ツチノコを追え!

    作者:J九郎

     とある山奥にある寒村は、今ある噂で持ちきりだった。
    「聞いたかの? 沢の集落の若いのが、ツチノコを見かけたんだと」
    「おお、聞いとる聞いとる。しかし、追っかけたら突然飛び出してきたイノシシに吹き飛ばされて重傷を負ったそうな」
    「他にも、鹿狩りの猟師もツチノコを見たと言っとる。こっちは追っかけてたら足を踏み外して、危うく崖から落ちそうになったそうじゃ」
    「わしゃあ、ちょっと考えてみたんじゃが。ツチノコに懸賞金をかけて大々的に宣伝したら、村おこしにならんじゃろうか」
    「おお。そりゃあええ考えじゃ。そのうち、テレビ局も来るかもしれんぞ」
    「観光客もいっぱい来るとええのう」
    「さっそく村長さんに相談するべえ」
     彼らは気付いていなかった。自分たちが今まさに新たな都市伝説を生み出してしまったことに……。
    「みんな、ツチノコって知ってるよね?」
     集まった灼滅者達に、須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)はそう切り出した。
    「いわゆるUMAの一種で、胴体が太い蛇のことだよ。それが、都市伝説として本当に現れたの」
     都市伝説とはいえ、ツチノコは本来悪さをする存在ではない。放っておいても無害なはずだが……
    「なんか色々と噂に尾ひれがついたせいで、ちょっと危険な能力を持っちゃってるみたいなの」
     具体的には、山に住む動物を操る能力と、人間を幻惑して危険な場所に誘い込む能力らしい。
    「ツチノコは人に出会うとすぐに逃げ出すの。そして、追ってきた人間を危険な動物と遭遇させたり、崖や底なし沼に誘い込んだりするらしいわ」
     だからツチノコを灼滅するには、ツチノコを逃がさない工夫や、逃げ出したツチノコを見失わないように追跡する工夫が必要になってくるだろうとまりんは言う。
    「洞窟とか猟師小屋みたいな逃げ場のない場所に追い込んだり、罠とかで動きを封じたり出来れば理想的かな。そうそう、ツチノコはスルメが好物らしいから、スルメを持ってれば誘い出せるかも知れないね」
     ツチノコ自体は、毒こそ持っているもののそれほど戦闘能力は高くないようだ。
    「ただ、幻惑させる能力っていうのは人間を催眠状態にするものだから、同士討ちにならないように気をつけてね」
     むしろ問題になってくるのは、ツチノコに操られた動物の方だろう。
    「ツチノコの現れた山には、熊やイノシシ、鹿なんかの大型動物が生息してるわ。動物だから単純な攻撃しかしてこないと思うけど、力はあるから気をつけてね」
     あと、できれば動物は殺さないであげて欲しいな、とまりんは付け加える。
    「ツチノコで村おこしを考えてる村の人達には悪いけど、被害者が出る前にツチノコを灼滅してほしいの。油断しなければ問題ないとは思うけど、くれぐれも逃げられないように注意してね」
     まりんはそう締めくくると、一人一人にツチノコの好物であるというスルメを手渡してくれた。


    参加者
    凛々夢・雨夜(夜魔狩・d02054)
    四季咲・玄武(玄冥のルネ・d02943)
    前田・光明(中学生神薙使い・d03420)
    水葉・椛(秋の調・d05051)
    多々良・鞴(伸び盛り祓魔師・d05061)
    清水寺・大牙(人食い虎・d08943)
    イヴ・アメーティス(バレットウォール・d11262)
    安綱・切丸(天下五剣・d14173)

