●阿佐ヶ谷
公園の時計は4時も示していない頃。普段なら人も出歩いているかどうかという時間だと言うのに、住宅地は喧騒に包まれていた。
否、それは喧騒にあらず。道を埋め尽くし歩きまわる人影のほとんどはアンデッド。そのアンデッド達を踏みつぶし押し分けるように巨大な影、デモノイドの姿もいくつか見える。
人々が閉じこもる家の扉を破り、家屋へと進入するアンデッド達。路上に響き渡る悲鳴にさらに2つ、3つのそれが重なり、窓から血飛沫が路上に飛び散る。
手に奇妙な、強いて言えば儀式用の短剣のようなナイフを持ったアンデッドがある家屋から逃げるようにして出てきた。家の中から不気味な声が聞こえる。と思った次の瞬間、家の壁をぶち破り。1体のデモノイドが雄叫びをあげながら姿を現した。
そうなる家は1つだけではない。何軒かに1つの割合で、デモノイドが家を破壊しながら次々と路上に出ては暴れまわる。
住宅街に、アンデッドが、デモノイドが、瓦礫が、死体が、血が溢れかえる。
そこはまさに、地獄絵図だった。
●教室
「鶴見岳の戦いで戦った、デモノイドのことは覚えているか」
教室に集まった灼滅者達を見まわして、神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)はそう切り出した。
つい先日あった戦いの事。灼滅者達は一様に頷く。
「そのデモノイドが、阿佐ヶ谷に現れた」
俄かにざわつく教室。続けるぞ、と一言置いて場を静まらせつつ、ヤマトは言葉を続ける。
「阿佐ヶ谷の地下鉄から大量のアンデッドが現れて住宅街を襲撃し、それに伴ってデモノイドが現れているようだ」
デモノイドはソロモンの悪魔『アモン』により生み出されていた筈だが、今回はアンデッドによる襲撃で生み出されている。それは一体どういうことなのか。
どういうことなのか、と説明を求めた灼滅者にヤマトは一度、大きく頷いた。
「どうやら奴らは儀式用の短剣のような物を装備しているようだ。それで攻撃されたものの中からデモノイドとなる者が現れるらしい」
儀式用の短剣のような物。それで攻撃された一般人がデモノイド化。
未確認ではあるが、少し前にソロモンの悪魔の配下達が行っていた儀式に使われていた短剣と、同様のものである可能性がある。
「まだ確定したわけではないが、何かしらの繋がりはあるかもしれないな」
俺が視た中で考えられることはそれぐらいだ。
「それよりも、だ」
このままでは間違いなく、阿佐ヶ谷は壊滅してしまう。
ヤマトの視た予知によると―――
寝込みを襲われてナイフで刺される男性。家の外の騒ぎに飛び起きるも、どうすることもできないまま扉を突き破ってきたアンデッドに殺される女性。
家を破壊して出てきたデモノイドが雄叫びを上げ、近くにあった家を殴り壊す。粉砕され飛び散る瓦礫に赤い液体が付着していた。
途中までは変えられぬ惨劇。だが、阿佐ヶ谷の壊滅という最悪の結末は、灼滅者が阻止することができる。
「アンデッドが、ソロモンの悪魔が使っていた筈の儀式用の短剣のような物を装備していたりと、色々と気になるところはあるが」
今は、これ以上の被害を生み出さない為、アンデッドと、そして生み出されてしまったデモノイドの灼滅をお願いする。
それが、この俺、ヤマトというエクスブレインからの頼みだ。
「頼んだぞ! 灼滅者達!」
参加者 | |
---|---|
丹生・蓮二(エングロウスエッジ・d03879) |
高峰・紫姫(銀髪赤眼の異端者・d09272) |
森山・楓(高校生魔法使い・d10862) |
ジンジャー・ノックス(十戒・d11800) |
八坂・善四郎(ごく普通の喧嘩好きチャラ男・d12132) |
桃山・弥生(まだ幼き毒・d12709) |
宇南山・千華(白鳥仮面スーパースワン・d14062) |
リューネ・フェヴリエ(熱血青春ヒーロー修行中・d14097) |
●地獄入
