程の美味しさです!
     そして嘉月に負けじと、司が作ったのは。
    「はーい、フクロウの出来上がりっ♪」
     丸ごとマンゴーの巨大フクロウ!
     歩も、負けてらんないクマ♪ と、果物をホワイトチョコにくぐらせて。
    「可愛くできたパホっ♪」
     可愛いパンダさんに!
     着ぐるみがチョコ塗れになったけど、楽しいから無問題♪
    「嘉月先輩、司先輩、歩君もお上手なのです……!」
     そういう月夜もトッピングして沢山作ってみたが……動物はやはり難しい。
     そして慧瑠が出すのは、自信作のチョコケーキ!
    「こちらも如何ですか? 結構自信がありますよ♪」
    「チョコケーキも美味しそうですー♪」
    「む、崇のジュースも、嘉月や皆のチョコもなかなかじゃの」
     皆の力作を眺める美沙は、パーティーに面白みをと、こんな提案を。
    「素麺をチョコにくぐらせてみるとかどうじゃ? いや、いっそ焼肉とのコラボはイケるやも知れぬ!」
     だがすぐに。
    「ところで美沙。先程から聞き捨てならない台詞が聞こえてくるのですが」
     今後一切食べ物を作る側に回ってはいけません、と慧瑠に釘を刺され、食べる専門に。
     そして浮いた話こそないが、これはこれでありではあるか、と。
     皆と、甘く賑やかな時間を過ごすのだった。

     【ひなたぼっこ部】の皆も、楽しくフォンデュパーティー!
    「実は私初めてなのよね。楽しい!」
    「桜子ちゃんも? えへへー、今日は目一杯食べちゃおうね!」
     桜子と夏穂は、初めてのチョコフォンデュにそうキャッキャはしゃいで。
    「あ、桜子ちゃんにはこれ。チョコバナナー!」
    「えっ、ちょ……無理無理そんなの入らな……!? 押しこまもごごごご!?」
     定番で王道で老舗なフォンデュをほら召し上がれ! と、桜子の口にチョコバナナを押し込んだ葵は。
    「って、あー! 食べさせあいっこずるい! 私も私もー!」
    「あれ? 夏穂ちゃんも食べたい感じ? いいよ~くらえーっ!」
     夏穂の口にもぐいぐい、お裾分け!
    「ふっふっふ、これだけ食べればないすばでーなお姉さんになれる日もかなり近づきますね」
     イオノも、桜子や皆とあーんしつつ、どっさりフルーツにどや顔を。
     そして夏穂は一歩離れて観察している雪花を、チョコの噴水前までご案内♪
    「……え、私……ですか? わ、わっ……」
     雪花は言われた通り袖に気を付けつつ、恐る恐る苺を一粒、チョコに浸し食べてみて。
    「! ……これは、美味しい……です……!」
     広がる甘さや爽やかさに、瞳をぱちくり。
     そして。
    「はい、あーんするですよー」
     イオノにあーんされ戸惑うも、ぱくりとそれも口にして。
     ……美味しい、です、と。苺色をした瞳を少しだけ、細める。

     言われた通り、本当に適当な具を持ってきてみた【柴くんち御一行】の面々は。
     とりあえず沢山チョコフォンデュして、皆で分け合い食べる事に。
    「まあ、それなり」
     観月は残っていたチップスを投入後、偶然摘んだ司のシュークリームを普通にもぐもぐ。
    「あ、柊君のマシュマロも美味しそうですナァ。ふむふむ大福とはまた斬新な……」
     たまきもチョコ苺に、ぱらりスプレーチョコをかけつつ、皆の持参品をチェックするも。
     うっかり、美樹の投入したモノを掬って。
    「美味しいよ」
    「吾輩はなにもみなかったですニャ」
     棒読みとか腐女子的妄想とかしつつ、すかさず観月へリリース!
     司も、自分の入れたチョコまみれな餅を口にし、一瞬表情が固まるも。
     しれっとこっそり、観月と交換こ!
     そして。
    「……………」
     何だか急に味が変わった気がした観月であったが。
    「……意外とイケル」
     意外と、イケル……!?
     そして少し前に流行った感じの、チョコ付きチップスを美樹は黙々と食べながらも。
    「俺は美味しかったけど、そうでもない?」
     羊羹への苦情に、真顔でそう答えるのだった。

