うずめの舞

    作者:立川司郎

     闇を照らす炎は、夜風に流れゆらりゆらりと影光を作り続けていた。
     篝火は爆ぜ、舞台の上で踊る巫女の汗と刃を光らせる。その薄ぼんやりとした炎だけが舞台で踊る彼女の唯一の灯りであったが、頼りないその炎は彼女の心をトランスさせるには最高の灯り。
     しなやかな体をくねらせ、足踏みをして跳ねる。
     舞台の上の彼女は、うさぎのようだった。
     手に柄の短い矛を持ち、薄手の巫女服を動きやすいようにヒモで縛り付けている。踊るうちに汗で服は体に張り付き、曲線美をくっきりと浮き立たせる。
     速く、そして美しい。
     いつしか、側で別の少女が踊っていた事すら観客は忘れて彼女に魅入っていた。躓いて転がった女は、呆然と彼女を見上げる。
     やがて矛を持った彼女は足を止めると、ゆっくりと少女を見下ろした。
    「知ってる? 天岩戸の伝説」
     岩戸の中にこもってしまった神様を引きずり出す為、ひとりの女が舞い踊った。肌も露わに踊り狂い、そして周囲の神々の笑いを誘う。
     結果それが、引きこもった神様をおびき出すきっかけとなったのである。
    「貴方の踊りには何の魅力も無い。人間が見てくれない踊りなんか、神様だって見ちゃくれないわ」
     すうっと振り返った彼女……雪音は、古びた拝殿を見つめる。今や誰も訪れない、誰も祈りを捧げもしない汚れた社がそこにある。
     いつしかここには、踊りや音楽をする為に少年達が集まるようになった。周囲を林に囲まれている為、あまり近隣の住宅に迷惑を掛ける事がない。
     掃除をして返れば、近隣住民は何も言いやしないばかりか、かえって神社が綺麗になったと喜ぶ有様。
     雪音は、ここ最近人気が出た踊り手であった。
     巫女服で矛を手にして踊る様は、まさに天宇受賣命である。凜とした顔だちの彼女が、一度踊りをはじめるとエロティックになる。
     その落差が人気の一つであった。
    「あなたじゃ駄目ね、私を満足させてはくれない。あなたじゃ、私の心を開く事なんか出来やしないわ」
     うっすら笑った雪音の顔は、闇に覆われていた。
     しんとした道場で、エクスブレインの相良・隼人はじっと座していた。
     外はすでに日が落ちかけ、校舎の影が落ちている。しずかに目を開くと、隼人は口を開いた。
    「古い神楽舞台のある神社に、闇堕ちした女が一人……居る」
     日が暮れると彼女は舞台に現れ、挑戦者を待つ。周囲は二十人近くの観戦者がいるが、ほとんどがただの見物人だと言う。
     挑戦者が現れると彼女は、舞台の上で踊りはじめる。
    「どちらの踊りが優れてるのか、勝負って訳だ。神様の前で、これぞ本当の神楽って訳サ。……だがこの女、まだ完全に意識が消えちゃ居ないんだ」
     ただ、踊るのが楽しくて。
     ただ、舞台の上に立っているのが心地よくて。
     彼女は闇へと引きずられている。
     それでも心のどこかに、人間としての意識があった。
    「この事件を収拾する方法は二つ。一つは、誰かが現れるのを待ってダンス勝負に決着が付くのを待ち、そのあとで乱入して全員片付ける方法。この場合、もはや灼滅するしか方法は無い。二つ目は、お前達の誰かが勝負を挑んで勝つ方法……この場合、相手は負けるとこちらに攻撃をしかけて来るが、彼女は助かる」
     ダンス勝負に負ければ、相手は意気揚々と帰る。
    「まあ、お前達の踊りがよほど凄ければ、勝敗にかかわらず相手が折れてくれる可能性もある。踊りの応援のうちには演奏も入っているが、舞台や相手が和風である以上、雰囲気を壊すと切れられる可能性もある」
     つまり、雰囲気を壊さずに応援の演奏をするのは可能だというのである。踊りのあとで戦闘に加勢してくるのは、観客のうちの一部……男が四人ほどであるという。彼らはいずれもナイフを持った前衛で、雪音は後衛に位置する。
     その他の観客は、戦闘になったら蜘蛛の子を散らすように逃げていくだろう。
    「巫女舞の作法とかはあまり関係ねぇから、気にせず踊ってこい。」
