「こちふかば にほひおこせよ うめのはな――」
おばあちゃんの庭には、大好きな梅の花が咲き誇る。
おばあちゃんは、静かに大好きな和歌を詠う。
けれど。
梅の花の主はもはや亡きことを、少女だけが知っている。
「おばあちゃん……」
縁側にちょこんと座ったおばあちゃんは、いつもと同じ笑みを浮かべて。
――ずっと、二人きりだった。
おばあちゃんがちょっとした風邪から一気に寝込んで、そのまま一昼夜で息をしなくなった時、嘘だと思いたかった。
だから、嘘にした。
「おばあちゃん……」
自分の言葉に返事をしてくれなくても、優しい瞳は濁り果てていても、傍にいてくれるだけで。
なのに。
「あるじなしとて はるを わするな――」
おばあちゃんの詠う和歌に、こんなにも涙が出るのは、何故だろう。
「……切ない、ね。突然のおばあちゃんの死を受け入れられなくて、でも普通の人だったらやがて受け入れて、前に進んでいくのに…・・・・ノーライフキングの力があったから、死をなかったことにしようとした」
嵯峨・伊智子(高校生エクスブレイン・dn0063)はそう呟いて、灼滅者達に振り向いた。
「今なら、まだこの子……中学一年生の、菅野・梅実ちゃんは、帰って来れるかもしれない。普通の人としてじゃなくて、灼滅者としてだけど」
彼女の意識は、まだ完全にダークネスのものではない。
けれど、放っておけば闇へと堕ちてしまう。
愛するがゆえに動く屍として眷属にしてしまった祖母すらも、駒としか見ぬであろう闇に。
「きっと、それは、だれも望まないから」
まだ言葉が届くならば、救出を。
届かぬならば、灼滅を。
そして、いずれにせよ――おばあちゃんに、真の死を。
「お願い、するね」
一度伊智子は目を閉じ、そう言って息を吸った。
玄関の扉は、硬く施錠されている。
けれど縁側のある障子は、開け放たれている。生前の梅実の祖母が愛した庭に咲き誇る梅が、彼女の目に入るように。
「玄関から入れば、すぐに戦いになると思う。庭の方から入ろうとすれば、もしかしたら話ができるかもしれないけれど……不用意な事を言ったら、玄関から入るよりずっと怒るかもしれない。すごく、すごく庭が、そして庭を愛したおばあちゃんが大事なんだよ……」
灼滅者達の言葉が届いたにせよ、届かず闇に呑まれたにせよ、その後に待つのは戦い。
「梅実ちゃんは、ノーライフキングの力を使って戦ってくるよ。そして、おばあちゃんは――眷属なのに、梅実ちゃんは絶対に戦いの場に出そうとしない」
もしも祖母が攻撃されれば、庇う動きすらも見せる。
その場合、説得は非常に難しいものになるだろうけれど――。
「おばあちゃんと別れるのが、すごく辛かったんだろうけど……今の梅実ちゃんは、もっと辛そうなんだよ。だから、おばあちゃんとのお別れを、納得できる形でさせてあげてほしいの。闇から、戻って来れたら」
よろしくお願いします、と、伊智子は深く頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
八幡・朔花(翔けるプロレタリアート・d01449) |
花澤・千佳(彩紬・d02379) |
栗橋・綾奈(退魔拳士・d05751) |
鎮杜・玖耀(黄昏の神魔・d06759) |
犬束・真己(ミスターテンダー・d07318) |
折原・神音(中学生神薙使い・d09287) |
狗崎・誠(猩血の盾・d12271) |
安田・花子(クィーンフラワーチャイルド亚・d13194) |
氷溶かす春の風。――梅の名を持つ少女の心は、灼滅者達によって溶けるだろうか。
ふわり、と波打つ焦げ茶の髪が揺れる。彼女自身は気付いているか分からないけれど、両親によって虐げられ、花澤・千佳(彩紬・d02379)の心はまだ雪解けておらぬのかもしれぬ。
