みんなで帰りにもんじゃ行かない?

    作者:海あゆめ

     武蔵坂学園のとあるキャンパス。近所の商店街の中に、いつも美味しそうな匂いを漂わせているお店がある。
     もんじゃ焼きのお店だ。
     スタンダードなミックスもんじゃ。海鮮もんじゃに明太もちチーズに豚キムチ。他にも色々メニューはたくさん。もちろんトッピングの追加もOK!
     ついでに学生さんは30%オフの学割に加えて、ソフトドリンクの飲み放題がついてくるらしい。
     これはもう行くしかないでしょ! と、今日の授業が終わった後、皆でもんじゃ屋さんに行こうという話が、密かに広まっているそうで。
     
    「あたし、もんじゃ焼きって食べたことないな~にひっ♪ 楽しみ~♪」
    「そういや、俺も食ったことねーなぁ。けど、あそこの店の前、いっつもスゲー美味そうな匂いしてるよな!」
     話を聞きつけた、斑目・スイ子(高校生エクスブレイン・dn0062)と緑山・香蕗(高校生ご当地ヒーロー・dn0044)も、すっかりノリ気。
     
     今日の帰りは、みんなでもんじゃだ!
     


    ■リプレイ


     皆で鉄板を囲むもんじゃは、親睦会にもうってつけ。
    「んじゃまー愛原嬢。ひとつ頼むぜ」
    「だな。部長が音頭とったほうがいいか」
    「は、はい、では……」
     優理と悠埜に促され、美織はジュースの入ったグラスを持ち、小さく咳払いをする。
    「皆さん、クラブに入ってくれてありがとうございます! これからも皆さんと一緒に楽しい思い出を作っていきたいです。よろしくお願いします! 乾杯!」
    「カンパーーイ!! よしっ限界まで食べるぞ~!」
    「これからもよろしく頼むよ……乾杯」
     笑顔でグラスを掲げる、莉里と明日香。
     クラブ、『Up to you』の記念すべき第一回目の親睦会がスタートした。
    「後輩諸君と俺の分は悠埜が持つからなー気にせず食うんだぞ~」
    「ホント!? トッピングは? キムチとかキムチとか入れてもいい?」
     運ばれてくるもんじゃのタネをどんどん焼いて。
    「おぉ、この食べ方は面白いね……ん、美味しい」
    「あっついけどモンジャってやっぱ美味いな」
     皆でわいわいつつき合う。
     これぞ、もんじゃの醍醐味である。

     乾杯の音頭はこちらでも。
    「真夜と祢々はお疲れ。二人の無事な帰還を祝って、かんぱーいっ!」
     嬉しそうな笑顔で、切丸はグラスを掲げた。
     今日は、闇堕ちしてしまっていた真夜と、彼女の救出に向かっていた祢々、二人の無事の帰還を労う慰労会。
     切イカにお餅に明太子。カレー味からそば入りまで。色んなもんじゃが、次々と焼き上がる。
    「……こうやって皆で食事が出来るのって、本当に幸せ、ですね」
    「うん。帰ってこられて、本当に良かった」
     あつあつを頬張って、真夜と祢々は顔を見合わせ、小さく微笑んだ。
    「……切丸、あとでレシート見せろ。半分出すから」
     主催だから今日は奢る、と言っていた切丸に、銀嶺はそっと耳打ちした。
     幸せそうな、仲間達の笑顔。
     今日は本当に、喜ばしい一日である。

     クラブの女子三人に囲まれて、九十三は得意顔。
    「フッ、姫君達に囲まれてのもんじゃとは……コレもリア充か?」
     部長としての甲斐性も見せる、と今日は彼の奢りということになっているのだが……。
    「あ、月日くん大丈夫よ。ドリンク代くらいは払ってあげるわ♪ ってことで、店員さーん、高い方からこれとこれと……あと海鮮もんじゃください」
     わりと容赦のない紫苑。
    「もう2人前くらい、いこうかしら。焼き方のコツつかむまで、練習するわよ。みんなも付き合ってくれるのでしょ?」
     初めてのもんじゃに研究熱心なヴィントミューレが駄目押しの如く。
    「もっちろん! 目標! 月日くんの財布のライフをゼロにする!!!」
     赤兎もここぞとばかりに食べる気満々。
     姫君は姫君でも、なかなかに勇ましい姫君達であった。