     彼女の処遇は、全てお前達に任せる。
     そう隼人は言うと、皆を送り出した。


    参加者
    東郷・香澄(街の情報屋・d00028)
    灰音・メル(悪食カタルシス・d00089)
    比嘉・アレクセイ(臆病な神智者・d00365)
    刻野・渡里(高校生殺人鬼・d02814)
    空井・玉(野良猫・d03686)
    鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365)
    時諏佐・華凜(星追いの若草・d04617)
    伊勢・雪緒(待雪想・d06823)

    ■リプレイ

     民家からやや離れると、林が生い茂って行く手を遮った。ざわざわと風が木々を凪ぐ音が激しく聞こえるが、その奥から聞こえる歓声は遮られて聞こえない。
     しかし石階段を上がるにつれ、様子が変わってきた。
     境内から溢れて、石階段から様子を伺う人々。そして、篝火に照らされた深紅の鳥居。先頭に立って歩いていた東郷・香澄(街の情報屋・d00028)は、境内の一歩手前で足を止めるとほうっと息をついた。
     普段知る神社とは、雰囲気が違う人の感情と熱気の渦がそこにある。
     彼らが見つめる先には、一人の女性が居た。挑戦者が居たはずであるが、既に舞台上には彼女一人しか居ない。
     敗北したのか、それともまだ誰も挑戦していないのか分からない。香澄は皆を振り返ると、行くかどうか伺いを立てた。
     むろん、ここにいる全員既に作戦も意志も固めてきている。
    「踊りたい……ですね」
     そこに居る雪音という少女の踊りに、目を奪われていた。
     矛をまるで手足のように扱い、踊る彼女に一瞬でも呼吸を合わせて踊ってみたいと感じたから。舞台の上に上がると、香澄は少し恥ずかしそうに周囲を見まわした。
     舞台の下で、アレクセイがじっとこちらを見上げている。踊らずに応援に回る予定の灰音・メル(悪食カタルシス・d00089)と比嘉・アレクセイ(臆病な神智者・d00365)は、観客に混じって応援に回る事にしていた。
     舞台の上に上がって直接対峙する事は出来ないのである。仲間は応援しなければならないが、それでも勝負事とあれば公正な目で見なければならないと思っていた。
    「……頑張って下さい」
     か細い声で、そう言うのが精一杯である。
     だがその意志を受け止め、香澄は大きく頷いた。
    「はい。私が無理でも時諏佐さんが、時諏佐さんが無理でも刻野さんが必ず勝ってくださいますから。私達、六人でひとつですからね」
     香澄はしっかりと、雪音を見据えた。
     彼女もまた、動きを止めてこちらを振り返る。あれほど動いていたのに、彼女はふと肩の力を抜いて笑いかけた。
    「……一人で踊るのは飽きていた所なの。あなたの踊りを見せて」
     雪音はそう言うと、矛をゆるりと振り上げた。
     最初はゆっくりと……どこかから聞こえる太鼓の音に合わせるように、踊る。その動きは巫女服をそっとそよがせる程度で、巫女舞に近い。
     香澄の舞もまた、あまり激しくはなく柔らかな動きであった。雪音に比べてややぎこちないが、雪音を目で追いつつ彼女の心を汲み取ろうとしている。
    「私の方ばかり観ていたわね。……でも駄目ね、私を見ているだけじゃ私は越えられない」
     雪音はそう告げると、手を止めた。
     香澄はじっと目を見ながら、口を開く。
    「そうまで踊りに囚われているのは何故? あなたの心が、闇に囚われているからじゃないんですか」
     闇に堕ちた雪音を思い、告げる。
     しかし雪音の踊りを止める事は出来ない。続いて舞台に上がったのは、時諏佐・華凜(星追いの若草・d04617)であった。巫女舞は知らないが、音を紡ぐ力は備えている。
     舞台の上で踏むステップの音、太鼓の音、そしてアレクセイが聖歌を歌っていたが途中で途絶えた。
     恐らく、太鼓や雪音のリズム、雰囲気に聖歌が馴染まなかったのだろう。
