――どうしよう、どうしよう。
あたしはキッチンで焦っていた。
チョコレートを溶かして型に入れて、冷やして固めてデコレーションするだけ。
作るのは初めてだけど、何度も本を読んで手順はしっかり確認した。
だから、絶対にできると思ったのに。
なぜか作っている途中で材料や器具が見つからなくなったり、つまらないミスをしてしまったり。
さっきはデコレーション用のアーモンドが見つからないままにチョコレートが固まってしまってやり直しになっちゃった。
「なんでどっかいっちゃうんだろう……」
確かにキッチンの右側においておいたはずなのに。
ちょっと別のことを考えている間にまた別のミスがおきる。
「あつっ!」
うっかり湯煎している鍋に触ってしまった。ぴちゃんとお湯が小さくはねる。
……まただ。
丁寧に湯煎していたチョコレートの中にお湯が入ってしまった。
これじゃキレイなチョコレートは作れないからやり直さなきゃ。
(「やっぱり、夏樹くんには最高のチョコをあげたいもん」)
あたしは何度目になるかわからないチョコレートを削る作業を再び開始した。
灼滅者達が教室に集まってくる。1,2,3、4……。無言で数えていた久椚・來未(中学生エクスブレイン・dn0054)は、8人の灼滅者達が揃ったことを確認するとおもむろに口を開いた。
「シャドウの悪夢に、少女が一人、囚われてる――」
來未の話によると、悪夢に囚われている少女の名前は柿沢・冬香。小学5年生の女の子だ。
冬香はクラスメイトの梅原・夏樹にチョコレートをあげようと張り切って準備をしていたのだが、生憎風邪をこじらせてしまい現在も寝込んでいる。
「風邪のせいで、チョコレートを作る時間がなくて、焦っている」
そこをシャドウに付け込まれてしまったようだ。
現在、冬香は『どんなに頑張ってもチョコレートが完成しない悪夢』に囚われている。
だから、皆にはソウルアクセスを使って冬香の夢に入り悪夢から救ってほしいのだ。
「夢に入ったら、一緒にチョコレート、作ってあげて」
冬香は初めてのチョコレート作りなので難しいものには挑戦せず、スタンダードなハート形チョコレートを作ってデコレーションをするつもりのようだ。
もしも皆が作り方を教えてあげるのであれば、別の凝ったチョコレートを作ることも可能だろう。
どんなチョコレートを作るのかは皆に任せるが一つだけ注意してほしい点がある。
「彼女自身が、ちゃんと作らないと、ダメ」
冬香は『自分が心を込めて作ったチョコレートをあげたい』と強く願っているので灼滅者達が代わりに作ったのでは納得しないので気を付けてほしい。
チョコレートが完成したら、邪魔をされて怒ったシャドウが出てくるのでこれを撃退してもらいたい。
シャドウは配下を3体連れて出現する。
彼らが使用するサイキックはシャドウハンターのサイキックによく似たものだ。
だが、特にシャドウが使用するサイキックは強力なので気を付けてもらいたい。
「チョコレート、上手に作って、励ましてあげて」
バレンタインデーにはきっと間に合うからって。
そしてどうか少女を悪夢から救ってあげて。
來未は静かに灼滅者達を見送るのだった。
参加者 | |
---|---|
琴月・立花(高校生シャドウハンター・d00205) |
巨勢・冬崖(蠁蛆・d01647) |
ミリア・シェルテッド(中学生キジトラ猫・d01735) |
鋼・世界(勇壮美麗フルメタルヴィーナス・d02590) |
天堂・鋼(シュガーナイトメア・d03424) |
篠村・希沙(手毬唄・d03465) |
伊東・晶(中学生シャドウハンター・d03982) |
ユークレース・シファ(ファルブロースの雫・d07164) |
●悩める少女とチョコレート
