●拳に込めた闇を共に
『う……や、やめてくれぇ……助けてくれよぉ……』
その顔に沢山のアザ、目はうつろになった男達が、廃ビルの中に連なり倒れている。
そんな男達の目の前には、一人の男……その腕は丸太の如く太く、武道家の様な姿。
「ったくよぉ……その程度の力かよ。ったく、期待外れだぜ」
舌打ちしながら吐き捨てる彼。それに対し、うぅぅ……としか呻き声をあげれない彼らに。
「……目障りだ。さっさと死んでこい!」
そう言いながら、漆黒の闘気を纏った拳をその腹に叩き込み……倒れている男達は崩れ落ちていった。
「あ、みんな集まってくれたんだね!? それじゃ説明始めるよ!!」
須藤・まりんが、集まった灼滅者達を見わたして、早速説明を始める。
「今回は力を振りかざして、あるいみ暴れ回っているダークネス、アンブレイカブルを倒してきて欲しいんだ」
といいながら、写真wお皆に見せるまりん。
目つきの悪い男……と言った印象。
「このアンブレイカブルは、余り治安の良く無い場所を歩き回って、イチャモンを付けられた相手と戦って力を試しているみたいなんだ。既に十人以上の人が被害に遭ってるみたい」
「勿論ダークネスだから、バベルの鎖の効果がある。みんなもならず物を装い、ダークネスにイチャモンをつけるか、つけてもらって、接触して欲しいんだ」
「ダークネスは強力で危険な敵ではあるけれど、ダークネスを灼滅する事こそ灼滅者の使命。皆の力を課して欲しいんだ!」
そしてまりんは、ダークネスの詳しい情報を説明する。
「ダークネスは一人だけだけど、でもそれでもみんな纏めて掛かっても対等に対峙出来る位の実力は持っている。でも、ダークネスにこちらから仕掛ける事が出来れば自分達にとって優位な立場に引き込むことが出来ると思うんだ。この写真の顔をしっかりと記憶すれば、多分繁華街でも見つかる筈だから」
「勿論彼が使ってくる能力は、拳から繰り出す殴りかかりを主体にして、アンブレイカブルとしての能力も使用可能。一撃一撃の威力は当然強力だから、みんな特に注意して欲しいな」
「みんななら多分大丈夫だと思うけどね……でも油断しないでね! 被害者の人達もいるし、みんなのの力で確実に倒してきちゃってね!! っきゃぁ!?」
拳を振り上げたまりんがジャンプ……したら、いつもの如く、バランスを崩してずっこけてしまうのであった。
参加者 | |
---|---|
浦波・梗香(フクロウの目を持つ女・d00839) |
平田・カヤ(被験体なんばー01・d01504) |
神虎・闇沙耶(闇虎熊王・d01766) |
青柳・琉嘉(天信爛漫・d05551) |
紅羽・流希(挑戦者・d10975) |
秋風・千代助(からんか・d12389) |
諸葛・明(中学生ストリートファイター・d12722) |
亡霊・三番(目覚めぬ者・d13204) |
●力の刃
まりんから、繁華街にて暴れ回っている、というアンブレイカブルの灼滅依頼を受けた灼滅者達。
治安の悪い繁華街、との事で、灼滅者達は夕闇の頃に、何処か喧噪に包まれている繁華街へとやってきていた。
「しっかし今回の敵さん、強そうだねー!」
「そうですね、アンブレイカブルの不良さんなのですね? それはそれは強そうですね」
青柳・琉嘉(天信爛漫・d05551)の元気な言葉に、亡霊・三番(目覚めぬ者・d13204)が微笑みながら頷く。
そんな二人の微笑みに対し、真逆のいらだった風な言葉を紡ぐのは浦波・梗香(フクロウの目を持つ女・d00839)と、秋風・千代助(からんか・d12389)も。
「しかし今回のアンブレイカブル……戦闘を何だと思っているんだ? 戦闘とは何らかの目的を達成する為の手段であり、武力とはその為のツールに過ぎない。武力その物を目的として求める事は、本末転倒も甚だしい」