阿鼻叫喚の阿佐ヶ谷を、灼滅者達が駆け入る。いくつかのグループに散開、見える青い巨体へと駆けて行く。
その中の1つのグループが、今しがた家を内側から破壊しながら出てきたデモノイドに向けて突き進んで行く。振るわれる青い拳に隣の家屋が破壊され、血が付着した瓦礫が飛び散った。
「んもう、完全に後手じゃない!」
予測なしじゃ動けないとはいえもどかしいね……。とごちるのは森山・楓(高校生魔法使い・d10862)。唇を噛みしめ走る。
「本当に。最近、後手に回り続けている気がして腹立たしいですね」
桃山・弥生(まだ幼き毒・d12709)も無表情ながらに、その中に気に食わない、という苛立ちを含ませて呟く。
(「見知らぬ人が死ぬのはどうでもいい。守るべきものを傷つけられることが腹立たしい」)
その思いは胸の内に。ジンジャー・ノックス(十戒・d11800)としても、守るべきものを傷つけられる、虐殺されることに怒りを露わにしていた。
「……今まで経験した中で最悪の現場だ。ゲロカス共が」
その怒りを隠すことなく、傍目に既に仲間達と交戦しているアンデッドを見て口から紡ぎ出す。
後ろでは宇南山・千華(白鳥仮面スーパースワン・d14062)が目に涙を溜めて走っていた。
「……ひどい。何でこんなことに……」
「今回の事件は灼滅者を狙ったものかもしれません」
例えば、町全体を囮にして誘いだす為。弥生は冷静に応じながら、辺りを警戒している。
「さて、阿佐ヶ谷の世紀末化を阻止するために……」
そんな中、八坂・善四郎(ごく普通の喧嘩好きチャラ男・d12132)がおどけた口調で周りの皆に語りかけた。
「らしくないのは重々承知で、善四郎くん世紀末救世主をやっちゃうぞ☆」
あえておどけた調子で振る舞い、緊張や怒り、沈痛に包まれた場を少しでも和ませようとする。
(「さてこんな事態を引き起こしたクソ野郎の鼻をあかしてやろうか。言っておくけど自分、今回の件は真面目に怒ってるんすからね!」)
されどその心は怒りに熱く。エネルギーに変えて走る。
「この世界に地獄はいらない。そんなもの作らせない」
ましてや人の手でなんて。
そう思う丹生・蓮二(エングロウスエッジ・d03879)が、心を見透かしたかのように、善四郎にそうだなと同調した。傍目には感じ取れないが、彼もまた、この惨状に怒っている。
最後尾を走るリューネ・フェヴリエ(熱血青春ヒーロー修行中・d14097)が、唇を噛み、拳を握りしめた。
「ソロモンの悪魔……ノーライフキング……!」
ぜってぇ、許さねぇ……!
「ですね。でもまずは、この惨状をなんとしても喰い止めないと」
そしてその隣を走る高峰・紫姫(銀髪赤眼の異端者・d09272)は静かに頷いた。そして一度、身震い。
「……大丈夫か?」
「……ええ、流石にこの惨状。戦慄を覚えざるを得ません」
紫姫と同じ事を思ったのはどれだけいるのだろうか。
そして彼らは、咆哮を上げるデモノイドの前に、それを取り巻くアンデッドの前に躍り出た。
●地獄中
「Allez cuisine!」
リューネが叫び、封印解除した。他の者も次々に封印解除をして行く。
「さあ、つん。お仕事だ」
隣に出現し、直ぐにアンデッドとデモノイドに向かって唸り声を上げた霊犬の背を撫で蓮二が言う。背から離した手にシールドを纏わせ、デモノイドに殴りかかる。
シールドを裏拳で弾き飛ばすデモノイドに突き刺さる冷凍光線。天神しぶき氷ビームに誘われ、デモノイドが白鳥仮面スーパー☆スワンに変身した千華へと拳を振りおろした。真っ向から受け止める千華。
「この町は、私が守ってみせる……!!」
歯を食いしばり、耐える。その後ろからさらにリューネのご当地ビームが飛び、青い身体の表面で弾けた。
(「……基になった人は違えど、また、お前と戦うことになるなんてな」)
でも、今回はまだ望みがあるかもしれねえんだ……絶対ぇ、助けてやるからな!