     鉄板の上で広げたもんじゃが、いつまでもふつふつしている。
    「……はっ、そういえばこれはどうなったら食べ頃なんでしょう? やはりここは一口……」
     確かめようと、ひふみが思い切ってぱくりと。
    「こっ、これは強敵です……っ」
     熱かったらしい。
    「ひふみちゃん大丈夫?」
    「みっ、みあのオレンジジュース飲む?」
     イヅナと深愛が一緒になって慌てる中、イヅルもどんなものかと一口食べてみる。
    「……確かに熱い。これは急いで食べるもんじゃないな」
     そしてこの感想。
    「ん? イヅルくん、よく聞こえなかったからもう一回!」
    「イヅル、今のダジャレ? ダジャレでしょ」
    「……決してダジャレじゃない」
     ひふみを介抱しつつも、にまにまと視線を寄越してくる深愛とイヅナに、イヅルは首を横に振った。
     残念。ダジャレではなかったらしい。

     焼くのも食べるのも、なにかとコツのいるもんじゃ。
    「よっ! ほっ! はっ! ……うー、難しいねえ。なつみちゃんは流石! あーん美味しそうだよー!」
    「ふふ、そうですか? あ、食べ方はコテでふちから焦げ目がつくように押さえながら食べてください」
     もんじゃ好きを自称するなつみの手際を真似して、智も焼くのに一生懸命。
    「へー焦げ目つけるんですねー」
    「食べ方にもコツがあるのだね、よし……と」
     もんじゃは食べるのも初めてな悠花と織歌は、言われた通りに焦げ目を作ったもんじゃを一口頬張ってみる。
    「あつっ!?」
    「あ、でもおこげ美味しい」
    「うん、熱いけど美味しいねー!」
    「気に入ってもらえると、もんじゃ好きとしては嬉しいです」
     出来上がりをつつき合って、にんまり笑顔。明日、クラスでちょっぴり自慢できるかもしれない。

     慎三と尚都とゆう。本日、初もんじゃである。
    「OK落ち着こうぜ、いざと言う時は周りを見れば何とかなる」
    「汁残して具を先に炒めるって、マジか!!」
    「どわー、広がっちゃう! 尚ちゃーん、得意の科学でたすけてー!」
     四苦八苦しつつも、周りに習ってなんとか完成。
     トッピングは、好きな物だけチョイスな尚都に対し、贅沢に全部のっけな慎三。そして、ゆうはアップルパイ風デザートもんじゃに挑戦!
    「その豪華なの寄越せィ!」
    「いっただきー!」
    「ああっ、食いやがったなぁ! 反撃だ、お前らのも食ってやる!」
     三人の初もんじゃ体験は、楽しく過ぎていく。

     バンド結成後、初会合な、卍と巳桜と千亜妃。
    「俺はロックバンド系を目指したい……あ、早いね、もう来た。えっと、誰が焼く?」
    「任せるー。俺飲みモンとってくんね。ロック系かっこいーよなー」
    「ロック系ね、わたしも特に異論はないわ……あら、美味しい、さすがは卍くんね」
     今後の方向性を話し合うつもりが、皆ついついもんじゃに夢中。
    「それでえっと、なんだっけ?」
    「あ、肝心のオハナシしてねぇわ……まいっか?」
    「ふふ、それじゃ、冷めてしまわない内にもう一口」
     まあ、美味しいし、楽しいし、今日のところは、こんなまったり具合で良いのかもしれない。

     まずは鉄板、明太餅に、さっぱりヘルシーな長芋と梅。さらには変り種のピザもんじゃ。焼き上がったら、皆で手を合わせていただきます!
    「美味しい! ふじふじ、食べてみほっぺた落ちそう! あーん」
    「あーん……まぁ! ホント、美味しい……!」
     食べさせ合って、幸せそうな希沙と藤乃。
    「長押くんもー、あーん……」
     と見せかけて自分の口へ運んでみせる希沙。
    「……まあ、期待はしてなかったから、いいけどさ」
     言いながら、長押は思わず苦笑を漏らした。
     今日はとっても楽しい一日。同じクラブの仲間同士、これからもよろしく、と笑い合う。

     魅勒が、何やら怪しげなメカを取り出した。
    「全自動油調節機能付油ひきー! 料理名にこうして目盛りを合わせるだけで適量が……って、ねえなんでそんな微妙な目するのみんな」
     それはさておき、こんな時グループの中に一人いればとっても助かるのが……。
    「この中にもんじゃ奉行はおりますか!」
     そう、お奉行様だ。月子の呼びかけに、民子がおもむろにヘラを両手に構えた。
    「澤村民子、参る!」
    「匂いがやべぇ、奉行さんサンキュっす」
     鮮やかな手つき! 思わず、供助も感服する。
    「あれ、エルちゃんセンパイ」
    「あ、ホントだー。そっち何食ってんのー」
    「アタシのメロンソーダが飲めないかー!」
     ふと見知った顔を見つけ、メロンソーダやら明太子やら怪しげな機械やらを持って近づいていく女子三人。
    「飲める範囲にしとけよー」
     供助も笑ってそれを見送った。