    ■リプレイ

    ●ツチノコを探せ!
     山奥にある寒村は今、ツチノコの話題で持ちきりだった。
     早速噂を聞きつけた観光客の姿もチラホラ見受けられる。そんな観光客に紛れるようにして、灼滅者達は村に入り込んでいた。
    「とりあえず、観光案内所で『ツチノコ目撃情報地図』をもらったので、重要な情報を掴んだら書き込んでくれ」
     人数分の地図をもらってきた前田・光明(中学生神薙使い・d03420)が、全員に地図を配る。見れば、簡略化されたこの辺り一帯の地図に、目撃ポイントが何箇所か書き込まれている。おまけに、かわいくディフォルメされたツチノコのイラストまで描かれている。
    「とりあえず、村人のツチノコのイメージはこのイラストを参考にすればいいんですよね?」
     多々良・鞴(伸び盛り祓魔師・d05061)が確認するように聞くと、
    「ツチノコですか……。テレビなんかで特集番組とかあったりしますよね。イメージ的にはこれで合ってると思いますけど」
     水葉・椛(秋の調・d05051)が答える。
    「うーん……すっかりツチノコの存在を忘れていたわ。時と共に風化していったものだと思ってたけど、まさか今になって都市伝説としてでてくるとはね」
     イヴ・アメーティス(バレットウォール・d11262)などは少々呆れ気味だ。
    「俺は罠を確保しておく。プラチナチケットもあるし、うまく猟師の人とかに譲ってもらうぜ」
     安綱・切丸(天下五剣・d14173)が言うと、
    「俺は山歩きの道具の調達に回ろう。俺みたいなのが交渉や聞き込みに出ると怖がられそうだしな」
     ワイルドな風貌の清水寺・大牙(人食い虎・d08943)は、さっそくライドキャリバーにまたがり、買い出しに向かおうとする。
    「個別に行動する前に、全員携帯の番号を交換しておこう。あと、無線も持って行ってくれ。定時連絡を取り合った方が効率的だし安全だ」
     光明が全員に無線を渡す。灼滅者達は携帯番号を交換すると、それぞれに目的を果たすべく、村の中へ散っていった。

    「ねえねえ、お爺さん。ツチノコを見た場所を教えてくれませんか?」
     凛々夢・雨夜(夜魔狩・d02054)が畑仕事をしている老人ににこやかに話しかける。
    「おお、嬢ちゃん。ツチノコ探しに来なさったかね?」
    「はい! あと、罠って何処に仕掛けたら良いのでしょうか?」
     話し好きな老人から、雨夜は順調に情報を聞き出していく。
     一方、四季咲・玄武(玄冥のルネ・d02943)も、村の猟師に聞き込みをしていた。
    「この辺の山の山小屋や崖、底なし沼等について教えて欲しい」
    「そりゃあかまわんが、お嬢ちゃんみたいな小さい子が山に入るのは危ないだよ?」
     やはり、小学生が尋ねる内容としては、ハードすぎたようだった。

    ●ツチノコを見つけ出せ!
     準備を整えた灼滅者達は、手分けしてツチノコの出現ポイントに罠を張り、見張ることにした。もちろん発見次第、連絡を取り合って、ツチノコを追い込む作戦だ。
    「餌と防犯ブザー、それに怪しい穴や草むらには燻煙剤をセットすれば、完璧か。ちなみに餌は伝説のスルメ職人、山田翁の作った高級スルメだ。存分に味わって罠に嵌るといい」
     光明は慣れた手つきで糸を防犯ブザーのスイッチにかけ、獲物が罠に嵌れば音が出るよう仕掛けていく。
    「猟師が言ってたお勧めポイントはこの辺か?」
     別のポイントでは、切丸がスルメを仕掛けた箱罠を複数セットしていた。こちらは、罠に鈴を仕掛けて作動時に音が鳴るようにしている。
    「山歩き、ちょっとした遠足気分。いや、スニーキングミッション、かも」
     一方、玄武は既にセットの終わった罠を、ビハインドと手分けして見張っていた。

     その頃。
    「村人から聞いた情報によると、ツチノコが逃げ込むとしたらこの洞窟ですね」
     鞴は洞窟にたどり着くと、周りに人目がないのを確認し、ESPで蛇へと変身していた。実際に蛇になることで、ツチノコの動きをシミュレートしようというのだ。一通り洞窟内を確認した後『蛇変身』を解除し、蛇の逃げ込みそうな隙間にスルメを置いておく。
    「後は、ツチノコが現れることを祈るだけですね」

