冬の終わりの雪迷宮

    作者:旅望かなた

     三月は冬である。
     誰が何といおうと、北海道の三月は冬なのである。
     だが――それでも、徐々に日差しは温かくなり、春に近づきつつあるのも事実。
    「なぁ、知ってっかー?」
     そしてそんな日差しの下で、にやりと笑う中学生が一人。
    「あそこの山にはさ、雪男が雪の迷宮を作ってるんだぜ?」
    「嘘だー」
    「いやいや、学校でも噂になってたぜ。高橋の爺ちゃんが、驚いて逃げかえって来たって」
    「マジで?」
     盛り上がる中学生達の輪の中で、にやりと一人が笑う。
    「よし、それじゃ確かめに行こうぜ!」
     ――きっと期末テストも終わって開放的な気持ちになったのだろう。
     そんな提案が、受け入れられてしまうのであった。
     
    「でね、その雪迷宮は本当に存在するものなんだよ?」
     如月・茜(薄幸の少女・d12713)がちょこんと首を傾げて言うのに、嵯峨・伊智子(高校生エクスブレイン・dn0063)が「都市伝説なんだけどねー」と口を挟む。
    「雪迷宮の一番奥には雪男がいて、なんか宝物を守ってるんだよ?」
     なんだろね、と茜が首を傾げれば、ボリュームのあるツインテールが揺れる。
    「でもって、山奥だからなかなか人も来ないんだけど、茜ちゃんの話からなんか中学生が度胸試しを兼ねてやってきて、遭難したり雪男にやられちゃったりする未来予知っちゃったので、迷宮攻略して雪男倒してきてちょ!」
     びし、と伊智子は親指を立てて。
    「あと迷宮の中とかいまいち予知できなかったからガンバ☆」
     灼滅者達にいろいろと放り投げた。
    「えっと、雪男は、氷系の技を使って来るんだよ?」
     茜の言葉に「妖冷弾っぽいのとかフリージングデスっぽいのとかね!」と伊智子が付け加えて。
    「結構体力は高めだけど、あとはそんなに強くないと思うよー。でも寒いから防寒しっかりね!」
     北海道の3月は冬だし! と伊智子が言えば、「あう……寒かったんだよ……」と想像したのか茜が身を震わせる。
    「まぁでも、雪の迷宮踏破とか楽しそうだし! 頑張ってきてね!」
    「ん、頑張るんだよ……?」
     伊智子の言葉に、茜が頷いて。
    「よろしくお願いするんだよ……?」
     ぺこりと頭を下げれば、ツインテールがゆらんと揺れた。


    参加者
    河本・鷲見歌(女の子と睡眠が好きな・d00660)
    アプリコーゼ・トルテ(中学生魔法使い・d00684)
    杞楊・蓮璽(東雲の笹竜胆・d00687)
    多嬉川・修(光の下で輝く・d01796)
    ストレリチア・ミセリコルデ(銀華麗狼・d04238)
    山崎・余市(拳炎一如・d05135)
    神木城・エレナ(霊弓・d08419)
    如月・茜(薄幸の少女・d12713)