     一方、ドリンクの危機が迫っているとも知らず、エルメンガルトは初めてのもんじゃに必死だった。
    「刻むの? 混ぜるの!? 崩すの!? 土手って何!?」
    「ごめん、いつ入れるの?」
     隣の綴もいっぱいいっぱい。見かねた慧杜が、慣れた手つきでヘラを取る。
    「あ、餅とか今今。ほら、あとは何入れる?」
    「明太子とチーズとはんぺんも! あと桃缶!」
    「アイスもあるよ? 焼く?」
    「デザートもんじゃだね。お代りはそれにしようか」
     華麗にもんじゃを焼き上げていく慧杜。はしゃいで色々入れたがるエルメンガルトと綴を、怜示は笑ってやんわりとたしなめる。
    「怜示さんは火傷、気をつけて……あっ、ふーふーしたげよっか?」
    「え、あ、猫舌では、うん、大丈夫だよ。気持ちだけで……」
     ぐいぐい攻めてくる慧杜。この時、エルメンガルトと綴がガン見するほど、怜示は耳まで真っ赤だったという。


     二人で鉄板を挟んで、ゆっくりまったりできるのも、もんじゃの良いところ。
    「いっくん、あーん」
    「ちょっ、自分で食えっから!」
    「誰も見てないよ! 誰もすずたちのラブシーン見てないから大丈夫だよ!」
    「……しゃーねぇな……熱ッ!!!」
    「ふええ、ごめん! お水ー!!」
     ちょっぴり周りを気にしつつも、ラブラブっぷりと見せつけてくれる涼花と軍。

    「もんじゃ焼きって、私初めてなの!」
    「そうか、ゆすらはもんじゃ食べたことないのか……ほら、こうなれば焼き上がりだ」
     もんじゃは初めてなゆすらに、華鏡は焼き上げた海鮮もんじゃをお裾分け。
    「わあ! くれるの? ありがとうっ! ん、流石先輩、匠の業なの♪」
    「そうか、なら良かった」
     頬張って、幸せそうな笑顔になるゆすらに、華鏡も表情を和ませる。

     もんじゃ部員ではあるものの、今まで焼き方も知らなかったティート。いっぱいいっぱいになって焼くティートを前に、実は密かにもんじゃ慣れしている樒深は笑いを堪えるのにいっぱいいっぱいだった。
     しかも、ティートは完成した明太餅もんじゃをヘラで食べるのにもだいぶ苦労する始末。
    「まあ、何だかんだで出来たのは凄ぇじゃん。今度は俺作っとくから待っとけ」
    「ハッ、お手並み拝見と行こうか」
     ヘラの代わりにと差し出された箸を受け取って、ティートは不敵に笑って見せた。

     お互いに初もんじゃなギルドールと零桜奈。無理せず、最初の一枚は店員さんに焼いてもらった。
    「美味しい。零桜奈はどう?」
    「初めて……食べたけど……美味しい……」
     驚き、思わず見つめ合う。
    「零桜奈、お腹に余裕はある? 今度は僕が作ってみようと思うんだ」
    「うん……食べてみたい……」
     今度は自分で挑戦、とヘラを持ったギルドールに、零桜奈はこくりと頷いた。