故に、家族の在り方を、祖母を眷属としてしまった少女――梅実から、教わりたいと思う。そして同時に、命を弄ぶ咎から彼女を救いたいと思う。
「辛い辛い出来事です。大切な思い出があるなら、せめてそれだけは守りましょう」
そっと、折原・神音(中学生神薙使い・d09287)が胸に手を当てた。胸元に力を秘めたカードこそあれど、武器一つ持つことはなく。
戦いは避けられぬとも。別れは避けられぬとも。
その前に、語りたいと。
ゆっくりと、狗崎・誠(猩血の盾・d12271)が息を吐く。彼女を止めることは正しいことなのかは分からないけれど。
それでも。
「ダークネスに変じて、大事な人の記憶すらも自らの魂すらも消えてしまうのが、幸福なことであるはずがないんだ」
――そう。
それだけは、事実。
「梅実さんのしていることは、ウメ子さんの平穏を犠牲に成り立っている。本当に大切ならそれじゃ駄目なんだ」
普段の穏やかな笑顔を、犬束・真己(ミスターテンダー・d07318)は一瞬だけ引き締めた。
本当に大切ならば――。
――初めての、学園から請ける仕事と、安田・花子(クィーンフラワーチャイルド亚・d13194)はそっと息を深く吸い、吐いた。彼女と祖母が思い出を育んだ家を、見上げて。
「お婆さんの死を理解させ、なんとしても闇堕ちからは救わないと……さあ、参りますわ」
この、クィーン☆フラワーチャイルド2世の名に賭けて――!
先代から受け継いだこの名を汚さぬように、と、花子は大きく頷く。
そして――栗橋・綾奈(退魔拳士・d05751)にとっても、初めての依頼。
「闇へ堕ちる人がいるなら、私はその人を助けたい」
自分も助けられてここにいるから、と。
鎮杜・玖耀(黄昏の神魔・d06759)を始め灼滅者達の願いは、庭を踏み荒らさぬこと。それゆえ静かに静かに、灼滅者達は歩を進める。
「こんにちは、家主さんかな?」
「誰っ!?」
振り向いた少女とは対照的に、縁側の隅に座る老女――梅実の祖母は、ただ静かに微笑んでいた。
けれど――灼滅者達には、もし梅実が命ずれば、祖母は即座に灼滅者達を排除しに動くだろうとわかる。
けれど、きっと彼女達はそれを望まぬ。
「勝手に上がり込んでごめんな。外からあんまり綺麗な梅の花が見えたもんだからさ」
八幡・朔花(翔けるプロレタリアート・d01449)の言葉に、綾奈がそっと梅を見上げて微笑んで。
「素敵な梅の花ですね。もう、そんな季節になったのね」
その言葉に、梅実の肩から力が抜ける。梅の好きな人に、悪い人はいないって――おばあちゃんが、言ってた、と。
「もしよかったら、一緒に見させてもらってもいいかな?」
そう尋ねた朔花に、どうぞ、と少女は場所を空ける。ちょうど、八人分。
ふわり、冬と春の間の風が吹き抜ける中、灼滅者達は縁側に腰を下ろして。
やや後方を歩んでいた誠は、梅実の前を通り過ぎた時、己の顔に残る傷跡を彼女が恐れなかったことに安堵する。表情は変わらなくても、纏う空気はどこか柔らかい。
「綺麗な庭だね。手入れした人が大切にしていたんだね」
「あ……わかります、か?」
どこか悲しげであった彼女の表情が、ぱっと明るく輝く。きっと誰でも見ればわかるよ、と真己は頷いて。
「愛されていたなら、それは表われるものだから……それは、君にも言えること」
「っ…………!」
少女が、驚いた瞳の下から尋ねる。
あなた達は、一体――そう、尋ねる。
「よかったら、話を聞いてくれる?」
綾奈の言葉に、梅実は戸惑いながら、けれどゆっくりと頷いた。
最初に口火を切ったのは綾奈。己の名と、自分達が武蔵坂学園から来た者だということを語って。