    ■リプレイ

     木々の間を抜けて開けた場所に出た瞬間、目に入ったのは煌めきだった。
     ――それほどまでに、白と透明の迷宮は、眩しかった。
    「迷宮! まさか現実に迷宮に挑める機会が巡ってくるだなんて……!」
     ストレリチア・ミセリコルデ(銀華麗狼・d04238)が胸の前で手を組み合わせて、雪の迷宮に負けぬ程瞳をきらきらさせて。
    「雪男さんには感謝しないといけませんわね!」
    「そうね、本当に」
     神木城・エレナ(霊弓・d08419)がゆるりと穏やかな笑みを浮かべて頷く。しっかりと防寒を意識した服装に持ち物、準備は万全だ。
    「構造が謎に包まれている迷宮。深部で宝を守る番人。どんなハプニングが待ち受けているのかしら、楽しみだわ」
     わくわくを隠せない主人の隣で、霊犬の凍鈴も尻尾をぱたぱた嬉しそうに。
     というわけで、寒さ対策も人それぞれである。
    「えっとね、ボクあまり寒いの得意じゃないから寒冷適応でぬくぬくなんだよ?」
     そうコートに身を包んで言う如月・茜(薄幸の少女・d12713)の足元は、滑りにくくてぬくいブーツ。それでも寒かったらお茶があるからね、と言うエレナに、光のない瞳はけれどどこか嬉しそうに頷いた。
     表情は変わらなくても、心は遠足気分でうきうきだ。
    「とても綺麗で眩しいね。外からの光が絶妙に反射して、中は明るいんだろうか」
     多嬉川・修(光の下で輝く・d01796)がもふりと温もりに包まれた手を、額にかざす。雪で作られ氷の壁が覆う迷宮は、外から見ても煌めきがわかる。
     す、と細めた目は、笑みを浮かべた顔は、毛皮に覆われて――毛皮?
    「この頭に唯一欠点があるとしたら、それは寒いこと」
     修がもふもふの白熊着ぐるみ姿でにっこりと笑う。
     儚げとか耽美とかそういう単語は吹っ飛んだが、迷宮と熊、非常にファンシーだ。
    「けど神秘的でも女子中学生が犠牲になるのはイケマセン。頑張って妙な迷宮を攻略しましょう!」
     河本・鷲見歌(女の子と睡眠が好きな・d00660)がこくりと決意を表明し、一同の意志を一つにし……、
    「そしてその暁には女の子にモテモテで……ゲヘヘ」
     てなかった。
     眠そうで儚げな笑顔だが、口元の緩みが明らかに危ない人である。
    「もう帰ろう、こんな迷宮。こんな寒いと雪男も冬眠してるっすよ、春に来よう」
     そうぶつぶつと呟くアプリコーゼ・トルテ(中学生魔法使い・d00684)の襟首が、がっちりと引っ掴まれた。
     ちなみに寒いのも道理である。だって魔法少女風フリフリミニスカ衣装なんだもん。
    「雪山の迷宮探検っ! 愛するレンジさんと一緒だぜっ! レッツゴー!」
    「雪景色の迷宮探検、楽しみですね! 今日は最愛の人……余市さんも一緒で尚わくわくどきどきです!」
     そしてアプリコーゼの襟首掴んだ当人の、山崎・余市(拳炎一如・d05135)と杞楊・蓮璽(東雲の笹竜胆・d00687)が、頷き合って飛び出していく。ストレリチアが「お待ちくださいませ! 私も早く行きたいんですのよ!」とテイルデバイスをぱたぱたさせて後に続く。
     厚手のスカートから時々チラリズムが発生するけどパンツじゃなくて水着だから恥ずかしくな……水、着?
    「あ~れ~」
     ともかく――迷宮探索の、始まりだ!