     燐は【そよ風クラブ】の皆と、楽園の噴水かの如く滑らかに落ちるチョコを眺めてから。
     いざ、チョコフォンデュを!
     瑠璃羽は、カステラにスライスアーモンドをふたつさして。
    「チョコにくぐらせると……ロリポップなクマさんチョコに見えない?」
    「わ、本当だ。可愛いな……!」
     瞳をキラキラさせて頷く紗矢に、にこっ。
     そしてチョコ欲しいーと笑む遥河にも作ってあげて。
    「こういうのは、得意なのですよ」
     燐も器用にフルーツチョコをくるり。
     いえ、フルーツだけではありません。
    「フルーツチョコも美味しいけど、僕はやっぱりこっちの方がいいかな」
    「最初はびっくりしましたが、塩気がチョコの甘さを引き立てて美味しいんですよね」
     有斗は小さなパンを色々なチョコに浸し食べ比べてみて。透夜も定番の苺の次は、持参したクラッカーで。
    「こちらも美味しいですよ」
     有人もオレンジピールをビターやホワイトのチョコレートに浸し、皆にも勧めて。
    「あ、美味しそう♪ 一本もらうね」
     有斗は、紗矢や遥河と一緒に、瑠璃羽のスティッククッキーに手を伸ばす。
     瑠璃羽はフルーツ串片手に、皆と楽しくお喋りしていたが。
     油断して、いつの間にか手がチョコまみれに。
     でも大丈夫。
    「目が離せませんね。そこも貴女の魅力なんでしょうけど」
    「お気になさらずに。これは私の性分ですので」
     有人や燐が、すかさずフォローに。

     チョコの滝に浸せばかかる、とろーり甘い魔法。
    「一回やってみたかったん」
     はしゃぐチセや朔日に思わず顔を綻ばせつつ。
     狗白がチョコの海から掬うのは、白と茶色を纏った沢山の苺たち。
     滴るビターとホワイトもお洒落な彩飾に。
     そしてちりばめたビスケットの上にマシュマロと一緒に乗っけて、完成!
     チセは可愛く変身した狗白の苺たちに笑んで。
     バナナにビスケット、バームクーヘン、朔日のミニシュークリームに、チョコを幾重にもかさねて。
     何だか得した気分、とほくほく。
     朔日も勿論参戦、ミニシューにホワイトチョコ、マシュマロの耳と麦チョコの目をつければ。
    「白くまさんに見えるかな?」
     可愛い白くまさんの出来上がり!
     そして……少し、おなかがいっぱいになってきたから。
     皆で半分、美味しさの分け合いっこを。

     みんな顔にチョコがついてますよ、と。
     紗里亜は【星空芸能館】の皆にふふ、と笑んでから。
     数本のミルクチョコをかけたバナナに、色々トッピング!
    「顔を描いて……バナナ一家です」
     えりなもフレンチクルーラーにとろりミルクチョコで甘さを倍増に。
     それから手にした、うさぎさんりんごが。
    「チョコをコーティングして、野うさぎさん♪ なんてね♪」
     可愛い、チョコの野うさぎさんに。
     そして同じリンゴだけど、結衣菜はビターチョコをちょっぴり纏わせて。
    「んー、この味は……苦みが甘みを引き立ててくれるわ」
     苦みの効いた、大人なフルーツチョコに。
     くるみも本命チョコはバッチリ、クラブの皆とパーティーを楽しもうと。
    「チョコの熱でましゅまろが溶けて、おいしいよ~♪」
    「ふわふわと溶ける感じが美味しいです」
     持参したマシュマロを、フォンデュ!
     さらに余ったチョコにミルクをまぜれば、あったかホットチョコレートに。
    「私も飲ませて!」
     結衣菜やえりなも、そのあたたかさと味に微笑みながら。
     わいわい賑やかな、楽しいチョコレートなひとときを。

     白、ピンク、緑……色とりどりのチョコの噴水を前に。
     瞳を輝かせるさくらえに勇弥は串を手渡して、丁寧にフォンデュの手順を踏んで教えていこうとするも。
    「……って、ちょ、さくら!?」
     目の前には早速、チョコの海にぽしゃんと沈没した苺の姿が。
     さらに。
    「ほら、ここで下を向くと落ちるから……あ」
    「って彩瑠センパイその刺し方、多分落ち、……あー」
    「さくらさんは華やかそうなの似合いそう…って大丈夫か?」
     勇弥や健やアサトたち【Cafe : Phonix】の皆が見守る中。
    「…………」
     ぼちゃんと、遂に第二の犠牲フルーツが。
    「彩瑠さん、フルーツはまだありますし。ゆっくり作りましょう」
     昭乃はホワイトチョコを纏う蜜柑片手に、そっとさくらえに肩ぽむ。
     そして器用にそれらを救出した勇弥に尊敬の眼差しを向けるさくらえは。
    「ね、健、代わりにお願いしていい?」
     選り取りみどりのフルーツを串に刺し、名付けて『フルーツバスケット』フォンデュを作っている健に、自分の分もお願いを!
    「困った時は手を貸すのがヒーローの務め!」
     かわりに、くるりチョコを作って貰って。
     それから勇弥は、持参したインスタントコーヒーやシナモンパウダーや小豆を使い、変わり種が作れないかチャレンジ!
     そしてそんな様子を眺めつつ、アレいいな……と。
     香り高いシナモンをガン見するアサトであった。