「全くだぜ。ほんとアンブレイカブルって奴ぁ、でっけえからだで好き勝手暴れやがってよ。気は優しくて力持ちっつ-訳にゃいかねぇのな」
その言葉に、紅羽・流希(挑戦者・d10975)は。
「いやはや、大変ですねぇ……まぁ戦うという決断は一体、何時すべきものなのでしょうかねぇ。理由が強さを求めるだけならば、その先にあるのはむなしさしかないと思うのですがねぇ……」
肩を竦めて、そんな一言。
まぁ……確かにアンブレイカブルは、戦いまくり、その力を見せつけるのも一つの特徴である。
そしてその力の見せつけ自体は、一般人も灼滅者も関係無いのだから……厄介な事この上無い訳で。
「まぁこんな治安の悪い所とはいえ、あまり暴れ回られるのも困り物だよね。だからこそ、しっかり倒さないといけないね」
「そうだね! 楽しみだけどしっかり倒しておかないとね!!」
「そうですか。強いのならきっと、きっと楽しく遊べそうですし、頑張るのですよ」
平田・カヤ(被験体なんばー01・d01504)、琉嘉、三番らも頷き、そして最後に諸葛・明(中学生ストリートファイター・d12722)が。
「よーし、初依頼、頑張って行くアルヨー!!」
興奮気味に拳を振り上げる彼女なのであった。
「それじゃ改めて確認しておくな。俺と流希、カヤと千代助の四人がアンブレイカブルに対し因縁を付ける役、という事で、他の四人は迎撃場所を探してもらう、と……」
「ええ、問題ありません」
神虎・闇沙耶(闇虎熊王・d01766)に、頷く梗香。
ただ、その闇沙耶の言葉に、千代助が。
「ならず者を装い……か」
「ん、どうしたアルか?」
明が心配そうに訪ねてくると、千代助は。
「……俺ぁこんな見てくれだし、ま、普段通り行ってみるとすっかね。売り言葉は喜んで買ってやるよ」
ニッ、と千代風が笑い、そして四人は繁華街へと繰り出していく。
そして残った明、三番、琉嘉、梗香は、地図を一端取り出して周囲を確認。
「戦場に適していそうな場所……やっぱり二、三人が並べるほどの一本道かな?」
「そうですね。まぁこういう繁華街ですから、そういう場所は結構多くありそうですし……アタリを付けて、探し回ってみるとしましょうか」
「そうだね! よーっし、さっがすぞー!!」
そして琉嘉、三番が頷き合い、四人は繁華街の中を歩き回り始めるのであった。
●因縁に囚われ
そして囮となる四人がアンブレイカブルを探す為に、繁華街を歩き続ける。
一時間ほど経過すると……カヤの元にメールが一通。
『場所発見! 準備はOKだよ!』
琉嘉のメール……それを流希、闇沙耶、千代助にも伝えた……その時。
通りの先に……図体の大きい、目つきも悪い男を発見。
その男の顔と、記憶にあるダークネスの顔を結び……つく。
「アイツ……だよな?」
「そうだね……間違い無いでしょう」
千代助に頷く闇沙耶、そして流希もカヤも、千代助に頷く。
幸か不幸か、一般人などに向けて因縁を付けているという訳ではなさそうだ。
「よし……下手に時間遅らせて血の気の多い一般人にイチャモンつけても面倒くさい事になるし、さっさと始めるぜ?」
「そうですね。では行きましょう」
千代助と流希、そして闇沙耶が一歩前に出て、男に向けて、肩で風を切りながら歩いて行く。
……無論、アンブレイカブルの方も、同じように肩で風を切って歩いている訳で……その二つの方向は、当然かち合う。
『っ……てぇな』
いらっとした言葉を告げるアンブレイカブル……よりも先に。
「おぃ……テメェ。待てや。テメェの目はどこにあるんだぁ?」
苛ついた言葉でくってかかる闇沙耶。
そんな闇沙耶に対し、アンブレイカブルも。
『はぁ? てめぇらこそ何だよ、真ん前に目がついてんのか? その目は飾りかってんだよぉ?』
「はぁ……いえ、見えてはいたのですが、当然其方の方が避けると思いましてねぇ」
闇沙耶に対し、流希は少し馬鹿にしたような言葉。
勿論千代助も、そのガタイから。