ぐるりと見渡せばそこは見慣れぬ台所だった。
かちゃん。カタカタカタ……ッ。
テンポ良く刻まれる金属がぶつかり合う音。同時に部屋中が甘い匂いに包まれる。
灼滅者達にも気が付かず、一心不乱にチョコを湯煎している少女が柿沢・冬香だろう。
真剣にチョコと格闘する冬香の背中をこっそりと物陰から見つめ、ミリア・シェルテッド(中学生キジトラ猫・d01735)はぎゅっと胸元の本を抱く手に力を込める。
「チョコ作りの邪魔をするなんて……絶対に許せない!」
これはチョコ好きに喧嘩を売っているとしか思えない行為である。
「何かが上手く行かない時って、必ず悪い夢見ちゃうよね」
そこをシャドウに狙われたのかな? と首を傾げるのは天堂・鋼(シュガーナイトメア・d03424)。だが、それは現実で上手くやるための予行練習でもあるはず。だから冬香のチョコはきっといいものが出来ると信じている。
――だって、あんなに一生懸命作っているんだもの。
同じく、琴月・立花(高校生シャドウハンター・d00205)も姉のような優しい視線を冬香に向けていた。
「バレンタインに向けて頑張れるって素敵よね」
ここは精一杯お手伝いをしてあげなくては、と思いつつきゅっとエプロンの紐を結び身支度を整えた時。
「あっ!!」
ガシャーンと大きな派手な音とともにボウルが床に落ちた。あっという間にチョコが床に広がる。
「まただ……」
目にうっすらと涙を浮かべ、途方にくれた様子の少女に優しい言葉がかけられた。
「失敗なんて誰でもあるし、焦らんと一緒にがんばろ!」
慌てて振り向いた冬香に向かってくせっ毛の女性――篠村・希沙(手毬唄・d03465)がにこりと微笑みかけた。
「はじめまして。わたしたち、冬香ちゃんの力になるために来たんよ」
●想いを込めて皆で一緒に
突然の来訪者達に冬香は戸惑いを隠せなかったが、灼滅者達は冷静だった。
「これ飲んでひとまず落ち着けよ」
伊東・晶(中学生シャドウハンター・d03982)が差し出したものは温かい生姜湯。冬香は恐る恐る手を伸ばしマグカップを受け取りそっと口を付けた。蜂蜜の優しい甘さが口いっぱいに広がりぽかぽかと身体も温まる。なんだか焦っていた気持ちも少し和らいだ気がする。
「どうもありがとう……」
冬香の顔に笑顔が戻ったのを見て晶もほっと一安心。
作業を再開する前に……と冬香が床にこぼれたチョコを拭取ろうとするのを巨勢・冬崖(蠁蛆・d01647)が制した。
「大丈夫、ここは俺が片付けておくから。チョコ、作るんだろ?」
冬香から雑巾を受け取り、冬崖は仲間達を指さした。
「みんな、一緒にチョコ作りたいってさ」
「え……?」
慌てて冬香が視線を巡らせると真っ白なゴスロリワンピースの裾を翻している鋼・世界(勇壮美麗フルメタルヴィーナス・d02590)を筆頭に6人の少女達がエプロンを身に着け、材料を整理したり道具を使う順番に並べたりと準備をしている。
最年少のユークレース・シファ(ファルブロースの雫・d07164)はどこからか見つけてきた踏み台を冬香の隣りに置き、冬香を見上げてふんわりと笑顔を浮かべた。
「ユルも、なっちんといっしょに、ふゆかのお手伝いするです……♪」
「ナノナノ~♪」
ナノナノのなっちんもお手伝いするつもりらしい。くるりと回ってユークレースの頭上をふよふよと漂っている。
片付けや雑用は冬崖と晶に任せ、早速チョコ作り再スタート。
だが、なかなか思うようには進まない。しかし、冬香が失敗するたびに灼滅者達が一生懸命励ます。
「さっきわたしも失敗してたでしょ? もっかい、挑戦しよ?」
俯く冬香の肩にそっと手を添えて希沙が優しく声をかけた。
その隣ではユークレースが冬香の手をぎゅっと握る。