体勢を立て直す為に一度離れる千華から、リューネへと顔を向けるデモノイド。つんの浄霊眼と弥生の集気法が千華の傷を癒す。
紫姫が踊りアンデッド達を攻撃しながら、楓が指輪を媒体に自分の中のダークネスの力を引きだし、行動体勢を整えて行く。
アンデッドの1人から放たれる光。眩暈のような不快感が襲いかかり、ジンジャー、善四郎が光に誘われるようにアンデッド達に向かって躍り出た。
「さってと、この世紀末な状態を全力で阻止するっすよ!」
雷を纏った拳と、戦艦をも叩き切る斬撃が光を放ったアンデッドに襲いかかる。突出した2人に3体のアンデッドが群がった。
その内の1体を弾き飛ばすは弥生の縛霊撃。紫姫の歌と蓮二の光が善四郎とジンジャーの頭をある程度冷静にさせ、魔法の刃による傷を塞ぐ。
千華とリューネを交互に見るデモノイドの視線が千華に固定された次の瞬間。腕が鋭利に変形し、千華へと突き立てる。
「速いッ……!」
そして、痛烈。次は耐えられないと判断した千華は後ろへと下がる。楓の制約の弾丸が追撃しようとするデモノイドを穿ち止め、リューネが地面を叩き揺らし牽制する。
アンデッド達が執拗に善四郎とジンジャーへと刃と光を飛ばしてくるが、それに構わず2人は、先程怒りに身を任せ攻撃したアンデッドへと拳を向ける。それは、怒りからではなく、傷ついた敵から狙うと言う考えの元より。
ジンジャーの拳の連打の終わりに合わせ、善四郎の鋼の拳がアンデッドを打ち据える。両膝をつく動く死体を、楓の縛霊手が打ちのめした。
「うん、たまにはおっきな武器で殴るのも悪くないかも」
倒れて消えるアンデッドを見ながらワキワキと縛霊手を動かす楓。
デモノイドがリューネに襲いかかろうとするのを、蓮二がシールドを纏った拳により文字通り身体を張って阻止。それを飛び越えるように、リューネが大きく振りまわしたハンマーを、そして想いを叩き付ける。
「もうやめろ!このままじゃお前、本当の化け物になって……倒さなくちゃ、いけなくなるんだぞ!」
その間に紫姫から盾となる小輪を受け、シールドを張り巡らせて体勢を立て直す千華。シールドリングを与えつつも、紫姫の目はデモノイドへと向けられる。
「アナタは人です。それを忘れないで」
闇に飲まれないで。
自身の胸に握りしめた片手を置いて辛い気持ちに耐えつつ、デモノイドへと呼びかける。しかし、デモノイドにこれと言った反応は表れず、ただ麻痺によって動けない身体の代わりに敵意を向けてくるのみ。
つんが善四郎に、浄化する目を向ける。その隣を光に誘われた弥生がアンデッドへチェーンソー剣を振り降ろしていた。
「あぁーたたたたたたぁ!」
チェーンソー剣を受けてよろけたアンデッドに善四郎が閃光百裂拳を放つ。ほーぁちょぅ! と気合を入れて最後の一突きを打ち込み、もんどりうって倒れたアンデッドに指を突き付ける。
「……そう、アンタはもう死んでいるんすよ。なぁ、アンデッド?」
その背中合わせで、ジンジャーは魔力を込めたマテリアルロッドを構えていた。
(「皆デモノイドが人間に戻れる可能性に賭けている様だけど……私は信じられない」)
その可能性に賭けて、自分達が帰れなかったら、元も子もないから。
「私だって必死なのよ!」
振るわれるフォースブレイクに身体を折り曲げたアンデッドは、さらに楓の影から伸びた刃が鋭く、服ごと身体を切り裂かれる。
その喉から、フィンガーレスグローブに包んだ蓮二の手が突き出した。引き抜かれる手。アンデッドが消えながら地面に倒れ伏す。
と、背中に感じる風。咄嗟に振り向きながら身体を庇った蓮二の腕に、変形したデモノイドの腕が突き刺さった。
鮮血が散る。千華がディフェンダーに復帰し、入れ替わりに後ろに下がる蓮二。その主人へとつんが浄霊眼を向けた。
ジンジャーが弥生の回復を受けながら、自己暗示をかけて己の魂を燃え上がらせる。蓮二に、紫姫の歌が染みる。