それに続いたのは、神音だった。灼滅者というものについて、そしてダークネスというものについて。
「にわかには信じられないかもしれないけれど――わかっている、と思います」
祖母へと視線を向けて言った神音に、梅実は唇を引き締め――そして、ゆっくりと頷いた。
「おばあちゃんのこと、大好きだったんだね」
「――全部、おばあちゃんが教えてくれたから」
そう、梅実は頷く。物心ついた時から、ずっと、と。
「梅実さんの気持ち、私もわかるの。私も家族を亡くしたから」
闇によって奪われた家族。奪われた子ども時代。ただ、ダークネスと戦って、そして闇に堕ちた。
そんな思いは、してほしくない。
「私も、闇堕ちから救われた人間です」
玖耀が、静かに口を開く。
過去を話すのは、辛い。己の無力さに絶望したあの闇を、思い出すから。
それでも――語るのは、己を闇から救い出してくれた人がいたように、彼女に手を伸ばしたいから。
「それに、おばあちゃんはいなくなったんじゃない」
そっと、綾奈は手を伸ばす。咲き誇る、梅の花に向かって。
「この梅の花が、おばあちゃんなんじゃないかな」
姿だけ祖母である屍よりも、祖母が想いを込めた梅こそが、本当の祖母と綾奈は頷いて。
「だから梅の花は、こんなにきれいに咲いているの」
その言葉を受けるように、小さく、千佳が口を開く。
「わたしがいなくなったとしても。残していく愛する孫へ、春になったら芳しい花を咲かせておくれ」
もとの意味も家族を想い詠ったものだけれど、と言ってから。
「おばあさんの詠ううたは、この梅と梅実さんへの語りかけにも聞こえます」
「おばあちゃん、が……」
梅実が思わず見つめた祖母は、何も、語らぬ。
ただ、優しい瞳を、梅に向け続けるのみ。
「俺の地元にも飛梅って伝説があってさ。東風吹かばって知ってるかね」
朔花が語るのが、同じ和歌を語る話だと悟ったのだろう。真剣な顔で、梅実は頷いて。
「遠く離れる梅の樹に、自分が居なくなっても元気でいてくれよって和歌でな。その梅は愛する主人の所まで飛んで行くんだ。いい話だよな」
「……うん。いい、話――」
そう頷く彼女も、願ったのだろう。
己も梅と同じように、祖母の元に飛んでいく事を。
「でもその伝説、本当は桜もセットになっててな」
「桜?」
飛桜伝説は知っていても、それ以上は知らなかったのであろう。少女が、ぱちりと瞬いて。
朔花は、ゆっくりと頷く。
「桜の樹は別離を悲しむあまり、泣きすぎて枯れてしまうんだ」
こくり、と少女の喉が、息を呑んだ。
「せっかく強く想われても、枯れた事を知った主人は悲しむだろうな」
小さく笑って、朔花は梅実と目を合わせる。ゆっくりと、頷いて。
今の彼女は、その話の梅であり、そして桜でもあるのだから。
「婆ちゃんとの別れは悲しいかもしれないけどさ、梅実が闇に堕ちる姿なんて見たくないはずだ」
「今の辛そうな貴方を、お祖母様も望まないのではないですか」
ゆっくりと玖耀が、朔花の言葉に続ける。いつの間にか流れ出していた涙は、もう止まる気配もない。
「いい庭……そして、いい梅の木ですわね」
ふと、花子が口を開いた。突然の思わぬ言葉に梅実が顔を上げれば、そこでは花子が梅の木を見つめ、微笑んでいる。
「手入れをしていた人の気持ちが伝わるようですわ。そして」
小さく息を吐き、花子はにっこり笑って頷いた。
「そして、それを受け継ぐ人へも」
そう。
この梅に、そして梅実自身に、闇の力に頼らずとも、祖母は受け継がれているのだと。
「まだ戻れる。精一杯人生を歩んできた婆ちゃん、ゆっくり眠らせてやろうぜ」
朔花が祖母の姿を目に刻んでから、そのまま梅実へと視線を合わせる。