「てめぇは何だ? 俺達にイチャモンつけようってのか?」
と、威勢良い言葉で言うアンブレイカブルに、逆にくってかかる。
……そんな三人に対し、カヤは一歩後ろで……ギロリと睨み付けるのみで、特に言葉は発しない。
温和そうな彼だからこそ、言葉を聞いてそこを着いてくるかもしれないから……その選択は正しかっただろう。
『ちっ……こうして話してんだけじゃ埒があかねぇ。こうなりゃ力で白黒はっきりさせるのはどうだ!?』
予想通り乗ってきた……という事で、千代助はカヤに頷きつつ。
「あぁ、そうだな。どうせ戦うならよ、邪魔の入らねぇところで雰囲気楽しみながらじっくりやろうぜ。悪くねぇだろ?」
「ええ。私達の知っている所ならば、邪魔は入りません。勿論来てくれますよね? 自分の都合の良い場所に連れて行って、自分に優位にしたい、だなんて軟弱な考えは持っていないですよね?」
更なる言葉を流希が付け加えると。
『ったりめぇだ! 俺の力で泣いてもしらねぇぜ? ほら、早く連れてけ!』
怒り孕んだ言葉で灼滅者達の進路の後を付けていくアンブレイカブル。
琉嘉のメールに記された裏路地へと……睨み付け合い、罵声を浴びせ合いながら向かうのであった。
そして四人は、仲間達の待つ裏路地へと到着。
『ここか? お前等の墓場になる場所はよぉ?』
癪に障る笑い方を挙げるアンブレイカブル……立ち止まり、四人は振り返ると。
「さて……と、これも俺等の戦い方なんでね。悪く思わないでくれよ!
流希が速攻で黒死斬で一閃、アンブレイカブルに足留めを喰らわせる。
「そうだ。貴様には、キツイお灸をすえてやる」
更に闇沙耶も同じく黒死斬で斬りかかり、更に足留めを重ねる。
そしてカヤ、千代助は中衛キャスターと、後衛スナイパーの位置へと分散。
「……スナイパーか。サポートは慣れねぇけど、やるからには責任持つぜ。攻撃に集中してくれるよう、少ねぇ脳みそ使ってがんばっからよ」
「うん。でもあまり気張りすぎないで下さいね?」
カヤと千代助が会話している所に。
『てめぇ……灼滅者か! こんなやり方卑怯じゃねぇか!』
「ああ? 卑怯? 殺し合いに卑怯な事なんてねぇぜ? ほらよ!」」
アンブレイカブルへ流希の言葉。
そして、ダークネスの背後の方に一気に現われる仲間達。
「ご先祖様の名にかけて、絶対灼滅するアル!」
「だよ。兄ちゃん、俺達と勝負だー!!」
明がアンブレイカブルをずびしっ、と指さして宣言し、琉嘉も同じく宣言。
更に琉嘉は、即座に自分にヴァンパイアミストで壊アップをエンチャントしておく。
両面挟撃を取られたアンブレイカブルは、ぐぬぬぬ、と言った感じで歯ぎしり。
「……よし、私が時間を作る。その間に仕掛けろ」
と梗香は仲間らに告げると共に。
「行くぞ……まずは、足を止める」
援護射撃で更に足留め。
三ランクの足留めを喰らったダークネスは、当然ながら回避力は相応にダウン。その動きは鈍くなる。
更にカヤ、千代助が。
「それでは行きますね」「おう。みんなが攻撃に集中できる様に細工しようぜ」
カヤは封縛糸で捕縛、千代助が制約の弾丸でパラライズを付与。
避け難くなっているからこそ、大量のバッドステータスが付けられていく。
そしてバッドステータスの連発の後に。
「追いかけっこは得意ですよー!」
とオーラキャノンをぶっ放し、明も。
「いくアルヨ!!」
大声で叫びながらレーヴァテインで炎と共に攻撃、アンブレイカブルの身体に炎が燃え盛る。
でも、アンブレイカブルは。
『へへ……おもしれえじゃねぇかよ。んじゃぁ……こっちも真剣に力勝負だぜ!』
戦に対する戦闘狂の笑みを浮かべ、アンブレイカブルは動く。
拳を構え、まずは挑発してきた闇沙耶に殴りかかる。
『くらえぇっ!!』
「っ……貴様の拳に、魂を感じぬ」
闇沙耶はそう吐き捨てる。
そして次のターン、即座に闇沙耶は。
「魂のある拳、受けてみよ!!」