「壊したくない大切があったはずです。思い出しなさい、あなたは人間でしょう?」
ジンジャーと同じく、デモノイドが人間に戻れる可能性に賭けていない弥生は、それでも、もしかしたらということも考えて呼びかけてみる。
「まだそこにいるか? いるなら抗え!」
蓮二が魂に届けと呼びかけるが、返事は咆哮、そして怒りに身を任せた拳。今まで以上に力強く、爆発的に加速する一撃が、軽快なフットワークからローリングソバットを決めた千華へと容赦なく襲いかかる。
攻撃直後で体勢が崩れている、避けられない。
「ッ! ……ぁっ」
千華は覚悟を決め、足に力を込めてその拳を受け止めた。何とか吹き飛ばされることは免れたが、口の端から血を垂らし、糸が切れたかのように地面に両膝をつく。
「千華!」
叫んだのは誰だったか。痛みと悔しさに歯を食いしばり、自分の呼ぶ声を遠くに聞きつつ千華は意識を手放した。
フォースブレイクをアンデッドに喰らわせつつ、倒れた千華の向こうに佇むデモノイドを善四郎は、唇をかみしめて見据えた。
「……アンタはそれでいいんすか。暴れるだけの化け物のままでいいんすか!?」
「頼む……目を、覚ましてくれ!」
リューネも必死に叫ぶ。その間に弥生のレーヴァテインが最後のデモノイドを焼き尽くし、灼滅した。
呻くような、デモノイドの唸り声。皆の動きが止まる。
ガアアアアアアアアア!
だがしかし、多数の期待を裏切り、デモノイドの拳が蓮二に叩きつけられた。
●地獄変
残る相手はデモノイドのみ。デモノイドの様子からもはや灼滅するしかない、という考えが一同、一致する。その中で真っ先にデモノイドへと踏み込んで行ったのはジンジャー。
「悪いけど、デモノイドになった時点で貴方は狼。羊達を守る為なら容赦はしないわ」
振るわれる無敵斬艦刀と鋭く変形した青い拳が真っ向からぶつかり火花を散らす。その後ろから、楓が狙い済まして指輪から魔法弾を撃ち放った。
「倒すしかないのよね……、もうここまで来たら……」
麻痺して動かないデモノイドの懐に、悲しげな顔をしながらも覚悟を決めた善四郎が潜りこんだ。拳を全力で握りしめる。
「こっから先、言葉は不要っす。ただ打ち倒すのみっすわ……覚悟!」
覚悟と共に突き打つ鋼鉄拳。紫姫のエンジェリックボイス、つんの瞳、そして自身のソーサルガーダーにて何とか前へと持ちこたえる蓮二の隣を弥生が走る。
振るわれたチェーンソー剣の面をデモノイドは弾き飛ばす。悔しさに顔を歪ませるリューネのマルチスイングが、チェーンソー剣を弾き飛ばした拳を叩く。
素早く後ろに下がるリューネを、デモノイドの拳は捉えられない。大きく空ぶった青い身体に、灼滅者達は殺到した。
灼滅者達が12度、攻撃と回復を行う。デモノイドが3度、拳を振う。3分の間に、双方に耐えがたい疲弊が溜まって行く。
蓮二と立場を交換して前に出た紫姫は、それでもメディックにいた時と変わらず回復に専念する。今一番傷ついているジンジャーへ、小輪を与える。
リューネが地面を揺らすがデモノイドがそれに怯んだ様子はない。だが意識がそちらに向いた隙に、つんが咥えた刀で斬り付け、ジンジャーと善四郎の幾千もの拳がその身を穿たんとする。
だが、それらを片腕で防ぎきったデモノイドが2人を弾き飛ばし、そしてジンジャーを、変形させた拳で穿ち返した。蓮二の霊力の光を、弥生が癒しのオーラを咄嗟に飛ばすが、ジンジャーは片膝をついたまま、荒く肩で息をしている。
デモノイドが、更に動く気配。
早い―――。
ジンジャーに向けて拳を振り上げた。ディフェンダー陣が反応するが庇うには間に合わない。楓が制約の弾丸を撃ちこむが、止まらない。
だがジンジャーは、避けようともせずにマテリアルロッドを握りしめた。膝が浮き、拳を迎撃する体勢。
「見せてやるよ……羊の抵抗ってヤツをぉおおおッ!!」
うおおおおおお来いよォオオオォ!!