    「山に来ると何だか昆虫採集を思い出しますね。今回もある意味似たような感じですけど、上手く捕まりますでしょうか?」
     スルメを仕掛けたネズミ取りの罠を見張っている椛は不安げにつぶやく。既に罠を仕掛けてから2時間以上経過しているが、他の仲間達からも未だにツチノコ発見の報告はない。
     さすがにこの場所は諦めようかと思ったその時。カサカサと茂みが揺れ、全長1メートルくらいの胴が異常に太い蛇が唐突に姿を現した。
    「あ!」
     椛は思わず声を上げそうになり、あわてて口を押さえる。間違いない、ツチノコだ。幸いツチノコは椛に気付いていないらしく、何の警戒もせずネズミ取りの中のスルメに飛びついていく。
    「皆さん、ツチノコが出ました!」
     ツチノコが罠に掛かったのを確認して、椛は全員に連絡を入れた。

    「出ましたねー、ツチノコ! 目指せ一攫千金!」
     真っ先に駆けつけたのは、雨夜だった。
    「これ、捕まえて見せたら、懸賞金もらえるのかしらね?」
     やや遅れて、イヴも駆けつける。ここに来てようやく、ツチノコは危険を察知したようだが、既にネズミ取りに捕らわれ、身動きできない状態だ。
    「けっこうちっちゃいですねー。こんな子を灼滅するのは気が引けるけど、遠慮はしないですよ!」
     雨夜は自らの影を伸ばし、ツチノコを絡め取ろうとする。だが次の瞬間、ツチノコがネズミ取りの罠ごと宙に跳ねた!
    「うそっ!?」
     イヴが目を見開く。続いて、
    「危ない!」
     椛が警告を発する。山の上の方から、何かが猛烈な勢いで駆け下りてきているのだ。
    「気をつけて! イノシシです!」
     椛が叫んだ時には、イノシシは駆け下りた勢いそのままに、雨夜とイヴを弾き飛ばしていた。
    「「キャアアアッ!」」
     二人の悲鳴が重なる。イノシシは一端駆け抜けた後、方向転換し、再度迫ってくる。
    「させんっ!」
     そんなイノシシの前に立ちはだかったのは、ライドキャリバーに乗って飛び込んできた大牙だった。イノシシとライドキャリバーが激しく激突し、両者ともよろめく。
    「こいつは俺が引き受ける。お前達はツチノコの確保を!」
     大牙の言葉に、椛はツチノコを捕らえているはずのネズミ取りの方へ目をやり、そして絶句した。ネズミ取りが、内側から叩き壊されたように歪み、ぽっかり口を開けているのだ。当然、中にいたはずのツチノコの姿はない。
    「あっちだ! 逃がすな!」
     遅れて駆けつけた光明の指す方向を見れば、一目散に逃げ出していくツチノコの後ろ姿が。
    「逃がさないよ。ナノナノ、追跡!」
     同じくちょうど駆けつけた玄武が、ビハインドのナノナノに追跡を命じる。その横を、ようやく合流した鞴も併走する。
    「みなさん、この先に洞窟があります! そこへ追い込みましょう!」
     鞴の言葉に頷き、散開する灼滅者達。だが、そんな彼らの行く手を阻むように、3頭の鹿が立ちはだかった。
    「この子達もツチノコに操られてるの? 厄介ね」
     バトルオーラを解放しながら、イヴが足を止めかけた時。
    「こいつらの相手は俺がやろう。ツチノコを見失ったら大変だからな!」
     拳に電撃をまとわせた切丸が、鹿達の前に立ちふさがり、サムズアップして見せた。