    「どれからつけようか迷うけど、全部いけばいいのよね」
    「あはは、律花気合入ってるわねー」
     ま、かく言う私も堪能する気満々なんだけどーと、腕まくりの仕草をする律花に叡も笑んで。
    「其処まで意気込まずともチョコレートは逃げないぞ」
     春翔も、流れ落ちるファウンテンの発想に驚きつつも、親友の意気込みに小さな微笑みを。
     それから紗矢や遥河も一緒に、フルーツチョコをキャッキャ作った後。
    「せっかくのバレンタインだし、親友からの友チョコどうぞ?」
     律花は友チョコを、それぞれ両者の口元に差し出して。
    「あら、それ貰っても良いの? じゃあ、折角だから頂くわね」
    「3倍返しに期待はしないでくれ」
     にこにこぱくりと一口で食べた叡と、一瞬固まった後に齧る春翔の、それぞれの想像通りの反応に。
     律花は、思わずくすくす。

     チョコレートの噴水ってどんなのだろう……そう期待に満ちた瞳を輝かせるネジの横で。
     蛾は、なんだバレンタインて楽しいじゃん! と。
    「幸せ……」
     とりあえず片っ端から果物もチョコも試してみます!
     兆夢も定番のチョコバナナの後、苺をホワイトチョコに浸して。
    「アイスとチョコ、ベリーをまぜまぜして食べるとたまらんス」
     ベリー数種に持ってきたバニラアイスをのせ、それにチョコをとろり。
     甘党の本領発揮です!
     そして、チョコの水面に写る自分が眩しすぎて食が一向に進まないらしいテトラは。
    「これをチョコレートに浸ければ……うん、私に見合った美しい味だ」
     芸術品として生きる己に相応しいと、エディブルフラワーを持参するも。
    「だけど普通に果実を浸けたほうがイケるな、これは……」
     そう、本音をぽろり。
     そんな各々チョコを楽しむ【八脳】の皆に。
    「じゃんじゃじゃ~ん! さっき焼いてきたから、出来立てだよ」
     蛾が配るのは、フォンデュると美味しい手作りクロワッサン!
    「ひー姉、食べていい?」
     ネジも思わず表情を緩ませて。
     大好きな皆と過ごす幸せな時間に、ほんわり。
     
     ビターにチョコ、抹茶とストロベリーとホワイト。
    「見てくれチョコレートの虹ができたぞ」
     海月のお皿に、甘ーい虹が。
    「レインボーフォンデュ? なにこれ可愛い」
     鮮やかなチョコと得意気な海月に、【蝉時雨】の皆は微笑んで。
    「食うならどの組み合わせがうまいかね」
    「いちごにホワイトチョコがおすすめかな」
    「い、いちごにホワイトチョコかけて、チョコペンで猫描くとか?」
     嘉市の問いに答えた悠二郎に、渓志も同意しつつ。チョコをくれるというホナミへのお返しにと、女の子が喜びそうなものを真剣にチョイス中。
     そして色々皆のおすすめを試したり、新しい味に挑戦しながら。
    「私も美味しさ探究付き合うわ!」
    「おいしさ探求、楽しい響きだ」
     楽しく研究、美味しさ探索!
     そしてホナミは、バナナ、キウイ、オレンジにチョコを纏わせて。
     男子にひとつずつ――ハッピーバレンタイン!
     そして、他にも誰かくれていいんだぜ? と言った嘉市に、チョコを差し出す悠二郎。
    「村雨さんと湶さんもいかがですか?」
    「悠二郎もサンキュ……って、これってまさかホモチョ……」
     変な意味はありません、勿論トモチョコです!
     渓志も男性陣に、これでもか! とガッツリな、フルーツ串のトモチョコを。
     いえ……本命でも、友でも逆でも。
    「もらうのもあげるのもすごく楽しいな」
     チョコの贈り物は――とても美味しくて楽しくて、嬉しいものだから。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年2月13日
    難度:簡単
    参加:69人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 9/キャラが大事にされていた 10
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