    「王者の風を使う時に、歌詞で誘導出来れば……」
     アレクセイはどうしても勝てなかった時、最終的に戦闘になる前にESPで何とかするしかないと考えている。だが王者の風を使って、歌の歌詞で観客を誘導するのはやや難しい。
     おそらく観客の異変に気付いた雪音に、逃げられてしまうだろう。
    「時諏佐さんの踊りは、雪音さんに負けず劣らず素敵です。……とても、音が綺麗」
     足踏みの音、手拍子……リズムに乗る華凜の姿は、共に音楽を奏でて合わせたいと感じさせる。和の踊りは分からなくても、和の音に合わせる事なら出来る。
     天岩戸が開いたのは、舞だけじゃない。
     みんなが天照大神に会いたかったからだ。
     華凜は、逢いたいと小さく呟く。
     みんなの、逢いたいという気持ちを乗せて彼女は踊ったのだ。
    「だから、私も……本当のあなたに逢いたいです」
     ともに踊る華凜が何を感じたのか、華凜にしか分かるまい。それでも、踊りをとても愛していて誰かに見てもらう事を心より喜んでいるのは分かる。
     それが故の、闇堕ちかもしれない。
     伸ばした手は彼女に届かず、華凜は息切れをしながら座り込んだ。側で見ていた空井・玉(野良猫・d03686)が、ふらつきながら降りてきた華凜にタオルを手渡す。
     最後の一人……刻野・渡里(高校生殺人鬼・d02814)が上がるのを見送ると、玉は華凜に少し休むように言った。
    「単純に、技術力。そして聖と邪二つの相反する性質を持った舞。……それに加えて、淫魔としての性質もあるのかもしれないが、人を惹きつける力は増しているように感じるね」
     玉の言葉を聞いて、華凜は雪音を見た。
     舞台の下から玉はこの二戦、雪音の様子や周囲の観客の声を聞いていた。技術力で劣るなら、一体どうすればいいのか……。
     そう、小さく華凜は呟いた。
     3番目に上がる渡里は、舞台の上からこちらを見下ろす。なんだか、彼の様子はとても晴れ晴れとしているように見える。
     田楽の衣装を着た渡里は、演奏を華凜と伊勢・雪緒(待雪想・d06823)に頼んだ。
     丁度華凜は増えを持っており、自分が上がっていない時は笛を吹いていたのである。雪緒は五番目に踊るつもりで、神楽鈴を持ってきている。
    「なあ、応援は……手拍子にしてくれないか?」
    「手拍子?」
     玉は聞き返し、はっと顔をあげた。
     流れに乗る事。
     その玉の言葉に渡里は頷くと、舞台に上がった。3戦目にもかかわらず、雪音の動きは鈍る事がなく、動きにキレがある。
     雪音の肌に汗が浮き、流れ落ちる。
     渡里はその勢いを削がないように、舞をはじめた。軽快なテンポの田楽で、太鼓に合わせて跳ねる渡里。
     自分の踊りではなく、太鼓や笛の音を生かす踊りを。
     笑顔で、楽しそうに音に乗る渡里を玉がじっと見入っていた。いつのまにか、最後の手番のはずの鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365)が傍にいた。
    「……そういう事ね」
     くすりと幽魅は笑って、俯いた。
     いくら相手に合わせても、いくら自分だけ踊っても駄目。
     刻野さんは、周りを楽しませる方法を選んだ……それが舞であると。メルが幽魅の話を聞いて、天岩戸の話を思い出していた。
    「うずめの舞は、天照大神の為のものです。そこにあったのは、技術だけでも観客だけでも、心だけでもなく……その三つがあってこそだったのですね」
     誰も魅了する事が出来ない舞では、神様も見てはくれない……そう言った雪音であったが、ほんとうに観客の方を見ていたかという渡里の問いかけ。
     メルはその踊りを見ながら、彼女達の舞をじっと心に焼き付けていた。
    「天宇受賣命は、周りの神様と一緒に賑わせた。だから、観客と舞手と一体となって楽しむ空気が、岩戸を開けたんだ。一人で楽しんでたって、それはどこにも伝わりはしない」
     君は、観客から『楽しい』という気持ちを感じた事があるか?