    ●ツチノコを逃がすな!
    「さて、ただの動物を殺すのは本意じゃないんでな。少し足止めさせてもらうぞ」
     大牙はイノシシに向かい宣言すると、ライドキャリバーに内蔵された機銃を一斉射する。さすがのイノシシもひるんだのか、足が止まった。これでは、イノシシの最大の武器である突進力が発揮できない。
    「よし、そのまま大人しくしててくれよ」
     そのまま、大牙はライドキャリバーを急発進させた。山の中にはライドキャリバーが走れるような道は存在していないが、ESP『隠された森の小路』の効果で、植物がライドキャリバーを避けるように道を形作っていく。イノシシが我に返ったように追いかけてくるが、速度ではライドキャリバーに及ぶべくもなく、どんどん距離が引き離されていった。

    「さて、1対3だが……、まあ野生動物相手なら何とかなるか」
     3頭の鹿を前に、切丸は拳を構えた。とはいえ、切丸は一度に複数の対象を相手にするサイキックは持っていない。あまり、好ましい状況ではなかった。
     と、いつの間にか切丸の横に、脚のない人影が浮かんでいた。玄武のビハインドであるナノナノだ。
    「お、手伝ってくれるのか? 助かるぜ」
     さらに、どこからともなく神秘的な歌声が流れてくる。鹿達は歌が気になるのか、しきりに周囲を見回している。
    「ツチノコはみなさんが追っていますので、わたしもお手伝いします」
     見れば、先に行ったはずの椛が、鹿達の背後にそびえる大木の枝の上で歌っていた。
    「これで3対3か。これならなんとかなりそうだ」
     切丸は改めて拳を構え直し、素早く鹿の死角に回り込むと、首筋に一撃を加えた。
    「動物さんたちは悪くないのですけど、邪魔をする以上は大人しくなってもらわないと……」
     椛は木の上から神薙刃を放ち、ビハインドは霊気を鹿の角に絡みつかせ、その威力を押さえ込んでいる。
     結局、鹿達が無力化されるのに、それほどの時間はかからなかった。

    「えーい、待ちなさーい!」
     雨夜が素早い身のこなしでツチノコに追いすがる。だが、
    「ちょっと待って。その先、底なし沼がある」
     スーパーGPSで位置を確認していた玄武が雨夜に制止をかけ、雨夜はあわてて足を止める。
    「危なかったね、雨夜。事前に底なし沼の場所調べておいてよかったわ」
     イヴが胸をなで下ろした。
    「くそ、ツチノコの奴、その気になれば俺たちを引き離せるのに、敢えて危険な場所に誘い出そうとしているな」
     光明がツチノコの意図を見抜いて舌打ちする。幼少時から修行で山道に慣れている光明だからこそ、ツチノコの不自然な逃走に気づけるのだ。
    「四方から包囲するように逃げ場所を奪って、なんとか洞窟に追い込みましょう。ちょっと可愛らしいだけに残念ですが、被害が出る前に灼滅しなくては」
     鞴の提案に、
    「そういうことなら!」
     雨夜が縛霊手でツチノコに殴りかかる。ツチノコはその攻撃を避けて逃げ出そうとするが、
    「こっちは行き止まりだよ」
     そこに玄武が小柄な体を精一杯広げて立ちふさがった。
    「これで動きが封じられればいいが!」
     一瞬動きを止めたツチノコに、光明が導眠符を投げつけ、
    「むしろここでトドメさしちゃおうよ!」
     イヴはおもむろに取り出したガトリングガンから弾丸をばらまく。だが、ツチノコは異常なまでに素早い動きで符と弾丸をかわし、全員の死角になっている方向へ逃げていく。
    「うまいです、みなさん! ツチノコが洞窟の方へ逃げていきます!」
     鞴が真っ先にツチノコを追いかけ、皆がそれに続いた。