グオオオオオオオオオオ!
2つの怒号、拳と杖が激突し―――ジンジャーが杖ごと叩き潰される。
「ジンジャー!」
だがしかし。地面に倒れたまま動かないジンジャーの隣に青い液体が落ちた。その量は見る見る間に増えて行き、そしてフォースブレイクを真っ向から受け止めたデモノイドの腕中から体液が噴き出す。痛みからか、それともその腕の惨状からか、後ずさりたじろぐデモノイド。
今が好機。善四郎と弥生が一歩、大きく踏み出した。
「……化け物としてではなく、こいつを人として死なせてやりたいと思うのは自分のエゴっすかね」
「間違いなくエゴですね。元は被害者ですけど、今は人が原材料というだけの害獣です」
元に戻る様子が見えず、灼滅者にしか駆除できない以上、わたしたちが駆除するべきしょう。
その言葉に悲しそうな顔をしながらも、弥生の縛霊撃に絡め取られたデモノイドを善四郎は掴む。
そして身を縛る霊力の網を破ろうともがくデモノイドの動きに乗せ、全力で地面に投げ叩き付けた。青い怪物の頭が地面に潰れる。
そのまま仰向けに倒れたデモノイドは、うめき声1つ出すことなく、消えて行った。
●脱地獄
やり切れない思い、悔しい思いなどが渦巻いているが、やるべきことはやった。なれば、今は速やかにここから脱出しなければならない。
「っと、その前に……」
壊れた塀その場に落ちていた、アンデッドが使っていた儀式用の短剣のようなナイフを、善四郎はおそるおそる拾い上げる。
何事もないようだ。警戒してその様子を見ていた楓が、善四郎の脳天にチョップした。
「いたっ! なにするんすか!?」
「うん、やっぱり平気そうね」
ごめんごめんと謝る楓。沈んだ空気を少しでも和ませようとしているのか。善四郎も、平気そうと思うならしないで欲しいっすよと言いながらも、容器にナイフを入れリューネに渡す。リューネは暗い表情のまま、直ぐにアイテムポケットでそれをしまい込んだ。
「……皆さん、色々と気持ちは分かりますが」
「ここからの脱出を。デモノイドを1体倒したとはいえここは全くの安全ではないですからね」
なにより、そのナイフを狙ってくるかもしれません。
紫姫と弥生の言葉に、そうだなと頷いて蓮二はジンジャーを担ぐ。心霊手術を行いたいが、この場には一分一秒もいることが危険だ。善四郎も千華の身体を担ぎあげ、立ちすくむリューネを促して走り出す。
一度、デモノイドが消えた所を見てから、リューネも仲間に続きこの地獄からの脱出のために走り出した。
「何でだよ……何で、ソロモンの悪魔も、ノーライフキングも、こんなことするんだよ……!」
俯き、拳を握りしめて震えるリューネ。その顔が上げられ、明け方の空を仰ぎ見る。
「くそおおおおおおおおおお!」
慟哭は、終わりが見え始めた地獄の空に消えて行った。
作者:柿茸 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年3月22日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 12/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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