「だいじょうぶです、まだまだおいしくできるですよ……!」
「ね。私たちがついてるから、一緒に想いを届けよう……?」
ミリアの言葉にこくりと頷き、冬香は再びチョコを刻み始めた。
「冬香さんはどんなチョコを作りたいのですか?」
世界がにこやかに問いかけるとチョコを刻む手を止め、冬香が考え込む。
「うーん……ハート形が可愛いかなぁって。何か、お勧めあるかな?」
逆に世界が質問された。
「そうですね……重厚感溢れる鋼鉄のケースはいかがでしょう?」
「鋼鉄?」
ピンとこないのか、きょとんと首を傾げている冬香に向かって鋼は熱く語る。
「ほら、外見も意外と大切ですし、男の子はやたら重いのとか結構好きですよ」
「重い……?」
冬香の視線を感じ洗い物をしていた冬崖が手を休めて口を開く。
「ずっしりと重いのは確かに期待するな。大きいチョコなんじゃないかって」
「なるほど! 大きいチョコ作ればいいのね、ありがとう!」
「そうか、それならこっちの大きいボウルがいいだろ」
気を利かせた冬崖が一番大きなボウルを探して手渡すと、冬香は張り切ってチョコを刻み始めた。
「……重いのはチョコ?」
あれ? と1人首を傾げる世界の隣で冬香は一心不乱にチョコを刻む。
自分のチョコを刻み終えた鋼と立花も一緒に手伝い、ボウルの中はあっという間にチョコでいっぱいになった。
「ゆっくり、落ち着けば失敗しないからね」
立花の言葉に頷き、冬香はおそるおそる慎重にボウルの中のチョコを溶かす。
「そうそう、いい調子ですわ」
湯煎のお手本を示す世界の手つきは惚れ惚れするくらい優雅、かつ美麗。鋼鉄のボウルのチョコは湯煎にかけられどんどん溶けていった。
チョコが溶けたら今度は冷水につけてテンパリング。チョコは温度が大切なのでユークレースが温度計でチョコの温度をチェック。
「なんだかちょっとこの部屋寒くない?」
シャドウの嫌がらせだろうか。このままではチョコが固まってしまう。急いで晶がストーブをつけて部屋を暖める。
「うん、ちょうどいいんじゃないかな?」
鋼の指示に従って冷水から取り出したボウルの中身は艶のある綺麗な仕上がり。
「えーっと、型は……」
きょろきょろと探す冬香に見えぬよう、そっとミリアが手を伸ばしてハート型が逃げないように捕まえて何食わぬ顔で差し出す。
「これ、ですよね」
「ありがとう!」
皆も一緒に思い思い作ったチョコは冬香のチョコと一緒に冷蔵庫でしばし冷やし固める。今のうちに片付けでもと思ったが、冬崖が全て片付けていてくれたので晶が用意してくれたホットレモンを飲み、暫し休憩を取った後、再び作業開始。固まったチョコを取り出してワイワイ皆でデコレーションを楽しむ。
「ね、ね、こんなんどう?」
希沙が描いたのはドットのラインで縁どられたハートや星。チョコペンを使って可愛らしくデコレーションされたチョコを見て冬香とユークレースが目を輝かせる。
「ユルも、書くです……♪」
希沙から受け取ったチョコペンで一生懸命ユークレースもお花を描く。
感謝の気持ちを込め、鋼はナッツやスプレーチョコで彩りを添える。
「やっぱり大切な人にあげるなら手作りだよね」
出来上がったチョコを満足そうに見つめ、鋼は冬香に視線を向けた。
「出来た? どんなチョコに仕上がったか、見せてほしいな」
はにかみながら冬香が差し出したチョコは可愛らしくデコレーションされた大きなハート形のチョコ。
「うわぁ、おいしそうです……♪」
「ナノ~♪」
ユークレースとなっちんに褒められ冬香は照れくさそうに微笑みを浮かべた。
冬香のチョコが完成した。ということは。
(「来るな……」)
冬崖は冬香を護るようにして立ち、さりげなく周囲を警戒する。
ふと空気が変わったことが気づいた仲間達にも緊張感が走る。