    「お伽話のような、神秘の世界だね」
     修が白い床を歩みながら、煌めく景色に目を細める。仲間達の足音や、こつん、こつんと響く音すらどこか夢物語のように感じられて。
     ちなみにこつんという音は、アプリコーゼの持つ10フィート棒が床とぶつかる音だ。
    「迷宮には落とし穴がつきものっす、そこでこれ10フィート棒。1マス先まで届きます。何と今なら1フィート追加で2マス先まで届く拡張キットつきっす!」
     こつん。こつん。こつん。こつ……ずぼごっ。
    「ちょっ、話がちがうっす!?」
     見事に開いた落とし穴。底から聞こえるアプリコーゼの叫び。
     体重によって開く落とし穴、10フィート棒の刺激では発動には少々弱かった様子。
     とりあえず鷲見歌と余市がせっせと雪を溶かして階段を作り、アプリコーゼを助け出す。ふわり、とエレナのタオルが温かいお茶と一緒に、雪まみれになった彼女を迎える。
    「なるほど、体重しっかりかけないと落とし穴って見っけられないのかー……」
     余市が槍の柄を見ながら、ふむと唸る。なので今度は、結構な強さで床を叩いて確認。
    「あら、これ何かしら」
     かと思ったら横の壁から突き出ていた雪のボタンを、エレナが思わずぽちり。
    「っと、ツララが!」
     天井からいきなりツララが外れ、灼滅者達へと降り注ごうとする!
    「危ない!」
     修が咄嗟に神薙刃を作り出し放つ。さらに余市のバニシングフレアが、一気にツララを焼き払う。
     最期に降り注いだのは、僅かな水のみ。
    「下に注意させておいて上とは、なかなか雪男もやりますわね!」
     すごくすごく楽しそうな顔で、ストレリチアが笑みを浮かべる。――発動原因がエレナのボタンだったのは秘密。
     というかエレナ自身、ストレリチアの言葉になるほどーって顔をしているということは、もしかして自分が原因な事に気付いてないかもしれない。
    「けれどこれは……凍鈴に、先に行ってもらったら罠を見つけられないかしら?」
    「きゃうん!」
     エレナの言葉に、もちろんだと言いたげに吠える凍鈴。
    「それじゃ、よろしくお願いするわね」
    「わん!」
     てけてけてけてけ。
     意気揚々と先を歩いていた凍鈴が――曲がり角からダッシュで戻ってきた。
    「きゃうんきゃうんきゃうん!」
    「どうしたの凍鈴……!?」
     そしてその後ろからごろんごろんと転がってくるのは……巨大な雪玉だ!
    「逃げるんだ!」
    「わああああ!」
     修の言葉で一斉に灼滅者達が逃げ出す。転びそうになった茜を、修が急いで助け起こし手を引く。
     仲間達と逆行し、駆け戻っていくエレナ。腕の中に飛び込んできた凍鈴を抱き締め、凍鈴だけは絶対に護ると強い決意で再び逃げ出す。
    「あーれー!」
     そしてその間にアプリコーゼが巻き込まれていた。
    「よし、この馬鹿力で受け止めて見せます……! 皆さんはその間に!」
     蓮璽がさっと振り返り、手袋をはめた手を開き構えを取る。
    「その間に余市さんの一撃があればこの危機は乗り越えられる筈……!」
    「よっしゃ任せろ!」
     余市が蓮璽の背後で、焔を己の拳に宿す。軽い助走から一気にジャンプし、蓮璽が巨大雪玉を受け止めた次の瞬間一気に焔を燃やして正拳突き!
    「ぶげらぼっ!?」
     雪玉が衝撃を吸収してくれたおかげで無事だったアプリコーゼが、床でべちょり。
     そして……一気に溶けた雪玉だったもの、つまり水を被った余市と蓮璽は、思わず顔を見合わせた。
    「…………くしゅん」
     蓮璽が一つくしゃみをして、もう一回顔を見合わせた後くすりと同時に笑い出す。
    「あーあ、二人ともびしょぬれ」
    「あはは、溶かしたらそうなるよね……!」
    「でも、助かりました! ありがと、余市さん……」
     蓮璽に正面からそう言われて、えへへ、と余市は嬉しそうに。
     でも自分には寒冷適応があるけれど、蓮璽が風邪を引いたら困るから。
    「センパイ、アタシちょっと寒いからあっためてね!」
     余市が蓮璽を温めようと、ぎゅっと抱き着く。蓮璽はその意図を察し、取り出したタオルで彼女の髪や顔をぬぐいつつぎゅっと抱きしめ返す。
     エレナとストレリチアがにこにこしながら、お茶とココアの用意をして。
    「かーわーいーいー女の子ー……独占なんてーいけませんー」
     鷲見歌さん何落とし穴掘ってるんですか。