神音と綾奈が、言葉を紡いでいく。自分達はダークネスと戦う者であり、梅実の力はダークネスの者であって。
けれど今なら、きっと戻って来られるけれど。
それは同時に、祖母との永遠の決別でもあるのだと。
「うその色は本当の思い出もにごらせてしまう。ふたりが愛したこの景色は、うつくしいままであってほしいです」
そう言って、千佳は静かに梅実を見つめた。
「いのちを手繰るわたしとあなた」
それは、己も闇に堕ちれば同じ力を持ち。
もし彼女が灼滅者となれば、同じ力を持つが故。
「そのちからの使い方を違えないで」
あなたの道標、私達が紡ぎます。
そう言って、千佳はゆっくりと小さな手を伸ばす。
こくりと頷いて、梅実がその手を取ろうとした、瞬間。
が、と梅実の唇から、人ならざる声が零れる。プリズムの十字架が浮かび上がり、灼滅者達を薙ぎ払おうとする。
けれどそれに、真己は落ち着いた声で言った。
「ちょっと待って。ここで戦うと庭が傷ついてしまう。自分たちもこんなに綺麗な庭を台無しにしたくないんだ」
ごめん、家に上がらせてもらってもいいかな、と静かに問うた真己に、少女は頷くことはなく。
ただ人知を超えた跳躍で飛び上がり、部屋の中へと転がり込んだ。
次の瞬間、十字架から光が飛び出し灼滅者達を一気に穿つ。
「ありがとう。おばあさんには、手を出さない事を約束するよ」
「――眷属から狙ってくれるならば、その方がありがたいけれど」
『梅実』よりも幾分低い声で語られる言葉は、ダークネスの梅実への支配力が高まった証。
けれど、それは説得の失敗を意味する者ではない。
なぜなら彼女の瞳からは、涙が流れ続けているから。
祖母を悼み、梅を愛する、梅実自身が流す涙に――灼滅者達は確信する。
彼女は、戻って来られると。
制約の弾丸が千佳の手から舞い、ダークネスの動きを縛る。さらに重ねた朔花の死角からの一撃が、彼女の足を止め神音が神薙刃を解き放つ隙を作る。
「刃、確実に通します!」
刃が抜けた次の瞬間、誠が一気にWOKシールドの出力を高め、力場の盾を大きく広げる。仲間達を、守れるように。
「クィーン☆フラワーチャイルド2世、参りますわよ!」
同じく出力を上げたシールドを、身体ごとぶつけていくのは花子。ダークネスの注意を惹き付け、そのまま反対の手で黒き情念の弾丸を叩きつける。
す、と玖耀が前に出た。天霞、と名付けた美しい霊気を展開し、そのまま刀を抜き放ち居合の業で斬りつける。綾奈がひらりと懐に飛び込み、鋼鉄の拳を叩きつける。
ぐ、と真己が拳を握りしめた。悲しむ少女を攻撃するのは、ひどく気がひけるけれど。
今倒すべきはダークネスと心を決めて、縛霊手から放つ霊気で闇を縛り上げる。
ぐぐ、と少女の喉から、人ならざる声が発される。大きく広げた腕の後ろで、プリズムの十字架が光を放つ。それは、まだ経験少なき者達が務める後衛へと真っ直ぐに飛び――受け止められた。
「簡単には、通しません」
「ここは、食い止める……!」
神音と誠、二人のディフェンダーが、必死に光を食い止める。真己がありがとう、と礼を言って天使の歌声を張り上げ、綾奈が閃光を纏った拳で何度も、何度もダークネスを穿つ。さらに玖耀が、護符揃えから防護符を抜き誠へと解き放つ。
「溜まった全部、ぶつけてください」
自分に今できることは、受け止めるだけだと。
梅実の放つ裁きの光を正面から受け止めながら、神音は鬼神と化した腕を大きく上から叩きつける。
どくん、と心臓の上で漆黒のスートが輝いた。そのままトラウマを込めた拳を叩きつける。
「これで、終わっておいてください!」
無敵斬艦刀の、面の部分を使った打撃。殺さぬよう細心の注意を払った神音の一撃が、梅実の中のダークネスを祓う。ふわり、と倒れた梅実を、誠がそっと受け止めた。