     渡里の問いかけに、雪音が足を止めた。
    「……たのしい? みんな楽しんでたわ」
     どこかぎこちない、狂気の瞳。
     踊る度に魅了される、雪音の踊りは確かに素晴らしい。しかし、その奥にあるのは、闇の誘いであった。
     これ以上踊れば、引き返せなくなる。
    「雪音、オレは楽しかったよ」
     渡里の声は、観客の声に押されてかき消えた。
     苦しむような、怒るような苦悶の表情の雪音と、そして舞台に上がってくる観客の取り巻きの姿……仲間が駆け上がると、周囲は混乱しはじめた。

     舞台の上に上がった雪緒は、観客の避難を確認するように周囲を見まわす。危険を本能的に察知したのか、観客は階段の下へと逃げていく。
     雪音たちの正面の立った雪緒は、彼女の命令を待つ霊犬の八風にそっと触れる。
    「行くですよ、八風。これでも巫女の端くれ、この神楽舞台での狼藉は許さないのです」
     雪緒が言い終わらぬうちに、取り巻きが襲いかかる。するりと渡里が横に滑り込み、うち一人の腕を取って引きずり倒した。
     ちらりと雪緒が八風に視線をやると、取り巻きがナイフを翳して八風に組み付くのが見えた。取り巻きは四人だが、雪緒と渡里、そしてサーヴァントの八風とクオリアで一人ずつ対峙する。
    「……ごめんなさいです」
     飛びかかった男の攻撃を体を捻ってかわすと、雪緒は異形化させた腕を叩きつけた。ナイフの傷が雪緒の体を刻むが、この程度の相手に怯むほど弱くはない。
     じっと攻撃を見据えると、巨腕で掴んで床にたたき付けた。
     瞬時に、幽魅が霊刀で峰打ちを当てる。抜きざまに一撃、そして振り返りざまに渡里の対峙した相手に背後から一撃を当てる。
     舞うような滑らかな動きに、雪緒も一瞬目を奪われる。
     四人が片付いたのを見ると、幽魅は雪音の元へと飛び込んだ。見据えた彼女の目は、闇に囚われている……が、その奥にまだ光がある気がした。
    「……ふっ」
     唇をゆがめて、雪音が笑う。
     幽魅の一撃を弾き返すと、メルが声をあげた。胸元にカードの刻印を現しながら、意識を集中させて影を放つ。
     影にメルは意識を這わせながら、雪音の体を包んでゆく。
     それでも心は、現世に。
    「あなたは言った。人間が見てくれない踊りは、神様だって見てくれないって。……その踊りは、誰へのものなんですか? 自分の為ではなかったはず……」
     ひとつは観客の為に。
     ひとつは、自分の舞を愛してくれる誰かの為に。
     ひとつは、音楽を愛するが故に。
    「私は……っ!」
     斬り払う雪音の矛先から、冷気が放たれメルの脇をかすめる。さらに飛び込んだ雪音に対し、アレクセイが懐に飛び込んできた。
     幽魅の横で足を止め、シールドを展開する。
     柔らかなシールドの波動が、幽魅の体についた傷を癒していく。
    「あなたの踊りは素晴らしかった。だったら、闇に堕ちて披露するもんじゃないはずです!」
     もっと沢山の人に、陽の下で。
     アレクセイの言葉に、雪音の瞳の色が揺らいだ気がした。矛で弧を描いて舞い、雪音が切り上げる。踏み込んだ矛先は、幽魅の防御をすり抜けて奥へと切り込む。
     とっさに玉がリングを盾にして前に立ちふさがるが、矛は玉の脇に深々と突き刺さった。
    「篠塚さん…!」
     傍にいた華凜が魔法弾を撃ちかけ……そして手を止めた。
     いや、今は違う。
     きっと、こっち。
     華凜の歌声が、神楽舞台に響き渡る。
     柔らかい歌声が痛みを和らげると、玉はキッと顔をあげた。
    「クオリア!」