     そしてその後。
    「お宝があるっすー!」
    「お宝、お宝だよ?」
     宝箱に飛び付いたアプリコーゼと茜が手を突っ込んだ瞬間、牙を生やした宝箱ががっぷり。
    「っ! これも、拘束されて動けない女の子!?」
     鷲見歌が瞳をきらーんとさせる横で、「大丈夫かい!?」と修が急いで宝箱に擬態していたミミックを破壊していた。仲間が助かって良かったと、拘束が消えてしまってしょんぼりの混じった、ちょっと微妙な顔をする鷲見歌。
     そしてさらに進めば、そこには薄い氷壁。
     多分中には罠があるね、と修が言った傍から、エレナが「ここを壊せば先に進めるのね」と斬影刃を繰り出し壁を破壊する。
     ――ざらっ。
    「「「!?」」」
     誰も対処できない間に、上から降ってくる大量の雪!
     一番素早かったのは、エレナだった。凍鈴を、さっと押しやって雪から逃したのだ。
     そして、そこには雪だるまが八体ほど生まれた。
    「くくく……あっしなどこの中じゃ一番の小物よ……ぐふっ」
     ぱたり、とアプリコーゼが倒れる。明らかに三下な台詞を残して。
     ちなみに衝撃ダメージすら喰らってないから大丈夫だよ!
    「うう……寒くないけど、嬉しくもないんだよ……」
     茜がもう泣きそうな声で這い出る。「自分が固まるのは嬉しくないですからね」と言い放った鷲見歌が素早く出て来て、仲間達が出てくるのを手伝う。
     女性優先で。
     ちなみに凍鈴も早速エレナを助けようと雪を掘っていた。その手を借りて出てきたエレナが、ありがとうねと頭を撫でれば凍鈴が嬉しそうに尻尾を振って。
     そして一緒に、仲間達の救助に加わる。
    「す、スカートとジャケットの中に雪が……雪がですの!」
     ストレリチアが雪から出てきて慌ててジャンプ。その度に固まりかけた雪がぽてぽてと落ちてくる。
     何とか全員が掘り出されたので先へ先へと進んで行けば、間欠泉の湯気で何も見えぬ通路をみんなですっ転びながら抜けた瞬間、現れたのは閉じ込められた美少女達。
    「おおおお! 美少女が生きたままで大量にコレクション!」
     言いながらも壁には近づかず、じっくり離れて幸せそうに観賞する鷲見歌。そしてそれを聞いて、慌てて美少女の入った壁を溶かす余市。
     ――と、美少女の脚も一緒に溶け始めた。
    「余市さん、もしかして……これ、美少女も氷じゃないっすか?」
    「た、確かに!」
    「えー!? 雪男、君には絶望しましたよ……」
     アプリコーゼの言葉に安堵する余市。そして残念そうな鷲見歌。
     良く見れば氷ではない本物の美少女はいなかったようなので、一同はがっかりした鷲見歌と共に歩き出すことにして。
     そして行き当たったは下り坂。
     それも、氷でできたとっておきの、どこまで続くかわからない滑り台。
     探したけれど、他に続く道はないようである。
     おまけに自分達が来た通路につけておいた目印は「あ、こんなとこに落書きがしてあるっす」とアプリコーゼがちゃんと消していた。
    「ここは、これを使うしかありませんわね」
     非常に嬉しそうにストレリチアが取り出したのは――サーフボード。
    「これなら途中に落とし穴があっても、速度で回避できますの」
     しゅるりとストレリチアが滑り出す。サーフボードは徐々にスピードを上げ、開いた落とし穴もサーフボードのサイズとスピードで易々と飛び越していく。
    「……楽しい!」
     銀色の髪がなびき、笑い声が弾けて。
     サーフボードのない自分達はどうしようか、と顔を見合わせた隣で、茜がバランスを崩してそのまま滑り台へ。
    「あ……わわわわわわわわわわわなんだよー!?」
    「大丈夫!? 今、助けるわ!」
     そして素早く飛び込んでいくエレナと凍鈴。
    「あ……あー……!」
    「きゃうーん!」
     そしてコントロールが利かずに反対方向へと滑り出していく茜とエレナ&凍鈴。
     残された一同は顔を見合わせた後、分断するのもまずそうだと判断し即座に身を躍らせた。