    ●ツチノコを倒せ!
     ツチノコが逃げ込んだ洞窟に、灼滅者達は駆け込んだ。イノシシや鹿の相手をしていた大牙、切丸、椛も、携帯で連絡を取り合い合流している。
    「よし、追い詰めたぞ」
     光明がWOKシールドを構えながら、先頭を行く。
    「出入り口も塞いだ。もう逃げ道はないぜ」
     ライドキャリバーを、出入り口を塞ぐような形で配置した大牙は、ククリ型のチェーンソー剣を両手に構えた。
    「ちょっと待ってください、みなさん! 洞窟の奥に何かいます!」
     そんな椛の声に反応するように、暗闇の奥で何かが光った。
    「何か、嫌な予感がするんですよね……」
     雨夜が、頭に付けていたヘッドライトを向けると、そこには、目を爛々と輝かせた、巨大な熊がいた。
    「そんな……、さっき罠を仕掛けに来た時は熊なんていなかったのに」
     鞴が信じられないというように目を見開く。
    「もしかして、誘い込まれたのは私達の方?」
     イヴが数歩後退する。
    「そうでもないだろ。ツチノコも逃げ場がないのは確かなんだ」
     言いつつ、素早く熊に駆け寄ったのは切丸だ。瞬く間に熊の死角に回り込み、巨体を支える足に、鋭い拳の一撃を叩き込む。
    「こうなったら仕方ないですよね。さぁ、熊さん勝負ですよッ!」
     雨夜も自分の影を刃と化し、熊の足に撃ち込んだ。思わずよろけた熊に、イヴが正面からトラウナックルを喰らわせる。
     一方で、光明はWOKシールドを掲げたままツチノコに突っ込んでいた。
    「もう逃がさん!」
     シールドの一撃を受け、ツチノコの小さな体が吹っ飛ぶ。
    「今度こそ捕まえた」
     玄武の影から無数の蛇状の触手が放たれ、ツチノコを捕らえた。だが、次の瞬間ツチノコの目が怪しく輝き、その光が出入り口付近で様子を伺っていた椛を射る。
    「えっ!?」
     椛は一瞬睡眠状態に陥り、鞴を熊と誤認してしまう。結果、
    「いつの間に熊がここに!?」
     椛の構えた紅樹の弓から放たれた矢が、鞴の腹部に刺さる。
    「くっ」
     倒れ込みながらも、鞴は椛に手を伸ばした。鞴の手から放たれた癒しの風が、椛を正気に戻す。
    「鞴さん! わたし、なんてことを……」
     泣きそうな顔で、椛は素早くエンジェリックボイスで鞴を癒す。
    「気にしなくていいですよ。エクスブレインもツチノコが人を惑わすって言ってましたから、ある程度は予測済みです」
     鞴は椛を安心させるように笑みを浮かべてみせる。
    「同士討ち狙いとは、あまり気持ちの良いやり方じゃないな」
     大牙が身動きの取れないツチノコにゆっくりと近づいていく。その両手には、炎をまとった二刀のチェーンソー剣。
    「そろそろ終わりにしよう。受けろ、レーヴァテイン!」
     大牙が素早く剣を一閃させると同時に、ツチノコの体が炎に包まれた。それが、この都市伝説の最期だった。

     戦いの後、山道を下りながら。
    「……まさか、今になってツチノコを追いかける事になるとは思わなかったわ」
     予備の餌用に取っておいたスルメを食べながら、イヴがしみじみと言う。
     ちなみに熊は、ツチノコを倒すと正気に返り、冬眠に戻っていった。
    「村の人達には、大きなビンを飲み込んだ蛇でしたという報告をするしかないですね。お約束ですけど」
     鞴の言葉を受けて、
    「ツチノコ倒したら写メ撮ってみたかったんだけどな。まあ、燃えちゃったから仕方ないけど」
     切丸が残念そうにそう応じた。
    「うまく捕まえて一攫千金、考えてたんですけどね……。あー、バベルの鎖があるので無駄ですか」
     雨夜などは、一人ツッコミで納得していた。
     玄武はすっかり疲れ切って、ビハインドに背負われている。
    「君だけ浮いてるなんてずるいよ……。こっちはまだ小一なのに」
     そんなことを言われても、ビハインドも困るだろう。
    「みんな、自分で仕掛けた罠は自分で回収してくれよ。動物たちが罠に掛かったりしたらかわいそうだからな」
     光明の言葉にみんな頷き、それぞれに罠の設置場所に散っていく。
     後片付けをして、家に帰るまでが灼滅だ。

    作者:J九郎 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年2月27日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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