――そして。
灼滅者達と、梅実の瞳が縁側にじっと座る祖母へと向けられる。
「辛いならば、私達が常世に返そう。でも、自分で始めてしまったことは、自分の手で終わらせた方が後悔しなくて済むと、私は思うんだ」
誠の言葉に、梅実はゆっくりと頷いた。
「大丈夫――ですか。こうして出会ったのも何かの縁、私にも力にならせてもらえれば……」
玖耀の言葉にありがとうと微笑んで、だけど、と少女は首を振る。
「私はおばあちゃんと、本当のさよならをしなきゃいけないから――」
涙がその目に浮かび、流れ、尽きることなく頬を、服を、縁側を濡らす。
そして――少女は、祖母を抱き締めた。
「これはお婆さんの新たな旅立ち……心から笑顔で見送りましょう」
花子の言葉に、うん、と少女は頷いた。泣き顔の下から、精一杯の笑顔を作って。
「……うめちゃん」
その時、小さく祖母の唇が、動いた。
驚いた梅実が、体を少しだけ離してその顔を覗き込む。祖母――ウメ子は、にっこりと笑っていた。
「それ、じゃ、あ……ね、うめちゃん」
「おばあちゃん……!」
再び抱き締めた少女の体から、光が放たれる。
裁きの光は、死した祖母を送る鎮魂の光となって。
「――ありがとう」
腕の中から消えてゆくウメ子に、梅実は最後まで笑顔を絶やさなかった。
そのまま崩れ落ちるように座り込み、一気に堪えていた嗚咽を上げる梅実を、そっと綾奈は抱き締めた。
「本当に辛いよね。しばらく立ち直れないと思う」
だけど、明日、あさってと時間が過ぎたら少しずつ立ち直って、気が付いたら大切な思い出だけが残るよ、きっと。
そう言ってぽんぽんと背中を叩く綾奈の腕の中で、梅実はこくり、こくりと嗚咽を堪えて懸命に頷く。
「俺も爺ちゃんの葬式の時散々泣いたけどさ、鉄の様に強く育てよって大事にしてくれた――たとえ離れても、俺には爺ちゃんの血と意志が流れてる」
天国の爺ちゃんに元気な姿を見せてやろうと思ってるぜ、と朔花はにかっと笑って。
涙に濡れた少女の瞳に、視線を合わせて。
「春な忘れそ」
それは、あの句の最後の言葉。
「すぐに悲しむのをやめろなんて言わないけどさ。とびっきりの笑顔咲かせて婆ちゃんに届けてやろうぜ」
こくり、こくりと少女は頷く。まだ笑う事が出来るほど想いを昇華してはいないけれど、きっと彼女の頬にはまた笑顔の花が咲く。
「人は、覚えている人がいる限りは本当の意味では死なないと言う」
誠が言って、だから、と梅実に語りかける。
「だから、もしよかったらお婆さんがどんな人だったのか、聞かせてくれないかな」
うん、と少女は泣きながら、頷いた。
「いっぱい、いっぱい話させて。おばあちゃんがどんなに素敵な人だったか、お話させて」
灼滅者達が頷く中、真己が差し出したのは形を保ち落ちた梅の花。
「思い出を形にしたいなら、押し花にしたらどうかな。写真を撮るという手もあるし、それに梅実さん自身が自分の梅を育てるってのもいいね」
「で、良かったら学園に来ないか? 飽きる暇がないくらい楽しい事、連れ回してやるさね」
涙を拭いて、その提案に少女はゆっくりと頷いて。
彼女の新しい道は、ここから始まる。
作者:旅望かなた |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年3月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 14/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 0
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