     で。
     ストレリチアは坂の最後に用意されていた池が長かったので、スピードを落としバランスを崩して池に落っこち。
     当然茜とエレナと凍鈴は防ぐすべなく転落し。
     他のメンバーもそれを見てはいたが上手く止まれず。
     みんなで超冷たい池に放り出され、足はつくので(寒冷適応組は除いて)がくがく震えながら歩き出したところには、温泉とかまくらが鎮座ましましていたのである。
    「ほっ……掘りごたつまであるぞ!?」
     余市がかまくらを覗き込んで思わず叫ぶ。叫んだ次の瞬間にはもう入り込んでいる。
     ぬくぬく死の再来か、と思われるあまりの心地良さにとろける余市。「余市さん罠ですよ」と言いながら来て、うっかり隣に入り込んでしまいやはりとろける蓮璽。
    「足湯でもあったまるっすねー……」
     アプリコーゼがストレリチアからココアをもらって温泉に足を付けほくほく。そのストレリチアはといえば、エイティーンで成長した姿で温泉に浸かったりはしゃいだり犬耳尻尾をぱたぱたさせたり忙しい。
     そう、水着は実はこのための布石だったのである。道中寒いとかは気にしてはいけない。気にしていたらストレリチアではない。
    「凍鈴は浸かってもいいわよー」
     エレナが嬉しそうに足湯しながら言えば、嬉しそうに凍鈴は温泉へと身を躍らせる。ストレリチアとじゃれたりしながら泳ぎ回る愛犬を眺めて、まだ熱々のお茶が美味しい。
     慎重に近づくまいとしていた鷲見歌も、結局かまくらの誘惑に負けた。だって近くにいなきゃ仲間守れないし、で、でも別にやりたくてやってるんじゃないんですからね、みたいな言い訳が頭をぐるぐるしつつ。
    「ここ出たら帰りたい……帰りたいんだよ……」
     茜がかまくらの中でお汁粉を啜りながらうるうる。修もその隣で、温かで甘いお汁粉にほう、と息をつくけれど。
    「……いや、俺達は宝を見ずにこんなところで寝るわけにはいかないんだ!」
     ぎゅ、と拳を握って立ち上が……ろうとする修。
     お汁粉はあったかい。
     こたつはぬくい。
     かまくらは居心地がいい。
     それは――おそらくはこの世で一番恐ろしい敵との戦いだった。
     すなわち、己の欲望。
     激しく、辛く、涙なしには語れない戦いだった。
     その戦いを終えた戦士達は――もはや何も恐れる物はないと、迷宮の奥へと進んで行った。
     ……いやぁ、こたつと温泉って出れないよねぇ。

     ――そして、ゆっくりと雪男は顔を上げる。
     己の迷宮を突破してきた勇者達に、感嘆の目を向け――戦いは、始まる。
    「さぁ、冒険はクライマックス、ここは派手にやろうじゃないか! 『光あれ』!」
    「ええ、あなたが守る宝物……手に入れさせてもらいますのよー!」
    「うおっしゃー攻撃! 攻撃ですよ!!」
    「氷には炎だぜ! 雪なんか撃ち落としてやるぜ!」
    「俺を倒さない限り皆はやらせない……ってね!」
    「凍鈴、回復いくわよ!」
    「こんな迷宮を作ったのは誰だ……なんだよ!」
    「一発殴らないとすっきりしないっすね」
    「ととと寒っ!」
    「寒いって言ってるんっすよ!」
    「よし、氷は溶けた。雪男、覚悟!」
    「うごおおおおお!」
     雪男はボスらしい、けれど満足げな微笑を浮かべて消えていく。
     そして、残されたのは宝箱。開いた灼滅者達の目に入った宝物は――皆の、心の中に。

     都市伝説本人の灼滅によって、ゆっくりと迷宮は消えていく。
     そして灼滅者達の目に映ったのは、山頂から雪山を照らす、美しい夕日であった。

    作者:旅望かなた 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年3月14日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 12
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