『ぐぬぬ……もう少しだったのに……!』
悔しそうな声が響き渡るとともに、巨大な影が灼滅者達の頭上を覆う。
「あれが……シャドウ……」
ユークレースは初めて対峙する宿敵のシャドウを見上げてひとりごちた。
「行くよ、ジョニー」
いつも一緒のカエル人形に声をかけ、鋼は前に出て武器を構える。
「味見は終わるまでお預けだな」
心なしか残念そうな冬崖の呟きは皆の気持ちを代弁したものだった。
●少女の恋路を邪魔する奴は……
「ヴィーナストランスフォーメーション!」
世界の掛け声とともに、彼女の身体は甲冑に覆われた。
「人の恋路を邪魔する奴は鋼の馬にでも踏み潰されてください」
びしっとシャドウを指さし、世界はびしっとポーズを決める。
「彼女の心は、私達が護ります」
『やかましい! 人間風情が邪魔をしおって!』
シャドウはわなわなと拳を震わせ怒りの籠った眼差しを灼滅者達に向けると除霊結界で前衛を薙ぎ払った。
だが、灼滅者達は落ち着いて前に立つ仲間達の傷を回復し護りを固め、反撃のチャンスを伺う。
「作戦通りだ。まずは配下から狙うぞ!」
最初に踏み込んだのは冬崖だった。闘気を雷に変えて自らの拳に纏わせると一番近くにいた配下に狙いを定める。そして勢いをつけて飛び上がりながらアッパーカットを繰り出した。
冬崖に続いて晶が動く。撃ち出された漆黒の弾丸は配下の身体を蝕んでいく。晶のタイミングに合わせてビハインドのアキラも霊撃で応戦する。
(「はわ、はじめての戦い……あ、足を引っ張らないようにしなきゃ……!」)
この戦いが初陣となるミリアは緊張が隠せない。無意識のうちに本を抱える手に力を込めた。そしてミリアの影の先端は鋭い刃に変わり配下の身体を切り裂く。
――まずは1体、消滅した。
「次はアイツ狙うよ! 左のヤツ!」
鋼がザクザクとティアーズリッパーで敵の身体をチョコのように切り刻む。
声を掛け合い、攻撃対象を確認しながら集中的にダメージを与える作戦によって、配下達は傷を回復する暇もなく1体、また1体と消滅していった。
『おのれぇ、よくも……!』
シャドウは巨大化させた右腕を怒りに任せて鋼に向かって振り下ろす。だが寸でのところで晶がその身を挺して庇うと同時、見えない鎖が晶の身にまとわりつく。
「くっ……」
だが、晶は最後の力を振り絞って必死に立ち上がった。
「ユルちゃん……!」
希沙とユークレースが素早く視線を交わし、肩で息をしている晶の傷を懸命に治療する。
手をあげて礼を示す晶を見てほっとした冬崖は再びシャドウに視線を移す。
「私に刀を抜かせてくれるのかしら?」
立花が冷ややかな視線を向けぽつりと呟いた。刹那、彼女の影技が刀を握ったような形となり上段の構えをとるや否や目にも止まらぬ速さでその刃でシャドウの腕を斬り付けた。
『貴様……』
腕についた太刀傷を見てシャドウは心底悔しそうにその顔を歪めた。
灼滅者達が攻撃を撃ちこむこと数十回、じりじりとシャドウは押されていった。
『くっ……まだまだぁ!!』
咆哮とともにシャドウの胸にダイヤのマークが浮んだと思うと傷の数が減っている。だが、シャドウが回復に回ったことで灼滅者達はダメージを受けない。好機と判断し一斉に攻撃をしかける。
「フルメタルバースト!」
世界の撃ったビームはまっすぐシャドウに向かって放たれた。晶がシャドウをシールドバッシュで殴りつけ、アキラの霊障波がシャドウを包む。
「一生懸命頑張る子はきらきらしてるんよ……!」
きっと希沙がシャドウを睨みつけ『暹花槌』を大きく振りかぶった。
そんな頑張る人の恋路を邪魔するなんて。
「成敗してやる!」
渾身の力を込めて振り下ろされた大槌は大地を震わせ衝撃波を起こす。強烈な揺れに思わずシャドウもバランスを崩しぐらりとよろける。