     みんなで寄ってもんじゃを焼けば、ちょっぴりやんちゃなもんじゃができる事も。
    「にーにー、あーん!」
    「はい、熱いと、思うけど……」
     おねだりするクノンに煌介は、ふーふーと冷ましてからもんじゃを食べさせてやる。微笑ましい光景だ。焼き上がったそれは、キムチの上にマイ七味で真っ赤であったが。
     幸せそうな顔をするクノンに微笑みながら、煌介は密かに想いを寄せている由良を見やった。由良は初めてのもんじゃ焼きに戸惑っているらしく、綾沙と蓮二に食べ方を教わっている。
    「このちっこいヘラでちょっと取るじゃない? んで鉄板に押し付けるじゃない? そしたらほら!」
    「え? ヘラを直接、口に入れるんですの? ……ほ、本当に食べられるんですわよ、ね?」
    「大丈夫、間違いに見えるかもしれないけどこれで合ってる。俺を信じろ!」
     大きく頷いて、蓮二がヘラを口に運んでみせる。仕上げに振りかけた麺の駄菓子の食感が小気味良い。
     勝手が分かれば、あとはお腹が許す限りもんじゃもトッピングもどんどん追加。
    「キャベツが芸術的な配置……って何だ、今変な具材が見えた気が……」
     丸く土手を作ったキャベツに関心してじっと見つめていた迦月は、目の前を横切ったトッピングに一瞬目を疑った。
     パイナップルだ。
    「ぐえへへ、お肉を柔らかくするパイナップルの切り身をくらえー……って、あれー?」
     隣の蓮二のもんじゃにちょっかいを出していた空哉は、ふと自分の前のもんじゃに視線を戻して首を傾げた。
     さっきまで何ともなかったもんじゃが、真っ赤になっている。
    「私の特別製だから味わって食べてね」
     空になったタバスコの瓶を横に置いて、イヴは空哉にその特製もんじゃをヘラにすくい、にっこりと差し出した。

     もんじゃの焼ける鉄板から、何やら異臭が。
    「可笑しい。私の知っているもんじゃと違う……」
    「何だ、莉王も俺と同じか。矢張り俺とお前はどこか似ているようだな」
    「うお、ちょっとそこの不器用二人組! やばい臭いしかしないんだけど……ってぎゃー! 俺の皿に入れるな! 何これいじめ!?」
     完成したもんじゃではない何かを寄越してくる二人に、風貴は絶叫した。
    「もんじゃから瘴気が……風貴殿、良ければ手伝おうか?」
     だが、心配そうにお茶を差し出してくれる透の申し出にも健気に首を横に振って何とか物体Xを消化する。
    「莉王くん莉王くん、もんじゃはこうやって焼くのよ」
     そこへアイリスの助け舟。鉄板からはようやく美味しそうな匂いが。
    「美味しそうです」
    「アイリス殿焼くの上手だな」
     莉王と透もその手際に思わず見惚れる。
    「ちゃんとできれば美味しいのよっ。流さまもできそう?」
    「ハムスター……」
    「天使……!」
     そして、何故かもぐもぐ頬張るアイリスの撮影会が始まるのだった。

     甘~いデザートもんじゃの香りが立ち上る。
    「おらおら、私のもんじゃが食えないってのか? あん?」
    「ああっ、いやぁっ、甘いのはだめぇぇ~!」
     純にぐいぐい食べさせられて、ふざけて声を上げるスイ子。
    「あまいのはらめー?」
    「おら、ちっこいのが真似してっぞ!」
     スイ子の隣で無邪気にはしゃぐ星夜。香蕗は慌てて止めに入った。
     気を取り直して、次は基本もんじゃの注文へ!
    「海鮮もんじゃにコーンと納豆と豚肉とチーズトッピングよろ! コーラもくーださーい♪」
     弥勒の元気な声は厨房まで届いたらしい、しばらくすると注文したメニューが次々と運ばれてくる。
     スタンダードなもんじゃはやっぱり美味しい。
    「はふはふ、あついけど、おいしー! 緑山さんと斑目さんも、はいあーん♪」
    「お、おぅ……」
    「レイラやさしー! あーん♪」
     お裾分けを食べさせてくれるレイラ。香蕗は少し照れくさそうに、スイ子は大喜びでそれを受け取った。
     そんな二人が好きそうなトッピングを揃えつつ、羽千子がおずおずと切り出してくる。
    「あ、あの緑山くん、斑目さん……コロちゃん、スイ子ちゃん、て呼んで、構いませんか?」
    「お前、めんこいやっちゃなぁ」
    「羽千子ってば超天使……っ!」
     何とも可愛らしい質問。香蕗とスイ子は感涙した。もちろん双方ともOKの意である。
     こうして、皆で仲良くもんじゃを囲む。
    「私もいつかは彼女を連れて……来るわけないですか出来ませんしね……」
     最後に残ったおこげを剥がし、ゆっくり味わいながら流希はしみじみと苦笑する。こんな時でも、もんじゃは美味しいものである。
    「十五人前、美味しゅうございました」
     パチン、とヘラを置いて、手を合わせる菊乃。黙々と焼いて食べていたのは基本のミックスと明太もちチーズ。これだけ食べたのだ。作り方ももう完璧だった。

     初めての人もそうでない人も、みんなでもんじゃを囲む。
     今日の寄り道は、そんな楽しいひと時だった。

    作者:海あゆめ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年3月5日
    難度:簡単
    参加:68人
    結果:成功!
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