クラッシャー効果でダメージが倍になったレーヴァテインの一撃。
勢いに続けとばかりに三番、明、流希も。
「さぁさぁ、今度は数で勝負するのです!」
「今度は火の玉に追っかけられるがいいアルヨ!」
「……少しは大人しくしていろ」
閃光百裂拳と、オーラキャノン、そしてサイキックフラッシュで武器封じを叩き込む。
クラッシャーの猛攻で、確実に大量のダメージを与える。
そして琉嘉も。
「こういうのは得意じゃないけど……頑張るよ!」
と、隙を見ての紅蓮斬をヒットアンドアウェイで叩き込む。
前衛に位置する仲間らの攻撃は、バッドステータスに蝕まれたアンブレイカブルを確実に消耗させていく。
無論、梗香、カヤの中衛陣は援護射撃と結界糸により更なるバッドステータスを行う事で、アンブレイカブル自身のバッドステータスを依然として維持。
アンブレイカブルも反撃の攻撃を、拳で流希、闇沙耶を中心に仕掛け続けるのだが……回避力を下げられ、武器封じも付与されている状況では中々効率的なダメージを与える事が出来ない。
……そして、戦闘を仕掛けて6ターン目。
『ぐっ……くそ、てめぇらの卑怯に屈するとはな……!』
威勢の良い言葉に対し、梗香が。
「……お前は何のために武を求める。己の力を誇示する為だけか? ……諦めろ、矜持無き武力が高みに届くことはない」
と、バッサリと切り捨てる。
そして前衛、後衛共にアンブレイカブルの距離を詰めて。
「貴様に負ける事は無い……墜ちろ」
闇沙耶の宣告……放つ渾身の戦艦斬りで、その身体に叩き付けると、飛び散る血潮。
その返り血を受けながら。
「さぁ、ただでは終わらせないのですよ。手足の一本はくださいなのです!」
三番がアンブレイカブルを背中に背負い、地獄投げ。
アンブレイカブルの身体は中を大きく舞い……崩れ落ちるのであった。
●闇の儘に
「……終わったか」
静かにバスターライフルを下げて、スレイヤーカードを解除する梗香。
目の前に倒れたアンブレイカブル……もはや虫の息の彼に対し、千代助が。
「おう、ゴッツイにーさんよ。戦いは楽しかったか? 負け戦もたまにゃいいだろ?」
『グ……この、やろぅ……』
「……力のみを求めた結果、何を得るつもりだったのでしょうかねぇ。貴方がもしダークネスでなかったら、手合わせをしながら語ってみたかったものですねぇ……」
『っ……』
流希の言葉を聞きながら……返事を返すことも出来ず、ダークネス・アンブレイカブルは消滅する。
そして、他の仲間らもスレイヤーカードを解除して。
「んー……終わったぁ! 路地裏で戦闘とか、ちょっと不良っぽかったけど楽しかった~。まぁ、みんなお疲れ様ー!」
「そうだね。今迄シャドウ相手にしてたけど、やっぱり現実で戦うのとはまた違うねー……アンブレイカブル戦、しんどー……」
琉嘉にカヤが笑いながら、その場にへたりこむ。
それに明も。
「そうアルねー。って、シャドウ相手だと違う所で戦うアルか? それはそれで楽しそうアルねー!」
「うん。まぁねー。はぁー……うーん、早く帰ってぐっすり寝ようかなー」
「それもいいアルねー♪」
カヤと明がそんな会話をかわしつつ、灼滅者は夜の帳が落ちかけた繁華街を後にしていく。
その帰路で、三番は。
「……ボクなりの、最強の武は見つけられるのでしょうか?」
誰へという訳でもなく、一人静かに呟くのであった。
作者:幾夜緋琉 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年2月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 11/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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