その隙を見逃すことなく、ミリアの掌から激しい炎の奔流を放ちシャドウに襲いかかった。
「……」
シャドウを見ていると、なぜかユークレースの胸がざわざわする。――でも。
「ふゆかが、想いを伝えられなくなっちゃうのはもっとだめ……」
ぎゅっと拳を握りその視線を逸らすことなくシャドウを睨みつけ、護符を投げつけた。真剣に戦うユークレースの隣りではなっちんも一生懸命しゃぼん玉を飛ばす。
『ぐぅ……!』
シャドウは必死に傷を癒そうとするが灼滅者達の一斉攻撃により傷は増える一方だった。
『な、ならば……せめて一人は道連れに……!』
元々体力が低いユークレースに狙いを定めデッドブラスターを撃ち込もうとする。だが。
「そんなことはさせません!」
代わって攻撃を受けたのは世界だった。すかさず長期の戦いで疲弊する仲間を護る盾となるべく、エネルギー障壁を展開する。その光り輝く姿はまさに鋼の救世主を彷彿させるもの。
「よそ見している場合じゃ、ないんじゃない?」
オーラを拳に集中させた鋼が目にも止まらぬ速さで連撃を繰り出す。
「巨勢!」
鋼と息の合ったコンビネーションで冬崖が躍り出る。
(「子供に手を出す悪趣味な奴め……!」)
冬崖は鍛えぬいた超硬度の己の拳をシャドウに向かって撃ちこんだ。拳を撃ち込んだ箇所がめりっと音を立てて凹む。
再び希沙が大槌を振り下ろし、ユークレースの護符が舞う。
「敵なら容赦しない。そして貴方達は乙女の敵。容赦なしよね」
立花の黒い影が刀を握った腕の形にその姿を変えたと思った瞬間、抜刀する間も見えぬままシャドウの胴体をすっぱりと切り裂かれた。
「――そのくらいじゃ私は止められないわよ」
立花の呟きはシャドウに届くことはなかった。
●届け、小さな想い
「なぁ、シャドウも倒したことだし、さっき作ったチョコの味見しないか?」
晶の提案に反対する者はいない。手早くチョコがテーブルに並べられる。
希沙が作った味見用のチョコを摘まみ、晶は満足そう。
「巨勢、これあげるよ。いつもありがと」
マネージャーとして、感謝の気持ちを込めて鋼はチョコを差し出した。
受け取った冬崖はさっそく一つ口に放り込み。
「うん、美味いな」
冬崖の綻ぶ顔を見て鋼の顔にも笑顔が浮かぶ。
「いいなぁ。あたしのチョコも、そんな風に笑顔で食べて貰えたら……」
「頑張ってチョコを作れたから、次は冬香さんが勇気を出して渡す番」
鋼と冬崖を見て羨ましそうに呟く冬香の肩をポンと希沙が叩いた。
「一生懸命頑張った想いが、夏樹さんに届くといいね」
にこにこ笑顔の希沙の言葉にぽっと冬香の頬が赤く染まる。
「想いはきっと伝わるよ、自信もって」
「そうですよ、せっかく大きなチョコ作ったじゃないですか」
「努力したんだろ、大丈夫」
皆の言葉に励まされ冬香に笑顔が浮かんだ。
「これで、一件落着……」
ほっとミリアは胸を撫で下ろす。……が。何か忘れてるような。
はたと気づき辺りを見回すと慌てて隠れるための物陰を探し始めた。
「渡すの頑張ってね」
「はい!」
立花の言葉に頷く冬香にユークレースは背伸びをして囁いた。
「ふゆか、すてきなバレンタインになりますように、なのです……」
2月14日。それは女の子にとって大切な日。
貴女の想いも伝わるはず、きっと――。
作者:春風わかな |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年2月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 10/キャラが大事にされていた 1
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