     キャリバーの名を呼ぶと、玉が切り込んだ雪音の背後からクオリアが飛び込んだ。体勢を崩した雪音に、香澄がミサイルを叩き込む。
     吹き飛ばされた雪音ののど元に、ピタリと幽魅の刃が突きつけられた。
    「さあ、これで終わりですわ」
     神楽舞台は、しんと静寂を取り戻すと冷たい風を一つ、吹かせる。

     ぼんやりとした視線の先に、メルが手を差しだした。
     次第に意識がはっきりしてきたのか、雪音が体を起こす。状況は飲み込めているのか居ないのか、無言で皆をぐるりと見まわす。
     それから、自分の矛を見下ろした。
    「完敗ね」
    「はい」
     メルはきっぱりと言うと、すうっと笑うように目を細めた。
     雪音がとても踊りが大好きで、夢中になっている事をとても素敵な事だと思っていた。闇に惹かれるまでに、踊りを何よりも大切にしていた事は、少し羨ましくも思う。
    「だからかもしれませんね、闇に堕ちてしまったのは」
    「闇……ね」
     雪音が視線を落とすと、アレクセイが話しを切り出した。
     闇堕ちした時の状況や、何があったのか……ここ最近、同じような事件が頻発している事はアレクセイも皆も知っている。
     アレクセイに続いて、渡里が問い詰めた。
    「もしかして、何かの声とか聞かなかったか? たとえばラブリンスターとか……」
    「ああ、そういえばそんな名前を聞いた気がするわ。……何なのか知らないけど、たしかにあれが切っ掛けかもしれない」
     切っ掛けを楽しく思い、そして怖くも思った。
     雪音は、闇堕ちについてそう話した。雪音の話を黙って聞いていた香澄が、ふわりと笑顔を雪音に向ける。
    「雪音さん、あなたの踊りと巫女服はちょっとどきっとしました。もう少し慎み深い方がいいんじゃないかと思いますよ」
    「そうでしょうか? 天宇受賣命だって肌もあらわに踊って大喝采を受けたんですわ、巫女服に拘るのはナンセンスです」
     幽魅はそう言うが、香澄は雪音の襟元を正して溜息をついた。
     ともかくも、香澄は雪音の踊りをまた見たいと感じていた。その手を取り、学園へと言葉を紡ぐ。……我らが、武蔵坂へと。
    「一緒に来ませんか?」
     笑顔の向こうには、先ほどまで戦っていた人々の楽しそうな声があった。アレクセイの手を引く幽魅は早き替えで脱いでいく巫女服だと聞いていたし、神楽舞台で拝殿の方をじっと見ている雪緒はちょっと露出の激しいどこかのアルバイト制服であったからだ。
    「あの、僕は踊りは出来ないんです!」
    「心配ない、私も競技ダンスしか知らない」
     アレクセイの手を引き、玉が舞台の上で踊り始める。同年代の彼女までも踊っているのだから、アレクセイとて踊らない訳にはいくまい。
     二人の様子を見てくすりと笑うと、雪緒は神楽鈴をしゃらんと振った。
    「最後に皆さんで踊りましょう。きっと、楽しいのです」
     雪緒が鈴を鳴らすと、それに合わせて幽魅が踊る。肌も露わな幽魅の舞に、目のやり場に困るアレクセイ。
     華凜は鈴の音に合わせて体を動かすと、ステップを踏んで音を作り出す。
     差しだしたメルの手を取り、雪音が体を起こした。
     踊ろう、皆で!

    作者:立川司郎 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年2月28日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 13/キャラが大事にされていた 0
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